説明

光学部材用保護フィルムおよび偏光板

【課題】機械的強度が高く、光学異方性が低く、且つヘイズが低い、光学部材用保護フィルム、及びそれを備えた偏光板を提供する。
【解決手段】樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の一方の面に設けられた樹脂層(B1)と、前記樹脂層(A)の他方の面に設けられた樹脂層(B2)とを有するフィルムを延伸してなる光学部材用保護フィルムであって、前記樹脂層(A)が、成分(a1):アルキルメタクリレート、無水マレイン酸及びスチレンの共重合体と、成分(a2):ポリ(ビニリデンフルオリド)とを含有し、前記成分(a2)の含有割合が、前記成分(a1)及び(a2)の合計中2.0〜7.0重量%であり、前記樹脂層(B1)及び(B2)が、それぞれ(メタ)アクリル樹脂を含有することを特徴とする、光学部材用保護フィルム;並びに当該保護フィルム及び偏光子を有する偏光板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材用保護フィルムおよびこれを用いた偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、プラズマ表示装置等の表示装置においては、その最表面又は内部の層状の光学部材を、機械的損傷から保護する為の保護フィルムが配置されることがある。かかる保護フィルムは、機械的強度の高さに加えて、光学部材の光学特性に影響を与えないことが好ましいという観点から、光学異方性が低いことが好ましく、また表示の品質を損なわないためにヘイズが低いことが好ましい。
【0003】
保護フィルムの機械的強度を高めるために、例えば押出成形したフィルム原反を延伸して、延伸フィルムとすることが行われる。しかし、延伸したフィルムは、光学異方性が高くなりやすい。
【0004】
延伸フィルムの光学異方性を低く抑制する方法として、特許文献1には、高分子フィルムに、高分子フィルムが有する光学異方性を相殺する光学異方性を示す高分子添加剤を添加することが開示されている。しかしながら、このような添加剤を添加した場合、延伸フィルムのヘイズが上昇しやすく、結果として良好な性質を有する保護フィルムを得ることが困難である。
【0005】
【特許文献1】特開2005−105140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、機械的強度が高く、光学異方性が低く、且つヘイズが低い、光学部材用保護フィルム、及びそれを備えた偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題に鑑み検討した結果、特定の共重合体に、特定の添加剤を添加することにより、延伸フィルムのヘイズの上昇及び光学異方性の上昇の両方を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、以下の〔1〕〜〔5〕が提供される。
【0008】
〔1〕 樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の一方の面に設けられた樹脂層(B1)と、前記樹脂層(A)の他方の面に設けられた樹脂層(B2)とを有するフィルムを延伸してなる光学部材用保護フィルムであって、
前記樹脂層(A)が、
成分(a1):アルキルメタクリレート、無水マレイン酸及びスチレンの共重合体と、成分(a2):ポリ(ビニリデンフルオリド)とを含有し、
前記成分(a2)の含有割合が、前記成分(a1)及び(a2)の合計中2.0〜7.0重量%であり、
前記樹脂層(B1)及び(B2)が、それぞれ(メタ)アクリル樹脂を含有することを特徴とする、光学部材用保護フィルム。
〔2〕 前記成分(a1)の重量平均分子量が60,000〜200,000であり、前記成分(a2)の重量平均分子量が2,000〜200,000である前記光学部材用保護フィルム。
〔3〕 前記延伸の倍率が、1.5〜3.0倍である前記光学部材用保護フィルム。
〔4〕 延伸後の膜厚が20〜100μmである前記光学部材用保護フィルム。
〔5〕 前記光学部材用保護フィルム及び偏光子を有する偏光板。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学部材用保護フィルムは、特定の積層体の延伸フィルムであることから機械的強度が高く、且つ、従来の延伸フィルムとは異なり低い光学異方性と低いヘイズを有しているため、表示装置の光学部材として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の光学部材用保護フィルムは、所定のフィルムを延伸してなる。以下において、延伸する前の所定のフィルムを、区別のため「未延伸フィルム」と称することがある。
【0011】
(未延伸フィルム)
前記未延伸フィルムは、樹脂層(A)と、樹脂層(A)の一方の面に設けられた樹脂層(B1)と、樹脂層(A)の他方の面に設けられた樹脂層(B2)を有する。即ち、前記未延伸フィルムは、樹脂層(B1)−樹脂層(A)−樹脂層(B2)という層構成を有する積層体である。
【0012】
(樹脂層(A))
樹脂層(A)は、成分(a1):アルキルメタクリレート、無水マレイン酸及びスチレンの共重合体と、成分(a2):ポリ(ビニリデンフルオリド)(以下、PVDFと略記する。)とを含有する。以下、樹脂層(A)を構成する組成物を、組成物(A)ということがある。
【0013】
