説明

光学活性(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン及び(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン化合物の調製の方法

本発明は、それぞれ2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン及び2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリンの鏡像異性体の混合物の光学分割に基づく光学活性(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン及び(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン化合物の調製の新規方法を記述する。この方法は、(a)前記化合物の鏡像異性体の混合物を光学活性有機酸と反応させて、ジアステレオマー塩を生成させ、結晶化により塩を分離することを含む。前記化合物は、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の調製に有用である。ロチゴチンは、ドーパミン作動薬であり、パーキンソン病の治療に適応される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性酸によるジアステレオマー塩の生成による光学分割を用いるそれぞれ2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン(II)及び2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(III)の鏡像異性体の混合物からの高度な光学純度を有する光学的に活性な(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン化合物(以下でS−(II)と称する)及び(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(以下でS−(III)と称する)の調製の方法に関する。
【化1】

【0002】
中間化合物S−(II)及びS−(III)は、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の調製に有用である。
【背景技術】
【0003】
米国特許第4564628号は、ドーパミン作動活性を示すアミノテトラリンのアルキル誘導体を記載している。これらの化合物のうち、以下の(I)が発見されている。
【化2】

【0004】
結果が米国特許第4657925号に記載されているその後の試験で、以下でS−(I)と称する鏡像異性体(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトールのドーパミン作用が鏡像異性体(6R)−(+)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトールのドーパミン作用より最大で140倍高いことが示されている。
【0005】
米国特許第4885308号は、パーキンソン病の治療のためのロチゴチンとして公知の有効成分であるS−(I)の使用を記載している。
【0006】
したがって、R−(I)鏡像異性体を含まない、光学的に純粋なS−(I)鏡像異性体を調製する方法の必要性がある。
【0007】
S−(I)の調製のこれまでに記載された方法は、中間化合物(S)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン、すなわち(S)−(II)の調製に基づいている。
【0008】
米国特許第4657925号は、対応するラセミ混合物の分割による(S)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン(S−(II))の調製を開示している。しかし、分割方法に関する詳細は示されていない。
【0009】
Hoeveら、J.Org.Chem.、1985年、50巻、4508〜4515頁は、キラル(R)−(+)−4−(2−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−2−ヒドロキシ−1,3,2−ジオキサホスホリナノ−2−オキシドリン酸をラセミ分割用の試薬として用いることによるラセミ混合物の光学分割によるS−(II)の調製を記載している。この方法は、前記試薬の調製を必要とし、さらには光学分割ステップを必要とするので、費用がかかり、長時間を要する。
【0010】
Seilerら、J.Med.Chem.、1986年、29巻、912〜917頁は、ベンジルアミンによる5−メトキシテトラロンの還元的アミノ化、(S)−鏡像異性体に富む(−)−マンデル酸のジアステレオマー塩の結晶化、エーテル中での6回の連続再結晶化によるこの塩の光学的精製及び最後に塩基としてのアミンの遊離による、その調製がMcDermedら、J.Med.Chem.、1976年、19巻、4号、547〜549頁により記載されている化合物である(S)−(−)−2−(N−ベンジルアミノ)−5−メトキシテトラリンのプロピル化及びその後の脱ベンジル化によるS−(II)の調製を記載している。この方法は、その産業上の適用においては多大な時間を要し、費用がかかる。
【0011】
米国特許第4968837号は、当発明の著者らの経験によれば、ジアステレオマー塩の連続精製の後でさえも、この方法を適用することによって高い光学純度を達成することはできないが、L−(−)−ジベンゾイル酒石酸を用いることによるその鏡像異性体中の中間化合物(II)の分割を記載している。
【0012】
上に提示したように、これまでに述べたS−(II)、したがって、S−(I)の調製方法のいずれもその産業上の適用において十分なものでないと思われる。したがって、ロチゴチン、すなわちS−(I)の調製の産業上適用できる代替の方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、薬剤としてのその使用を可能にする高い光学純度を有する化合物(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール、すなわちS−(I)の調製のための産業レベルで適用することができる代替方法を提供する問題に直面している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明で提供する解決策は、発明者らがいくつかの光学活性有機酸が(II)、R−(II)及びS−(II)鏡像異性体並びに(III)、R−(III)及びS−(III)鏡像異性体とともに反応媒体中で異なる溶解度のジアステレオマー塩を形成することができ、これにより、結晶化によるそれらの分離が可能となることを観察したという事実に基づいている。反応媒体中又は適切な溶媒中でこれらのジアステレオマー塩の混合物を結晶化させることにより、それらの溶解度が異なるため、生成した結晶は、S−(I)の調製用の有用な中間化合物であるS−(II)及びS−(III)鏡像異性体のジアステレオマー塩に富む。ジアステレオマー塩の分離及び精製並びにそれらのその後の遊離により、高度の光学純度を有するこれらの中間体が得られる。
【0015】
本発明の方法は、対応するジアステレオマー塩の連続再結晶化又は再懸濁により、99%と同様又はより高い、好ましくは99.9%より高い光学純度を有する中間化合物S−(II)及びS−(III)を得ることを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
それらのラセミ体の化合物(II)及び(III)は、文献に記載されている方法のいずれかにより、例えば、Hacksellら、J.Med.Chem.、1979年、22巻(12号)、1469〜1475頁により述べられている方法により、(II)を得るための1−プロピルアミンによる5−メトキシ−2−テトラロンの還元的アミノ化及び(III)を得るための48%HBrによるフェノール基のその後の脱保護により調製することができる。
【0017】
本発明の目的である中間化合物S−(II)及びS−(III)の調製のための合成経路をスキーム1に示す。
【化3】

