説明

光学部品保護部材およびその取付構造、その取付方法、並びに、それらを有するヘッド装置

【課題】基礎部材に対する取付強度を確保させる。
【解決手段】基礎部材20と、基礎部材20に装着されメディアに近接する光学部品30と、基礎部材20に装着されメディアに対して接触することで光学部品30を保護する光学部品保護部材10と、を備える光学部品保護部材10の取付構造に関する。光学部品保護部材10に、基礎部材20に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14が設けられた。前記光学部品保護部材10の取付構造を有するヘッド装置を構成させる。基礎部材20に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14を有する光学部品保護部材10を基礎部材20に装着させ、次に、取付強度確保部14に基礎部材20と光学部品保護部材10との接合力を向上させる接合部材40を備えさせ、その後、接合部材40を硬化させる光学部品保護部材10の取付方法を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品保護部材およびその取付構造、その取付方法、並びに、それらを有するヘッド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の光学部品保護部材いわゆるレンズプロテクタの一形態を示すものである。
【0003】
薄型形状をした光ピックアップ装置のレンズプロテクタ500は、図3に示す構造とされている。
【0004】
また、従来の他のレンズプロテクタが記載されたものとして、例えば、対物レンズの小型化及びNAの増大が可能になり、特にポータブル機器に好適な光ピックアップ及びそれを用いた光ディスク装置というものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−302338号公報(第1,5頁、第1−4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図3に示す上記従来のレンズプロテクタ500にあっては、例えば浮き防止のために接着する際の位置決めが必要な上に、接着強度があまり高くできず、取付け後の工程で剥離などの不具合が発生していた。
【0007】
レンズホルダの表側については、接着剤が塗布されて盛られる分のスペースが無く、レンズホルダにレンズプロテクタ500を接着させるときには、レンズホルダの裏側からの接着作業しかできないものとされている。
【0008】
また、例えば、熱硬化性接着剤を使用することができれば接着強度を向上させることも可能とされるが、熱硬化性接着剤の硬化中にレンズプロテクタ500の正確な位置決めが必要となり、熱硬化性接着剤を使用することは、困難なこととされていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の光学部品保護部材は、基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の光学部品保護部材は、メディアに対し接触することで光学部品を保護する保護部と、前記メディアに対向する基礎部材に対し装着される取付部と、を備え、前記取付部に、前記基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部が設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のヘッド装置は、上記光学部品保護部材を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の光学部品保護部材の取付構造は、基礎部材と、前記基礎部材に装着されメディアに近接する光学部品と、前記基礎部材に装着され前記メディアに対して接触することで前記光学部品を保護する光学部品保護部材と、を備え、前記光学部品保護部材に、前記基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のヘッド装置は、上記光学部品保護部材の取付構造を有することを特徴とするヘッド装置。
【0014】
また、本発明の光学部品保護部材の取付方法は、基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部を有する光学部品保護部材を前記基礎部材に装着させ、次に、前記取付強度確保部に前記基礎部材と前記光学部品保護部材との接合力を向上させる接合部材を備えさせ、その後、前記接合部材を硬化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明によれば、基礎部材に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材を提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、基礎部材に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材を有するヘッド装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明によれば、基礎部材に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材の取付構造を提供することができる。
【0018】
また、本発明によれば、基礎部材に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材の取付構造を有するヘッド装置を提供することができる。
【0019】
また、本発明によれば、基礎部材に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材の取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る光学部品保護部材の一実施の形態を示す図であり、(A)は光学部品保護部材を示す側面図、(B)は光学部品保護部材を示す他の側面図、(C)は光学部品保護部材を示す下面図である。
【図2】本発明に係る光学部品保護部材およびその取付構造、その取付方法、並びに、それらを有するヘッド装置の一実施の形態を示す説明図である。
