説明

光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の製造方法

【課題】光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を、高収率かつ立体異性化を抑制しながら、安価に製造する方法の提供。
【解決手段】一般式(1)


(式中、R1は水酸基、無置換または置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、無置換または置換のベンジルオキシ基、ハロゲン原子を示し、R2は無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のベンジル基を示し、*印は不斉炭素であることを示す。)で表される光学活性プロリンエステル誘導体をアンモニアにより立体保持的にアミド化することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ基を遊離の状態とした光学活性プロリンエステル誘導体に対してアンモニアを直接作用させることで、立体保持的にアミド化反応を行うことを特徴とする光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の簡便かつ高収率な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
請求項に記載の光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を製造するアミド化方法としは、(1)が知られている。
【0003】
(1)N−保護光学活性プロリンエステル誘導体のエステル基を遊離のカルボン酸とした後に、遊離のカルボン酸を縮合剤で活性化したのちアンモニアと反応させる製造方法(非特許文献1)(特許文献1)。
【0004】
【化1】

の製造方法は、従来良く知られているカルボン酸類のアミド化方法を応用したものである。一般式(1)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体とする為には、さらにアミノ基の保護基を脱保護化する工程が必要である。この場合のアミノ基の脱保護化方法は、一般的に良く知られたアミノ基の脱保護化方法で実施可能である。
【0005】
特許文献1によれば、反応は2工程68%で進行し、立体保持的にアミド化できると報告されているが、以下のような問題点がある。
1)反応工程が多段階(3工程)である。
2)カルボン酸とアンモニアの縮合のために、例えばジ-tert-ブチル−ジカーボネートのような高価な試薬を必要とし、あるいは例えばクロロ炭酸エチルのような比較的高価で不安定な試薬を必要とする。
【0006】
よって(1)の製造方法では安価にかつ安定的に製造することは難しく、また製造に伴い縮合剤由来の廃棄物も多く発生するため、光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の製造方法としては工業的に十分に満足できるものとは言えない。
【0007】
また、N−保護光学活性プロリンエステル誘導体と類似な構造を有する誘導体に対して、直接アンモニアを用いるアミド化方法として、以下の(2)、(3)が知られている。
【0008】
(2)−保護プロリンエステル誘導体に対して直接アンモニアを作用させ製造方法(非特許文献2)(非特許文献3)。
【0009】
(3)N−保護プロリンエステル誘導体に対してアンモニアとエステル活性化剤を併用する製造方法(非特許文献3)。
【0010】
【化2】

【0011】
(2)の製造方法は、エステルのアミド化として一般的に用いられる方法であるが、エステル基の反応性が低い場合や、エステル基周辺の置換基の立体障害が大きい場合には低収率となる。例えば、非特許文献2の場合では収率55%と低収率であり、非特許文献3の例では収率39%にすぎない。
【0012】
(3)の製造方法は、(2)の製造方法に対してエステル活性化の目的で青酸塩を加えたものである。非特許文献3の例では青酸ナトリウムの添加によって収率が39%から96%に大幅に改善されたと報告されている。
【0013】
一方、我々は以前、(2)、(3)の製造方法を参考に請求項に記載の光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の製造方法を検討した。参考例1〜4に記載のように、アンモニアのみの反応では収率が5%以下と非常に低収率であり、加えてアミド化した化合物の8%が立体異性化していた。また、比較例5に記載のようにアンモニアに青酸カリウムを加えた場合には、反応収率が60%に向上したがアミド化した化合物の15%が立体異性化するという結果を得た。
【0014】
よって(2)、(3)の製造方法を参考に本特許請求項に記載の光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の製造方法に応用したとしても、収率の面から、また立体異性体が混入するなどの品質的な面からも多くの問題点を有しており、工業的に満足できる方法とは成り得ない。
【非特許文献1】Bioorg.Med.Chem.Lett.,15(23),5257−5261,2005
【特許文献1】WO2005/016880
【非特許文献2】Archiv.Der Pharmazie,332(4),111−114,1999
【非特許文献3】J.Org.Chem.,52,2033−2036,1987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を、工業的な観点から高収率かつ立体異性化を抑制しながら、安価に効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は鋭意検討した結果、アミノ基が遊離の光学活性プロリンエステル誘導体に対してアンモニアを直接反応させることによって、光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を高収率かつ立体異性化を抑制しながら安価に効率よく製造する方法を見出し、本発明を完成した。
本発明は、一般式(1)
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、R1は水酸基、無置換または置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、無置換または置換のベンジルオキシ基、ハロゲン原子を示し、R2は無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のベンジル基を示し、*印は不斉炭素であることを示す。)で表される光学活性プロリンエステル誘導体をアンモニアにより立体保持的にアミド化することを特徴とする一般式(2)
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、R1、*印は前記と同義である。)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体またはその酸塩の製造方法を提供する。
一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体が、一般式(3)
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、R1、R2、*印は前記と同義である。R3は無置換または置換のベンジル基、トリフルオロアセチル基、−CO−O−Xを示す。ただし、Xは無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のベンジル基、無置換または置換のフルオレニルメチル基を示す。)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3を脱保護することで製造される前記製造方法は本発明の好ましい態様である。
R1がフッ素原子である前記製造方法も本発明の好ましい態様である。
一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体に対して反応させるアンモニアの性状が、アルコール性アンモニア溶液である前記製造方法も本発明の好ましい態様である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光学活性プロリンエステル誘導体を原料とし、アンモニアなどの安価な試薬のみを用い、高収率かつ立体異性化を抑制しながら効率よく光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を製造することができる。本発明に記載の光学活性カルバモイルピロリジン誘導体は、医薬品、農薬、化粧品素材をはじめとする多方面で利用可能な化合物であり、本発明の工業的な効果は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)および一般式(2)において、R1中の「無置換または置換の炭素数1〜6のアルコキシ基」とは、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基またはアルキシキ基の任意の水素原子が置換基で置換された炭素数1〜6のアルコキシ基を意味する。炭素数1〜6のアルコシキ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ビニルオキシ基またはアリルオキシ基等を挙げることができる。また、炭素数1〜6のアルコキシ基の置換基としては、例えばメトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0025】
本発明の一般式(1)および一般式(2)において、R1中の「無置換または置換のベンジルオキシ基」とは、無置換のベンジルオキシ基またはベンジルオキシ基の任意の水素原子が置換基で置換されたベンジルオキシ基を意味する。ベンジルオキシ基の置換基としては、例えばアルキル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。また、ジフェニルメチルオキシ基、トリチルオキシ基、ジメトキシトリチルオキシ基等も「置換のベンジルオキシ基」の範疇である。
【0026】
本発明の一般式(1)および一般式(2)において、R1中のハロゲン原子とは、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等を挙げることができる。
【0027】
本発明の一般式(1)において、R2中の「無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基」とは、無置換の炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基の任意の水素原子が置換基で置換された炭素数1〜6のアルキル基を意味する。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基またはアリル基等を挙げることができる。また、炭素数1〜6のアルキル基の置換基としては、例えばメトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0028】
本発明の一般式(1)において、R2中の「無置換または置換のベンジル基」とは、無置換のベンジル基またはベンジル基の任意の水素原子が置換基で置換されたベンジル基を意味する。ベンジル基の置換基としては、例えばアルキル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。また、ジフェニルメチル基、トリチル基、ジメトキシトリチル基等も「置換のベンジル基」の範疇である。
【0029】
本発明の一般式(1)および一般式(2)において、「*印は不斉炭素であることを示す」とは、*印を付けた2位および4位の炭素原子が不斉炭素であることを意味する。
【0030】
【化6】

