光学素子及びその製造方法
光学素子(5)を製造する方法であって、光学シート(1)を準備するステップ(100)と、光学シート(1)上に反射層(4)をコーティングするステップ(103)と、第1のセットのトラック(3)を形成するステップ(102)とを含み、上記各トラックは第1の幅を有し、上記トラック(3)は上記光学シート(1)を複数の光学素子(5)に分割するように光学シート(1)を横切っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学素子に関し、またかかる光学素子を製造する方法に関する。更に、本発明は、かかる光学素子を具備する光出力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)を具備する光学素子は、現在利用可能な最も効率的且つ頑丈な光源である。照明には、白色光源、特に高い色レンダリング特性の白光源が必要である。放射源としてLEDを使用することによって白光を放出する照明システムを得るために、さまざまな試みがなされてきた。
【0003】
白光を得る1つの方法は、青LEDを使用し、放出された青光の一部を黄光(約580nmの波長スペクトル)に変換することである。黄光は目の赤及び緑レセプタを刺激するから、混合された青光と黄光が白として見える。
【0004】
典型的には、これは、燐光体含有材料のような波長変換材料を含む光学素子を、LED上に配列することによって行われる。即ち、LEDから放出される光の一部を燐光体に吸収させ、吸収した光の波長とは異なる波長の光として放出させるのである。
【0005】
しかしながら、このような配列に伴う1つの問題は、供給される光の色の均質性である。LEDの端面から放出される光、及びLEDからある傾斜した角度で放出される光が通過する波長変換材料の厚みは、ある順方向に放出される光と同一の厚みではない。従って、典型的には、材料の横面から出る光の変換の程度は、材料の前面から出る光のそれより低くなる。事実、レンズ、保護ウィンドウ等のような他の種類の光学素子の場合にも同じような問題を生ずる可能性があり、例えば、望まざる方向へ放出されたために、光源から放出された光の幾らかが失われることがあり得る。
【0006】
光学素子の端面から光が放出されるのを阻止する1つのアプローチが、WO 2006 / 048064に開示されている。この引例に記述されているLED配列は、LEDチップを色変換材料で取り囲んでおり、この色変換材料はLEDの頂部及び横側に配列されている。色変換材料の横側を、レフレクタが取り囲んでいる。LEDチップとレフレクタとの間の最大距離は、0.5mmである。LEDの横側から放出される光はレフレクタによって反射され、この反射された光は波長変換され得るようになる。
【0007】
上記WO 2006 / 048064の光学素子の欠陥は、これらのデバイスを製造するのが困難であり、時間を消費し、そして高価なことである。色変換材料の特定の物理的形状は、それを発光ダイオードの1つ1つについて現物合わせしなければならないことを、従ってこのようなデバイスの大量生産が阻害されることを暗示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 2006 / 048064
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の、及び従来技術の他の欠陥に鑑みて、本発明の一般的な目的は、改善された光学素子を、特定的には、光が要求される方向以外の方向に放出されることを阻止する光学素子を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、製造が容易且つ安価な、かかる光学素子を提供し、それによってかかる光学素子の大量生産を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の説明から明白になるであろうこれらの、及び他の目的は、本発明による光学素子及び光学素子の製造方法によって達成される。
【0012】
第1の面においては、本発明は光学素子の製造方法に関する。本方法は、一般的に、光学シートを準備するステップと、上記光学シート上に反射層をコーティングするステップと、上記光学シートを複数の光学素子に分割するように、上記光学シートを横切って第1のセットのトラックを形成するステップとを含む。上記各トラックは第1の幅を有する。
【0013】
光学シートは、セラミック燐光体の板、またはガラス、エポキシのようなポリマー、及びゾル・ゲルのようなハイブリッドを含む他の何等かの透明または半透明材料のような波長変換板とすると有利である。光学シートは、例えば、キャスティング、プレス、モールディング、機械加工、またはゾルゲリングによって形成させることができる。
