説明

光学的立体造形用樹脂組成物

【課題】 耐熱性および靭性に優れる立体造形物を短い光造形時間で円滑に生産性良く製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物の提供。
【解決手段】 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、カチオン重合性有機化合物として、下記の一般式(I);


(式中、R1はa価の有機基を示し、aは1〜6の整数であり、bは1〜30の整数であって且つa個のbの平均値が1〜30の範囲内である。)
で表されるエポキシ化合物(I)を1質量%以上10質量%未満の割合で含有し、光カチオン重合開始剤を0.01〜10質量%の割合で含有し且つエラストマー粒子を1質量%以上10質量%未満の割合で含有する光学的立体造形用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的立体造形用樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、耐熱性および靭性に優れ、しかも他の力学的特性にも優れる立体造形物を、高い造形精度および寸法精度で円滑に生産性良く製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて液状の光硬化性樹脂組成物を立体的に光学造形する方法が、金型などを作製することなく目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得ることから、広く採用されるようになっている。
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザー光を選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザー光で前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法は、形状のかなり複雑な造形物をも容易に且つ比較的短時間に得ることが出来る。
【0003】
光学的立体造形用樹脂組成物としては、従来、アクリレート系光硬化性樹脂組成物やエポキシ系光硬化性樹脂組成物などが用いられている。これらの中で、エポキシ系光硬化性樹脂組成物は寸法精度に優れる造形物を製造できることから、近年広く用いられている。
光学的立体造形技術の進展に伴って、光学的立体造形物の用途も拡大しており、用途等によっては高い耐熱性が要求される。例えば、エンジン部分に用いられる光学的立体造形物に対しては高い耐熱性が求められている。
【0004】
耐熱性の向上した立体造形物を得ることを目的として、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含有させた光学的立体造形用樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この光学的立体造形用樹脂組成物は、組成物の粘度が高く、光造形時の取り扱い性に劣っている。しかも、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、人の健康や生態系に害を及ぼす恐れがある化学物質であることから、化学物質排出移動量届出制度(PRTR)でその使用が制限されている。
【0005】
また、1,2−エポキシエチル基で置換されたシクロヘキシレンオキシ基を1個以上有するカチオン重合性有機化合物を10重量%以上または25重量%以上の割合で含有する、耐熱性の向上した立体造形物を得るための光学的立体造形用樹脂組成物が知られている(特許文献2および3)。しかし、これらの光学的立体造形用樹脂組成物を用いて得られる立体造形物は、耐熱性は向上しているものの、靭性がなく、脆くて、衝撃、曲げ、圧縮、ネジの押し込みなどの外力を受けると、破損し易く、耐久性に劣っている。
また、耐熱性に比較的優れる立体造形物を形成し得る光学的立体造形用樹脂組成物としては、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどのような、シクロヘキサン環を分子中に有するジ(メタ)アクリレートを含有する光学的立体造形用樹脂組成物が知られているが、この光学的立体造形用樹脂組成物を光造形して得られる立体造形物の耐熱温度は高くて60℃程度であり、未だ耐熱性が不十分である。
【0006】
一方、造形物に靱性を付与するために、エポキシ系樹脂組成物にポリエーテル化合物や架橋ゴム粒子などを含有させることが提案されている(特許文献4、5)。しかし、これら材料では、ポリエーテル化合物や架橋ゴム粒子の添加によって靱性は向上するが、得られる造形物の耐熱性は低下する。
光学的立体造形用樹脂組成物から得られる造形物では、耐熱性と靱性とは一般に二律背反の関係にあり、耐熱性を向上させると靭性が低下し、一方靭性を向上させると耐熱性が低下し、良好な耐熱性と良好な靭性を併せ持つ立体造形物を形成できる光学的立体造形用樹脂組成物は未だ得られていないのが実状である。
かかる点から、耐熱性と靭性の両方の特性に優れる立体造形物を形成する光学的立体造形が求められている。
【0007】
さらに、光学的立体造形用樹脂組成物に対しては、得られる立体造形物に対する耐熱性および靭性の要求と併せて、低粘度で造形時の取り扱い性が良好であること、保存安定性に優れていること、活性エネルギー線による硬化感度が高く、短時間で造形が可能であること、光硬化時の収縮が小さく、反りの発生が少なく、寸法精度、造形精度、外観に優れ、しかも強度などの力学的特性に優れる立体造形物を円滑に製造できることが求められている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−20728号公報
【特許文献2】特許第3824286号公報
【特許文献3】特開平11−228804号公報
【特許文献4】特開平11−240939号公報
【特許文献5】特開平11−310626号公報
【非特許文献1】ポール・エフ・ヤコブ(Paul F. Jacobs)著、「Rapid Prototyping & Manufacturing, Fundamentals of Stereo-Lithography」,“Society of Manufacturing Engineers”,1992年,p28−39
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、光造形によって耐熱性および靭性に優れる立体造形物を円滑に製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、耐熱性および靭性に優れる光学的立体造形物を、短い光造形時間で円滑に生産性良く製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、前記した特性に加えて、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、貯蔵時の経時安定性に優れ、硬化時の収縮率が小さくて、寸法精度、造形精度および外観に優れ、更には力学的特性にも優れる立体造形物を生産性良く製造することのできる光硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、本発明者らは、光学的立体造形用樹脂組成物中に、カチオン重合性有機化合物として1,2−エポキシエチル基で置換されたシクロヘキシレンオキシ基を有する化合物を1質量%以上10質量%未満の割合で含有させると共に、エラストマー粒子を1〜20質量%の割合で含有させると、耐熱性と靭性の両方の特性に優れる立体造形物を形成し得る光学的立体造形用樹脂組成物が得られることを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、1,2−エポキシエチル基で置換されたシクロヘキシレンオキシ基を有する化合物およびエラストマー粒子を前記特定の割合で含有する前記した光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物の一部として、グリシジル基を3個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物)とグリシジル基を2個以上有し且つヒドロキシル基を1個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物の混合物、水素添加ビスフェノールのジグリシジルエーテルおよび3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのうちの1種または2種以上を特定の量で更に配合することが、耐熱性の向上、光硬化速度の向上、経時の寸法安定性などの観点から好ましいこと、またカチオン重合性有機化合物の一部として、オキセタン化合物を特定の量で更に含有させると光学的立体造形用樹脂組成物を未硬化状態で長期間保存しても水分や湿気の吸収が少なくて、長い時間にわたって高い硬化感度(活性エネルギー線感受性)を維持できることを見出した。
【0012】
1,2−エポキシエチル基で置換されたシクロヘキシレンオキシ基を有する化合物およびエラストマー粒子を前記特定の割合で含有する前記した光学的立体造形用樹脂組成物において、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を特定の量で更に含有させると、高速かつ高精度で造形が可能になることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1) カチオン重合性有機化合物、光カチオン重合開始剤およびエラストマー粒子を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、カチオン重合性有機化合物として、下記の一般式(I);
【0014】
【化3】


