説明

光学的情報読取装置

【課題】動作条件の変更を容易に実行し得る光学的情報読取装置を提供する。
【解決手段】装置の動作条件を変更する場合には、変更開始用コード54が表示されるとともに、この変更開始用コード54が表示される他側面52に通光可能な各通光穴53a〜53hが形成される変更開始用プレート50を、光学的情報読取装置の読取窓に対向するように載置する。設定キーコード62が露出された通光穴53a〜53hの位置に応じて、動作条件の変更が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置において、タッチパネルやキーボードのような入力手段のない固定式の読取装置などでは、通信速度等の当該装置における動作条件を変更する方法として、例えば、通信I/F等を介してホストから所定の情報を送信する方法がある。しかしながら、動作条件の変更の度に上記所定の情報をホスト等から送信する必要があるため、当該動作条件の変更作業が煩雑になるという問題がある。また、入力手段を有する読取装置であっても、携帯型の読取装置のように入力手段まで小型化が図られるために入力操作が行いにくい読取装置では、上述のような動作条件の変更作業(入力作業)が煩雑になるという問題がある。
【0003】
下記特許文献1に示すデータ処理装置では、変更すべき動作条件に応じてバーコードリーダ設定用のバーコードを作成して、このバーコードを読み取ったバーコードリーダの動作条件を変更する。具体的には、動作条件を変更するバーコードリーダのバーコードリーダ設定モードキーを押すことにより、当該バーコードリーダが、バーコードリーダ設定用バーコードを読み取り可能な状態になる。このような状態で、変更対象のバーコードリーダに所定のバーコードリーダ設定用バーコードを読み取らせることで、当該バーコードリーダの動作条件が読み取ったバーコードリーダ設定用バーコードに応じて変更される。これにより、バーコードリーダにおける動作条件を変更するための入力作業の簡素化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−283126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に示すような動作条件の変更方法では、まず、変更すべき動作条件に応じた変更用バーコードを作成・印刷したうえで、動作条件の変更処理を開始するために変更用バーコードを読み取り可能な状態にした後に、この変更用バーコードを読み取る必要がある。このため、変更すべき動作条件を特定するための変更用バーコードを用意する必要があり、入力作業の簡素化が困難になり動作条件の変更を容易に実行することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、動作条件の変更を容易に実行し得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学的情報読取装置では、撮像手段により読取口を介して撮像された情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置であって、当該光学的情報読取装置における動作条件の変更を開始する際に読み取らせる変更開始用コードが表示されるとともに、この変更開始用コードが表示される表示面に通光可能な通光穴が形成される変更開始用部材と、前記変更開始用部材が前記読取口を塞ぐように載置されることで、前記撮像手段により前記設定開始用コードが撮像されて読み取られる場合に、前記通光穴が塞がれる遮光状態が撮像されると、この通光穴の前記設定開始用コードに対する位置に応じて、前記動作条件の変更を実行する動作条件変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記変更開始用部材の前記表示面には、複数の前記通光穴が形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記動作条件変更手段は、前記変更開始用部材が前記読取口を塞ぐように載置されることで、前記撮像手段により前記設定開始用コードが撮像されて読み取られる場合に、前記通光穴が特定の情報コードにより塞がれることでこの特定の情報コードが当該通光穴を介し撮像されて読み取られると、この通光穴の前記設定開始用コードに対する位置に応じて、前記動作条件の変更を実行することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記特定の情報コードには、前記動作条件の変更を許可するための許可情報が読み取り可能に記録され、前記動作条件変更手段は、前記通光穴を介し撮像された情報コードから前記許可情報が読み取られる場合に、当該通光穴の前記設定開始用コードに対する位置に応じて、前記動作条件の変更を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、変更開始用コードが表示されるとともに、この変更開始用コードが表示される表示面に通光可能な通光穴が形成される変更開始用部材を、読取口を塞ぐように載置する。そして、撮像手段により設定開始用コードが撮像されて読み取られる場合に通光穴が塞がれる遮光状態が撮像されると、この通光穴の設定開始用コードに対する位置に応じて、動作条件変更手段により動作条件の変更が実行される。
