説明

光学的なイメージング用のTm2+を含有する発光性の物質を含む造影剤

当該発明は、光学的なイメージングのための造影剤に関係する。当該発明の造影剤は、発光性の物質を含むが、それにおいては、発光性の物質は、Tm2+を含む。さらには、本発明は、光学的なイメージングのための造影剤における発光性の物質としてのTm2+を含有する材料の使用を参照する。当該発明は、また、組織の光学的なイメージングの方法に関係するが、その方法は、(a)組織とTm2+を含有する造影剤の有効な量を接触させること、(b)200nm及び800nmの間の波長の範囲における電磁放射へ組織を露出させること、(c)電磁放射へ露出させられた組織によって放出されたいずれの発光信号をも検出すること、並びに(d)イメージへと、検出された発光信号を処理すること、のステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的なイメージングの分野に関係する。当該発明は、生体内において及び試験管内において細胞、組織、及び器官をイメージングするための新しい造影剤を提供する。特に、発光性の物質を含有する造影剤は、光学的なイメージング技術によって組織のイメージングを改善するために提供される。
【背景技術】
【0002】
医学のイメージング技術は、ここ数年間でますます重要なものになってきた。重要なイメージングの技術は、例えば、陽電子射出断層撮影法(PET)、単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)、核磁気共鳴映像法(MRI)、及びコンピューター断層撮影法(CT)を包含する。全てのこれらの技術は、用いられた設備に関する顕著な複雑さによって特徴付けられる。対応する装置の莫大な購入原価の他に、高いランニングコストは、患者の検査当たりの費用を負に影響する。その上、得られたイメージングデータの分析又は評価は、複雑なものであると共に、専門家によって行われることができるのみである。
【0003】
対照的に、光学的なイメージングの技術は、上述の技術に対して比較した際に、顕著にあまり技術的な及び個人的な努力を伴うものではない。従って、例.組織の解剖のアセスメントのための、又は、器官若しくは代謝の及び分子の機能をイメージングするための、光学的なイメージングの技術は、主要な関心のあることであると共に莫大な努力が光学的なイメージングの質を改善するためになされてきた。
【0004】
用語“光学的なイメージング”は、光、好ましくは紫外の(UV)スペクトル領域、可視の(VIS)スペクトル領域、及び/又は近赤外の(NIR)スペクトル領域において放出する光源が、組織、細胞、又は器官を特性決定する又はイメージングするために使用されるところのイメージングの技術を包括する。例.組織、との光子の相互作用は、光の吸収、光の散乱、及び発光の放出に基づいたものである。CT、MRI、又は超音波イメージングのような、確立されたイメージングの方法におけるように、外因的に適用された光学的な造影剤は、主として、組織内に疾患に特異的な信号を発生させることの機会を提供するが、このようにある一定の病的な状況及び進行に特徴的なものである生理学的な及び分子の状態の表示を可能とする。原則として、コントラストの向上は、投与された薬剤が、取り囲む正常な組織に相対的に異なる程度まで病的な組織のイメージングの性質を変化させるとき、達成される。その結果として、“造影剤”は、取り囲む正常な組織に相対的な異なる程度まで病的な組織の吸収、散乱、又は発光の性質を変化させるものである、薬剤として理解されることがある。
【0005】
光学的なイメージングのための根本的な観察は、組織における光の吸収、例.オキシ及びデオキシヘモグロビン又は他のポリフィリンに源を発する吸収が、おおよそ700nmまでの可視の(VIS)スペクトル領域のいたるところで組織の自己蛍光に至るという事実に関係する。しかしながら、入手可能な造影剤又は発光性の薬剤の大部分は、前述した可視のスペクトルの範囲で、及び、特に青色の又は緑色のスペクトルの範囲で、放出する。血液及びヒトの組織が、同じスペクトルの範囲における広帯域の放出を提供するとすれば、直接的な生体内の適当が、妥協されることがあることは、自明なことである。自己蛍光及び組織に含有させられた蛍光性の造影剤からの放出の結果として生じる重なりは、結果として生じるイメージングの質に顕著に影響を及ぼすことがある。
【0006】
スペクトルの近赤外の領域における生存する組織の相対的に低い吸光度及び散乱が与えられた際に、相当な注目が、NIR発光の造影剤に焦点を合わせてきたと共に、発光性の物質を含有する造影剤についての継続する要望があるが、そこでは、発光性の物質は、合理的に高い量子効率を提供すると共に、そこでは、発光性の物質から結果として生じる放出は、背景、特に組織又は血液の自己蛍光から結果として生じる背景、がほとんどないところのスペクトルの範囲において支配的に放出する。
【0007】
さらには、励起のスペクトルの範囲、即ち、造影剤及び組織が光を吸収するところのスペクトルの範囲が、組織の表面又はより深い位置させられた組織エリアが光学的なイメージングについてアクセス可能なものであるかどうかを決定することがあることは、知られたことである。その結果として、造影剤が、組織の表面及びより深い位置させられた組織エリアをイメージングすることに適切なものであるように、広いスペクトルの範囲にわたって吸収するものである発光性の物質を含有する造影剤を提供することは、望ましいことであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、合理的に高い量子効率を有する、及び同時に、全く又はほとんど自己蛍光が観察されることがないところのスペクトルの範囲で放出する、発光性の物質を含有する造影剤を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、広いスペクトルの範囲にわたって吸収すると共に好ましくはVISのスペクトルの範囲におけるのみならずUVにおいても強い吸収帯域を有するものである発光性の物質を含有する造影剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成する為には、独立請求項1に定義されたような造影剤が、提供される。