【0031】
本発明において、一般式(1)で表される「光学活性プロリンエステル誘導体」とは、4位の炭素原子にR1で表される光学活性な置換基を有し、光学活性なプロリンのアミノ基が遊離の状態かつ、カルボン酸がエステル化された化合物を意味する。より具体的には、2位および4位の炭素原子が不斉炭素であることから、[化7]に示したように4種の立体異性体を意味する。ただし、本発明における「光学活性プロリンエステル誘導体」とは、[化7]で示した4種の立体異性体の単独物を意味し、2%以上の立体異性体を含む混合物を意味しない。
【0032】
【化7】

【0033】
本発明において、「立体保持的にアミド化する」とは、[化7]に示した立体異性体の単独物を原料とした場合、生成物である一般式(2)で表される光学活性カルバモイルプロリン誘導体の立体配置が原料の立体対置に対して保持されることを意味する。より具体的には、(2S,4S)化合物からは(2S,4S)化合物が、(2R,4S)化合物からは(2R,4S)化合物が、(2S,4R)化合物からは(2S,4R)化合物が、(2R,4R)化合物からは(2R,4R)化合物が得られることを意味する。また、本発明において「立体保持的にアミド化する」という場合、アミド化反応による立体異性化率が2%以下であることを意味する。
【0034】
本発明において、一般式(2)で表される「光学活性カルバモイルピロリジン誘導体」とは、2位の炭素原子に光学活性なカルバモイル基を有し、4位の炭素原子にR1で表される光学活性な置換基有するピロリジン化合物を意味する。より具体的には、2位および4位の炭素原子が不斉炭素であることから、[化8]に示したように4種の立体異性体を意味する。ただし、本発明における「光学活性カルバモイルピロリジン誘導体」とは、[化8]で示した4種の立体異性体の単独物を意味し、2%以上の立体異性体を含む混合物を意味しない。
【0035】
【化8】

【0036】
本発明において、一般式(2)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩を挙げることができる。
【0037】
本発明の一般式(3)において、R1、R2および*印は一般式(1)中のR1、R2および*印と同様である。
【0038】
本発明の一般式(3)において、R3およびX中の「無置換または置換のベンジル基」、「無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基」は、一般式(1)における前記の説明と同様である。
【0039】
本発明の一般式(3)において、「無置換または置換のフルオレニルメチル基」とは、無置換のフルオレニルメチル基またはフルオレニルメチル基の任意の水素原子が置換基で置換されたフルオレニルメチル基を意味する。フルオレニルメチル基の置換基としては、例えばアルキル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0040】
本発明において、「N−保護光学活性プロリンエステル誘導体」とは、4位の炭素原子にR1で表される光学活性な置換基を有し、光学活性なプロリンのアミノ基が保護化されかつ、カルボン酸がエステル化された化合物を意味する。より具体的には、2位および4位の炭素原子が不斉炭素であることから、[化9]に示したように4種の立体異性体を意味する。ただし、本発明における「光学活性N−保護プロリンエステル誘導体」とは、[化9]で示した4種の立体異性体の単独物を意味し、2%以上の立体異性体を含む混合物を意味しない。
【0041】
本発明において、一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3の保護基を脱保護し、一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体を製造した場合、脱保護化反応は立体保持で進行する。またこの場合の「立体保持で反応が進行する」とは、脱保護化反応による立体異性化率が2%以下であることを意味する。
【0042】
【化9】

