説明

光学部材用の粘接着剤組成物、粘接着剤層、粘接着剤層が設けられた光学部材、光学部材付画像表示装置、および画像表示装置の製造方法

【課題】良好な加工性と取り扱い容易性を維持しつつ、長期の過酷条件下でも耐久性に優れ、且つ光学部材の変形を抑制することができる粘接着剤層を提供し得る粘接着剤組成物、粘接着剤層付光学部材、そのような粘接着剤層を活性エネルギー線照射して有する画像表示装置を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部;光重合開始剤0.05〜10重量部または熱硬化触媒0.05〜10重量部; およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物を調製する。このような組成物を用いて、粘接着剤層付光学部材を調製する。このような粘接着剤層に、活性エネルギー線を照射してまたは熱処理して、硬化粘接着剤層を形成し、このような硬化粘接着剤層を含む画像表示装置を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材用の粘接着剤組成物、粘接着剤層、粘接着剤層が設けられた光学部材、そのような光学部材付画像表示装置、および画像表示装置の製造方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いる光学部材、例えば偏光板や位相差板などは、液晶セルに粘着剤を用いて貼り付けられる。このような光学材料は、熱や湿度下条件では伸縮が大きく、それに伴う浮きや剥がれが生じやすい。そのため、光学部材用粘着剤には、加熱条件下や加湿条件下においても対応できる耐久性が要求される。
【0003】
また、液晶セルに貼り付ける場合には、光学部材に粘着剤が貼り合わされた状態で、打ち抜き加工や、スリット加工のような各種加工処理がなされる。このような時に、粘着剤が切断刃に取られたり、切断面からはみ出したりする恐れがある為に、エージング処理する必要があり、生産性を著しく阻害していた。つまり、粘着剤付き光学部材が製造された後、このような加工処理が速やかにできることは生産性の面で有利である。
【0004】
このような光学用粘着剤としては、各種の組成の粘着剤が提案されており、各種の光学部材や液晶パネル、各種の光源や拡散板などを貼り合わせる際に、その透明性や耐候性が良好なことから、アクリル系粘着剤が使用されている。
【0005】
重量平均分子量100〜250万の高分子量アクリル系ポリマー 100重量部に対して、ガラス転移温度が0〜−80℃である重量平均分子量3〜10万の低分子量アクリル系ポリマーを10〜100重量部、及び多官能性化合物を0.001〜10重量部含有する粘着剤組成物が提案されている(特許文献1)。ガラス転移温度が高い成分を添加して、耐久性を向上させた粘着剤組成物は、剥がれ、発泡及び白ヌケ現象の発生を防止でき、且つリワーク性に優れることが記載されている。しかし、提案された内容でも、耐久性、リワーク性が不十分であり、特に大型化した液晶セルの場合には、リワーク性が不十分なためギャップ破損が起こりやすくなる。
【0006】
ガラス転移温度のピークが2つ以上あり、両者のガラス転移温度差が70℃以上であり、高温側のガラス転移温度が50℃以上であるグラフトやブロック体の粘着剤が開示されており、耐久性に優れるとともに切断性にも優れるとされている(特許文献2)。ポリジメチルシロキサンがグラフトされたアクリル粘着剤の提案もされており、剥離時の糊残り性が良好で耐久性も優れるとされている(特許文献3)。しかしながら、初期接着性が悪化する、導入量に限度があるなどの問題がある。また、グラフト重合する場合には、グラフト鎖の末端に、アクリロイル基やメタクリロイル基を有するいわゆるマクロモノマーを共重合する手法を用いているために、ポリマー合成時の自由度も少ないという問題もあった。
【0007】
さらに、液状の接着剤で光学部材を画像表示装置に貼り付けることで、厚みの均一性や接着剤のはみ出し、位置ずれや硬化収縮などの問題が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−121521号公報
【特許文献2】特開平7−82542号公報
【特許文献3】特開平10−168407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、長期の過酷条件下でも耐久性に優れかつ光学部材の変形を抑えることが可能な光学部材用粘接着剤組成物、それを用いた光学部材用粘接着剤層を提供することを目的とする。
【0010】
本発明はまた、そのような粘接着剤層が設けられた光学部材、そのような光学部材付画像表示装置、および画像表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記粘接着剤層を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部;光重合開始剤0.05〜10重量部または熱硬化触媒0.05〜10重量部;およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物に関する。
【0013】
このような粘接着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部;光重合開始剤0.05〜10重量部;増感剤0.05〜5重量部;およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有していてもよい。
【0014】
上記グラフトポリマーは、上記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、前記環状エーテル基含有モノマー2〜100重量部を、過酸化物0.01〜2重量部の存在下にてグラフト重合させることにより得られ得る。
【0015】
上記光重合開始剤は、光分解によりプロトンを発生する、光カチオン開始剤であり得る。
【0016】
本発明はまた、上記いずれかに記載の粘接着剤組成物から得られる粘接着剤層に関する。
【0017】
本発明はまた、支持体の少なくとも片側に、上記粘接着剤層が形成されている粘接着剤層付光学部材に関する。
【0018】
本発明はまた、上記粘接着剤層に活性エネルギー線を照射または加熱処理して得られる、硬化粘接着剤層、に関する。
【0019】
上記硬化粘接着剤層のゲル分率は、75〜97重量%であり得る。
【0020】
上記硬化粘接着剤層のゲル分率は、活性エネルギー線照射前もしくは加熱処理前の粘接着剤層のゲル分率と比較して、10重量%以上高いことが好ましい。
【0021】
本発明はまた、上記いずれかの硬化粘接着剤層を有する画像表示装置に関する。
【0022】
本発明はまた、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部、光重合開始剤0.05〜10重量部、およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物を、光学部材の少なくとも片面に塗布する工程;
該塗布された粘接着剤組成物の層に、活性エネルギー線を照射する工程;および
得られた硬化粘着剤層を画像表示装置に貼り付ける工程;
を含む、画像表示装置の製造方法、に関する。
【0023】
本発明はまた、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部、光重合開始剤0.05〜10重量部、増感剤0.05〜5重量部、およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物を、光学部材の少なくとも片面に塗布する工程;
得られた硬化粘接着剤層を画像表示装置に貼り付ける工程;および
該光学部材側から、活性エネルギー線を照射する工程;
を含む、画像表示装置の製造方法に関する。
【0024】
上記画像表示装置の製造方法において、粘接着剤層を画像表示装置に貼り付けることが、活性エネルギー線照射後1秒〜60分の時間内に行われ得る。
【0025】
本発明はまた、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部、熱硬化触媒0.05〜10重量部、およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物を、支持体上に塗布し、さらに加熱処理した後に、光学部材の少なくとも片面に塗布する工程;および
得られた硬化粘接着剤層を画像表示装置に貼り付ける工程、