(式中、R1はa価の有機基を示し、aは1〜6の整数であり、bは1〜30の整数であって且つa個のbの平均値が1〜30の範囲内である。)
で表されるエポキシ化合物(I)を1質量%以上10質量%未満の割合で含有し、光カチオン重合開始剤を0.1〜10質量%の割合で含有し、且つエラストマー粒子を1〜20質量%の割合で含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
【0015】
そして、本発明は、
(2) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、エポキシ化合物(I)以外の他のカチオン重合性有機化合物(II)を1〜85質量%の割合で更に含有する前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物;
(3) 他のカチオン重合性有機化合物(II)として、グリシジル基を3個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物(II−A)および/またはグリシジル基を2個以上有し且つヒドロキシル基を1個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物(II−B)を、エポキシ化合物(II−A)とエポキシ化合物(II−B)の合計で、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、5〜30質量%の割合で含有する前記(2)の光学的立体造形用樹脂組成物;
(4) 他のカチオン重合性有機化合物(II)として、下記の一般式(II−C);
【0016】
【化4】


(式中、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される水素添加ビスフェノールのジグリシジルエーテル(II−C)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて3〜30質量%の割合で含有する前記(2)または(3)の光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(5) 他のカチオン重合性有機化合物(II)として、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(II−D)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜60質量%の割合で含有する前記(2)〜(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
【0017】
さらに、本発明は、
(6) 他のカチオン重合性有機化合物(II)として、オキセタン化合物(II−E)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜20質量%の割合で含有する前記(2)〜(5)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
(7) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物を1〜50質量%および光ラジカル重合開始剤を0.01〜10質量%の割合で更に含有する前記(1)〜(6)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(8) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、上記の一般式(I)で表されるエポキシ化合物(I)を1質量%以上10質量%未満、エポキシ化合物(I)以外の他のカチオン重合性有機化合物(II)を1〜85質量%、光カチオン重合開始剤を0.1〜10質量%、ラジカル重合性有機化合物を1〜50質量%、光ラジカル重合開始剤を0.01〜10質量%およびエラストマー粒子を1〜20質量%の割合で含有する前記(1)〜(7)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
【発明の効果】
【0018】
カチオン重合性有機化合物として、エポキシ化合物(I)を1質量%以上10質量%未満の割合で含有し且つエラストマー粒子を1〜20質量%の割合で含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いることによって、耐熱性に優れ、しかも靭性に優れていて、衝撃、曲げ、圧縮、ネジの押し込みなどの外力を受けても破損が生じにくく耐久性があり、その上寸法精度、外観、機械的特性などにも優れる立体造形物を、短い造形時間で生産性良く円滑に製造することができる。
また、エポキシ化合物(I)およびエラストマー粒子と共に、カチオン重合性有機化合物の一部として、グリシジル基を3個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物)とグリシジル基を2個以上有し且つヒドロキシル基を1個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物の混合物、水素添加ビスフェノールのジグリシジルエーテルおよび3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのうちの1種または2種以上を本発明で規定する特定の量で更に含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、より高い光硬化速度を有し、しかも耐熱性により優れる立体造形物を形成する。
【0019】
さらに、カチオン重合性有機化合物の一部として、オキセタン化合物を本発明で規定する量で更に含有する本発明の光学的立体造形は、前記した特性と併せて、未硬化状態で長期間保存しても水分や湿気の吸収が少なくて、長い時間にわたって高い硬化感度(活性エネルギー線感受性)を維持するという優れた特性を更に有する。
また、前記したカチオン重合性有機化合物、光カチオン重合開始剤およびエラストマー粒子と共に、ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を本発明で規定する特定の量で更に含有する本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、低収縮率で、耐熱性および靭性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物の一部、好ましくはカチオン重合性有機化合物の一部として、下記の一般式(I);
【0021】
【化5】


