説明

光学機器

【課題】二つのAF方式を備える光学機器において、焦点調節状態を検出しているAF方式をユーザにリアルタイムに報知する。
【解決手段】位相差検出AF方式またはコントラスト検出AF方式により焦点調節を行うハイブリッドAF方式の光学機器において、焦点調節状態を検出しているAF方式をユーザに報知する。たとえば、位相差検出AF方式により焦点調節状態を検出しているときは、第1表示領域332aのランプを消灯状態とし、第2表示領域332bのランプを点灯状態とし、第3表示領域332cには何も表示しない。一方、コントラスト検出AF方式により焦点調節状態を検出しているときは、第1表示領域332aのランプを点灯状態とし、第2表示領域332bのランプを消灯状態とし、第3表示領域332cに位相差検出AF方式により合焦できない理由を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つのAF方式を切り替えるハイブリッドAF方式の光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二つのAF方式(位相差検出AF方式とコントラスト検出AF方式)を備えるハイブリッドAF方式の電子カメラにおいて、二つのAF方式の両方により合焦状態となったか否かを報知するカメラが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−311328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
位相差検出AF方式やコントラスト検出AF方式など、複数のオートフォーカス(AF)方式により焦点調節状態を検出するハイブリッドAF方式の光学機器にあっては、複数のAF方式を状況に応じて切り替えて使用している。たとえば、移動する被写体に対して高速に合焦しなくてはならないときは位相差検出AF方式に切替え、高精度に合焦しなくてはならないときはコントラスト検出AF方式に切り替えるといった使い分けがなされている。そのAF方式の切替にあっては、ユーザが行う光学機器の各種設定が影響していた。
【0005】
しかし、光学機器がいずれのAF方式により焦点調節状態を検出しているかは、ユーザに報知されていなかった。そのため、ユーザが光学機器の設定を行う際、不便に感じることがあった。
【0006】
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、二つのAF方式を備える光学機器において、焦点調節状態を検出しているAF方式をリアルタイムに報知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による光学機器は、結像光学系と、第1の焦点検出方式に基づき結像光学系の焦点調節状態を検出して第1の焦点検出信号を出力する第1の焦点検出手段と、第1の焦点検出方式とは異なった第2の焦点検出方式に基づいて結像光学系の焦点調節状態を検出して第2の焦点検出信号を出力する第2の焦点検出手段と、第1の焦点検出信号と第2の焦点検出信号との一方に基づき、結像光学系の焦点調節を行う焦点調節手段と、焦点調節手段が第1の焦点検出信号に基づき焦点調節を行っているときは第1の報知を行い、焦点調節手段が第2の焦点検出信号に基づき焦点調節を行っているときは第2の報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
二つのAF方式を備える光学機器において、焦点調節状態を検出しているAF方式をリアルタイムに報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による光学機器の一実施例としてデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】交換レンズの予定結像面に設定した撮像画面上の焦点検出領域を示す図である。
【図3】デジタルカメラに備えられるLCDを用いたAF方式の報知例を示す図である。
【図4】二つのAF方式を切り替え、そのAF方式に対応した報知を行う処理に関するフローチャートの一例である。
【図5】LCDを用いた報知の一変形例を示す図である。
【図6】LCDを用いた報知の一変形例を示す図である。
【図7】LCDを用いた報知の一変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の光学機器の一実施形態であるハイブリッドAF方式のデジタルカメラについて、一構成例を示すブロック構成図である。図1に示すデジタルカメラ1は、交換レンズ2と、カメラボディ3とを備え、交換レンズ2はカメラボディ3のマウント部4に装着される。