【0014】
反射層は、例えば、TiO2を充満させたエポキシのような、反射性粒子を充満させた樹脂の形状で準備することができる。しかしながら、反射層は、代替として、金属層、反射性多重層構造、またはAl2O3、またはMgOのような高反射率を有する他の材料の層として設けることができる。反射層は、例えばキャスティング、レーキング、スピンコーティング、蒸着、スパッタリング、スプレー、毛管充填等によって付着させることができる。
【0015】
第1のセットのトラックは、例えば、のこ引き、けがき、レーザ切断、またはウォータージェット切断によって形成させることができる。
【0016】
光学シートは、第1のセットのトラックを形成させた後に上記光学素子を適所に保持するためのキャリヤ上に設けると有利であり得る。
【0017】
このようにキャリヤを設けると光学シートの取扱いが容易になり、光学素子の大量生産性が改善される。
【0018】
キャリヤは、例えば、キャリヤテープ、ガラスシート、ワックス、氷、糊、または箔の形状で設けることができる。
【0019】
本発明による方法のステップは、どのような順番ででも遂行させ得ることに注目されたい。
【0020】
本発明の一実施の形態によれば、光学シートをコーティングするステップは、上記光学シートを複数の光学素子に形成させるように上記セットのトラックを形成して上記光学シートを分割するステップの前に遂行することができる。
【0021】
得られる光学素子は、反射性材料でコーティングされている上面と、コーティングされていない端面とを有している。このように、光学素子は、光がその底面から上面へ通過するのを阻止し、代わりに、光学素子の端面を通して光を放出できるようになっている。これらの光学素子は、例えば、側面放出型LEDアセンブリに有用である。
【0022】
本発明の別の実施の形態によれば、第1のセットのトラックを形成するステップは、反射層をコーティングするステップの前に遂行される。本方法は更に、少なくとも反射層の厚みに対応する厚みを光学シートから除去するステップと、上記第1のセットのトラック内に、第2のセットのトラックを形成するステップを含む。上記第2のセットのトラックは第1のセットより狭く、従って、各々の端面上に形成されたレフレクタを有する複数の光学素子が形成される。
【0023】
本発明の発明者らは、光の漏洩を減少乃至は排除する波長変換板のような光学素子は、先ず光学シートをカットして光学素子の端面を露出させ、(カットした)光学シートの表面全体に反射層を付着させ、光学シートを薄くして光学素子の上面を露出させ、そして最後に、光学素子の端面に反射材料が残されるように光学素子の間をカットして光学素子を分離することによって、極めて費用効率的手法で形成させることができることを認識した。
【0024】
本発明のこの実施の形態による方法によって製造された光学素子においては、光学素子内へ結合される光は光学素子の端面において反射され、最終的には光学素子の上面から素子を出る。これは、改善された色一貫性及び効率をもたらす。
【0025】
更に、本発明による方法は、光学シートの形成時から残留しているサブ表面の凹凸のような欠陥を除去するため、コーティングをする前に光学シートを薄くするステップをも含み、それによって、光学シートの均質性を改善することができる。
【0026】
典型的な薄くする方法は、例えば、研削、レーザビーム加工、及びエッチングを含む。
【0027】
本発明の第2の面によれば、上述した、及び他の目的は、第1及び第2の対向する面及び複数の横側端面を有する少なくとも部分的に光学的に透明な板を具備する光学素子によって達成される。上記第1の表面は光源からの光を受ける受光面であり、上記第2の面及び上記端面の少なくとも一方は反射材料でコーティングされている。
【0028】
本発明の一実施の形態においては、上記少なくとも部分的に光学的に透明な板は、セラミックをベースとする波長変換板であることができる。
【0029】
本明細書において使用する“波長変換”とは、第1の波長の光を吸収し、第2の、より長い波長の光を放出する材料または素子のことである。特定的には、この用語は、蛍光及び燐光波長変換の両者に関係している。
【0030】
本発明の光学素子の一実施の形態によれば、各端面は反射性材料でコーティングされている。本発明による光学素子は光学シートから分離されてしまっているから、これらの端面は、光学シート内に形成されるトラックの側に対応している。従って、本実施の形態による光学素子の端面は、既に個々に分離されてしまった光学素子上に反射性材料を直接付着させることによって形成させたどのような表面とも容易に区別することができる。
【0031】
本発明の光学素子の別の実施の形態によれば、光学素子の第2の面は反射性材料でコーティングすることができる。
【0032】