【図3】従来の光学部品保護部材の一形態を示す図であり、(A)は光学部品保護部材を示す側面図、(B)は光学部品保護部材を示す他の側面図、(C)は光学部品保護部材を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明に係る光学部品保護部材およびその取付構造、その取付方法、並びに、それらを有するヘッド装置の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1〜図3は、本発明に係る光学部品保護部材およびその取付構造、その取付方法、並びに、それらを有するヘッド装置の一実施の形態を示すものである。
【0023】
光学ヘッド装置は、各種ディスク等の各種メディアに対応する(何れも図示せず)。ディスクとして例えば光ディスク等が挙げられる。光学ヘッド装置は、各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を再生させる。又、光学ヘッド装置は、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアにデータ、情報、信号、画像等を記録させる。また、データ、情報、信号等の消去が可能な各種光ディスク等の各種メディアに対応して、光学ヘッド装置は、各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を消去させる。メディア(media)とは、例えば、データ、情報、信号などが保存されるディスク等を意味する。
【0024】
また、光学ヘッド装置は、例えば「CD」(Compact Disc)(商標)系列/規格のメディア、「DVD」(登録商標)(Digital Versatile Disc)系列/規格のメディア、「HD DVD」(High Definition DVD)(登録商標)/規格系列のメディア、中国において定められた規格に基づくメディアとされる「CBHD(China Blue High−Definition)」(例えば旧名「CH−DVD」)系列/規格のメディア、「BD」(Blu−ray/Blu−ray Disc)(登録商標)系列/規格のメディアに対応する。光学ヘッド装置は、例えば、上記各種メディアからなる群から選ばれる少なくとも一種のメディアに対応したものとされている。具体的に説明すると、光学ヘッド装置は、上記複数の何れかのメディアに対応したものとされている。
【0025】
メディアとして例えば上記各種光ディスク等が挙げられるが、次の形態をしたメディアも挙げられる。例えば、ディスクとして、ディスク両面に信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク等も挙げられる。また、ディスクとして、例えば二層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク等も挙げられる。また、例えば三層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「HD DVD」用光ディスク等も挙げられる。また、例えば三層または四層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「BD」用光ディスク等も挙げられる。また、例えば光ディスクのレーベル面部の側にレーザ光を照射させてレーベル等の各種書込み等を行うことが可能とされた光ディスク等も挙げられる。光ディスクの信号面部、レーベル面部は、例えば金属薄膜などの薄層等を備えて構成されている。金属薄膜などを備えて構成される信号面部にデータ、情報、信号などが記録され、レーベル面部に画像などが記録される。光ディスクの信号面部は、例えば金属薄層などを備えて構成される信号層として構成されている(何れも図示せず)。このように、各種光ディスクとして各種形態をした複層/多層構造の光ディスクが挙げられる。便宜上、各種形態の光ディスクを光ディスクとして纏めて説明する。
【0026】
この光学部品保護部材10は、基礎部材20に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14を有するものとされている。
【0027】
詳しく説明すると、この光学部品保護部材10は、メディアに対し接触することで光学部品30を保護する保護部11と、メディアに対向する基礎部材20に対し装着される取付部13と、を備えて構成されている。取付部13に、基礎部材20に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14が設けられている。
【0028】
取付強度確保部14は、略丸棒状または略円板状の取付主体部15と、取付主体部15よりも細い括れ部16と、を少なくとも有するものとされている。
【0029】
詳しく説明すると、取付強度確保部14は、略丸棒状または略円板状の取付主体部15と、取付主体部15よりも細径の括れ部16と、取付主体部15と略同径の取付主体離れ部17と、を少なくとも有するものとされている。取付主体部15と取付主体離れ部17との間に括れ部16が設けられている。
【0030】
取付主体離れ部17に、基礎部材20に対する取付強度を確保させる複数の突出部18が設けられている。
【0031】
このように光学部品保護部材10を構成させることにより、基礎部材20に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材10を提供することができる。
【0032】
なお、取付主体離れ部17に続くように延設された括れ部16と略同じ径の端部19は、例えば光学部品保護部材10が射出成形法に基づいて形成されるときの湯口跡部を兼ねた端部19として形成されている。
【0033】
また、この光学ヘッド装置(不図示)は、上記光学部品保護部材10を有するものとされている。
【0034】
上記光学部品保護部材10を構成させて光学ヘッド装置に装備させることにより、基礎部材20に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材10を有する光学ヘッド装置を提供することができる。
【0035】
次に、光学部品保護部材10の取付構造について説明すると、この光学部品保護部材10の取付構造は、基礎部材20と、基礎部材20に装着されメディアに近接する光学部品30と、基礎部材20に装着されメディアに対して接触することで光学部品30を保護する光学部品保護部材10と、を備えて構成されている。光学部品保護部材10に、基礎部材20に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14が設けられている。
