説明

光学部材用粘着剤組成物、光学部材用粘着剤、粘着剤層付き光学部材および画像表示装置

【課題】リワーク性と耐久性の両立を達成することができ、また液晶表示板等の画像表示装置に適用した際に色むら・光漏れ現象を抑制することができる光学部材用粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を主成分とする共重合成分〔I〕を共重合して得られるアクリル系樹脂(A)を含有してなる光学部材用粘着剤組成物であり、共重合成分〔I〕としてN−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)を含有してなることを特徴とする光学部材用粘着剤組成物に関わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材用粘着剤組成物、光学部材用粘着剤、粘着剤層付き光学部材および画像表示装置に関する。詳しくは、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に好適に用いられる光学フィルム(偏光フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム)等の光学部材、特に具体的には、偏光フィルムが三酢酸セルロース系フィルム等の保護フィルムで被覆された光学積層体と液晶セルのガラス基板との接着に用いられる光学部材用粘着剤組成物、この粘着剤組成物が架橋されてなる光学部材用粘着剤、この光学部材用粘着剤を含む粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材、とりわけ粘着剤層付き偏光板、さらにこの粘着剤層付き光学部材を含有する画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、偏光性が付与されたポリビニルアルコール系フィルム等の偏光子の両面がセルロース系フィルム等の保護フィルムで被覆された偏光板を、2枚のガラス板の間に配向した液晶成分を有する液晶セルの表面に積層し、液晶表示板とすることが行われており、この液晶セル面への積層は、偏光板表面に設けた粘着剤層を上記液晶セルに当接し、押し付けることにより行われるのが通常である。
【0003】
この粘着剤層を形成する粘着剤には、加工時のミスや異物の噛み込みにより偏光板等の光学部材を液晶セルから剥がす際に、糊残りなく容易に剥がすことができるリワーク性(再剥離性)が求められる。また、高温や高湿度等の過酷な環境に長時間晒されると、粘着剤に起因する剥がれや発泡が生じることがあり、かかる粘着剤層を形成する粘着剤には、耐久性も求められる。さらに、偏光板の経時による寸法変化が起きた際、該粘着剤層が偏光板の寸法変化に追従するため歪みが生じ、粘着剤層中のポリマーが部分的に配向することによって、複屈折が発生してしまい、液晶表示板の周縁部が中央より明るかったり、あるいは暗かったりするなどの色むら・光漏れ現象が発生することとなる。したがって、かかる粘着剤層を形成する粘着剤には、偏光板等の光学部材の寸法変化に伴う応力により発生する色むら・光漏れ現象を抑制できることも求められる。
【0004】
上記課題の解決を目的として、特許文献1には、第3級アミノ基含有モノマー(同文献の段落〔0036〕に記載のアクリレートやアクリルアミドを参照)を共重合させた(メタ)アクリル系ポリマーを含有する光学フィルム用粘着剤組成物が開示され、特許文献2には、特定のシランカップリング剤を含有するアクリル系粘着剤層が積層された粘着型偏光板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−215528号公報
【特許文献2】特開平9−288214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2等の従来の技術では、リワーク性と高温、高湿度下に長時間晒した時の耐久性の両立を達成することが困難であり、リワーク性を向上させると耐久性が悪化し、反対に耐久性を向上させるとリワーク性が悪化するという問題があり、さらなる改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リワーク性と耐久性の両立を達成することができ、また液晶表示板等の画像表示装置に適用した際に色むら・光漏れ現象を抑制することができる光学部材用粘着剤組成物、この粘着剤組成物が架橋されてなる光学部材用粘着剤、この光学部材用粘着剤を含む粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材、この粘着剤層付き光学部材を含有する画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の実情に鑑みて鋭意研究した結果、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー、即ち(メタ)アクリルアミド系モノマーであって、かつアミド結合の窒素に結合したアルキル鎖がアルコキシ基で置換されているモノマーを共重合成分とするアクリル系樹脂を用いることにより、リワーク性と耐久性の両立を達成でき、また画像表示装置に適用した際に色むら・光漏れ現象を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を主成分とする共重合成分〔I〕を共重合して得られるアクリル系樹脂(A)を含有してなる光学部材用粘着剤組成物であり、共重合成分〔I〕としてN−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)を含有してなることを特徴とする光学部材用粘着剤組成物に関するものである。
【0010】
さらには、上記光学部材用粘着剤組成物が架橋されてなる光学部材用粘着剤、この光学部材用粘着剤を含む粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材、この粘着剤層付き光学部材を含有する画像表示装置に関するものである。
【0011】
本発明は以下の態様を含む。
[1] (メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を主成分とする共重合成分〔I〕を共重合して得られるアクリル系樹脂(A)を含有してなる光学部材用粘着剤組成物であり、共重合成分〔I〕としてN−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)を含有してなることを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。
[2] 共重合成分〔I〕として芳香環含有モノマー(a3)およびカルボキシル基含有モノマー(a4)から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする[1]記載の光学部材用粘着剤組成物。
[3] 架橋剤(B)を含有してなることを特徴とする[1]または[2]記載の光学部材用粘着剤組成物。
[4] シランカップリング剤(C)を含有してなることを特徴とする[1]〜[3]いずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
[5] [1]〜[4]いずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物が架橋されてなることを特徴とする光学部材用粘着剤。
[6] 光学部材が偏光板であることを特徴とする[5]記載の光学部材用粘着剤。
[7] [5]または[6]記載の光学部材用粘着剤を含む粘着剤層および光学部材の積層構造を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材。
[8] [7]記載の粘着剤層付き光学部材を含有することを特徴とする画像表示装置。
[9] 光学部材が偏光板であることを特徴とする[7]記載の粘着剤層付き光学部材。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光学部材用粘着剤組成物を架橋して得られる光学部材用粘着剤は、リワーク性に優れるので、加工時のミスや異物の噛み込みにより偏光板等の光学部材を液晶セルなどから剥がす際に、糊残りなく容易に剥がすことができる。また、本発明の粘着剤は、高温、高湿度下に長時間晒した時の耐久性に優れるので、高温、高湿の環境下、及び低温〜高温の環境変化の繰り返しにおいても、光学積層体、とりわけ偏光板とガラス基板との接着性に優れ、粘着剤層とガラス基板との間に発泡や剥離が生じにくい画像表示装置を得ることができる。さらに、本発明の粘着剤を含む粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材は、光学部材の経時による寸法変化が起きた際でも、粘着剤層の複屈折をゼロに近づけることができるので、この粘着剤層付き光学部材を含有する画像表示装置において、色むら・光漏れ現象を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