本発明による光学素子は、更に、有利なことに、光学素子の受光面に向かって放出するように配列されている光源を更に含む光出力デバイス内に含ませることができる。
【0033】
光源は、有利なことに、少なくとも1つのLEDからなることができ、光出力デバイスは、所望の環境を作出する目的で光を出力する照明または環境作出デバイスのために使用される発光デバイスであることができる。
【0034】
本発明のこれらの、及び他の面は添付図面に基づく以下の本発明の現在では好ましい実施の形態の説明から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態による光学素子を製造する第1の方法の概要フローチャートである。
【図2】a−gは、図1の方法のステップを遂行した後の光学素子の対応する状態の概要を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による光学素子を製造する方法の概要フローチャートである。
【図4】a−eは、図3の方法のステップを遂行した後の光学素子の対応する状態の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を、セラミックをベースとする波長変換板の形状の光学素子に関して説明する。
【0037】
これは決して本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は少なくとも部分的に透明な、または半透明な光学素子の他の形状にも等しく適用可能であることを理解されたい。
【0038】
更に、以下に本発明による方法のステップを遂行する1つの例を説明するが、当業者ならば、周知の等価技術によってこれらのステップを容易に遂行することができよう。
【0039】
本発明の光学素子の製造方法の第1の実施の形態を図1に示す。図2a−gはそれぞれ、関連ステップの後の光学素子の状態を示している。
【0040】
図1を参照する。第1のステップ100において、光学シート1がキャリヤ2上に準備される。前述したように、光学シート1は、セラミックをベースとする波長変換板であることができる。
【0041】
次のステップ101において、光学シート1が中間の厚みまで薄くされる。これは、例えば研削スピンドルによる研削によって行うことができる。この薄くする方法の代替は、レーザビーム加工またはエッチングである。
【0042】
次のステップ102へ移って、光学シート1を切断することによって、第1のセットのトラック3が形成される。それぞれが第1の幅を有しているこれらのトラックは、光学シート1を複数の波長変換板5に分割する。
【0043】
引き続き図1と共に、図2cを参照する。ステップ103において、光学素子は反射層でコーティングされる。前述したように、反射層4は、典型的に、キャスティング、レーキング、またはスピンコーティングによって付着される。反射層4は、各波長変換板5のトラック3内に露出された光学素子5のエッジ又は端面上と、上面とに設けられる。
【0044】
今度は、図1のステップ104及び図2eを参照する。光学シートの上面から十分な量の材料が除去されて、光学素子の上面が露出される。除去される材料の量は、少なくとも反射層4の厚みに対応する。このプロセスは、例えば、研削、レーザビーム加工、またはエッチングによって行うことができる。
【0045】
次のステップ105へ移って、例えば、最初の切断プロセスにおけるよりも薄いダイスブレードを使用する切断によって、第1のセットのトラック3内に第2のセットのトラック6が形成される。第2のセットのトラックは第1のセットより狭く、従って、端面に反射層/レフレクタ4が形成されている複数の光学素子5が得られる。
【0046】
最後のステップ106において、光学素子5がキャリヤから取り外される。これは、例えば、光学素子を1つずつピックアップすることによって行うことができる。上述した方法によれば、トラックの深さがキャリヤ内に伸びているために、光学素子には反射性リム(図2a−gには示されていない)が残る可能性がある。これらのリムは、光源または別の光学素子に対する光学素子5の位置決めに使用することができ、また代替として、図2cに示すように分割された光学シート1を別のキャリヤへ転送して裏返し、次いで残りのプロセスステップを遂行することもできる。この操作の結果、反射性リムが存在しないフラットな光学素子が得られる。
【0047】
図3及び図4a−eには、光学素子製造の代替実施の形態が示されている。
【0048】
本方法の第1の部分であるステップ100において、光学シート1がキャリヤ2上に準備される。前述したように、光学シート1は、ルミネセント板のようなセラミックをベースとする波長変換板であることができる。
【0049】