【0011】
本発明の一つの実施形態に従って、光学的なイメージングのための造影剤は、提供されるが、それにおいては、造影剤は、発光性の物質を含むと共に、それにおいては、発光性の物質は、Tm2+を含む。
【0012】
本発明に従って、Tm2+を含有する造影剤は、相対的に広いスペクトルの範囲にわたって数個の強い吸収帯域を所有すると共に、同時に、主として関連性のある温度範囲において上述した範囲の外側に放出する。言い換えれば、当該発明の造影剤の吸収及び放出は、吸収及び発光の最大の間にスペクトルの距離があることを意味するものである異なるスペクトルの範囲に起こる。より精確には、300Kから315Kまで(室温から体温まで)の範囲における温度でTm2+を含有する発光性の物質が、近赤外のスペクトルの範囲(NIR)における相対的に小さい波長の範囲において主として又はほとんど排他的にイメージングする又は放出することは、見出されてきたことである。自己蛍光が、UV−VISの範囲に通常観察されるという事実を考慮に入れて、当該発明の造影剤について観察された放出する信号は、血液及び組織から結果として生じる信号と重なり合うものではない。それに応じて、当該発明の造影剤が、使用されるとすれば、光学的なイメージングは、望まれない背景の信号によって影響を及ぼされるものではない。さらには、当該発明の造影剤について観察された相対的に広い吸収の範囲は、UV光又は可視光での励起を可能にする。
【0013】
続いて、当該“発明の造影剤”又は当該“発明の発光性の物質”への参照がなされるとき、それは、ここにおいて記載された実施形態のいずれをも参照されることは、理解されることである。ここにおいて使用されたような用語“組織”は、また、器官及び細胞を包括する。
【0014】
本発明の一つの実施形態において、当該発明の発光性の物質は、300Kから315Kまでの範囲における温度での200nmと800nmとの間の波長範囲における、及び、好ましくは350nm及び700nmの範囲における、電磁放射を吸収する。
【0015】
本発明のさらなる実施形態において、当該発明の造影剤は、300Kから315Kまでの範囲における温度で、750nmと1400nmとの間の近赤外の波長範囲における、好ましくは950と1300nmとの間の波長範囲における、及びいっそうより好ましくは1050nmと1150nmとの間の範囲における、電磁放射をイメージングする又は放出する発光性の物質を含有する。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態において、当該発明の発光性の物質は、無機の固体で形成される。
【0017】
本発明のさらなる実施形態に従って、当該発明の造影剤は、CsCaCl、CsCaBr、及び/又はCsCaIのようなアルカリ土類金属のハロゲン化物へとドープされたTm2+を含有する。あるいは、当該発明の造影剤は、TmXを含有することがあるが、それにおいて、Xは、F、Cl、Br、I、及びAtより選択される。
【0018】
別の好適な実施形態に従って、発光性の物質は、ナノ結晶の形態にあるが、それにおいて、ナノ結晶は、修飾される又は官能化されることがある。
【0019】
本発明の一つの実施形態においては、当該発明の造影剤は、検出可能な量のTm3+を含有するものではない。
【0020】
さらに別の実施形態において、当該発明の造影剤は、コア及びシェルを含むが、それにおいて、コアは、発光性の物質を含有すると共に、それにおいて、シェルは、生体適合性を改善する材料又は少なくとも一つの抗体を含有する材料又はヒトの体内のある一定の場所若しくはある一定の組織への特異的な親和性を有する官能化された材料を含むことがある。
【0021】
さらには、本発明は、光学的なイメージングのための造影剤における発光性の物質としてTm2+を含有する材料の使用を参照する。一つの好適な実施形態に従って、請求項又は記載された実施形態において定義されたような当該発明の造影剤は、光学的なイメージングに使用される。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態に従って、組織の光学的なイメージングの方法は、提供されるが、それにおいては、その方法は、後に続くステップ:
(a)組織と有効な量の当該発明の造影剤を接触させること、
(b)300Kから315Kまで範囲における温度で200nmと800nmとの間の波長範囲における電磁放射へ組織を露出させること、
(c)300Kから315Kまでの範囲における温度で電磁放射へ露出された組織によって放出されたいずれの発光信号をも検出すること、及び
(d)イメージへと検出された発光信号を処理すること
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1Aは、300KでのCsCaClにおけるTm2+の放出スペクトルを示す。
【図1B】図1Bは、300KでのCsCaBrにおけるTm2+の放出スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、300Kでの(a)CsCaCl及び(b)CsCaBrにおけるTm2+の放出スペクトルを示す。放出は、約458nmに対応する21834cm−1で光励起された。図1は、J.Phys.Chem.B(2006),110(5),2093−2101においてJ.Grimm,J.F.Suyver,E.Beurer,G.Carver and H.U.Gu(ウムラウト)delによって“Light−Emission and Excited−State Dynamics in Tm2+ Doped CsCaCl,CsCaBr and CsCaI”において公開されたような“図3”に対応する。
【0025】
