説明

光学走査デバイス用のアクチュエーター

光学記録担体を走査するための光学ピックアップアクチュエーターは、対物系を有する第一の区画及び対物系に関して大きい位置の公差を備えた光学素子を有する第二の区画を含む。高いバンド幅の性能及び/又は低い電力損のために、小さい可動の作動された質量が好適である。弾性の部材は、第二の区画を第一の区画に接続させている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録担体を走査するための、特に放射のエバネッセント結合を使用して記録担体を走査するための、光学走査デバイス用のアクチュエーターに関係する。
【背景技術】
【0002】
光学記録担体は、異なる記憶容量を備えた多種多様の異なるフォーマットで存在すると共に、各々のフォーマットは、特定の波長の放射ビームによって走査されるように一般に設計される。例えば、CDは、とりわけCD−A(CD−オーディオ)、CD−ROM(CD−リードオンリーメモリ)及びCD−R(CD−レコーダブル)として、入手可能であり、且つ、およそ785nmの波長(λ)を有する放射ビームの手段によって走査されるように設計される。他方では、DVDが、およその650nmの波長を有する放射ビームの手段によって走査されるように設計され、且つ、BDが、およそ405nmの波長を有する放射ビームの手段によって走査されるように設計される。一般に、波長が短ければ短いほど、光学記録担体、例.BDフォーマットの対応する容量が、DVDフォーマットの記録担体よりも大きい記憶容量をより大きく有する。
【0003】
いっそうより高いデータ密度及びより大きい記憶容量を得るためには、固体浸レンズ(SIL)を備えた特定のタイプの高密度光学走査デバイスは、記録担体の情報層における走査スポットへ放射ビームを集束させるために、使用される。SILの出口の面と記録担体の入口の面との間の空隙のある一定の大きさ、例えば25nmは、SILから記録担体までの放射ビームのエバネッセント結合を可能にするために望ましいものである。さもなければ、エバネッセント結合は、漏れ内部全反射(FTIR)と称されることがある。エバネッセント結合を使用する記録系は、近赤外系としてもまた知られたものであり、SILの出口の面におけるエバネッセント波によって形成された場からそれらの名前を導出するが、その場は、ときどき近接場と称される。例示的な光学走査デバイスは、おおよそ405nmの波長を有する放射ビームを放出する青色レーザーである放射源を使用することがある。
【0004】
記録担体の走査の間に、SILの出口の面と記録担体の外側の面との間のエバネッセント結合は、維持されるべきである。これは、SILと記録担体との間における運動の間に所望の非常に小さい値における間隙の大きさを維持することを伴う。このエバネッセント結合の効率は、一般には、SILの出口の面と光学記録担体の入口の面との間の間隙の大きさにおける変化と共に変動する。間隙の大きさが、所望の間隙の大きさよりも大きいものになるとき、結合の効率は、減少する傾向があり、且つ、走査スポットの質もまた、減少することになる。走査の手順が、記録担体からデータを読み出すことを伴うとすれば、例えば、効率におけるこの減少は、もしかするとデータ信号への誤差の導入と共に、読み出されるデータの質における減少に帰着することになる。小さすぎる間隙の大きさは、SIL及び記録担体の衝突に帰着することがある。
【0005】
このような小さい距離で機械的なアクチュエーターを使用して空隙の幅の制御を可能にするために、適切な制御信号又は間隙の信号は、間隙サーボ系についての入力として要求される。例えば、T.Ishimoto,et al.,Tech.Dig.ISOM/ODS 2002,p.287(非特許文献1)による論文及びF.Zijp and Y.V.Martynov,Proc.SPIE 4081(2000)p.21(非特許文献2)による論文に開示されるように、適切な間隙の信号を、SILに集束させられる前進の放射ビームのものに対して垂直な偏光状態を備えたSILから反射された光より得ることができる。光の一部分は、SIL−空気−記録担体の界面での反射の後で、楕円偏光したものになる:この効果は、反射された光が、偏光子を通して観察されるとき、周知のマルテーゼ(Maltese)クロスを作り出す。
【0006】
間隙の信号は、偏光光学部品及び放射検出器を使用して垂直な偏光を有する全ての反射された光を統合することによって発生させられ、その検出器は、単一の光検出器であり得る。間隙の信号の値は、ゼロの間隙の幅についてはゼロに近いものであり、且つ、間隙の幅を増加させると共に増加する。間隙の信号は、間隙の幅が放射ビームの波長のおおよそ十分の一であるとき、最大の値で平らになる。間隙の誤差の信号を得るための代替の方式は、四分の一波長板を通じてレーザービームを通過させることによって、レーザーから放出されたもののような直線の状態から円形の状態へ偏光を変化させることによるものである。その次に、このビームは、レンズを照明するために使用される。その後、反射されたビームの一部は、四分の一波長板を通じて反射されたビームを通過させた後で、レーザーの初期の偏光状態のものに平行な偏光状態を伴って、検出される。このような偏光の光学的な光の経路を適用することは、光学記録担体から検出系までのみならずレーザーから光学記録担体までの光の経路の効率を増加させる。付加的な利点は、レーザーの共振器への放射のより小さいフィードバックである。所望の間隙の幅は、間隙の信号のある一定の値、設定値に対応する。間隙の信号及び設定値に等しい固定された電圧は、比較器、例.減算器への入力であり、その比較器は、それの出力で間隙の誤差の信号を形成する。間隙の誤差の信号は、間隙サーボ系を制御するために、使用される。走査する間における間隙の幅は、数十ナノメートルの程度にある(例.25nm+/−1nm)。
【0007】