【0018】
本発明で提供するS−(II)鏡像異性体の調製の方法は、適切な溶媒中で(+)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシン酸により(II)鏡像異性体の混合物を処理することによる光学分割によって実施する。得られた塩を必要に応じて何度でも再結晶化又は再懸濁して、所望の光学純度を得ることができる。その後、生成した塩からアミンを遊離させ、S−(II)を遊離塩基として得ることができる。
【0019】
本発明で提供するS−(III)鏡像異性体の調製の方法は、適切な溶媒中で(−)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシン酸により(III)鏡像異性体の混合物を処理することによる光学分割によって実施する。得られた塩を必要に応じて何度でも再結晶化又は再懸濁して、所望の光学純度を得ることができる。その後、生成した塩からアミンを遊離させ、S−(III)を遊離塩基として得ることができる。
【0020】
これらのジアステレオマー塩の沈殿及びその後の再結晶化又は再懸濁は、水、アルコール、ニトリル又はそれらの混合物などの適切な溶媒中で行うことができる。特定の実施形態において、この溶媒は、アセトニトリルと水との混合物である。
【0021】
加えるべき光学活性有機酸の割合は、出発アミンに対して約0.5〜約1.2当量、好ましくは約0.6〜1であってよい。
【0022】
前記中間化合物S−(II)及びS−(III)とそれぞれ以下の構造(V)及び(VI)による(−)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシン及び(+)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシン酸との塩を提供することも本発明の目的である。
【化4】

【0023】
このようにして得られた化合物S−(I)及びS−(III)のスキーム2
【化5】


[スキーム中、Xは、塩素又は臭素などのハロゲン、メシレート、ノシレート又はトシレートなどのスルホネート等から選択される適切な脱離基である。]によるロチゴチン、すなわちS−(I)の調製における中間体としての使用を提供することは、同様に本発明の目的である。
【0024】
同様に、ロチゴチン、すなわちS−(I)の調製における中間化合物としての(V)及び(VI)塩の使用を提供することは、本発明の目的である。
【0025】
以下の実施例は、本発明を例示するためにさらに示すものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0026】
(例1)
(+)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシンを用いた光学分割によるラセミ混合物からの(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン、すなわち(S)−(II)の調製
10gの(II)を120mLのアセトニトリル−水混合物(60:40)に溶解した。次いで、9.4g(0.6当量)の(+)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシンを加えた。混合物を溶解するまで加熱した。混合物を徐々に冷却した後、最初に濁りが出現し、次に固体沈殿物が出現した。混合物を0〜5℃で2時間放置した。懸濁液を濾別し、得られた固体をオーブンで乾燥した。
【0027】
9.8gの塩(収率38%)が得られた。得られた生成物をHPLCにより分析したところ、83:17のS−(II)/R−(II)鏡像異性体比が示された。
【0028】
固体を10倍容積のアセトニトリル−水混合物(80:20)中で連続的に再結晶化し、加熱して還流し、次いで、0〜5℃に冷却した。3回再結晶化した後、3.8g(総収率15%)の塩(V)が得られ、キラルHPLCにより、99.5%より高い(S)−鏡像異性体比が示された。
【0029】
融点(DSCピーク):220.27℃
【0030】
IR(cm−1、KBr):3423、2955、2838、1664、1621、1585、1542、1345、731、705
【0031】
【化6】