本発明において、前記成分(a2)の含有割合は、前記成分(a1)及び(a2)の合計中2.0〜7.0重量%であり、好ましくは3.0〜5.0重量%である。成分(a2)の割合をこの範囲とすることにより、低い光学異方性と低いヘイズを有する保護フィルムを得ることができる。
成分(a1)の分子量は、重量平均分子量で60,000〜200,000、数平均分子量で3,000〜100,000とすることができる。一方、成分(a2)の分子量は、重量平均分子量で2,000〜200,000、数平均分子量で1,000〜100,000とすることができる。成分(a1)及び(a2)の分子量及び含有割合をこの範囲とすることにより、光学異方性とヘイズを特に低い値に抑えることができる。
【0014】
成分(a1)において、アルキルメタクリレート単位、無水マレイン酸単位及びスチレン単位の組成比は6〜9:0.5〜2:1とすることができる。アルキルメタクリレートは、具体的には例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等とすることができる。
【0015】
(樹脂層(B))
樹脂層(B1)及び(B2)は、それぞれ(メタ)アクリル樹脂を含有する。以下、樹脂層(B1)及び(B2)を構成する組成物を、組成物(B)ということがある。なお、記載の便宜上ここでは、2種以上の物質の混合物のみならず、単一の物質のみからなる材料(即ち一種類の(メタ)アクリル樹脂のみからなる材料)をも包含して組成物と称する。
組成物(B)を構成する(メタ)アクリル樹脂は、同一でも、異なっていても良いが、いずれも、1mm厚における、400〜700nmの可視領域の光の透過率が80%以上のものが好ましく、85%以上のものがより好ましく、90%以上のものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル樹脂は、ガラス転移温度が60〜200℃であるものが好ましく、100〜180℃であるものがより好ましい。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)により測定できる。
【0016】
上記(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを主原料として得られる重合体樹脂が好ましく用いられる。この重合体樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルのみからなる単独重合体でも共重合体でもよく、また、(メタ)アクリル酸エステルとこれと共重合可能な単量体との共重合体であっても良い。なお、本発明において(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。同様に、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
【0017】
(メタ)アクリル樹脂の主原料として使用する(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜15のアルカノールから誘導される構造のものが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜8のアルカノールから誘導される構造のものである。炭素数が多すぎる場合は、得られるフィルムの破断時の伸びが大きくなりすぎる。アルカノールのアルキル部分は鎖状でも環状でも、これらの組み合わせであっても良い。
【0018】
この(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシルなどを挙げることができる。
【0019】
また、これらの(メタ)アクリル酸エステルは、水酸基、ハロゲン原子等の任意の置換基を有していてもよい。そのような置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0020】
本発明に使用する(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が、好ましくは50重量%以上、より好ましくは85重量%以上、特に好ましくは90重量%以上のものである。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体には、特に限定はないが、上述した(メタ)アクリル酸エステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン単量体などを挙げることができる。
【0022】
上述した(メタ)アクリル酸エステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体の具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチルなどを挙げることができる。
【0023】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、モノカルボン酸、多価カルボン酸、及び多価カルボン酸無水物のいずれでもよく、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などを挙げることができる。
【0024】
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
【0025】