【0043】
本発明における「アルコール性アンモニア溶液」とは、アンモニアが溶解したアルコール溶液を意味する。使用可能なアルコールに特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等を挙げることができる。より好ましくは、メタノール、エタノール、2−プロパノールである。
【0044】
アルコールに対するアンモニア濃度は、反応が進行するならば特に制限はないが、好ましくは0.5Mから飽和濃度の範囲である。
【0045】
出発原料となる一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体の入手方法に関して説明する。
【0046】
一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体は、市販品を入手することができるか、あるいは4−ヒドロキシプロリンを原料とする公知の方法の組み合わせによって製造することができる。一例として、参考例1〜2に一般式(3)の範疇に含まれるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体の製造方法を記載する。その他の化合物に関しても、これら参考例と類似の方法によって製造可能である。
【0047】
一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体の製造方法に関して説明する。
【0048】
一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3保護基を脱保護することで、一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体を得ることができる。プロリンエステル誘導体のR3置換基の除去方法に関しては、以下のような方法を例示することができる。
【0049】
一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3保護基が、無置換または置換のベンジル基である場合、水素雰囲気下における触媒を用いた加水素化分解反応等により実施可能である。
【0050】
加水素化分解反応において用いることができる触媒に特に制限はないが、例えばパラジウム金属またはパラジウム金属を炭素あるいはアルミナ等に担持させたものを用いることができる。触媒活性を調整する目的で、硫酸バリウム等の添加剤を共存させることも可能である。
【0051】
反応における水素圧力に特に制限はないが、例えば常圧から2MPaの範囲を例示することができる。
【0052】
反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒 エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0053】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−20℃〜溶媒の沸点の温度範囲であり、より好ましくは、−10℃〜60℃の温度範囲である。
【0054】
一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3保護基が、トリフルオロアセチル基である場合、塩基性条件下または水素化ホウ素ナトリウム等を用いた還元的な除去方法が実施可能である。
【0055】
塩基性条件下における使用可能な塩基に特に制限はないが、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン等の有機塩基を挙げることができる。
【0056】
反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒 エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0057】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−20℃〜溶媒の沸点の温度範囲であり、より好ましくは、−10℃〜60℃の温度範囲である。
【0058】
一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3保護基が、−CO−O−Xであり、Xが無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基である場合、酸性条件下にて除去することが可能である。
【0059】
酸性条件下における使用可能な酸に特に制限はないが、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸を挙げることができる。
【0060】
酸の使用当量数に特に制限はないが、好ましくは一般式(1)または一般式(4)で表される光学活性プロリンエステル誘導体に対して1当量〜5当量の範囲である。
【0061】
反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒 エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0062】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−20℃〜溶媒の沸点の温度範囲である。
【0063】
反応終了後、一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体が酸との塩を形成した場合、必要に応じて酸との分離を実施する。一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体と酸との分離方法としては、塩基によって共存する酸を中和塩として析出させろ別する方法、塩基によって共存する酸を中和し水−有機溶媒の分液操作にて目的物を有機層に抽出する方法、イオン吸着樹脂を用いて酸を除去する方法等が挙げられる。
【0064】
一般式(3)で表されるN−保護プロリンエステル誘導体のR3保護基が、−CO−O−Xであり、Xが無置換または置換のベンジル基である場合、酸性条件下あるいは水素雰囲気下における触媒を用いた加水素化分解反応等により除去可能である。
【0065】
酸性条件下あるいは水素雰囲気下における触媒を用いた加水素化分解反応等の反応条件は前記の条件と同様である。
【0066】
一般式(3)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3置換基が、−CO−O−Xであり、Xが無置換または置換のフルオレニルメチル基である場合、例えばアミン塩基により除去可能である。
【0067】
アミン塩基に特に制限はないが、例えばピペリジン、モルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等を挙げることができる。
【0068】
アミン塩基の使用当量数に特に制限はないが、好ましくは一般式(1)または一般式(4)で表されるプロリンエステル誘導体に対して0.01当量〜5当量の範囲であり、より好ましくは0.1当量〜2当量の範囲である。
【0069】
反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒 エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0070】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−20℃〜溶媒の沸点の温度範囲である。
【0071】
一般式(2)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の製造方法に関して説明する。
【0072】
一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体に対してアンモニアを直接反応させることで、一般式(2)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を得ることができる。
【0073】
アンモニアは単独であるいは溶媒に溶解した状態で用いることができる。アンモニアを溶解する溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒 エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。好ましくは、水あるいはメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール溶媒であり、より好ましくは、メタノール、エタノール、2−プロパノールである。
【0074】
反応圧力は常圧〜任意の圧力下で実施可能であるが、アンモニアの揮発を抑制するためオートクレーブ中で実施しても良い。
【0075】
溶媒に対するアンモニア濃度に特に制限はないが、好ましくは0.5N〜飽和溶解度の範囲である。ただし、オートクレーブ中で実施した場合には常圧下での飽和溶解度より高濃度での実施も十分可能である。
【0076】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−20℃〜溶媒の沸点の温度範囲である。ただし、オートクレーブ中で実施した場合には常圧下での溶媒の沸点温度より高温での実施も十分可能である。
【0077】
また、アンモニアとの共存活性化剤は特に必要としないが、例えば青酸ナトリウム、青酸カリウム等の青酸塩等の添加により反応速度が向上する場合もあり、これらの共存活性化剤の添加も実施可能である。
【0078】
一般式(3)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の単離方法に特に制限はないが、例えば、反応液から直接結晶化によって単離する方法、または反応液を濃縮した後に、適切な溶媒を用いることで結晶化を行い単離する方法、あるいは反応液または反応液の濃縮物から蒸留操作によって単離する方法等を挙げることができる。
【0079】
一般式(2)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を酸塩とする場合は、対応する酸との混合によって製造することができる。用いることのできる酸としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩を挙げることができる。酸との混合比に特に制限はなく、必要に応じて希釈溶媒中で実施することも可能である。この場合、用いることのできる希釈溶媒に特に制限はない。
【0080】
一般式(2)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体の酸塩の単離方法に特に制限はない。例えば、直接結晶化によって単離する方法、希釈溶媒を濃縮留去し残渣として単離する方法等を挙げることができる。
【実施例】
【0081】
以下に、本発明の実施例、比較例、参考例を記載するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0082】
(実施例1) (2S,4S)−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジン(以下(2S,4S)−CFPと略す)の製造
【0083】
【化10】

