説明

光学装置

【課題】 複雑な構成を用いることなく、複数の波長の光に係る走査光学系を容易に光路合成することができる光学装置を提供する。
【解決手段】 被検体13に対して刺激を行う刺激光であって、少なくとも1以上の波長を有する刺激光を偏向させる刺激光用走査光学系17と、被検体13の画像を得るための観察光学系15の光路に、偏向された刺激光の光路を合成する合成音響光学素子33と、が備えられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、走査型共焦点顕微鏡などを用いた生体細胞の機能解析が盛んに行われている。この走査型共焦点顕微鏡などを用いることにより、厚みのある生物細胞における様々な深さの機能解析を行うことができるため、生物細胞の3次元構造を解明することが可能とされてきている。
走査型共焦点顕微鏡は、点光源から出射された光を試料に照射することにより、試料から発する蛍光や反射光などを光検出器で検出して試料の情報を得るものである。光検出器の光入射面側には観察面と共役関係となる位置にピンホールが配置されており、光検出器は当該ピンホールを通過した光のみを検出し、電気信号に変換している。そのため、走査型共焦点顕微鏡は、厚みのある試料における所望の光軸方向位置の光学的スライス像を得ることができる。
そして、走査型共焦点顕微鏡は、試料および対物レンズの少なくとも一方を光軸方向に移動させつつ試料の情報を順次取得することにより、試料の三次元情報を得ることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−206742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献1には、第1の走査光学系と第2の走査光学系とを備え、ダイクロイックミラーを用いて第1の走査光学系と第2の走査光学系とを途中で一致させる(光路合成する)走査型共焦点顕微鏡(レーザ走査顕微鏡)が開示されている。
このような構成とすることで、第1の走査光学系と第2の走査光学系が、1つの対物レンズを共用することができた。
【0004】
しかしながら、ダイクロイックミラーを用いて第1および第2の走査光学系を光路合成する構成では、それぞれの走査光学系で用いる照射光の波長の組み合わせ、さらに、光検出器で検出する波長の組み合わせに応じて、ダイクロイックミラーの波長特性を変更する必要がある。したがって、照射波長、検出波長を変更する場合には、合成ダイクロイックミラーを交換しなければならない。特に生体試料の蛍光観察の場合のように、標本の種類や観察部位に応じて観察用(蛍光励起用)レーザ光の波長、刺激用レーザ光の波長、検出波長を異ならせたい場合、それぞれの波長の組み合わせに適したダイクロイックミラーを着脱または切り替え選択しなければならないので、構造の複雑化、高コスト化、操作の煩雑化を招くという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複雑な構成を用いることなく、刺激および観察に使用する光の波長の多様な組合せに容易に対応できる光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、被検体に対して変化を与える刺激光であって、少なくとも1以上の波長を有する刺激光を偏向させる刺激光用走査光学系と、前記被検体の画像を得るための観察光学系の光路に、前記偏向された刺激光の光路を合成する合成音響光学素子と、が備えられている光学装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、所定波長の光線のみを合成するダイクロイックミラー等と比較して、合成できる光線の波長自由度が高い合成音響光学素子が用いられているため、少なくとも1以上の波長を有する刺激光の光路が、複雑な構成を用いることなく、観察光学系の光路に容易に合成される。つまり、音響光学素子は、その結晶体に励起される超音波(弾性波)の周波数を変えることにより合成(回折)する光線の波長の変化に対応できるため、一つの合成音響光学素子で、少なくとも1以上の波長を有する刺激光の光路を観察光学系の光路に容易に合成できる。
【0008】
さらに、上記ダイクロイックミラー等を複数用いる場合は、複数のダイクロイックミラー等の配置角度等について調整する必要があるのに対して、本発明の光学装置は、一つの合成音響光学素子の配置位置等を調整するだけで、少なくとも1以上の波長を有する刺激光の光路を観察光学系の光路に合成できる。
【0009】
なお、被検体に変化を与える刺激光とは、標本に対して光化学的反応を起こさせたり(例えば、蛍光漂白や、ケージド試薬の解除など)、標本のマニピュレーションやダイセクション、加工などの操作を行ったりするなど、観察以外の目的を持って被検体に照射する光である。
【0010】
上記発明においては、前記刺激光用走査光学系および前記合成音響光学素子が、前記観察光学系の光路に対して挿入および取り外し可能とされていることが望ましい。
本発明によれば、観察光学系のみを備える光学装置に、上記本発明の刺激光用走査光学系および合成音響光学素子を取り付けることにより、自在に走査、位置変更が可能な刺激光と観察光学系の光線とを合成して被検体に集光させる光学装置を容易に実現できる。
【0011】
上記発明においては、前記刺激光用走査光学系には、前記刺激光を偏向させる刺激光偏向部が設けられていることが望ましい。
本発明によれば、刺激光は刺激光偏向部により偏向され、被検体の所定の領域に集光される。例えば、各波長の刺激光をそれぞれ偏向させる刺激光偏向部を設けることにより、各波長の刺激光を、同時に異なる所定の領域に集光できる。
【0012】
上記発明においては、前記合成音響光学素子が、互いに交差する一の方向に前記刺激光を偏向させ、前記刺激光用走査光学系には、互いに交差する他の方向に前記刺激光を偏向させる偏光音響光学素子が設けられ、前記合成音響光学素子には、前記偏向音響光学素子により偏向された刺激光、および、前記他の光線が入射されることが望ましい。
本発明によれば、刺激光は合成音響光学素子により、互いに交差する一の方向に偏向され、偏向音響光学素子により、互いに交差する他の方向に偏向される。そのため、刺激光を、互いに交差する一および他の方向へ走査させることができる。
【0013】
上記発明においては、前記合成音響光学素子が、前記刺激光を回折するとともに、前記観察光学系の光路の光を透過することが望ましい。
本発明によれば、合成音響光学素子において刺激光の光路が回折されるため、刺激光の光路は合成音響光学素子内で曲がり、合成音響光学素子を透過する観察光学系の光線の光路と合成される。
【0014】
上記発明においては、前記刺激光を前記被検体に集光させる対物光学系が設けられ、前記合成音響光学素子は、前記対物光学系の瞳と共役な位置に配置されていることが望ましい。
【0015】
本発明によれば、刺激光が偏向された場合に、刺激光の合成音響光学素子への入射位置は変動せず、刺激光の入射角のみが変動する。そのため、合成音響光学素子が上記共役な位置に配置されていない場合と比較して刺激光の入射角のみが変動するだけなので、刺激光の光路を観察光学系の光線の光路に容易に合成できる。
【0016】
上記発明においては、前記刺激光を前記被検体に集光させる対物光学系が設けられ、前記合成音響光学素子は、前記対物光学系の像と共役な位置に配置されていることが望ましい。
【0017】
本発明によれば、刺激光が偏向された場合に、合成音響光学素子に入射する刺激光の入射角は変動せず、入射位置が平行移動するのみである。そのため、合成音響光学素子が上記共役な位置に配置されていない場合と比較して刺激光の入射位置が平行移動するだけなので、刺激光の光路を観察光学系の光線の光路に容易に合成できる。
例えば、音響変調フィルタなどの音響光学素子は、光線の入射角の許容範囲が狭い。そのため、合成音響光学素子が対物光学系の瞳と共役な位置に配置されている場合と比較して刺激光の入射角が変動しないことから、刺激光の光路を観察光学系の光線の光路に容易に合成できる。
【0018】
上記発明においては、前記合成音響光学素子において励起される超音波を制御する変調信号を生成する信号生成部が設けられ、該信号生成部が、前記超音波を制御することにより、前記被検体に照射される前記偏向された刺激光の強度を制御することが望ましい。
【0019】
本発明によれば、信号制御部により合成音響光学素子に励起される超音波が制御され、被検体に照射される刺激光の強度を自在に制御できる。
ここで、合成音響光学素子は入射された光線の一部を回折し、残りの光線は透過する。回折する光線と透過する光線の比率は、合成音響光学素子に励起される超音波の振幅に依存している。つまり、上記超音波の振幅が大きくなるにつれて回折する光線の比率が高くなり、逆に、上記超音波の振幅が小さくなるにつれて回折する光線の比率が低くなる。そこで、信号制御部は変調信号を合成音響光学素子に入力することにより、上記超音波の周波数と振幅のうちの振幅を制御し、被検体に照射される刺激光の強度を自在に制御することができる。
【0020】
上記発明においては、前記被検体に照射されずに前記合成音響光学素子を透過する前記偏向された刺激光の強度を検出する検出部が設けられ、前記信号生成部は、前記検出部に検出された刺激光の強度に基づいて、前記変調信号を生成することが望ましい。
【0021】
本発明によれば、検出部が検出した合成音響光学素子を透過した刺激光の強度に基づいて、信号生成部は制御信号を生成し、合成音響光学素子に入力させることにより、被検体に照射される刺激光の強度を自在に制御できる。
ここで、合成音響光学素子に入射した刺激光の一部は、合成音響光学素子において回折され、残りの刺激光は合成音響光学素子を透過する。信号生成部は、検出部が検出した合成音響光学素子を透過した残りの刺激光の強度に基づく制御を行うことにより、合成音響光学素子により回折される刺激光の強度、および、透過する刺激光の強度を自在に制御できる。
【0022】
上記発明においては、前記合成音響光学素子が音響光学変調フィルタであることが望ましい。
本発明によれば、音響光学変調フィルタ(Acoust Optic Tunable Filter:以下、AOTFと表記する。)を合成音響光学素子として用いるため、AOTFは刺激光を回折し、刺激光の光路を観察光学系の光線の光路に合成させることができる。
【0023】
上記発明においては、前記合成音響光学素子が音響光学変調器であることが望ましい。
本発明によれば、音響光学変調器(Acoust Optic Modulator:以下、AOMと表記する。)を合成音響光学素子として用いるため、AOMは刺激光を回折し、刺激光の光路を観察光学系の光線の光路に合成させることができる。
【0024】
上記発明においては、前記合成音響光学素子が音響光学偏向器であることが望ましい。
本発明によれば、音響光学偏向器(Acoust Optic Diflector:以下、AODと表記する。)を合成音響光学素子として用いるため、AODは刺激光を回折し、刺激光の光路を観察光学系の光線の光路に合成させることができる。
【0025】
上記発明においては、上記本発明のいずれかにおいて、前記観察光学系が、前記被検体を照射する光を走査する走査光学系を備えていることが望ましい。