【0036】
また、この光学部品保護部材10の取付構造は、基礎部材20と光学部品保護部材10との接合力を向上させる接合部材40を備えて構成されている。
【0037】
取付強度確保部14に、接合部材40が備えられている。
【0038】
接合部材40として、例えば電子線硬化型接合部材40が用いられる。
【0039】
また、接合部材40として、例えば熱硬化性接合部材40が用いられる。
【0040】
また、光学部品保護部材10として、図1及び図2に示す上記光学部品保護部材10が用いられている。
【0041】
このように光学部品保護部材10の取付構造を構成させることにより、基礎部材20に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材10の取付構造を提供することができる。
【0042】
また、この光学ヘッド装置は、図2に示す上記光学部品保護部材10の取付構造を有するものとされている。
【0043】
上記光学部品保護部材10の取付構造を構成させて光学ヘッド装置に装備させることにより、基礎部材20に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材10の取付構造を有する光学ヘッド装置を提供することができる。
【0044】
次に、光学部品保護部材10の取付方法について説明する。先ず、基礎部材20に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14を有する光学部品保護部材10を基礎部材20に装着させる。次に、取付強度確保部14に、基礎部材20と光学部品保護部材10との接合力を向上させる上記接合部材40を備えさせる。その後、接合部材40を硬化させる。
【0045】
このように光学部品保護部材10の取付方法を行うことを提案することで、基礎部材20に対する取付強度を確保可能な光学部品保護部材10の取付方法を提供することができる。
【0046】
光学部品保護部材10の位置決めについては、基礎部材20の取付部23に、複数の突出部18が設けられた取付主体離れ部17を有する光学部品保護部材10の取付部13を軽圧入状態にして仮固定を行う。光学部品保護部材10の取付部13を構成する略丸棒状または略円板状の取付主体部15と、取付主体部15と略同径の取付主体離れ部17と、の間に、取付主体部15および取付主体離れ部17よりも細径の括れ部16が設けられているので、光学部品保護部材10の取付部13の括れ部16に流れ込んだ接合部材40がアンカーとなる。これにより、基礎部材20に対する光学部品保護部材10の接合強度が確保される。このように光学部品保護部材10が構成されていれば、浮き防止用の押さえ部材が不要となり、接合部材40として熱硬化性接合部材40も容易に使用できる。
【0047】
なお、光学部品保護部材10の保護部11におけるメディア側の周縁部11bは、例えば回動しているメディアに不用意に光学部品保護部材10の保護部11が接してもメディアに損傷が加えられることを回避させるために略滑らかな曲面状とされるR形状に形成されているが、回動しているメディアに光学部品保護部材10の保護部11が接したときに光学部品保護部材10の保護部11における側面部11cの剥離を防ぐために例えば略傾斜面状とされるC面取り状に形成されていてもよい。
【0048】
また、光学部品保護部材10が基礎部材20に接合されるときに、光学部品保護部材10の取付部13が備えられた基礎部材20の収容部25に液状の接合部材40が注入され易くされるために、基礎部材20の上面部22に接している光学部品保護部材10の保護部11における下面部11dに、収容部25内の空気を逃し易くさせる複数の空気逃し部12が設けられている。
【0049】
また、光学部品30の上面部31よりも光学部品保護部材10の保護部11の上面部11aのほうが、例えば略0.03mm以上略0.8mm以下、好ましくは略0.07mm以上略0.3mm以下ほど上側に向けて突出されてメディアの基板の下面部に接触されない程度にメディアに近づけられるように高さが高く設定される。これは、例えばメディアに対する光学部品30の焦点方向に略沿った作動距離に配慮したものとされる。
【0050】
例えば「CD」系列のメディアに対する光学部品30の作動距離は、略0.61mmとされている。また、例えば「DVD」系列のメディアに対する光学部品30の作動距離は、略0.84mmとされている。また、例えば「HD DVD」系列のメディアに対する光学部品30の作動距離は、略0.76mmとされている。また、例えば「BD」系列のメディアに対する光学部品30の作動距離は、略0.36mmとされている。
【0051】
このように、光学部品30の上面部31よりも光学部品保護部材10の保護部11の上面部11aのほうが、メディアの基板の下面部に接触されない程度にメディアに近づけられるように高さが高く設定され、光学部品30の上面部31と、光学部品保護部材10の保護部11の上面部11aと、の距離Dは、メディアに対する光学部品30の焦点方向に略沿った作動距離よりも短く設定される。本願における「上」、「下」等の定義は、例えば便宜上の定義とされる。
【0052】
上記光学部品保護部材10およびその取付構造、その取付方法、並びに、それらを有する光学ヘッド装置について、具体的に対物レンズプロテクタ10およびその取付構造、その取付方法、並びに、それらを有する光ピックアップ装置を用いて説明する。
【0053】
この微小な略突出形状をした対物レンズプロテクタ10は、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14を有するものとされている。
【0054】
詳しく説明すると、この微小な略突出形状をした対物レンズプロテクタ10は、略円板状の光ディスクに対し接触することで光ディスクに近接する略凸レンズ状の対物レンズ30を光ディスクに接触させることなく保護する頭部11と、光ディスクに対向する略矩形箱状のレンズホルダ20の略平板状天壁21に対し装着される胴部13と、を備えて構成されている。対物レンズプロテクタ10を構成する胴部13に、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14が設けられている。
【0055】
対物レンズプロテクタ10を構成する取付強度確保部14の胴部13は、略丸棒状または略円板状の基部15と、基部15よりも細い径のアンカー部16と、を少なくとも有するものとされている。
【0056】