を含む、画像表示装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の粘接着剤組成物およびそれから得られる粘接着剤層は、良好な加工性と取り扱い容易性を維持しつつ、長期の過酷条件下でも耐久性に優れる。さらに、このような粘接着剤層を用いた光学部材は、変形しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、ベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマー存在下で、環状エーテル基を有するモノマーをグラフトした変性アクリル系ポリマー組成物100重量部と、光重合開始剤または熱硬化触媒0.05重量部以上、イソシアネート系架橋剤0.01重量部以上を配合してなる光学部材用粘着剤組成物が、イソシアネート系架橋剤により、架橋することで加工性やハンドリング性を維持することを見出した。このような組成物から得られる粘接着剤層に放射線を照射し、画像表示装置へ貼り合せた後にエポキシ基の硬化反応が完了することで、長期の過酷条件下でも耐久性に優れ且つ光学部材の変形を抑えこむことが可能であることを見出し、このような構成の硬化粘接着剤層とすることとした。
【0028】
(メタ)アクリル系ポリマーに含まれるモノマー単位としては、いずれの(メタ)アクリレートでも用いることができ、特に限定はされない。ここで、好ましくは、例えば炭素数2以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを(メタ)アクリル系ポリマー全体の50重量%以上含有することが好ましい。
【0029】
本明細書で、単に、「アルキル(メタ)アクリレート」と言うときは、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを指す。前記アルキル基の炭素数は2以上であることが好ましく、より好ましくは、炭素数2〜14である。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0030】
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどがあげられる。なかでも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどを例示でき、これらは単独または組み合わせて使用できる。
【0031】
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーの全モノマー成分に対して、50重量%以上であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。また、アルキル(メタ)アクリレートは、99.8重量%以下であることが好ましく、98重量%以下あるいは97重量%以下でもよい。
【0032】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーには、アルキル基中に少なくとも1個の水酸基を含む水酸基含有モノマーが含まれていることが好ましい。すなわち、このモノマーは、水酸基1個以上のヒドロキシアルキル基を含むヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーである。ここで、水酸基は、アルキル基の末端に存在することが好ましい。アルキル基の炭素数は、好ましくは4〜12であり、より好ましくは4〜8であり、さらに好ましくは4〜6である。このようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが含まれることによって、グラフト重合の際の水素引き抜きが起こる位置やグラフトポリマーとグラフト重合の際に生成する環状エーテル基含有モノマーのホモポリマーとの相溶性に好ましい影響があり、耐熱性が良好なグラフトポリマーを調製するのに役立つと考えられる。
【0033】
このようなモノマーとして、(メタ)アクリロイル基の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ水酸基を有するモノマーを特に制限なく用いることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等などのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらのうち、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
水酸基含有モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、含まれる場合には、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
【0034】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、他のモノマーを単独でまたは組み合わせて用いることもできる。
【0035】
例えば、前記モノマーの他に不飽和カルボン酸含有モノマーを用いることもできる。 不飽和カルボン酸含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するモノマーを特に制限なく用いることができる。不飽和カルボン酸含有モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等があげられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。これらのなかで、(メタ)アクリル酸、特にアクリル酸を用いることが好ましい。
【0036】
不飽和カルボン酸含有モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、0.1〜20重量%の割合で用いることが好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%、さらに好ましくは、0.5〜7重量%である。この範囲内であれば、接着性が良好で、粘度が適度な組成物を得ることができる。
【0037】
共重合体用モノマーの他の例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;などが例示される。
【0038】
また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテルモノマーなども使用することができる。
【0039】
さらに、アミノ基またはイミド基もしくはアミド基を有するモノマーを使用することもできる。このようなモノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミドなどが挙げられる。これら窒素を含有したモノマーは0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%含まれる。窒素を含有するモノマーをこの範囲で用いることで、高湿度化において剥がれが生じにくく、接着性も良好となる。
【0040】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は60万以上であることが好ましく、より好ましくは70万以上300万以下である。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0041】
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択して行うことができる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもいずれでもよい。
【0042】
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
【0043】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0044】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
【0046】
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて、前記重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマーを製造するには、重合開始剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.06〜0.3重量部程度とするのが好ましく、さらには0.08〜0.2重量部程度とするのが好ましい。
【0047】
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
【0048】
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0049】
