説明

光学的情報読取装置およびその制御方法

【課題】バーコードスキャナにおける運転モードとスリープモードの切替時におけるシステムタイマの計測精度を向上できるようにする。
【解決手段】バーコードスキャナのRTC回路19は、スリープモード及び運転モードで動作するBase回路17からのクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求する。これにより、例えば運転モードからスリープモードに移行してもカウントするクロック信号の周波数が32KHzで変更されないので、システムタイマの計測精度を向上できるようになる。また、運転モードでは1msecでシステムタイマ計測用の割り込みを発生し、スリープモードでは20msecでシステムタイマ計測用の割り込みを発生する。これにより、スリープモードにおいてバッテリーの寿命を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード記号のような光反射率の異なる部分で構成される読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の在庫管理及び販売管理等において、ホストコンピュータから商品情報を送受信すると共に、商品に貼付されたバーコード・二次元コード等のコード記号を読み取り、液晶ディスプレイにそれらの情報を表示し管理する情報端末が多く用いられている。それらは、ハンディターミナルと呼ばれ、作業者が持ち歩き、各商品棚から情報を収集したり、他の作業者と情報を確認しあったりすることができ非常に便利なものである。
【0003】
しかし、その反面、機能が多様化し、その操作をするために消費電力が大きくなってしまう。ハンディターミナルでは、充電池を用いるので一台で使用する電力は限られている。そのため、なるべく消費電力を節約するようにいろいろな工夫が施されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、バーコード等を読み取る携帯型情報読取装置が開示されている。この携帯型情報読取装置によれば、電池を2つ備え、通常は1つの電池から電力を供給するが、高速読み取りなど大量に電力を使用する場合は、2つの電池から電力を供給するように切換を行うものである。これにより、特許文献1は、消費電力を抑制しながら、読み取りの高速処理等が必要な場合には、要求される電圧や電流の条件で電力を供給することができるようになる。
【0005】
また、特許文献2にはバーコードリーダが開示されている。このバーコードリーダによれば、周囲照度を検出する照度検出手段を備え、使用場所の明るさによってバックライトやLEDの明るさを制御するものである。このように、特許文献1,2によれば、消費電力を削減してバッテリーの寿命を長くするようにしている。
【0006】
図5A及び図5Bは、消費電力を節約する機能の一例として、従来例に係るハンディターミナルの運転モードおよびスリープ(sleep)モードの動作例を示す図である。図5Aは、全ての機能が動作可能な状態である運転モードにおける動作であり、図5Bは、一部の機能を停止して消費電力を節約する状態であるスリープモードにおける動作である。図5Aに示すOSC(oscillator)15は発振して一定のクロック信号をPLL(Phase Locked Loop)回路16に出力する。例えば、OSC15は、4MHzのクロック信号をPLL回路16に出力する。
【0007】
PLL回路16は、OSC15から入力したクロック信号を逓倍してタイマ18に出力する。例えば、PLL回路16は、OSC15から入力した4MHzのクロック信号を12倍に逓倍して48MHzのクロック信号をタイマ18に出力する。この例で、タイマ18のタイマレジスタは、1msecを生成するようにカウント値が設定されている。タイマ18は、PLL回路16から48MHzのクロック信号を入力し、このクロック信号とタイマレジスタの第1のカウント値とを比較して1msecのタイミングを生成する。
【0008】
図5Bに示すハンディターミナルのスリープモードにおいて、PLL回路16は停止(OFF)している。この場合、タイマ18は、Base回路(基準クロック生成回路)17から32KHzのクロック信号を入力し、このクロック信号とタイマレジスタの第2のカウント値とを比較して1msecのタイミングを生成する。タイマ18により生成された1msecのタイマの割り込みの累積で、システムタイマの計測が実施される。
【0009】
この例で、運転モードからスリープモードに切り替えたときに、タイマ18を動作させるクロック信号の周波数は48MHzから32KHzに変更される。これは、タイマ18が、運転モードではPLL回路16からクロック信号を入力して1msecのタイミングを生成し、スリープモードではBase回路17からクロック信号を入力して1msecのタイミングを生成するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−285539号公報