【0012】
これにより、作業者が所望の動作条件に対応する通光穴が形成される変更開始用部材を読取口を塞ぐように載置してその通光穴を塞ぐことで、所望の動作条件への変更が実行される。
したがって、光学的情報読取装置の動作条件の変更を容易に実行することができる。
【0013】
請求項2の発明では、変更開始用部材の表示面には複数の通光穴が形成されるので、作業者は、読取口を塞ぐように載置された変更開始用部材の各通光穴のうち所望の動作条件の変更に応じた通光穴を遮光状態にすることで、当該所望の動作条件への変更が実行される。これにより、変更すべき動作条件が何種類もある場合でも、1つの変更開始用部材にて複数種類の動作条件の変更を容易に実行することができる。
【0014】
請求項3の発明では、撮像手段により設定開始用コードが撮像されて読み取られる場合に、通光穴が特定の情報コードにより塞がれることでこの特定の情報コードが当該通光穴を介し撮像されて読み取られると、この通光穴の設定開始用コードに対する位置に応じて、動作条件変更手段により動作条件の変更が実行される。すなわち、作業者が変更開始用部材の各通光穴のうち所望の動作条件の変更に応じた通光穴に対して、その通光穴を塞ぐように特定の情報コードをかざすことで、当該所望の動作条件への変更が実行される。これにより、単に通光穴が遮光状態になっただけでは動作条件が変更されないため、作業者の意図しない動作条件の変更を防止することができる。
【0015】
請求項4の発明では、通光穴を介し撮像された情報コードから許可情報が読み取られる場合に、当該通光穴の設定開始用コードに対する位置に応じて、動作条件変更手段により動作条件の変更が実行される。このため、上記特定の情報コードと同種の情報コードであっても上記許可情報が記録されない情報コードの読み取りでは動作条件が変更されないので、作業者の意図しない動作条件の変更を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る光学的情報読取装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】変更開始用プレートを示す説明図である。
【図4】図4(A)は、選択用部材を示す斜視図であり、図4(B)は、他側面において通光穴から設定キーコードを露出させた状態を示す説明図である。
【図5】制御回路において実施される読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図5中の動作条件変更処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る変形例での動作条件変更処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光学的情報読取装置10を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の光学的情報読取装置10の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示すように、光学的情報読取装置10は、据え置き型の読取装置であって、ABS樹脂等の合成樹脂からなるケース11によって外郭が構成され、このケース11の内部には、バーコードや二次元コード等の情報コードCの読み取りを行う回路20(後述)が収容されている。なお、図1では、携帯端末Tの表示画面に表示される情報コードを読み取る状態を例示している。
【0018】
ケース11の上面12は、平面状に形成されており、この上面12の中央には、矩形状の読取窓13が設けられている。この読取窓13は、当該読取装置10から出射される照明光および情報コードCからの反射光を透過可能な透明のアクリル樹脂やガラス等から形成されている。また、読取窓13をケース11に設けることにより、ケース11内部への塵や埃などの異物の侵入を防止している。なお、読取窓13は、特許請求の範囲に記載の「読取口」の一例に相当し得る。
【0019】
次に、光学的情報読取装置10の回路20の電気的構成について説明する。
図2に示すように、回路20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0020】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードCが表示画面に表示された携帯端末Tに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。なお、照明光Lfは、上述のように、読取窓13を介してケース11外へ出射される。