(式中、R1はa価の有機基を示し、aは1〜6の整数であり、bは1〜30の整数であって且つa個のbの平均値が1〜30の範囲内である。)
で表されるエポキシ化合物(I)を含有する。
【0022】
上記の一般式(I)において、R1はa価(1〜6価)の有機基である。R1は一般的には、分子内に1〜6個の活性水素原子を有する有機化合物から当該活性水素原子を除いた後の1〜6価の有機残基であり、当該有機基R1を形成する分子内に1〜6個の活性水素原子を有する有機化合物(前駆化合物)としては、例えば1〜6個の活性水素原子を有する、飽和または不飽和のアルコール類[例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、3−シクロヘキセンメタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)−1−ブタノール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセリンなど、アリルアルコール、シクロヘキセンメタノール]、フェノール類(フェノール、クレゾール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)、飽和または不飽和のカルボン酸類(酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ゼバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、アクリル酸、メタクリル酸など)、チオール類(メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、チオフェノールなど)を挙げることができる。
【0023】
上記の一般式(I)において、bは1〜30の整数であって、且つa個のbの平均値が1〜30の範囲内である。そのうちでも、bは1〜20の整数であって、エポキシ化合物(I)におけるa個のbの平均値が、1〜20の範囲内であることが、材料の入手性、反応性などの点から好ましい。
本発明で用いるエポキシ化合物(I)は、公知の化合物であって、例えば、式:R1−(Hact)a(式中、Hactは活性水素原子、aは1〜6の整数を示す)で表される活性水素原子を1〜6個有する上記した有機化合物(アルコール類、有機酸類、フェノール類、チオール類など)を開始末端として、ビニル基を置換基として有するシクロヘキセンオキサイドを開環重合した後に、それにより得られる重合体を過酸などで酸化してビニル基をエポキシ基に変えることによって製造することができる。
【0024】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、1種類のエポキシ化合物(I)のみを含有していてもよいし、または2種類以上のエポキシ化合物(I)を含有していてもよい。
そのうちでも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、エポキシ化合物(I)として、R1がトリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどに由来する3価(a=3)の有機残基であって、3個のbがそれぞれ1〜30の整数で、且つ3個のbの平均値が1〜30であるエポキシ化合物が、反応性、入手容易性などの点から好ましく用いられる。そのようなエポキシ化合物(I)は、「セロキサイドEHPE−3150」(ダイセル化学社製)、「EHPE−3150CE」(前記EHPE−3150と他の脂環族エポキシ化合物との混合物)(ダイセル化学社製)などとして販売されている。
【0025】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、エポキシ化合物(I)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1質量%以上10質量%未満の割合で含有することが必要であり、1〜9質量%の割合で含有することが好ましく、2〜8質量%の割合で含有することがより好ましい。
光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、エポキシ化合物(I)の含有量が1質量%未満であると、光学的立体造形用樹脂組成物から得られる立体造形物の耐熱性が不十分になり、一方10質量%以上になると、立体造形物の耐熱性は向上するが、靭性が低下して脆くてなり、衝撃、曲げ、圧縮、ネジの押し込みなどの外力を受けると破損し易くなり、耐熱性および靭性の両方の特性に優れる立体造形物を形成する光学的立体造形用樹脂組成物が得られなくなる。
【0026】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が含有する光カチオン重合開始剤としては、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物(I)、その他のカチオン重合性有機化合物を、光などの活性エネルギー線の照射下に重合させ得るカチオン重合開始剤であればいずれも使用できる。
そのうちでも、光カチオン重合開始剤としては、光などの活性エネルギー線を照射したときにルイス酸を放出するオニウム塩が好ましく用いられる。そのようなオニウム塩の例としては、第VIIa族元素の芳香族スルホニウム塩、VIa族元素の芳香族オニウム塩、第Va族元素の芳香族オニウム塩などを挙げることができる。具体的には、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロホウ酸トリフェニルフェナシルホスホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジ4'−ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウムなどを挙げることができる。
本発明では、上記したような光カチオン重合開始剤のうちの1種または2種以上を用いることができ、特に芳香族スルホニウム塩がより好ましく用いられる。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、反応速度を向上させる目的で、光カチオン重合開始剤と共に、必要に応じて光増感剤、例えばベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、チオキサントンなどを含有していてもよい。
【0027】
光カチオン重合開始剤の含有量は、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて0.1〜10質量%であり、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。また、光学的立体造形用樹脂組成物に含まれるカチオン重合性有機化合物の全質量を基準にした場合は、光カチオン重合開始剤の含有量は、0.1〜15質量%、更には1〜15質量%、特に2〜10質量%であることが好ましい。
【0028】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、上記したエポキシ化合物(I)および光カチオン重合開始剤と共に、エラストマー粒子を含有する。
エラストマー粒子としては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーのうちの1種または2種以上からなるエラストマー粒子、前記したエラストマーからなる層を中心、中間および/または外側に有する多層エラストマー粒子(コア/シェル型エラストマー粒子)のいずれであってもよい。
エラストマー粒子の具体例としては、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム、スチレン/イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴム、エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン/α−オレフィン系共重合体ゴム、エチレン/α−オレフィン/ポリエン共重合体ゴム、アクリルゴム、ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体ゴム、スチレン/ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン/イソプレン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどからなる粒子を挙げることができる。
また、多層エラストマー粒子(コア/シェル型エラストマー粒子)の具体例としては、前記したエラストマー(ゴム)のうちの1種または2種以上、或いはそれを部分架橋したものを内側(コア)とし、その外側を、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレート共重合体、またはビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂で被覆したコアシェル型エラストマー粒子などを挙げることができる。
本発明では、上記したエラストマー粒子の1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、本発明では、エラストマー粒子として、エラストマー(ゴム)をコア(内層)として、その外側を他の樹脂で被覆した上記したコア/シェル型のエラストマー粒子が、マトリックスをなす光硬化性樹脂組成物との親和性が高く、少量で高い靭性向上効果を与える点から好ましく用いられる。
上記したような、コア/シェル型のエラストマー粒子の市販品としては、例えば、「レジナスボンドRKB」(レジナス化成株式会社製)、「テクノMBS−61」(テクノポリマー株式会社製)、「テクノMBS−69」(テクノポリマー株式会社製)などを挙げることができる。
【0029】
本発明で用いるエラストマー粒子は、その平均粒径が10〜700nm、特に20〜500nmであることが、靭性向上の点から好ましい。
ここで、本明細書におけるエラストマー粒子の平均粒径とは、エラストマー粒子の1gを採取し、それを100mlの媒体(超純水−ヘキサメタリン酸)に分散させたものを、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA−920」)を用いて、温度25℃の条件下に測定したものを、統計処理して得られる平均粒径をいう。
【0030】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、エラストマー粒子を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜20質量%の割合で含有することが必要であり、2〜20質量%の割合で含有することが好ましい。
光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、エラストマー粒子の含有量が1質量%未満であると、光学的立体造形用樹脂組成物から得られる立体造形物の靭性が不十分になって脆くてなり、衝撃、曲げ、圧縮、ネジの押し込みなどの外力を受けると破損し易くなり、一方20質量%を超えると、立体造形物の耐熱性が低下する。
【0031】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、造形精度の向上、光硬化速度の向上、経時安定性などの点から、上記したエポキシ化合物(I)と共に、それ以外の他のカチオン重合性有機化合物(II)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜85質量%の割合で含有することが好ましく、10〜80質量%の割合で含有することがより好ましく、20〜70質量%の割合で含有することが更に好ましい。
【0032】
他のカチオン重合性有機化合物(II)としては、光カチオン重合開始剤の存在下に光などの活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物やその他の環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができ、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、他のカチオン重合性有機化合物として、前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いてもまたは2種以上を含有することができる。
【0033】
そのうちでも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、他のカチオン重合性有機化合物(II)として、エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物が好ましく用いられ、エポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物がより好ましく用いられる。
特に、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、他のカチオン重合性有機化合物(II)として、グリシジル基を3個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物(II−A)および/またはグリシジル基を2個以上有し且つヒドロキシル基を1個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物(II−B)を、エポキシ化合物(II−A)とエポキシ化合物(II−B)の合計で、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、5〜30質量%、特に5〜20質量%の割合で含有することが、耐熱性と靭性のバランスの点から好ましい。
また、光学的立体造形用樹脂組成物におけるエポキシ化合物(II−A)とエポキシ化合物(II−B)の含有比率は、質量比で、(II−A):(II−B)=4:1〜3:2であることが好ましく、3:1〜2:1であることがより好ましい。
【0034】
エポキシ化合物(II−A)としては、グリシジル基を3個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物のいずれもが使用でき、具体例としては、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのトリ−またはそれ以上のポリグリシジルエーテルなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
また、エポキシ化合物(II−B)としては、グリシジル基を2個以上およびヒドロキシル基を1個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物のいずれもが使用でき、具体例としては、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトオールのジ−またはトリ−グリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−グリシジルエーテル、ソルビトールのジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−グリシジルエーテル、ポリグリセリンの1個以上の残留ヒドロキシル基を有するポリグリシジルエーテルなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0035】
エポキシ化合物(II−A)およびエポキシ化合物(II−B)の市販品としては、ナガセケミテックス株式会社製の「デコナールEX−321」(トリメチロールプロパンのジグリシジルエーテルとトリグリシジルエーテルの混合物)、「デコナールEX−411」(ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル)、「デコナールEX−611、EX−611、EX−614、EX−614BまたはEX−622」(ソルビトールのヒドロキシル基残留ポリグリシジルエーテル)、「デコナールEX−512またはEX−521」[ポリグリセリン(ジ−またはトリ−グリセリン)のヒドロキシル基残留ポリグリシジルエーテル、「デコナールEX−421」(ジグリセリンのトリグリシジルエーテル)、「デコナールEX−313またはEX−314」(グリシジルエーテルのジグリシジルエーテルとトリグリシジルエーテルの混合物)、ピイ・ティ/アール・ジャパン株式会社製の「GE−30」(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)、「GE−31」(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル)、「GE−35」(ヒマシ油トリグリシジルエーテル)、「GE−36」グリセリンのポリプロピレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル)などが知られており、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0036】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、カチオン重合性有機化合物(II)として、上記したエポキシ化合物(I)と共に、またはエポキシ化合物(I)、エポキシ化合物(II−A)およびエポキシ化合物(II−B)と共に、エポキシ化合物(I)、エポキシ化合物(II−A)およびエポキシ化合物(II−B)とは異なる、分子内にエポキシ基を2個以上有する他の脂肪族または脂環族ポリエポキシ化合物を含有することができる。
そのような他の脂肪族または脂環族ポリエポキシ化合物としては、例えば、脂肪族2価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、脂環族2価アルコールのジグリシジルエーテル、脂肪族長鎖2塩基酸のジグリシジルエステルなどを挙げることができる。具体例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテルなどの2価アルコールのジグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールZグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。
としては、
【0037】
上記したジエポキシ化合物のうちでも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、上記したエポキシ化合物(I)と共に、またはエポキシ化合物(I)、エポキシ化合物(II−A)およびエポキシ化合物(II−B)と共に、カチオン重合性有機化合物(II)の一部として、下記の一般式(II−C);
【0038】
【化6】