【特許文献2】特開2008−287647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、タイマ18は、運転モードからスリープモードへの切替時に、PLL回路16がONからOFFに変更されて動作周波数が48MHzから32KHzに変更され、動作周波数の変更時に1msecの計測方法が変わる。PLL回路16がONからOFFに変更されるタイミングは一定ではないので、スリープモード切替時に誤差が生じる問題がある。同様に、スリープモードから運転モードに切り替える際に、PLL回路16がOFFからONに変更されて動作周波数が32KHzから48MHzに変更され、動作周波数の変更時に1msecの計測方法が変わる。PLL回路16がOFFからONに変更されるタイミングは一定ではないので、運転モード切替時に誤差が生じる問題がある。このように誤差が生じると、システムタイマの計測に影響し、その精度が極端に低下する。
【0012】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、モード切替時におけるシステムタイマの計測精度を向上できるようにした光学的情報読取装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明に係る光学的情報読取装置は、一部の機能を停止して消費電力を節約する状態をスリープモードとし、略全ての機能が動作可能な状態を運転モードとしたとき、前記スリープモード及び前記運転モードで動作する基準クロック生成回路と、前記基準クロック生成回路から入力したクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成し、前記タイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求するクロック回路とを備えるものである。
【0014】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る光学的情報読取装置の制御方法は、コード記号のような光反射率の異なる部分で構成される読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置を制御する方法であって、前記光学的情報読取装置は、一部の機能を停止して消費電力を節約する状態をスリープモードとし、略全ての機能が動作可能な状態を運転モードとしたとき、前記スリープモード及び前記運転モードで動作する基準クロック生成回路によりクロック信号を生成するステップと、前記クロック信号をカウントして所定のタイミングを生成するステップと、前記タイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求するステップとを有するものである。
【0015】
本発明によれば、スリープモード及び運転モードで動作する基準クロック生成回路によりクロック信号を生成し、スリープモード及び運転モードにおいて、基準クロック生成回路により生成されたクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成する。生成されたタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求する。このように、スリープモード及び運転モードにおいて、カウントするクロック信号の周波数が同一なので、例えば運転モードからスリープモードに移行してもシステムタイマの計測に誤差が生じない。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る光学的情報読取装置およびその制御方法によれば、スリープモード及び運転モードで動作する基準クロック生成回路からのクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求する。
【0017】
これにより、例えば運転モードからスリープモードに移行してもカウントするクロック信号の周波数が変更されないので、システムタイマの計測精度を向上できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】バーコードスキャナ100の構成例を示すブロック図である。
【図2】Aは略全ての機能が動作可能な状態である運転モードにおける動作であり、Bは一部の機能を停止して消費電力を節約する状態であるスリープモードにおける動作である。
【図3】スリープモードにおけるバーコードスキャナ100の動作例を示すフローチャートである。
【図4】バーコードスキャナ200の構成例を示すブロック図である。
【図5】AおよびBは、従来例に係るハンディターミナルの運転モードおよびスリープモードの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、図面を参照しながら本発明に係る光学的情報読取装置およびその制御方法を実施するための形態について説明する。本発明は、スリープモード及び運転モードで同一周波数のクロック信号を用いて所定のタイミングを生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求することで、システムタイマの計測精度を向上できるようにしたものである。