【0011】
交換レンズ2は、レンズ21a〜21cや、絞り22、レンズ駆動制御装置23などを備えている。なお、レンズ21bおよびレンズ21cはズーミング用、レンズ21cはフォーカシング用である。レンズ駆動制御装置23は、CPUとその周辺部品を備え、レンズ21cと絞り22の駆動制御、レンズ21bや、レンズ21c、絞り22の位置検出、カメラボディ3の制御装置との通信によるレンズ情報の送信とカメラ情報の受信などを行う。
【0012】
絞り22は、その開口部22aを調整することにより交換レンズ2を透過する透過光の光量を調整することができる。絞り22の開口部22aの大きさは、マニュアル設定時はユーザが交換レンズ2の表面にある絞り環(不図示)などの操作部材を操作することにより調節できる。絞り環には、絞り値(F値)に対応する目盛りが付されている。絞り環により絞り値が大きく設定されると開口部22aの大きさが小さくなり、被写体光の光量が小さくなる。また、オート設定時には、絞り22の開口部22aの大きさは、被写体の明るさに応じて自動的に決定される。
【0013】
レンズ駆動制御装置23は、レンズ21b、レンズ21cおよび絞り22の位置を検出し、検出位置に基づいてレンズ情報を演算するか、あるいは予め用意されたルックアップテーブルから検出位置に応じたレンズ情報を選択し、カメラ駆動制御装置32へ送る。また、レンズ駆動制御装置23は、カメラ駆動制御装置32から送信される焦点検出信号を受信して、フォーカシング用のレンズ21cを駆動制御する。
【0014】
カメラボディ3は、撮像素子31、カメラ駆動制御装置32、メモリカード33、LCDドライバ34、LCD35、接眼レンズ36、表示モニタ37などを備えている。撮像素子31は交換レンズ2の予定結像面(予定焦点面)に配置され、交換レンズ2により結像された被写体像を撮像して撮像信号を出力する。
【0015】
撮像素子31には、受光素子が二次元状に配置されており、受光素子アレイを構成している。その受光素子アレイのうち、焦点検出位置に対応した部分には焦点検出用の受光素子アレイ(焦点検出アレイと称する)が組み込まれている。焦点検出アレイは、マイクロレンズと一対の光電変換部とを有する。マイクロレンズは、交換レンズ2の予定結像面に配置されており、その後方に一対の光電変換部が配置され、交換レンズ2の射出瞳の像を一対の光電変換部上に形成する。したがって、一対の光電変換部は、交換レンズ2の異なった射出瞳部分を通過し、マイクロレンズへ向かう被写体光をそれぞれ受光し、光電変換する。一対の光電変換部はそれぞれ、受光した被写体光に対応して、異なった射出瞳を通過した被写体像に関する出力信号をカメラ駆動制御装置32へ送信する。
【0016】
カメラ駆動制御装置32はCPUとその周辺部品を備え、撮像素子31の駆動制御や、撮像画像の処理、交換レンズ2の焦点検出および焦点調節、絞り22の制御、LCD35の表示制御、レンズ駆動制御装置23との通信、カメラ全体のシーケンス制御などを行う。カメラ駆動制御装置32は、マウント部4に設けられた電気接点40を介してレンズ駆動制御装置23と通信を行うことができる。
【0017】
メモリカード33は撮像画像を記憶する画像ストレージである。LCD35は液晶ビューファインダ(EVF:電子ビューファインダ)の表示器として用いられ、撮影者は接眼レンズ36を介してLCD35に表示された撮像画像を観察することができる。カメラ駆動制御装置32は、各受光素子アレイの出力に基づいて生成した画像信号をLCDドライバ34へ送り、LCD35へ撮像画像を表示するよう制御する。また、カメラ駆動制御装置32は、その画像信号をメモリカード33へ記憶する。表示モニタ37は液晶式の表示装置であって、カメラボディ3の背面に備えられている。
【0018】
カメラ駆動制御装置32は、撮像素子31の焦点検出アレイが出力する信号に基づいて焦点検出位置におけるデフォーカス量を演算する。そして、このデフォーカス量を位相差検出AF用の焦点検出信号としてレンズ駆動制御装置23へ送信する。
【0019】
また、カメラ駆動制御装置32は、撮像素子31が出力した撮像信号の高周波成分に基づいてAF評価値を算出し、このAF評価値に基づいてコントラスト検出AF用の焦点検出信号をレンズ駆動制御装置23へ送信する。
【0020】