上にすでに設定されたように、用語“光学的なイメージング”は、様々な異なる方法を包括するが、それにおいては、全ての光学的なイメージングの方法は、光の吸収及び発光の放出に基づいたものである。両方の方法においてコントラストを向上させる薬剤が、組織内に分布させられる際に、発光性の造影剤の検出は、少なくともある程度まで、核のイメージングの方法に匹敵するものである。放射性診断の薬剤にわたる発光の重要な利点は、薬剤が放射性のものであることを必要としないことのみならず、発光性の薬剤を連続的に励起することができるということである。
【0026】
外因的に適用された光学的な造影剤は、主として、生体内において又は試験内において、組織内における疾患に特異的な信号を発生させることの機会を提供するが、このように、特異的な疾患又はある一定の病的な状況に特徴的なものである生理学的な及び分子の状態の表示を可能とする。造影剤を使用することによって、コントラストの向上は、投与された薬剤が、取り囲む正常な組織に相対的な異なる程度まで病的な組織の吸収の又は発光性の性質を変化させるとき、達成されることがある。コントラストの向上又は改善された光学的なイメージングを達成するための最も将来有望なアプローチは、組織の吸収及び発光に影響する発光性の物質の使用を参照する。
【0027】
発明者は、驚くべきことに、Tm2+を含有する造影剤が、当該発明の造影剤を光学的なイメージングの方法について特に適切なものとするものである数個の好都合な性質を所有することを見出した。ツリウムは、原子番号69を有する希土類金属である。本発明に従って、ツリウムは、Tm2+のように表記された、それの二価のステートにおいて使用される。
【0028】
造影剤における発光性の物質としてのTm2+の使用によって提供されるものである一つの主要な利点は、Tm2+がUV−VISのスペクトルの範囲における数個の強い吸収帯域を有するが、しかし、主として前述した範囲の外側で放出するという事実を参照する。より精密には、Tm2+を含有する発光性の物質が、近赤外のスペクトル領域(NIR)における相対的に小さい波長範囲において主として又はほとんど排他的に放出することは、見出されてきたことである。結論として、当該発明の造影剤の吸収及び放出は、異なるスペクトル領域で起こるが、それは、吸収と発光の最大との間のスペクトルの距離があることを意味する。これは、望まれない重なり又は相互作用が回避されることを意味する。好適な実施形態に従って、当該発明の造影剤は、300Kから315Kまでの範囲における温度で、750nmと1400nmとの間の波長範囲における、好ましくは900nmと1300nmとの間の波長範囲における、及び、いっそうより好適なのは1050nmと1150nmとの間の範囲における、電磁放射をイメージングする又は放出する発光性の物質を含有する。
【0029】
当該発明の造影剤の別の利点は、薬剤が、UV−VISの範囲の外側で放出すると共に、このように、自己蛍光から結果として生じる背景の信号を乱すことを回避するという事実を参照する。発光が、UV−VISのスペクトル領域内で記録されるとすれば、自己蛍光及び投与された造影剤の両方は、観察された信号に寄与するであろう。NIRのスペクトル領域においては、しかしながら、組織の自己蛍光は、生来のNIR蛍光体の欠如のおかげで、無視できるものである。自己蛍光は、組織における光の吸収、例.オキシ及びデオキシへモグロビン又は他のポルフィリン類を起源とする吸収、から生じる。当該発明の造影剤について観察された放出する信号が、血液及び組織から結果として生じる信号と重なり合うものではないので、光学的なイメージングは、望まれない背景の信号によって影響を及ぼされるものではない。言い換えれば、当該発明の造影剤を使用するとき、検出された信号は、ほぼ排他的に造影剤の分布を明かす。
【0030】
Tm2+について観察された強い吸収帯域が、UVからVISのスペクトル領域までの範囲にわたる広いスペクトル領域にわたって励起を許容することは、当該発明の造影剤の別の利点を表す。光学的な診断の手順のための一つの根本的な観察は、組織への光の浸透の深さが、使用された波長に依存するという事実に関係する。通常では、より低いスペクトル領域における波長、例.UV又は青色のスペクトル領域が、励起に使用されるとすれば、吸収は、散乱を支配する。その結果として、この範囲における励起波長について、通常では、数ミリメートルまでの小さい浸透の深さは、達成される。これは、UVから青色のスペクトル領域における波長を使用することによって、相対的に高い空間分解能で組織の表面を検査することが、可能なことであることを意味する。このような光学的なイメージングの技術に使用されるための造影剤が、対応するスペクトル領域における光を吸収しなければならないことは、明りょうなことである。
【0031】
より大きい組織の体積をイメージングするための数センチメートルまでの浸透の深さを達成することが望まれるとすれば、青色のスペクトル領域より上のスペクトル領域における電磁放射は、好適なものであることがある。例.550から750nmまでのスペクトル領域における光で組織を励起することによって、バルクの組織における不均質性の識別は、達成されることがある。散乱のおかげで、光子は、組織を通じて伝播するとき、まっすぐな経路を追跡するものではない。従って、光子の輸送の知られた巣学的なモデルは、組織の光学的な性質を可視化する又は決定するために使用されるべきである。
【0032】
吸収のスペクトル領域の選抜が、造影剤が主として組織の表面又はより深い位置させられた組織エリアで検出可能なものであるどうかを調節することを許容するので、及び、多数の場合において造影剤が、小さい範囲の吸収のみを有するので、組織の表面及びより深い位置させられた組織エリアをイメージングするために一つの造影剤を使用することは、しばしば可能なことではない。しかしながら、当該発明の造影剤は、UVからVISのスペクトル領域までの範囲にわたる数個の強い吸収帯域を有すると共に、このように、組織の表面及びより深い位置させられたエリアの光学的なイメージングを許容する。
【0033】
造影剤の高感度な検出のための別の必要条件は、望まれた吸収波長での高い吸光係数である。前述の要件は、Tm2+を含有する発光性の物質が、100−1000M−1cm−1の範囲にあるものであるモル吸光係数を提供するが、それは、三価の希土類イオンについて典型的には見出されたもの(例.Eu3+についての〜0.1M−1cm−1)よりも4から5桁大きいものであるので、当該発明の造影剤によって満足させられる。
