説明

光学的情報読取装置

【課題】情報コードの撮像状態を考慮して適正な読取距離を報知し得る光学的情報読取装置を提供する。
【解決手段】抽出された特定パターンを構成する各モジュールについて、これら各モジュールの輝度値に基づいて当該特定パターンのぼけ具合が算出されるとともに、当該各モジュールの幅値に基づいて当該特定パターンの特定幅値が算出される。そして、上記ぼけ具合に基づいて当該特定パターンが読取適正距離範囲X外で撮像されたと判定される場合に、上記特定幅値に基づいて、当該特定パターンが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されたと判定されると第1照射光L1が照射され、当該特定パターンが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されていないと判定されると第2照射光L2が照射されるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取るためのハンディタイプの光学的情報読取装置においては、近年、使い勝手の良さから、読取対象から離れた位置から読取りができるものが実用化されている。この種のハンディタイプの光学的情報読取装置は、例えば、手持ち可能に構成された本体ケース内に、CCDエリアセンサなどの受光センサ、結像レンズを有する結像光学部、LEDなどの照明装置等を備えて構成される。そして、ユーザが、本体ケースの先端部に形成される読取口を読取対象に向けた状態で、トリガースイッチを操作すると、照明装置により情報コードが表示された読取対象に対して照明光が照射され、その反射光が読取口から入射され、結像レンズを介して受光センサにより撮像されるようになっている。
【0003】
そして、この種の光学的情報読取装置においては、読取対象(情報コード)と装置(読取口)との間の位置合せのために、レーザダイオードやLEDを用いて、読取対象に対して読取位置(受光センサの視野やその中心位置)を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射手段を備えるものとして、例えば、特許文献1に示す情報記号読取り装置が知られている。この情報記号読取り装置にて採用されるマーカ光照射手段は、読取視野の中心部と左右両端部との3点のスポット光を照射するようになっている。また、このマーカ光は、位置合せ時にのみ照射(点灯)され、情報コードの画像取込み時には消灯される。
【0004】
ところで、この種の光学的情報読取装置にあっては、照明光の強度や受光センサの露光時間等の関係から、読取りに適切となる読取距離(装置から読取対象までの距離)にある程度の範囲がある。そのため、上述した特許文献1の情報記号読取り装置では、情報コードの最適な読取り深度(距離)をユーザに視覚的に知らせるべく、3点のスポット光からなるマーカ光が、最適な読取距離において読取対象面にくっきりと結像され、適切な距離範囲から外れるとぼけるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−250172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、情報コードを光学的に読み取る場合、当該情報コードを構成する各モジュールのモジュールサイズに応じて読み取り可能な読取距離が変わる。このため、上述した特許文献1に開示されるような構成では、マーカ光の投影像の形状に基づいて合焦点距離が報知されるものの、情報コードの撮像状態が考慮されないため、情報コードのモジュールサイズによっては適正な読取距離を報知できない場合がある。この場合には、撮像された情報コードにぼけ等が生じているためにデコードが失敗してしまうと、使用者に不信感を与えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、情報コードの撮像状態を考慮して適正な読取距離を報知し得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の光学的情報読取装置は、複数の明色モジュールおよび暗色モジュールからなる情報コード(B,Q)であって前記明色モジュールおよび前記暗色モジュールが所定の順序で配列される特定パターン(Cs,FP)を含む情報コードを撮像する撮像手段(28)と、前記撮像手段により撮像された撮像画像に含まれる前記情報コードのコード画像に基づいて当該情報コードをデコードするデコード手段(40)と、を備える光学的情報読取装置(40)であって、前記撮像画像から前記情報コードの前記特定パターンを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記特定パターンを構成する各モジュールの輝度値に基づいて当該特定パターンのぼけ具合(F)を算出するぼけ具合算出手段(40)と、前記抽出手段により抽出された前記特定パターンを構成する各モジュールの幅値に基づいて当該特定パターンの配列方向の幅値を特定幅値(H)として算出する幅値算出手段(40)と、前記ぼけ具合算出手段により算出される前記ぼけ具合に基づいて、前記特定パターンが読取適正距離範囲(X)外で撮像されたか否かを判定する第1判定手段(40)と、前記幅値算出手段により算出される前記特定幅値に基づいて、前記特定パターンが前記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたか否かを判定する第2判定手段(40)と、前記撮像手段により撮像された前記情報コードが当該装置に対して前記読取適正距離範囲から外れて位置することを示す照射光であって、前記読取適正距離範囲を外れて遠方に位置することを示す第1照射光(L1)と、前記読取適正距離範囲を外れて近辺に位置することを示す第2照射光(L2)とのいずれかを照射可能な照射手段(50,51,52)と、前記第1判定手段により前記ぼけ具合に基づいて前記特定パターンが前記読取適正距離範囲外で撮像されたと判定される場合に、前記第2判定手段により前記特定幅値に基づいて、前記特定パターンが前記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたと判定されると前記第1照射光が照射され、前記特定パターンが前記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されていないと判定されると前記第2照射光が照射されるように、前記照射手段を制御する制御手段(40)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記照射手段は、前記第1照射光の発光状態と前記第2照射光の発光状態とが異なるように構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記撮像手段により撮像された撮像画像に前記コード画像の全てが含まれることなく一部が含まれるか否かを判定する第3判定手段(40)と、前記撮像手段により前記撮像画像として撮像される撮像エリア(S)の外縁(Se,S1〜S4)に相当する複数個所に対して第3照射光(L1〜L4)を照射可能な外縁照射手段(50,51〜54)と、を備え、前記制御手段は、前記第3判定