【0032】
乾燥した精製塩をトルエン(20mL)と5%KCO(60mL)との混合物中に撹拌下で懸濁し、完全に溶解するまで60℃に加熱した。層を分離し、有機層を5%KCO(15mL)で、続いて水(8mL)で洗浄した。溶媒が完全に除去されるまで、有機層を濃縮した。1.44gのS−(II)が油として得られた(収率98%)。
【0033】
IR(cm−1、NaCl):2955、2930、2834、1586、1469、1438、1260、1095、766
【0034】
【化7】

【0035】
得られた生成物の旋光能は、[α]20:−73.49(メタノール中c=1)であった。米国特許第4968837号に−65、Seiler,M.P.ら、J.Med.Chem.1986年、29巻(6号)、912〜917頁に−72.7(メタノール中c=1)と記載されている。
【0036】
(例2)
(−)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシンを用いた光学分割によるラセミ混合物からの(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン、すなわち(S)−(III)の調製
160mLのアセトニトリル−水混合物(70:30)中10gの(III)及び11.7g(0.7当量)の(−)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシンの懸濁液を溶解するまで加熱した。形成された溶液を徐々に冷却したところ、最初に濁りが出現し、次に固体沈殿物が出現した。混合物を0〜5℃で2時間放置した。懸濁液を濾別し、得られた固体を乾燥した。
【0037】
11.2gの塩(収率42%)が得られた。得られた生成物をHPLCにより分析したところ、91:9のS−(III)/R−(III)鏡像異性体比が示された。
【0038】
固体を10倍容積のアセトニトリル−水混合物(80:20)中で連続的に再結晶化し、加熱して還流し、次いで、0〜5℃に冷却した。2回再結晶化した後、6.0g(総収率24%)の塩(VI)が得られ、キラルHPLCにより、99.9%より高い(S)−鏡像異性体比が示された。
【0039】
IR(cm−1、KBr):3450、3032、2972、2854、1652、1621、1539、1467、1376、1275、729
【0040】
【化8】

【0041】
乾燥した精製塩をトルエン(20mL)と5%KCO(60mL)との混合物中に撹拌下で懸濁し、完全に溶解するまで60℃に加熱した。層を分離し、有機層を5%KCO(15mL)で、続いて水(8mL)で洗浄した。溶媒が完全に除去されるまで、有機層を濃縮した。1.8gのS−(III)が固体として得られた(収率98%)。
【0042】
融点(DSCピーク):88.3℃
【0043】
IR(cm−1、KBr):3532、3269、2923、2854、1585、1464、1281、773
【0044】
【化9】

【0045】
旋光能[α]20:−74.89(メタノール中c=1)。Seiler,M.P.ら、J.Med.Chem.1986年、29巻(6号)、912〜917頁に−75と記載されている。
【0046】
(例3)
(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン(S−(II))からの(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(S−(III))の調製
例1により得られた10gの(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン((S)−(II))を40mLの48%HBr及び20mLの酢酸と混合した。得られた混合物を3時間還流した。この期間中、固体の沈殿が始まった。懸濁液を0〜5℃に徐々に冷却し、30mLの水を加えた。反応混合物を濾別し、11.7g(収率90%)の(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン臭化水素酸塩(bromhydrate)を得た。この固体を110mLの水に懸濁し、懸濁液を40℃に加熱した。pHが12.5となるまで10M NaOHを加えたところ、混合物は溶液になった。後に、6M HClで混合物をpH9〜9.5に酸性化したところ、固体の沈殿が発生した。混合物を0〜5℃に徐々に冷却し、濾別した。7.5gの(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(S−(III))が得られた(収率90%)。
【0047】
融点(DSCピーク):88.25℃
【0048】
旋光能[α]20:−74.95(メタノール中c=1)
【0049】
(例4)
(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(S−(III))からの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(S−(I))の調製
実施例2により得られた10gの(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(S−(III))を80mLのアセトニトリル中で9gのNaHCO(2.2当量)及び16gの2−(2−チエニル)エタノール 2−ニトロベンゼンスルホネート(1.05当量)と混合した。混合物を9時間還流し、次いで冷却し、懸濁した塩の除去のために濾過した。60mLの水を濾液に加え、アセトニトリルの除去のために蒸留により濃縮した。40mLのトルエンを加え、層を分離した。有機層を10%NaHCOで2回洗浄した。次いで、50mLの水及びHPOをpH1〜2まで加えた。層分離の後、水性酸層を30%KCOでpH7〜7.5に中和し、20mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を10mLの水で洗浄し、溶媒からの蒸留により濃縮して、10gの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(S−(I))を白色固体として得た(収率70%)。
【0050】
融点(DSCピーク):78.94℃
【0051】
IR(cm−1、KBr):3500、3098、3065、2969、2932、1585、1465、1281、775、701
【0052】
【化10】