方法の第2の部分であるステップ101において、光学シート1が中間の厚みまで薄くされる。これは、例えば研削スピンドルによる研削によって行うことができる。この薄くする方法の代替は、レーザビーム加工またはエッチングである。
【0050】
引き続き図3と共に、図4cを参照する。ステップ103において、光学素子1は反射層4でコーティングされる。前述したように、反射層4は、典型的に、キャスティング、レーキング、またはスピンコーティングによって付着される。
【0051】
図3の次のステップ102へ移って、反射層4、光学シート1を通して、及び部分的にキャリヤ2までダイシングにより切断することによって、第1のセットのトラック3が形成される。第1の幅を有している各トラック3は、上記光学シート1を複数の波長変換板5に分割する。
【0052】
図3の最後のステップ106において、キャリヤ2が光学素子5から取り外される。代替の方法として、例えば、光学素子5を光出力デバイス内に使用する場合には、光学素子5をキャリヤから1つずつ取り外すことができる。
【0053】
当業者ならば、本発明が上述した好ましい実施の形態に決して限定されるものではないことを理解できよう。反対に、特許請求の範囲内で多くの変更及び変形が可能である。例えば、光学素子は特定の型の光源(LED)への応用に限定されるものではなく、ある方向内へ光を出力することが望まれる如何なる応用にも使用することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は光学素子に関し、またかかる光学素子を製造する方法に関する。更に、本発明は、かかる光学素子を具備する光出力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)を具備する光学素子は、現在利用可能な最も効率的且つ頑丈な光源である。照明には、白色光源、特に高い色レンダリング特性の白光源が必要である。放射源としてLEDを使用することによって白光を放出する照明システムを得るために、さまざまな試みがなされてきた。
【0003】
白光を得る1つの方法は、青LEDを使用し、放出された青光の一部を黄光(約580nmの波長スペクトル)に変換することである。黄光は目の赤及び緑レセプタを刺激するから、混合された青光と黄光が白として見える。
【0004】
典型的には、これは、燐光体含有材料のような波長変換材料を含む光学素子を、LED上に配列することによって行われる。即ち、LEDから放出される光の一部を燐光体に吸収させ、吸収した光の波長とは異なる波長の光として放出させるのである。
【0005】
しかしながら、このような配列に伴う1つの問題は、供給される光の色の均質性である。LEDの端面から放出される光、及びLEDからある傾斜した角度で放出される光が通過する波長変換材料の厚みは、ある順方向に放出される光と同一の厚みではない。従って、典型的には、材料の横面から出る光の変換の程度は、材料の前面から出る光のそれより低くなる。事実、レンズ、保護ウィンドウ等のような他の種類の光学素子の場合にも同じような問題を生ずる可能性があり、例えば、望まざる方向へ放出されたために、光源から放出された光の幾らかが失われることがあり得る。
【0006】
光学素子の端面から光が放出されるのを阻止する1つのアプローチが、WO 2006 / 048064に開示されている。この引例に記述されているLED配列は、LEDチップを色変換材料で取り囲んでおり、この色変換材料はLEDの頂部及び横側に配列されている。色変換材料の横側を、レフレクタが取り囲んでいる。LEDチップとレフレクタとの間の最大距離は、0.5mmである。LEDの横側から放出される光はレフレクタによって反射され、この反射された光は波長変換され得るようになる。
【0007】
上記WO 2006 / 048064の光学素子の欠陥は、これらのデバイスを製造するのが困難であり、時間を消費し、そして高価なことである。色変換材料の特定の物理的形状は、それを発光ダイオードの1つ1つについて現物合わせしなければならないことを、従ってこのようなデバイスの大量生産が阻害されることを暗示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 2006 / 048064
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の、及び従来技術の他の欠陥に鑑みて、本発明の一般的な目的は、改善された光学素子を、特定的には、光が要求される方向以外の方向に放出されることを阻止する光学素子を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、製造が容易且つ安価な、かかる光学素子を提供し、それによってかかる光学素子の大量生産を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の説明から明白になるであろうこれらの、及び他の目的は、本発明による光学素子及び光学素子の製造方法によって達成される。