手段により前記コード画像の全てが含まれることなく一部が含まれると判定される場合に、前記撮像エリアの外縁に相当する箇所であって、当該コード画像の一部が前記撮像画像に占める位置から求められる前記情報コード内に位置する箇所か、この情報コードに対して他の箇所よりも近くに位置する箇所に、前記第3照射光が照射されるように前記外縁照射手段を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記外縁照射手段は、前記第3照射光の発光状態が前記第1照射光の発光状態および前記第2照射光の発光状態と異なるように構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記情報コードは、QRコード(Q)であって、前記特定パターンは、前記QRコードの位置を検出するための位置検出パターン(FP)であることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、抽出手段により抽出された特定パターンを構成する各モジュールについて、これら各モジュールの輝度値に基づいて当該特定パターンのぼけ具合がぼけ具合算出手段により算出されるとともに、当該各モジュールの幅値に基づいて当該特定パターンの特定幅値が幅値算出手段により算出される。そして、第1判定手段により上記ぼけ具合に基づいて特定パターンが上記読取適正距離範囲外で撮像されたと判定される場合に、第2判定手段により上記特定幅値に基づいて、特定パターンが上記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたと判定されると上記第1照射光が照射され、特定パターンが上記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されていないと判定されると上記第2照射光が照射されるように、制御手段により照射手段が制御される。
【0014】
これにより、特定パターンを有する情報コードが上記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されると、第1判定手段により特定パターンが上記読取適正距離範囲外で撮像されたと判定されるとともに、第2判定手段により特定パターンが上記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたと判定されて、上記第1照射光が照射される。このように照射される第1照射光を見た使用者に対して、情報コードが上記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されており、この情報コードに対して当該光学的情報読取装置を近づける必要があることを報知することができる。
【0015】
また、特定パターンを有する情報コードが上記読取適正距離範囲よりも近辺で撮像されると、第1判定手段により特定パターンが上記読取適正距離範囲外で撮像されたと判定されるとともに、第2判定手段により特定パターンが上記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されていないと判定されて、上記第2照射光が照射される。このように照射される第2照射光を見た使用者に対して、情報コードが上記読取適正距離範囲よりも近辺で撮像されており、この情報コードに対して当該光学的情報読取装置を遠ざける必要があることを報知することができる。
したがって、情報コードの撮像状態を考慮して適正な読取距離を報知することができる。
【0016】
請求項2の発明では、上記第1照射光の発光状態と上記第2照射光の発光状態とが異なるように照射手段が構成されるため、第1照射光と第2照射光とを容易に区別しやすくなるので、使用者は、第1照射光および第2照射光のいずれかを見るだけで、適正な読取距離を容易に把握することができる。
【0017】
請求項3の発明では、撮像手段により撮像された撮像画像にコード画像の全てが含まれることなく一部が含まれると第3判定手段により判定される場合に、上記撮像エリアの外縁に相当する箇所であって、当該コード画像の一部が撮像画像に占める位置から求められる情報コード内に位置する箇所か、この情報コードに対して他の箇所よりも近くに位置する箇所に、第3照射光が照射されるように、外縁照射手段が制御手段により制御される。
【0018】
これにより、第3照射光が照射される位置は、上記撮像エリアの外縁上であって一部が撮像された情報コード内またはその近傍を示すため、その照射位置に撮像手段の撮像方向を向けることで、当該情報コードの全てを上記撮像エリア内に入れることができる。このため、上述のように第3照射光を照射することで、撮像画像にコード画像が全て含まれていない撮像状態であることを報知するだけでなく、当該情報コードの全てを撮像するために撮像手段の撮像方向を変化させるべき方向を報知することができる。
【0019】
請求項4の発明では、上記第3照射光の発光状態が上記第1照射光の発光状態および上記第2照射光の発光状態と異なるように外縁照射手段が構成されるため、第3照射光と第1照射光および第2照射光とを容易に区別しやすくなるので、使用者は、各照射光のいずれかを見るだけで、適正な読取距離または撮像手段の撮像方向を変化させるべき方向を容易に把握することができる。
【0020】
請求項5の発明のように、撮像される情報コードがQRコード(登録商標)であれば、上記特定パターンとしてQRコードの位置を検出するための位置検出パターンが採用されるため、ぼけ具合および特定幅値を容易かつ精度良く算出することができる。これにより、情報コードの撮像状態が十分に考慮されて、適正な読取距離を確実に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る光学的情報読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】撮像エリアに対する外縁照射装置の各照射状態を説明するための説明図である。
【図3】読取適正距離範囲と外縁照射装置の各照射状態との関係を説明するための説明図である。
【図4】制御回路により実行される読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図5(A)は、撮像画像としてQRコードが撮像された状態を示す説明図であり、図5(B)は、読取適正距離範囲にあるQRコードの位置検出パターンの撮像状態とこの位置検出パターンの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。
【図6】図6(A)は、読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたQRコードの位置検出パターンの撮像状態とこの位置検出パターンの配列方向における輝度値の変化を示す説明図であり、図6(B)は、読取適正距離範囲よりも近辺で撮像されたQRコードの位置検出パターンの撮像状態とこの位置検出パターンの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。
【図7】画像データにコード画像が一部含まれるときのQRコードと撮像エリアの外縁領域との位置関係を示す説明図である。