【0021】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、CCDエリアセンサとして構成されるものであり、情報コードCまたは携帯端末Tに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。なお、受光センサ28は、特許請求の範囲に記載の「撮像手段」の一例に相当し得る。
【0022】
結像レンズ27は、外部から読取窓13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aに情報コードCの像を結像させている。
【0023】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40等から構成されている。このマイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心として構成され、上述した光学系によって撮像された情報コードCの画像信号をハードウェア的及びソフトウェア的に信号処理し得るものである。
【0024】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0025】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理、解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0026】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)や上位システムに相当するホストコンピュータ等と接続可能に構成されている。
【0027】
図3は、変更開始用プレート50を示す説明図であり、図3(A)は一側面51の表示状態を示し、図3(B)は他側面52の表示状態を示す。図4(A)は、選択用部材60を示す斜視図であり、図4(B)は、他側面52において通光穴53aから設定キーコード62を露出させた状態を示す説明図である。
【0028】
光学的情報読取装置10には、当該装置の動作条件を変更するための変更開始用プレート50と選択用部材60とが用意されている。変更開始用プレート50は、ケース11の上面12上に載置されるときに読取窓13を塞ぐように平板状であって非通光性の材料にて形成されている。なお、本実施形態では、変更開始用プレート50は、読取窓13よりも広く形成されるが、これに限らず、読取窓13よりも狭く形成されてもよいし、読取窓13を塞ぐことが可能な形状に形成されてもよい。
【0029】
図3(A),(B)に示すように、変更開始用プレート50には、一側面51から他側面52にかけて通光可能に開口する8つの通光穴53a〜53hが設けられている。各通光穴53a〜53hは、同一形状であってそれぞれ楕円状に開口するように形成されている。通光穴53a〜53cは、当該装置の動作条件として通信速度を変更するためのものであって、図3(A)に示すように、一側面51において、通光穴53aの近傍に「9600」が表示され、通光穴53bの近傍に「19200」が表示され、通光穴53cの近傍に「38400」が表示されている。また、通光穴53d〜53fは、当該装置の動作条件としてパリティを変更するためのものであって、一側面51において、通光穴53dの近傍に「無し」が表示され、通光穴53eの近傍に「偶数」が表示され、通光穴53fの近傍に「奇数」が表示されている。また、通光穴53g,53hは、当該装置の動作条件としてデータ長を変更するためのものであって、一側面51において、通光穴53gの近傍に「8ビット」が表示され、通光穴53hの近傍に「7ビット」が表示されている。
【0030】
また、図3(B)に示すように、変更開始用プレート50には、その他側面52上であって通光穴53bと通光穴53eとの間に、変更開始用コード54が表示されている。この変更開始用コード54は、例えば、QRコード(登録商標)であって、後述するデコード処理により、当該装置の動作条件の変更を開始するための変更開始情報と、他側面52上における変更開始用コード54と各通光穴53a〜53hとの相対位置情報と、各通光穴53a〜53hのいずれかから後述する設定キーコード62が露出することでその通光穴が遮光される状態が検出されるときに当該通光穴に応じて選択される動作条件に関する動作条件情報と、が読み取られるように構成されている。
【0031】
なお、上述した相対位置情報や動作条件情報は、変更開始用コード54から直接読み取られることなく、予めメモリ35に記憶しておき、変更開始用コード54を読み取ったときに、この変更開始用コード54に応じてメモリ35から読み出されてもよい。また、変更開始用プレート50は、特許請求の範囲に記載の「変更開始用部材」の一例に相当し、他側面52は、特許請求の範囲に記載の「表示面」の一例に相当し得る。
【0032】