【0012】
第1の面においては、本発明は光学素子の製造方法に関する。本方法は、一般的に、光学シートを準備するステップと、上記光学シート上に反射層をコーティングするステップと、上記光学シートを複数の光学素子に分割するように、上記光学シートを横切って第1のセットのトラックを形成するステップとを含む。上記各トラックは第1の幅を有する。
【0013】
光学シートは、セラミック燐光体の板、またはガラス、エポキシのようなポリマー、及びゾル・ゲルのようなハイブリッドを含む他の何等かの透明または半透明材料のような波長変換板とすると有利である。光学シートは、例えば、キャスティング、プレス、モールディング、機械加工、またはゾルゲリングによって形成させることができる。
【0014】
反射層は、例えば、TiO2を充満させたエポキシのような、反射性粒子を充満させた樹脂の形状で準備することができる。しかしながら、反射層は、代替として、金属層、反射性多重層構造、またはAl2O3、またはMgOのような高反射率を有する他の材料の層として設けることができる。反射層は、例えばキャスティング、レーキング、スピンコーティング、蒸着、スパッタリング、スプレー、毛管充填等によって付着させることができる。
【0015】
第1のセットのトラックは、例えば、のこ引き、けがき、レーザ切断、またはウォータージェット切断によって形成させることができる。
【0016】
光学シートは、第1のセットのトラックを形成させた後に上記光学素子を適所に保持するためのキャリヤ上に設けると有利であり得る。
【0017】
このようにキャリヤを設けると光学シートの取扱いが容易になり、光学素子の大量生産性が改善される。
【0018】
キャリヤは、例えば、キャリヤテープ、ガラスシート、ワックス、氷、糊、または箔の形状で設けることができる。
【0019】
本発明による方法のステップは、どのような順番ででも遂行させ得ることに注目されたい。
【0020】
本発明の一実施の形態によれば、光学シートをコーティングするステップは、上記光学シートを複数の光学素子に形成させるように上記セットのトラックを形成して上記光学シートを分割するステップの前に遂行することができる。
【0021】
得られる光学素子は、反射性材料でコーティングされている上面と、コーティングされていない端面とを有している。このように、光学素子は、光がその底面から上面へ通過するのを阻止し、代わりに、光学素子の端面を通して光を放出できるようになっている。これらの光学素子は、例えば、側面放出型LEDアセンブリに有用である。
【0022】
本発明の別の実施の形態によれば、第1のセットのトラックを形成するステップは、反射層をコーティングするステップの前に遂行される。本方法は更に、少なくとも反射層の厚みに対応する厚みを光学シートから除去するステップと、上記第1のセットのトラック内に、第2のセットのトラックを形成するステップを含む。上記第2のセットのトラックは第1のセットより狭く、従って、各々の端面上に形成されたレフレクタを有する複数の光学素子が形成される。
【0023】
本発明の発明者らは、光の漏洩を減少乃至は排除する波長変換板のような光学素子は、先ず光学シートをカットして光学素子の端面を露出させ、(カットした)光学シートの表面全体に反射層を付着させ、光学シートを薄くして光学素子の上面を露出させ、そして最後に、光学素子の端面に反射材料が残されるように光学素子の間をカットして光学素子を分離することによって、極めて費用効率的手法で形成させることができることを認識した。
【0024】
本発明のこの実施の形態による方法によって製造された光学素子においては、光学素子内へ結合される光は光学素子の端面において反射され、最終的には光学素子の上面から素子を出る。これは、改善された色一貫性及び効率をもたらす。
【0025】
更に、本発明による方法は、光学シートの形成時から残留しているサブ表面の凹凸のような欠陥を除去するため、コーティングをする前に光学シートを薄くするステップをも含み、それによって、光学シートの均質性を改善することができる。
【0026】
典型的な薄くする方法は、例えば、研削、レーザビーム加工、及びエッチングを含む。
【0027】
本発明の第2の面によれば、上述した、及び他の目的は、第1及び第2の対向する面及び複数の横側端面を有する少なくとも部分的に光学的に透明な板を具備する光学素子によって達成される。上記第1の表面は光源からの光を受ける受光面であり、上記第2の面及び上記端面の少なくとも一方は反射材料でコーティングされている。
【0028】