近接場の光学記録器は、アクチュエーターの移動する部分に載せられた対物レンズ系(例.SILを備えた対物レンズ)を必要とすることがあるだけでなく、それは、また、例.色収差又は球面収差を補正するための収差を補正する手段を適用することを要求されることもある(例えば、“Near Field Recording on First−surface Write−once Media with a NA=1.9 Solid Immersion Lens”,C.A.Verschuren,et al.,JJAP.Vol.44,No.5B,2005,pp.3564−3567(非特許文献3)を参照)。
【0008】
単純な且つ対費用効果の高い色収差を補正する素子の例は、いわゆる非周期的な位相構造である。対物レンズの光軸に関する軸外の位置の公差は、多数の事例において、径方向の行程よりも小さいものであり、その行程にわたってアクチュエーターは、トラックの偏心率のせいで、記録担体におけるトラッキングの間に対物レンズ系を移動させる必要がある。DVD又はBDの用途における知られた解決手段は、焦点及びトラッキングアクチュエーターの移動する部分にこのような光学素子を載せることである。この方式では、対物レンズの光軸に関するこれらの光学素子のより正確な位置決めは、可能である。しかしながら、それは、アクチュエーターの移動する部分の合計の質量を増加させ、その合計の質量は、バンド幅及び電力消費のようなアクチュエーターの性能に有害な効果を有する。これは、系の達成可能なデータ速度を限定する。近接場の光学ディスク系が、許容可能な量の時間内に記録担体の全体を読み出す及び書き込むために、極端に高いデータ速度を要求すると、アクチュエーターに対する質量の追加が、好ましくないものである。
【0009】
米国特許出願公開第2004/0130989号明細書(特許文献1)は、対物レンズを駆動するためのアクチュエーター及び収差を補正するデバイスを含む一軸性のアクチュエーターを有する光学走査デバイスを開示する。位置検出手段は、相互の変位を検出するために、一軸性のアクチュエーター用の位置検出手段として提供され、その変位を、一軸性のアクチュエーターを駆動するための一軸性のアクチュエーターの制御器を使用して補正することができる。これは、光学走査デバイスにおいて要求されたセンサー及び制御器のみならず駆動する手段の数を増加させ、且つ、光学走査系を複雑なものにし得る。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0130989号明細書
【非特許文献1】T.Ishimoto,et al.,Tech.Dig.ISOM/ODS 2002,p.287
【非特許文献2】F.Zijp and Y.V.Martynov,Proc.SPIE 4081(2000)p.21
【非特許文献3】C.A.Verschuren,et al.,JJAP.Vol.44,No.5B,2005,pp.3564−3567
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態の目的は、ここで言及されるにせよ別に言及されるにせよ、先行技術の問題の一つ以上を扱うことである。本発明の目的は、追加の駆動する手段無しに、近接場の用途のための改善された走査するアクチュエーターを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、光学記録担体を走査するための光学走査デバイス用の光学ピックアップアクチュエーターを提供することよって、達成され、光学ピックアップアクチュエーターは、第一の方向における対物レンズ及び光軸を有する固体浸レンズ、少なくとも光軸に平行な第一の方向において第一の区画を変位させるための駆動する手段、及び第二の方向における光学素子を含み、第二の区画は、弾性の部材を含む接続する手段によって第一の区画に接続される。
【0012】
このような弾性の部材は、第二の区画が、例えば第一の区画の動的な挙動に実質的に影響を及ぼすことなく径の(トラッキングの)方向において、限定された変位の公差の範囲内に残留する一方で、第一の区画の高いバンド幅の制御を得ることができるように、関連性のある周波数の範囲で一つ以上の方向において第二の区画から第一の区画の動的な挙動を切り離すことができる。
【0013】
これは、焦点/空隙の方向及び/又はトラッキングの方向に関するアクチュエーターの作動させられた第一の区画の残余の誤差のより良好な低減を可能とする。また、アクチュエーターにおける電力損の低減は、移動する質量が、焦点/空隙の方向及び/又はトラッキングの方向の制御に要求されたより高い周波数で低減されると、可能であることになる。より高い走査スピード及びこのようにより高いデータ速度は、可能であることになる。よって、本発明は、同じものを適用する光学走査デバイス及び光学データドライブにおいて使用されるものである高い性能の光学ピックアップアクチュエーターに帰着する。
【0014】
本発明に従って、このような弾性の部材は、例えば板ばね又は線ばねのような湾曲部であり得る。
【0015】
好適な実施形態において、弾性の部材は、第一のばね定数κが、第二のばね定数κよりも小さいものであるという点で特徴付けられた、第一の方向における第一のばね定数κ及び第一の方向に垂直な第二の方向における第二のばね定数κを有する。
【0016】
第一の方向における低いばね定数及び第二の方向におけるより高いばね定数を有することによって、第一の方向における第一の区画からの第二の区画の(動的な)切り離しを可能にする。その次に、第二の区画は、なおも、第一の区画の変位を追跡することで、第二の方向において第一の区画に(動的に)結合させられることがある。これは、第二の区画における光学素子が、この第二の方向において対物レンズ系に関する小さい位置のずれを有することを可能にされるのみであり且つこの第二の方向(例.径の方向)における変位の厳重な追跡を要求するとき、好都合であり得る。第一の方向における低いばね定数が、弱いと称されることがある一方で、第二の方向における高いばね定数は、堅いと称されることがある、即ち、第二の区画は、第一の区画の変位を追跡している。この実施形態において、第一のばね定数κは、好ましくは、第二のばね定数κの五分の一よりも少ないものであり、且つ、いっそうより好ましくは、第一のばね定数κは、第二のばね定数κの十分の一よりも少ないものである。