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(ADEKA社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
【0050】
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、250K以下、好ましくは240K以下である。ガラス転移温度はまた、200K以上であることが好ましい。ガラス転移温度が、250K以下であれば、耐熱性が良好でかつ、内部凝集力に優れた粘接着組成物となる。このような(メタ)アクリル系ポリマーは、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより調整することができる。また、このようなガラス転移温度は、例えば溶液重合で、アゾビスイソビチロニトリルやベンゾイルパーオキサイドなどの重合開始剤を0.06〜0.3重量部使用し、酢酸エチルなどの重合溶媒を使用して、窒素気流下50℃〜70℃で8〜30時間反応させることにより得られる。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、下記のフォックス式から算出して求められる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・
上記Tg1、Tg2、Tg3等は、共重合成分それぞれ単独の重合体1、2、3等のガラス転移温度を絶対温度で表したものであり、W1、W2、W3等は、それぞれの共重合成分の重量分率である。なお、単独の重合体のガラス転移温度(Tg)は、Polymer Handbook (4th edition, John Wiley & Sons. Inc.)から得た。
【0051】
次に、このようにして得られた(メタ)アクリル系ポリマーをそのまま、あるいは、希釈剤を加えて希釈した溶液を、グラフト重合に供する。
【0052】
希釈剤としては、特に限定はされないが、酢酸エチルまたはトルエンなどが例示される。
【0053】
グラフト重合は、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーおよび任意に環状エーテル基含有モノマーとその他のモノマーを反応させて行う。
【0054】
ここで、環状エーテル基含有モノマーは、特に限定はされないが、エポキシ基含有モノマーあるいはオキセタン基含有モノマーまたはその両方の組合せであることが好ましい。
【0055】
エポキシ基含有モノマーとしては、4−ヒドロキシブチルグリシジルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、または4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどが例示され、これらを単独または組み合わせて用いることができる。
【0056】
オキセタン基含有モノマーとしては、3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、または3−ヘキシル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレートが例示され、これらを単独または組み合わせて用いることができる。
【0057】
環状エーテル基含有モノマーの量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、2重量部以上であることが好ましく、より好ましくは、3重量部以上である。上限は特に限定はされないが、100重量部以下が好ましく、50重量部以下がさらに好ましく、最も好ましくは30重量部である。環状エーテル基含有モノマーの量が、2重量部以上であれば、組成物の粘着接着剤としての機能発現が十分となり、一方、100重量部以上では、タック性が減少して初期粘着しにくい場合がある。
【0058】
グラフト重合時に、環状エーテル基含有モノマーと共に、共グラフトするその他のモノマーを用いることも可能である。このようなモノマーとしては、環状エーテル基を含まないモノマーであれば、特に限定はないが、炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートなどがあげられる。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが例示できる。また、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートのような脂環式(メタ)アクリレート類も用いることができる。これらは、単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0059】
これらグラフト時に共グラフトするその他のモノマーを用いると粘接着剤を硬化させるための光照射時の照射量を下げることができる。この理由は、グラフト鎖の運動性があがるためか、あるいはグラフト鎖や副生する未グラフト鎖と幹ポリマーとの相溶性がよくなるためと推測される。
【0060】
このようなその他のモノマーは、主鎖(幹)、すなわち(メタ)アクリル系ポリマーの成分と同じモノマーから選択することも好ましい。
【0061】
環状エーテル基含有モノマー以外のその他のモノマーの量は、配合される場合には、環状エーテル基との重量比で、90:10から10:90、好ましくは、80:20から20:80である。その他のモノマーの含有量が少ないと硬化のための光照射量を下げる効果が十分でない場合もあり、多いと光照射後の剥離抵抗が増加する恐れがある場合がある。
【0062】
グラフト重合条件は、特に限定されず、当業者に公知の方法により行うことができる。重合に際しては、過酸化物を重合開始剤として使用することが好ましい。
【0063】
このような重合開始剤の量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.02〜5重量部である。この重合開始剤の量が少ない場合には、グラフト重合反応の時間がかかりすぎ、多い場合には、環状エーテル基含有モノマーのホモポリマーが多く生成する為、好ましくない。
【0064】
グラフト重合は、例えば溶液重合であれば、アクリル系ポリマーの溶液に、環状エーテル基含有モノマーと粘度調整可能な溶媒とを加えて、窒素置換した後、ジベンゾイルパーオキシドのような過酸化物系の重合開始剤を0.02〜5重量部加えて、50℃〜80℃で4〜15時間加熱することによって行うことができるが、これに限定はされない。
【0065】
得られるグラフトポリマーの状態(分子量、グラフトポリマーの枝部の大きさ等)は、反応条件により適宜選択することができる。
【0066】
本発明の粘接着剤組成物は、このようにして得られるグラフトポリマーと光重合開始剤または熱硬化触媒、およびイソシアネート系架橋剤を含む。
【0067】
ここで、光重合開始剤は、光分解によりプロトンを発生する光カチオン系重合開始剤であることが好ましい。光カチオン系重合開始剤としては、当業者に公知のいずれの光カチオン系重合開始剤も好ましく用いることができる。より具体的には、アリルスルポニウム塩やアリルヨードニウム塩系が上市されており、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート塩、スルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルフォネート、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォネート、ビフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルフォネート、およびフェニル−(3−ヒドロキシ−ペンタデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートからなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0068】
このような光カチオン系重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.05重量部以上、好ましくは、0.1重量部以上、より好ましくは、0.3重量部以上であり、そして、10重量部以下であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは、3重量部以下である。
【0069】