【0053】
(例5)
(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン(S−(II))からの(S)−2−(N−n−プロピル−N−2−チエニルエチルアミノ)−5−メトキシテトラリン臭化水素酸塩(bromhydrate)(S−(IV).HBr)の調製
例1により得られた10gの(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン((S)−(II))を60mLのアセトニトリル中で13.8gのKCO(2.2当量)及び15gの2−(2−チエニル)エタノール 2−ニトロベンゼンスルホネート(1.05当量)と混合した。混合物を9時間還流し、次いで、室温に冷却した。80mLの水を加え、アセトニトリルからの蒸留により濃縮した。40mLのトルエンを加え、層を分離した。二相混合物を60℃で加熱することにより、有機層を40mLの5%NaHCOで2回洗浄し、最後に水で洗浄した。次いで、有機層に40mLの水及びHPO(pH1〜2まで)を加えた。層分離の後、水性の酸層をNaOH 10MでpH=11に塩基化し、30mLのトルエンで抽出した。有機層を20mLの水で洗浄し、油状生成物が得られるまで蒸留により濃縮した。生成物を、酢酸エチルに再溶解し、HBr/AcOHを加えることによって、その臭化水素酸塩に変換した。生成した固体を濾過により回収し、乾燥した。15.3gの(S)−2−(N−n−プロピル−N−2−チエニルエチルアミノ)−5−メトキシテトラリン臭化水素酸塩(bromhydrate)(S−(IV).HBr)が白色固体として得られた(収率82%)。
【0054】
融点(DSCピーク):142.59℃
【0055】
IR(cm−1、KBr):2933、2623、2546、1587、1469、1438、1258、1093、772
【0056】
【化11】

【0057】
(例6)
(S)−2−(N−n−プロピル−N−2−チエニルエチルアミノ)−5−メトキシテトラリン臭化水素酸塩(bromhydrate)(S−(IV).HBr)からの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(S−(I))の調製
10gの(S)−2−(N−n−プロピル−N−2−チエニルエチルアミノ)−5−メトキシテトラリン臭化水素酸塩(bromhydrate)(S−(IV).HBr)を50mLのジクロロメタンに室温で溶解した。混合物を0〜5℃より低い温度に冷却した。55mLのジクロロメタン中BBr溶液(5当量)を1滴ずつ加え、混合物を撹拌下で0〜5℃に6時間保持した。60mLの水を反応混合物に加えた。白色固体が沈殿し、これを濾過により回収した。湿った固体を20mLの水及び40mLの酢酸エチルに室温で懸濁した。混合物を30%KCOでpH=7〜7.5に塩基性化した。層を分離し、水層を20mLの酢酸エチルで抽出し、これを前の有機層と合わせた。有機層を10mLの水で洗浄し、蒸留により濃縮した。6.9gの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(S−(I))が白色固体として得られた(収率90%)。
【0058】
融点(DSCピーク):78.37℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ式S−(II)及びS−(III)
【化1】


を有する光学活性(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン及び(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン化合物の調製の方法であって、
N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシンの光学活性体による
対応する化合物(II)及び(III)
【化2】


の光学分割を含む上記方法。
【請求項2】
光学活性S−(II)化合物の調製が(+)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシンによる対応する化合物(II)の光学分割を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光学活性S−(III)化合物の調製が(−)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシンによる対応する化合物(III)の光学分割を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(V)
【化3】


の(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリン(S−(II))と(+)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシン酸との間で形成される塩。
【請求項5】
式(VI)
【化4】


の(S)−(−)−2−(N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(S−(III))と(−)−N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシン酸との間で形成される塩。
【請求項6】
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の調製における中間体としての請求項2に記載の方法により得られる光学活性S−(II)化合物の使用。
【請求項7】
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の調製における中間体としての請求項3に記載の方法により得られる光学活性S−(III)化合物の使用。
【請求項8】
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の調製における中間体としての請求項4に記載の式(V)の塩の使用。
【請求項9】
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の調製における中間体としての請求項5に記載の式(VI)の塩の使用。

【公表番号】特表2012−505183(P2012−505183A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530500(P2011−530500)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063207
【国際公開番号】WO2010/043571
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508036488)インテルキム、ソシエダッド アノニマ (6)
【Fターム(参考)】