【0020】
図1に示すバーコードスキャナ100は光学的情報読取装置の一例であり、バッテリー(充電電池)によって駆動する。バーコードスキャナ100は、レーザ光源1、光学部2、信号処理回路3、CPU4、RAM(Random Access Memory)8、ROM(Read Only Member)9、キーボード10、ディスプレイ11、スイッチ12、電源13、電源制御回路14、OSC(oscillator)15、PLL(Phase Locked Loop)回路16及びRTC(Real Time Clock)回路19を備えている。
【0021】
スイッチ12は、バーコードスキャナ100の電源13のON/OFFを切り替える。バーコードスキャナ100は運転モードとスリープモードを備えている。スリープモードは一部の機能を停止して消費電力を節約する状態であり、運転モードは略全ての機能が動作可能な状態である。例えば、各モードの切替方法は、キーボード10のファンクションキー(不図示)によって切り替えられる。各モードの切替方法はこれに限らず、バーコードスキャナ100の無操作時間が一定時間経過すると自動的にスリープモードに切り替わり、センサ検知によりスリープモードから運転モードに切り替えるように制御しても良い。
【0022】
電源制御回路14は電源13からCPU4に供給する電源電圧を制御する。例えば、スリープモードでは、電源制御回路14はCPU4の一部の機能を停止して消費電力を節約する。この例で、スリープモードでは、電源制御回路14は、OSC15およびPLL回路16に供給する電源電圧を停止する。
【0023】
レーザ光源1は、光反射率の異なる部分で構成されるコード記号の一例であるバーコードに向けて光を照射する。例えばレーザ光源1は、その発光点からレーザ光線を光学部2の集光レンズ2aに向けて発光する。集光レンズ2aは、レーザ光源1から発光されたレーザ光線を集光する。集光レンズ2aの後段にはスキャンミラー2bが配置されている。スキャンミラー2bは、集光レンズ2aにより集光されたレーザ光線を偏向する。
【0024】
バーコードスキャナ100がバーコードに向けられた状態で、スキャンミラー2bにより偏向されたレーザ光線はバーコードに照射されて当該バーコードを走査する。結像レンズ2cは、バーコードから反射された反射光を入射して信号処理回路3の光電変換器3a上に反射光を結像させる。光電変換器3aは、反射光を受光して強度に応じた電気信号に変換して二値化処理部3bに出力する。二値化処理部3bは、この電気信号を微分して二値化信号を求める。例えば、二値化処理部3bは電気信号の増幅ゲイン調整やノイズ処理などを行い、当該電気信号を微分して微分信号を求める。二値化処理部3bは、この微分信号からバーコードの黒バーと白バーの境界を示す変曲点を求め、この変曲点から二値化信号を求めてCPU4に出力する。
【0025】
CPU4は、二値化信号のエッジのタイミングで割り込みを発生してバーコードの幅長を求める。CPU4は、求めたバーコードの幅長と閾値とを比較して太いバー/細いバーなどを判別してバーコードキャラクタへ変換する。
【0026】
この例でCPU4は、割込コントローラ5及びタイマ6を備えている。割込コントローラ5は、二値化信号における立ち上がりエッジのタイミングで割り込みをタイマ6に対して発生する。タイマ6は、割り込み発生時に二値化信号のエッジ間隔(時間間隔)を求め、このエッジ間隔からバーコードの幅長を求める。
【0027】
図1に示すOSC15は発振して一定のクロック信号をPLL回路16に出力する。例えば、OSC15は、4MHzのクロック信号をPLL回路16に出力する。PLL回路16は、OSC15から入力したクロック信号を逓倍する。例えば、PLL回路16は、OSC15から入力した4MHzのクロック信号を12倍に逓倍して48MHzのクロック信号を生成する。CPU4は、このPLL回路16により生成された48MHzのクロック信号で動作する。
【0028】
Base回路17(図2参照)は、スリープモード及び運転モードで動作する。RTC回路19はクロック回路の一例であり、リアルタイムクロックとして機能する。RTC回路19は、Base回路17から入力したクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求する。これにより、例えば運転モードからスリープモードに移行してもカウントするクロック信号の周波数が変更されないので、システムタイマの計測精度を向上できるようになる。なお、Base回路17は基準クロック生成回路の一例である。
【0029】