図2は、交換レンズ2の予定結像面に設定した撮像画面G上の焦点検出領域を示す。撮像画面G上には、焦点検出領域G1〜G9が設定されている。撮像素子31の焦点検出アレイは、撮像画面G上の焦点検出領域G1〜G9に対応する位置に配されている。つまり、撮像素子31上の焦点検出アレイは、撮像画面G上に結像された被写体像の内の焦点検出領域G1〜G9の像をサンプリングする。
【0021】
図3は、LCD35に表示される画面の一例である。図3に示すように、LCD35には、撮像画像を表示するための表示領域である画像表示領域331と、実行中のAF方式に関する報知を行うための報知領域332とを有する。
【0022】
報知領域332は、コントラスト検出AF方式が実行されていることを報知するための第1表示領域332aと、位相差検出AF方式が実行されていることを報知するための第2表示領域332bと、位相差検出AF方式により焦点調節状態を検出できない理由を報知する第3表示領域332cとを有する。
【0023】
第1表示領域332aには、「コントラスト検出AF」というAF方式名が表示されているとともに、点灯状態または消灯状態となり得るランプが表示される。図3の例では、第1表示領域332aのランプは点灯状態にあり、コントラスト検出AF方式による焦点調節が行われていることを示している。
【0024】
第2表示領域332bには、「位相差検出AF」というAF方式名が表示されているとともに、点灯状態または消灯状態のランプが表示される。図3の例では、第2表示領域332bのランプは消灯状態にあり、位相差検出AF方式によるAF動作が行われていないことを示している。
【0025】
第2表示領域332bに右隣に設けられた第3表示領域332cには、「絞り値F16」と表示されている。この表示は、交換レンズ2の絞り値が所定値(たとえばF8)よりも大きいため、位相差検出AFによる焦点調節状態の検出ができないことを意味する。
【0026】
ユーザは、第3表示領域332cに表示されている理由を参考にしてデジタルカメラ1の設定を変更することにより、位相差検出AF方式によるAF動作をデジタルカメラ1に実行させることができる。第3表示領域332cに表示されている理由が解消された場合、カメラ駆動制御装置32が実行するAF処理は、コントラスト検出AF方式から位相差検出AF方式へ切り替わる。そのとき、第1表示領域332aのランプが消灯状態になり、第2表示領域332bのランプが点灯状態になる。
【0027】
図4は、カメラ駆動制御装置32が実行するAF方式の切替処理に関するフローチャートである。図4では、ユーザが動画像等を撮影しているものとする。ステップS401では、カメラ駆動制御装置32は、動画等の撮影が続行されているか否かを判定する。カメラ駆動制御装置32は、撮影が続行している場合は処理をステップS402に進め、そうでない場合は図4の処理を終了する。
【0028】
ステップS402では、カメラ駆動制御装置32は、交換レンズ2の絞り値の設定が所定値(たとえば、F8)未満か否かを判定する。カメラ駆動制御装置32は、絞り値が所定値未満(たとえば、F4<F8)のとき処理をステップS403に進め、絞り値が所定値以上のとき処理をステップS410に進める。
【0029】
ステップS403では、カメラ駆動制御装置32は、撮像素子31からの撮像信号に基づいて、公知な画像処理方法等を用いて主要被写体とする対象を決定し、そのうえ主要被写体の位置と、主要被写体が行った交換レンズ2の光軸方向の移動を検出する。
【0030】
ステップS404では、ステップS403で検出した主要被写体が焦点検出アレイ上にあるか否かを判定する。カメラ駆動制御装置32は、その主要被写体が焦点検出アレイ上にある場合は処理をステップS405に進め、主要被写体が焦点検出アレイ上にない場合はステップS410に進める。
【0031】
ステップS405では、カメラ駆動制御装置32は、ステップS403で検出した主要被写体が交換レンズ2の光軸方向に高速移動中か否かを判定する。カメラ駆動制御装置32は、主要被写体が交換レンズ2の光軸方向に高速に移動している場合は処理をステップS406に進め、主要被写体が交換レンズ2の光軸方向に高速に移動していない場合は処理をステップS410に進める。
【0032】
ステップS406では、カメラ駆動制御装置32は、AF方式を位相差検出AF方式に切り替える。ステップS407では、カメラ駆動制御装置32は、第1表示領域332aのランプを消灯状態にする。ステップS408では、カメラ駆動制御装置32は、第2表示領域332bのランプを点灯状態にする。ステップS409では、カメラ駆動制御装置32は、第3表示領域332cに表示されている内容を消去する。カメラ駆動制御装置32は、ステップS409の処理が終了したらステップS401に戻る。