【0017】
さらなる好適な実施形態において、光学ピックアップアクチュエーターは、最小の関数的な回転周波数に回転する光学記録担体を走査するために設計され、第二の区画は、質量Mを有し、且つ、弾性の部材は、第一の方向における第一のばね定数κを有すると共に、質量M及び第一のばね定数κの比は、第一の方向における弾性の部材の第一の共鳴周波数Fres−zが、最小の関数的な回転周波数よりも少ないものであるようなものである。
【0018】
好ましくは最小より下の第二の区画の第一の共鳴周波数で、光学記録系(又は光学読み出し及び/又は書き込み系)における記録担体の関数的な回転周波数は、第二の区画の切り離しが、記録担体が走査されるものである関数的な周波数エリアにおいて有効であることを保証する。
【0019】
本発明に従ったさらなる実施形態は、第一の方向に垂直な第二の方向において第一の区画を変位させるための駆動する手段をさらに含む光学ピックアップアクチュエーターに関係し、弾性の部材は、第一の方向におけるばね定数κ、第一の方向に垂直な第二の方向における第二のばね定数κ、及び、第一の及び第二の方向に垂直な第三の方向における第三のばね定数κを、第一のばね定数κ及び第二のばね定数κが、第三のばね定数κよりも小さいものであるように、有する。
【0020】
このような光学ピックアップアクチュエーターは、第三の方向(例.接線の方向)において堅いままである一方で、二つの方向(例.焦点及び径方向のトラッキングの方向)における第二の区画の動的な切り離しを有するように設計される。二つの方向におけるこの切り離しは、焦点/空隙の方向及び/又はトラッキングの方向に関するアクチュエーターの作動させられた第一の区画の残余の誤差のいっそうより良好な低減を可能とする。また、アクチュエーターにおける電力損の低減は、移動する質量が、二つの方向においてより高い周波数で低減されると、より高いものであることがある。より高い走査スピード及びこのようにより高いデータ速度は、可能であることになる。よって、本発明は、同じものを適用する高い性能の光学走査デバイス及び光学データドライブに帰着する。
【0021】
この実施形態において、第一のばね定数κ及び第二のばね定数κは、好ましくは、第三のばね定数κの五分の一よりも少ないものであり、且つ、いっそうより好ましくは、第一のばね定数κ及び第二のばね定数κは、第三のばね定数κの十分の一よりも少ないものである。
【0022】
本発明に従ったさらなる実施形態において、最小の関数的な回転周波数で回転する光学記録担体を走査するための光学ピックアップアクチュエーターは、第一の方向に垂直な第二の方向において第一の区画を変位させるための駆動する手段をさらに含み、弾性の部材は、質量M及び第二のばね定数κの比が、第二の方向における第二の区画の第二の共鳴周波数Fres−xが最小の関数的な回転周波数よりも少ないものであるようなものであるように、第一の方向に異なる垂直の第二の方向における第二のばね定数κをさらに有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
今、本発明に従ったこれらの及びさらなる実施形態を、添付する図面を参照して、ほんの一例として記載することにする。
【0024】
光学記録系における光学記録単体に記録することができる最大の情報密度は、情報層における走査する位置に集束させられるレーザースポットの大きさと逆に拡大縮小する。スポットの大きさは、二つの光学的なパラメーター:スポットを形成する放射ビームの波長λ及び放射ビームを集束させる対物レンズの開口数(NA)の比によって決定される。対物レンズのNAは、NA=nsin(θ)のように定義され、ここで、nは、光が集束させられる媒体の屈折率であり、且つθは、その媒体における光の集束させられた錐体の半分の角度である。平行平面板(例.平坦な記録担体)において空気中で又は空気を介して集束する対物レンズのNAについての上限が、一般的な一単位にあることは、明白である。
【0025】
図1aは、空気中で放射ビーム4を集束させるレンズ2の例を示し、ここで光の集束させられた錐体の半分の角度が、項目8として示された、θであり、且つ、光軸は、一点鎖線6として示される。光が、例えば半球状のSILの中央に集束することによって、空気−媒体の界面での屈折なしに高い屈折率の媒体において集束させられるとすれば、レンズのNAは、一単位を超過し得る。図1bは、矢印18として示された、半径Rを備えたこのような半球状のSIL16を通じて放射ビーム14を集束させるレンズ12の例を示す。この事例においては、有効なNAは、NAeff=nNAであると共に、nは、半球状のレンズの屈折率であり且つNAは、集束レンズの空気中のNAである。
【0026】
NAをさらに増加させるための可能性は、不遊の超半球状のSILの使用によるものである。図1cは、矢印28によって指し示された、半径Rのこのような不遊の超半球状のSIL26を通じて放射ビーム24を集束させるレンズ22の例を示し、その例においては、超半球状のSIL26は、光軸36に向かってビーム30を屈折させ且つそれを超半球の中央より下に集束させる。この事例において、有効なNAは、NAeff=nNAである。矢印32によって指し示された、光軸に沿った高さR(1+1/n)の不遊の超半球のSILについては、ビームを、SILの無い図1aにおける事例よりもレンズ2により近い、矢印34によって指し示された、距離R(n−1/n)に集束させることができる。