詳しく説明すると、対物レンズプロテクタ10を構成する取付強度確保部14の胴部13は、略丸棒状または略円板状の基部15と、基部15よりも細径のアンカー部16と、基部15と略同径の保持部17と、を少なくとも有するものとされている。基部15と保持部17との間に細径のアンカー部16が設けられている。
【0057】
対物レンズプロテクタ10の基部15と略同径の保持部17に、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度をより確保させる少なくとも四つの突起部18が設けられている。
【0058】
このように対物レンズプロテクタ10を構成させることにより、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保可能な対物レンズプロテクタ10を提供することができる。
【0059】
なお、保持部17に続くように対物レンズプロテクタ10の下側に向けて延設されたアンカー部16と略同じ直径の略円板状の先端部19は、例えば対物レンズプロテクタ10が射出成形用金型(不図示)内にて射出成形法に基づいて形成されるときのゲート跡部を兼ねた端部19として形成されている。
【0060】
また、例えば、射出成形が可能な熱可塑性の耐熱性合成重合体/樹脂材料が用いられて、射出成形法に基づき対物レンズプロテクタ10および/または対物レンズ30および/または光ディスク基板が形成される。詳しく説明すると、対物レンズプロテクタ10は、例えば、摺動性、耐摩耗性、低摩擦性、耐疲労性、機械的特性、成形性に優れるポリオキシメチレン(polyoxymethylene)系樹脂を基材とした組成物が用いられて、射出成形法に基づき形成される。ポリオキシメチレン樹脂は、例えばPOMと略称され、一般にポリアセタール樹脂と呼ばれている。
【0061】
ポリアセタール樹脂は、主としてオキシメチレン(−CHO−)からなる繰返し単位を分子内に含む例えば結晶性のエンジニアリングプラスチックスとされる。ポリアセタール樹脂として、単独重合体(ホモポリマー)、共重合体(コポリマー)のものが挙げられる。例えば安定性の高いコポリマーのポリアセタール樹脂の使用が好ましいが、ホモポリマー、コポリマーの何れのポリアセタール樹脂も使用可能とされる。また、例えばポリアセタール樹脂と他の種類の樹脂等とのポリマアロイも使用可能とされる。
【0062】
ポリアセタール樹脂のうち市販のホモポリマーとして、例えば、旭化成ケミカルズ社製:テナック(登録商標)、デュポン社製:デルリン(登録商標)等が挙げられる。また、ポリアセタール樹脂のうち市販のコポリマーとして、例えば、ポリプラスチックス社製:ジュラコン(登録商標)、旭化成ケミカルズ社製:テナック−C等が挙げられる。
【0063】
対物レンズプロテクタ10は、例えば、対物レンズ30および/または光ディスク基板と略同じ硬度の材質、又は、対物レンズ30および/または光ディスク基板の硬度よりも小さい硬度/軟らかい材質が用いられて形成されることが好ましいが、この限りとされない。
【0064】
例えば対物レンズプロテクタ10は、「ASTM D785」に基づく試験法または「JIS K7202(−2)」に基づく試験法にて、ロックウェル硬度が略M50以上略R130以下の合成樹脂製成形体として形成されることが好ましい。ロックウェル硬度を示す数値の前に記載された「M」または「R」は、ロックウェル硬度におけるスケールを示し、ここでは、「M−スケール」、「R−スケール」による硬度を示す。
【0065】
例えば前記試験法によるロックウェル硬度が略M50よりも軟らかい合成樹脂製対物レンズプロテクタ10が用いられた場合、例えば対物レンズプロテクタ10に光ディスクの基板が回動接触したときに対物レンズプロテクタ10の頭部11の損傷度が大きくなり、また、対物レンズプロテクタ10の頭部11の早期磨滅が懸念される。また、例えば前記試験法によるロックウェル硬度が略R130よりも硬い合成樹脂製対物レンズプロテクタ10が用いられた場合、例えば対物レンズプロテクタ10に光ディスクの基板が回動接触したときに光ディスクの基板の損傷等が懸念される。
【0066】
対物レンズプロテクタ10を形成する材料として、適度な硬度とされる上記ポリアセタール樹脂が用いられた。詳しく説明すると、対物レンズプロテクタ10を形成する材料として、前記試験法によるロックウェル硬度が例えば略M78以上略R120以下とされると共に摺動性、成形性等に優れる上記ポリアセタール樹脂が用いられた。例えばホモポリマーのポリアセタール樹脂の硬度は、前記試験法によるロックウェル硬度にて略M92以上略R120以下とされる。また、例えばコポリマーのポリアセタール樹脂の硬度は、前記試験法によるロックウェル硬度にて略M78以上略M90以下とされる。
【0067】
また、例えば射出成形が可能な熱可塑性の耐熱性合成重合体として、ポリアミド系エラストマ等のエラストマ、弾性体、ポリアミド系樹脂等が用いられて、対物レンズプロテクタ10が形成されてもよい。
【0068】
また、例えば、射出成形が可能であって透明または半透明をした熱可塑性の耐熱性合成重合体/樹脂材料が用いられて、射出成形法に基づき対物レンズプロテクタ10および/または対物レンズ30および/または光ディスク基板が形成される。詳しく説明すると、対物レンズプロテクタ10および/または対物レンズ30および/または光ディスク基板は、例えば、耐候性、鏡面平滑性、精度などに優れ、透明度の高いアクリル/メタクリル系樹脂を基材とした組成物が用いられて、射出成形法に基づき形成される。メタクリル樹脂の正式名称は、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)であり、ポリメチルメタクリレートは例えばPMMAと略称される。また、メタクリル樹脂は、アクリル樹脂と呼ばれることもある。また、対物レンズプロテクタ10および/または対物レンズ30および/または光ディスク基板は、例えば、加工性などに優れ、価格低減化が図られるポリカーボネート(PC:polycarbonate)系樹脂を基材とした組成物が用いられて形成される。対物レンズプロテクタ10は、例えば、対物レンズ30および/または光ディスク基板と略同じ材質が用いられて形成されてもよい。
【0069】
また、この小型/薄肉構造の光ピックアップ装置は、上記対物レンズ30と、上記対物レンズプロテクタ10と、を有するものとされている。
【0070】
