説明

光学素子

屈折率の温度変化率を補償するための補助材料を必要とせず、無機材料および有機材料いずれの透明材料に対しても広範に適用でき、透明性の低下や寸法変化を来たすことなく作製されるアサーマル化された光学素子を提供する。 本発明に係る光学素子は、光の伝搬様態を制御する光学素子であって、透明材料と、前記透明材料中に分散された無機微粒子とを有し、前記透明材料及び前記無機微粒子が以下のa),b)の内、少なくとも1つを満たす。 a)前記透明材料の屈折率の温度変化率と前記無機微粒子の屈折率の温度変化率の符号が互いに逆である。 b)前記透明材料の熱膨張係数と前記無機微粒子の熱膨張率の符号が互いに逆である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などとして好適に用いられる光学素子に関し、特に、屈折率が温度に依存して変化することのない光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などの光学素子は、透過、反射、屈折、回折など光の伝搬様態を制御する光学素子として、現代社会において透明な材料によって形成される。このような透明材料として、珪素系ガラス材料、金属酸化物などの透明無機材料が広く用いられてきたが、近年、成形性や経済性、軽量性に優れた透明な有機重合体も普及し、眼鏡用レンズ、光ディスク用対物レンズ、プラスチック光ファイバー、ポリマ平板光導波路などとして実用に供されるようになってきた(非特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、これら透明無機材料や透明有機重合体においては、一般的に屈折率が温度に依存して変化する。このため、集光限界(回折限界)まで光を集光して装置性能を高めようとするCD、DVDなどの光ディスク装置用レンズ、光の伝搬距離が長い光ファイバーや平板光導波路として総称される光学素子に用いた場合不都合を生じることが多い。特に、光通信分野や光センサで用いられるブラッググレーティングなどの回折光学素子においては、屈折率の変化がグレーティング定数(グレーティング間隔に対応する光学距離)を変化させるため、素子の性能が著しく阻害されることが知られている。
【0004】
このような透明材料の屈折率を温度無依存化(アサーマル化)する方法として、従来さまざまな手法が提案されてきた。例えば、図1Dに例示される平板光導波路4の場合、光導波層(4a)を構成する材料の熱膨張係数と基板(4b)を構成する材料の熱膨張係数(線膨張係数)とが正負逆になるように構成し、導波層(4a)の屈折率の温度変化を補償することによりアサーマル化する方法が提案されている(非特許文献2、特許文献1参照。)。
【0005】
あるいは、ファイバーブラッググレーティングを使用する際、ファイバーブラッググレーティングを構成するシリカ系材料の熱膨張を補償するような逆符号の熱膨張係数を有する材料を用いてファイバーブラッググレーティングを支持し、パッケージ化する方法が提案されている(非特許文献3参照。)。
【0006】
このような補助材料を用いて光学素子を構成する透明材料の屈折率の温度依存変化を補償するのではなく、透明材料そのものをアサーマル化する方法として、透明材料の屈折率の温度変化率と逆符号の温度変化率を有する材料をドープする方法が知られている(特許文献2、特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、このような方法は、上記公報に示されているように、実質的にはシリカ系ガラス材料中に酸化ホウ素をドープする系に限られ、シリカ系ガラス以外の無機透明材料有機重合体からなる透明材料など、広範な応用を可能にするものではない。
【0008】
さらに、屈折率の温度変化率が正負逆の2種の材料からなる混合体または複合体を形成して、アサーマル化された材料を得る方法も提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、この方法においては、上記公報に詳述されているように、実質的に無機ガラス材料中に有機材料を混合する手段がとられるため、無機材料と有機材料との相分離を来たし、相分離界面における光散乱によって光学的透明性が阻害されるという問題が発生する。このような問題を抑制するためには、上記公報に述べられているように、実質的には有機無機複合体を出発材料として形成した後加熱処理を施すゾルーゲルに拠らなければならない。この場合、光学素子の成形加工工程において縮重合に伴う著しい体積変化を来たすため、高い寸法精度を要求する光学素子の作製に適用することが難しくなるという問題が発生する。
【非特許文献1】井上文雄著『オプトエレクトロニクスと高分子材料』共立出版(1995)
【非特許文献2】國分泰雄著「光回路の温度無依存化技術」応用物理、第66巻、934頁(1997年)
【非特許文献3】A.Sakamoto等、著「IEICE Transactions on Electronics」,第E−83C巻、1441頁(2000)
【特許文献1】特開2000−352633号公報
【特許文献2】特開2001−141945号公報