本発明の一実施の形態においては、上記少なくとも部分的に光学的に透明な板は、セラミックをベースとする波長変換板であることができる。
【0029】
本明細書において使用する“波長変換”とは、第1の波長の光を吸収し、第2の、より長い波長の光を放出する材料または素子のことである。特定的には、この用語は、蛍光及び燐光波長変換の両者に関係している。
【0030】
本発明の光学素子の一実施の形態によれば、各端面は反射性材料でコーティングされている。本発明による光学素子は光学シートから分離されてしまっているから、これらの端面は、光学シート内に形成されるトラックの側に対応している。従って、本実施の形態による光学素子の端面は、既に個々に分離されてしまった光学素子上に反射性材料を直接付着させることによって形成させたどのような表面とも容易に区別することができる。
【0031】
本発明の光学素子の別の実施の形態によれば、光学素子の第2の面は反射性材料でコーティングすることができる。
【0032】
本発明による光学素子は、更に、有利なことに、光学素子の受光面に向かって放出するように配列されている光源を更に含む光出力デバイス内に含ませることができる。
【0033】
光源は、有利なことに、少なくとも1つのLEDからなることができ、光出力デバイスは、所望の環境を作出する目的で光を出力する照明または環境作出デバイスのために使用される発光デバイスであることができる。
【0034】
本発明のこれらの、及び他の面は添付図面に基づく以下の本発明の現在では好ましい実施の形態の説明から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態による光学素子を製造する第1の方法の概要フローチャートである。
【図2】a−gは、図1の方法のステップを遂行した後の光学素子の対応する状態の概要を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による光学素子を製造する方法の概要フローチャートである。
【図4】a−eは、図3の方法のステップを遂行した後の光学素子の対応する状態の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を、セラミックをベースとする波長変換板の形状の光学素子に関して説明する。
【0037】
これは決して本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は少なくとも部分的に透明な、または半透明な光学素子の他の形状にも等しく適用可能であることを理解されたい。
【0038】
更に、以下に本発明による方法のステップを遂行する1つの例を説明するが、当業者ならば、周知の等価技術によってこれらのステップを容易に遂行することができよう。
【0039】
本発明の光学素子の製造方法の第1の実施の形態を図1に示す。図2a−gはそれぞれ、関連ステップの後の光学素子の状態を示している。
【0040】
図1を参照する。第1のステップ100において、光学シート1がキャリヤ2上に準備される。前述したように、光学シート1は、セラミックをベースとする波長変換板であることができる。
【0041】
次のステップ101において、光学シート1が中間の厚みまで薄くされる。これは、例えば研削スピンドルによる研削によって行うことができる。この薄くする方法の代替は、レーザビーム加工またはエッチングである。
【0042】
次のステップ102へ移って、光学シート1を切断することによって、第1のセットのトラック3が形成される。それぞれが第1の幅を有しているこれらのトラックは、光学シート1を複数の波長変換板5に分割する。
【0043】
引き続き図1と共に、図2cを参照する。ステップ103において、光学素子は反射層でコーティングされる。前述したように、反射層4は、典型的に、キャスティング、レーキング、またはスピンコーティングによって付着される。反射層4は、各波長変換板5のトラック3内に露出された光学素子5のエッジ又は端面上と、上面とに設けられる。
【0044】
今度は、図1のステップ104及び図2eを参照する。光学シートの上面から十分な量の材料が除去されて、光学素子の上面が露出される。除去される材料の量は、少なくとも反射層4の厚みに対応する。このプロセスは、例えば、研削、レーザビーム加工、またはエッチングによって行うことができる。
【0045】
次のステップ105へ移って、例えば、最初の切断プロセスにおけるよりも薄いダイスブレードを使用する切断によって、第1のセットのトラック3内に第2のセットのトラック6が形成される。第2のセットのトラックは第1のセットより狭く、従って、端面に反射層/レフレクタ4が形成されている複数の光学素子5が得られる。
【0046】