【0034】
本発明に従って、知られたイメージングの技術を使用することができる。本発明に従ったTm2+を含有する造影剤を、UVから青色までのスペクトル領域(小さい浸透の深さ)における、及び、例.550nmから750nmまで(数センチメートルまでの浸透の深さ)の範囲にわたるスペクトル領域における、波長で励起することができるという事実を考慮に入れて、当該発明の造影剤は、反射された又は散乱された光子が直接的に測定されるところの表在性の対象のイメージングについて適切なものであることがあると共に、光子が相対的に厚い組織を通過した後に記録されると共に組織の光学的な性質が数学的なモデルを使用することで空間的に再構築されるところの拡散のイメージングにもまた適切なものであることがある。これらの用途は、異なる技術的な解決及び機器の幾何学的配置を要求することがあるが、それらは、しかしながら、当業者に知られたことである。
【0035】
表存性の構造からのイメージは、一般的には、望まれた波長の光での照明及び例.CCDカメラ又は光電子増倍管と同様に適切なデバイスでの検出によって反射の幾何学的配置において得られる。イメージングのために、より大きい組織の体積の照明の幾何学的配置は、定義された組織エリアが光で照明されるように、使用されることがあると共に、透過させられた散乱された光は、180°の投射の幾何学的配置において検出される。組織エリアの階段状の散乱及び透過させられた光の強度の各々の単一の測定からのイメージの再構築は、二次元の投射イメージを与える。三次元の光学的なイメージを、例.多数の位置/角度での光子の検出及び対応するイメージの数学的な再構築に基づいたものである拡散された光学的な断層撮影法(DOT)によって、得ることができる。
【0036】
当該発明の造影剤の励起を、白熱ランプ、蛍光ランプ、ガス放電ランプ、レーザー光、LED(発光ダイオード)、例.GaN又はInGaNに基づいたLEDを包含する、様々な異なる光源によって達成することができる。これらのタイプの全ては、内視鏡の末端に載せられることがある。適当なものであるとすれば、このような源の光は、内視鏡又は別の最小に侵襲性のデバイスのヘッドへ光ファイバーを通じて方向付けられる。
【0037】
当該発明の造影剤は、眼球の疾患、血管の障害のような、脈絡網膜の疾患、網膜症、新血管新生、又は腫瘍を可視化するための光学的なイメージングの方法において使用されることがある。さらには、ヒトの脳腫瘍及び腫瘍のへりは、外科手術の間に、当該発明の造影剤の助けで識別されることがあるが、それによって瘍の切除の確度及び安全性を容易にすると共に腫瘍の再発の確率を最小にする。当該発明の造影剤は、また、発光で誘導された内視鏡検査法を使用することで、中空の器官における表在性の疾患を可視化するための光学的なイメージングの技術において使用されることがある。例示的に、膀胱の癌、気管支の癌、様々な胃腸の疾患、及び口腔における腫瘍への参照がなされる。また、柔軟な内視鏡の使用は、好都合なことであることがある。柔軟なカテーテルを使用することによって、血管内の発光の分光法及びイメージングの助けは、動脈硬化のプラーク及び他の血管の異常を識別する。当該発明の造影剤と共に実行された拡散の光学的な断層撮影法(DOT)は、脳血流量及び脳における酸素化を定量化するための機会を提供することがある。
【0038】
上に説明されたように、当該発明のTm2+を含有する造影剤によって提供された相対的に広い吸収範囲は、当該発明の造影剤が、UVから青色のスペクトル領域において強い吸収帯域を所有すると共に550nmより上のスペクトル領域において強い吸収帯域を有するので、前述の部類の光学的なイメージングの両方に使用することができるものである造影剤の提供を許容する。その結果として、当該発明の造影剤は、例.内視鏡的な技術を使用することによって、組織の外側の領域をイメージングするための、及び、深さ方向のイメージングのための、即ち、バルク組織における異常を可視化するための、光学的なイメージングの技術において使用されることがある。両方の場合において、当該発明の造影剤から結果として生じるイメージングの信号は、いずれの背景の信号とも、又は、自己蛍光から結果として生じる信号と、重なり合うものではない。放出する信号と吸収のスペクトルの範囲との間の顕著なスペクトルの距離があることを保証する為には、200nmと800nmとの間の波長範囲における、及び好ましくは、350nm及び700nmの範囲における、電磁放射で造影剤をイメージングする又は励起する光源を使用することは、好都合なことであることがある。
【0039】
本発明の好適な実施形態において、蛍光の物質は、無機の固体又は無機の塩で形成される。これらは、通常では、取り扱うことが簡単なもの及び得ることが簡単なものである。発光性の物質は、Tm2+の炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、スルフィド、硫酸塩、及びクロム酸塩のみならず、Tm2+がドープされたCsCaCl、Tm2+がドープされたCsCaBr、及びTm2+がドープされたCsCaI、TmF、TmCl、TmBr、TmI、及びTmAtを含む群より選択されることがある。Tm2+のハロゲン化物を、例.水素と又は元素のツリウムとTm3+のハロゲン化物を反応させることによって、形成することができる。Tm2+の酸化物は、例.元素のツリウムでTmを還元することによって、得られうるものである。
【0040】
当該発明の造影剤が、Tm2+がドープされたCsCaCl、CsCaBr、及び/又はCsCaIを含有することは、特に好適なことであることがある。
【0041】