【0084】
(2S,4S)−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(以下(2S,4S)−FPMと略す)(7.6g,立体異性体含有率0.3%)に3N−アンモニアメタノール溶液(87ml)を加え室温にて攪拌した。原料である(2S,4S)−FPMが24時間で完全に消費された。反応液を減圧濃縮し表題化合物を得た。
収量=6.5g
収率=95%
立体異性体含有率=0.6%
アミド化反応による立体異性化率=0.3%
H−NMR(DMSO−d6,400MHz) δ7.39(bs,1H),7.06(bs,1H),5.14(ddd,1H,J=4.0,4.0,55Hz),3.48(dd,1H,J=4.0,9.8Hz),3.08(dd,1H,J=12.7,22Hz),2.91(ddd,1H,J=4.0,12.7,35Hz),2.28−2.10(m,1H),2.05−1.93(m,1H)
原料である(2S,4S)−FPMに含まれる立体異性体の分析は以下の方法によった。
【0085】
[分析サンプル調整]
(2S,4S)−FPM(170mg)をメタノール(1.0g)に溶解し、ジ−tert-ブチルジカーボネート(300mg)およびトリエチルアミン(120mg)を加え、 (2S,4S)−N−tert-ブトキシカルボニル−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(以下(2S,4S)−BFPMと略す)に誘導化し、分析サンプルとした。
【0086】
[HPLC分析条件1]
使用カラム YMC−Pack ODS−AM, AM−312 (150×6.0mmI.D.)
溶離液 アセトニトリル/10mM NaH2PO4=40/60
流量 1ml/min
検出波長 紫外線210nm
カラム温度 40℃
保持時間 (2S,4S)−BFPM:10.4min
(2R,4S)−BFPM(2位の立体異性体):12.3min
アミド化後の(2S,4S)−CFPに含まれる立体異性体の分析は以下の方法によった。
【0087】
[分析サンプル調整]
(2S,4S)−CFP(132mg)をメタノール(1.0g)に溶解し、ジ−tert-ブチルジカーボネート(261mg)およびトリエチルアミン(120mg)を加え、 (2S,4S)−1−tert-ブトキシカルボニル−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジン(以下(2S,4S)−BCFPと略す)に誘導化し、分析サンプルとした。
【0088】
[HPLC分析条件2]
使用カラム YMC−Pack ODS−AM, AM−312 (150×6.0mmI.D.)
溶離液 アセトニトリル/10mM NaH2PO4=25/75
流量 1ml/min
検出波長 紫外線210nm
カラム温度 40℃
保持時間 (2S,4S)−BCFP:6.3min
(2R,4S)−BCFP(2位の立体異性体):6.9min
(2S,4S)−BFPM:34min
(2R,4S)−BFPM(2位の立体異性体):46min
【0089】
(実施例2) (2S,4S)−CFPの製造
【0090】
【化11】

【0091】
(2S,4S)−FPM(2.06g,立体異性体含有率0.3%)に7N−アンモニアメタノール溶液(10ml)を加え室温にて攪拌した。原料である(2S,4S)−FPMが48時間で完全に消費された。反応液を減圧濃縮し表題化合物を得た。
収量=1.81g
収率=98%
立体異性体含有率=0.4%
アミド化反応による立体異性化率=0.1%
H−NMRは、実施例1と同様であった。立体異性体含有率は、実施例1と同様に求めた。
【0092】
(実施例3) (2S,4S)−CFPの製造
【0093】
【化12】

【0094】
(2S,4S)−FPM(2.06g,立体異性体含有率0.3%)に7N−アンモニアメタノール溶液(20ml)を加え室温にて攪拌した。原料である(2S,4S)−FPMが24時間で完全に消費された。反応液を減圧濃縮し表題化合物を得た。
収量=1.83g
収率=99%
立体異性体含有率=0.4%
アミド化反応による立体異性化率=0.1%
H−NMRは、実施例1と同様であった。立体異性体含有率は、実施例1と同様に求めた。
【0095】
(実施例4) (2R,4S)−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジン(以下(2R,4S)−CFPと略す)の製造
【0096】
【化13】