本発明によれば、被検体の走査画像を取得することができるので、例えば、共焦点検出系を用いて共焦点画像を取得したり、多光子励起法を用いて走査画像を取得したりすることにより、標本の光学的スライス像画像を観察画像として取得することができる。
【0026】
また、刺激光用走査光学系により偏向された刺激光と、観察用の走査光学系により偏向された光線とが、合成音響光学素子で合成されて、例えば光を被検体に集光させる対物光学系に入射されるため、同じ対物光学系の視野内で刺激光と他の光線とは独立して偏向される。つまり、刺激光と観察光学系の光線とは、被検体におけるそれぞれ異なる所定の領域に集光される。
【0027】
上記発明においては、上記本発明のいずれかにおいて、前記観察光学系が、非走査型の顕微鏡光学系であることが望ましい。
本発明によれば、被検体の顕微鏡画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の光学装置によれば、少なくとも1以上の波長を有する刺激光用走査光学系により偏向された刺激光と、観察光学系の光線とが、合成音響光学素子に入射されるため、複雑な構成を用いることなく、刺激と観察に使用する光の波長の多様な組合せに容易に対応できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るレーザ走査顕微鏡ついて図1および図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るレーザ走査顕微鏡の構成を説明する概略図である。
レーザ走査顕微鏡1は、図1に示すように、第1の光源3と、第1の走査光学系(観察光学系)15と、光学装置7と、第2の光源5と、検出光学系9と、対物レンズ(対物光学系)55と、第3リレー光学系53とを備えている。
【0030】
第1の光源3は、被検体13の像(イメージ)の取得に用いられるレーザ光を出射するものである。具体的には、第1の光源3は、被検体13に照射され蛍光を励起する励起光(観察光学系の光線)を出射するものである。第1の光源3から出射された励起光は、後述する第1の走査光学系15に入射されている。
【0031】
第1の走査光学系15は、励起光を偏向するとともに、偏向された励起光を対物レンズ55に入射させるものである。励起光は第1の走査光学系15に偏向されることにより、被検体13上を走査される。第1の走査光学系15は、ダイクロイックミラー19と、第1の走査光学ユニット(走査光学系)21と、第1のリレーレンズ系23と、を備えている。
【0032】
ダイクロイックミラー19は、励起光を透過するとともに被検体13で励起された蛍光を反射するものである。ダイクロイックミラー19は、第1の光源3と第1の走査光学ユニット21との間に配置されているとともに、ダイクロイックミラー19により反射された蛍光が検出光学系9に入射するように配置されている。
【0033】
第1の走査光学ユニット21は、励起光を2次元的に偏向することにより、励起光を被検体13上で走査させるものである。第1の走査光学ユニット21は、ダイクロイックミラー19と第1のリレーレンズ系23との間に配置されている。第1の走査光学ユニット21は、2つの第1のガルバノミラー21A,21Bを備えている。第1のガルバノミラー21A,21Bは、互いに直交する一および他の方向へ励起光をそれぞれ偏向させるものである。
【0034】
第1のリレーレンズ系23は、第3リレーレンズ系53と共働して、対物レンズ55の瞳を第1の走査光学ユニット21の位置へリレーするものである。第1のリレーレンズ系23は、第1の走査光学ユニット21と対物レンズ55との間に配置されている。
また、第1のリレーレンズ系23と対物レンズ55との間には、ミラー27が配置されている。ミラー27は、第1のリレーレンズ系23から出射された励起光を対物レンズ55に向けて反射するものである。
【0035】
光学装置7は、標本の所望の点または領域に刺激光を照射するものである。光学装置7は、第2の光源5からの刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)17と、ビーム合成装置16とを備えている。
【0036】
第2の光源5は、被検体13の所定領域に入射させるレーザ光を出射するものである。例えば、第2の光源5は、被検体13の所定領域を刺激する刺激光を出射するものである。このように第2の光源5からの刺激光を照射することにより、被検体13に所定の反応を起こさせ、当該反応を観察することができる。第2の光源5から出射された刺激光は、後述する光学装置7の第2の走査光学系17に入射されている。
【0037】
第2の走査光学系17は、第2の光源5からの刺激光を偏向するものである。刺激光は第2の走査光学系17で偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。第2の走査光学系17は、第2の走査光学ユニット(刺激光偏向部)29と、第2のリレーレンズ系31と、を備えている。
【0038】
第2の走査光学ユニット29は、刺激光を2次元的に偏向することにより、刺激光を被検体13の所定領域に照射させるものである。第2の走査光学ユニット29は、第2の光源5と第2のリレーレンズ系31との間に配置されている。第2の走査光学ユニット29は、2つの第2のガルバノミラー29A,29Bを備えている。第2のガルバノミラー29A,29Bは、互いに直交する一および他の方向へ励起光をそれぞれ偏向させるものである。
【0039】
ビーム合成装置16は、AOTF(合成音響光学素子)33と、制御部43とを備えている。AOTF33は、第2走査光学系17からの刺激光の波長のみを対物レンズ55へ向けて回折させるので、刺激光の波長と異なる第1走査光学系からの観察用レーザ光および標本からの観察光は、そのまま透過する。
【0040】
第2のリレーレンズ系31は、第3リレー光学系53と共働して対物レンズ55の瞳を第2の走査光学ユニット29の位置へリレーするものである。第2のリレーレンズ系31は、第2の走査光学ユニット29とAOTF33との間に配置されている。
【0041】
図2は、図1の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
AOTF33は、第1の走査光学系15の光路と第2の走査光学系17の光路とを合成するものである。具体的には、AOTF33は、励起光を透過するとともに刺激光を回折することで、励起光の光路と刺激光の光路とを合成し、対物レンズ55に入射させるものである。
【0042】
AOTF33は、第2のリレーレンズ系31と第3リレーレンズ系53との間に配置されているとともに、AOTF33は、第1リレーレンズ系23と第3リレーレンズ系53との間に配置されている。AOTF33は、図2に示すように、トランデューサ37と、結晶体39と、超音波吸収体41とを備えている。
【0043】
トランデューサ37は、結晶体39に超音波を励起させるものである。トランデューサ37は結晶体39に接触して配置され、制御部43から高周波電圧が印加されている。
結晶体39は励起された超音波により、入射された刺激光を回折させるものである。結晶体39の一方の面にはトランデューサ37が配置され、一方の面に対向する他方の面には超音波吸収体41が配置されている。超音波吸収体41は、トランデューサ37により励起され、結晶体39を伝搬する超音波を吸収するものである。
【0044】
また、AOTF33には、AOTF33の結晶体39に励起される超音波(音響波、弾性波)を制御する制御部(信号生成部)43が接続されている。
制御部43は、超音波を制御する変調信号を生成する信号生成部43Aと、変調信号に基づいて高周波電圧を発生する高周波発信器43Bと、を備えている。
【0045】
制御部43の高周波発信器43Bは、刺激光を回折させる超音波を励起させる高周波電圧を発生させている。また、制御部43の信号生成部43Aは、高周波発信器43Bに上記超音波を励起させる変調信号を生成している。
このように、制御部43は、AOTF33において励起される超音波(弾性波)の周波数と振幅を制御することにより、対物レンズ55へ向けて回折される刺激光の波長と強度を制御することができる。
【0046】
なおAOTF33としては、公知の音響光学変調フィルタを用いることができ、特に限定するものではない。
【0047】
検出光学系9は、被検体13に励起された蛍光などを検出するものである。検出光学系9は、図1に示すように、測光フィルタ45と、レンズ47と、ピンホール49と、光電変換素子51と、を備える共焦点検出系である。
【0048】
測光フィルタ45は、被検体13から励起された蛍光のみを透過するフィルタである。測光フィルタ45は、ダイクロイックミラー19とレンズ47との間に配置されている。
レンズ47は、測光フィルタ45を透過した蛍光をピンホール49面に結像するものである。レンズ47は、測光フィルタ45とピンホール49との間に配置されている。
【0049】
ピンホール49は、被検体13の所定の観察断面から励起された蛍光のみを通過させる貫通孔である。ピンホール49は、対物レンズ55の焦点位置と共役な位置に配置されている。
光電変換素子51は、入射した蛍光の強度を電気信号に変換するものである。光電変換素子51は、ピンホール49を通過した蛍光が入射する位置に配置されている。
【0050】
対物レンズ55および第3リレー光学系53は、第1の走査光学系15および第2の走査光学系17から出射された励起光および刺激光を被検体13にむけて集光させるものである。
対物レンズ系55は、光学装置7と被検体13との間に配置されている。第3リレーレンズ系53は、対物レンズ55で集光される標本からの光をリレーするものである。対物レンズ55は、励起光および刺激光を被検体13の断面57に集光させるものである。なお、図2に示すように、対物レンズ55とAOTF33との間に反射ミラーを配置してもよく、特に限定するものではない。
【0051】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡1における作用について説明する。
第1の光源3から出射された励起光は、図1に示すように、ダイクロイックミラー19を透過した後に、第1の走査光学ユニット21に入射される。第1の走査光学ユニット21は、第1のガルバノミラー21A,21Bによって励起光を所定方向へ偏向させる。
【0052】
具体的には、第1のガルバノミラー21Aは、第1の光源3から入射された励起光を、互いに直交する一の方向へ偏向させる。第1のガルバノミラー21Bは、第1のガルバノミラー21Aにより偏向された励起光を、互いに直交する他の方向へ偏向させる。
第1の走査光学ユニット21により偏向された励起光は、第1のリレーレンズ系23を透過した後、ミラー27に入射する。ミラー27は入射された励起光をAOTF33に向けて反射する。励起光はAOTF33の0次回折方向からAOTF33に入射される。
このように、励起光は第1の走査光学ユニット21により偏向されることで、被検体13の所望の位置に集光される。
【0053】
一方、第2の光源5から出射された刺激光は、第2の走査光学ユニット29に入射される。第2の走査光学ユニット29は、第2のガルバノミラー29A,29Bによって刺激光を所定方向へ偏向させる。