【図8】図8(A)は、撮像画像としてバーコードが撮像された状態を示す説明図であり、図8(B)は、読取適正距離範囲にあるバーコードのスタートキャラクタの撮像状態とこのスタートキャラクタの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。
【図9】図9(A)は、読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたバーコードのスタートキャラクタの撮像状態とこのスタートキャラクタの配列方向における輝度値の変化を示す説明図であり、図9(B)は、読取適正距離範囲よりも近辺で撮像されたバーコードのスタートキャラクタの撮像状態とこのスタートキャラクタの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る光学的情報読取装置の一実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の電気的構成を示すブロック図である。図2は、撮像エリアSに対する外縁照射装置50の各照射状態を説明するための説明図である。
【0023】
図1に示す光学的情報読取装置10は、物品に付されたバーコードなどの一次元コードや二次元コード等、複数の白色パターン(明色パターン)および黒色パターン(暗色パターン)が配列されてなる情報コードを光学的に読み取る装置として構成されている。この光学的情報読取装置10は、ケース11の内部に回路部20が収容されてなるものであり、回路部20は、主に、照明光源21、外縁照射装置50、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0024】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系は、照明光源21と外縁照射装置50とから構成されている。照明光源21は、制御回路40により制御されて、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1では、QRコードQが付された読取対象Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0025】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、QRコードQ等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。なお、受光センサ28は、特許請求の範囲に記載の「撮像手段」の一例に相当し得る。
【0026】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光LfがQRコードQにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0027】
外縁照射装置50は、受光センサ28により撮像画像として撮像される撮像エリア(読取視野)Sとの距離にかかわらず、当該撮像エリアSの外縁近傍に相当する外縁領域Seの複数個所に対して照射光を照射可能に構成されている。具体的には、外縁照射装置50は、制御回路40により制御される4つの光源51〜54を備えており、図2に示すように、外縁領域Seのうち、光源51により下側領域S1に対して照射光L1を照射し、光源52により上側領域S2に対して照射光L2を照射し、光源53により左側領域S3に対して照射光L3を照射し、光源54により右側領域S4に対して照射光L4を照射するように構成されている。
【0028】
特に、光源51は、下側領域S1に対して緑色の照射光L1と青色の照射光L1とのいずれかを照射可能に構成されており、光源52は、上側領域S2に対して黄緑色の照射光L2と青色の照射光L2とのいずれかを照射可能に構成されている。また、光源53は、左側領域S3に対して青色の照射光L3を照射可能に構成されており、光源54は、右側領域S4に対して青色の照射光L4を照射可能に構成されている。
【0029】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。
【0030】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力され所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0031】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述したコード画像情報格納領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理や解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21や外縁照射装置50、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0032】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有すると共に、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、制御回路40には、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等が接続されている。これにより、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、発光部43の点灯、非点灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御や外部装置との通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等が制御回路40によって行われることとなる。
【0033】
次に、このように構成される光学的情報読取装置10の制御回路40にて実行される読取処理について、図を用いて説明する。図3は、読取適正距離範囲Xと外縁照射装置50の各照射状態との関係を説明するための説明図である。図4は、制御回路40により実行される読取処理の流れを例示するフローチャートである。図5(A)は、撮像画像としてQRコードQが撮像された状態を示す説明図であり、図5(B)は、読取適正距離範囲XにあるQRコードQの位置検出パターンFPの撮像状態とこの位置検出パターンFPの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。図6(A)は、読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されたQRコードQの位置検出パターンFPの撮像状態とこの位置検出パターンFPの配列方向における輝度値の変化を示す説明図であり、図6(B)は、読取適正距離範囲Xよりも近辺で撮像されたQRコードQの位置検出パターンFPの撮像状態とこの位置検出パターンFPの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。図7は、画像データにコード画像が一部含まれるときのQRコードQと撮像エリアSの外縁領域Seとの位置関係を示す説明図である。