【0097】
(2R,4S)−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(以下(2R,4S)−FPMと略す)(1.03g,立体異性体含有率=1.5%)に7N−アンモニアメタノール溶液(5.7ml)を加え室温にて48時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し表題化合物を得た。
収量=887mg
収率=96%
立体異性体含有率=1.8%
アミド化反応による立体異性化率=0.3%
立体異性体含有率は、実施例1と同様に求めた。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz) δ7.41(bs,1H),7.05(bs,1H),5.21(ddd,1H,J=4.0,4.0,55Hz),3.66(t,1H,J=8.3Hz),3.08−2.86(m,2H),2.21−2.13(m,1H),1.90−1.74(m,1H)
【0098】
(実施例5) (2R,4R)−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジン(以下(2R,4R)−CFPと略す)の製造
【0099】
【化14】

【0100】
(2R,4R)−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(以下(2R,4R)−FPMと略す)(1.03g,立体異性体含有率=0.3%)に7N−アンモニアメタノール溶液(10ml)を加え室温にて24時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し表題化合物を得た。
収量=878mg
収率=95%
立体異性体含有率=0.4%
アミド化反応による立体異性化率=0.1%
立体異性体含有率は、実施例1と同様に求めた。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz) δH−NMR(DMSO−d6,400MHz) δ7.39(bs,1H),7.06(bs,1H),5.14(ddd,1H,J=4.0,4.0,55Hz),3.48(dd,1H,J=4.0,9.8Hz),3.08(dd,1H,J=12.7,22Hz),2.91(ddd,1H,J=4.0,12.7,35Hz),2.28−2.10(m,1H),2.05−1.93(m,1H)
【0101】
(実施例6) (2S,4S)−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジン p-トルエンスルホン酸塩(以下(2S,4S)−CFPTと略す)の製造
【0102】
【化15】

【0103】
(2S,4S)−FPM(7.2g)に7N−アンモニアメタノール溶液(34.6ml)を加え室温にて48時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、メタノール(20g)を加え、再度減圧濃縮した。得られた固体状残渣にメタノール(20g)およびp-トルエンスルホン酸・一水和物(9.22g)を加え室温にて完全に溶解したのち、メタノール溶液からメタノールの80%を減圧濃縮によって留去した。得られたメタノール溶液に酢酸エチル(20g)を加え室温にて結晶化させた。析出した結晶をろ別し、酢酸エチル:メタノール=90:10溶液(5g)で洗浄したのち、40℃にて減圧乾燥を行い表題化合物を白色結晶として得た。
融点=190−193℃
収量=11.8g
収率=80%
立体異性体の含有なし。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz) δ9.21(bs,1H),7.99(s,1H),7.74(s,1H),7.49(d,2H,J=7.3Hz),7.13(d,2H,J=7.3Hz),5.40(ddd,1H,J=4.0,4.0,52Hz),4.34(ddd,1H,J=4.0,4,0,10.3Hz),3.59(dd,1H,J=13.6,19Hz),3.44(dd,1H,J=13.6,37Hz),2.71―2.54(m,1H),2.36−2.27(m,1H),2.29(s,3H)
(2S,4S)−CFPTに含まれる立体異性体の分析は以下の方法によった。
【0104】
[分析サンプル調整]
(2S,4S)−CFPT(152mg)をメタノール(1.0g)に溶解し、ジ−tert-ブチルジカーボネート(131mg)およびトリエチルアミン(60mg)を加え、 (2S,4S)−BCFPに誘導化し、分析サンプルとした。
実施例1に記載のHPLC分析条件2で分析した。
【0105】
(実施例7) (2S,4S)−CFPの製造
[反応1] (2S,4S)−FPMの製造
【0106】
【化16】

【0107】
(2S,4S)−N−ベンジル−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(以下(2S,4S)−BNFPMと略す)(2.74g、立体異性体含有率=1.0%)をメタノール(13.7g)に溶解し、反応容器内を窒素置換した。5%パラジウム−炭素(50%含水品)(60mg)を加えた後、反応容器内を常圧にて水素雰囲気下とし、室温にて2時間攪拌した。反応容器内を再び窒素置換し、触媒をろ別し、少量のメタノールで触媒を洗浄した。触媒洗浄液も含め表題化合物を含むメタノール溶液(7.25g)を得た。
収量=1.69g
収率=100%
立体異性体含有率=1.3%
反応による立体異性化率=0.3%
H−NMR(DMSO―d6,400MHz) δ5.16(ddd,1H,J=4.0,4.0,56Hz),3.73(dd,1H,J=5.9,9.8Hz),3.65(s,3H),3.16(dd,1H,J=13.2,22Hz),2.83(ddd,1H,J=3.9,13.2,33Hz),2.34−2.21(m,1H),2,12−1,98(m,1H)
反応収率および反応による立体異性体含有率は以下の方法によった。
【0108】
[分析サンプル調整]
[反応1]で得られたメタノール溶液の一部(0.725g)を分取し、ジ−tert-ブチルジカーボネート(300mg)およびトリエチルアミン(120mg)を加え、 (2S,4S)−N−tert-ブトキシカルボニル−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(以下(2S,4S)−BFPMと略す)に誘導化し、分析用サンプルとした。
実施例1に記載のHPLC分析条件1で分析した。
【0109】
[反応2] (2S,4S)−CFPの製造
【0110】
【化17】

【0111】
上記の[反応1]で得られた(2S,4S)−FPMのメタノール溶液(6.53g)((2S,4S)−FPMとして1.52gを含む)を減圧濃縮し、得られた残渣に3N−アンモニアメタノール溶液(17.3ml)を加え室温にて96時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、表題化合物を得た。
収量=1.30g
収率=95%
立体異性体含有率=1.4%
反応における立体異性化率=0.1%
H−NMRは、実施例1と同様であった。また、立体異性体の分析方法は、実施例1に記載のHPLC分析条件2を用いた。
【0112】
(実施例8) (2S,4S)−CFPTの製造
[反応1] (2S,4S)−FPMの製造
【0113】
【化18】