最後のステップ106において、光学素子5がキャリヤから取り外される。これは、例えば、光学素子を1つずつピックアップすることによって行うことができる。上述した方法によれば、トラックの深さがキャリヤ内に伸びているために、光学素子には反射性リム(図2a−gには示されていない)が残る可能性がある。これらのリムは、光源または別の光学素子に対する光学素子5の位置決めに使用することができ、また代替として、図2cに示すように分割された光学シート1を別のキャリヤへ転送して裏返し、次いで残りのプロセスステップを遂行することもできる。この操作の結果、反射性リムが存在しないフラットな光学素子が得られる。
【0047】
図3及び図4a−eには、光学素子製造の代替実施の形態が示されている。
【0048】
本方法の第1の部分であるステップ100において、光学シート1がキャリヤ2上に準備される。前述したように、光学シート1は、ルミネセント板のようなセラミックをベースとする波長変換板であることができる。
【0049】
方法の第2の部分であるステップ101において、光学シート1が中間の厚みまで薄くされる。これは、例えば研削スピンドルによる研削によって行うことができる。この薄くする方法の代替は、レーザビーム加工またはエッチングである。
【0050】
引き続き図3と共に、図4cを参照する。ステップ103において、光学素子1は反射層4でコーティングされる。前述したように、反射層4は、典型的に、キャスティング、レーキング、またはスピンコーティングによって付着される。
【0051】
図3の次のステップ102へ移って、反射層4、光学シート1を通して、及び部分的にキャリヤ2までダイシングにより切断することによって、第1のセットのトラック3が形成される。第1の幅を有している各トラック3は、上記光学シート1を複数の波長変換板5に分割する。
【0052】
図3の最後のステップ106において、キャリヤ2が光学素子5から取り外される。代替の方法として、例えば、光学素子5を光出力デバイス内に使用する場合には、光学素子5をキャリヤから1つずつ取り外すことができる。
【0053】
当業者ならば、本発明が上述した好ましい実施の形態に決して限定されるものではないことを理解できよう。反対に、特許請求の範囲内で多くの変更及び変形が可能である。例えば、光学素子は特定の型の光源(LED)への応用に限定されるものではなく、ある方向内へ光を出力することが望まれる如何なる応用にも使用することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を製造する方法であって、
光学シートを準備するステップと、
上記光学シート上に反射層をコーティングするステップと、
第1のセットのトラックを形成するステップと、
を含み、
上記各トラックは第1の幅を有し、上記トラックは上記光学シートを複数の光学素子に分割するように上記光学シートを横切っている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記光学シートは、上記第1のセットのトラックが形成された後に、上記光学素子を所定の位置に保持するためのキャリヤ上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1のセットのトラックを形成するステップは、上記コーティングステップの前に遂行され、上記方法は更に、
少なくとも上記反射層の厚みに対応する厚みを、上記光学シートから除去するステップと、
上記第1のセットのトラック内に第2のセットのトラックを形成するステップと、
を含み、
上記第2のセットのトラックは上記第1のセットより狭く、それによって、端面上に形成されたレフレクタを有する複数の光学素子が形成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記コーティングの前に、上記光学シートを薄くするステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
光学素子であって、第1及び第2の対向する面及び複数の横側端面を有する少なくとも部分的に光学的に透明な板を具備し、上記第1の面は光源からの光を受ける受光面であり、上記第2の面及び上記端面の少なくとも一方は反射性材料でコーティングされていることを特徴とする光学素子。
【請求項6】
上記少なくとも部分的に光学的に透明な板は、セラミックをベースとする波長変換板であることを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
【請求項7】
上記各端面は、上記反射性材料でコーティングされていることを特徴とする請求項5または6に記載の光学素子。
【請求項8】
上記第2の面は、上記反射性材料でコーティングされていることを特徴とする請求項5または6に記載の光学素子。
【請求項9】