本発明においては、光カチオン系重合開始剤を用いる際に、長波長の紫外線でもプロトンが発生するように、さらに、増感剤を使用することもできる。このような増感剤としては、チオキサントン系増感剤やアントラセン化合物が用いられ得る。光学部材中には、紫外線吸収剤が配合されることが多いために、長波長で吸収を有して、光カチオン系重合開始剤にエネルギー伝播できる9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセンなどのアントラセン化合物がより好ましく用いられる。本発明の粘接着剤組成物に、増感剤を含有させることで、粘接着剤層を画像表示装置に貼り付けた後でも、紫外線吸収剤を含む光学部材の上から紫外線を照射しても、光カチオン系重合開始剤からプロトンが発生し、環状エーテル基の硬化反応が開始される。
【0070】
本発明においては、光重合開始剤の代わりに、熱硬化触媒を用いてもよい。このような熱硬化触媒としては、特に環状エーテル基の熱硬化触媒が用いられる。より具体的には、イミダゾール化合物、酸無水物、フェノール樹脂、ルイス酸錯体、アミノ樹脂、ポリアミン、メラミン樹脂、これらのマイクロカプセル封入体などが例示され、硬化開始温度や保存性を考慮して適宜選択できる。
【0071】
このような環状エーテル基の熱硬化触媒は、単独で使用してもよく、また、2種以上を混合して使用してもよい。熱硬化触媒の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.2〜10重量部であり、好ましくは、0.3〜5重量部である。
【0072】
特にイミダゾール化合物がその添加量が少なくても効果を発揮する点から好ましく用いられる。イミダゾール化合物としては、2メチルイミダゾール、2ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2フェニルイミダゾール、2フェニル4メチルイミダゾール、1ベンジル2メチルイミダゾールなどが挙げられ、その硬化開始温度や粘着剤との相溶性を考慮して選択される。
【0073】
例えば粘着剤ポリマーが水分散のエマルジョンの場合、1,2−ジメチルイミダゾールを選択し、保存性を優先したり比較的高温での熱硬化を目的とする場合には、1−シアノエチル2−ウンデシルイミダゾールを選択し、比較的低温での硬化を目的とするなら、2−フェニルイミダゾールを選択することが好ましい。
【0074】
粘接着剤組成物に含まれるイソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化などにより一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物であるイソシアネート系架橋剤が例示される。
【0075】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。
【0076】
より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどをあげることができる。これらのうち、脂肪族イソシアネートを用いることが、反応速度が速い為に好ましい。
【0077】
上記イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記イソシアネート化合物架橋剤を0.01重量部以上5重量部以下含有してなることが好ましく、0.02重量部以上2重量部以下含有してなることがより好ましく、0.05重量部以上1.5重量部以下含有してなることがさらに好ましい。架橋安定性、加工性、ハンドリング性などを考慮して適宜含有させることが可能である。
【0078】
また、架橋剤として、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを併用してもよい。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤(エポキシ基を1分子中に2つ以上有する化合物をいう)があげられる。エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルアクリレート、スピログリコールジグリシジルエーテルなどがあげられる。これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0079】
多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
【0080】
本発明においては、さらに、架橋剤として、オキサゾリン系架橋剤や過酸化物を加えることも可能である。
【0081】
オキサゾリン系架橋剤としては、分子内にオキサゾリン基を有するものを特に制限なく使用できる。オキサゾリン基は、2−オキサゾリン基、3−オキサゾリン基、4−オキサゾリン基のいずれでもよい。オキサゾリン系架橋剤としては、付加重合性オキサゾリンに不飽和モノマーを共重合した重合体が好ましく、特に付加重合性オキサゾリンに2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを用いたものが好ましい。例としては、日本触媒(株)製の商品名「エポクロスWS−500」等があげられる。
【0082】
過酸化物としては、加熱によりラジカル活性種を発生して粘接着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0083】
用いることができる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などがあげられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
【0084】
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
【0085】
前記過酸化物は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.01重量部以上2重量部以下であり、0.04重量部以上1.5重量部以下含有してなることが好ましく、0.05重量部以上1重量部以下含有してなることがより好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜選択される。
【0086】
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0087】
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘接着剤組成物を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
【0088】
前記架橋剤により、粘接着剤層を形成するが、粘接着剤層の形成にあたっては、架橋剤全体の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮する必要がある。
【0089】
本発明の粘接着剤組成物は、さらに接着力や耐熱性を向上させるためにエポキシ樹脂やオキセタン樹脂を含有しても良い。
【0090】
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、及びヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型等のグリシジルアミン型などのエポキシ樹脂が例示される。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0091】
これらのエポキシ樹脂としては、限定はされないが、市販のエポキシ樹脂を用いることができる。このような市販のエポキシ樹脂には、限定はされないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂として、ジャパンエポキシレジン株式会社のjER828、jER806など;脂環式エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン株式会社のYX8000、YX8034など;株式会社ADEKAのEP4000、EP4005など;ポリアルコールのポリグリシジルエーテル類としてナガセケムテックス株式会社のデナコールEX−313、EX−512、EX−614B、EX−810など、の公知のエポキシ樹脂が含まれる。
【0092】
オキセタン樹脂としては、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンなどのキシリレンジオキセタン、3−エチル−3−{[3−エチルオキセタン−3−イル]メトキシ}メチル}オキセタン、3−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどの公知のオキセタン樹脂を用いることができる。これらのオキセタン樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0093】
オキセタン樹脂としては、限定はされないが、市販の樹脂を用いることができる。このような市販のオキセタン樹脂には、東亜合成株式会社のアロンオキセタンOXT−121、OXT221、OXT101、およびOXT212などが例示されるが、これらに限定はされない。