【0034】
本実施形態に代表される光学的情報読取装置の構成では、照明光の強度や受光センサの露光時間等の関係から、読取りに適切となる読取距離(装置から読取対象までの距離)にある程度の範囲(読取適正距離範囲X:図3参照)がある。そうすると、情報コードを光学的に読み取る場合、当該情報コードを構成する各モジュールのモジュールサイズに応じて最適な照明光の強度や受光センサの露光時間が変わることから、モジュールサイズに応じて読み取り可能な読取距離、すなわち、読取適正距離範囲Xが変わることとなる。
【0035】
そこで、本実施形態における読取処理では、明色モジュールおよび暗色モジュールが所定の順序で配列される特定パターンを含む情報コード、例えば、特定パターンとして位置を検出するための位置検出パターンFPを含むQRコードQが撮像される場合には、以下のように処理される。すなわち、この位置検出パターンFPが読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されたと判定される場合とこの読取適正距離範囲Xよりも近辺で撮像されたと判定される場合とにおいて、外縁照射装置50による照射状態を変更する。
【0036】
具体的には、位置検出パターンFPが読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されたと判定される場合には、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xを外れて遠方に位置することを報知する第1照射光として、外縁照射装置50の光源51から下側領域S1に対して緑色の照射光L1が照射される。また、位置検出パターンFPが読取適正距離範囲Xよりも近辺で撮像されたと判定される場合には、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xを外れて近辺に位置することを報知する第2照射光として、外縁照射装置50の光源52から上側領域S2に対して黄緑色の照射光L2が照射される。これにより、使用者が外縁照射装置50による照射状態を見ることで、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像された状態か、または、近辺で撮像された状態かを使用者に報知することができる。
【0037】
以下、本実施形態に係る読取処理について、図4に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、位置検出パターンFPを有するQRコードQを読取対象とする場合について説明する。ここで、位置検出パターンFPは、当該位置検出パターンFPに対して横断または縦断するように明暗情報を走査すると、暗、明、暗、明、暗の順番で同色モジュールの連続比率が1:1:3:1:1となるように構成されている。なお、当該読取処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「制御手段」の一例に相当し得る。
【0038】
本実施形態では、光学的情報読取装置10が電源オン状態になり、図4に示す読取処理が開始されて、使用者が所定操作、例えば、トリガースイッチ42のオン操作を行うことで、ステップS101に示す判定処理にてYesと判定されると、ステップS103に示すコード撮像処理がなされる。この処理では、まず制御回路40が同期信号を基準に照明光源21に発光信号を出力し、当該発光信号を受けた照明光源21が、LEDを発光させて照明光Lfを照射する。すると、QRコードQに照射された照明光Lfが反射し、その反射光Lrが読取口13を介して結像レンズ27に入射する。そして、受光センサ28の受光面28aには結像レンズ27によってQRコードQの像、つまりコード画像が結像される。これにより、受光センサ28を構成する各受光素子が露光され、それら各受光素子からQRコードQを含めた像に応じた受光信号がそれぞれ出力される。これら受光信号は、例えば、図5(A)に例示するように、QRコードQのコード画像を含めた画像データを構成するものであり、このように生成された画像データはメモリ35に一時的に記憶される。
【0039】
次に、ステップS105に示す特定パターン抽出処理がなされる。この処理では、上記ステップS103にて生成した画像データに対して、QRコードQの3つの位置検出パターンFPのうちいずれか1つを抽出するための処理がなされる。このとき、上記コード撮像処理にて撮像された画像データに位置検出パターンFPが含まれていない場合には、ステップS107にてNoと判定されて、上述したコード撮像処理が再度なされる。なお、ステップS105に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「抽出手段」の一例に相当し得る。
【0040】
上記コード撮像処理にて撮像された画像データに位置検出パターンFPが含まれていると(S107でYes)、ステップS109に示すぼけ具合算出処理がなされる。この処理では、上記特定パターン抽出処理にて抽出された位置検出パターンFPを構成する各モジュールと周囲のマージンの輝度値、具体的には、位置検出パターンFPを構成する各モジュールのうち、最も幅値が大きな暗色モジュール(図5(B)のM3参照)の輝度値WBと、最も幅値が小さな明色モジュール(図5(B)のM2参照)の輝度値NSと、最も幅値が小さな暗色モジュール(図5(B)のM4参照)の輝度値NBと、マージンの輝度値WSと、に基づいて、当該位置検出パターンFPのぼけ具合Fが以下に示す式(1)により算出される。
F=(WS−WB)/(NS−NB) ・・・(1)
【0041】
幅が広いモジュールの輝度値はぼけの影響が少なく、幅が狭いモジュールの輝度値はぼけの影響を受けやすいため、幅が広いモジュールの明暗の輝度差と幅が狭いモジュールの明暗の輝度差とから、上記式(1)によりぼけ具合Fを算出することができる。なお、輝度値WSとして、マージンの輝度値に代えて、位置検出パターンFPを構成する各モジュールのうち最も幅値が大きな明色モジュールの輝度値を採用してもよい。
【0042】
また、本実施形態では、輝度値は、0〜255で示され、白色に近づくほど、すなわち、明色度合いが高くなるほど数値が高くなり、黒色に近づくほど、すなわち、暗色度合いが高くなるほど数値が低くなる。このため、例えば、位置検出パターンFPが読取適正距離範囲X内にて撮像されていることからぼけが少ない場合には、図5(B)に例示するように、輝度値WSだけでなく輝度値NSも255に近くなり、輝度値WBだけでなく輝度値NBも0に近くなるので、式(1)の分母と分子とが等しくなり、ぼけ具合Fは、1に近づくこととなる。一方、位置検出パターンFPが読取適正距離範囲Xから外れて撮像されていることからぼけの影響が大きくなる場合には、読取適正距離範囲Xから外れた距離が大きくなるほど、ぼけ具合Fの値が大きくなる。なお、ステップS109に示すぼけ具合算出処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「ぼけ具合算出手段」の一例に相当し得る。
【0043】