【特許文献3】特開2002−020136号公報
【特許文献4】特開2001−201601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、アサーマル化された光学素子を作製する方法としてさまざまな方法が提案されてきたが、光学素子を形成する透明材料以外の補助的な材料を必要とする、光学素子を形成する材料系が限られる、光散乱に伴う透明性の低下が起こる、光学素子作成過程において寸法変化を来たすなどの問題が残る。
【0010】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、屈折率の温度変化率を補償するための補助材料を必要とせず、無機材料および有機材料いずれの透明材料に対しても広範に適用でき、透明性の低下や寸法変化を来たすことなく作製されるアサーマル化された光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、光学素子を形成する透明材料中に、特定の条件を満たす無機材料の微粒子を複合化することにより、アサーマル化できることを見出した。
すなわち、本発明の光学素子は、光学的に透明な材料と無機微粒子とを含む複合材料によって形成されている。
【0012】
本発明の目的は以下の態様により達成することができる。
本発明に係る光学素子は、
光の伝搬様態を制御する光学素子であって、
透明材料と、
前記透明材料中に分散された無機微粒子とを有し、
前記透明材料及び前記無機微粒子が以下のa),b)の内、少なくとも1つを満たすことを特徴とする。
a)前記透明材料の屈折率の温度変化率と前記無機微粒子の屈折率の温度変化率の符号が互いに逆である。
b)前記透明材料の熱膨張係数と前記無機微粒子の熱膨張率の符号が互いに逆である。
【0013】
上記、a)及び/又はb)の条件を満たす透明材料と無機微粒子を含むことにより、屈折率を抑えた光学材料から成る光学素子を提供できる。あるいは、光学材料だけで独立して形態を維持できず、なんらかの支持体や基板などによって光学素子が形成される場合、これらの支持体や基板が有する屈折率の温度変化及び/又は熱膨張係数を補償し、光学素子全体としてアサーマル化するように、透明材料と無機微粒子からなる複合体の屈折率の温度変化率及び/または熱膨張係数を制御することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学素子は、以上のように、光の透過、反射、屈折、回折などの光の伝搬様態を制御する光学素子であって、屈折率の温度変化率の符号または熱膨張係数の符号が互いに異なる透明光学材料と無機微粒子とを含まれてなる構成である。
【0015】
上記構成により、
(1)透明光学材料単体で形成した光学素子と比べて、アサーマル化(屈折率の温度無依存化)を実現できる。
(2)屈折率の温度変化率または熱膨張係数の符号が正負異なる透明光学材料および無機微粒子材料の選択範囲および混合割合の制御幅を広くとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
[図1A]本発明に関わる光学素子のうちレンズを示す説明図である。
[図1B]本発明に関わる光学素子のグレーティングを示す説明図である。
[図1C]本発明に関わる光学素子のうち光ファイバーを示す説明図である。
[図1D]本発明に関わる光学素子のうち平板光導波路を示す説明図である。
[図2]本発明に関わる光学素子を形成する透明光学材料のうち、実施例1にて用いた有機重合体と無機微粒子複合体薄膜の屈折率の温度依存性を示すグラフである。
[図3]本発明に関わる光学素子のうち、実施例および比較例にて示された光導波路素子においてプリズム結合法による光導波動作を示す説明図である。
[図4]本発明に関わる光学素子のうち、光導波路素子において、導波モードごとに異なる電磁界分布を持つことを示す説明図である。
[図5]本発明に関わる光学素子のうち、実施例および比較例にて示された光導波路素子において、プリズム結合法によってm−ライン法を観察していることを示す説明図である。
[図6]本発明に関わる光学素子を形成する透明光学材料のうち、実施例2にて用いた有機重合体と無機微粒子複合体薄膜の屈折率の温度依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の光学素子においては、前記無機微粒子が、LiAlSiO,PbTiO,Sc12,ZrW,AlPO,Nb,LiNbO,PLZTから選ばれる少なくとも1種の無機材料を含有することが好ましい。なかでも、Nb及びLiNbOの少なくとも1つを含有することが特に好ましい。
【0018】
本発明の光学素子においては、前記透明材料が、有機重合体であることが好ましい。
【0019】
上記の構成により、成形性や経済性、軽量性に優れたアサーマル光学素子を提供できるとともに、従来からよく知られたさまざまな有機重合体の成型方法を利用することができる。
【0020】
本発明の光学素子においては、無機微粒子の割合が、固形分換算で、有機重合体及び無機微粒子の総量の95重量%以下であることが好ましい。