具体的には、第2のガルバノミラー29Aは、第2の光源5から入射された刺激光を、互いに直交する一の方向へ偏向させる。第2のガルバノミラー29Bは、第2のガルバノミラー29Aにより偏向された励起光を、互いに直交する他の方向へ偏向させる。
【0054】
偏向された刺激光は第2のリレーレンズ系31を透過した後、AOTF33に入射される。刺激光はAOTF33の1次回折方向からAOTF33に入射される。
このように、刺激光は第2の走査光学ユニット29により偏向されることで、被検体13の所望の位置に集光される。
【0055】
上述のようにAOTF33には、図2に示す態様で、偏向された励起光と偏向された刺激光とが入射される。
AOTF33のトランデューサ37には、制御部43から高周波電圧が印加される。トランデューサ37は、結晶体39に超音波を励起させる。励起された超音波は、結晶体39をトランデューサ37側から超音波吸収体41側に向けて伝搬する。
【0056】
第1の走査光学系15から、AOTF33の0次回折方向に入射された励起光は、AOTF33を透過して第3リレー光学系53に入射する。
一方、第2の走査光学系17からAOTF33の1次回折方向に入射された刺激光は、AOTF33において回折され、励起光とともに第3リレー光学系53に入射する。具体的には、刺激光は、超音波により結晶体39に形成された屈折率の周期構造により回折される。
このように、刺激光の光路は、AOTF33において回折されて曲がることで、AOTF33を透過する励起光の光路と合成される。
【0057】
制御部43は、高周波電圧の電圧振幅を制御することにより、被検体13に入射される刺激光の強度を制御している。
つまり、制御部43は、内部の信号生成部43Aから高周波電圧の電圧振幅を変化させる変調信号を生成し、変調信号に基づいて高周波発信器43Bは高周波電圧を発生している。発生された高周波電圧はAOTF33のトランデューサ37に入力され、高周波電圧の電圧振幅に応じた振幅の超音波を励起する。超音波の振幅が変化すると、結晶体39に形成される屈折率の周期構造における屈折率が変化する。AOTF33において回折される刺激光とAOTF33を透過する刺激光との比率が、当該屈折率の変化に伴い変化するため、制御部43は、被検体13に入射される刺激光の強度を制御できる。
【0058】
第3リレー光学系53に入射された励起光および刺激光は、対物レンズ55に入射され、それぞれ被検体13の断面57に集光される。
断面57に集光された励起光および刺激光は、それぞれ第1の走査光学ユニット21と第2の走査光学ユニット29により偏向されるため、別々に走査される。例えば、励起光は断面57の像を取得するため、観察領域の全面を照射するように走査される一方、刺激光は、断面57における所定領域のみを照射するように走査される。
【0059】
被検体13から反射された励起光や、励起光が照射されることにより被検体13から励起された蛍光(以下、蛍光等と表記する。)は、励起光が伝搬した光路を逆向きに伝搬して、検出光学系9に入射する。
具体的には、蛍光等は、まず対物レンズ55に入射して、第3リレー光学系53からAOTF33に入射する。AOTF33に入射した蛍光等は、AOTF33を透過して第1の走査光学系15に入射する。なお、蛍光等に含まれる、反射された刺激光は、AOTF33において回折されるため、第1の走査光学系15には入射しない。
【0060】
第1の走査光学系15に入射した蛍光等は、ミラー27、第1のリレーレンズ系23、第1の走査光学ユニット21を介してダイクロイックミラー19に入射する。ダイクロイックミラー19は、被検体13から励起された蛍光のみを反射する一方、被検体13から反射された励起光を透過する。
【0061】
ダイクロイックミラー19に反射された蛍光は、検出光学系9に入射する。検出光学系9に入射した蛍光は測光フィルタ45に入射する。測光フィルタ45は、被検体13から所望の蛍光のみを透過する一方、検出光学系9に入射した励起光などを遮光する。
測光フィルタ45を透過した蛍光は、レンズ47に入射してピンホール49に結像される。ピンホール49は被検体13から励起された蛍光の内、被検体13の断面57から励起された蛍光のみを通過させる。ピンホール49を通過した蛍光は光電変換素子51に入射される。光電変換素子51は入射した蛍光の強度を検出して、当該強度に応じた検出信号を出力する。
【0062】
レーザ走査顕微鏡1は、光電変換素子51から出力された検出信号と、第1の走査光学ユニット21の第1のガルバノミラー21A,21Bの制御情報とに基づいて、被検体13の断面57における蛍光画像を取得することができる。さらに、レーザ走査顕微鏡1は、被検体13に対する断面57の位置を光軸方向に変えながら上記蛍光画像を取得することにより、被検体13の立体的な蛍光像を取得することができる。
【0063】
上記の構成によれば、所定波長の光線のみを合成するダイクロイックミラー等と比較して、合成できる光線の波長自由度が高いAOTF33が用いられているため、少なくとも1以上の波長を有する刺激光の光路を、複雑な構成を用いることなく、励起光の光路に容易に合成することができる。
つまり、AOTF33は、その結晶体39に励起される超音波(弾性波)の周波数を変えることにより合成(回折)する光線の波長の変化に対応できるため、本実施形態の光学装置7では、少なくとも1以上の波長を有する刺激光の光路を励起光の光路に容易に合成することができる。
【0064】
さらに、上記ダイクロイックミラー等を複数用いる特許文献1に記載の光学系は、複数のダイクロイックミラー等の配置角度等について調整する必要があるのに対して、本実施形態の本実施形態の光学装置7は、一つのAOTF33の配置位置等を調整するだけで、刺激光の波長が変更された場合でも、刺激光の光路を励起光の光路に合成することができる。
【0065】
また、第2の走査光学系17により偏向された刺激光と、第1の走査光学系15により偏向された励起光とが、AOTF33で合成されて対物レンズ55に入射されるため、同じ対物レンズ55の視野内で刺激光と励起光とを独立して偏向させることができる。つまり、刺激光と励起光とを、被検体13におけるそれぞれ異なる所定の領域に集光させることができる。
【0066】
AOTF33は、その結晶体39に励起される超音波(弾性波)の周波数を変えることにより合成(回折)する光線の波長の変化に対応できるため、一つのAOTF33で第1の走査光学系15と第2の走査光学系17のそれぞれにおいて使用される光の波長にかかわらず、両光路を容易に光路合成できる。その結果、第2の走査光学系17で用いる刺激光の波長に対応したダイクロイックミラーを配置する必要がある特許文献1に記載の光学系と比較して、AOTF33は一つで異なる波長の刺激光を用いる複数の第2の走査光学系17に対応できるため、光学装置7の構成を簡単にすることができる。
【0067】
なお、上述の実施形態のように、音響光学素子としてAOTF33を用いてもよいし、音響光学変調器(AOM)を用いてもよいし、音響光学偏向器(AOD)であってもよく、特に限定するものではない。いずれの音響光学素子を用いても、第1の走査光学系15と第2の走査光学系17の光路を合成できるからである。
【0068】
なお、上述の実施形態のように、刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29Bによって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0069】
〔第1の実施形態の第1変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例について図3を参照して説明する。
本変形例のレーザ走査顕微鏡の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、光学装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図3を用いて光学装置周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図3は、本変形例におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0070】
レーザ走査顕微鏡101は、図3に示すように、励起光が入射される第1の走査光学系15と、光学装置107と、対物レンズ55とを備えている。
光学装置107は、入射された刺激光を偏向させるとともに、偏向された刺激光の光路と、励起光の光路とを合成するものである。光学装置107は、3つの異なる波長の刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)117と、AOFT33とを備えている。
【0071】
第2の走査光学系117は、入射された3つの異なる波長の刺激光を偏向するものである。
第2の走査光学系117に入射される刺激光は、第1の刺激光と、第2の刺激光と、第3の刺激光であって、それぞれ波長が異なる光である。刺激光は第2の走査光学系117に偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。
【0072】
第2の走査光学系117は、第1のダイクロイックミラー118Aと、第2のダイクロイックミラー118Bと、第3のミラー118Cと、第2の走査光学ユニット29と、AOTF33と、を備えている。
【0073】
第1のダイクロイックミラー118Aは、第1の刺激光を透過する一方、第2の刺激光および第3の刺激光を反射するものであって、第1の刺激光の光路と、第2および第3の刺激光の光路と、を合成するものである。
第2のダイクロイックミラー118Bは、第2の刺激光を反射する一方、第3の刺激光を透過するものであって、第2の刺激光の光路と、第3の刺激光の光路とを合成するものである。
第3のミラー118Cは、第3の刺激光を反射するものである。
【0074】
第2の走査光学ユニット29は、光路合成された3つの異なる波長の刺激光を偏向することにより、各刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。第2の走査光学ユニット29は、第1のダイクロイックミラー118AとAOTF33との間に配置されている。
【0075】
AOTF33には、AOTF33の結晶体39に励起される超音波(音響波、弾性波)を制御する制御部(信号生成部)143が配置されている。制御部143は、超音波を制御する変調信号を生成する信号生成部143Aと、変調信号に基づいて高周波電圧を発生する高周波発信器143Bと、を備えている。制御部143の高周波発信器143Bは、各刺激光を回折させる超音波を励起させる3つの異なる周波数の高周波電圧を発生させている。
また、制御部43の信号生成部143Aは、高周波発信器143Bに上記超音波を励起させる3つの異なる変調信号を生成している。
【0076】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡101における作用について説明する。
励起光が第1の光源3(図1参照)から出射され、被検体13に照射されるまでの作用、および、被検体13から励起された蛍光が光電変換素子51(図1参照)に検出されるまでの作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