【0094】
このようなエポキシ樹脂とオキセタン樹脂は、どちらか一方または両方を組み合わせて、本発明の粘接着剤組成物に用いることができる。
【0095】
本発明において、このように、エポキシ樹脂および/またはオキセタン樹脂を配合することができ、その合計量は、前記グラフトポリマー100重量部に対し、含まれる場合には、好ましくは5重量部以上、より好ましくは、10重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは70重量部以下である。エポキシ樹脂および/またはオキセタン樹脂およびその他の粘着付与剤の量が、この範囲内であれば、接着力に顕著な効果が認められ、また、硬化も十分となる。
【0096】
本発明の粘接着剤組成物には、その他に粘着付与剤や軟化剤などを配合することができる。これらの粘着付与剤や軟化剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、合計で、10〜100重量部、好ましくは、20〜80重量部用いられ得る。
【0097】
特に、粘着剤層の屈折率を調整する目的では、芳香族環を有する粘着付与剤で、屈折率が1.51〜1.75の範囲のものが使用される場合がある。着色した粘着付与剤は、粘着剤を着色させるために好ましくなく、透明な粘着付与剤が使用され得る。その透明の目安としては、50%トルエン溶液でのガードナー色相1以下である。具体的には、スチレンオリゴマー、フェノキシエチルアクリレートオリゴマー、スチレンとαメチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとαメチルスチレンの共重合体、C9系石油樹脂の水添物、テルペンフェノールの水添物、ロジンおよぶその誘導体の水添物、などが挙げられる。この際、軟化点が40℃以下の粘着付与剤はその使用量を、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、30部未満とし、軟化点が50℃ 以上の粘着付与剤と併用して20重量部(合計50重量部)以上で使用されるのが、耐熱性の面で好ましい。
これらの粘着付与剤の配合量は、10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部用いられ、所定の屈折率に調整される。少なすぎると屈折率が十分に上がらず、多すぎると硬くなり接着性が低下するため好ましくない。
【0098】
さらに、フェノールを付加したテルペン樹脂(テルペンフェノール樹脂)を用いることもできる。フェノールとの反応により、耐熱性が向上する、という利点もある。
【0099】
さらに、このアクリル系重合体組成物からなる粘着剤がガラスなどの親水性被着体に適用される場合には、界面での耐水性を上げるためにシランカップリング剤を0.01〜1重量部配合しても良い。
【0100】
シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤、などが挙げられる。このシランカップリング剤は(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01重量部以上であることが好ましく、1重量部以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.02重量部以上であり、0.6重量部以下である。最も好ましくは、0.05重量部以上0.3重量部以下である。この範囲であれば、液晶セルへの接着力が適度に制御され、再剥離性に優れ、また耐久性が増加する。
【0101】
本発明の粘接着剤組成物には、その他に、公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0102】
本発明の粘接着剤層を形成する方法は、特に限定されないが、好ましくは、まず、剥離処理した剥離ライナーなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去し、架橋処理して、その後、活性エネルギー線照射を行い、粘接着剤層を形成する。剥離ライナーの構成材料としては、例えば紙、布、不織布等からなる多孔質基材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレンー酢酸ビニル共ポリマーなどのプラスチックフィルムあるいはシート、ネット、発泡体、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体等があげられる。このうち、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0103】
剥離ライナーの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。剥離ライナーには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、剥離ライナーの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘接着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0104】
粘接着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
【0105】
粘接着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、2〜100μm程度である。好ましくは、3〜70μm、より好ましくは5〜50μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
【0106】
重合溶媒などを乾燥除去させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を加熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃ であり、さらに好ましくは、50℃ 〜180℃であり、特に好ましくは70℃ 〜170℃ である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘接着剤を得ることができる。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜10分、特に好ましくは、10秒〜5分である。
【0107】
このようにして得られた、粘着剤層に、活性エネルギー線を照射する。
【0108】
照射用の活性エネルギー線は特に限定はされないが、好ましくは、紫外線、可視光、および電子線等の活性エネルギー線である。紫外線照射による架橋処理は、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、エキシマレーザ、メタルハライドランプなどの適宜の紫外線源を用いて行うことができる。その際、紫外線の照射量としては、必要とされる架橋度に応じて適宜選択することができるが、通常は、紫外線では、0.2〜10J/cm2の範囲内で選択するのが望ましい。照射時の温度は、特に限定されるものではないが、支持体の耐熱性を考慮して140℃ 程度までが好ましい。なお、光量はElectronic Instrumentation and Technology Inc.製UVPowerPuckのUVA(320-390nm)、UVB(280-320nm)、UVC(250-260nm)、UVV(395-445nm)の積算量で表した。
【0109】
本発明においては、粘接着剤層を偏光板などの支持体上に形成し、粘接着剤層付光学部材を作成する。その後、活性エネルギー線を照射し、硬化粘接着剤層とした後、さらにたとえば、液晶セルなどに貼ることによって、画像表示装置とし得る。活性エネルギー線を照射してから、硬化粘接着剤層を液晶セルに貼り付けるまでの時間は、1秒から60分であることが好ましい。光カチオン硬化は、活性エネルギー線照射時の光反応によるカチオン種の発生と、発生したカチオン種により環状エーテル基が反応する暗反応によって進行する。そこで活性エネルギー線照射により発生したカチオンは、寿命が長いため、照射後も失活せずに反応が進行することができ、60分までの時間の猶予がある。貼り合わせ時に気泡の混入などがあった場合は、減圧や加圧処理して気泡を除去することも可能である。
【0110】
暗反応を促進するため、貼り付け後に加温することが好ましいが、画像表示装置の性能に影響を与えないような加温設定が必要である。具体的には、40℃〜70℃で、30分〜6時間程度である。
【0111】