共役ジエン単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエンなどを挙げることができる。非共役ジエン単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどを挙げることができる。
【0026】
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどを挙げることができる。
【0027】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどを挙げることができる。
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
オレフィン単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどを挙げることができる。
【0028】
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体としては、アルケニル芳香族単量体が好ましく、なかでもスチレンが好ましい。
【0029】
本発明で使用する(メタ)アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体単位の含有量は、50重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0030】
本発明で使用する(メタ)アクリル樹脂の好ましい具体例としては、ポリメチルメタクリレート(メチルメタクリレートの単独重合体)メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸ブチル共重合体などを挙げることができる。本発明では、これらのうち、メチルメタクリレート由来の構造単位(以下、単に「メチルメタクリレート単位」ということがある)が、全構造単位中50重量%以上(好ましくは80重量%以上)である重合体が好ましく、特にポリメチルメタクリレートが好ましい。(メタ)アクリル樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常、重量平均分子量で50,000〜500,000である。重量平均分子量がこの範囲内にあると、溶融押出法によりフィルムを形成する場合、均質なフィルムを容易に作ることができる。
【0032】
本発明に用いる(メタ)アクリル樹脂は、メルトフローレートの値が10〜100g/10分(280℃、荷重2.16kgf)の範囲に入るものから選択するのが好ましい。また、溶融押出法により未延伸フィルムを形成する場合、各層を構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレートの値は同程度であることが好ましい。具体的には隣接する層を構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレート値の差が、0〜30g/10分(280℃、荷重2.16kgf)であることが好ましい。
【0033】
(任意成分)
組成物(A)及び組成物(B)は、上記成分に加えて、必要に応じて任意成分を含有することができる。具体的には例えば、弾性体粒子、紫外線吸収剤等を含有することができる。
【0034】
本発明に用いられる弾性体粒子としては、ゴム状弾性体からなる粒子としうる。ゴム状弾性体としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体、ブタジエンを主成分とするゴム状重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。アクリル酸エステル系ゴム状重合体としてはブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等を主成分とするものがある。これらの内ブチルアクリレ−トを主成分としたアクリル酸エステル系重合体及びブタジエンを主成分とするゴム状重合体が好ましい。弾性体粒子は、二種の重合体が層状になったものであってもよく、その代表例としては、ブチルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−トとスチレンのグラフト化ゴム弾性成分と、ポリメチルメタクリレ−ト及び/又はメチルメタクリレ−トとアルキルアクリレ−トの共重合体からなる硬質樹脂層とがコア−シェル構造で層を形成している弾性体粒子が挙げられる。
【0035】
本発明に用いられる弾性体粒子は、組成物(A)や組成物(B)中に分散した状態における二次粒子の数平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。弾性体粒子の一次粒子径が小さくても、凝集などによって形成される二次粒子の数平均粒径が大きいと、基材フィルムのヘイズ(曇り度)が高くなりすぎ、光線透過率が低くなる。また、数平均粒径が小さくなりすぎると可撓性が低下する傾向にある。
【0036】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、一般的な樹脂に配合されるものから選択しうる。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等の公知のものが挙げられる。これらの中でも、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのオキシベンゾフェノール系化合物;が好適である。これらの中でも、特にベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が特に好ましい。