【0027】
重要なことには、一単位よりも大きい有効なNAeffは、SILの出口の表面から(また近接場とも呼ばれた)極端に短い距離内に存在するのみであり、そこでは、エバネッセント波が、存在する。対物系の出口の表面は、放射が記録担体に突き当たる前に、対物系の最後の屈折性の表面である。短い距離は、典型的には、放射の波長の十分の一よりも小さいものである。
【0028】
光学記録担体の入口の面が、この短い距離内に配置されるとき、放射は、エバネッセント結合によってSILから記録担体へ透過させられる。これは、光学記録担体の書き込み又は読み出しの間に、SILと記録担体との間の距離、又は間隙の幅が、放射源としての青色レーザーを使用する系について数十ナノメートル、例えば約25nm、よりも小さいものであり且つ対物系のNAは1.9のものであるべきであることを意味する。いわゆる空気入射の光学記録担体において、情報層の一方の側は、基体と接触したものであり、且つ、他方の側は、環境に露出させられる。このような記録担体の入口の面は、情報層と環境との間に界面である。あるいは、情報層は、薄い透明な層によって環境から保護され、その透明な層の外側の面は、記録担体の入口の面を形成する。後者の事例において、SILの厚さは、透明な層の厚さについて補正されなければならない。
【0029】
図2は、先行技術に従った記録担体を走査するための近接場の光学走査デバイスの例を概略的に示す(F.Zijp,et al.,“Near field read−out of a 50GB first surface record carrier with NA=1.9 and a proposal for a cover layer incident,dual−layer near field system”,ODS2004,Proc.SPIE,Vol.5380,p.20;これと共に参照のために組み込まれる)。光学走査デバイスは、放射源系を含み、その系は、放射を発生させるように配置される。この実施形態において、放射源は、所定の波長λ、例えばおおよそ405nm、を有する放射ビーム62を放出するレーザー60である。起動の手順及び光学走査デバイスの記録担体を走査する手順の両方の間に、放射ビーム62は、光学走査デバイスの(指し示されない)光軸に沿って通過し且つコリメーターレンズ64によってコリメートされ、且つ、それの断面の強度分布は、ビーム整形器66によって整形される。その次に、放射ビーム62は、偏光ビームスプリッター70が後に続けられた、無偏光のビームスプリッター68を通過し、且つ、第一の焦点調節レンズ72と第二の焦点調節レンズ76との間に導入された焦点を有する。
【0030】
記録担体における放射ビーム62の焦点の位置の最適な調節は、焦点調節方向74において第一の焦点調節レンズ72を移動させることによって、達成される。光学走査デバイスの対物レンズ系は、放射ビーム62へと集束する波面を導入する対物レンズ78を含む。対物レンズ系は、固体浸レンズ(SIL)80をさらに含む。この例において、SIL80は、図1cにおけるもののような錐体の超半球状の形状を有し、そのSILは、1.9のNAを有する。SILの平面の側は、記録担体82に面する出口の面を形成する。
【0031】
(示されない)支持フレームは、SIL80を備えた対物レンズ78の整列及び分離の距離が、維持されることを保証する。支持フレームは、(示されない)間隙サーボ系によって記録担体からの正しい距離に保たれる。対物レンズ系による集束する波面の導入の後に、放射ビームは、記録担体82に放射ビームスポットを形成する。レンズ78に届く放射ビームは、直線偏光を有する。間隙誤差信号を得るための代替の方式は、四分の一波長板を通じてレーザービームを通過させることによって、レーザーによって放出されたような直線の状態から円形の状態へ偏光を変化させることによるものである。その次に、このビームは、レンズ78を照明するために使用される。その後、反射させられたビームの一部が、四分の一波長板を通じて反射させられたビームを通過させた後、レーザーの初期の偏光状態のものに平行な偏光状態と共に検出される。
【0032】
記録担体82は、SIL80の出口の面122に面する入口の面120を有する。対物系は、放射源60と記録担体82との間に配置され、且つ、出口の面122と入口の面120との間の間隙は、光軸に沿った出口の面122と入口の面120との間の距離である間隙の大きさを有する。
【0033】
第一の光学的な検出経路において、配置されるものは、第一の検出器108へ検出放射ビームを集束させるための第一の集光レンズ106である。第二の異なる検出経路において、配置されるものは、第二の検出器88へ検出放射ビームを集束させるための第二の集光レンズ90である。それぞれ、項目108及び88によって示された、第一の及び第二の検出器は、記録担体82との相互作用の後に放射において検出された情報を表す検出器信号を発生させるための放射検出器の配置を構成する。
【0034】
第一の検出経路は、SIL80から反射された且つ記録担体に集束させられる前進の放射ビームに垂直に偏光させられた放射の検出のために使用される。垂直に偏光させられた放射は、RFの⊥に偏光させられた信号と称される。間隙(誤差)信号は、RFの⊥に偏光させられた信号の低周波数の部分(例.DCから100kHzまで)から導出される。第二の検出の経路は、記録担体に集束させられ且つ情報層から読み出された情報によって変調される前進の放射ビームに平行に偏光させられる放射の検出に使用される。第二の検出器88によって検出される第二の検出の経路における光の部分は、RFの//に偏光させられた信号と称され且つデータ信号の発生及び例えばプッシュ・プル・信号のようなトラッキング信号の発生に使用され、且つ、スポットと追跡されるものである記録担体82のデータトラックの中央との間の横断の距離を表す信号を発生させるために使用される。間隙誤差信号を得るための代替の方式は、四分の一波長板を通じてレーザービームを通過させることによって、レーザーによって放出されたもののような直線の状態から円形の状態へ偏光を変化させることによるものである。その次に、このビームは、レンズを照明するために使用される。その後、反射させられたビームの一部は、四分の一波長板を通じて反射されたビームを通過させた後、レーザーの初期の偏光状態のものに平行な偏光状態と共に検出される。