Tm2+又はTm2+を含有する物質が、また、キレート化に対して受け入れ可能なものであることがあることは、当業者に明白なことであると思われる。キレート剤は、部分的に又は全体的にTm2+又はTm2+を含有する物質を取り囲むことが可能な、有機の、共有結合性の、橋かけ配位子の分子を含むことがある。本発明の別の実施形態に従って、Tm2+又はTm2+を含有する物質は、配位子によって安定化させられる又は錯化される。配位子は、Tm2+又はTm2+を含有する物質のまわりにケージ様の錯体又は構造を形成することがある。配位子は、多座配位子、好ましくは抗体の使用に類似の様式で様々な用途において使用することができるところのある一定の束縛サイトに対して選択的な高い親和性を備えた多座配位子、であることがある。選択的な高い親和性を備えたこのような多座配位子は、典型的には、各々がターゲット分子又は(例.特異的な組織における)ターゲット束縛サイトに異なる領域を結び付けるものであるさまざまな配位子を含む。配位子は、直接的に又はリンカーを通じて接合されるが、それによって典型的には高い選択性及び結合活性でターゲット分子を結び付けるものである多座の部位を形成する。
【0042】
本発明に従って、当該発明の造影剤が、検出可能な量でTm3+を含有するものではないことは、特に好適なことである。Tm3+を含有する物質は、(例.自己蛍光の範囲における)追加的な放出する信号を提供することがあると共に、従って、光学的なイメージングの結果の質に影響を及ぼすであろう。さらには、Tm3+の存在は、造影剤に存在する望まれたTm2+のフラクションの安定性に不利に影響することになる。
【0043】
本発明の別の好適な実施形態に従って、発光性の物質は、追加的に官能化されることあがるものである、ナノ結晶又はナノ粒子の形態にある。ナノ微粒子の形態の使用は、造影剤の取り扱い及び投与を容易にすることがある。本発明に従って、ナノ粒子は、Tm2+を含有する。さらに別の好適な実施形態に従って、発光性の物質は、ナノ結晶で形成されると共にシェル又は外側の層によって取り囲まれる又は上塗りされることがある。
【0044】
ナノ結晶を調製するための一つの方法は、熱い配位する薬剤における有機金属の前駆体の熱分解に基づいたものである。配位する薬剤は、ナノ結晶の成長を制御することを助けることができる。配位する薬剤は、例えば、成長するナノ結晶の表面へ配位するために入手可能なものである供与体の電子対を有する化合物であることがある。溶媒の配位は、成長するナノ結晶を安定化させることができる。典型的な配意する薬剤は、アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、又はアルキルホスホン酸を包含する。ピリジン類、フラン類、及びアミン類のような他の配意する薬剤は、また、ナノ結晶の生産物について適切なものであることがある。本発明に従ったナノ結晶は、球体、ロッド、ディスク、又は他の形状であることができる。
【0045】
発明のナノ結晶は、ナノ結晶の表面における単座又は多座配位子によって安定化させられることがある。適切な多座配位子は、ポリホスフィン、ポリホスフィンオキシド、ポリホスフィン酸、チオール、若しくはポリホスホン酸、又はそれらの塩であることがある。都合良くは、多座配位子、特に、多座のオリゴマー形成されたホスフィン配位子のようなオリゴマー形成された多座配位子は、単座配位子よりも強くナノ結晶の表面に結び付く。多座配位子は、このように、ナノ結晶を安定化させるが、それは、成長したようなナノ結晶の高い発光を保存することができる。多座配位子は、それらを簡単に特異的に化学的な環境と適合性のものであるように官能化することができるように、化学的に柔軟なものである。オリゴマーの配位子は、不動態化する及び/又は官能化された層を形成することがある。官能化された層は、溶解性、混和性、及び生体分子、例.特異的なタイプの組織に対する高い親和性を有する生体分子、への共役のような他の誘導体化を包含する望ましい化学的な性質を与えることができる。
【0046】
本発明の特定の利点として、対応する発光性の物質は、異なる波長で電磁放射を吸収すると共に放出する。これは、造影剤へ適用された放射とそれから得られた放射との間の明りょうな区別に至る。結論として、励起放射にもかかわらず造影剤から放出された放射を検出することは、可能なことであるが、それは、存在するものである、又は、背景の光の存在下でさえも、発光を励起するために使用される。この正の効果が、吸収及び放出が起こるところのスペクトルエリアの確度及び精度と共にのみならず、吸収及び放出が起こるところの波長範囲の間の距離と共に増加することは、理解されることである。特定の利点として、例.400から500nmまでの波長範囲での、励起する放射は、それの青色の又は紫色の外観によって識別されると共に特徴付けられる。それに応じて、青色又は紫色ではないものであるプローブから来るいずれの発光又は光も、何らかの結果又は効果として識別されることがある。励起する放射が、可視の波長の範囲より下の範囲にあるかどうかは、一般には好都合なことであることがある。
【0047】
さらには、本発明に従った発光性の物質は、好ましくは、300Kから315Kまでの範囲における、及び、より好ましくは、約1050と1150nmとの間の波長範囲における、温度で約750及び1400nmの間の波長範囲における電磁放射を放出する。図1から推断することができるように、吸収及び励起が、UVのエリア及び可視光のエリア(VIS)を覆うスペクトル領域で起こるのに対して、当該発明の造影剤又は発光性の物質は、近赤外の範囲における一つの強い放出する信号を有する。それによって、これらの材料から放出された光が、コントラストの発生が許容されたものであるように、励起放射から十分に異なることであることは、好ましい様式で保証されることである。放出された光は、分光法で検出されることがある。
【0048】
本発明の別の好適な実施形態に従って、造影剤は、コア/シェル構造を有するが、それは、造影剤が、Tm2+を含有する発光性の物質を含むコア及び前記のコアを部分的に又は完全に取り囲むものである少なくとも一つのシェルで構成されることを意味する。発光性のコアは、ナノ結晶又はナノ粒子の形態であることがある。
【0049】