図4(A),(B)に示すように、選択用部材60は、略円柱状に形成されており、その端面61には、各通光穴53a〜53hのいずれかから露出可能な大きさの設定キーコード62が表示されている。この設定キーコード62は、例えば、QRコードであって、当該装置の動作条件の変更を許可する許可情報が読み取られるように構成されている。なお、設定キーコード62は、特許請求の範囲に記載の「特定の情報コード」の一例に相当し得る。
【0033】
次に、上述のように構成される光学的情報読取装置10の制御回路40にて実行される読取処理について図5および図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。図5は、制御回路40において実施される読取処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、図5中の動作条件変更処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【0034】
まず、制御回路40では、図5のステップS101において、撮像処理がなされる。この処理では、読取窓13に近付けられた情報コードが受光センサ28により撮像されると、この情報コードを含む画像データがメモリ35に記憶される。次に、ステップS103にてメモリ35に記憶された画像データのうち情報コードに相当するコード画像に対して公知のデコード処理が実施される。この処理により、情報コードとして符号化された文字データ等がデコード(解読)されると、ステップS105にて、変更開始用コード54の読み取りか否かについて判定される。ここで、ステップS101にて撮像された情報コードが変更開始用コード54でないことから、ステップS105にてNoと判定されると、ステップS107にてデータ出力処理がなされる。この処理では、ステップS103にてデコードされた文字データ等がホストコンピュータ等に出力される。
【0035】
一方、当該装置の動作条件の変更を開始するために、作業者により変更開始用プレート50が他側面52にて読取窓13を塞ぐように上面12上に載置されると、ステップS101にて変更開始用コード54が撮像されることから、ステップS103にて上述した変更開始情報、相対位置情報および動作条件情報が読み取られる。このとき、変更開始用プレート50は、その他側面52にて読取窓13を塞いでいるため、その一側面51が作業者に見えるように上面12上に載置されることとなる。
【0036】
上述のように変更開始用コード54が読み取られることで変更開始情報が取得されて、ステップS105にてYesと判定されると、ステップS200にて動作条件変更処理のサブルーチンが実行される。なお、ステップS200を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「動作条件変更手段」の一例に相当し得る。
【0037】
このサブルーチンでは、まず、図6のステップS201にてステップS101と同様に撮像処理がなされた後、ステップS203において、ステップS201にて撮像された画像にて各通光穴53a〜53hのいずれかから情報コードが露出しているか否かについて判定される。そして、設定キーコード62を含めた情報コードが通光穴を介して露出することでその通光穴が遮光される状態がステップS201にて撮像されるまで、ステップS203にてNoとの判定が繰り返される。なお、変更開始用プレート50が、その他側面52にて読取窓13を塞ぐように上面12上に載置されているため、ステップS201における撮像処理では、変更開始用コード54が常に撮像されている。また、ステップS203にてNoとの判定が繰り返される状態において、変更開始用プレート50が上面12上から取り除かれたことから変更開始用コード54が撮像されなくなると、本動作条件変更処理が終了される。
【0038】
そして、例えば、通信速度を9600bpsに変更するために、作業者が選択用部材60の端面61を通光穴53aに近付けることで、設定キーコード62が通光穴53aを介して露出することで通光穴53aが遮光される状態がステップS201にて撮像されると(図4(B)参照)、ステップS203にてYesと判定される。
【0039】
次に、ステップS205にてデコード処理がなされ、撮像された設定キーコード62がデコード(解読)されることで上述した許可情報が読み取られると、ステップS207にてYesと判定される。続いて、ステップS209において、相対位置計測処理がなされる。この処理では、ステップS201にて撮像された画像において、変更開始用コード54に対する設定キーコード62の相対位置が計測される。
【0040】
続いて、ステップS211において、動作条件設定処理がなされる。この処理では、ステップS209にて計測された設定キーコード62の相対位置と、ステップS103にて取得した相対位置情報および動作条件情報とに基づいて、当該装置の動作条件が設定される。
【0041】