【0035】
図3は本発明の第一の実施形態に従った対物レンズ系(78,80)及び一つ以上の光学素子用のアクチュエーター300の例を概略的に示す。アクチュエーターは、二つの区画を含む。第一の区画Aは、例えば図1cに示されたもののような対物レンズ系を含み、且つ、第二の区画Bは、光学素子306を含む。この光学素子は、(先に記載されたもののように)例えば、非周期的な位相構造又は液晶セルに基づいた(色)収差補正素子であり得る。第一の区画Aは、例えば、四つの線ばねのようなアクチュエーター用の従来の及び知られた手段302によって、いわゆる固定された世界301(例.光学走査デバイス又はアクチュエーターの基部)へ接続されることがある。アクチュエーター300が、区画Aが、機械的な旋回軸、例えばシャフト、又は仮想的な旋回軸、の知られた手段によって、固定された世界に関して回転可能である回転式のタイプのアクチュエーターであることは、また可能である。トラッキング及び焦点/間隙の方向における第一の区画Aの変位を、間隙誤差信号、トラッキング誤差信号及び/又は焦点合わせ信号のようなサーボ信号を使用する(示されない)サーボ制御器の手段によって制御することができる。作動は、少なくとも対物系の光軸に平行な第一の方向において第一の区画を変位させるための駆動手段によって達成されることがある。このような駆動手段は、コイル及び永久磁石(例.Lorentzのアクチュエーター)又は(バイモルフ型の)圧電素子を使用するアクチュエーターのような知られた技術の使用をなすことができる。図2に関係して議論されたような支持フレームは、第一の区画Aにおいて統合されることがある。
【0036】
第二の区画Bは、(例えば)第一の区画におけるトラックに対する対物レンズ系のものよりもはるかに少ないものである確度で、例.ナノメートルの代わりにマイクロメートルの程度で、径の方向において対物レンズ系の光軸303を追跡することを必要とするのみである光学素子を含む。第二の区画Bは、接続する手段303によって第一の区画Aに接続される。
【0037】
アクチュエーターの第二の区画Bにおける光学素子は、例えば、いわゆる非周期的な位相構造(NPS)のような色収差補正器、又は、多層の情報層の光学記録担体の読み出しの間における使用のための液体波面補正セルのような球面収差補正器であることがある(また、C.A.Verschuren, et al,“Near Field Recording on First−Surface Write−Once Media with a NA=1.9 Solid Immersion Lens”,JJAP,Vol.44,No.5B,2005,pp.3564−3567を参照のこと;これと共に参照のために組み込まれる)。
【0038】
このような光学素子は、通常、対物レンズ系の光軸に関する小さい軸外の公差を有するが、しかし、光軸に沿った大きい位置の公差を有する。対物レンズの光軸に関するこれらの素子の軸外の位置の公差は、多数の事例において、径方向の行程よりも小さいものであり、その行程にわたって、アクチュエーターは、記録担体におけるトラックの偏心のせいでトラッキングの間に対物レンズを移動させる必要があることがある。従って、光学素子は、その対物レンズ系の径方向の変位の間に対物レンズ系の光軸と数マイクロメートル(又は光学素子のタイプに依存して、より多くのもの)内で整列させられたままであることがある。
【0039】
接続手段303は、それが、関連性のある周波数の範囲及び方向において第一の区画Aから第二の区画Bの動的な挙動を実質的に切り離すように設計される。その次に、第二の区画が、第一の区画の動的な挙動に実質的に影響を及ぼすことなく例えば径方向の(トラッキングの方向)における限定された変位の公差の範囲内に残留する一方で、高いバンド幅のトラッキング及び/又は焦点合わせサーボに適切な第一の区画の高いバンド幅の制御を達成することは、可能である。このために、接続手段303は、第一の区画Aにおける対物レンズ系に関する適切な位置に弾性的に第二の区画Bを保つ弾性の部材304を含む。弾性の部材304は、第一の区画Aと第二の区画Bとの間の接続部において少なくとも一つの可撓性の素子を含む。このような可撓性の素子は、例えば、線ばね又は板ばねであり得る。可撓性の素子は、好ましくは、一つ以上の方向において適当な剛性を有する。可撓性の素子は、第一の方向における第一のばね定数k、第一の方向に垂直な第二の方向における第二のばね定数k、並びに、第一の及び第二の方向に垂直な第三の方向における第三のばね定数kを有する。第二の方向が、この第一の方向に垂直ないずれの方向であることもある一方で、第一の方向は、焦点/間隙の幅の方向と考えられることがありそうである。便宜上、第二の方向は、径方向のトラッキングの方向において選ばれることがあり、その方向は、その次に、接線の方向にある第三の方向に帰着する。
【0040】
これらのばね定数の値は、一つ以上の可撓性の素子の設計及び配向に依存し、且つ、知られた機械的な及び数理的な技術によって計算され得る。一つよりも多くの可撓性の素子が使用されるとき、それらは、好ましくは、関連性のある有効な方向において、等しいばね定数を有する。
【0041】