また、組成物(A)及び組成物(B)において、必須成分(組成物(A)においては成分(a1)及び(a2)、組成物(B)においては(メタ)アクリル樹脂)以外の任意成分の含有割合は、0〜10重量%とすることができる。換言すれば、組成物(A)および組成物(B)のそれぞれにおいて、各必須成分の割合は、通常、90重量%以上である。
【0037】
(未延伸フィルム)
未延伸フィルムの厚さは、20〜300μm、好ましくは20〜200μmである。未延伸フィルムが厚すぎると、屈曲性が悪化する傾向にあり、薄すぎると強度が不足し、各層の厚み制御が難しくなる他、ハンドリング性が低下する。
未延伸フィルム中における樹脂層(A)と、樹脂層(B1)及び(B2)との厚さの比率は、特に限定されないが、総厚みに対する樹脂層(A)の厚さの比率として、20〜80%の範囲とすることができる。樹脂層(B1)の厚さと樹脂層(B2)の厚さは同じとすることが好ましい。
【0038】
未延伸フィルムは、前記樹脂層(A)、(B1)及び(B2)のみからなってもよいが、これらの層間等において、任意に他の層を有することもできる。具体的には例えば、これらの層を粘着させるための粘着層を有することができる。
【0039】
未延伸フィルムの厚さの制御方法としては、例えば後述する溶融押出法にてフィルムが成形される場合には、Tダイのスリットの間隙、押出速度と冷却ロールの回転速度、溶融温度を変更する方法や、冷却ロールを通過中のフィルムを圧着ロールでプレスする方法が挙げられる。フィルムが溶液流延法にて成形される場合には、溶液を調製する際に混合する希釈液の割合を変更することにより、固形分濃度を調整する方法が挙げられる。
【0040】
本発明に使用する未延伸フィルムを製造する方法としては、生産性や厚み精度に優れる点から、Tダイを用いた溶融押出成形法が好ましい。この場合、各層を構成する樹脂を、それぞれ別個の押出機にて溶融し、溶融状態で積層した後に、Tダイからシート状に押し出し、シートを冷却ロールで引き取ることで、一気に積層フィルムを作成することができる。
【0041】
前述の押出法による方法以外に、単層の溶融押出法や溶液流延法等で各層を構成するフィルム調製した後、接着剤を用いてこれらを貼りあわせて製造することも可能である。接着剤としては、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、変性ポリオレフィン系接着剤、ポリビニルアルキルエーテル系接着剤、ゴム系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル−酢酸ビニル系接着剤、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)系接着剤、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)系接着剤、エチレン−スチレン共重合体などのエチレン系接着剤、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル系接着剤などが挙げられる。これらの内、硬化後に所定の弾性を維持するものがより好ましく、そのような接着剤としては、SEBS系接着剤、SIS系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤を挙げることができる。
この接着剤からなる層の平均厚さは、通常0.01〜30μm、好ましくは0.1〜15μmである。
【0042】
(未延伸フィルムの延伸)
本発明の光学部材用保護フィルムは前記未延伸フィルムを延伸してなる。
【0043】
未延伸フィルムを延伸する前に、未延伸フィルムを予め加熱する工程(予熱工程)を設けても良い。予熱工程において、未延伸フィルムを加熱する手段としては、オーブン型加熱装置、ラジエーション加熱装置、又は液体中に浸すことなどが挙げられる。中でもオーブン型加熱装置が好ましい。予熱工程における加熱温度は、通常、延伸温度−40℃〜延伸温度+20℃、好ましくは延伸温度−30℃〜延伸温度+15℃である。延伸温度は、加熱装置の設定温度を意味する。
【0044】
延伸する方向は、一方向又は複数方向とすることができる。延伸する方法は特に制限はなく、従来公知の方法が適用され得る。具体的には、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;が挙げられる。
【0045】
延伸工程において用いうるテンターとしては、パンタグラフで連結されたチャックを有し、チャックでフィルムを把持しチャック間隔を広げることにより延伸を行なうパンタグラフ式のテンター;チャックをスクリュー形状の軸で駆動し、スクリュー溝の間隔を調整することでチャック間隔を開くスクリュー式のテンター;また、リニアモーター式のテンター;などが挙げられる。
【0046】
延伸温度としては、樹脂の中で、ガラス転移温度が最も低い樹脂のガラス転移温度をTgとすると、通常Tg〜Tg+20℃の範囲で行うことができる。
【0047】
本発明の製造方法においては、延伸工程における未延伸フィルムの流れ方向の中心部から左右の領域の温度が中心部の温度に対して±1.5℃以内とすることが好ましく、±1℃以内とすることがさらに好ましい。左右の領域の温度差を均一とすることで左右の延伸度合いが均一となるので、得られる保護フィルムの厚さを均一にできる。