上記反射性材料は、反射性粒子で充満されている樹脂であることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項10】
光出力デバイスであって、
光を放出するように配列されている光源と、
上記光源から放出される光を受けるように配列されている請求項5乃至9の何れか1項に記載の光学素子と、
を具備することを特徴とする光出力デバイス。
【請求項11】
上記光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項10に記載の光出力デバイス。
【請求項1】
光学素子を製造する方法であって、
光学シートを準備するステップと、
上記光学シート上に反射層をコーティングするステップと、
第1のセットのトラックを形成するステップと、
を含み、
上記各トラックは第1の幅を有し、上記トラックは上記光学シートを複数の光学素子に分割するように上記光学シートを横切っている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記光学シートは、上記第1のセットのトラックが形成された後に、上記光学素子を所定の位置に保持するためのキャリヤ上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1のセットのトラックを形成するステップは、上記コーティングステップの前に遂行され、上記方法は更に、
少なくとも上記反射層の厚みに対応する厚みを、上記光学シートから除去するステップと、
上記第1のセットのトラック内に第2のセットのトラックを形成するステップと、
を含み、
上記第2のセットのトラックは上記第1のセットより狭く、それによって、端面上に形成されたレフレクタを有する複数の光学素子が形成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記コーティングの前に、上記光学シートを薄くするステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
光学素子であって、第1及び第2の対向する面及び複数の横側端面を有する少なくとも部分的に光学的に透明な板を具備し、上記第1の面は光源からの光を受ける受光面であり、上記第2の面及び上記端面の少なくとも一方は反射性材料でコーティングされていることを特徴とする光学素子。
【請求項6】
上記少なくとも部分的に光学的に透明な板は、セラミックをベースとする波長変換板であることを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
【請求項7】
上記各端面は、上記反射性材料でコーティングされていることを特徴とする請求項5または6に記載の光学素子。
【請求項8】
上記第2の面は、上記反射性材料でコーティングされていることを特徴とする請求項5または6に記載の光学素子。
【請求項9】
上記反射性材料は、反射性粒子で充満されている樹脂であることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の光学素子。
【請求項10】
光出力デバイスであって、
光を放出するように配列されている光源と、
上記光源から放出される光を受けるように配列されている請求項5乃至9の何れか1項に記載の光学素子と、
を具備することを特徴とする光出力デバイス。
【請求項11】
上記光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項10に記載の光出力デバイス。
【図1】
【図2a)】
【図2b)】
【図2c)】
【図2d)】
【図2e)】
【図2f)】
【図2g)】
【図3】
【図4a)】
【図4b)】
【図4c)】
【図4d)】
【図4e)】
【図2a)】
【図2b)】
【図2c)】
【図2d)】
【図2e)】
【図2f)】
【図2g)】
【図3】
【図4a)】
【図4b)】
【図4c)】
【図4d)】
【図4e)】
【公表番号】特表2011−511325(P2011−511325A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545592(P2010−545592)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050474
【国際公開番号】WO2009/098654
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050474
【国際公開番号】WO2009/098654
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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