このような構成によれば、無機微粒子間の2次凝集による光の散乱損失を来すことなく高い光透過性を発現させることができる。
【0021】
本発明の光学素子は、光の透過、反射、屈折、回折などの光の伝搬様態を制御する光学素子であって、屈折率の温度変化率の符号が正負逆である(互いに正負異なる)透明材料と無機微粒子とを、または、熱膨張係数の符号が正負逆である透明材料と無機微粒子とを含んでいる。
【0022】
本発明の光学素子を構成する複合材料としては、光学的に透明な材料と無機微粒子とを含む複合材料であれば、どのような組合せであってもよい。透明材料と無機微粒子の複合材料は、慣用の方法、例えば、透明材料と無機微粒子とを混合・分散することにより調整できる。
【0023】
[透明材料]
透明材料としては、光学素子が使用される波長帯域において、実質的に透明性を有するもの、すなわち、光学的に透明な(光透過性を有する)ものであれば、無機材料、有機重合体いずれでも用いることができるが、成形性等の観点から有機重合体であることが好ましい。
【0024】
[無機材料]
光学的に透明な(光透過性を有する)無機材料としては、酸化珪素、酸化アルミ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛などの酸化物、これら酸化物より構成される複酸化物、これら酸化物との組合せで形成されるリン酸塩や硫酸塩等が用いられる。
【0025】
[有機重合体]
光学的に透明な(光透過性を有する)有機重合体としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1,ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリオレフィンなどが例示できるが、目的とする光の波長に対して実質的に透明な有機重合体であれば本発明の光学素子に用いることができる。また、これらの有機重合体は、単独で用いてもよく2種類以上組み合わせて用いることもできる。また、これらの有機重合体を溶媒に溶解し、あるいは加熱などによって溶融したものを目的とする光学素子の形態に加工できるが、有機重合体の前駆体となるモノマ、オリゴマ、モノマやオリゴマと有機重合体との混合体を出発原料として目的とする光学素子の形態に加工する過程で重合化することもできる。
【0026】
さらには、これらの有機重合体は、その主鎖や側鎖に、光や熱によって付加、架橋、重合などの反応を促す官能基を有していてもよい。このような官能基としては、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ジアゾ基、ニトロ基、シンナモイル基、アクリロイル基、イミド基、エポキシ基などが例示できる。
【0027】
有機重合体は、可塑剤、酸化防止剤などの安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料などの着色剤などの添加物を含んでいても良い。さらに、有機重合体は、塗布性などの作業性を高めるために、溶媒(水、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類などの有機溶媒)を含んでいてもよい。
【0028】
有機重合体は、感光性高分子であってもよい。感光性高分子としては、露光部が硬化して不溶となるネガ型感光性高分子、または露光部が可溶となるネガ型感光性高分子のいずれであっても良い。また、感光性高分子は、高分子自体が感光性を有していてもよく、あるいは高分子と、感光性化合物とを混合してなる樹脂組成物であってもよい。高分子自体に感光性を有するものとしては、ジアゾニウム塩基含有高分子、アジド基含有高分子、ポリケイ皮酸ビニルエステルなどのシンナモイル基を有する高分子などが挙げられる。
【0029】
また、高分子と混合して感光性の樹脂組成物を形成する感光性化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、アミド基またはN−置換アミド基、ニトリル基、グリシジル基、ハロゲン原子を含有している化合物などが挙げられる。有機重合体が感光性高分子であることで、フォトリソグラフィー法などよく知られた露光プロセス技術を用いることにより、切断、切削、研磨などといった機械的加工を経ることなく、さまざまな形状やパターンの光学素子を容易に成形することができる。
【0030】
[無機微粒子]
無機微粒子としては、光学素子を形成する透明材料の屈折率の温度変化率または熱膨張係数と逆符号を有する材料であれば何を用いてもよい。一般的には、物質の屈折率は温度上昇とともに低下し(温度変化率の符号は負)、熱膨張係数の符号は正となるものが多い。特に、有機重合体は、ほぼ例外なくこの傾向を示す。このような透明材料中に添加する無機微粒子は、屈折率の温度変化率の符号が正であるか、または熱膨張係数の符号が負である必要がある。このような性質を有する材料として好ましくは、LiAlSiO,PbTiO,Sc12,ZrW,AlPO,Nb,LiNbO,PLZTが挙げられる。中でもNbもしくはLiNbOが好ましく用いられる。
【0031】