(式中、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される水素添加ビスフェノールのジグリシジルエーテル(II−C)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、3〜30質量%、更には5〜25質量%、特に5〜20質量%の割合で含有することが、造形速度、造形精度、経時の寸法安定性の点から好ましい。
上記の一般式(II−C)において、2個のR2は水素原子またはメチル基のいずれであってもよいが、2個のR2ともにメチル基であることが、造形物の耐湿性、入手容易性などの点から好ましい。
【0039】
さらに、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、上記したエポキシ化合物(I)と共に、またはエポキシ化合物(I)並びにエポキシ化合物(II−A)およびエポキシ化合物(II−B)と共に、或いはエポキシ化合物(I)、エポキシ化合物(II−A)、エポキシ化合物(II−B)およびエポキシ化合物(II−C)と共に、カチオン重合性有機化合物(II)の一部として、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(II−D)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜60質量%、更には5〜55質量%、特に10〜50質量%の割合で含有することが、造形速度、得られる立体造形物の力学的特性などの点から好ましい。
【0040】
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、上記したエポキシ化合物(I)と共に、またはエポキシ化合物(I)、エポキシ化合物(II−A)およびエポキシ化合物(II−B)と共に、またはエポキシ化合物(I)、またはエポキシ化合物(II−A)、エポキシ化合物(II−B)およびエポキシ化合物(II−C)と共に、或いはエポキシ化合物(II−A)、エポキシ化合物(II−B)、エポキシ化合物(II−C)および3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(II−D)と共に、エポキシ化合物(II)の一部として、オキセタン化合物(II−E)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜20質量%、特に3〜15質量%の割合で含有することが、未硬化状態で長期間保存しても水分や湿気の吸収が少なくて、長い時間にわたって高い硬化感度(活性エネルギー線感受性)を維持するという優れた特性を更に有する光学的立体造形用樹脂組成物が得られる点から好ましい。
【0041】
その際のオキセタン化合物(II−E)としては、1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(II−E1)および1分子中にオキセンタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(II−E2)のうちの1種または2種以上を用いることができる。
モノオキセタン化合物(II−E1)としては、1分子中にオキセタン基を1個有する化合物であればいずれも使用できるが、特に1分子中にオキセタン基を1個有し且つアルコール性水酸基を1個有するモノオキセタンモノアルコール化合物が好ましく用いられる。
そのような、モノオキセタンモノアルコール化合物のうちでも、下記の一般式(II−E1a)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(II−E1a)および下記の一般式(II−E1b)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(II−E1b)のうちの少なくとも1種が、入手の容易性、高反応性、粘度が低いなどの点から、モノオキセタン化合物(II−E1)としてより好ましく用いられる。
【0042】
【化7】