【0048】
延伸倍率は、通常1.5〜3.0倍、好ましくは1.8〜2.2倍である。延伸方法が、逐次二軸延伸である場合には、二回目の延伸倍率を一回目の延伸倍率よりも小さくすることが好ましい。具体的には、二回目の延伸倍率を、一回目の延伸倍率の0.5〜0.95倍である。延伸倍率が、上記範囲を外れると、配向が不十分で屈折率異方性、ひいては位相差の発現が不十分になったり、積層体が破断したりするおそれがある。ここでいう延伸倍率は、二軸延伸を行う場合は、縦方向、横方向それぞれの延伸倍率をさす。通常、縦方向とは、積層体の長手方向を指し、横方向は幅方向を指す。
【0049】
延伸する工程(延伸工程)の後に、延伸したフィルムを緩和する工程(熱固定工程)を設けても良い。熱固定工程における緩和温度は、通常、室温〜延伸温度+30℃、好ましくは延伸温度−40℃〜延伸温度+20℃である。また、熱固定工程においては特に温度を設定せず、延伸温度のまま保持してもよい。
【0050】
(光学部材用保護フィルム)
上記の操作により得られた延伸フィルムを、そのまま、又は必要に応じて他の機能層を積層して、本発明の光学部材用保護フィルムとすることができる。他の機能層としては、ハードコート層、反射防止層、低屈折率層、防汚層、防眩層、ガスバリア層、透明帯電防止層、プライマー層、電磁波遮蔽層、下塗り層等、光学フィルムに採用される層を挙げることができる。
本発明の保護フィルムの膜厚は、20〜100μmであることが好ましい。また、本発明の保護フィルムの厚さ方向の複屈折値Rthは、その絶対値が4nm以下であることが好ましく、面内方向の複屈折値Reは、その絶対値が2.0nm以下であることが好ましい。このような低い複屈折値とすることにより、表示装置を透過する光の光学的性質を変化させない、良好な保護フィルムとすることができる。
【0051】
本発明の光学部材用保護フィルムは、層の内部におけるヘイズ(層の内部で散乱を引き起こす内部ヘイズ)は、0〜2.0%程度であり、好ましくは0〜1.8%、さらに好ましくは0〜1.5%程度である。なお、内部ヘイズは、保護フィルムの表面凹凸を平坦化するように上から樹脂層をコートするか、透明粘着層を介して平滑な透明フィルムと保護フィルム層の表面凹凸を貼り合わせて、ヘイズを測定することにより測定できる。
本発明の光学部材用保護フィルムの外部ヘイズは1.0〜4.0%であることが好ましい。ヘイズがこの範囲にあることによって、偏光板等との接着性がより良好となり、本発明の光学部材用保護フィルムを表示装置に適用した際に表示装置の鮮明性を向上させることができる。外部ヘイズは、JIS K 7361−1997に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH−300A」)を用いて測定することができる。なお、本発明においては、5回測定を行い、その算術平均値をヘイズの代表値とする。
【0052】
本発明の光学部材用保護フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー,タッチパネルなどの表示装置の表面保護フィルムとして、表示面に直接に貼合することにより、または偏光板保護フィルム、前面板など表示装置に組み込まれる表面部材と置き換えることにより用いることができる。本発明の光学部材用保護フィルムは、偏光板保護用途として好適に用いられる。
本発明の光学部材用保護フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合は、当該フィルムを接着剤を介して偏光子の一面に貼合し、次いで該接着剤を硬化させ、前記フィルムを偏光子に固定することによって偏光板が得られる。
光学部材用保護フィルムに偏光子を貼合するに先立って、当該フィルム側の貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されてもよい。
偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させ、次にホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるものや、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなど、を挙げることができる。また、偏光子として、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子を用いることもできる。この中でも、ポリビニルアルコールを含んでなる偏光子が好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは5μm〜80μmである。
【0053】
光学部材用保護フィルムの一面に偏光子を貼合した後、当該フィルムと接していない側の偏光子に、保護層を積層するのが一般的である。保護層は、本発明の光学部材用保護フィルムであってもよいし、従来から偏光板に用いられているポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、脂環式オレフィンポリマーなどからなる保護層であってもよい。
偏光子に保護層を積層する方法に格別な制限はなく、例えば、保護層となる保護フィルムを必要に応じて接着剤などを介して偏光子と積層する一般的方法を採用することができる。保護層を偏光子に貼合する際の接着剤としては、従来公知の接着剤を用いれば良い。