これらの無機微粒子も、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。透明材料として有機重合体を用いる場合は、上記例示の無機微粒子のうち、Nb及LiNbOを用いることが、高い透過性を保つために必要な粒子径の無機微粒子を合成し、かつ有機重合体との相溶性を制御する観点より特に好ましい。
【0032】
無機微粒子の形状は、球状、楕円状、扁平状、ロッド状などいずれの形状であっても良いが、特に球状のときに本発明によって得られる効果を有効に発現できる。
【0033】
無機微粒子の作製方法は特に限定されないが、金属塩の熱分解、金属塩や金属アルコキシドの加水分解などの方法がよく知られている。金属塩の熱分解としては、金属塩もしくはそれらの溶液を噴霧し、加熱分解することにより得られる。金属塩や金属アルコキシドの加水分解としては、予め金属塩や金属アルコキシド溶液を作製し、この溶液に水を添加することで、加水分解重合を進行させることにより得られる。
【0034】
無機微粒子の平均粒子径は、光学素子を透過する、または光学素子によって屈折、回折などの伝搬を制御される光の波長よりも小さいことが望ましい。具体的には光の波長によって異なるが、好ましくは1〜1000nmであり、より好ましくは、2〜100nmである。
【0035】
無機微粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、該粒子径が、伝搬を制御される光の波長と比較して相対的に小さくなるため、高い透明性を維持することができる。
【0036】
上記無機微粒子と、有機重合体との組合せは特に限定されず、光学素子の用途・目的等に応じ適宜組み合わせればよいが、メタクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂とNbまたはLiNbOとの組合せ等が、良好な成形加工を目的とする場合には、特に好ましい。
【0037】
無機微粒子は、官能基(例えば、前記有機重合体との親和性を高める基、熱、機械的応力、水または水蒸気の添加などの外的負荷を加えることによって反応性を有する基(反応性基)、感光性基など)を有していることが好ましい。
【0038】
このような構成により、有機重合体表面等に前記無機微粒子を確実に固定化することができる。
【0039】
このような官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミド基またはN−置換アミド基、ビニル基、エステル基、エーテル基、ニトリル基、グリシジル基、ジアゾ基、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
【0040】
特に、有機重合体と複合化された無機微粒子を、有機重合体内で移動し、あるいは凝集することなく均一に分散させて保持する上で、無機微粒子に官能基を導入し、この官能基と有機重合体とを反応させることによって無機微粒子を固定化させることにより、優れた光透過性をより安定して得ることができる。官能基を有する無機微粒子は、無機微粒子と、この無機微粒子に導入された官能基とで構成できる。
【0041】
この官能基は、反応性基または感光性基(特に重合性感光基)であることが好ましい。また、この官能基は、無機微粒子と加水分解重合性基および/または感光性基を有する有機金属化合物(特に、シランカップリング剤やチタンカップリング剤など)有機金属化合物または縮合物との反応、表面グラフト反応、CVD法(化学気相蒸着法)などにより無機微粒子に導入できる。
【0042】
本発明においては、前記無機官能基を表面修飾により無機微粒子に導入する方法が好ましく用いられる。特に下記化学式(1)で表される化合物を用いて表面修飾することが好ましい。
Si(OR(R4−X … (1)
但し、化学式(1)において、Xは1〜4の整数を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、下記化学式群(2)から選ばれる1価の結合基を表す。
【0043】

【0044】
なお、化学式群(2)において、yは1〜30の整数、zは0〜5の整数を表す。
【0045】
化学式(1)で示される化合物を用いて表面修飾する方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、水が存在する条件下で、化学式(1)で示される化合物を加水分解させ、無機微粒子の表面に修飾する方法が挙げられる。この方法では、酸またはアルカリなどの触媒が好適に用いられ、無機微粒子表面の水酸基と、化学式(1)で示される化合物が加水分解して生じる水酸基とが、脱水して結合を形成する、と一般に考えられている。
【0046】
本発明において用いる無機微粒子は、上述の化学式(1)で示される化合物により表面修飾が施されることが好ましい。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルフェノキシシランなどが好ましく用いられる。
【0047】