(式中、R3およびR4は炭素数1〜5のアルキル基、R5はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示す。)
【0043】
上記の一般式(II−E1a)において、R3の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
モノオキセタンアルコール(II−E1a)の具体例としては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、入手の容易性、反応性などの点から、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンがより好ましく用いられる。
【0044】
上記の一般式(II−E1b)において、R4の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
また、上記の一般式(II−E1b)において、R5は炭素数2〜10のアルキレン基であれば、鎖状のアルキレン基または分岐したアルキレン基のいずれであってもよく、或いはアルキレン基(アルキレン鎖)の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する炭素数2〜10の鎖状または分岐状のアルキレン基であってもよい。R5の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、3−オキシペンチレン基などを挙げることができる。そのうちでも、R5はトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘプタメチレン基であることが、合成の容易性、化合物が常温で液体である取り扱い易いなどの点から好ましい。
【0045】
また、ポリオキセタン化合物(II−E2)としては、オキセタン基を2個有する化合物、オキセタン基を3個以上有する化合物、オキセタン基を4個以上有する化合物のいずれもが使用できるが、オキセタン基を2個有するジオキセタン化合物が好ましく用いられ、そのうちでも下記の一般式(II−E2a);
【0046】
【化8】


(式中、2個のR6は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R7は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、mは0または1を示す。)
で表されるジオキセタン化合物(II−E2a)が、入手性、反応性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
上記の一般式(II−E2a)において、R6例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。また、R7例としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基(例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基などを挙げることができる。
【0047】
ジオキセタン化合物(II−E2a)の具体例としては、下記の式(II−E2a1)または式(II−E2a2)で表されるジオキセタン化合物を挙げることができる。
【0048】
【化9】