ROM9は、バーコードスキャナ100のリアルタイムOS(例えばμITron)などが格納され、CPU4により参照される。リアルタイム処理の実行単位は、タスクとハンドラに大別される。タスクは、リアルタイムOSにより起動、中断、再開、終了が行われる。一方、ハンドラは、CPU4内外で発生する各種イベントによりOSを介さずに起動されるプログラム単位である。CPU4は、割り込み発生を検出すると実行状態を割り込み処理実行状態に切り換え、CPU4に登録されている割り込みハンドラを実行する。OSは割り込みハンドラの実行制御が不可能であるから、CPU4の通常実行状態が適用されるタスクよりも割り込みハンドラの優先順位が高い。
【0030】
RAM8はCPU4のワークメモリとして使用される。キーボード10には、操作者から様々な指示が入力される。ディスプレイ11は、バーコードスキャナ100の動作状態や操作者の指示などを写し出す。
【0031】
続いて、バーコードスキャナ100の動作例について説明する。この例で、運転モードにおいて、RTC回路19は、Base回路17(図2参照)から入力したクロック信号をカウントして所定のタイミング(例えば1msec)を生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを割込コントローラ5に要求する。割込コントローラ5は、このシステムタイマ計測用の割り込み要求を受け付けるとCPU4に対して割り込みを発生する。
【0032】
運転モードの状態で、操作者によりバーコードスキャナ100をバーコードに向けて不図示のトリガスイッチがONされると、バーコードスキャナ100のレーザ光源1の発光点からレーザ光線が発光される。このレーザ光線は光学部2の集光レンズ2aにより集光される。集光されたレーザ光線は、スキャンミラー2bにより偏向されてバーコードに照射されて当該バーコードを走査する。
【0033】
バーコードから光が反射され、反射された反射光は結像レンズ2cにより光電変換器3a上に結像される。光電変換器3a上に結像された反射光は、光電変換器3aにより強度に応じた電気信号に変換される。この電気信号が二値化処理部3bにより微分されて二値化信号が求められる。割込コントローラ5は、この二値化信号におけるエッジのタイミングでタイマ6にレーザ割り込みを発生する。タイマ6は、レーザ割り込み発生時に二値化信号のエッジ間隔(時間間隔)を求め、このエッジ間隔からバーコードの幅長を求める。
【0034】
不図示のトリガスイッチがOFFされると、レーザ光源1から発光されるレーザ光線が停止してバーコードのスキャン処理を停止する。
【0035】
キーボード10のファンクションキー(不図示)によりスリープモードに切り替えられると、電源制御回路14はCPU4の一部の機能を停止して消費電力を節約する。この例で、スリープモードでは、電源制御回路14は、OSC15およびPLL回路16に供給する電源電圧を停止し、RTC回路19には電源電圧を供給する。
【0036】
このスリープモードにおいて、RTC回路19は、Base回路17(図2参照)から入力したクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを割込コントローラ5に要求する。例えばスリープモードでは、運転モードよりも遅いタイミング(例えば20msec)でシステムタイマ計測用の割り込みを発生する。割込コントローラ5は、このシステムタイマ計測用の割り込み要求を受け付けるとCPU4に対して割り込みを発生する。CPU4は、割り込みハンドラを起動してシステムタイマを計測する。
【0037】
このように、本発明は、スリープモードおよび運転モードで同一周波数で駆動するRTC回路19を使用してシステムタイマを計測する。これにより、運転モードからスリープモードに移行してもシステムタイマを計測するクロック信号の周波数が変更されないので、システムタイマの計測精度を向上できるようになる。また、スリープモードにおいて、20msecのタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを発生してスリープモードを長く保つので、1msecのタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを発生する場合に比べてバッテリーの寿命を向上できる。
【0038】
続いて、図2A及び図2Bを参照して運転モードおよびスリープモードにおけるシステムタイマ計測処理について説明する。図2Aは、略全ての機能が動作可能な状態である運転モードにおける動作である。運転モードにおいて、図2Aに示すOSC15は発振して一定のクロック信号、例えば4MHzのクロック信号をPLL回路16に出力する。PLL回路16は、OSC15から入力したクロック信号を例えば12倍に逓倍して48MHzのクロック信号を生成する。この48MHzのクロック信号は、CPU4の動作クロックとして使用される。
【0039】