発光性のコアには、高い生体適合性を達成する為には、追加的な層が提供される又はシェルによって取り囲まれることがある。言い換えれば、シェルの材料は、造影剤の粒子に対して検査された体の免疫反応を予防する為には、使用されることがある。あるいは、シェルは、検査されるものである組織において造影剤の好ましい又はターゲットにされた分布を達成するために提供されることがある。この文脈において、抗体のような、生物学的な活性な化合物は、シェルの材料として使用されることがある。さらには、発光性のコアのまわりのシェルを使用することによって、コア又は発光性の物質の溶媒和又は加水分解は、(発光性のコアが、加水分解に敏感なものである材料で形成されるとすれば)予防されることがある。最後に、発光性のコアのまわりのシェルを使用することによって、発光量子効率を、実質的に増加させることができる。
【0050】
本発明の一つの好適な実施形態に従って、シェルの材料は、(層又はシェル無しの発光性のコアを含む造影剤との比較において)改善された生体適合性を提供する。シェルの材料を改善する少なくとも一つの生体適合性を使用することによって、造影剤は、生体へ造影剤を投与した後で薬剤に対していずれの免疫反応をも引き起こすものではないことがある、又は、少なくとも免疫反応の危険度を低減することがある。さらには、毒性の相互作用は、予防されることがある。それは、生体適合性を効率的に提供する為に、及び、溶解させられる又は加水分解されることからコアを予防する為に、少なくとも一つの生体適合性を改善する材料が、完全に発光性のコアを覆うとすれば、特に好適なものであることがある。
【0051】
本発明に従った少なくとも一つの生体適合性を改善する材料は、ポリリン酸塩、アミノ酸、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルアルコール(PVA)と同様の有機重合体、多糖類(例.デキストラン、セルロース)、ポリペプチド、リン脂質、SiO、又は金と同様の生体高分子から選択されることがある。シェルの材料として金を使用することによって、いくつかのさらなる正の効果は、達成されることがある。例えば、ある一定のポリペプチド、タンパク質、又は抗体と同様のさらなる活性な又は不活性な化合物は、(例.チオールのリンカーを介して)金の表面において不動にされる又は束縛されることがある。
【0052】
本発明の別の好適な実施形態に従って、当該発明の造影剤は、少なくとも一つの抗体を含有する少なくとも一つのシェル材料を含む。シェル又は発光性のコアの表面において抗体を不動にすることによって、検査されるための組織(例.癌の細胞、冠状のプラーク)における造影剤の特異的な抗体−抗原反応、及びこのように、特異的な吸着は、達成されることがある。これは、特異的なタイプの組織におけるより高い濃度の造影剤を提供することができることを意味する。組織における豊富にされた造影剤は、より良好な光学的なイメージングの結果に至ることがある。
【0053】
本発明の別の好適な実施形態に従って、当該発明の造影剤は、少なくとも一つの抗体を含有する少なくとも一つのシェル材料を含むが、それにおいては、少なくとも一つの抗体を含有するシェルは、腫瘍に特異的な抗体を含有することがある。腫瘍に特異的な抗体の使用は、特異的な腫瘍の識別及び局在化のための当該発明の造影剤の使用を許容することがある。例示的な参照は、Cetuximab(腸の癌の検出)、Pemtumomab(卵巣及び胃の癌の検出)、及びBevacizumab(肺及び腸の癌の検出)になされる。対応する発明の造影剤は、咽喉、食道、胃、又は腸管の悪性の変化の光学的なイメージング及び診断に特に適切なものであることがある。
【0054】
本発明の別の好適な実施形態に従って、コア又はコア及びシェルを含む造影剤の大きさは、それらを、例えば細胞間の交換反応のような、代謝過程においてより簡単に伴われたものにする為には、ヒト及び動物の生物体に存在するようなタンパク質及び生物有機化合物の大きさの範囲にあることがあるが、それによって関心のあるエリアでの造影剤の輸送及び吸着を容易にする。コア又はコア及びシェルを含む造影剤の大きさは、50nmから1000nmまで、好ましくは100nmから500nmまで、の範囲にあることがある。
【0055】
本発明に従ってナノ結晶の形態又はいずれの他の形態にでもあるものである、造影剤を、いずれの許容可能な希釈剤を包含することができるものである注射可能な配合物、又は造影剤が埋め込まれるところの遅い放出のマトリックスのような、製剤へと組み込むことができる。製剤を、投与のための指示書と一緒に容器、パック、又はディスペンサーに提供することができる。組成物を、投与の意図されたルートに従って処方することができる。許容可能なルートは、経口的な又は非経口的なルート、例.静脈内のもの、経皮的なもの、又は経粘膜的なもの、を包含する。製剤を、溶液又は懸濁液として処方することができると共に、このように、滅菌の希釈剤(例.水、生理食塩水の溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコールなど)を包含することができる。必要なところでは、溶液又は懸濁液のpHを、酸又は塩基で調節することができる。適切な流動性を、要求された粒子の大きさを維持することによって又は界面活性剤の使用によってレシチンのようなコーティングによって維持することができる。
【0056】
本発明にさらなる態様に従って、上に記載された実施形態のいずれにでも従った当該発明の造影剤及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含むものである薬学的な製剤は、提供されるが、それにおいては、担体は、例.製剤若しくは造影剤を安定化するように作用するものである生理学的に許容可能な化合物を含有することがある、又は、薬剤及び/又は薬学的な製剤の吸収を規制する(増加する若しくは減少する)ことがある。適切な生理学的に許容可能な化合物は、グルコース、スクロース、又はデキストランのような、炭水化物、アスコルビン酸又はグルタチオンのような、抗酸化剤、低分子量のタンパク質、又は他の安定化剤及び/又は緩衝剤から選択されることがある。さらには、洗浄剤は、製剤を安定化するために使用されることがある、又は、薬学的な製剤の吸収を(増加させる若しくは減少する)ことがある。他の生理学的に許容可能な化合物は、微生物の成長又は作用を予防するために特に有用なものである湿潤剤、乳化剤、分散剤、又は、保存剤を包含する。