これらの化合物は、反応速度などの特性が異なり、表面修飾の条件などに適した化合物を用いることができる。また、1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよい。さらに、用いる化合物によって得られる無機微粒子の形状は異なることがあり、材料組成物を得るにあたって用いる熱可塑性樹脂との親和性を、表面修飾する際に用いる化合物を選ぶことによって図ることも可能である。表面修飾の割合は特に限定されるものではないが、表面修飾後の微粒子に対して、表面修飾前の無機微粒子の割合が30〜99重量%であることが好ましく、60〜98重量%であることがより好ましい。
【0048】
官能基が導入された無機微粒子において、無機微粒子に対する官能基の導入量は、官能基を有する化合物換算で、無機微粒子100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0049】
光学的に透明な材料と無機微粒子との混合割合は、透明材料と無機微粒子との組合せ、および目的光学素子が用いられる波長に応じてアサーマル化される条件が異なるため限定されるものではないが、より優れた透過性を得るためには、無機微粒子の割合が固形分換算で有機重合体及び無機微粒子の総量の95重量%以下であることがより好ましい。
【0050】
[光学素子]
本発明の光学素子は、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などに例示され、透過、反射、屈折、回折などを通して光の伝搬様態を制御するものである。ここに例示した光学素子における動作様態を図1A〜図1Dに示した。このように、透過、反射、屈折、回折などを通して光の伝搬様態を制御する光学素子であればどのようなものに対しても本発明は効果を発揮し得るが、特に、成形性、軽量性と経済性に優れる一方、屈折率の温度変化率が負、かつ10−4/℃台と無機透明材料に比べて1桁程度大きいという欠点を有する透明有機重合体を用いたときに、本発明によって大きな効果を招来できる。
【0051】
[光学素子の作製]
有機重合体と無機微粒子の複合体を用いた光学素子は、有機重合体の成形加工法として一般的に知られている慣用の方法によって作製することができる。
【0052】
例えば、有機重合体と無機微粒子とを混合したのち、所望の光学素子に適した鋳型(金型)に同混合体を流し込み、固化して成形体を得るキャスト成型法を用い得る。キャスト成型法においては、加熱、光照射など補助的な手段を用いて固化することもできる。
【0053】
あるいは、有機重合体と無機微粒子とを混合した液を、適当な基板上に塗布したのち、固化して薄膜を得る方法もある。基板上に有機重合体と無機微粒子との混合液を塗布する方法としては、スピンコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法などが知られている。
【0054】
本発明によって作製される光学素子が光ファイバーの場合、珪素ガラス系光ファイバーやプラスチック光ファイバーで用いられている紡糸法が適用できる。すなわち、有機重合体と無機微粒子とを混合した液を、ギヤーポンプなどを用いて吐出口から射出した後、ドラムやボビンで巻き取る。あるいは、有機重合体と無機微粒子の混合体を固化したのち、オーブン内で加熱して端部を溶かし、溶融状の有機重合体と無機微粒子の複合体をドラムやボビンに巻き取ることもできる。光ファイバーの作製方法としては、たとえば、J.P.Harmon and G.K.Noren編、“Optical Polymers”、第5頁、アメリカ化学会(2001年)に詳しく記載されている。
【実施例】
【0055】
以下に、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0056】
〈無機微粒子の作製〉
ペンタエトキシニオブ2.5gをエチレングリコールモノメチルエーテル30.75gに加えた溶液を作製した。この溶液に、水0.34gとエチレングリコールモノメチルエーテル32.91gの混合溶液を攪拌しながら滴下した。室温で16時間攪拌した後、酸化物濃度が3重量%となるように濃縮し、Nb分散液を得た。得られたNb分散液の粒径分布を動的散乱法で測定したところ、平均粒径6nmであった。
【0057】
〈透明材料と無機微粒子との混合液の作製〉
透明材料として、有機重合体である光重合性アクリル樹脂「サイクロマー」(ダイセル化学社製)を用いた。この有機重合体と、前記の方法にて作成したNbの微粒子、および光ラジカル発生剤「Irgacure369」(商品名、チバガイガイギー社製)をPGMEA中で混合し、室温にて2時間攪拌させ混合液を得た。混合比はNb重量分率として、各々下記のように設定した。
【0058】
〈光学的に透明な材料と無機微粒子との複合体膜の屈折率〉
前記のようにして作製した混合液に関して、Nbの濃度が0%、25%、50%、70%の液を作製し、スピンコーティング法によってシリコン基板上に塗布し、90℃で30秒間乾燥させ、さらに超高圧水銀灯により500mJ/cm露光して、有機重合体と無機微粒子の複合体膜を得た。Nbの屈折率の温度変化率と、光重合性アクリル樹脂「サイクロマー」(ダイセル化学社製)の屈折率の温度変化率とは、前者が+7.8×10−6であり、後者が−3.1×10−4であり、互いに正負逆であった。