微小な略リベット状の上記対物レンズプロテクタ10を構成させて小型/薄肉構造の光ピックアップ装置に装備させることにより、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保可能な微小略リベット状の対物レンズプロテクタ10を有すると共に、レンズホルダ20に装備された対物レンズ30を有する小型/薄肉構造の光ピックアップ装置を提供することができる。
【0071】
次に、対物レンズプロテクタ10の取付構造について説明すると、この対物レンズプロテクタ10の取付構造は、略矩形箱状のレンズホルダ20の略平板状天壁21と、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に装着され略円板状の光ディスクに接触することなく近接対向する略凸レンズ状の対物レンズ30と、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に装着され光ディスクに対して接触することで光ディスクに近接対向する対物レンズ30を光ディスクに接触させることなく保護する微小な略リベット状の対物レンズプロテクタ10と、を備えて構成されている。微小な略リベット状をした対物レンズプロテクタ10の胴部13に、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14が設けられている。
【0072】
また、この対物レンズプロテクタ10の取付構造は、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21と微小な略リベット状の対物レンズプロテクタ10との接着力を向上させる接着剤40を備えて構成されている。
【0073】
微小な略リベット状をした対物レンズプロテクタ10の取付強度確保部14を含むその周辺に、接着剤40が塗布されて備えられることで、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に、微小な略リベット状の対物レンズプロテクタ10の胴部13が固着されている。
【0074】
接着剤40として、例えば紫外線硬化型接着剤40が用いられる。
【0075】
また、接着剤40として、例えば熱硬化性接着剤40が用いられる。
【0076】
また、対物レンズプロテクタ10として、図1及び図2に示す微小な略リベット状の上記対物レンズプロテクタ10が用いられている。
【0077】
このように対物レンズプロテクタ10の取付構造を構成させることにより、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保可能な微小略リベット状の対物レンズプロテクタ10の取付構造を提供することができる。
【0078】
また、この小型/薄肉構造の光ピックアップ装置は、図2に示す微小な略リベット状の上記対物レンズプロテクタ10を備えた対物レンズプロテクタ10の取付構造を有するものとされている。
【0079】
微小な略リベット状の上記対物レンズプロテクタ10を備えた対物レンズプロテクタ10の取付構造を構成させて小型/薄肉構造の光ピックアップ装置に装備させることにより、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保可能な微小略リベット状の対物レンズプロテクタ10を備えた対物レンズプロテクタ10の取付構造を有する小型/薄肉構造の光ピックアップ装置を提供することができる。
【0080】
次に、微小な略リベット状をした対物レンズプロテクタ10の取付方法について説明する。先ず、略矩形箱状のレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保させる取付強度確保部14を有する微小な略リベット状の対物レンズプロテクタ10を、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に装着させる。次に、略矩形箱状のレンズホルダ20の略平板状天壁21に装着された微小な略リベット状対物レンズプロテクタ10の取付強度確保部14を含むその周辺に、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21と微小な略リベット状対物レンズプロテクタ10との接着力を向上させる上記接着剤40を塗布させて備えさせる。その後、接着剤40を電子線硬化および/または熱硬化させる。
【0081】
このように微小な略リベット状をした対物レンズプロテクタ10の取付方法を行うことを提案することで、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の略平板状天壁21に対する取付強度を確保可能な微小略リベット状の対物レンズプロテクタ10の取付方法を提供することができる。
【0082】
微小な略リベット状対物レンズプロテクタ10の位置決めについては、レンズホルダ20を構成する略平板状天壁21の取付孔23に、少なくとも四つの突起部18が設けられた保持部17を有する対物レンズプロテクタ10の胴部13を軽圧入状態に挿入して仮固定を行う。
【0083】
微小な略リベット状対物レンズプロテクタ10の胴部13を構成する略丸棒状または略円板状の基部15と、基部15と略同径の保持部17と、の間に、基部15および保持部17よりも細径のアンカー部16が設けられているので、微小な略リベット状対物レンズプロテクタ10の胴部13のアンカー部16に流れ込んで固められた接着剤40がアンカーとしての役割を果たす。これにより、レンズホルダ20に対する対物レンズプロテクタ10の接着強度が確保される。
【0084】
このように微小な略リベット状をした対物レンズプロテクタ10が構成されていれば、浮き防止用の押さえ部材が不要となり、接着剤40として熱硬化性接着剤40も容易に使用できる。
【0085】
接着剤として、例えば一液性接着剤、二液性接着剤などが挙げられる。例えば一液性および/または二液性接着剤を構成する重合体/主剤として、エポキシ系重合体、変性アクリル系重合体、ポリウレタン系重合体、アクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される重合体のうちの少なくとも一種の重合体が用いられる。また、例えば硬化されたのちの一液性および/または二液性接着剤を構成する樹脂は、エポキシ系樹脂、変性アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂からなる群から選択される樹脂のうちの少なくとも一種の樹脂とされる。また、例えば二液性接着剤を構成する硬化剤として、ポリチオール、ポリアミドアミン、変性ポリアミン、三級アミンからなる群から選択される重合体のうちの少なくとも一種の重合体が用いられる。