【0033】
ステップS410では、カメラ駆動制御装置32は、AF方式をコントラスト検出AF方式に切り替える。ステップS411では、カメラ駆動制御装置32は、第2表示領域332bのランプを消灯状態にする。ステップS412では、カメラ駆動制御装置32は、第1表示領域332aのランプを点灯状態にする。ステップS413では、カメラ駆動制御装置32は、第3表示領域332cに位相差検出AF方式により焦点調節状態を検出できない理由を表示する。たとえば、ステップS402において交換レンズ2の絞り値が所定値以上であると判定された場合は、図3のように第3表示領域332cに絞り値を表示する。また、ステップS404において主要被写体が位相差検出AF用検出エリア321内にない場合は、その旨を第3表示領域332cに表示する。
【0034】
以上説明した各実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
本発明の一実施例であるデジタルカメラ1は、カメラ駆動制御装置32が位相差検出AF方式と、コントラスト検出AF方式とを切り替えながら撮影レンズを合焦位置に調節する。カメラ駆動制御装置32は、撮像素子31の焦点検出アレイから出力されたAF信号に基づき焦点調節状態を検知しているときは、第1表示領域332aのランプを消灯状態にし(図4のステップS407)、第2表示領域332bのランプを点灯状態にし(ステップS408)、第3表示態様332cには何も表示しない(ステップS409)。一方、撮像素子31の焦点検出アレイ以外にある受光素子アレイから出力された撮像信号に基づき焦点調節状態を検知しているときは、第2表示領域332bのランプを消灯状態にし(ステップS411)、第1表示領域332aのランプを点灯状態にし(ステップS412)、第3表示領域332cに位相差検出AF方式により焦点調節状態を検知できない理由を表示する(ステップS413)。これにより、二つのAF方式を備える光学機器において、焦点調節状態を検出しているAF方式をユーザにリアルタイムに報知することができる。
【0035】
以上の各実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
上記の実施形態では、交換レンズ2と撮像素子31との間にミラーを有さないいわゆるミラーレスタイプのデジタルカメラ1を例として説明を行った。しかし、本発明の適用範囲は、クイックリターンミラーを有する一眼レフカメラなどにも適用できる。たとえば、AF処理実行時はクイックリターンミラーを退避状態にすることにすればよい。また、本発明はデジタルカメラ以外の光学機器にも適用できる。たとえば、オートフォーカス機能を有する双眼鏡などにも適用できる。
【0036】
上記の実施形態では、デジタルカメラ1は、コントラスト検出AF方式と、位相差検出AF方式とのハイブリッドAF方式であった。しかし、本発明によるハイブリッドAF方式の光学機器に採用されるAF方式は、コントラスト検出AF方式と位相差検出AF方式の組み合わせだけに限定されない。たとえば、赤外線や超音波などを用いるアクティブ方式のAF方式を含むハイブリッドAF方式などにも適用できる。
【0037】
図3では、LCD35の第1表示領域332aおよび第2表示領域にそれぞれランプを表示することにしたが、LEDなどの発光部材を実際に点灯/消灯させることにしてもよい。
【0038】
撮影者が撮像画像を観察する手段は、接眼レンズ36およびLCD35だけに限定されない。たとえば、カメラボディ3の背面に設置された表示モニタ37を介して撮像画像を観察できるようにしてもよい。このとき、表示モニタ37に図3のような画面を表示してAF方式を報知することにしてもよい。
【0039】
AF方式の報知方法は、図3のような表示態様だけに限定しない。たとえば、以下に例示する表示態様でもよい。
変形表示態様(1):上記の実施形態では、位相差検出AF方式により焦点調節状態が検出できないとき、第3表示領域332cにその理由が表示された。これと同様にコントラスト検出AF方式により焦点調節状態が検知できない理由を表示する表示領域を報知領域332内に有することにしてもよい。この表示領域には、たとえば「被写体の高速移動」などといった理由が報知される。
【0040】