本発明の粘接着剤組成物において、増感剤を添加した場合、粘接着剤層を偏光板などの支持体上に形成し、粘接着剤層付光学部材を作成する。その後、液晶セルなどに貼り、異物噛み込みや位置ずれなどがない場合には、光学部材の側から活性エネルギー線を照射し、粘着剤を硬化させて、画像表示装置とし得る。活性エネルギー線照射前には、容易に剥離できるが、活性エネルギー線照射後には、接着性が増して、強固に接着性が増して、強固に接着することができるという特徴も発揮できる。
【0112】
このような光学部材上からの照射では、光学部材中の紫外線吸収剤などの影響も考慮して、比較的長波長の紫外線が照射できる、メタルハライドランプやガリウムランプが好ましく用いられる。
【0113】
このような活性エネルギー線照射後の本発明の硬化粘接着剤層のゲル分率は、75〜97重量%であり、非常に凝集力が高い粘着剤層になるが、より好ましくは、80〜95重量%、さらに好ましくは、85〜95重量%の範囲である。粘接着剤組成物の加熱乾燥後、活性エネルギー線照射もしくは加熱処理前のゲル分率は、40〜85重量%の範囲内であることが、初期接着性や加工性、およびハンドリング面から好ましく、より好ましくは、50〜85重量%、さらに好ましくは、55〜85重量%の範囲にある。
【0114】
熱硬化触媒を用いた場合には、加熱処理を行った後粘接着剤層を偏光板などの支持体上に形成し、粘接着剤層付光学部材を作成する。さらに例えば、液晶セルなどに貼ることによって、画像表示装置とし得る。
【0115】
本発明の硬化粘接着剤層は、活性エネルギー線を照射もしくは加熱処理した後の状態を指すが、そのゲル分率において、活性エネルギー線を照射もしくは加熱処理する前の粘接着剤層のゲル分率と比較して、その差が10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは、15〜55重量%、さらに好ましくは、15〜50重量%である。この範囲であれば、特に優れた接着特性を有する。
【0116】
その結果、本発明の硬化粘着剤層は、各種画像表示素子に貼り付けることができ、接着性や凝集力に優れるとともに、長期の耐久性にも優れるものとなる。
【実施例】
【0117】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RH(1時間あるいは1週間)である。
【0118】
実施例1
(アクリル系ポリマーA1の調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルアクリレート97重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート3重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチル200重量部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量160万のアクリル系ポリマーA1溶液を調製した。得られたアクリル系ポリマーのガラス転移温度は−45℃であった。
【0119】
(グラフトポリマーの調製)
得られたアクリル系ポリマーA1溶液を、酢酸エチルにて固形分が25%になるように希釈して、希釈溶液(I)を調製した。攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、希釈溶液(I)400重量部に対して、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成製4HBAGE)10重量部と2−エチルヘキシルアクリレート10重量部、ベンゾイルパーオキサイド0.2重量部を加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って4時間、次いで70℃で4時間重合反応を行い、グラフト変性アクリル系ポリマーB1溶液を得た。
【0120】
(粘接着剤層付偏光板C1の形成)
次いで、このようにして得られたグラフト変性アクリル系ポリマーB1溶液グラフトポリマー溶液の固形分100重量部に対して、光重合開始剤として、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)0.5重量部とキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(三井化学社製、D110N)0.2重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
【0121】
上記粘接着剤溶液を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、MRF−38)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが25μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせ、厚み25μmの粘接着剤層を形成した。
【0122】
ついで、偏光板表面に粘接着剤層を転写し、粘接着剤層付偏光板C1を作製した。紫外線照射前のゲル分率は78重量%であった。
【0123】
(画像表示装置への貼合わせ)
上記のPETフィルムを剥離し、メタルハライドタイプのUVランプ(フィージョン社製、Dバルブ:350〜400nm域を強調したランプ)で、1J/cm紫外線照射を行った。照射後、画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。紫外線照射から貼り合わせまでの時間は10秒であった。紫外線照射後の硬化粘接着剤層のゲル分率は、95重量%であった。
【0124】
実施例2
(画像表示装置への貼り合わせ)
上記、粘接着剤層付偏光板C1に、メタルハライドタイプの紫外線照射装置にて(フィージョン社製、Dバルブ)、PETフィルム越しに、1J/cm紫外線照射し、PETフィルムを剥離し、画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。紫外線照射から貼り合わせまでの時間は20秒であった。紫外線照射後のゲル分率は、90重量%であった。
【0125】
実施例3
(画像表示装置への貼り合わせ)
上記、粘接着剤層付偏光板C1に、メタルハライドタイプの紫外線照射装置にて(フィージョン社製、Dバルブ)、PETフィルム越しに、1J/cm紫外線照射し、PETフィルムを剥離し、画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。紫外線照射から貼り合わせまでの時間は30分であった。紫外線照射後のゲル分率は、90重量%であった。
【0126】
実施例4
(アクリル系ポリマーA2の調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルアクリレート83重量部、メトキシエチルアクリレート14重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート3重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチル200重量部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量160万のアクリル系ポリマーA2溶液を調製した。得られたアクリル系ポリマーのガラス転移温度は−43℃であった。
【0127】
(グラフト変性アクリル系ポリマーB2の調製)
得られたアクリル系ポリマーA2溶液を、酢酸エチルにて固形分が25%になるように希釈して、希釈溶液(I)を調製した。攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、希釈溶液(I)400重量部に対して、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル10重量部、2−エチルヘキシルアクリレート10重量部、ベンゾイルパーオキサイド0.2重量部を加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って4時間、次いで70℃で4時間重合反応を行い、グラフト変性アクリル系ポリマーB2溶液を得た。
【0128】
(粘接着剤層付偏光板C2の形成)
次いで、このようにして得られたグラフト変性アクリル系ポリマーB2溶液の固形分100重量部に対して、光重合開始剤として、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)0.5重量部とキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(三井化学社製、D110N)0.2重量部、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM403)0.1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