【0086】
また、例えば二液性の紫外線硬化型接着剤が用いられて接着工程が行われたものも使用可能とされる。二液性の紫外線硬化型接着剤として、例えば二液性エポキシ系の紫外線硬化型接着剤などが挙げられる。アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤などの重合体系接着剤が用いられることにより、例えば高い振動成分等が吸収される。
【0087】
具体的なエポキシ系接着剤として、例えば、スイス国ハンツマン(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ)社製/ハンツマン・ジャパン社販売:アラルダイト(登録商標)2010−1、2012等が挙げられる。アラルダイト(登録商標)2010−1は、23℃の温度条件下における粘度が略80000mPas(ミリパスカル秒)とされ、速硬化性に優れる。また、例えばアラルダイト(登録商標)2012は、主剤AW2104と、硬化剤HW2934と、を有する二液性の接着剤とされ、また、23℃の温度条件下における粘度が略25000〜35000mPasとされ、汎用性、速硬化性に優れる。
【0088】
また、具体的なポリウレタン系接着剤として、例えば、スイス国ハンツマン(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ)社製/ハンツマン・ジャパン社販売:アラルダイト(登録商標)2055等が挙げられる。アラルダイト(登録商標)2055は、例えばチクソ性(thixotropy)のものとされ、また、例えば引張りせん断強さが略9000mPasとされ、例えば隙間充填性などに優れる。チクソ性とは、例えば溶液状態から固体化する際に一部が固体化する固体液体共存状態において、撹拌されると見掛けの粘度が低下する現象を意味する。
【0089】
また、具体的な変性アクリル系接着剤として、例えば、スイス国ハンツマン(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ)社製/ハンツマン・ジャパン社販売:アラルダイト(登録商標)2021等が挙げられる。例えばアラルダイト(登録商標)2021は、主剤XD4661Aと、硬化剤XD4661Dと、を有する二液性の接着剤とされ、また、23℃の温度条件下における粘度が約60000mPasとされ、最低硬化時間が略18分と短く他のアラルダイト(登録商標)よりも速硬化性に優れる。
【0090】
また、接着剤として、例えば、スリーボンド社製:嫌気性強力封着剤などの嫌気性接着剤が挙げられる。嫌気性接着剤は、例えば空気に触れている間は硬化せず、空気を遮断することで硬化する接着剤とされている。また、スリーボンド社製:嫌気性強力封着剤は、紫外線硬化特性などの電子線硬化特性も併せて備えているので、例えば、はみ出された嫌気性接着剤に紫外線などの電子線を照射させることにより、はみ出された嫌気性接着剤が硬化する。嫌気性接着剤を構成する主成分として、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸エステルモノマー等が挙げられる。
【0091】
嫌気性接着剤とされるスリーボンド社製の1300シリーズのものとして、例えば、スリーボンド(登録商標)1359D、スリーボンド(登録商標)1373N等が挙げられる。スリーボンド(登録商標)1359Dは、硬化前の主成分が(メタ)アクリル酸エステルとされ、例えば室温時における粘度が略14000mPasであって速硬性とされ、紫外線硬化特性などの電子線硬化特性も有し、硬化されたのちにはポリアクリル樹脂となって、耐振動性、耐熱性、可とう性、面接着性などに優れる。また、スリーボンド(登録商標)1373Nは、硬化前の主成分がメタクリル酸エステルとされ、例えば室温時における粘度が略90mPasであって速硬性とされ、紫外線硬化特性などの電子線硬化特性も有し、硬化されたのちにはメタクリル樹脂となって、耐振動性、耐熱性、低温硬化性などに優れる。
【0092】
また、接着剤として、例えば、スリーボンド社製:瞬間接着剤(ゴールドラベルシリーズ)が挙げられる。瞬間接着剤は、数秒から数十秒という「秒速」で被着材同士を固定させる接着剤とされている。瞬間接着剤とされるスリーボンド社製の7700シリーズのものとして、例えば、スリーボンド(登録商標)7741等が挙げられる。スリーボンド(登録商標)7741は、主成分が2−シアノアクリル酸エチルとされ、例えば室温時における粘度が略2mPasであって瞬間接着性に優れる。
【0093】
また、電子線硬化型接着剤の一種とされる紫外線硬化型接着剤として、例えば、米国NORLAND社製:光学UV接着剤NOA65,NOA68,NOA73,NOA83H等が挙げられる。光学UV接着剤NOA65,NOA68,NOA73,NOA83H等の紫外線硬化型接着剤は、アクリル系のものとされ、一液性の紫外線硬化型接着剤とされている。アクリル系の紫外線硬化型接着剤は、硬化時間が短く数秒単位で硬化可能なものとされている。「UV」とは、「ultraviolet」を意味する。また、「ultraviolet radiation」は、「紫外線」を意味する。紫外線硬化型接着剤は、UV硬化型接着剤などと呼ばれている。
【0094】
NORLAND社製:NOA65は、例えば室温時における粘度が略1000〜1200cps(シーピーエス/centipoise)とされ、柔軟性があり例えば精巧な部分に接着させることが可能とされる。なお、1cpsは、1mPasとされる。また、NORLAND社製:NOA68は、例えば室温時における粘度が略5000cpsとされ、柔軟性があり例えば精巧な部分に接着させることが可能とされる。また、NORLAND社製:NOA73は、例えば室温時における粘度が略130cpsとされ、柔軟性があり低粘度で例えば精巧な部分に薄く接着させることが可能とされている。また、NORLAND社製:NOA83Hは、例えば室温時における粘度が略250cpsとされ、UV特性に加えて熱硬化特性も併せ持ち、例えば光が直接届かない部分への接着も可能とされている。
【0095】