具体的には、例えば、設定キーコード62が通光穴53aを介して露出した状態で撮像される場合には、ステップS209にて計測される変更開始用コード54に対する設定キーコード62の相対位置は、上記相対位置情報に基づいて、変更開始用コード54に対する通光穴53aの相対位置に相当すると判断できる。そのため、当該装置の動作条件は、上記動作条件情報に基づいて、通光穴53aに対応する動作条件である「通信速度9600bps」に設定される。
【0042】
また、例えば、ステップS201において、設定キーコード62が通光穴53dを介して露出した状態で撮像される場合には、ステップS209にて計測される変更開始用コード54に対する設定キーコード62の相対位置は、上記相対位置情報に基づいて、変更開始用コード54に対する通光穴53dの相対位置に相当すると判断できる。そのため、当該装置の動作条件は、上記動作条件情報に基づいて、通光穴53dに対応する動作条件である「パリティ無し」に設定される。
【0043】
また、例えば、ステップS201において、設定キーコード62が通光穴53gを介して露出した状態で撮像される場合には、ステップS209にて計測される変更開始用コード54に対する設定キーコード62の相対位置は、上記相対位置情報に基づいて、変更開始用コード54に対する通光穴53gの相対位置に相当すると判断できる。そのため、当該装置の動作条件は、上記動作条件情報に基づいて、通光穴53gに対応する動作条件である「データ長8ビット」に設定される。
【0044】
なお、設定キーコード62と異なる情報コードがいずれかの通光穴を介して露出する状態がステップS201にて撮像されることで、ステップS203にてYesと判定されると、ステップS207にてNoと判定されて、上述したステップS209以降の処理を実施することなく、動作条件変更処理のサブルーチンを終了する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、当該装置の動作条件を変更する場合には、変更開始用コード54が表示されるとともに、この変更開始用コード54が表示される他側面52に通光可能な各通光穴53a〜53hが形成される変更開始用プレート50を、読取窓13を塞ぐように載置する。そして、ステップS201にて設定開始用コード54が撮像されて読み取られる場合に通光穴が塞がれる遮光状態が撮像されると、この通光穴の設定開始用コード54に対する位置に応じて、ステップS211にて動作条件の変更が実行される。
【0046】
これにより、作業者が所望の動作条件に対応する通光穴が形成される変更開始用プレート50を読取窓13を塞ぐように載置してその通光穴を塞ぐことで、所望の動作条件への変更が実行される。
したがって、光学的情報読取装置10の動作条件の変更を容易に実行することができる。
【0047】
さらに、変更開始用プレート50の他側面52には複数の通光穴53a〜53hが形成されるので、作業者は、読取窓13を塞ぐように載置された変更開始用プレート50の各通光穴のうち所望の動作条件の変更に応じた通光穴に設定キーコード62を露出させることで、当該所望の動作条件への変更が実行される。これにより、変更すべき動作条件が何種類もある場合でも、1つの変更開始用プレート50にて複数種類の動作条件の変更を容易に実行することができる。
【0048】
特に、ステップS201にて設定開始用コード54が撮像されて読み取られる場合に、通光穴が設定キーコード62により塞がれることでこの設定キーコード62が当該通光穴を介し撮像されて読み取られると、この通光穴の設定開始用コード54に対する相対位置に応じて、ステップS211にて動作条件の変更が実行される。すなわち、作業者が変更開始用プレート50の各通光穴53a〜53hのうち所望の動作条件の変更に応じた通光穴に対して、その通光穴を塞ぐように設定キーコード62をかざすことで、当該所望の動作条件への変更が実行される。これにより、例えば、単に通光穴が遮光状態になっただけでは動作条件が変更されないため、作業者の意図しない動作条件の変更を防止することができる。
【0049】
さらに、ステップS201にて通光穴を介し撮像された情報コードから許可情報が読み取られる場合に、当該通光穴の設定開始用コード54に対する位置に応じて、ステップS211にて動作条件の変更が実行される。このため、上記設定キーコード62と同種の情報コードであっても上記許可情報が記録されない情報コードの読み取りでは動作条件が変更されないので、作業者の意図しない動作条件の変更を確実に防止することができる。
【0050】
なお、撮像した情報コード(設定キーコード62)から許可情報が読み取られる場合に、ステップS207にてYesと判定されてステップS209以降の処理が実施されることに限らず、例えば、所定の規格の情報コードがステップS201にて撮像される場合に、許可情報の有無にかかわらずステップS209以降の処理が実施されてもよい。
【0051】