【0129】
上記粘接着剤溶液を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、MRF−38)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが25μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせ、厚み25μmの粘接着剤層を形成した。
【0130】
ついで、偏光板表面に粘接着剤層を転写し、粘接着剤層付偏光板C2を作製した。紫外線照射前のゲル分率は66重量%であった。
【0131】
(画像表示装置への貼合わせ)
上記のPETフィルムを剥離し、メタルハライドタイプのUVランプ(フィージョン社製、Dバルブ)で、1J/cm紫外線照射を行った。照射後、硬化粘接着剤層を画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。紫外線照射から貼り合わせまでの時間は10秒であった。紫外線照射後のゲル分率は、88重量%であった。
【0132】
実施例5
(画像表示装置への貼り合わせ)
上記、粘接着剤層付偏光板C2に、メタルハライドタイプの紫外線照射装置にて(フィージョン社製、Dバルブ)、PETフィルム越しに、3J/cm紫外線照射し、PETフィルムを剥離し、画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。紫外線照射から貼り合わせまでの時間は10分であった。紫外線照射後のゲル分率は、96重量%であった。
【0133】
実施例6
(グラフト変性アクリル系ポリマーB3の調製)
得られたアクリル系ポリマーA1溶液を、酢酸エチルにて固形分が25%になるように希釈して、希釈溶液(I)を調製した。攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、希釈溶液(I)400重量部に対して、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート10重量部とメトキシエチルアクリレート10重量部とベンゾイルパーオキサイド0.2重量部を加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って4時間、次いで70℃で4時間重合反応を行い、グラフト変性アクリル系ポリマーB3溶液を得た。
【0134】
(粘接着剤層付偏光板C3の形成)
次いで、このようにして得られたグラフト変性アクリル系ポリマーB3溶液の固形分100重量部に対して、光重合開始剤として、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)0.5重量部とキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(三井化学社製、D110N)0.2重量部、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM403)0.1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
【0135】
上記粘接着剤溶液を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、MRF−38)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが25μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせ、厚み25μmの粘接着剤層を形成した。
【0136】
ついで、偏光板表面に粘接着剤層を転写し、粘接着剤層付偏光板C3を作製した。紫外線照射前のゲル分率は73重量%であった。
【0137】
(画像表示装置への貼合わせ)
上記粘接着剤層付偏光板C3に、メタルハライドタイプのUVランプ(フィージョン社製、Dバルブ)で、PETフィルム越しに、1J/cm紫外線照射し、PETフィルムを剥離し、画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。紫外線照射から貼り合わせまでの時間は20秒であった。紫外線照射後のゲル分率は、91重量%であった。
【0138】
実施例7
(グラフト変性アクリル系ポリマーB4の調製)
得られたアクリル系ポリマーA1溶液を、酢酸エチルにて固形分が25%になるように希釈して、希釈溶液(I)を調製した。攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、希釈溶液(I)400重量部に対して、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート10重量部、オキセタンメタクリレート10重量部、2−エチルヘキシルアクリレート10重量部、ベンゾイルパーオキサイド0.2重量部を加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って4時間、次いで70℃で4時間重合反応を行い、グラフト変性アクリル系ポリマーB4溶液を得た。
【0139】
(粘接着剤層付偏光板C4の形成)
次いで、このようにして得られたグラフト変性アクリル系ポリマーB3溶液の固形分100重量部に対して、光重合開始剤として、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)0.5重量部とキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(三井化学社製、D110N)0.1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
【0140】
上記粘接着剤溶液を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、MRF−38)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが25μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせ、厚み25μmの粘接着剤層を形成した。
【0141】
ついで、偏光板表面に粘接着剤層を転写し、粘接着剤層付偏光板C4を作製した。紫外線照射前のゲル分率は53重量%であった。
【0142】
(画像表示装置への貼合わせ)
上記粘接着剤層付偏光板C4に、メタルハライドタイプのUVランプ(フィージョン社製、Dバルブ)で、PETフィルム越しに、3J/cm紫外線照射し、PETフィルムを剥離し、画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。紫外線照射から貼り合わせまでの時間は20秒であった。紫外線照射後のゲル分率は、87重量%であった。
【0143】
(実施例8)
(粘接着材層付偏光板C5の形成)
実施例4と同様にして得られたグラフト変性アクリル系ポリマーB2溶液の固形分100重量部に対して、光重合開始剤として、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)0.5重量部と増感剤として9,10−ジブトキシアントラセン(川崎化成工業製UVS−1331)0.5重量部、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(三井化学社製、D110N)0.1重量部、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM403)0.1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
【0144】
得られた粘接着剤溶液を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、MRF−38)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが25μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせ、厚み25μmの粘接着剤層を形成した。
【0145】
ついで、偏光板表面に粘接着剤層を転写し、粘接着剤層付偏光板C5を作製した。紫外線照射前のゲル分率は64重量%であった。
【0146】
(画像表示装置への貼合わせ)
上記PETフィルムを剥離し、粘接着剤層を画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。異物などの噛み込みがないことを確認して、ガリウムタイプのUVランプ(フィージョン社製、Vバルブ:420nmを中心に、405nm〜425nm域を強調したバルブ)で、3J/cm紫外線照射を行った。紫外線照射後のゲル分率は、91重量%であった。