図2Aに示すBase回路17は、RTC回路19に32KHzのクロック信号を出力する。RTC回路19は、Base回路17から入力したクロック信号をカウントして1msecタイミングを生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを割込コントローラ5(図1参照)に要求する。この例で、通常、1sec毎に割り込みを発生させるRTC回路19の機能を1000倍で動作させるために、RTC回路19のレジスタには1msec毎に割り込みを発生させる第1のカウント値が設定されている。RTC回路19は、Base回路17から32KHzのクロック信号を入力し、このクロック信号とレジスタの第1のカウント値とを比較して1msecのタイミングを生成する。RTC回路19により生成された1msecの割り込みの累積で、システムタイマの計測が実施される。
【0040】
図2Bは、一部の機能を停止して消費電力を節約する状態であるスリープモードにおける動作である。スリープモードにおいて、図2Bに示すOSC15およびPLL回路16は停止し、Base回路17およびRTC回路19は駆動している。スリープモードにおいてRTC回路19のレジスタには、20msec毎に割り込みを発生させる第2のカウント値が設定されている。RTC回路19は、Base回路17から32KHzのクロック信号を入力し、このクロック信号とレジスタの第2のカウント値とを比較して20msecのタイミングで割り込みを要求する。RTC回路19により生成された20msecのタイマの割り込みの累積で、システムタイマの計測が実施される。
【0041】
この例で、運転モードからスリープモードに切り替えたときに、RTC回路19を動作させるクロック信号の周波数は32KHzに統一され、図5Aおよび図5Bに示したようにクロック信号の周波数が48MHzから32KHzに変更されない。これは、RTC回路19が、運転モードおよびスリープモードで同一のBase回路17からクロック信号を入力しているからである。このように、運転モードからスリープモードに移行してもカウントするクロック信号の周波数が変更されないので、システムタイマの計測精度を向上できるようになる。また、スリープモードにおいて、20msecのタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを発生するので、1msecのタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを発生する場合に比べてバッテリーの寿命を向上できる。
【0042】
続いて、図3を参照してスリープモードにおけるバーコードスキャナ100の動作例について説明する。この例では、キーボード10のファンクションキー(不図示)によりスリープモードに切り替えられる。スリープモードでは、図2Bに示すOSC15およびPLL回路16は停止し、Base回路17およびRTC回路19は駆動する。
【0043】
スリープモードに切り替わると、図3に示すステップST1で、CPU4は、20msec毎に割り込みを発生させる第2のカウント値をRTC回路19のレジスタに設定してステップST2に移行する。
【0044】
ステップST2で、電源制御回路14は、OSC15およびPLL回路16に供給する電源電圧を停止してステップST3に移行する。ステップST3で、OSC15およびPLL回路16が停止し、Base回路17およびRTC回路19が駆動しているスリープモードが設定された状態となる。続いてステップST4に移行する。
【0045】
ステップST4で、RTC回路19は、Base回路17から32KHzのクロック信号を入力し、このクロック信号とレジスタの第2のカウント値とを比較して20msecのタイミングで割り込みを割込コントローラ5に要求する。割込コントローラ5は、RTC回路19から割り込みの要求を受けてCPU4に対して割り込みを発生してステップST5に移行する。
【0046】
ステップST5で、電源制御回路14は、OSC15およびPLL回路16に電源電圧を供給してステップST6に移行する。ステップST6で、CPU4は、割込コントローラ5から入力した割り込みに基づいて割り込みハンドラを起動してシステムタイマを計測してステップST7に移行する。
【0047】
ステップST7で、CPU4は割り込みの原因を判定し、割り込みの原因がRTC割り込みの場合、ステップST2に戻り、スリープモードを維持すると共に20msec毎に割り込みを発生してシステムタイマを計測する。また、割り込みの原因がRTC割り込み以外の場合、ステップST8に移行する。ステップST8で、CPU4は、1msec毎に割り込みを発生させる第1のカウント値をRTC回路19のレジスタに設定してスリープモードの解除となる。
【0048】
このように、本発明に係るバーコードスキャナ100およびその制御方法によれば、RTC回路19は、スリープモード及び運転モードで動作するBase回路17からのクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成し、このタイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求する。これにより、例えば運転モードからスリープモードに移行してもカウントするクロック信号の周波数が変更されないので、システムタイマの計測精度を向上できるようになる。