【0059】
次に、厚さ1mmのラバーヒータを厚さ1.5mmの銅板と厚さ3.5mmのテフロン(登録商標)板で挟んだ板状ヒータを用意し、その銅板上に前記の有機重合体と無機微粒子からなる複合体膜が形成されたシリコン基板をのせて分光反射率法測定により波長0.633μmにおける屈折率を測定した。屈折率の測定にあたっては、ラバーヒータを昇温して、銅板表面温度として室温から80℃まで変化させて測定し、各試料の各温度ごとの屈折率を測定した。さらに、その結果から、Nb濃度が異なる各複合体膜の屈折率の温度変化率を読み取り、図2に示す温度変化率(単位:%)のNb濃度依存性を求めた。この結果から、Nb濃度が63%のとき、屈折率の温度変化率がゼロとなりアサーマル化されることがわかった。
【0060】
〈プリズム結合法〉
以下に述べる光学素子の作製および該光学素子の機能検証にあたっては、プリズム結合法を用いた。すなわち、図3に示すように、導波層薄膜5の上に該導波層薄膜の屈折率よりも高い屈折率を有するプリズム9を密着させた後、レーザ光7をプリズム9に導入する。レーザ光7は、その直角部エッジにて全反射して入射方向に向かって戻ろうとするが、プリズム9が導波層5に十分密着されている場合、全反射の際にプリズム外部にしみ出すエバネッセント波が導波層5に移行し、導波層5内部を全反射しながら導波光8として伝搬していく。このとき、導波層5の厚さに応じて、8(a)、8(b)に表されるように、全反射して走行する距離が異なる導波モードに分離されて導波する。
【0061】
この導波モードは、導波層5に結合されたレーザ光7が伝搬していく過程で、導波層5の厚さ方向に定在波を形成する条件が成り立つ波に相当する。その様子を、図4に示す。図4に示す10(a)、10(b)、10(c)は、各々モード次数が0次、1次、2次に対応する導波モードの電磁界強度分布を示す。このように、導波層内を伝搬する光は、複数の導波モードに分かれて伝搬するため、導波モードごとに実質的な伝搬速度が異なってくる。屈折率nの媒質中を伝搬する光の速度vは真空中での光の速度をcとすると、下記式(3)で表されるので、導波モードごとに伝搬速度が異なるということは、導波モードごとに異なる実効的な屈折率を見ることになる。
v=c/n … (3)
【0062】
〈光学素子の作製〉
前記と同様の方法でNbの濃度が63%の有機重合体と無機微粒子との複合体膜をスピンコーティング法により石英板上に形成し、90℃で30秒間乾燥させたのち超高圧水銀灯により500mJ/cm露光して有機重合体と無機微粒子の複合体膜を得た。このようにして作製した有機重合体と無機微粒子との複合体膜中に、図3のようなプリズム結合法によって波長0.633μmのレーザ光を導入し、光導波路として機能することを確認した。また、光導波層である同複合体膜を伝搬するレーザ光が、散乱によって放出する光を散乱光検出法(西原ら『光集積回路』第252頁、オーム社(1985年))によって測定し、4.5dB/cmであることを確認した。
【0063】
〈光学素子の屈折率の温度依存性〉
このようにして得られた光導波路を、図5に示すようにヒータ11を用いて加熱しながら、プリズム結合法によってレーザ光を導波させた。上記したように、導波光8は異なる実効屈折率を見こむ複数の導波モード光に分離される。このような導波モード光を、もうひとつのプリズム9から取り出す際、各導波モードの実効屈折率とプリズムの屈折率との相対関係に応じて、プリズムエッジから回折される角度が異なり、m−ライン12と呼ばれる複数の出射光が得られる。(西原ら『光集積回路』第242頁、オーム社(1985年)。)本実施例においても、このm−ライン観察を行った。その結果、m−ラインの位置は実質的に変動せず、有機重合体と無機微粒子の複合体膜からなる導波層の屈折率が、温度によって変化しないことを確認した。
【実施例2】
【0064】
<無機微粒子の作製>
ペンタエトキシニオブ30.0gをエチレングリコールモノメチルエーテル248.78gに加えた溶液を作製した。この溶液に、水酸化リチウム1水和物3.96gと水1.70gをエチレングリコールモノメチルエーテル273.13gに溶かした混合溶液を撹拌しながら滴下した。室温で16時間撹拌した後、酸化物濃度が10重量%となるように濃縮し、LiNbO分散液を得た。得られたLiNbO分散液の粒径分布を動的散乱法で測定したところ、平均粒径3nmであった。
【0065】
<透明材料と無機微粒子との混合液の作製>
透明材料として、有機重合体である光重合性アクリル樹脂「サイクロマー」(ダイセル化学社製)を用いた。この有機重合体と、前記の方法にて作製したLiNbOの微粒子、および光ラジカル発生剤「irgacure369」(商品名,チバガイギー社製)をPGMEA中で混合し、室温にて2時間攪拌させ混合液を得た。混合比はLiNbO重量分率として、各々下記のように設定した。
【0066】
<光学的に透明な材料と無機微粒子との複合体膜の屈折率>