【0114】
(2S,4S)−BNFPM(11.5g,立体異性体含有率=1.0%)をメタノール(57.5g)に溶解し、反応容器内を窒素置換した。5%パラジウム−炭素(50%含水品)(0.4g)を加えた後、反応容器内を常圧にて水素雰囲気下とし、室温にて3時間攪拌した。反応容器内を再び窒素置換し、触媒をろ別し、少量のメタノールで触媒を洗浄した。触媒洗浄液も含め表題化合物を含むメタノール溶液を得た。
収率およびH−NMRは、実施例7に記載した値と同様であった。
【0115】
[反応2] (2S,4S)−CFPTの製造
【0116】
【化19】

【0117】
上記の[反応1]で得られた(2S,4S)−FPMのメタノール溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に7N−アンモニアメタノール溶液(34.6ml)を加え室温にて48時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、メタノール(20g)を加え、再度減圧濃縮した。得られた固体状残渣にメタノール(20g)およびp-トルエンスルホン酸・一水和物(9.22g)を加え室温にて完全に溶解した。上記のメタノール溶液からメタノールの80%を減圧濃縮によって留去し、得られたメタノール溶液に酢酸エチル(2Og)を加え室温にて結晶化を行った。析出した結晶をろ別し、酢酸エチル:メタノール=90:10溶液(5g)で洗浄したのち、40℃にて減圧乾燥を行い表題化合物を白色結晶として得た。
融点=190−193℃
収量=11.8g
収率=80%
立体異性体含有率=0.2%
H−NMRは、実施例6と同様であった。サンプル中の立体異性体含有率の決定は、実施例1に記載のHPLC分析条件2の方法を用いた。
【0118】
(実施例9) (2S,4S)−CFPTの製造
[反応1] (2S,4S)−FPMの製造
【0119】
【化20】

【0120】
(2S,4S)−N−ベンジルオキシカルボニル−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(以下(2S,4S)−BOFPMと略す)(2.81g,立体異性体含有率=0.1%以下)をメタノール(14g)に溶解し、反応容器内を窒素置換した。5%パラジウム−炭素(50%含水品)(0.28g)を加えた後、反応容器内を常圧にて水素雰囲気下とし、室温にて5時間攪拌した。反応容器内を再び窒素置換し、触媒をろ別し、少量のメタノールで触媒を洗浄した。触媒洗浄液も含め表題化合物を含むメタノール溶液を得た。
収量=1.47g
収率=100%
立体異性体含有率=0.3%
反応における立体異性化率=0.3%
H−NMRは実施例1の反応1と同様であった。また、反応収率および立体異性体含有率は、実施例1に記載のHPLC分析条件1により測定した。
【0121】
[反応2] (2S,4S)−CFPTの製造
【0122】
【化21】

【0123】
上記の[反応1]で得られた(2S,4S)−FPMのメタノール溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に7N−アンモニアメタノール溶液(14.3ml)を加え室温にて24時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、メタノール(10g)を加え、再度減圧濃縮した。得られた固体状残渣にメタノール(10g)およびp-トルエンスルホン酸・一水和物(1,9g)を加え室温にて完全に溶解した。上記のメタノール溶液からメタノールの80%を減圧濃縮によって留去し、得られたメタノール溶液に酢酸エチル(10g)を加え室温にて結晶化を行った。析出した結晶をろ別し、酢酸エチル:メタノール=90:10溶液(2g)で洗浄したのち、40℃にて減圧乾燥を行い表題化合物を白色結晶として得た。
融点=190−193℃
収量=2.41g
収率=83%
立体異性体の含有なし。
H−NMRは実施例6と同様であった。サンプル中の立体異性体含有率の決定は、実施例1に記載のHPLC分析条件2の方法を用いた。
【0124】
(実施例10) (2R,4S)−CFPTの製造
[反応1] (2R,4S)−FPMの製造
【0125】
【化22】

【0126】
(2R,4S)−N−ベンジル−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(2.37g,立体異性体含有率=1.0%)をメタノール(11.9g)に溶解し、反応容器内を窒素置換した。5%パラジウム−炭素(50%含水品)(60mg)を加えた後、反応容器内を常圧にて水素雰囲気下とし、室温にて2時間攪拌した。反応容器内を再び窒素置換し、触媒をろ別し、少量のメタノールで触媒を洗浄した。触媒洗浄液も含め表題化合物を含むメタノール溶液を得た。
収量=1.44g
収率=98%
立体異性体含有率=1.5%
H−NMR(DMSO−d6,400MHz) δ5.25(ddd,1H,J=4.0,4.0,55Hz),3.87(t,1H,J=7.8Hz),3.62(s,3H),3.05−2.90(m,2H),2.27−2.15(m,1H),2.08−1.92(m,1H)
反応収率および立体異性含有率の確認は、実施例1に記載のHPLC分析条件1の方法によった。
【0127】
[反応2] (2R,4S)−CFPの製造
【0128】
【化23】