【0054】
この偏光板を用いて液晶表示装置を製造することができる。液晶表示装置は、通常、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とがこの順に、配置されてなるものである。偏光板は、当該装置の出射側(視認側)および/または入射側(光源側)に備えることができるが、少なくとも出射側に本発明の偏光板を配置することが好ましい。なお、本発明の液晶表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。
【実施例】
【0055】
次に実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、部及び%は特に断りが無い限り重量基準である。なお、実施例において、層の厚さは、フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトーム(大和工業社製、RUB−2100)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察することにより測定した。
【0056】
(参考例1)
(1−1:組成物(A)の調製)
メチルメタクリレート/無水マレイン酸/スチレンの共重合体であるベース樹脂(製品名「デルペット980N」;旭化成ケミカルズ社製、重量平均分子量110,000、数平均分子量63,000、組成(重量比):メチルメタクリレート単位:無水マレイン酸/スチレン単位=8:1:1)に、ポリ(ビニリデンフルオリド)PVDF(重量平均分子量180000、数平均分子量71000)2重量%、PVDF10重量%、ポリビスフェノールAカーボネート(製品名「PC115」、旭化成ケミカルズ社製。以下、PCと略記する。)2重量%、又はPC9.3重量%を添加し、二軸押出機にて、温度220℃、回転数150rpmで混錬し、組成物(A)ペレットを調製した。
【0057】
(1−2:樹脂層(A)のヘイズ)
(1−1)で得た組成物(A)又はベース樹脂のそれぞれを、プレス装置を用い200℃、20MPaにて成形し、未延伸フィルムを成形した。厚さは約200μm又は500μm程度を目標とした2種類とし、成形後に厚さを測定した。サンプルは、各条件のものについてそれぞれ2例ずつ作製した。得られた未延伸フィルムのサンプルについて、ヘイズメーター(NDH2000 日本電色工業社製)にてヘイズを測定し、−logG(=log10(1−ヘイズ測定値))の値を求めた。結果を図3及び図4に示す。
【0058】
図3及び図4において、中黒菱形はベース樹脂であるデルペット980Nのみからなるフィルムの測定結果であり、白抜き四角はPVDFを10%含有する組成物(図3)及びPVDFを2%含有する組成物(図4)のフィルムの測定結果であり、白抜き三角はPCを9.3%含有する組成物(図3)及びPCを2%含有する組成物のフィルムの測定結果(図4)の結果である。
【0059】
さらに、ベース樹脂のみからなるフィルムの内部へイズは0でヘイズの測定結果が外部ヘイズのみによるものであり、また外部ヘイズの値は全サンプルで同一であると仮定して、組成物(A)のフィルムの内部ヘイズを求めた。フィルムの厚さとヘイズとの関係について回帰直線を求め、かかる回帰直線から、フィルムの厚さ30μm及び100μmの場合におけるヘイズを求めた。結果を表1に示す。また、フィルムの厚さ30μmの場合における添加剤添加量とヘイズとの関係をプロットしたグラフを図5に示す。
【0060】
【表1】

(1−3:樹脂層(A)の異方性)
(1−1)と同様にして得た未延伸フィルムのそれぞれを、延伸装置を用い、150℃、延伸速度2.0倍/分、延伸倍率1.5倍又は2.0倍にて、一軸延伸し、延伸フィルムのサンプルを、各条件のものについてそれぞれ2例ずつ作製した。
【0061】
得られた延伸したフィルムのサンプルについて、厚さ方向の複屈折値Rthを、AXOSCAN(商品名、AXOMETRICS社製)にて測定し、また厚さを測定した。これらの値から、樹脂の複屈折性の指標であるΔnth(=Rth/フィルム厚さ)を求めた。
延伸倍率1.5倍の例における、添加剤の添加量とΔnthとの関係を図1に示す。また、延伸倍率2.0倍の例における、添加剤の添加量とΔnthとの関係を図2に示す。図1及び図2において、中黒菱形はPVDFを含有する組成物のフィルムの測定結果を示し、白抜き四角はPCを含有する組成物のフィルムの測定結果を示している。
【0062】
これらの測定結果に加え、ベース樹脂であるデルペット980Nのみからなるフィルムの測定結果を添加量0重量%の測定結果として、PVDFを含有する組成物のフィルム及びPCを含有する組成物のフィルムの、添加量とΔnthとの関係の回帰直線を求め、図1及び図2に、それぞれ実線及び破線で示した。
【0063】
図1〜図5に示す結果から、添加剤としてPVDFを採用し、添加量を2.0〜7.0重量%の範囲、好ましくは3.0〜5.0重量%とすることで、ヘイズを低い値に抑えることができ、且つΔnthをゼロに近い値とすることができることがわかる。
【0064】
(実施例1)
(2−1:未延伸フィルムの調製)
組成物(B)として、メタクリル樹脂(製品名「スミペックスHT55X」、住友化学株式会社製)を目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型一軸押出機に投入し、押出機出口温度250℃で溶融樹脂をマルチマニホールドダイの一方に供給した。