第1の刺激光、第2の刺激光および第3の刺激光は、図3に示すように、それぞれ第1のダイクロイックミラー118A、第2のダイクロイックミラー118Bおよび第3のミラー118Cに入射される。
第1の刺激光は、第1のダイクロイックミラー118Aを透過してAOTF33に入射される。第2の刺激光は、第2のダイクロイックミラー118Bにより第1のダイクロイックミラー118Aに向かって反射され、更に第1のダイクロイックミラー118AによりAOTF33に向かって反射される。第3の刺激光は、第3のミラー118Cにより第2のダイクロイックミラー118Bに向かって反射される。反射された第3の刺激光は、第2のダイクロイックミラー118Bを透過して第1のダイクロイックミラー118AによりAOTF33に向かって反射される。
【0078】
AOTF33には、光路合成された第1の刺激光、第2の刺激光および第3の刺激光が入射される。各刺激光は、制御部143からの高周波電圧信号に応じてAOTF33において回折され、励起光とともに対物レンズ55に入射される。
制御部143は、第1の刺激光、第2の刺激光および第3の刺激光に対応した3種の周波数の高周波電圧をAOTF33のトランデューサ37に入力している。トランデューサ37は、高周波電圧の各周波数に応じた超音波を結晶体39に励起する。結晶体39には、各刺激光に対応した周期を持つ屈折率の周期構造が形成され、各刺激光はAOTF33において回折され、励起光とともに対物レンズ55に入射される。
【0079】
また、制御部143からAOTF33へ入力する高周波電圧を適宜に変更することによって、3種の刺激光のうち、どの刺激光をどの程度の強さで被検体13(標本)へ照射するかを自在に調節できる。例えば、第1の刺激光だけを被検体13に照射したい場合は、第1の刺激光の波長に対応する周波数の高周波電圧だけをAOTF33に入力すればよく、第1と第2の刺激光を照射したい場合は、第1と第2のそれぞれの刺激光の波長に対応する高周波電圧を入力すればよい。
さらに、複数種類の刺激光を照射する場合に、それぞれの波長に対応する高周波電圧の強度(振幅)を適宜に調節することで、被検体13に照射される刺激光の強度も自在に調節できる。
以後の作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
上記の構成によれば、所定波長の光線のみを合成するダイクロイックミラー等と比較して、合成できる光線の波長自由度が高いAOTF33が用いられているため、第1の刺激光、第2の刺激光および第3の刺激光の光路を、複雑な構成を用いることなく、励起光の光路に容易に合成することができる。
つまり、AOTF33は、その結晶体39に励起される超音波(弾性波)の周波数を変えることにより合成(回折)する光線の波長の変化に対応できるため、本変形例の光学装置107では、第1の刺激光、第2の刺激光および第3の刺激光の光路を励起光の光路に容易に合成することができる。
【0081】
さらに、上記ダイクロイックミラー等を複数用いる特許文献1に記載の光学系は、複数のダイクロイックミラー等の配置角度等について調整する必要があるのに対して、本実施形態の本変形例の光学装置107は、一つのAOTF33の配置位置等を調整するだけで、少なくとも1以上の波長を有する刺激光の光路を励起光の光路に合成することができる。
【0082】
また、第2の走査光学系107により偏向された刺激光と、第1の走査光学系15により偏向された励起光とが、AOTF33に入射されるため、刺激光と励起光とを独立して偏向させることができる。つまり、第1の刺激光、第2の刺激光、第3の刺激光および励起光を、被検体13におけるそれぞれ異なる所定の領域に集光させることができる。
【0083】
なお、上述の変形例のように、刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。)によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0084】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図4および図5を参照して説明する。
本実施形態のレーザ走査顕微鏡の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、光学装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図4および図5を用いて光学装置周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図4は、本実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
レーザ走査顕微鏡201は、図4に示すように、励起光が入射される第1の走査光学系(観察光学系)215と、光学装置207と、第3のリレーレンズ系219と、対物レンズ55とを備えている。
【0086】
第1の走査光学系215は、入射された励起光を偏向するとともに、偏向された励起光を対物レンズ55に入射させるものである。励起光は第1の走査光学系215に偏向されることにより、被検体13上を走査される。第1の走査光学系215は、ダイクロイックミラー19(図1参照。)と、第1の走査光学ユニット21と、第1のリレーレンズ系223と、を備えている。
【0087】
第1の走査光学ユニット21は、励起光を偏向することにより、励起光を被検体13上で走査させるものである。第1の走査光学ユニット21は、ダイクロイックミラー19と第1のリレーレンズ系223との間であって、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置21Rに配置されている。
【0088】
第1のリレーレンズ系223は、偏向された励起光をAOTF33へ入射させるものである。第1のリレーレンズ系223は、第1の走査光学ユニット21と第3のリレーレンズ系219との間に配置され、第1の走査光学ユニット21の配置位置21Rが対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置になるように配置されている。
【0089】
光学装置207は、入射された励起光および刺激光をそれぞれ偏向させるものである。光学装置207は、刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)217と、AOTF33とを備えている。
【0090】
第2の走査光学系217は、入射された刺激光を偏向するとともに、偏向された刺激光の光路と、偏向された励起光の光路とを合成するものである。刺激光は第2の走査光学系217に偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。第2の走査光学系217は、第2の走査光学ユニット29と、第2のリレーレンズ系231と、を備えている。
【0091】
第2の走査光学ユニット29は、刺激光を偏向することにより、刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。第2の走査光学ユニット29は、第2の光源5(図1参照)と第2のリレーレンズ系231との間であって、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置29Rに配置されている。
【0092】
第2のリレーレンズ系231は、偏向された励起光をAOTF33へ入射させるものである。第2のリレーレンズ系231は、第2の走査光学ユニット29とAOTF33との間に配置され、第2の走査光学ユニット29の配置位置が対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置29Rになるように配置されている。
【0093】
AOTF33は、第1の走査光学系215の光路と第2の走査光学系217の光路とを合成するものである。AOTF33は、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置33Rに配置されている。
【0094】
第3のリレーレンズ系219は、図1における第3リレー光学系53に相当するもので、対物レンズ55の瞳11RをAOTF33へリレーする。
第3のリレーレンズ系219は、AOTF33と対物レンズ55との間に配置され、AOTF33の配置位置が対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置33Rになるように瞳11Rをリレーする。
【0095】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡201における作用について説明する。
なお、第1の実施形態と同様の部分はその説明を省略する。
【0096】
図5は、図4の光学装置における光線の状態を示す模式図である。
第1の走査光学系215に入射された励起光は、図5に示すように、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置21Rに配置された第1の走査光学ユニット21において偏向されて第1のリレーレンズ系223に入射される。第1のリレーレンズ系223に入射された励起光は、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置33Rに配置されたAOTF33に入射される。
【0097】
偏向された励起光は、偏向前と比較してAOTF33の同じ領域に入射する一方、AOTF33に対して異なる入射角で入射する。
AOTF33に入射された励起光は、対物レンズ55に入射され、被検体13に集光される。
【0098】
一方、第2の走査光学系217に入射された刺激光は、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置29Rに配置された第2の走査光学ユニット29において偏向されて第2のリレーレンズ系231に入射される。第2のリレーレンズ系231に入射された刺激光は、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置33Rに配置されたAOTF33に入射される。
【0099】
偏向された刺激光は、偏向前と比較してAOTF33の同じ領域に入射する一方、AOTF33に対して異なる入射角で入射する。
AOTF33に入射された刺激光は、回折されて励起光とともに対物レンズ55に入射され、被検体13に集光される。
【0100】
上記の構成によれば、刺激光が偏向された場合に、刺激光のAOTF33への入射位置は変動せず、刺激光の入射角のみが変動する。そのため、AOTF33が対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置33Rに配置されていない場合と比較して刺激光の入射角のみが変動するだけなので、刺激光の光路を励起光の光路に容易に合成できる。
【0101】