また、電子線硬化型接着剤の一種とされる紫外線硬化型接着剤として、例えば、米国EMI社製:商品名「OPTOCAST」シリーズのもの等が挙げられる。具体的な紫外線硬化型接着剤としては、米国EMI社製:OPTOCAST3415,OPTOCAST3505−HM等が挙げられる。OPTOCAST3415,OPTOCAST3505−HM等の紫外線硬化型接着剤は、エポキシ系のものとされ、一液性の紫外線硬化型接着剤とされている。エポキシ系の紫外線硬化型接着剤は、低収縮性で高耐熱性のものとされ、耐薬品性、耐湿性に優れるものとされている。一液性の紫外線硬化型接着剤が用いられることにより、二液性の紫外線硬化型接着剤が使用されるときに行われる液と液との混合作業が不要となる。従って、接着剤の塗布工程は、迅速で効率的に行われる。
【0096】
EMI社製:OPTOCAST3415は、例えば室温時における粘度が略100000cpsとされ、UV照射に加えて加熱されることで確実に硬化される。また、EMI社製:OPTOCAST3505−HMは、例えば室温時における粘度が略300〜500cpsとされ、UV照射に加えて加熱されることで確実に硬化される。
【0097】
また、接着工程が行われるときの接着剤の粘度は、例えば室温時の条件下、具体的には23℃の温度条件下において、例えば略2mPas以上略180000mPas以下とされる。
【0098】
室温時の条件下、具体的には23℃の温度条件下における接着剤の粘度が略180000mPasを超える高粘度とされた場合、対物レンズプロテクタ10が備えられたレンズホルダ20を構成する天壁21の取付孔23の収容室25内に接着剤が略均一に行渡らないことが懸念される。
【0099】
このようなことから、接着工程が行われるときの接着剤の粘度は、室温時の条件下、具体的には23℃の温度条件下において、例えば略60000mPas以下とされることが好ましい。より好ましくは、接着工程が行われるときに、室温時の条件下、具体的には23℃の温度条件下における接着剤の粘度が例えば略14000mPas以下とされることにより、対物レンズプロテクタ10が備えられたレンズホルダ20を構成する天壁21の取付孔23の収容室25内に接着剤が確実に広げられる。
【0100】
また、室温時の条件下、具体的には23℃の温度条件下における接着剤の粘度が略2mPas未満の低粘度とされた場合、対物レンズプロテクタ10が備えられたレンズホルダ20を構成する天壁21の取付孔23の収容室25内から例えば接着剤の垂れ落ち発生等が懸念される。
【0101】
好ましくは、接着工程が行われるときに、室温時の条件下、具体的には23℃の温度条件下における接着剤の粘度が例えば略250mPas以上とされることにより、例えば接着剤の垂れ落ち等が生じ難くなり、対物レンズプロテクタ10が備えられたレンズホルダ20を構成する天壁21の取付孔23の収容室25内に接着剤が広く確実に留まる。
【0102】
より好ましくは、接着工程が行われるときに、室温時の条件下、具体的には23℃の温度条件下における接着剤の粘度が例えば略1000mPas以上とされることにより、例えば接着剤の垂れ落ち発生等が防止され易くなり、対物レンズプロテクタ10が備えられたレンズホルダ20を構成する天壁21の取付孔23の収容室25内に接着剤がより確実に留まる。
【0103】
なお、対物レンズプロテクタ10の略円板状頭部11における光ディスクの基板側の上側周縁部11bは、例えば高速回動している光ディスクの基板に不用意に対物レンズプロテクタ10の頭部11が接触しても光ディスクに甚だしい損傷が加えられることを回避させるために略滑らかな曲面状とされるR形状に形成されているが、高速回動している光ディスクの基板に対物レンズプロテクタ10の頭部11が接触したときに対物レンズプロテクタ10の略円板状頭部11における側面部11cの剥離を防ぐことを目的として、対物レンズプロテクタ10の頭部11の上面部11aまたは側面部11cに対して略45度の角度の略傾斜面状とされるC面取り状に形成されていてもよい。
【0104】
また、対物レンズプロテクタ10がレンズホルダ20に接着固定されるときに、対物レンズプロテクタ10の胴部13が備えられたレンズホルダ20の収容室25に液状の接着剤40が注入され易くされるために、レンズホルダ20の上面部22に例えば略密着するように接している対物レンズプロテクタ10の頭部11における下面部11dに、収容室25内の空気を逃し易くさせる一対の空気抜き用の溝部12が穿設されている。
【0105】
また、対物レンズ30の上面部31よりも対物レンズプロテクタ10の頭部11の上面部11aのほうが、例えば略0.05mm以上略0.3mm以下、好ましくは略0.1mm以上略0.2mm以下ほど上側に向けて突出されて光ディスクの透明基板の下面部に接触されない程度に光ディスクの下面部に近づけられるように高さが高く設定される。これは、例えば光ディスクに対する対物レンズ30のフォーカス方向に略沿った作動距離いわゆるワーキングディスタンス(WD:working distance)に配慮したものとされる。
【0106】
例えば「CD」系列の光ディスクに対する対物レンズ30のワーキングディスタンスは、略0.61mmとされている。また、例えば「DVD」系列の光ディスクに対する対物レンズ30のワーキングディスタンスは、略0.84mmとされている。また、例えば「HD DVD」系列の光ディスクに対する対物レンズ30のワーキングディスタンスは、略0.76mmとされている。また、例えば「BD」系列の光ディスクに対する対物レンズ30のワーキングディスタンスは、略0.36mmとされている。
【0107】
このように、対物レンズ30の上面部31よりも対物レンズプロテクタ10の頭部11の上面部11aのほうが、光ディスクの透明基板の下面部に接触されない程度に光ディスクの下面部に近づけられるように高さが高く設定され、対物レンズ30の上面部31と、対物レンズプロテクタ10の頭部11の上面部11aと、の差の距離Dは、例えば「CD」系列または「DVD」系列の光ディスクに対する対物レンズ30のフォーカス方向に略沿ったワーキングディスタンスよりも短く設定され、好ましくは「BD」系列の光ディスクに対する対物レンズ30のフォーカス方向に略沿ったワーキングディスタンスよりも短く設定される。
【0108】
上記光学ヘッド装置、並びに上記光学ヘッド装置を備える光ディスク装置は、上記各種光ディスクにデータ/情報/信号等を記録させたり、上記各種光ディスクのデータ/情報/信号等を再生させたりする記録・再生装置に使用可能とされる。具体的に説明すると、上記光学ヘッド装置、並びに上記光学ヘッド装置を備える光ディスク装置は、上記各種光ディスクにデータ/情報/信号等を記録させたり、上記各種光ディスクのデータ/情報/信号等を再生させたり、上記各種光ディスクのデータ/情報/信号等を消去させたりする記録・再生・消去可能装置に使用可能とされる。また、上記光学ヘッド装置、並びに上記光学ヘッド装置を備える光ディスク装置は、上記各種光ディスクのデータ/情報/信号等を再生させる再生専用装置にも使用可能とされる。