弾性の部材304は、第一の方向において低い剛性又はばね定数κ(κは、i方向における弾性の部材の少なくとも一つの可撓性の素子のばね定数の有効な総和であると共に、“i”は、x、y、又はzである)を、及び、第一の方向に垂直な第二の方向においてより高い剛性又はばね定数κを、有することがある。第一の方向におけるこの低い剛性は、ある一定の周波数より上でその方向において駆動される又は作動させられるものである有効な質量を低下させ、それによって、第一の区画についてより高いバンド幅を可能にし且つアクチュエーターにおける電力消費を低減する。第一の方向における低い剛性のおかげで、第二の区画Bは、(切り離された)その周波数より上で作動させられた第一の区画よりも、その方向においてはるかにより少なく変位させられることになる。第二の方向(又は、例.径の方向)におけるより高い剛性は、第二の区画が、その第二の方向において第一の区画の変位を接近して追跡していることに帰着する。この実施形態において、第一のばね定数κは、好ましくは、第二のばね定数κの五分の一よりも少ないものであり、且つ、いっそうより好ましくは、第一のばね定数κは、第二のばね定数κの十分の一よりも少ないものである。
【0042】
第二の区画は、また、例えば線ばねによって、固定された世界301へ接続されることがある。図3に示されたような実施形態において、二つの線ばね305の一つのみが、示される。固定された世界301へ第一の区画Aを接続させる四つの線ばねとの比較において、接続手段303の弾性の部材304は、他の二つの線ばねに取って替わる。
【0043】
好ましくは、弾性の部材304は、第一の区画Aに関する第二の区画Bの傾斜が、回避されるように、設計される。その理由のために、区画A及びBの間における接続は、好ましくは、第二の区画Bの質量の中心を通じた且つ光軸に平行な軸のまわりに対称的に位置させられる。この方式では、区画Bの傾斜は、焦点/空隙の方向における低い周波数の変位がなされるとき、回避される。第二の区画Bとの弾性の部材304の接続が、区画Bの質量の中心に近いものであることは、また好適なことである。その次に、力及びモーメントは、区画Aの低い周波数の変位による第二の区画Bの傾斜を回避するために十分に小さいものであることがある。
【0044】
好ましくは、第二の区画Bの質量M及び第一の方向における弾性の部材のばね定数κの比は、焦点の方向Frez−zにおける第一の共鳴周波数が、光学系が設計されるデータ駆動装置における光学記録担体の関数的な回転周波数Frotよりも小さいものであるように、選ばれる。いっそうより好ましくは、第一の共鳴周波数は、走査する間に適用されるもののような光学記録担体の最小の回転周波数よりも下にある。この第一の共鳴周波数は、Fres−z=(1/2π)√(M/κ)として書かれることがある。
【0045】
この方式では、第二の区画Bの質量は、記録担体の回転周波数を超えて焦点/空隙の方向において第一の区画Aから動的に切り離される。この方式では、アクチュエーターは、主として、光学データ駆動装置における光学記録担体の走査の間に焦点/空隙の方向において区画Aの質量を変位させる及び/又は加速することを必要とする。この走査は、光学データ駆動装置のような光学記録系における読み出し及び/又は書き込みであり得る。
【0046】
第二の区画Bは、このような事例においては、より大きい質量を保持するか又は第一の区画のものよりもはるかにより低いバンド幅を有することが可能にされる。二つの区画においてアクチュエーターを分割することによって、対物レンズ系を含む第一の区画の高いバンド幅の性能を達成することは、より簡単である。実質的に、区画Aの質量よりも追加の質量が、高いバンド幅で作動させられる必要がない。
【0047】
その次に、第一の区画Aを、焦点/間隙の方向において高いバンド幅(例.数kHz)のサーボ制御器によって駆動することができる。光学記録担体の情報層における正しい記録及び/又はその情報層からの正しい読み出しに要求されたような、数ナノメートルの第一の区画Aの間隙の幅(空隙)の方向における残余の制御誤差を、今、両方のアクチュエーターの区画の間に固い剛性の接続があるときよりも、より簡単に達成することができる。
【0048】
図4は、本発明の実施形態に従った接続手段400の例の詳細を概略的に示す。例えば、第二の区画Aは、径の方向において大きい剛性を提供するがしかし焦点/空隙の方向において可撓性である板ばね402の一つ(以上)の組みを有する弾性の部材を使用して、第一の区画Bに接続されることがある。この例において、接続手段400は、弾性の部材のみからなる。一般的には、接続手段400は、また、他の機械的な素子、例えば、可撓性の素子が載せられる環を含むことがある。板ばねの数は、これが、区画Bの傾斜に関する付加的な利益を有することになると、一つ又は二つであり得るが、しかし、好ましくは少なくとも三つであり得る。板ばねの端の部分403が、第一の区画Aに機械的に固定される一方で、接続手段の剛体401は、第二の区画Bへ機械的に固定される、又は逆もまた同じである。好ましくは少なくとも三つの板ばねを適用することによって、二つの方向における(例えば、走査されるものである光学記録担体の接線の及び径の方向における)傾斜の剛性を達成することは、可能である。いっそうより好ましくは、板ばねは、第二の区画の質量の中心の近くに接続される。第二の区画Bの質量の中心の近くに接続された少なくとも三つの板ばねの組み合わせは、最も好ましいものである。接続手段における穴404は、第二の区画Aにおける対物レンズ系に向かった放射ビームの通過を可能にする。
【0049】
“平坦なフレーム”の接続手段400の材料は、例えば、薄い金属箔、プラスチックのシート、例えば一つの方向における剛性及び別の方向における可撓性を有する多層の炭素繊維のシートのような、弾性の材料又は湾曲部であり得る;それは、また、接続手段が、異なる材料のこのような部分要素の組み合わせを含むことであることがある。
【0050】
接続手段400は、図3における接続手段303として使用されることがある。剛体401は、別個の可撓性の素子よりも組み立ての間により簡単に取り扱うことができる単一の構成部品へと、板ばねのような、一つ以上の可撓性の素子を統合するためのちょうど十分な最小限の寸法を有することがある。