一方、PVDFの割合を4重量%とした他は参考例1の工程(1−1)と同様に操作して組成物(A)を調製した。これを目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度250℃で溶融樹脂をマルチマニホールドダイの他方に供給した。
2種3層の多層共押出装置を使用し、溶融状態の組成物(A)及び組成物(B)をマルチマニホールドダイから250℃で、300mm幅、スリットの間隙が0.5mmのT型ダイスよりシート状にして吐出させ、該シートを90℃の金属ロールで5.0m/分程度の速度で引き取りながら冷却し、樹脂層(B)(45μm)−樹脂層(A)(90μm)−樹脂層(B)(45μm)の三層構成からなる未延伸フィルム1を得た。
【0065】
(2−2:未延伸フィルムの延伸)
(2−1)で得られた未延伸フィルム1を、テンター延伸機を用い、延伸温度150℃で、縦1.5倍に延伸し、続いて横2.0倍に延伸し、逐次2軸延伸を行い、延伸樹脂層(B)(15μm)−延伸樹脂層(A)(30μm)−延伸樹脂層(B)(15μm)の三層構成からなる保護フィルム1を得た。
【0066】
(2−3:評価)
得られた保護フィルム1の面内方向の複屈折値Re及び厚さ方向の複屈折値Rth、並びに内部ヘイズを測定した。Re及びRthは実施例1の(1−3)と同様に行なった。内部ヘイズの測定は、グリセリン(屈折率1.47)で満たした幅50mm光路長5mmの幅広なガラスセル中に45mm幅のフィルムを入れ、そのヘイズ測定値を内部ヘイズとした。。結果を表2に示す。
【0067】
(比較例1)
組成物(A)の調製においてPVDFを添加しなかった他は、実施例1と同様に操作し、保護フィルムを得て評価した。結果を表2に示す。
【0068】
(比較例2)
組成物(A)の調製においてPVDFの割合を10重量%とした他は、実施例1と同様に操作し、保護フィルムを得て評価した。結果を表2に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
(実施例2)
波長380nmにおける屈折率が1.545、波長780nmにおける屈折率が1.521で、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/L及びヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持する。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度99.95%の偏光子Pを得る。この偏光子Pの両面に、実施例1で得た保護フィルム1を一枚ずつ、粘着剤を介して貼付し、偏光板を得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本願参考例1における、フィルムへの添加剤の添加量と、1.5倍延伸フィルムのΔnth値との関係を示すグラフである。
【図2】本願参考例1における、フィルムへの添加剤の添加量と、2.0倍延伸フィルムのΔnth値との関係を示すグラフである。
【図3】本願参考例1における、様々な添加剤を添加した際のシート厚みとヘイズとの関係を示すグラフである。
【図4】本願参考例1における、様々な添加剤を添加した際のシート厚みとヘイズとの関係を示すグラフである。
【図5】本願参考例1における、様々な添加剤の添加量とヘイズとの関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の一方の面に設けられた樹脂層(B1)と、前記樹脂層(A)の他方の面に設けられた樹脂層(B2)とを有するフィルムを延伸してなる光学部材用保護フィルムであって、
前記樹脂層(A)が、
成分(a1):アルキルメタクリレート、無水マレイン酸及びスチレンの共重合体と、成分(a2):ポリ(ビニリデンフルオリド)とを含有し、
前記成分(a2)の含有割合が、前記成分(a1)及び(a2)の合計中2.0〜7.0重量%であり、
前記樹脂層(B1)及び(B2)が、それぞれ(メタ)アクリル樹脂を含有することを特徴とする、光学部材用保護フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部材用保護フィルムであって、
前記成分(a1)の重量平均分子量が60,000〜200,000であり、前記成分(a2)の重量平均分子量が2,000〜200,000である光学部材用保護フィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学部材用保護フィルムであって、
前記延伸の倍率が、1.5〜3.0倍である光学部材用保護フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材用保護フィルムであって、
延伸後の膜厚が20〜100μmである光学部材用保護フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材用保護フィルム及び偏光子を有する偏光板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−44314(P2010−44314A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209725(P2008−209725)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】