次に、ステップS111に示す特定幅値算出処理がなされる。この処理では、位置検出パターンFPを構成する全てのモジュールM1〜M5(図5(B)参照)の幅値の総和である位置検出パターンFPの幅値が特定幅値Hとして算出される。なお、各モジュールM1〜M5の幅値および特定幅値Hの単位は、撮像画像の1画素の幅値に相当する値である。例えば、モジュールM1,M2,M4,M5がそれぞれ3(画素)で構成されており、モジュールM3が9画素で構成されている場合には、特定幅値Hは、21(画素)となる。また、ステップS111に示す特定幅値算出処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「幅値算出手段」の一例に相当し得る。
【0044】
続いて、ステップS113に示す判定処理にて、上記ぼけ具合算出処理にて算出されたぼけ具合Fが所定の閾値Fo以下であるか否かについて判定される。なお、所定の閾値Foは、読取適正距離範囲X内のうち最も遠方の位置または最も近辺の位置に位置する位置検出パターンFPを撮像したときに上記式(1)にて算出されるぼけ具合Fに相当する値であって、本実施形態では、例えば、Fo=2に設定されている。なお、ステップS113に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「第1判定手段」の一例に相当し得る。
【0045】
ここで、位置検出パターンFPが読取適正距離範囲X内にて撮像されていることから、ぼけ具合Fが所定の閾値Fo以下となる場合には(S113でYes)、ステップS115に示す消灯処理がなされ、外縁照射装置50の各光源51〜54のいずれかが点灯している場合には、点灯している光源が消灯状態となる。
【0046】
続いて、ステップS117に示すコード画像抽出処理がなされる。この処理では、上記ステップS103にて生成した画像データに対して、QRコードQに相当するコード画像を抽出するための処理がなされる。このとき、上記コード撮像処理にて撮像された画像データにコード画像の全てが含まれている場合には、ステップS119にてYesと判定されて、ステップS121に示すデコード処理がなされる。この処理では、上述のように抽出されたコード画像に対して、公知のデコード処理が実施される。このデコード処理によるデコードが成功して、QRコードQとして符号化された文字データ等が取得されると(S123でYes)、ステップS125に示すデータ送信処理がなされ、上記デコード処理により取得された文字データ等が通信インタフェース48を介して外部機器等の上位システムに送信される。そして、再度、ステップS101に示す判定処理からの処理が繰り返される。なお、ステップS121に示す特定幅値算出処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「デコード手段」の一例に相当し得る。
【0047】
上述したステップS113に示す判定処理において、読取適正距離範囲Xよりも遠方に位置する位置検出パターンFPを撮像したことから、撮像された位置検出パターンFPが図6(A)に例示するように、幅が広いモジュールの明暗の輝度差(WS−WB)に対して幅が狭いモジュールの明暗の輝度差(NS−NB)が小さくなり、ぼけ具合Fが所定の閾値Foを越えると、Noと判定される。
【0048】
このように、ぼけ具合Fが所定の閾値Foを越えると、ステップS127に示す判定処理にて、上記特定幅値算出処理にて算出された特定幅値Hが所定の閾値Ho以下であるか否かについて判定される。なお、所定の閾値Hoは、読取適正距離範囲Xよりも遠方に位置する位置検出パターンFPを撮像したときに各モジュールM1〜M5の幅値の総和により算出される特定幅値Hに相当する値に設定されている。具体的には、所定の閾値Hoは、例えば、位置検出パターンFPを構成する単位モジュールの幅値が1画素の幅値に相当するように、Ho=7(画素)として設定されている。なお、ステップS127に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「第2判定手段」の一例に相当し得る。
【0049】
上述したように、図6(A)に例示するように、読取適正距離範囲Xよりも遠方に位置する位置検出パターンFPを撮像したことから、特定幅値Hが所定の閾値Ho以下となる場合には(S127でYes)、ステップS129に示す第1照射光照射処理がなされる。この処理では、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xを外れて遠方に位置することを報知する第1照射光として、外縁照射装置50の光源51から下側領域S1に対して照射光L1が照射される(図2および図3参照)。これにより、使用者が下側領域S1に対して照射される照射光L1を見ることで、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xよりも遠方に位置することを、使用者に報知することができる。
【0050】
一方、上述したステップS113に示す判定処理において、読取適正距離範囲Xよりも近辺に位置する位置検出パターンFPを撮像したことから、撮像された位置検出パターンFPが図6(B)に例示するように、幅が広いモジュールの明暗の輝度差(WS−WB)に対して幅が狭いモジュールの明暗の輝度差(NS−NB)が小さくなり、ぼけ具合Fが所定の閾値Foを越える場合でも、Noと判定される。
【0051】
そして、読取適正距離範囲Xよりも近辺に位置する位置検出パターンFPを撮像したことから、特定幅値Hが所定の閾値Hoを越えると(S127でNo)、ステップS131に示す第2照射光照射処理がなされる。この処理では、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xを外れて近辺に位置することを報知する第2照射光として、外縁照射装置50の光源52から上側領域S2に対して照射光L2が照射される(図2および図3参照)。これにより、使用者が上側領域S2に対して照射される照射光L2を見ることで、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xよりも近辺に位置することを、使用者に報知することができる。
【0052】
上述のように、第1照射光照射処理にて照射光L1が照射されるか、第2照射光照射処理にて照射光L2が照射されると、その照射状態が維持されたまま、上記コード撮像処理がなされる。そして、例えば、読取適正距離範囲Xを外れて遠方に位置するQRコードQを撮像していることから照射光L1が照射されている状態で、この照射光L1を見た使用者がQRコードQに対して当該光学的情報読取装置10を近づけることで、QRコードQが読取適正距離範囲X内にて撮像されると(S113でYes)、上記消灯処理により照射光L1の照射が停止される。この照射光L1の照射の停止を見た使用者は、読取対象のQRコードQが読取適正距離範囲X内にて撮像されたことを認識することができる。
【0053】
また、読取適正距離範囲Xを外れて近辺に位置するQRコードQを撮像していることから照射光L2が照射されている状態で、この照射光L2を見た使用者がQRコードQに対して当該光学的情報読取装置10を遠ざけることで、QRコードQが読取適正距離範囲X内にて撮像されると(S113でYes)、上記消灯処理により照射光L2の照射が停止される。この照射光L2の照射の停止を見た使用者は、読取対象のQRコードQが読取適正距離範囲X内にて撮像されたことを認識することができる。