【0057】
当該発明の製剤は、pHを調節する及び緩衝する薬剤、毒性を調節する薬剤、及び同様のもののような生理学的な条件を提供するための薬学的に許容可能な補助物質を含有することがある。例示的な参照は、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウムになされる。
【0058】
当該発明の製剤における造影剤の濃度は、幅広く変動することができると共に、流体の体積、粘度、体重、及び同様のもののようなパラメーターに基づいて、並びに、選択された投与及びイメージングのモダリティーの特定のモードに従って、主として選択されることがある。当該発明の造影剤の正確な量及び濃度並びに与えられた薬用量における製剤の量、又は“有効な薬用量”を、日常的に決定することができる。(この波長領域において組織の自己経口の欠如のおかげで)高い特異性のおかげでのみならず(例.単一の光子計数器の使用を通じた)近赤外光についての非常に高い感度のおかげで、低い濃度は、しばしば十分であることができる。典型的な値は、マイクロモルの範囲に、調査の下での面積/体積が限定されるときナノモルの範囲まで下がってさえ、あることができる。
【0059】
造影剤を、投与の意図されたルートに従って処方することができる。許容可能なルートは、経口的な又は非経口的なルート、例.静脈内の、経皮的な、又は経粘膜的なルート、を包含する。製剤を、溶液又は懸濁液として処方することができると共に、このように
滅菌の希釈剤(例.水、生理食塩水の溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコールなど)を包含することができる。
【0060】
本発明の別の実施形態に従って、組織の光学的なイメージングの方法は、提供されるが、それにおいては、その方法は、後に続くステップ:
(a)組織と有効な量の前述の実施形態のいずれにでも従った当該発明の造影剤を接触させること、
(b)300Kから315Kまでの範囲における温度で200nmと800nmとの間の波長範囲における電磁放射へ組織を露出させること;
(c)300Kから315Kまでの範囲における温度で電磁放射へ露出された組織によって放出された近赤外スペクトル領域におけるいずれの発光信号をも検出すること、及び
(d)イメージへと検出された発光信号を処理すること
を含む。
【0061】
本発明の別の態様に従って、生体内における又は試験管内における細胞、組織、器官、又は体全体のイメージング及び/又は診断のための方法は、提供されるが、それにおいては、その方法は、後に続くステップ:
a)上に記載された実施形態のいずれにでも従った当該発明の造影剤及び薬学的に許容可能な賦形剤又は担体を含む薬学的な製剤を提供すること、
b)光学的なイメージングデバイスを提供すること;
c)細胞、組織、又は体のイメージを発生させるために十分な量で薬学的な製剤を投与すること;並びに
d)イメージングデバイスでステップa)の薬学的な製剤の分布をイメージングすること
を含むが、それによって細胞、組織、又は体をイメージングする。
【0062】
本発明の一つの実施形態において、前述した方法において、300Kから315Kまでの範囲における温度で、200nmと800nmとの間の波長範囲における、及び好ましくは350nm及び700nmの範囲における、電磁放射を吸収するものである、Tm2+を含有する発光性の物質は、使用されることがある。
【0063】
さらなる実施形態において、前述した方法において、300Kから315Kまでの範囲における温度で、750nmと1400nmとの間の波長範囲における、好ましくは950nmと1300nmとの間の波長範囲における、及び、いっそうより好適なのは1050nmと1150nmとの間の範囲における、電磁放射を放出するものである、Tm2+を含有する発光性の物質は、使用されることがある。
【0064】
前述した方法において使用されるための当該発明の造影剤が、Tm2+がドープされたCsCaCl、CsCaBr、及び/又はCsCaIを含有することは、特に好適なことであることがある。
【0065】
前述した方法において使用されるための当該発明の造影剤が、蛍光性の物質を含有するコア及びシェルを含むことは、また、特に好適なことであることがあるが、それにおいては、シェルは、生体適合性を改善する材料又は少なくとも一つの抗体を含有する材料を含むことがある。上に述べた材料を含有する抗体への参照は、なされる。
【0066】
診断すること及び/又はイメージングの当該発明の方法は、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、口頭及び咽頭癌、食道癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、及び黒色腫を含む群より選択された癌を診断する及び/又は検出するために使用されることがある。
【0067】
本発明をそれの具体的な実施形態に関して記載してきた一方で、多数の変更、強調、及び/又は変化を、当該発明の主旨及び範囲を逸脱することなく達成することができることは、当業者によって認識されると思われる。従って、当該発明が請求項の範囲及びそれの均等物によってのみ限定されることは、明白に意図されたことである。後に続くものにおいて、当該発明は、ある一定の例を考慮に入れて例示される。これらの例は、しかしながら、当該発明をそれの範囲に関して限定することを少しも意味するものではなく、むしろ当該発明をそれの例示的な実施形態のいくつかを経由して例示することに役に立つ。
【実施例1】
【0068】
例:
Tm2+がドープされたCsCaCl、CsCaBr、及びCsCaIの単結晶を、Bridgeman Techniqueによって成長させた。合成のために、化学量論的な量のCsX(X=Cl、Br、I)及びCrXを混合し、且つ、Tm2+