(式中、2個のR6は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R7は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基を示す。)
【0049】
上記の式(II−E2a1)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを挙げることができる。
また、上記の式(II−E2a2)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、上記の式(II−E2a2)において2個のR6が共にメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基で、R7がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基であるジオキセタン化合物を挙げることができる。
【0050】
そのうちでも、ポリオキセタン化合物(II−E2a)しては、上記の式(II−E2a1)において、2個のR6が共にメチル基またはエチル基であるビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテルおよび/またはビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが、入手の容易性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられ、特にビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルがより好ましく用いられる。
【0051】
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、他のカチオン重合性有機化合物(II)として、上記したエポキシ化合物やオキセタン化合物以外に、必要に応じて、芳香族エポキシ化合物も含有することができる。芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができ、具体的には、例えばビスフェノールAやビスフェノールFまたはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテルなどを挙げることができる。芳香族エポキシ化合物を用いる場合は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが好ましく用いられる。
光学的立体造形用樹脂組成物が芳香族エポキシ化合物を含有する場合は、その含有量は、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、30質量%以下、更には20質量%以下、特に1〜10質量%であることが、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が高くなりすぎない点から好ましい。
【0052】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、上記したエポキシ化合物(I)およびエラストマー粒子と共に、またはエポキシ化合物(I)、エラストマー粒子および他のカチオン重合性有機化合物(II)と共に、ラジカル重合性有機化合物および光ラジカル重合開始剤を更に含有することが、硬化反応、造形速度の向上の点から好ましい。
【0053】
その際のラジカル重合性有機化合物としては、光ラジカル重合開始剤の存在下に、光などの活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、(メタ)アクリレート系化合物、不飽和ポリエステル化合物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、ラジカル重合性有機化合物としては、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましく用いられ、具体例としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0054】
ラジカル重合性有機化合物として用い得る上記したエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および/または脂肪族エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物を挙げることができる。そのうちでも、芳香族エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物が好ましく用いられ、具体例としては、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール化合物またはそのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリンなどのエポキシ化剤との反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物などを挙げることができる。
【0055】
また、ラジカル重合性有機化合物として用い得る上記したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子中に少なくとも1個の水酸基をもつ芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環族アルコールおよび/またはそれらのアルキレンオキサイド付加体と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。
より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートやその他のジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートなどを挙げることができる。
そのうちでも、アルコール類の(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応により得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、例えばジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートなどが好ましく用いられる。
また、前記した(メタ)アクリレート化合物のうちで、メタクリレート化合物よりも、アクリレート化合物が重合速度の点から好ましく用いられる。
【0056】
さらに、ラジカル重合性有機化合物として用い得る上記したポリエステル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
【0057】
上記したラジカル重合性有機化合物のうちでも、本発明では、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート(例えば、昭和高分子社製「VR−77」)、イソボルニルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレートが、反応性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
【0058】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物では、ラジカル重合性有機化合物の含有量は、反応速度および機械的物性などの点から、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。ラジカル重合性有機化合物の含有量が少なすぎると、光硬化性が低下し、得られる立体造形物の力学的特性も低下し易く、一方多すぎると得られる立体造形物の硬化収縮率が増大し、しかも光学的立体造形用樹脂組成物の造形精度が低くなり過ぎて造形が円滑に行われにくくなり易い。
【0059】
また、ラジカル重合性有機化合物と共に含有させる光ラジカル重合開始剤としては、光などの活性エネルギー線を照射したときにラジカル重合性有機化合物のラジカル重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
【0060】
具体的には、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができる。
フェニルケトン系化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができる。
【0061】
また、ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができる。
さらに、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。
チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
【0062】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、1種または2種以上の光ラジカル重合開始剤を所望の性能に応じて配合して使用することができる。
そのうちでも、本発明では光ラジカル重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが、得られる硬化物の色相が良好(黄色度が小さいなど)である点から好ましく用いられる。
【0063】
光ラジカル重合開始剤の含有量は、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。ラジカル重合性有機化合物の質量をベースとした場合には、ラジカル重合性有機化合物の合計質量に基づいて、光ラジカル重合開始剤を0.1〜20質量%、特に1〜15質量%の割合で含有することが好ましい。
【0064】
光学的立体造形用樹脂組成物の組成全体からいうと、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、上記の一般式(I)で表されるエポキシ化合物(I)を1質量%以上10質量%未満、エポキシ化合物(I)以外の上記した他のカチオン重合性有機化合物(II)を1〜85質量%、光カチオン重合開始剤を0.1〜10質量%、ラジカル重合性有機化合物を1〜50質量%、光ラジカル重合開始剤を0.01〜10質量%およびエラストマー粒子を1〜20質量%の割合で含有することが好ましい。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、顔料や染料等の着色剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤(架橋ポリマー粒子、シリカ、ガラス粉、セラミックス粉、金属粉等)、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していてもよい。
【0065】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物の調製法は特に制限されず、光学的立体造形用樹脂組成物の光重合を生ずることなく、上記した成分を均一に混合し得る方法であればいずれの方法によって調製してもよい。
【0066】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的に立体造形を行うに当たっては、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。好ましく採用され得る光学的立体造形法の代表例としては、液状をなす本発明の光学的立体造形用樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでこの硬化層に未硬化の液状光学的立体造形用樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
その際の活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜400nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザ(例えば半導体励起固体レーザ、Arレーザ、He−Cdレーザなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などを使用することができる。
【0067】
光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザ光などのような点状に絞られた活性エネルギー線を使用して点描または線描方式で硬化樹脂層を形成してもよいし、または液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッター(DMD)などのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して造形面に活性エネルギー線を面状に照射して硬化樹脂層を形成させる造形方式を採用してもよい。
【0068】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形分野に幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を制作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型などを挙げることできる。特に、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、精密な部品などの形状確認モデルや機能試験モデルの作製に威力を発揮する。より具体的には、例えば、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用などの用途に有効に用いることができる。
【実施例】
【0069】
以下に本発明を実施例などによって具体的に説明するが、本発明は例に何ら限定されるものではない。
また、以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度、硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)、光硬化による収縮率(体積収縮率)、並びに光造形して得られた立体造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)]、熱変形温度およびセルフタップ性の測定または評価は、次のようにして行なった。
【0070】
(1)光学的立体造形用樹脂組成物の粘度:
光学的立体造形用樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、光学的立体造形用樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東京計器製)を使用して測定した。
【0071】
(2)光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)及び作業硬化エネルギー(E10):
非特許文献1に記載されている理論にしたがって測定した。具体的には、光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面(液面)に、半導体励起固体レーザのレーザ光(波長355nmの紫外光、液面レーザ強度100mW)を、照射スピードを6段階変化(照射エネルギー量を6段階変化)させて照射して光硬化膜を形成させた。生成した光硬化膜を光学的立体造形用樹脂組成物液から取り出して、未硬化樹脂を取り除き、6段階のエネルギーに対応する部分の硬化膜の厚さを定圧のノギスで測定した。光硬化膜の厚さをY軸、照射エネルギー量をX軸(対数軸)としてプロットし、プロットして得られた直線の傾きから硬化深度[Dp(mm)]を求めると共に、X軸の切片を臨界硬化エネルギー[Ec(mJ/cm2)]とし、0.25mmの厚さに硬化させるのに必要な露光エネルギー量を作業硬化エネルギー[(E10/(mJ/cm2)]とした。
【0072】
(3)収縮率:
光硬化させる前の光学的立体造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)と、光硬化して得られた光硬化物の比重(d1)(実施例1〜8および比較例1〜4)または光硬化物を60℃で1時間熱処理したものの比重(d1)(実施例9〜11)から、下記の数式により収縮率を求めた。