変形表示態様(2):上記の実施形態における報知領域332には、コントラスト検出AF方式が実行されていることを報知するための第1表示領域332aと、位相差検出AF方式が実行されていることを報知するための第2表示領域332bとが含まれていた。しかし、これらの第1表示領域332aと、第2表示領域332bとの両方の役割を果たすランプ332dを表示することにしてもよい。ランプ332dは、たとえばコントラス検出AF方式により焦点調節状態を検出しているときは点灯させ、位相差検出AF方式により焦点調節状態を検出しているときは点滅させることにすればよい。
【0041】
変形表示態様(3):実行中のAF方式は報知領域332だけでなく、画像表示領域331を介して報知することにしてもよい。図6の表示例では、LCD35の画像表示領域331の左上角に実行中のAF方式名称「位相差検出AF」を表示している。
【0042】
また、図7に示すようにLCD35の画像表示領域331に焦点検出しているフォーカスエリアを表示し、そのフォーカスエリアの表示態様に基づいて実行中のAF方式を報知することにしてもよい。図7の表示例では、図2の焦点検出アレイの位置に対応する位置にマーク71が九つ表示されている。そして、カメラ駆動制御装置32が位相差検出AF方式により焦点調節状態を検出しているとき、焦点検出しているフォーカスエリアに対応するマーク71aは、他のマーク71と異なる表示態様(表示色、表示記号の大きさ等)で表示される。
【0043】
また、コントラスト検出AF方式により焦点調節状態が検出されている場合にあっても、焦点検出しているフォーカスエリアに対応するマークをLCD35の画像表示領域331に表示することにしてもよい。このようにすることにより、LCD35の画像表示領域331に表示されたマーク71によってフォーカスエリアが示されている場合は位相差検出AF方式により焦点調節状態が検出されており、フォーカスエリアに対応するマークがLCD35の画像表示領域331内を動いている場合はコントラスト検出AF方式により焦点調節状態が検出されていることがユーザに報知できる。
【0044】
変形表示態様(4):実行中のAF方式に対応する音声をデジタルカメラ1に搭載された不図示のスピーカ等から音声出力する。不図示のスピーカ等から出力する音声はたとえばブザー音でよい。位相差検出AF方式により焦点調節状態を検出しているときと、コントラスト検出AF方式により焦点調節状態を検出しているときとで出力する音声を変えることが望ましい。また、焦点調節状態の検出中と、合焦完了後とで出力する音声を変更してもよい。
【0045】
上記の実施形態では、動画像撮像中におけるAF方式の切り替えについて説明した。しかし、AF方式を切り替え、実行中のAF方式に関する報知を行うのは、動画像撮像中だけに限定しない。たとえば、静止画像を撮像するときなどにも適用できる。
【0046】
以上で説明した各実施の形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。たとえば、発明の特徴が損なわれない範囲で各実施形態や各種変形例を任意に組み合わせて実行してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 デジタルカメラ
2 交換レンズ
3 カメラボディ
21a〜21c レンズ
22 絞り
23 レンズ駆動制御装置
31 撮像素子
32 カメラ駆動制御装置
33 メモリカード
34 LCDドライバ
35 LCD
36 接眼レンズ
331 画像表示領域
332 報知領域
G 撮像画面
G1〜G9 焦点検出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系と、
第1の焦点検出方式に基づき前記結像光学系の焦点調節状態を検出して第1の焦点検出信号を出力する第1の焦点検出手段と、
前記第1の焦点検出方式とは異なった第2の焦点検出方式に基づいて前記結像光学系の焦点調節状態を検出して第2の焦点検出信号を出力する第2の焦点検出手段と、
前記第1の焦点検出信号と前記第2の焦点検出信号との一方に基づき、前記結像光学系の焦点調節を行う焦点調節手段と、
前記焦点調節手段が前記第1の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは第1の報知を行い、前記焦点調節手段が前記第2の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは第2の報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする光学機器。
【請求項2】
請求項1に記載の光学機器において、
前記報知手段は、表示部材を有し、前記第2の報知は、前記第1の焦点検出信号に基づく前記焦点調節が行えない理由を前記表示部材に表示することを含むことを特徴とする光学機器。