なお、上述の実施形態のように、刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。)によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0102】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図6および図7を参照して説明する。
本実施形態のレーザ走査顕微鏡の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、光学装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図6および図7を用いて光学装置周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図6は、本実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0103】
レーザ走査顕微鏡301は、図6に示すように、励起光が入射される第1の走査光学系(観察光学系)315と、光学装置307と、第3のリレーレンズ系319と、対物レンズ55とを備えている。
【0104】
第1の走査光学系315は、入射された励起光を偏向するとともに、偏向された励起光を対物レンズ55に入射させるものである。励起光は第1の走査光学系315に偏向されることにより、被検体13上を走査される。第1の走査光学系315は、ダイクロイックミラー19(図1参照。)と、第1の走査光学ユニット21と、第1のリレーレンズ系323と、を備えている。
【0105】
第1の走査光学ユニット21は、励起光を偏向することにより、励起光を被検体13上で走査させるものである。第1の走査光学ユニット21は、ダイクロイックミラー19と第1のリレーレンズ系323との間であって、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置21Rに配置されている。
【0106】
第1のリレーレンズ系323は、偏向された励起光をAOTF33へ入射させるものである。第1のリレーレンズ系323は、第1の走査光学ユニット21と第3のリレーレンズ系319との間に配置され、第1の走査光学ユニット21の配置位置21Rが対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置になるように配置されている。
【0107】
光学装置307は、刺激光を偏向させて対物レンズ55の光路へ導入させるものである。光学装置307は、刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)317と、AOTF33とを備えている。
【0108】
第2の走査光学系317は、入射された刺激光を偏向するとともに、偏向された刺激光の光路と、偏向された励起光の光路とを合成するものである。刺激光は第2の走査光学系317に偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。第2の走査光学系217は、第2の走査光学ユニット29と、第2のリレーレンズ系331と、を備えている。
【0109】
第2の走査光学ユニット29は、刺激光を偏向することにより、刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。第2の走査光学ユニット29は、第2の光源5と第2のリレーレンズ系331との間であって、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置29Rに配置されている。
【0110】
第2のリレーレンズ系331は、偏向された励起光をAOTF33へ入射させるものである。第2のリレーレンズ系331は、第2の走査光学ユニット29とAOTF33との間に配置され、第2の走査光学ユニット29の配置位置が対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置29Rになるように配置されている。
【0111】
AOTF33は、第1の走査光学系315の光路と第2の走査光学系17の光路とを合成するものである。AOTF33は、対物レンズ55の焦点位置(観察断面)と共役な位置33Mに配置されている。
【0112】
第3のリレーレンズ系319は、図1における第3リレー光学系53に相当するもので、対物レンズ55により集光された標本からの光をAOTF33へ結像させるものでる。
第3のリレーレンズ系319は、偏向された励起光および刺激光を対物レンズ55に入射させるものである。第3のリレーレンズ系319は、AOTF33と対物レンズ55との間に配置され、AOTF33の配置位置が対物レンズ55の焦点位置と共役な位置33Mになるように対物レンズ55からの光を結像させる。
【0113】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡301における作用について説明する。
なお、第1の実施形態と同様の部分は、その説明を省略する。
【0114】
図7は、図6の光学装置における光線の状態を示す模式図である。
第1の走査光学系315に入射された励起光は、図6に示すように、第1の走査光学ユニット21において偏向されて第1のリレーレンズ系323に入射される。第1のリレーレンズ系323に入射された励起光は、対物レンズ55の焦点位置と共役な位置33Mに配置されたAOTF33に入射される。
【0115】
偏向された励起光は、平行移動してAOTF33に入射する。つまり励起光は、偏向前と比較して、AOTF33に対して同じ入射角で入射する一方、AOTF33の異なる領域に入射する。
AOTF33に入射された励起光は、対物レンズ55に入射され、被検体13に集光される。
【0116】
一方、第2の走査光学系317に入射された刺激光は、第2の走査光学ユニット29において偏向されて第2のリレーレンズ系331に入射される。第2のリレーレンズ系331に入射された刺激光は、対物レンズ55の焦点位置と共役な位置33Mに配置されたAOTF33に入射される。
【0117】
偏向された刺激光は、平行移動してAOTF33に入射する。つまり刺激光は、偏向前と比較して、AOTF33に対して同じ入射角で入射する一方、AOTF33の異なる領域に入射する。
AOTF33に入射された刺激光は、回折されて励起光とともに対物レンズ55に入射され、被検体13に集光される。
【0118】
上記の構成によれば、刺激光が偏向された場合に、AOTF33に入射する刺激光の入射角は変動せず、入射位置が平行移動するのみである。そのため、AOTF33が対物レンズ55の焦点位置と共役な位置33Mに配置されていない場合と比較して刺激光の入射位置が平行移動するだけなので、刺激光の光路を励起光の光路に容易に合成できる。
AOTF33は、光線の入射角の許容範囲が狭いため、AOTF33が対物レンズ55の瞳と共役な位置に配置されている場合と比較して、刺激光の入射角の変動が少ないことから、刺激光の光路を励起光の光路に容易に合成できる。
【0119】
なお、上述の実施形態のように、刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。)によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0120】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図8を参照して説明する。
本実施形態のレーザ走査顕微鏡の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、光学装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図8を用いて光学装置周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図8は、本実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0121】
レーザ走査顕微鏡401は、図8に示すように、励起光が入射される第1の走査光学系15と、光学装置407と、対物レンズ55とを備えている。
光学装置407は、刺激光をそれぞれ偏向させて対物レンズ55の光路へ導入させるものである。光学装置407は、第1の刺激光および第2の刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)417と、AOD34とを備えている。
【0122】
第2の走査光学系417は、入射された第1および第2の刺激光を独立して偏向するものである。第1および第2の刺激光は第2の走査光学系417に偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。第2の走査光学系417は、第2の走査光学ユニット29と、第3の走査光学ユニット(刺激光偏向部)429と、を備えている。
ここで、第1の刺激光と第2の刺激光とは互いに波長が異なる光である。
【0123】
第2の走査光学ユニット29は、第1の刺激光を偏向することにより、第1の刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。一方、第3の走査光学ユニット429は、第2の刺激光を偏向することにより、第2の刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。
【0124】
第3の走査光学ユニット429には、第2の走査光学ユニット29と同様に、2つの第3のガルバノミラー(図示せず)が備えられ、第2の刺激光は、2つの第3のガルバノミラーにより互いに直交する一および他の方向へ偏向される。
【0125】
AOD34には、AOD34の結晶体39に励起される超音波(音響波、弾性波)を制御する制御部(信号生成部)443が配置されている。制御部443は、超音波を制御する変調信号を生成する信号生成部443Aと、変調信号に基づいて高周波電圧を発生する高周波発信器443Bと、を備えている。制御部443の高周波発信器443Bは、第1の刺激光を回折させる周波数の第1の超音波を励起させる第1の高周波電圧と、第2の刺激光を回折させる周波数の第2の超音波を励起させる第2の高周波電圧とを発生させている。AOD34は、第1および第2の刺激光をともに第1の走査光学系315の光路に合成する機能を有する。
【0126】
また、制御部443の信号生成部443Aは、高周波発信器443Bに第1および第2の周波数の超音波を励起させる変調信号を生成している。
【0127】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡401における作用について説明する。
なお、第1の実施形態と同様な部分は、その説明を省略する。
また、第1走査光学系15による励起光に対する作用も、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0128】
光学装置407の第2の走査光学系417に入射された第1の刺激光は、図8に示すように、第2の走査光学ユニット29において偏向された後に、AOD34に入射される。第1の刺激光のAOD34への入射角は、第1の刺激光の波長におけるAOD34の1次回折方向に係る入射角である。