【0049】
また、運転モードでは1msecでシステムタイマ計測用の割り込みを発生し、スリープモードでは20msecでシステムタイマ計測用の割り込みを発生する。これにより、スリープモードにおいてバッテリーの寿命を向上できる。例えば、スリープモードにおいて1msecでシステムタイマ計測用の割り込みを発生するとバッテリーの寿命が約70時間であったが、スリープモードにおいて20msecでシステムタイマ計測用の割り込みを発生するとバッテリーの寿命が約100時間に向上した。
【0050】
なお、実施例では、μの仕様に基づいて説明したが、適用するリアルタイムOSはμITronに限定されるものではない。また、実施例では、走査ミラーを使用した光学部を用いたが、CMOSセンサなどの固体撮像素子でコード記号を撮像するカメラモジュールを組み込んだ装置であっても、同様の効果が得られる。
【0051】
例えば図4に示すバーコードスキャナ200はCMOSセンサを備えた光学的情報読取装置の一例であり、レンズ21、CMOSセンサ22、信号処理回路23、CPU4、RAM8、ROM9、キーボード10、ディスプレイ11、スイッチ12、電源13、電源制御回路14、OSC15を備えている。なお、図1に示したバーコードスキャナ100と同じ構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図4に示すレンズ21は、不図示のLEDなどにより照射されたバーコードの反射光をCMOSセンサ22上に結像する。CMOSセンサ22は、この反射光を電気信号に変換して信号処理回路23に出力する。信号処理回路23は、電気信号を二値化処理して二値化信号をCPU4に出力する。CPU4は、二値化信号のエッジのタイミングで割り込みを発生してバーコードの幅長を求める。CPU4は、求めたバーコードの幅長と閾値とを比較して太いバー/細いバーなどを判別してバーコードキャラクタへ変換する。本発明は、このようなCMOSセンサなどの固体撮像素子でコード記号を撮像するカメラモジュールを組み込んだ装置であっても、同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、コード記号のような光反射率の異なる部分で構成される読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0054】
4・・・CPU、5・・・割込コントローラ、17・・・Base回路(基準クロック生成回路)、19・・・RTC回路(クロック回路)、100・・・バーコードスキャナ(光学的情報読取装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部の機能を停止して消費電力を節約する状態をスリープモードとし、略全ての機能が動作可能な状態を運転モードとしたとき、
前記スリープモード及び前記運転モードで動作する基準クロック生成回路と、
前記基準クロック生成回路から入力したクロック信号をカウントして所定のタイミングを生成し、前記タイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求するクロック回路とを備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記クロック回路は、リアルタイムクロックとして機能することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記スリープモードでは、前記運転モードよりも遅いタイミングで前記システムタイマ計測用の割り込みを発生することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
コード記号のような光反射率の異なる部分で構成される読取対象の情報を読み取る光学的情報読取装置を制御する方法であって、
前記光学的情報読取装置は、
一部の機能を停止して消費電力を節約する状態をスリープモードとし、略全ての機能が動作可能な状態を運転モードとしたとき、
前記スリープモード及び前記運転モードで動作する基準クロック生成回路によりクロック信号を生成するステップと、
前記クロック信号をカウントして所定のタイミングを生成するステップと、
前記タイミングでシステムタイマ計測用の割り込みを要求するステップと、
を有することを特徴とする光学的情報読取装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59828(P2011−59828A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206488(P2009−206488)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(391062872)株式会社オプトエレクトロニクス (70)
【Fターム(参考)】