前記のようにして作製した混合液に関して、LiNbOの濃度が0%、25%、50%の液を作製し、スピンコーティング法によってシリコン基板上に塗布し、90℃で30秒間乾燥させ、さらに超高圧水銀灯により500mJ/cm露光して、有機重合体と無機微粒子の複合体膜を得た。LiNbOの屈折率の温度変化率と、光重合性アクリル樹脂「サイクロマー」(ダイセル化学社製)の屈折率の温度変化率とは、前者が+2.9×10−5であり、後者が−3.1×10−4であり、互いに正負逆であった。
【0067】
次に、厚さ1mmのラバーヒータを厚さ1.5mmの銅板と厚さ3.5mmのテフロン板で挟んだ板状ヒータを用意し、その銅板上に前記の有機重合体と無機微粒子からなる複合体膜が形成されたシリコン基板をのせて分光反射率法測により波長0.633μmにおける屈折率を測定した。屈折率の測定にあたっては、ラバーヒータを昇温して、銅板表面温度として室温から80℃まで変化させて測定し、各試料の各温度ごとの屈折率を測定した。さらに、その結果から、LiNbO濃度が異なる各複合体膜の屈折率の温度変化率を読み取り、図6に示す温度変化率のLiNbO濃度依存性を求めた。この結果から、LiNbO濃度が約30%のとき、屈折率の温度変化率がゼロとなりアサーマル化されることがわかった。
【0068】
<光学素子の作製>
前記と同様の方法でLiNbOの濃度が30%の有機重合体と無機微粒子との複合体膜をスピンコーティング法により石英板上に形成し、90℃で30秒間乾燥させたのち超高圧水銀灯により500mJ/cm露光して有機重合体と無機微粒子の複合体膜を得た。このようにして作製した有機重合体と無機微粒子との複合体膜中に、図3のようなプリズム結合法によって波長0.633μmのレーザ光を導入し、光導波路として機能することを確認した。また、実施例1と同様に散乱光検出法によって測定し、3.2db/cmであることを確認した。
【0069】
<光学素子の屈折率の温度依存性>
このようにして得られた光導波路を、図5に示すようにヒータ11を用いて加熱しながら、プリズム結合法によってレーザ光を導波させた。そして、実施例1と同様に、m−ラインを観察した結果上記したように、導波光8は異なる実効屈折率を見こむ複数の導波モード光に分離される。このような導波モード光を、もうひとつのプリズム9から取り出す際、各導波モードの実効屈折率とプリズムの屈折率との相対関係に応じて、プリズムエッジから回折される角度が異なり、m−ライン12と呼ばれる複数の出射光が得られる(西原ら『光集積回路』第242頁、オーム社(1985年))。本実施例においても、このm−ライン観察を行った。その結果、m−ラインの位置は実質的に変動せず、有機重合体と無機微粒子の複合体膜からなる導波層の屈折率が、温度によって変化しないことを確認した。
【0070】
〔比較例〕
前記実施例と同様に、透明な材料として有機重合体である光重合性アクリル樹脂「サイクロマー」(ダイセル化学社製)を用い、光ラジカル発生剤「Irgacure369」(商品名、チバガイギー社製)とPGMEAで混合し、室温にて2時間攪拌させ塗布液を得た。前記のNbもしくはLiNbOは添加しなかった。
【0071】
このようにして得た塗布液を、スピンコーティング法によって石英板上に塗布し、90℃で30秒間乾燥させ、さらに超高圧水銀灯により500mJ/cm露光して有機重合体薄膜を得た。
【0072】
このようにして作製した有機重合体薄膜中に、図3のようなプリズム結合法によって波長0.633μmのレーザ光を導入し、光導波路として機能することを確認した。また、前記実施例と同様に散乱光検出法によって測定し、伝搬損失が4.7dB/cmであることを確認した。
【0073】
さらに、上記で得られた光導波路を、前記実施例と同様に図5に示すように加熱しながら、プリズム結合法によるm−ライン観察を行った。その結果、m−ラインの位置が温度変化と共に移動することが観察された。これは、導波層である有機重合体薄膜の屈折率が温度によって変化し、そのために導波光が見込む実効屈折率も変動していることを意味している。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の光学素子は、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などに例示され、透過、反射、屈折、回折などを通して光の伝搬様態を制御するものであればどのようなものに対しても適用できる。
【符号の説明】
【0075】
4 平板光導波路
4a 光導波層
4b 基板
5 導波層薄膜
7 レーザ光
8 導波光
9 プリズム
11 ヒータ
12 m−ライン


【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の伝搬様態を制御する光学素子であって、
透明材料と、
前記透明材料中に分散された無機微粒子とを有し、
前記透明材料及び前記無機微粒子が以下のa),b)の内、少なくとも1つを満たすことを特徴とする光学素子。
a)前記透明材料の屈折率の温度変化率と前記無機微粒子の屈折率の温度変化率の符号が互いに逆である。
b)前記透明材料の熱膨張係数と前記無機微粒子の熱膨張率の符号が互いに逆である。
【請求項2】