収縮率(%)={(d1−d0)/d1}×100

その際に、光硬化させる前の光学的立体造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)は温度25℃で比重ビンを使用して測定した。また、光硬化して得られた光硬化物(造形物)の比重(d1)は温度25℃で、JIS Z8807に従って、液中で秤量する方法を採用し、ミラージュ貿易株式会社の「電子比重計SD−120L」を使用して測定した。
【0073】
(4)立体造形物の引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した立体造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いるか(実施例1〜8および比較例1〜4)、またはそれを60℃で1時間熱処理した後の立体造形物(実施例9〜11)を用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
【0074】
(5)立体造形物の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した立体造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用いるか(実施例1〜8および比較例1〜4)、またはそれを60℃で1時間熱処理した後の立体造形物(実施例9〜11)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
【0075】
(6)立体造形物の熱変形温度(荷重たわみ温度):
(i)高荷重たわみ温度:
以下の実施例または比較例で作製した立体造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)[光造形後に高圧水銀ランプを用いて紫外線(紫外線強度3mW/cm2)を室温で20分間照射した後の立体造形物(実施例1〜8および比較例1〜4)、またはそれを60℃で2時間熱処理した後の立体造形物(実施例9〜11)を用い、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重(高荷重)を加えて、JIS K−7207(A法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定して、耐熱性の指標とした。熱変形温度が高いほど耐熱性に優れている。
(ii)低荷重たわみ温度:
上記(i)と同様にして作製した立体造形物(試験片)に、0.45MPaの荷重(低荷重)を加えて、JIS K−7207(B法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定して、耐熱性の指標とした。熱変形温度が高いほど耐熱性に優れている。
【0076】
(7)セルフタップ性:
(i) 以下の実施例または比較例の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例または比較例に記載された光造形方法を採用して、図1に示す立体造形物(試験モデル)A、具体的には、ベース1上に5個の円筒2[外径8mm、中央の貫通孔の直径(内径)3.8mm、高さ25mm]が等間隔で直立した立体造形物(試験モデル)Aを製造した。
実施例1〜8および比較例1〜4では、これにより得られた立体造形物(試験モデル)Aをそのまま用いて、また実施例9〜11では、前記で得られた試験モデルAを60℃で1時間熱処理したものを用いて、以下の(ii)の試験を行った。
(ii) 上記(i)で得られた熱処理をしない試験モデルAまたは熱処理をした試験モデルAにおける各円筒の中央部の貫通孔の部分に、工作用ドリルでタップネジ(タップネジの外径=4mm)を当接させ、最大トルク1.5MPaでタップネジを孔内に進入させて、セルフタップ性の試験を行った。
そして、試験モデルAに形成した5個の円筒のうち4個または5個で破損を生ずることなくタップネジを完全に挿入できた場合(5個の円筒のすべてが破損しなかったか1個だけ破損した場合)をセルフタップ性が良好(○)、試験モデルAに形成した5個の円筒のうち2個または3個で破損を生ずることなくタップネジを完全に挿入できた場合(5個の円筒のうち2個または3個が破損した場合)をセルフタップ性がやや不良(△)、試験モデルAに形成した5個の円筒の4個または5個すべてで破損が生じた場合をセルフタップ性が不良(×)として評価した。
【0077】
(8)吸湿伸び率:
(i) 以下の実施例または比較例の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例または比較例に記載された光造形方法を採用して、図2に示す立体造形物(試験モデル)B、具体的には、縦(長さ)×横(幅)×厚さ=200mm×10mm×1mmの短冊状ベース3の幅方向の中央部に、長さ方向に沿って厚みが1mm、高さが10mmの垂直壁4を形成した断面がT形の立体造形物(試験モデル)Bを製造した。
(ii) 実施例1〜8および比較例1〜4では、前記(i)で得られた立体造形物(試験モデル)Bをそのまま温度25℃、湿度80%の高湿度環境下に2週間放置し、また実施例9〜11では、前記で得られた試験モデルBを60℃で1時間熱処理した後に温度25℃、湿度80%の環境下に2週間放置して、以下の数式により吸湿伸び率を求めた。