一方、第2の走査光学系417に入射された第2の刺激光は、第3の走査光学ユニット429において偏向されてAOD34に入射される。第2の刺激光のAOTF33への入射角は、第2の刺激光の波長におけるAOD34の1次回折方向に係る入射角である。
【0129】
AOD34に入射された刺激光は、回折されて励起光とともに対物レンズ55の光路に入射され、被検体13に集光される。
具体的には、制御部443は、第1の刺激光および第2の刺激光に対応した周波数の第1および第2の高周波電圧をAOD34のトランデューサ37に入力している。トランデューサ37は、第1および第2の高周波電圧の各周波数に応じた第1および第2の超音波を結晶体39に励起する。結晶体39には、各刺激光に対応した周期を持つ屈折率の周期構造が形成され、各刺激光はAOD34において回折され、励起光とともに対物レンズ55に入射される。
【0130】
上記の構成によれば、AOD34は、その結晶体39に励起される超音波(弾性波)の周波数に応じて合成(回折)される光の回折角が変化するようにできるため、一つのAOTF33で、第1刺激光および第2刺激光の光路を励起光の光路に容易に合成できる。
AOTF33に入力させる高周波電圧の強度(振幅)を調整することで、第1、第2の刺激光のそれぞれ所望の強度で標本に照射できる。
【0131】
第1の刺激光を偏向する第2の走査光学ユニット29と、第2の刺激光を偏向する第3の走査光学ユニット429とを設けることにより、第1の刺激光および第2の刺激光を別々に偏向させて、同時に被検体13の異なる所定の領域に集光させ刺激することができる。
【0132】
なお、上述の実施形態のように、第1の刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。)によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して第1の刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
また、第2の刺激光についても同様に、第3の走査光学ユニット429によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、第2の刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0133】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図9を参照して説明する。
本実施形態のレーザ走査顕微鏡の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、光学装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図9を用いて光学装置周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図9は、本実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0134】
レーザ走査顕微鏡501は、図9に示すように、励起光が入射される第1の走査光学系15と、光学装置507と、対物レンズ55とを備えている。
光学装置507は、刺激光をそれぞれ偏向させて対物レンズ55の光路へ導入させるものである。光学装置507は、第1の刺激光および第2の刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)517と、偏向された第1および第2の刺激光の光路と、偏向された励起光の光路とを合成するAOTF33とを備えている。
【0135】
第2の走査光学系517は、入射された第1および第2の刺激光を偏向するものである。第1および第2の刺激光は第2の走査光学系517に偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。第2の走査光学系517は、第2の走査光学ユニット29と、第3の走査光学ユニット(刺激光偏向部)529と、を備えている。
ここで、第1の刺激光と第2の刺激光とは、同じ波長の光であって、互いに直交する直線偏光の一方の偏光と他方の偏光である。本実施形態では、第1の刺激光をs偏光に、第2の刺激光をp偏光に適用して説明する。
【0136】
第2の走査光学ユニット29は、第1の刺激光を偏向することにより、第1の刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。一方、第3の走査光学ユニット529は、第2の刺激光を偏向することにより、第2の刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。
第3の走査光学ユニット529には、第2の走査光学ユニット29と同様に、2つの第3のガルバノミラー(図示せず)が備えられ、第2の励起光は、2つの第3のガルバノミラーにより互いに直交する一および他の方向へ偏向される。
【0137】
AOTF33には、AOTF33の結晶体39に励起される超音波(音響波、弾性波)を制御する制御部43が配置されている。制御部43の高周波発信器43Bは、同じ周波数である第1および第2の刺激光を回折させる周波数の超音波を励起させる高周波電圧を発生させている。また、制御部43の信号生成部43Aは、高周波発信器43Bに周波数の超音波を励起させる変調信号を生成している。
【0138】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡501における作用について説明する。
なお、第1の実施形態と同様の部分は、その説明を省略する。
また、第1の走査光学系15による励起光に対する作用も、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0139】
光学装置507の第2の走査光学系517に入射された第1の刺激光は、図9に示すように、第2の走査光学ユニット29において偏向された後に、AOTF33に入射される。第1の刺激光のAOTF33への入射角は、s偏光である第1の刺激光におけるAOTF33の1次回折方向に係る入射角である。
【0140】
一方、第2の走査光学系517に入射された第2の刺激光は、第3の走査光学ユニット529において偏向されてAOTF33に入射される。第2の刺激光のAOTF33への入射角は、p偏光である第2の刺激光におけるAOTF33の1次回折方向に係る入射角である。
【0141】
AOTF33に入射された刺激光は、回折されて励起光とともに対物レンズ55に入射され、被検体13に集光される。
具体的には、制御部43は、同じ周波数の光である第1および第2の刺激光に対応した周波数の高周波電圧をAOTF33のトランデューサ37に入力している。トランデューサ37は、高周波電圧の周波数に応じた超音波を結晶体39に励起する。結晶体39には、各刺激光に対応した周期を持つ屈折率の周期構造が形成され、各刺激光はAOTF33において回折され、励起光とともに対物レンズ55に入射される。
【0142】
上記の構成によれば、第1の走査光学系15と第2の走査光学系517とを備え、両光路を合成するAOTF33が設けられているため、複雑な構成を用いることなく、複数の走査光学系の光路を容易に光路合成することができる。
第2の走査光学系517は、入射された同じ波長を有する第1および第2の刺激光を偏向させること、つまり、同じ波長の各刺激光を独立して走査させることができる。
【0143】
AOTF33は、その結晶体39に励起される超音波(弾性波)の周波数を変えることにより合成(回折)する光線の波長の変化に対応できるため、一つのAOTF33で同じ波長に係る走査光学系を容易に光路合成できる。
その結果、各波長に対応した複数の偏光ビームスプリッタを配置する必要がある特許文献1に記載の光学系と比較して、AOTF33は一つで複数の波長に係る走査光学系を光路合成できるため、光学装置507の構成を簡単にすることができる。さらに、上記複数の走査光学系の光路を合成するために、複数の偏光ビームスプリッタの配置角度等について調整する必要がある特許文献1に記載の光学系と比較して、一つのAOTF33の配置位置等を調整するだけで上記複数の走査光学系の光路合成できるため、本実施形態の光学装置507では光路合成を容易にすることができる。
【0144】
第2の走査光学系517は、第1の刺激光を偏向する第2の走査光学ユニット29と、第2の刺激光を偏向する第3の走査光学ユニット529と、を備えるため、第1の刺激光と第2の刺激光とを別々に操作することができる。そのため、被検体13の複数の領域を同時に刺激することができる。
【0145】
なお、上述の実施形態のように、第1の刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。)によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して第1の刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
また、第2の刺激光についても同様に、第3の走査光学ユニット529によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、第2の刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0146】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について図10を参照して説明する。
本実施形態のレーザ走査顕微鏡の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、光学装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図10を用いて光学装置周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図10は、本実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0147】
レーザ走査顕微鏡601は、図10に示すように、励起光が入射される第1の走査光学系15と、光学装置607と、対物レンズ55とを備えている。
光学装置607は、刺激光を偏向させるとともに、偏向された刺激光の光路と、偏向された励起光の光路とを合成するものである。光学装置607は、刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)617と、AOTF33と、光センサ(検出部)635と、を備えている。
【0148】
第2の走査光学系617は、入射された刺激光を偏向するものである。刺激光は第2の走査光学系617に偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。第2の走査光学系617は、第2の走査光学ユニット29と、を備えている。
【0149】
AOTF33には、AOTF33の結晶体39に励起される超音波(音響波、弾性波)を制御する制御部(信号生成部)643が配置されている。制御部643は、超音波を制御する変調信号を生成する信号生成部643Aと、変調信号に基づいて高周波電圧を発生する高周波発信器643Bと、を備えている。また、制御部643の信号生成部643Aには、光センサ635の出力信号が入力されている。