図7は、本実施形態に係る変形例での動作条件変更処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
本実施形態に係る変形例として、動作条件変更処理のサブルーチンでは、いずれかの通光穴が遮光される状態が撮像される場合に、動作条件を変更してもよい。
【0052】
具体的には、動作条件変更処理が開始され、図7のステップS201にて撮像されると、ステップS203aにて、各通光穴53a〜53hのいずれかが遮光状態であるか否かについて判定される。そして、例えば、通光穴53aが遮光状態が撮像されると(S203aでYes)、ステップS209aにて相対位置計測処理がなされ、ステップS201にて撮像された画像において、変更開始用コード54に対する遮光状態の通光穴の相対位置が計測される。続いて、ステップS211aにて動作条件設定処理がなされ、ステップS209にて計測された遮光状態の通光穴の相対位置と、ステップS103にて取得した相対位置情報および動作条件情報とに基づいて、当該装置の動作条件が設定される。
【0053】
このように、作業者が所望の動作条件に対応する通光穴を単に塞ぐことで、所望の動作条件への変更が実行されるので、上述した選択用部材60を用いることなく、光学的情報読取装置10の動作条件の変更を容易に実行することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)光学的情報読取装置10の変更可能な動作条件としては、上述した通信速度、パリティおよびデータ長が採用されることに限らず、例えば、読み取りを許可するコードの種類であってもよい。また、変更開始用プレート50に対して、通光穴の数を増やすことで、選択可能な動作条件の段階を増やしてもよい。また、変更開始用プレート50に対して、通光穴を1つ設けることで、選択可能な動作条件を1つとしてもよい。
【0055】
(2)選択用部材60は、端面61に設定キーコード62が表示されるように円柱状に形成されることに限らず、設定キーコード62を各通光穴53a〜53hのいずれかから露出させるのに容易な形状の部材に表示させるように形成されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…光学的情報読取装置
13…読取窓(読取口)
28…受光センサ(撮像手段)
40…制御回路(動作条件変更手段)
50…変更開始用プレート(変更開始用部材)
51…一側面
52…他側面(表示面)
53a〜53h…通光穴
54…変更開始用コード
60…選択用部材
62…設定キーコード(特定の情報コード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段により読取口を介して撮像された情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置であって、
当該光学的情報読取装置における動作条件の変更を開始する際に読み取らせる変更開始用コードが表示されるとともに、この変更開始用コードが表示される表示面に通光可能な通光穴が形成される変更開始用部材と、
前記変更開始用部材が前記読取口を塞ぐように載置されることで、前記撮像手段により前記設定開始用コードが撮像されて読み取られる場合に、前記通光穴が塞がれる遮光状態が撮像されると、この通光穴の前記設定開始用コードに対する位置に応じて、前記動作条件の変更を実行する動作条件変更手段と、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記変更開始用部材の前記表示面には、複数の前記通光穴が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記動作条件変更手段は、
前記変更開始用部材が前記読取口を塞ぐように載置されることで、前記撮像手段により前記設定開始用コードが撮像されて読み取られる場合に、前記通光穴が特定の情報コードにより塞がれることでこの特定の情報コードが当該通光穴を介し撮像されて読み取られると、この通光穴の前記設定開始用コードに対する位置に応じて、前記動作条件の変更を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記特定の情報コードには、前記動作条件の変更を許可するための許可情報が読み取り可能に記録され、
前記動作条件変更手段は、前記通光穴を介し撮像された情報コードから前記許可情報が読み取られる場合に、当該通光穴の前記設定開始用コードに対する位置に応じて、前記動作条件の変更を実行することを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−252674(P2012−252674A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127203(P2011−127203)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】