吸湿伸び率(%)={(L1−L0)/L0}×100

[上記式中、L0は温度25℃、湿度80%RHの高湿度環境下に置く直前の立体造形物(試験モデル)の長さ(縦方向の寸法)(mm)、L1は前記した高湿度環境中に2週間放置した後の立体造形物(試験モデル)の長さ(縦方向の寸法)(mm)を示す。]
【0078】
以下の実施例または比較例で使用した成分の種類および略号は次のとおりである。
(1)エポキシ化合物(I)
・EHPE−3150:
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(ダイセル化学工株式会社製「EHPE−3150」)
(2)エラストマー粒子:
・RKB−2023:
ゴム変性エポキシ樹脂よりなるコアシェル型エラストマー粒子(レジナス化成株式会社製「レジナスボンドRKB−2023」、エラストマー成分含量40質量%、ビスフェノールAジグリシジルエーテル樹脂含量60質量%、平均粒径200nm)
【0079】
(3)他のカチオン重合性有機化合物:
(i)EX−321:
・トリメチロールプロパンのジグリシジルエーテルとトリグリシジルエーテルの混合物(ナガセケムテックス株式会社製「デコナールEX−321」)[エポキシ化合物(II−A)および(II−B)に相当]
(ii)ERISYS GE30:
・トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル
(iii)ビスフェノールAジグリシジルエーテル
(iv)HBE−100:
・水素添加ビスフェノールのジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「リカレジンHBE−100」)
(v)2021P:
・3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製「セロキサイド2021P」)
(vi)GE−30:
・トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(ピイ・ティ/アール・ジャパン株式会社製「GE−30」)
(vii)OXT221:
・ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「アロンオキセタンOXT221」)
【0080】
(4)ラジカル重合性有機化合物:
(i)A−BPE−4:
・エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−BPE−4」)
(ii)A−9530:
・ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−エステルA−9530」)
(iii)ATM−4E:
・エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルATM−4E」)
【0081】
(5)重合開始剤:
(i)CPI−101A:
・トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート系カチオン重合開始剤(サンアプロ株式会社製「CIP−101A」)
(ii)イルガキュア184:
・1−ヒドロキシ−シクトヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」、ラジカル重合開始剤)
【0082】
《実施例1〜9》
(1) 上記した各成分を、以下の表1に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌して(撹拌混合時間約6時間)、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表1に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0083】
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ株式会社製「SOLIFORM500B」)を使用して、半導体レーザー(定格出力1000mW;波長355nm;スペクトラフィジックス社製「半導体励起固体レーザーBL6型)で、液面500mW、液面照射エネルギー80mJ/cm2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mm、1層当たりの平均造形時間2分で光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、セルプタップ性試験用の試験モデルAおよび吸湿伸び率の測定用の試験モデルBを作製し、その物性を上記した方法で測定または評価した。その結果を下記の表1に示す。
【0084】
《比較例1〜4》
(1) 上記した各成分を、以下の表2に示す割合で混合して、完全に溶解するまで25℃でよく撹拌して(撹拌混合時間約6時間)、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、実施例1〜8の(3)と同様に光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、セルプタップ性試験用の試験モデルAおよび吸湿伸び率の測定用の試験モデルBを作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
【0085】
《実施例10〜12》
実施例1〜3の(3)で得られた立体造形物(各種試験片)を60℃で1時間熱処理した後、その物性を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
《実施例13》
(1) 下記の表4に示す成分を下記の表4に示す割合で混合して、液状組成物[エポキシ化合物(I)とエラストマー粒子を含まない組成物]を調製した。
(2) 上記(1)で調製した液状組成物85質量部に対して、エポキシ化合物(I)(EHPE−3150)および/またはエラストマー粒子(RKB−2023)を下記の表5に記載する量(質量部)で添加して、実験1〜45の光学的立体造形用樹脂組成物をそれぞれ調製し、各々の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて実施例1〜8の(3)と同様に光学的立体造形を行って、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片およびセルプタップ性試験用の試験モデルAを作製した。
そして、実験1〜45の光学的立体造形用樹脂組成物の各々を用いて得られた造形物(バー形状の試験片)について、熱変形温度(荷重たわみ温度)を上記した方法で測定し、その荷重たわみ温度が、高荷重において50℃以上で且つ低荷重において65℃以上である場合を耐熱性が良好(○)であると評価し、それ以下である場合(高荷重で50℃未満および/または低荷重で65℃未満である場合)を耐熱性が不良(×)であるとして評価した。
また、実験1〜45の光学的立体造形用樹脂組成物の各々を用いて得られた試験モデルAについてそのセルフタップ性を上記した方法で評価した。
その結果を下記の表5に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うことによって、高い熱変形温度(たわみ温度)を有していて耐熱性に優れ、しかも靭性に優れていて、衝撃、曲げ、圧縮、ネジの押し込みなどの外力を受けても破損が生じにくく耐久性があり、その上寸法精度、外観、機械的特性などにも優れる立体造形物を、短い造形時間で生産性良く円滑に製造することができる。
そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】セルフタップ性の試験に用いた立体造形物(試験モデルA)の形状および寸法を示す図である。
【図2】吸湿伸び率の測定に用いた立体造形物(試験モデルB)の形状および寸法を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ベース
2 円筒
3 短冊状ベース
4 垂直壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン重合性有機化合物、光カチオン重合開始剤およびエラストマー粒子を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、カチオン重合性有機化合物として、下記の一般式(I);
【化1】


(式中、R1はa価の有機基を示し、aは1〜6の整数であり、bは1〜30の整数であって且つa個のbの平均値が1〜30の範囲内である。)
で表されるエポキシ化合物(I)を1質量%以上10質量%未満の割合で含有し、光カチオン重合開始剤を0.1〜10質量%の割合で含有し、且つエラストマー粒子を1〜20質量%の割合で含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項2】
光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、エポキシ化合物(I)以外の他のカチオン重合性有機化合物(II)を1〜85質量%の割合で更に含有する請求項1に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項3】
他のカチオン重合性有機化合物(II)として、グリシジル基を3個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物(II−A)および/またはグリシジル基を2個以上有し且つヒドロキシル基を1個以上有する脂肪族または脂環族のエポキシ化合物(II−B)を、エポキシ化合物(II−A)とエポキシ化合物(II−B)の合計で、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、5〜30質量%の割合で含有する請求項2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項4】
他のカチオン重合性有機化合物(II)として、下記の一般式(II−C);
【化2】


(式中、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される水素添加ビスフェノールのジグリシジルエーテル(II−C)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、3〜30質量%の割合で含有する請求項2または3に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項5】
他のカチオン重合性有機化合物(II)として、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(II−D)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜60質量%の割合で含有する請求項2〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項6】
他のカチオン重合性有機化合物(II)として、オキセタン化合物(II−E)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜20質量%の割合で含有する請求項2〜5のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項7】
光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物を1〜50質量%および光ラジカル重合開始剤を0.01〜10質量%の割合で更に含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項8】
光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、上記の一般式(I)で表されるエポキシ化合物(I)を1質量%以上10質量%未満、エポキシ化合物(I)以外の他のカチオン重合性有機化合物(II)を1〜85質量%、光カチオン重合開始剤を0.1〜10質量%、ラジカル重合性有機化合物を1〜50質量%、光ラジカル重合開始剤を0.01〜10質量%およびエラストマー粒子を1〜20質量%の割合で含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−260812(P2008−260812A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103113(P2007−103113)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(391064429)シーメット株式会社 (38)
【Fターム(参考)】