【0129】
上記の[反応1]で得られた(2S,4S)−FPMのメタノール溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に7N−アンモニアメタノール溶液(14ml)を加え室温にて24時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、表題化合物を得た。
収量=1.25g
収率=95%
立体異性体含有率=1.6%
反応における立体異性化率=0.1%
H−NMRは実施例4と同様であった。サンプル中の立体異性体含有率の決定は、実施例1に記載のHPLC分析条件2の方法を用いた。
【0130】
(実施例11) (2R,4R)−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジン p-トルエンスルホン酸塩(以下(2R,4R)−CFPTと略す)の製造
[反応1] (2R,4R)−FPMの製造
【0131】
【化24】

【0132】
(2R,4R)−N−ベンジルオキシカルボニル−4−フルオロ−L−プロリン メチルエステル(2.81g,立体異性体含有率=0.1%以下)をメタノール(14g)に溶解し、反応容器内を窒素置換した。5%パラジウム−炭素(50%含水品)(0.28g)を加えた後、反応容器内を常圧にて水素雰囲気下とし、室温にて5時間攪拌した。反応容器内を再び窒素置換し、触媒をろ別し、少量のメタノールで触媒を洗浄した。触媒洗浄液も含め表題化合物を含むメタノール溶液を得た。
収量=1.40g
収率=95%
立体異性体含有率=0.3%
反応における立体異性化率=0.3%
H−NMRは、実施例5と同様であった。また、反応収率および立体異性体含有率の確認は、実施例1に記載のHPLC分析条件1で分析した。
【0133】
[反応2] (2R,4R)−CFPTの製造
【0134】
【化25】

【0135】
上記の[反応1]で得られた(2R,4R)−FPMのメタノール溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に7N−アンモニアメタノール溶液(13.6ml)を加え室温にて24時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、メタノール(10g)を加え、再度減圧濃縮した。得られた固体状残渣にメタノール(10g)およびp-トルエンスルホン酸・一水和物(1,9g)を加え室温にて完全に溶解した。上記のメタノール溶液からメタノールの80%を減圧濃縮によって留去し、得られたメタノール溶液に酢酸エチル(10g)を加え室温にて結晶化を行った。析出した結晶をろ別し、酢酸エチル:メタノール=90:10溶液(2g)で洗浄したのち、40℃にて減圧乾燥を行い表題化合物を白色結晶として得た。
融点=189−191℃
収量=2.37g
収率=82%
立体異性体の含有なし。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz) δ9.21(bs,1H),7.99(s,1H),7.74(s,1H),7.49(d,2H,J=7.3Hz),7.13(d,2H,J=7.3Hz),5.40(ddd,1H,J=4.0,4.0,52Hz),4.34(ddd,1H,J=4.0,4,0,10.3Hz),3.59(dd,1H,J=13.6,19Hz),3.44(dd,1H,J=13.6,37Hz),2.71―2.54(m,1H),2.36−2.27(m,1H),2.29(s,3H)
立体異性体含有率の確認は、実施例1に記載のHPLC分析条件2で分析した。
【0136】
(実施例12) (2S,4S)−CFPTの製造
[反応1] (2S,4S)−FPMの製造
【0137】
【化26】

【0138】
(2S,4S)−BFPM(7.5g,立体異性体含有率=0.1%以下)にお4N塩酸−酢酸エチル溶液(24g)を加え、室温で12時間攪拌した。反応終了後、有機溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチル(10g)を加えて共沸した。得られた濃縮残渣に7N−アンモニアメタノール溶液(45ml)を加え、室温にて12時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチル(25g)、p−トルエンスルホン酸・一水和物(6.33g)およびイソプロパノール(5g)を加え室温にて攪拌した。生成した結晶をろ別し、洗浄後、減圧乾燥して表題化合物を白色結晶として得た。
融点=190−193℃
収量=9.31g
収率=100%
立体異性体の含有なし。
H−NMRは実施例6と同様であった。サンプル中の立体異性体含有率の決定は、実施例1に記載のHPLC分析条件2の方法を用いた。
【0139】
(実施例13) (2S,4S)−CFPTの製造
[反応1] (2S,4S)−FPMの製造
【0140】
【化27】

【0141】
(2S,4S)−BFPM(6.15g,立体異性体含有率=0.1%以下)にメタノール(30g)および強酸性イオン交換樹脂(MDS1358 Hform 20g)を加え、60℃で8時間攪拌した。反応終了後、7N−アンモニアメタノール溶液(40ml)を加え室温にて攪拌後、イオン交換樹脂をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。再び7N−アンモニアメタノール溶液(40ml)を加え、室温にて12時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチル(25g)、p−トルエンスルホン酸・一水和物(5.2g)およびイソプロパノール(5g)を加え室温にて攪拌した。生成した結晶をろ別し洗浄後、減圧乾燥して表題化合物を白色結晶として得た。
融点=190−193℃
収量=5.85g
収率=77%
立体異性体の含有なし。
H−NMRは実施例6と同様であった。サンプル中の立体異性体含有率の決定は、実施例1に記載のHPLC分析条件2の方法を用いた。
【0142】
(比較例1) (2S,4S)−BCFPの製造
【0143】
【化28】

【0144】
(2S,4S)−BFPM(2.45g)に、7N−アンモニアメタノール溶液(14.3ml)を加え、室温にて24時間攪拌を行った。実施例1のHPLC分析条件2で反応液を分析し、表題化合物の生成は1%以下であった。反応液からは原料を回収した。
【0145】
(比較例2) (2S,4S)−BCFPの製造
【0146】
【化29】