前記無機微粒子が、LiAlSiO,PbTiO,Sc12,ZrW,AlPO,Nb,LiNbO,PLZTから選ばれる少なくとも1種の無機材料を含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光学素子。
【請求項3】
前記透明材料の屈折率の温度変化率と前記無機微粒子の屈折率の温度変化率の符号が互いに逆であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の光学素子。
【請求項4】
前記透明材料の熱膨張率と前記無機微粒子の熱膨張係数の符号が互いに逆であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の光学素子。
【請求項5】
前記無機微粒子が、LiNbO、Nbの少なくとも1つを含有することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記透明材料が有機重合体であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光学素子。
【請求項7】
前記光学素子における前記無機微粒子の割合が、固形分換算で、有機重合体及び無機微粒子の総量の95重量%以下であることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の光学素子。
【請求項8】
前記無機微粒子が、官能基を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光学素子。
【請求項9】
前記官能基が、前記有機重合体との親和性を高める基、反応性基および感光性基の少なくとも1つであることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の光学素子。
【請求項10】
前記官能基が、反応性基または感光性基であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の光学素子。
【請求項11】
前記官能基が、重合性感光性基であることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の光学素子。
【請求項12】
前記官能基が、(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミド基またはN−置換アミド基、ビニル基、エステル基、エーテル基、ニトリル基、グリシジル基、ジアゾ基、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基およびイソシアネート基の少なくとも1つであることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の光学素子。
【請求項13】
前記無機微粒子中の前記官能基の量が、前記官能基を有する化合物換算で、0.5〜50重量%であることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の光学素子。
【請求項14】
前記無機微粒子中の前記官能基の量が、前記官能基を有する化合物換算で、1〜20重量%であることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の光学素子。
【請求項15】
前記官能基が表面修飾により前記無機微粒子により導入されることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の光学素子。
【請求項16】
前記無機微粒子が無機酸化物微粒子であり、下記化学式(1)で表される化合物により表面修飾されることを特徴とする請求の範囲第15項に記載の光学素子。
Si(OR(R4−X … (1)
但し、化学式(1)において、Xは1〜4の整数を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、下記化学式群(2)から選ばれる1価の結合基を表す。

化学式群(2)において、yは1〜30の整数、zは0〜5の整数を表す。
【請求項17】
前記化学式(1)で表される化合物が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシランおよびトリフェニルフェノキシシランの少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第16項に記載の光学素子。

【国際公開番号】WO2004/113963
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【発行日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507207(P2005−507207)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008207
【国際出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】