【0150】
光センサ635はAOTF33を透過した刺激光の強度を検出し、検出した刺激光の強度に基づいた検出信号を出力するものである。光センサ635は、AOTF33を透過した刺激光が入射する位置に配置され、光センサ635から出力される検出信号はAOTF33の制御部643に入力されている。
なお、光センサ635としては、フォトセンサなどの公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0151】
光センサ635には表示部645が接続されている。表示部645は、光センサ635からの検出信号を受け取り、AOTF33における刺激光の光センサ635側への透過率を換算することのよって、対物レンズ55へ向けて導入された刺激光の強度を表示する。現在、被検体13へ向けて照射されている刺激光の強度を操作者はモニタすることができる。
【0152】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡601における作用について説明する。
なお、レーザ走査顕微鏡601の光学装置607以外の部分における作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、光学装置607による励起光に対する作用も、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0153】
光学装置607の第2の走査光学系617に入射された刺激光は、図10に示すように、第2の走査光学ユニット29において偏向された後に、AOTF33に入射される。刺激光のAOTF33への入射角は、刺激光におけるAOTF33の1次回折方向に係る入射角である。AOTF33に入射された刺激光の大半は、回折されて励起光とともに対物レンズ55に入射され、被検体13に集光される。
【0154】
一方、AOTF33に入射された刺激光の一部は、回折されずにAOTF33を透過して光センサ635に入射する。光センサ635は入射した刺激光の強度を検出し、刺激光の強度に応じた検出信号を生成する。生成された検出信号は、レーザ走査顕微鏡601のパワーモニタ645およびAOTF33の制御部643に入力される。
【0155】
制御部643は、入力された検出信号に基づいて、内部の信号生成部643Aから高周波電圧の電圧振幅を変化させる変調信号を生成する。制御部643は、生成した変調信号に基づいて高周波発信器643Bから電圧振幅が制御された高周波電圧を発生する。発生された高周波電圧はAOTF33のトランデューサ37に入力され、高周波電圧の電圧振幅に応じた振幅の超音波を励起する。
【0156】
超音波の振幅が変化すると、結晶体39に形成される屈折率の周期構造における屈折率が変化する。AOTF33において回折される刺激光とAOTF33を透過する刺激光との比率が、当該屈折率の変化に伴い変化するため、制御部43は、被検体13に入射される刺激光の強度を制御できる。
以後の作用については、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0157】
上記の構成によれば、光センサ635が検出したAOTF33を透過した刺激光の強度に基づいて、制御部643は変調信号を生成し、AOTF33に入力させることにより、被検体13に照射される刺激光の強度を自在に制御できる。
例えば、本実施形態の光学装置607は、光センサ635に検出された刺激光の強度に基づいて、対物レンズ55に入射される刺激光の強度を一定に制御することができる。
【0158】
なお、上述の実施形態のように、刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。)によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0159】
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態について図11を参照して説明する。
本実施形態のレーザ走査顕微鏡の基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、光学装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図11を用いて光学装置周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図11は、本実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0160】
レーザ走査顕微鏡701は、図11に示すように、励起光が入射される第1の走査光学系215と、光学装置707と、第3のリレーレンズ系219と、対物レンズ55とを備えている。
光学装置707は、入射された刺激光をそれぞれ偏向させるとともに、偏向された刺激光の光路と、偏向された励起光の光路とを合成するものである。光学装置707は、刺激光が入射される第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)717と、AOTF33とを備えている。
【0161】
第2の走査光学系717は、入射された刺激光を偏向するものである。刺激光は第2の走査光学系717に偏向されることにより、被検体13の所定領域に照射される。第2の走査光学系217は、第2の走査光学ユニット(偏向音響光学素子)729と、第2のリレーレンズ系231と、を備えている。
【0162】
第2の走査光学ユニット729は、刺激光を偏向することにより、刺激光を被検体13の所定領域に入射させるものである。第2の走査光学ユニット29は、第2の光源5と第2のリレーレンズ系31との間であって、対物レンズ55の瞳11Rと共役な位置29Rに配置されている。
ここで、第2の走査光学ユニット729としては、音響光学偏光器(以下、AODと表記する。)を用いている。第2の走査光学ユニット729における刺激光の偏光方向は、AOTF33における刺激光の回折方向に対して直交する方向(図11において紙面に対して垂直な面内方向)である。
【0163】
AOTF33には、AOTF33の結晶体39に励起される超音波(音響波、弾性波)を制御する制御部(信号生成部)743が配置されている。制御部743は、超音波を制御する変調信号を生成する信号生成部743Aと、変調信号に基づいて高周波電圧を発生する高周波発信器743Bと、を備えている。また、制御部743の信号生成部743Aは、刺激光の回折方向に応じた変調信号を生成している。
【0164】
次に、上記の構成からなるレーザ走査顕微鏡701における作用について説明する。
なお、レーザ走査顕微鏡701の光学装置707以外の部分における作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、光学装置707による励起光に対する作用も、第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0165】
第2の走査光学系717に入射された刺激光は、第2の走査光学ユニット729において偏向されて第2のリレーレンズ系231に入射される。第2のリレーレンズ系231に入射された刺激光はAOTF33に入射される。
AOTF33に入射された刺激光は、所定方向へ回折されて励起光とともに対物レンズ55に入射され、被検体13に集光される。
以後の作用については、第2の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0166】
上記の構成によれば、刺激光はAOTF33により、互いに交差する一の方向に偏向され、AODである第2の走査光学ユニット729により、互いに交差する他の方向に偏向される。そのため、刺激光を、互いに交差する一および他の方向へ走査させることができる。
偏向された励起光および刺激光はAOTF33に入射されることから、偏向された励起光および刺激光は光路合成された上で対物レンズ55に入射され、被検体13の異なる所定領域に集光される。刺激光は上記一および他の方向へ走査されるため、被検体13における刺激光が集光する領域は上記一および他の方向からなる面の上を走査される。
【0167】
なお、上述の実施形態のように、刺激光は第2の走査光学ユニット729およびAOTF33によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0168】
〔第8の実施形態〕
次に、本発明の第8の実施形態について図12を参照して説明する。
本実施形態は、本発明による光学装置を、通常の落射照明を用いた光学顕微鏡に適用したものである。
光学顕微鏡801は、顕微鏡本体805と、照明光を出射する落射照明用ランプハウス803と、照明光を被検体13に向けて導く落射投光管813と、刺激用レーザ光を出射する光学装置807と、被検体13からの反射光や蛍光などの観察光の観察に用いられる観察鏡筒809と、を備えている。
【0169】
顕微鏡本体805は、被検体13に対向配置される対物レンズ55と、被検体13が
載置される標本ステージ58と、を備えている。
落射照明用ランプハウス803は、落射投光管813の端部に取り付けられる。落射照明用ランプハウス803には、照明光を出射する水銀ランプ(第1の光源)が設けられている。
落射投光管813は、顕微鏡光軸801a上に配置されるビームスプリッタ819を備えており、顕微鏡本体805と観察鏡筒809との間に設けられている。
【0170】
ビームスプリッタ819としては、例えばハーフミラーやダイクロイックミラーなどを用いることができる。ビームスプリッタ819は、落射照明用ランプハウス803からの照明光を反射する機能を果たしている。また、被検体13からの観察光を透過させる機能を果たすとともに、光学装置807からの刺激光を透過させる機能も果たしている。
【0171】
光学装置807は、第2の光源5と、第2の走査光学系817と、AOTF33と、を備えている。光学装置807は、落射投光管813と観察鏡筒809との間に、一つの着脱可能な中間鏡筒ユニットとして取り付けられるものである。
第2の光源5は、被検体13に照射される刺激用レーザ光を発するものである。
第2の走査光学系817は、刺激用レーザ光(以後、刺激光と表記する。)を偏向させて走査するものであって、走査光学ユニット29(具体的には第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。))と、図示しないレンズ系と、を備えている。
【0172】
AOTF33は、顕微鏡光軸801a上に配置され、光学装置807の刺激光を顕微鏡の光路に合成する。AOTF33は、刺激光の波長のみを回折するように制御されるので、被検体13からの観察光はそのまま透過される。
【0173】
観察鏡筒809は、結像レンズ56と、接眼光学系847と、切替光学系845と、を備えている。切替光学系845の光路上には、被検体13の像を撮像するカメラ849が取り付けられている。
結像レンズ56は、被検体13からの観察光の像を観察者が視認できるように、または、カメラ845が観察光の像を撮像できるように結像するものである。