【0054】
また、上述したステップS119に示す判定処理において、図7に例示するように、上記コード撮像処理にて撮像された画像データに位置検出パターンFPが含まれているもののコード画像の全てが含まれていない場合には、Noと判定されて、ステップS133に示すコード位置算出処理がなされる。この処理では、上述した撮像エリアSの外縁領域Seのうち画像データに一部が含まれるコード画像に対応する位置が、コード位置として算出される。なお、ステップS119に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「第3判定手段」の一例に相当し得る。
【0055】
続いて、ステップS135に示す第3照射光照射処理がなされる。この処理では、撮像されたQRコードQが撮像エリアSから外れていることを報知する第3照射光として、各光源51〜54のうち、上述のように算出されたコード位置に対して最も近くに照射光を照射する光源から、青色の照射光が照射される。具体的には、図7に例示するように、コード位置が右側領域S4に対応する場合には、光源54から右側領域S4に対して青色の照射光L4が照射される。
【0056】
これにより、使用者が右側領域S4に対して照射される青色の照射光L4を見ることで、撮像されたQRコードQが撮像エリアSから外れており、照射光L4が撮像エリアSの中央に位置するように読取口13の向きを変更することで、QRコードQが撮像エリアS内に全て含まれることを、使用者に報知することができる。
【0057】
なお、上記第3照射光照射処理では、コード位置が下側領域S1に対応する場合には、光源51から下側領域S1に対して青色の照射光L1が照射され、コード位置が上側領域S2に対応する場合には、光源52から上側領域S2に対して青色の照射光L2が照射される。また、上記第3照射光照射処理では、コード位置が左側領域S3に対応する場合には、光源53から左側領域S3に対して青色の照射光L3が照射される。
【0058】
なお、コード位置が各領域S1〜S4のうちの近くの2つに対してほぼ等距離に位置する場合には、これら両領域に対して照射光を同時に照射してもよい。この場合には、2つの照射光が撮像エリアSの中央に位置するように読取口13の向きを変更することで、QRコードQが撮像エリアS内に全て含まれることを、使用者に報知することができる。
【0059】
ここで、下側領域S1に照射光L1が照射されるとき、この照射光L1の発光色が青色であれば、撮像されたQRコードQが撮像エリアSから外れている状態が報知され、照射光L1の発光色が緑色であれば、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xを外れて遠方に位置する状態が報知されることとなる。また、上側領域S2に照射光L2が照射されるとき、この照射光L2の発光色が青色であれば、撮像されたQRコードQが撮像エリアSから外れている状態が報知され、照射光L2の発光色が黄緑色であれば、撮像されたQRコードQが読取適正距離範囲Xを外れて近辺に位置する状態が報知されることとなる。
【0060】
上述のように、第3照射光照射処理にて第3照射光が照射されると、その照射状態が維持されたまま、上記コード撮像処理がなされる。そして、上述のように照射される第3照射光を見た使用者が、撮像エリアSの中央に第3照射光が位置するように読取口13の向きを変更することで、上記コード撮像処理にて撮像された画像データにコード画像の全てが含まれると(S119でYes)、上記デコード処理以降の処理がなされる。
【0061】
次に、特定パターンとしてスタートキャラクタCsを有するCODE39のバーコードBを読取対象とする場合について、図8および図9を用いて説明する。図8(A)は、撮像画像としてバーコードBが撮像された状態を示す説明図であり、図8(B)は、読取適正距離範囲XにあるバーコードBのスタートキャラクタCsの撮像状態とこのスタートキャラクタCsの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。図9(A)は、読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されたバーコードBのスタートキャラクタCsの撮像状態とこのスタートキャラクタCsの配列方向における輝度値の変化を示す説明図であり、図9(B)は、読取適正距離範囲Xよりも近辺で撮像されたバーコードBのスタートキャラクタCsの撮像状態とこのスタートキャラクタCsの配列方向における輝度値の変化を示す説明図である。なお、図8(A)において、符号Ceは、ストップキャラクタを示し、符号Cd1,Cd2は、それぞれ所定のデータキャラクタを示し、符号Qzは、クワイエットゾーンを示し、符号Gは、キャラクタ間ギャップを示す。
【0062】
QRコードQを読み取る場合と同様に、上記ステップS103に示すコード撮像処理にて画像データが生成されると、上記特定パターン抽出処理にて、バーコードBのスタートキャラクタCsを抽出するための処理がなされる。そして、図8(A)に示すように、上記コード撮像処理にて撮像された画像データにスタートキャラクタCsが含まれていると(S107でYes)、ステップS109に示すぼけ具合算出処理がなされる。
【0063】
この処理では、上記特定パターン抽出処理にて抽出されたスタートキャラクタCsを構成する各モジュールの輝度値、具体的には、スタートキャラクタCsを構成する各モジュールのうち、最も幅値が大きな明色モジュール(図8(B)のM2参照)の輝度値WSと、最も幅値が大きな暗色モジュール(図8(B)のM5参照)の輝度値WBと、最も幅値が小さな明色モジュール(図8(B)のM4参照)の輝度値NSと、最も幅値が小さな暗色モジュール(図8(B)のM3参照)の輝度値NBとに基づいて、当該スタートキャラクタCsのぼけ具合Fが上述した式(1)により算出される。
【0064】
次に、ステップS111に示す特定幅値算出処理がなされ、スタートキャラクタCsを構成する全てのモジュールM1〜M7の幅値の総和であるスタートキャラクタCsの幅値が特定幅値Hとして算出される。
【0065】
そして、スタートキャラクタCsが読取適正距離範囲X内にて撮像されていることから、図8(B)からわかるように、算出されたぼけ具合Fが所定の閾値Fo以下となる場合には(S113でYes)、ステップS115に示す消灯処理以降の処理がなされる。
【0066】
一方、読取適正距離範囲Xよりも遠方に位置するスタートキャラクタCsを撮像したことから、撮像されたスタートキャラクタCsが図9(A)に例示するように、幅が広いモジュールの明暗の輝度差(WS−WB)に対して幅が狭いモジュールの明暗の輝度差(NS−NB)が小さくなり、ぼけ具合Fが所定の閾値Foを越え(S113でNo)、特定幅値Hが所定の閾値Ho以下となると(S127でYes)、ステップS129に示す第1照射光照射処理がなされる。これにより、上記第1照射光として、外縁照射装置50の光源51から下側領域S1に対して照射光L1が照射されるため、使用者が下側領域S1に対して照射される照射光L1を見ることで、撮像されたバーコードBが読取適正距離範囲Xよりも遠方に位置することを、使用者に報知することができる。