【0109】
また、上記光学ヘッド装置は、例えば、コンピュータ、音響/映像機器、ゲーム機、車載機(何れも図示せず)などに組み付けられる光ディスク装置に装備される。また、上記光学ヘッド装置、並びに上記光学ヘッド装置を備える光ディスク装置は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)、ラップトップ型PC、デスクトップ型PC、車載用コンピュータなどのコンピュータ、コンピュータゲーム機などのゲーム機、CDプレーヤ/CDレコーダ、DVDプレーヤ/DVDレコーダ、BDプレーヤ/BDレコーダなどの音響および/または映像機器などに装備可能とされている(何れも図示せず)。又、上記光学ヘッド装置は、「CD」系光ディスク、「DVD」系光ディスク、「HD DVD」系光ディスク、「CBHD」系光ディスク、「BD」系光ディスク等の複数のディスクに対応可能なものとされる。また、上記光学ヘッド装置は、複数層の信号面部を有する一枚の光ディスクに対応可能なものとされている。上記光学ヘッド装置は、例えば、「CD」、「DVD」、「HD DVD」、「CBHD」、「BD」などの各種光ディスクに対応したコンピュータ、音響および/または映像機器、ゲーム機、車載機などに装備可能とされている(何れも図示せず)。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、その等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0111】
10 レンズプロテクタ(光学部品保護部材)
11 頭部(保護部)
11a 上面部
11b 上側周縁部(周縁部)
11c 側面部
11d 下面部
12 溝部(逃し部)
13 胴部(取付部)
14 取付強度確保部
15 基部(取付主体部)
16 アンカー部(括れ部)
17 保持部(取付主体離れ部)
18 突起部(突出部)
19 先端部(端部)
20 ホルダ(基礎部材)
21 天壁
22 上面部
23 取付孔(取付部)
25 収容室(収容部)
30 レンズ(光学部品)
31 上面部
40 接着剤(接合部材)
D 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部を有する
ことを特徴とする光学部品保護部材。
【請求項2】
メディアに対し接触することで光学部品を保護する保護部と、
前記メディアに対向する基礎部材に対し装着される取付部と、
を備え、
前記取付部に、前記基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部が設けられた
ことを特徴とする光学部品保護部材。
【請求項3】
前記取付強度確保部は、略丸棒状または略円板状の取付主体部と、
前記取付主体部よりも細い括れ部と、
を少なくとも有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部品保護部材。
【請求項4】
前記取付強度確保部は、略丸棒状または略円板状の取付主体部と、
前記取付主体部よりも細径の括れ部と、
前記取付主体部と略同径の取付主体離れ部と、
を少なくとも有し、
前記取付主体部と前記取付主体離れ部との間に前記括れ部が設けられた
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光学部品保護部材。
【請求項5】
前記取付主体離れ部に、前記基礎部材に対する前記取付強度を確保させる突出部が設けられた
ことを特徴とする請求項4に記載の光学部品保護部材。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の光学部品保護部材を有する
ことを特徴とするヘッド装置。
【請求項7】
基礎部材と、
前記基礎部材に装着されメディアに近接する光学部品と、
前記基礎部材に装着され前記メディアに対して接触することで前記光学部品を保護する光学部品保護部材と、
を備え、
前記光学部品保護部材に、前記基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部が設けられた
ことを特徴とする光学部品保護部材の取付構造。
【請求項8】
前記基礎部材と前記光学部品保護部材との接合力を向上させる接合部材を備える
ことを特徴とする請求項7に記載の光学部品保護部材の取付構造。
【請求項9】
前記取付強度確保部に、前記接合部材が備えられた
ことを特徴とする請求項8に記載の光学部品保護部材の取付構造。
【請求項10】
前記接合部材として、電子線硬化型接合部材が用いられた
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の光学部品保護部材の取付構造。
【請求項11】
前記接合部材として、熱硬化性接合部材が用いられた
ことを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の光学部品保護部材の取付構造。
【請求項12】
前記光学部品保護部材として、請求項1〜5の何れか1項に記載の光学部品保護部材が用いられた
ことを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載の光学部品保護部材の取付構造。
【請求項13】
請求項7〜12の何れか1項に記載の光学部品保護部材の取付構造を有する
ことを特徴とするヘッド装置。
【請求項14】
基礎部材に対する取付強度を確保させる取付強度確保部を有する光学部品保護部材を前記基礎部材に装着させ、
次に、前記取付強度確保部に前記基礎部材と前記光学部品保護部材との接合力を向上させる接合部材を備えさせ、
その後、前記接合部材を硬化させる
ことを特徴とする光学部品保護部材の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−69233(P2012−69233A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182053(P2011−182053)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】