接眼光学系847は、被検体13からの観察光を観察者が視認できるようにするものである。
【0174】
切替光学系845は、被検体13からの観察光を接眼光学系847およびカメラ849のいずれかに選択的に導くものである。
カメラ849は、被検体13からの観察光を撮像するものである。
【0175】
次に、上記の構成からなる顕微鏡801における作用について説明する。
第1の光源803から出射された照明光は、図12に示すように、ビームスプリッタ819に入射される。ビームスプリッタ819に入射された照明光は、対物レンズ55に向けて反射される。
【0176】
一方、第2の光源5から出射された刺激光は第2の走査光学ユニット29に入射され、第2の走査光学ユニット29により所定方向へ偏向される。
偏向された刺激光は、AOTF33の1次回折方向からAOTF33に入射される。AOTF33に入射された刺激光は、回折されてビームスプリッタ819に向けて出射される。刺激光はビームスプリッタ819を透過して、上述した照明光の光路と同一の光路を通って対物レンズ55に入射される。
【0177】
対物レンズ55に入射された照明光および刺激光は、それぞれ被検体13に集光される。
照明光は被検体13における観察領域の全体に照射される一方、刺激光は第2の走査光学ユニット29により偏向され走査される。例えば、刺激光は、被検体13における所定領域のみを照射するように走査される。
【0178】
被検体13から反射された照明光や、照明光により励起された蛍光(以下、蛍光等と表記する。)は、刺激光が伝搬した光路を逆向きに伝搬して、観察鏡筒809に入射する。
具体的には、蛍光等は、まず対物レンズ55に入射して、対物レンズ55からビームスプリッタ819に入射する。蛍光等は、ビームスプリッタ819を透過してAOTF33に入射する。AOTF33に入射した蛍光等は、刺激光と波長が異なるためAOTF33を透過して観察鏡筒809に入射する。なお、反射された刺激光は、AOTF33において回折されるため、観察鏡筒809には入射しない。
【0179】
AOTF33を透過して観察鏡筒809に入射した蛍光等は、切替光学系845に入射する。蛍光等は、切替光学系845により接眼光学系847またはカメラ849に入射される。接眼光学系847に入射した蛍光等は観察者により観察され、カメラ849に入射した蛍光等はカメラ849に撮像される。なお、切替光学系845は、観察者などの操作により、蛍光等の入射先を選択している。
【0180】
上記の構成によれば、照明光を被検体13に照射する光学顕微鏡801に対して、本実施形態の光学装置807は容易に着脱可能であるため、光学顕微鏡801に光学装置807を取り付けるだけで、被検体13の所望の位置または領域に刺激光を照射して、被検体13の反応を観察する観察方法が容易に実行可能となる。
光学装置807には、第2の走査光学系817と、AOTF33と、が備えられているため、刺激光を走査して被検体13の所定の位置または領域に集光させることができる。
【0181】
なお、上述の実施形態のように、刺激光は第2の走査光学ユニット29の第2のガルバノミラー29A,29B(図1参照。)によって、被検体13における刺激すべき領域を走査されるだけでなく、刺激すべき領域が微小な点であれば、所望の位置で第2のガルバノミラー29A,29Bを固定して刺激光を微小な一点に照射するようにしてもよい。
【0182】
図13は、本実施形態の変形例である。
図13のように、落射投光管813´に対して光学装置807´を取り付け可能な構造として構成してもよい。この場合、AOTF33は、落射投光管813´における落射照明の光路に配置されることになるが、AOTF33が刺激光の波長のみを回折するように制御されるので、落射照明用ランプハウス803からの落射照明光はAOTF33をそのまま透過する。
【0183】
また、ビームスプリッタ819としては、刺激光および落射照明光を反射し、かつ、観察光を透過するものが用いられ、例えばハーフミラーや、ダイクロイックミラーなどが挙げられる。
【0184】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
なお、上記の実施の形態においては、本願発明に係る発明である光学装置を顕微鏡に適応して説明したが、その他各種の光学機器にも適応できるものである。
【0185】
なお、本発明を上述の各実施形態に適用して実施してもよいし、第4の実施形態、第5の実施形態および第6の実施形態は、第2の実施形態または第3の実施形態と組み合わせて実施してもよく、特に限定するものではない。
【0186】
なお、第1の走査光学系(観察光学系)15,215,315としては、上述の各実施形態のようなガルバノミラーを用いた第1の走査光学ユニット(走査光学系)21を備えた共焦点検出光学系を用いてもよいし、ピンホールやスリットなどの微小開口を多数備えたディスクを回転することによって光を走査するディスク走査型光学系でもよく、特に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ走査顕微鏡の構成を説明する概略図である。
【図2】図1の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図3】本発明における第1の実施形態の第1変形例におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図4】本発明の第2の実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図5】図4の光学装置における光線の状態を示す模式図である。
【図6】本発明の第3の実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図7】図5の光学装置における光線の状態を示す模式図である。
【図8】本発明の第4の実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図9】本発明の第5の実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図10】本発明の第6の実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図11】本発明の第7の実施形態におけるレーザ走査顕微鏡の光学装置近傍の構成を説明する模式図である。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る顕微鏡の構成を説明する模式図である。
【図13】第8の実施形態の変形例の構成を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0188】
7,107,207,307,407,507,607,707,807 光学装置
13 被検体
15,215,315 第1の走査光学系(観察光学系)
17,117,217,317,417,617,717,817 第2の走査光学系(刺激光用走査光学系)
21 第1の走査光学ユニット(走査光学系)
29 第2の走査光学ユニット(刺激光偏向部)
33 音響光学変調フィルタ、AOTF(合成音響光学素子)
43,143,443,643,743 制御部(信号生成部)
43A,143A,443A,643A,743A 信号生成部
55 対物レンズ(対物光学系)
429,529 第3の走査光学ユニット(刺激光偏向部)
635 光センサ(検出部)
729 第2の走査光学ユニット(偏向音響光学素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して変化を与える刺激光であって、少なくとも1以上の波長を有する刺激光を偏向させる刺激光用走査光学系と、
前記被検体の画像を得るための観察光学系の光路に、前記偏向された刺激光の光路を合成する合成音響光学素子と、
が備えられている光学装置。
【請求項2】
前記刺激光用走査光学系および前記合成音響光学素子が、前記観察光学系の光路に対して挿入および取り外し可能とされている請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記刺激光用走査光学系には、前記刺激光を偏向させる刺激光偏光部が設けられている請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記合成音響光学素子が、互いに交差する一の方向に前記刺激光を偏向させ、
前記刺激光用走査光学系には、互いに交差する他の方向に前記刺激光を偏向させる偏光音響光学素子が設けられ、
前記合成音響光学素子には、前記偏向音響光学素子により偏向された刺激光、および、前記他の光線が入射される請求項1から3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記合成音響光学素子が、前記刺激光を回折するとともに、前記観察光学系の光路の光を透過する請求項1から4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記刺激光を前記被検体に集光させる対物光学系が設けられ、
前記合成音響光学素子は、前記対物光学系の瞳と共役な位置に配置されている請求項1から5のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】
前記刺激光を前記被検体に集光させる対物光学系が設けられ、
前記合成音響光学素子は、前記対物光学系の像と共役な位置に配置されている請求項1から5のいずれかに記載の光学装置。
【請求項8】
前記合成音響光学素子において励起される超音波を制御する変調信号を生成する信号生成部が設けられ、
該信号生成部は、前記超音波を制御することにより、前記被検体に照射される前記偏向された刺激光の強度を制御する請求項1から7のいずれかに記載の光学装置。
【請求項9】
前記被検体に照射されずに前記合成音響光学素子を透過する前記偏向された刺激光の強度を検出する検出部が設けられ、
前記信号生成部が、前記検出部に検出された刺激光の強度に基づいて、前記変調信号を生成する請求項8記載の光学装置。
【請求項10】
前記合成音響光学素子が音響光学変調フィルタである請求項1から9のいずれかに記載の光学装置。
【請求項11】
前記合成音響光学素子が音響光学変調器である請求項1から9のいずれかに記載の光学装置。
【請求項12】
前記合成音響光学素子が音響光学偏向器である請求項1から9のいずれかに記載の光学装置。
【請求項13】
前記請求項1から12のいずれかにおいて、
前記観察光学系が、前記被検体を照射する光を走査する走査光学系を備えている光学装置。
【請求項14】
前記請求項1から12のいずれかにおいて、
前記観察光学系が、非走査型の顕微鏡光学系である光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−116756(P2008−116756A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300769(P2006−300769)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】