【0147】
(実施例9)
(粘接着剤層付偏光板C6の形成)
実施例1と同様にして得られたグラフト変性アクリル系ポリマーB1溶液の固形分100重量部に対して、熱硬化触媒として2フェニルイミダゾール2.0重量部、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト(三井化学社製、D110N)0.3重量部、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM403)0.1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
【0148】
上記粘接着剤溶液を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、MRF−38)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが25μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせ、厚み25μmの粘接着剤層を形成した。さらに、160℃で3分間処理し、ついで、偏光板表面に粘接着剤層を転写し、粘接着剤層付偏光板C6を作製した。加熱処理前にゲル分率は58重量%であり、加熱処理後は91重量%であった。
【0149】
(画像表示装置への貼合わせ)
上記PETフィルムを剥離し、粘接着剤層を画像表示装置である液晶セルに貼り付けた。
【0150】
(比較例1)
実施例1でイソシアネートを添加せずに、サンプルを作製した。
【0151】
(比較例2)
実施例1でUV照射せずにサンプルを作製した。
【0152】
上記実施例と比較例で得られた粘接着剤層付光学シートを評価した。
【0153】
<重量平均分子量の測定>
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィー)により測定した。サンプルは、試料をテトラヒドロフランに溶解して0.1重量%の溶液とし、これを一晩静置した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・低分子量物のカラム:GMHR−H+GMHHR+G2000MHHR
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm 計90cm
・溶離液:テトラヒドロフラン(濃度0.1重量%)
・流量:0.8ml/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度:40℃
・ 注入量:100μl
・ 標準試料:ポリスチレン
・ データ処理装置:東ソー製、GPC−8020
【0154】
<ゲル分率の測定>
粘接着剤層の活性エネルギー線照射前と活性エネルギー線照射後のゲル分率をそれぞれ以下のような手順で測定した。まず、粘接着剤層を約0.1g秤量した(W1)。ついで、これを微孔性テトラフルオロエチレン膜に包んで、約50mlの酢酸エチル溶液に、23℃で4日間浸漬した後、可溶分を抽出した。その後、粘接着剤層を膜と一緒に取り出し、これを120℃で2時間乾燥し、膜に残存している粘接着剤重量(W2)を秤量した。これらの測定値から、下記の式に従って、粘接着剤層のゲル分率(重量%)を求めた。
ゲル分率(重量%)=(W2/W1)×100
【0155】
<耐久性・加湿試験>
実施例・比較例で得られたサンプルを、60℃、湿度90%に保存し、500時間投入した。その後、サンプルの状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:画像表示装置中の光学部材の剥がれや浮きがない。
×:画像表示装置中の光学部材の剥がれや浮きがある。
【0156】
<耐久性・耐熱試験>
実施例・比較例で得られたサンプル(液晶セルに、粘接着剤層付偏光板を貼付けたもの)を、80℃雰囲気下に500時間投入した。その後、サンプルの状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:画像表示装置中の光学部材の剥がれや浮きがない。
×:画像表示装置中の光学部材の剥がれや浮きがある。
【0157】
<加工性>
実施例および比較例で得たサンプル(紫外線照射前の粘接着剤層付偏光板)を、プレス機を用いて打ち抜き加工した。その際に、切断刃に粘着剤取られが観察されない場合を○とし、粘着剤がとられたり、付着した場合は×とした。
【0158】
各評価結果を表1に示す。
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部;光重合開始剤0.05〜10重量部または熱硬化触媒0.05〜10重量部;およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部;光重合開始剤0.05〜10重量部;増感剤0.05〜5重量部;およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる請求項1記載の粘接着剤組成物。
【請求項3】
前記グラフトポリマーが、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、前記環状エーテル基含有モノマー2〜100重量部を、過酸化物0.01〜2重量部の存在下にてグラフト重合させることにより得られる請求項1または2記載の粘接着剤組成物。
【請求項4】
前記光重合開始剤が光分解によりプロトンを発生する、光カチオン開始剤である、請求項1から3までのいずれか1項記載の粘接着剤組成物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の粘接着剤組成物から得られる粘接着剤層。
【請求項6】
支持体の少なくとも片側に、請求項5に記載の粘接着剤層が形成されている粘接着剤層付光学部材。
【請求項7】
請求項5記載の粘接着剤層に活性エネルギー線を照射または加熱処理して得られる、硬化粘接着剤層。
【請求項8】
ゲル分率が、75〜97重量%である、請求項7記載の硬化粘接着剤層。
【請求項9】
前記硬化粘接着剤層のゲル分率が、活性エネルギー線照射前もしくは加熱処理前の粘接着剤層のゲル分率と比較して、10重量%以上高い、請求項7または8のいずれかに記載の硬化粘接着剤層。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか1項記載の硬化粘接着剤層を有する画像表示装置。
【請求項11】
(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部、光重合開始剤0.05〜10重量部、およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物を、光学部材の少なくとも片面に塗布する工程;
該塗布された粘接着剤組成物の層に、活性エネルギー線を照射する工程;および
得られた硬化粘接着剤層を画像表示装置に貼り付ける工程、
を含む、画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部、光重合開始剤0.05〜10重量部、増感剤0.05〜5重量部、およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物を、光学部材の少なくとも片面に塗布する工程;
該塗布された粘接着剤組成物の層に、画像表示装置に貼り付ける工程; および
該光学部材側から活性エネルギー線を照射する工程;、
を含む、画像表示装置の製造方法。
【請求項13】
粘接着剤層を画像表示装置に貼り付けることが、活性エネルギー線照射後1秒〜60分の時間内に行われる、請求項11記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項14】
(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなる変性アクリル系グラフトポリマー100重量部、熱硬化触媒0.05〜10重量部、およびイソシアネート系架橋剤0.01〜5重量部を含有してなる粘接着剤組成物を、支持体上に塗布し、さらに加熱処理した後に、光学部材の少なくとも片面に塗布する工程;および
得られた硬化粘接着剤層を画像表示装置に貼り付ける工程、
を含む、画像表示装置の製造方法。

【公開番号】特開2011−241377(P2011−241377A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24089(P2011−24089)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】