【0051】
図5aにおいて、本発明の第二の実施形態は、概略的に示される。この第二の実施形態は、また径の方向におけるばね501の剛性を緩和することによって、アクチュエーターのヘッド500における第一の区画Aの動的な性能をさらに改善することがある。第一の区画Aは、例えば、線ばねの使用をなす従来の様式で(また図3を参照のこと)又は回転式のタイプの対物レンズのアクチュエーターに適用されたような他の従来の手段によって、固定された世界に載せられる。第一のアクチュエーターAは、再度、対物レンズ系(78,80)及び三つの方向x、y、及びzにおいてある一定の公差内で対物レンズ系の後に続くことを必要とする第二の区画Bの光学素子506を含む。
【0052】
径の方向における弾性の部材501の小さい剛性(低いばね定数κ)をもまた選ぶことによって、第二の区画Bを、径の及び/又は焦点/空隙の方向の両方において第一の区画Aから動的に切り離すことができる。径の方向において切り離すことは、径の方向における第二の区画のある一定の第二の共鳴周波数Fres−xより上にある。この第二の共鳴周波数を、Fres−x=(1/2π)√(M/κ)として書き込むことができる。
【0053】
この実施形態においては、第一の及び第二の方向における低い剛性のために、第二の区画Bは、それらの方向における作動させられた第一の区画よりも、それらの方向においてはるかにより少なく変位させられることになる。第三の方向(又は例.接線の方向)においてより高い剛性を選ぶことによって、その第三の方向における第一の区画に対する第二の区画の変位を回避することは、可能である。この実施形態において、第一のばね定数κ及び第二のばね定数κは、好ましくは、第二のばね定数κの五分の一よりも少ないものであり、且つ、いっそうより好ましくは、第一のばね定数κ及び第二のばね定数κは、第三のばね定数κの十分の一よりも少ないものである。
【0054】
再度、この共鳴周波数Fres−xは、好ましくは、走査する間に適用されたもののような光学記録担体の関数的な回転周波数より下に選ばれる。いっそうより好ましくは、第二の共鳴周波数は、走査する間に適用されたもののような光学記録担体の最小の回転周波数より下にある。この方式では、第二の区画Bの質量Mは、記録担体の回転周波数を超える周波数で径の及び焦点/空隙の方向の両方において、第一の区画Aから切り離す。このように、第二の区画Bの共鳴周波数を超える周波数について、アクチュエーターは、より少ない質量を、主として区画Aの質量を、加速させることを必要とする。この事例においては、径の及び焦点/空隙の方向の両方において質量の利益がある。この例の構成において、第二の区画Bは、径の及び焦点/空隙の方向において可撓性の且つ他の方向において剛性の、ばね501によって、例.例えば図6a及び6bに概略的に示されたもののようなばね501を使用して、第一の区画Aの内側に載せられる。ばね501は、線ばねであることがあるが、しかし、径の及び焦点/空隙の方向(例.接線の方向)に垂直な方向において剛性を得るためには、好ましくは、板ばねである。
【0055】
弾性の部材は、例えば、図6a及び6bに示されたもののような、それが、(示されない)他の垂直な方向‘y’においてより高い剛性(又はばね定数)kを有することがある一方で、それが、二つの垂直な方向‘z’(図6a)及び‘x’(図6b)における、例.空隙の及び径の方向における、低い剛性(又はばね定数)k、kを備えたばねの機能をみせるように整形される、薄い金属箔501を含むことがある。ばねのこのより高い剛性は、第二の区画Bが第一の区画Aに関して方向‘y’に移動することを予防するはずである。z方向における共鳴周波数Fres−z及びx方向におけるFres−xは、好ましくは、両方とも、本発明に従った光学ピックアップアクチュエーターを使用する光学走査デバイスが適用されるものである、データ駆動装置において使用されることになる、最小の関数的な記録担体の回転周波数より下にある。
【0056】
第二の実施形態は、アクチュエーターの第一の区画Aを、その次に、径の(トラッキングの)方向のみならず、及び/又は、焦点/間隙の方向において高いバンド幅(例.数kHz)のサーボ制御器によって駆動することができるという利点を有する。
【0057】
好ましくは、第二の区画Bの傾斜は、作動させられた第一の区画Aによって導入された焦点(F、F)が、第二の区画の近くに及び好ましくは第二の区画の質量の中心に適用されるような方式で、板ばねを接続することによって、回避される。このような(均衡がとられた)状況において、ちょうど二つの板ばねの適用は、十分であるであろう。他の状況においては、作動させられた第一の区画A内における第二の区画Bの傾斜を回避するために、二つより多くの板ばねを、例えば四つの板ばねを、適用することは、有用であることがある。
【0058】
上の記述において、板又は線ばね以外の可撓性の素子を使用する弾性の部材又は湾曲部を使用することができることは、明白である。それは、また、弾性の部材が、別個の板ばね又は線ばねを含むということであることもある。そして、板又は線ばねのような、このような別個の可撓性の素子の組み合わせは、弾性の部材と称されることがある。また、単一の可撓性の素子(例.単一の板ばね)は、弾性の部材として、又は接続する手段としてさえも、機能することがある。弾性の部材は、プラスチック、金属、又はそれらの組み合わせで作られることがある。板ばね又は線ばねは、また、プラスチック、金属、又はそれらの組み合わせで作られることもある。好ましくは、使用されたプラスチックは、減衰振動の性質のために、熱可塑性のもの又は熱可塑性のもののミックスである。好ましくは、金属は、その次に金属の素子及びこのように扇形の区画Bの移動が、例えばLorenzアクチュエーターにおいて使用されたとき磁場によって影響を及ぼされないと、