(Johnson Mattheyからの99.999%の純粋なTmからハロゲン化アンモニウムルートで調製された)TmX及びTm金属(Alpha Aesar 99.9%)の均化によって現場で調製した。全ての出発材料は、吸湿性のものであると共に、窒素雰囲気におけるグローブボックスにおいて取り扱われた。2mm×2mm×2mmまでの直径を備えた良好な光学的特性の濃緑色の結晶を得た。結晶をX線粉末化回折によって純度についてチェックした。結晶におけるTmの絶対的な濃度を、ICP−OASで決定したと共に、それぞれ、1.04%、0.48%、及び0.76%のCsCaCl、CsCaBr、及びCsCaIである。結晶を得るためにタンタルのアンプルを使用した。得られた結晶は、光学的なイメージングのための造影剤として使用されることがあるものである適切な製剤へと加工されることがある。
【産業上の利用可能性】
【0069】
光学的なイメージングのための造影剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光性の物質を含む光学的なイメージング用の造影剤において、
前記発光性の物質は、Tm2+を含む、造影剤。
【請求項2】
請求項1に記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、300Kから315Kまでの範囲における温度で200nmと800nmとの間の波長範囲における電磁放射を吸収する、造影剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、300Kから315Kまでの範囲における温度で350nmと700nmとの間の波長範囲における電磁放射を吸収する、造影剤。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、300Kから315Kまで範囲における温度で750nmと1400nmとの間の波長範囲における電磁放射を放出する、造影剤。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、300Kから315Kまでの範囲における温度で950nmと1300nmとの間の波長範囲における電磁放射を放出する、造影剤。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、300Kから315Kまでの範囲における温度で1050nmと1150nmとの間の波長範囲における電磁放射を放出する、造影剤。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、無機の固体で形成される、造影剤。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の造影剤において、
前記造影剤は、Tm2+がドープされたCsCaCl、Tm2+がドープされたCsCaBr、及びTm2+がドープされたCsCaIの少なくとも一つを含有する、造影剤。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の造影剤において、
前記造影剤は、TmXを含有すると共に、Xは、F、Cl、Br、I、及びAtより選択される、造影剤。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、ナノ結晶の形態にある、造影剤。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、官能化されたナノ結晶の形態にある、造影剤。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の造影剤において、
前記発光性の物質は、環出可能な量でTm3+を含有するものではない、造影剤。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の造影剤において、
前記造影剤は、前記発光性の物質を含有するコア及びシェルを含む、造影剤。
【請求項14】
請求項13に記載の造影剤において、
前記シェルは、生体適合性を改善する材料又は少なくとも一つの抗体を含有する材料を含む、造影剤。
【請求項15】
光学的なイメージングのための請求項1乃至14のいずれかに記載の造影剤の使用。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれかに記載の造影剤を使用する、組織の光学的なイメージングの方法であって、
(a)前記組織と有効な量の前記造影剤を接触させること、
(b)300Kから315Kまで範囲における温度で200nmと800nmとの間の波長範囲における電磁放射へ前記組織を露出させること;
(c)前記電磁放射へ露出された組織によって放出されたいずれの発光信号をも検出すること、及び
(d)イメージへと前記検出された発光信号を処理すること
:のステップを含む、方法。
【請求項17】
細胞、組織、器官、又は体全体のイメージング及び/又は診断の方法において、
前記方法は、後に続くステップ:
a)請求項1乃至14のいずれかに記載の造影剤及び薬学的に許容可能な賦形剤又は担体を含む薬学的な製剤を提供すること、
b)光学的なイメージングデバイスを提供すること;
c)前記細胞、組織、又は体のイメージを発生させるために十分な量で薬学的な製剤を投与すること;並びに、
d)前記イメージングデバイスでステップa)の前記薬学的な製剤の分布をイメージングすること、それによって前記細胞、組織、又は体をイメージングすること
を含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2010−501544(P2010−501544A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525141(P2009−525141)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053245
【国際公開番号】WO2008/023305
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】