【0067】
また、読取適正距離範囲Xよりも近辺に位置するスタートキャラクタCsを撮像したことから、撮像されたスタートキャラクタCsが図9(B)に例示するように、幅が広いモジュールの明暗の輝度差(WS−WB)に対して幅が狭いモジュールの明暗の輝度差(NS−NB)が小さくなり、ぼけ具合Fが所定の閾値Foを越え(S113でNo)、特定幅値Hが所定の閾値Hoを超えると(S127でNo)、ステップS131に示す第2照射光照射処理がなされる。これにより、上記第2照射光として、外縁照射装置50の光源52から上側領域S2に対して照射光L2が照射されるため、使用者が上側領域S2に対して照射される照射光L2を見ることで、撮像されたバーコードBが読取適正距離範囲Xよりも近辺に位置することを、使用者に報知することができる。
【0068】
また、スタートキャラクタCsが読取適正距離範囲X内にて撮像されている場合でも、バーコードBのコード画像の全てが含まれていない場合には(S119でNo)、上記コード位置算出処理がなされて、コード位置が算出される。そして、上記第3照射光照射処理がなされ、撮像されたバーコードBが撮像エリアSから外れていることを報知する第3照射光として、各光源51〜54のうち、上述のように算出されたコード位置に対して最も近くに照射光を照射する光源から、青色の照射光が照射される。これにより、使用者が照射される青色の第3照射光を見ることで、撮像されたバーコードBが撮像エリアSから外れており、第3照射光が撮像エリアSの中央に位置するように読取口13の向きを変更することで、バーコードBが撮像エリアS内に全て含まれることを、使用者に報知することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、抽出された特定パターン(位置検出パターンFP,スタートキャラクタCs)を構成する各モジュールについて、これら各モジュールの輝度値に基づいて当該特定パターンのぼけ具合Fが算出されるとともに、当該各モジュールの幅値に基づいて当該特定パターンの特定幅値Hが算出される。そして、ぼけ具合Fに基づいて特定パターンが上記読取適正距離範囲X外で撮像されたと判定される場合に、上記特定幅値Hに基づいて、特定パターンが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されたと判定されると(S127でYes)、上記第1照射光が照射され、特定パターンが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されていないと判定されると(S127でNo)、上記第2照射光が照射されるように、制御回路40により外縁照射装置50の各光源51〜54が制御される。
【0070】
これにより、特定パターンを有する情報コードが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されると、ステップS115に示す判定処理により特定パターンが上記読取適正距離範囲X外で撮像されたと判定されるとともに、ステップS127に示す判定処理により特定パターンが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されたと判定されて、上記第1照射光が照射される。このように照射される第1照射光を見た使用者に対して、情報コードが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されており、この情報コードに対して当該光学的情報読取装置10を近づける必要があることを報知することができる。
【0071】
また、特定パターンを有する情報コードが上記読取適正距離範囲Xよりも近辺で撮像されると、ステップS115に示す判定処理により特定パターンが上記読取適正距離範囲X外で撮像されたと判定されるとともに、ステップS127に示す判定処理により特定パターンが上記読取適正距離範囲Xよりも遠方で撮像されていないと判定されて、上記第2照射光が照射される。このように照射される第2照射光を見た使用者に対して、情報コードが上記読取適正距離範囲Xよりも近辺で撮像されており、この情報コードに対して当該光学的情報読取装置を遠ざける必要があることを報知することができる。
したがって、情報コードの撮像状態を考慮して適正な読取距離を報知することができる。
【0072】
また、上記第1照射光は光源51から下側領域S1に対して照射される緑色の照射光L1であり、上記第2照射光は光源52から上側領域S2に対して照射される黄緑色の照射光L2であり、第1照射光の発光状態と第2照射光の発光状態とが異なるように外縁照射装置50が構成されている。このため、第1照射光と第2照射光とを容易に区別しやすくなるので、使用者は、第1照射光および第2照射光のいずれかを見るだけで、適正な読取距離を容易に把握することができる。
【0073】
さらに、撮像された撮像画像にコード画像の全てが含まれることなく一部が含まれるとステップS119に示す判定処理により判定される場合に、上記撮像エリアSの外縁領域Seであって、下側領域S1、上側領域S2、左側領域S3および右側領域S4のいずれかの領域に、第3照射光が照射されるように、外縁照射装置50が制御回路40により制御される。
【0074】
これにより、第3照射光の照射位置に読取口13を向けることで、当該情報コードの全てを上記撮像エリアS内に入れることができる。このため、上述のように第3照射光を照射することで、撮像画像にコード画像が全て含まれていない撮像状態であることを報知するだけでなく、当該情報コードの全てを撮像するために読取口13の向き(受光センサ28による撮像方向)を変化させるべき方向を報知することができる。
【0075】
特に、上記第3照射光は青色の照射光L1〜L4であり、第1照射光は緑色の照射光L1であり、第2照射光は黄緑色の照射光L2であることから、上記第3照射光の発光状態が上記第1照射光の発光状態および上記第2照射光の発光状態と異なるように外縁照射装置50が構成される。このため、第3照射光と第1照射光および第2照射光とを容易に区別しやすくなるので、使用者は、各照射光のいずれかを見るだけで、適正な読取距離または読取口13の向きを変化させるべき方向を容易に把握することができる。なお、上述した第1〜第3照射光の発光色(緑色、黄緑色、青色)は一例であり、他の識別しやすい発光色を採用してもよい。
【0076】
さらにまた、撮像される情報コードがQRコードQであれば、上記特定パターンとしてQRコードの位置を検出するための位置検出パターンFPが採用されるため、ぼけ具合Fおよび特定幅値Hを容易かつ精度良く算出することができる。これにより、情報コードの撮像状態が十分に考慮されて、適正な読取距離を確実に報知することができる。
【0077】
さらにまた、撮像される情報コードがバーコードBであれば、上記特定パターンとしてスタートキャラクタCsが採用されるため、このようにしても、ぼけ具合Fおよび特定幅値Hを容易かつ精度良く算出することができる。これにより、情報コードの撮像状態が十分に考慮されて、適正な読取距離を確実に報知することができる。