【請求項3】
請求項2に記載の光学機器において、
前記第1の報知は、前記第2の焦点検出信号に基づく前記焦点調節が行えない理由を前記表示部材に表示することを含むことを特徴とする光学機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光学機器において、
前記第1の焦点検出手段は、前記結像光学系の異なった瞳部分を通った一対の光束をそれぞれ受光する第1および第2の受光素子アレイと、前記第1および第2の受光素子アレイの出力信号の位相差に基づき前記第1の焦点検出信号を出力する第1の焦点検出部とを有し、
前記第2の焦点検出手段は、前記結像光学系による光像を光電変換する第3の受光素子アレイと、前記第3の受光素子アレイの出力信号に基づいて前記光像のコントラストを表す前記第2の焦点検出信号を出力する第2の焦点検出部とを有することを特徴とする光学機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の光学機器において、
前記結像光学系は、絞りを有し、
前記焦点調節手段は、前記絞りの絞り値が所定値未満か否かを判定する判定手段を有し、前記判定手段が前記絞り値が所定値未満であると判定したときに前記第1の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行い、前記判定手段が前記絞り値が所定値以上であると判定したときに前記第2の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行い、
前記報知手段は、表示部材を有し、(1)前記判定手段が前記絞り値が所定値未満であると判定したときは前記第1の焦点検出信号に基づき前記結像光学系の焦点調節を行っていることを示す第1の表示を前記表示部材の第1の領域に行い、(2)前記判定手段が前記絞り値が所定値以上であると判定したときは、前記第2の焦点検出信号に基づき前記結像光学系の焦点調節を行っていることを示す第2の表示を前記表示部材の第2の領域に行い、前記第1の領域の近傍にある前記表示部材の第3の領域に前記絞り値を表示することを特徴とする光学機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学機器において、
前記報知手段は、前記焦点調節手段が前記第1の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは第1の音声を発音し、前記焦点調節手段が前記第2の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは前記第1の音声とは異なる第2の音声を発音することを特徴とする光学機器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の光学機器において、
前記報知手段は、発光部材を有し、前記焦点調節手段が前記第1の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは第1の発光態様で前記発光部材を発光させ、前記焦点調節手段が前記第2の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは第2の発光態様で前記発光部材を発光させることを特徴とする光学機器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の光学機器において、
撮像すべき被写体像を表示する観察部材をさらに備え、
前記報知手段は、前記焦点調節手段が前記第1の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは、前記第1の焦点検出手段が焦点検出しているフォーカスエリアを示す第1のマークを前記観察部材にさらに表示し、前記焦点調節手段が前記第2の焦点検出信号に基づき前記焦点調節を行っているときは、前記第2の焦点検出手段が焦点検出しているフォーカスエリアを示す第2のマークを前記観察部材にさらに表示することを特徴とする光学機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−220631(P2012−220631A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84625(P2011−84625)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】