【0147】
(2S,4S)−BFPM(2.45g)に、7N−アンモニアメタノール溶液(14.3ml)を加え、オートクレーブを用い100℃にて6時間攪拌を行った。100℃における反応容器内の圧力は0.45MPaであった。実施例1のHPLC分析条件2で反応液を分析し、アミド化された化合物[(2S,4S)−BCFP+(2R,4S)−BCFP]が5%で得られることを確認した。アミド化された化合物中の立体異性体含有率は、8%であった。
【0148】
(比較例3) (2S,4S)−1−ベンジルオキシカルボニル−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジンの製造
【0149】
【化30】

【0150】
(2S,4S)−CFPM(2.99g)に、7N−アンモニアメタノール溶液(14.3ml)を加え、室温にて24時間攪拌を行った。反応液からは原料を回収のみであり、生成物を確認することはできなかった。
【0151】
(比較例4) (2S,4S)−1−ベンジル−2−カルバモイル−4−フルオロピロリジン(以下(2S,4S)−BNCFPと略す)の製造
【0152】
【化31】

【0153】
(2S,4S)−BNFPM(2.37g)に、7N−アンモニアメタノール溶液(14.3ml)を加え、室温にて24時間攪拌を行った。反応液からは原料を回収のみであり、生成物を確認することはできなかった。
【0154】
(比較例5) (2S,4S)−BCFPの製造
【0155】
【化32】

【0156】
(2S,4S)−BFPM(2.45g)に、7N−アンモニアメタノール溶液(14.3ml)およびKCN(65mg)を加え、オートクレーブを用い100℃にて6時間攪拌を行った。100℃における反応容器内の圧力は0.45MPaであった。実施例1のHPLC分析条件2で反応液を分析し、アミド化された化合物[(2S,4S)−BCFP+(2R,4S)−BCFP]が60%で得られることを確認した。アミド化された化合物中の立体異性体含有率は、15%であった。
【0157】
(参考例1) (2S,4R)−N−ベンジルオキシカルボニル−4−ヒドロキシ−L−プロリン メチルエステル(以下(2S,4R)−BOHPMと略す)の製造
【0158】
【化33】

【0159】
trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(6.62g)をメタノール(33.1g)に懸濁し、15℃以下で塩化チオニル(6.4g)を滴下した。室温で12時間攪拌し、続いてメタノールを減圧濃縮した。残渣をメタノール(33.1g)に再溶解し、15℃以下でトリエチルアミン(8.18g)を加えた。クロロ炭酸ベンジル(9.48g)を15℃以下で滴下し、そのまま2時間攪拌した。メタノールを減圧留去し、残渣にトルエン(33.1g)および水(13.2g)を加えて攪拌溶解した。有機層を分取し、水(13.2g)で洗浄したのち、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧濃縮することで、表題化合物を無色透明シロップとして得た。
収量=13.8g
収率=98%
1H−N.M.R.(CDCl3,400MHz) δ=7.36−7.18(m,5H),5.19(d,1H,J=12.2Hz),5.20−5.10(m,1H),5.00(d,1H,J=12.2Hz),4.53−4.47(m,2H),3.75,3.54(2S,3H),3.65−3.60(m,2H),2.40−2.20(m,1H),2.12−2.05(m,1H)
【0160】
(参考例2) (2S,4S)−BOFPMの製造
【0161】
【化34】

【0162】
2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(8.08g)をトルエン(13.8g)に溶解し、参考例1で製造した(2S,4R)−BOHPM(13.8g)のトルエン(27.6g)溶液を、75℃で滴下し、滴下終了後、75℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却したのち、炭酸カリウム(6.44g)を水(15g)に溶解した水溶液中に15℃以下で滴下した。トルエン層を分取し、水(15g)で洗浄後、トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(150g,ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1→1:1)で精製し、表題化合物を無色透明シロップとして得た。
収量=11.6g
収率=83%
1H−N.M.R.(CDCl3,400MHz) δ=7.38−7.32(m,5H),5.28−5.09(m,3H),4.58(dd,1H,J=9.8,30Hz),3.91−3.65(m,2H),3.76,3.65(2S,3H),2.54(t,1H,J=14.6Hz),2.45−2.25(m,1H)
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明によれば、アンモニア等の工業的スケールで入手容易な安価原料を利用し、高収率で安価にかつ立体異性化を抑制しながら高品質な光学活性カルバモイルピロリジン誘導体を製造することができる。よって本発明は、医薬品、農薬、化粧品素材等をはじめとする機能製品に対して、工業的な観点から極めて効率的な新規な製造方法を提供するものであり、その有用性は非常に高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、R1は水酸基、無置換または置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、無置換または置換のベンジルオキシ基、ハロゲン原子を示し、R2は無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のベンジル基を示し、*印は不斉炭素であることを示す。)で表される光学活性プロリンエステル誘導体をアンモニアにより立体保持的にアミド化することを特徴とする一般式(2)
【化2】

(式中、R1、*印は前記と同義である。)で表される光学活性カルバモイルピロリジン誘導体またはその酸塩の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体が、一般式(3)
【化3】

(式中、R1、R2、*印は前記と同義である。R3は無置換または置換のベンジル基、トリフルオロアセチル基、−CO−O−Xを示す。ただし、Xは無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のベンジル基、無置換または置換のフルオレニルメチル基を示す。)で表されるN−保護光学活性プロリンエステル誘導体のR3を脱保護することで製造される請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
R1がフッ素原子である請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
一般式(1)で表される光学活性プロリンエステル誘導体に対して反応させるアンモニアの性状が、アルコール性アンモニア溶液である請求項1、2または3記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−231022(P2008−231022A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72463(P2007−72463)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】