【0078】
なお、本発明は上記各実施形態および変形例などに限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上記ステップS105では、上述したQRコードQの位置検出パターンFPやバーコードBのスタートキャラクタCsを抽出することに限らず、他の規格の情報コードを読み取ることを前提にこの情報コードにおける特定のパターンを抽出してもよい。この場合、抽出された特定パターンに関してぼけ具合Fや特定幅値Hを算出し、所定の閾値Fo,Hoと比較の比較結果に応じて、外縁照射装置50の各光源51〜54のいずれかを照射状態にすることで、適正な読取距離を報知することができる。
【0079】
(2)第1照射光は、光源51により下側領域S1に照射されることに限らず、他の撮像エリアSの外縁領域Se等に照射されることで、第2照射光および第3照射光と区別可能に照射されてもよい。また、第2照射光は、光源52により上側領域S2に照射されることに限らず、他の撮像エリアSの外縁領域Se等に照射されることで、第1照射光および第3照射光と区別可能に照射されてもよい。
【0080】
(3)外縁照射装置50では、撮像された情報コードが読取適正距離範囲Xを外れて遠方に位置することを報知する第1照射光と、撮像された情報コードが撮像エリアSから下方向に外れた状態を報知する第3照射光とを、光源51の発光色(緑色および青色)を変えることで、区別することに限らず、例えば、第1照射光専用の光源を新たに設けることで、第1照射光と第3照射光とを区別してもよい。また、外縁照射装置50では、撮像された情報コードが読取適正距離範囲Xを外れて近辺に位置することを報知する第2照射光と、撮像された情報コードが撮像エリアSから上方向に外れた状態を報知する第3照射光とを、光源52の発光色(緑色および青色)を変えることで、区別することに限らず、例えば、第2照射光専用の光源を新たに設けることで、第2照射光と第3照射光とを区別してもよい。
【0081】
(4)マーカ光等により受光センサ28による読取視野を明示可能な光学的情報読取装置では、ステップS119に示す判定処理やコード位置算出処理および第3照射光照射処理を廃止してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…光学的情報読取装置
28…受光センサ(撮像手段)
40…制御回路(デコード手段,抽出手段,ぼけ具合算出手段,幅値算出手段,第1判定手段,第2判定手段,制御手段,第3判定手段)
50…外縁照射装置(照射手段,外縁照射手段)
51,52…光源(照射手段,外縁照射手段)
53,54…光源(外縁照射手段)
B…バーコード(情報コード)
Cs…スタートキャラクタ(特定パターン)
FP…位置検出パターン(特定パターン)
L1〜L4…照射光
S…撮像エリア
Se…外縁領域
S1…下側領域
S2…上側領域
S3…左側領域
S4…右側領域
Q…QRコード(情報コード)
X…読取適正距離範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の明色モジュールおよび暗色モジュールからなる情報コードであって前記明色モジュールおよび前記暗色モジュールが所定の順序で配列される特定パターンを含む情報コードを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された撮像画像に含まれる前記情報コードのコード画像に基づいて当該情報コードをデコードするデコード手段と、
を備える光学的情報読取装置であって、
前記撮像画像から前記情報コードの前記特定パターンを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記特定パターンを構成する各モジュールの輝度値に基づいて当該特定パターンのぼけ具合を算出するぼけ具合算出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記特定パターンを構成する各モジュールの幅値に基づいて当該特定パターンの配列方向の幅値を特定幅値として算出する幅値算出手段と、
前記ぼけ具合算出手段により算出される前記ぼけ具合に基づいて、前記特定パターンが読取適正距離範囲外で撮像されたか否かを判定する第1判定手段と、
前記幅値算出手段により算出される前記特定幅値に基づいて、前記特定パターンが前記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたか否かを判定する第2判定手段と、
前記撮像手段により撮像された前記情報コードが当該装置に対して前記読取適正距離範囲から外れて位置することを示す照射光であって、前記読取適正距離範囲を外れて遠方に位置することを示す第1照射光と、前記読取適正距離範囲を外れて近辺に位置することを示す第2照射光とのいずれかを照射可能な照射手段と、
前記第1判定手段により前記ぼけ具合に基づいて前記特定パターンが前記読取適正距離範囲外で撮像されたと判定される場合に、前記第2判定手段により前記特定幅値に基づいて、前記特定パターンが前記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されたと判定されると前記第1照射光が照射され、前記特定パターンが前記読取適正距離範囲よりも遠方で撮像されていないと判定されると前記第2照射光が照射されるように、前記照射手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記照射手段は、前記第1照射光の発光状態と前記第2照射光の発光状態とが異なるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記撮像手段により撮像された撮像画像に前記コード画像の全てが含まれることなく一部が含まれるか否かを判定する第3判定手段と、
前記撮像手段により前記撮像画像として撮像される撮像エリアの外縁に相当する複数個所に対して第3照射光を照射可能な外縁照射手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第3判定手段により前記コード画像の全てが含まれることなく一部が含まれると判定される場合に、前記撮像エリアの外縁に相当する箇所であって、当該コード画像の一部が前記撮像画像に占める位置から求められる前記情報コード内に位置する箇所か、この情報コードに対して他の箇所よりも近くに位置する箇所に、前記第3照射光が照射されるように前記外縁照射手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記外縁照射手段は、前記第3照射光の発光状態が前記第1照射光の発光状態および前記第2照射光の発光状態と異なるように構成されることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記情報コードは、QRコードであって、
前記特定パターンは、前記QRコードの位置を検出するための位置検出パターンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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