非磁性のステンレス鋼又はリン青銅のような非磁性材料である。本発明を、近接場の光学記憶の用途に関係して記載してきたとはいえ、本発明を、単数の光学素子又は複数の光学素子が、高いバンド幅の要件で作動させられるものである他の用途にもまた使用することができることは、自明である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
上記の図面において:
【図1】図1a、1b及び1cは、先行技術に従った空気中で放射ビームを集束させる対物レンズ系(図1a);先行技術に従った半球状の固体浸レンズにおいて放射ビームを集束させるレンズ(図1b)、及び、先行技術に従った不遊の超半球状の固体浸レンズにおいて放射ビームを集束させるレンズ(図1c)、を示す、
【図2】図2は、先行技術に従った近接場の光学走査デバイスを概略的に示す、
【図3】図3は、本発明の第一の実施形態に従った対物レンズ系用のアクチュエーターを概略的に示す、
【図4】図4は、本発明の実施形態に従った接続する手段の詳細を概略的に示す、
【図5】図5は、本発明の第二の実施形態に従った対物レンズ系用のアクチュエーターを概略的に示す、
【図6】図6a及び6bは、z方向における低い剛性(図6a)及びx方向における低い剛性(図6b)を備えた本発明の第二の実施形態に従った接続する手段の一部の例を概略的に示す。
【図1a】

【図1b】

【図1c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学記録担体を走査するための光学走査デバイス用の光学ピックアップアクチュエーターであって、前記光学ピックアップアクチュエーターが、第一の区画における対物レンズ及び光軸を有する固体浸レンズ、少なくとも前記光軸に平行な第一の方向において第一の区画を変位させるための駆動手段、並びに、第二の区画における光学素子を含み、前記第二の区画が、接続手段によって前記第一の区画に接続される、光学ピックアップアクチュエーターにおいて、
前記接続手段は、弾性の部材を含んでいることを特徴とする、光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項2】
前記弾性の部材は、湾曲部である、請求項1に記載の光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項3】
前記弾性の部材は、少なくとも一つの板ばねをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項4】
前記弾性の部材は、少なくとも一つの線ばねをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項5】
前記弾性の部材は、前記第一の方向における第一のばね定数及び前記第一の方向に垂直な第二の方向における第二のばね定数を有し、前記第一のばね定数は、前記第二のばね定数よりも小さいものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項6】
最小の関数的な回転周波数で回転する光学記録担体を走査するための請求項1又は2に記載の光学ピックアップアクチュエーターであって、前記第二の区画が、質量を有し、且つ、前記弾性の部材は、前記第一の方向における第一のばね定数を有する、光学ピックアップアクチュエーターにおいて、前記質量及び前記第一のばね定数の比は、前記第一の方向における前記弾性の部材の第一の共鳴周波数が、前記最小の関数的な回転周波数未満であるようなものであることを特徴とする、光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項7】
前記第一の方向に垂直な第二の方向において前記第一の区画を変位させるための駆動手段をさらに含む、請求項1又は2に記載の光学ピックアップアクチュエーターであって、前記弾性の部材は、前記第一の方向におけるばね定数、前記第一の方向に垂直な第二の方向における第二のばね定数、並びに前記第一の及び第二の方向に垂直な第三の方向における第三のばね定数を有する、光学ピックアップアクチュエーターにおいて、前記第一のばね定数及び前記第二のばね定数は、前記第三のばね定数よりも小さいものであることを特徴とする、光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項8】
最小の関数的な回転周波数で回転する光学記録担体を走査するための請求項1又は2に記載の光学ピックアップアクチュエーターであって、前記第一の方向に垂直な第二の方向において前記第一の区画を変位させるための駆動手段をさらに含み、前記弾性の部材は、前記第一の方向に異なる垂直な第二の方向における第二のばね定数を有する、光学ピックアップアクチュエーターにおいて、前記質量及び前記第二のばね定数の比は、前記第二の方向における前記第二の区画の第二の共鳴周波数が、前記最小の関数の回転周波数未満であるようなものであることを特徴とする、光学ピックアップアクチュエーター。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学ピックアップアクチュエーターを含む光学読み出し及び/又は書き込み系。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2009−509279(P2009−509279A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530685(P2008−530685)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053173
【国際公開番号】WO2007/031919
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】