【0014】
〔光学部材用粘着剤組成物〕
まず、本発明の光学部材用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」とも言う)について説明する。
本発明の粘着剤組成物はアクリル系樹脂(A)を含有してなるものである。
【0015】
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を主成分として、更にN−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)を必須成分として含有し、好ましくは芳香環含有モノマー(a3)およびカルボキシル基含有モノマー(a4)から選択される少なくとも一種を含有する共重合成分〔I〕を共重合してなるものである。
【0016】
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)としては、アルキル基の炭素数が、通常1〜20、特には1〜12、更には1〜8、殊には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0017】
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、更に好ましく耐久性に優れる点でn−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0018】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を「主成分とする」とは、メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)が共重合成分〔I〕全体に対して、50重量%以上含有されることを意味する。かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の共重合成分〔I〕全体に対する含有割合は、好ましくは50〜97重量%、特に好ましくは60〜95重量%、更に好ましくは80〜93重量%である。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有割合が少なすぎると、粘着剤組成物を架橋させて粘着剤として使用した場合に粘着力が不足する傾向にある。
【0019】
N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)としては、アルコキシ基の炭素数が、通常1〜10、特には1〜8、更には1〜6、殊には1〜4であり、アルキル基の炭素数が、通常1〜6、特には1〜4、更には1〜2、殊には1であることが好ましく、具体的には、例えば、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらの中でもN−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)アクリルアミドを用いることが、耐久性、リワーク性にバランスよく優れる点で好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0020】
かかるN−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)の共重合成分〔I〕全体に対する含有割合は、好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.3〜2重量%、更に好ましくは0.3〜1重量%である。
かかるN−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)の含有割合が少なすぎると、凝集力が不足することにより、耐久性及びリワーク性が低下する傾向があり、多すぎると、粘度が高くなったり、樹脂の安定性が低下する傾向がある。
【0021】
芳香環含有モノマー(a3)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、フェニルジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレートを用いることが耐光漏れ性に優れる点で好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0022】
芳香環含有モノマー(a3)の共重合成分〔I〕全体に対する含有割合は、好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは3〜15重量%、更に好ましくは5〜15重量%である。
芳香環含有モノマー(a3)の含有割合が少なすぎると、耐光漏れ性(光漏れを抑制する性能)が低下しやすい傾向があり、多すぎると、耐光漏れ性を低下させたり、アクリル系樹脂の粘着性能に劣ったり、重合の安定性が低下する傾向がある。
【0023】
カルボキシル基含有モノマー(a4)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0024】
カルボキシル基含有モノマー(a4)の共重合成分〔I〕全体に対する含有割合は、好ましくは1.5重量%以下、特に好ましくは0.05〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.6重量%である。
カルボキシル基含有モノマー(a4)の含有割合が少なすぎると、凝集力が不足することにより、耐久性能が低下する傾向にあり、多すぎると、粘度が高くなったり、樹脂の安定性が悪くなる傾向にある。
【0025】
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、上記(a1)〜(a4)のモノマーに加えて、その他の共重合性モノマー(a5)を共重合成分〔I〕とするものであってもよい。かかるその他の共重合性モノマー(a5)としては、例えば、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられ、これらの中でも、効率的に架橋反応ができる点で水酸基含有モノマーが好ましく用いられる。
【0026】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
【0027】
水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましい。更には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
【0028】
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5重量%以下のものを用いることも好ましく、更に好ましくは0.2重量%以下、殊に好ましくは0.1重量%以下であり、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いることが好ましい。
【0029】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0031】
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0032】
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
【0033】
その他の共重合性モノマー(a5)の他の例としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール- モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基およびオキシアルキレン基を含有するモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
【0034】
その他の共重合性モノマー(a5)の共重合成分〔I〕全体に対する含有割合は、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは0.5〜3重量%、更に好ましくは0.4〜1.6重量%である。
その他共重合性モノマー(a5)の含有割合が多すぎると、本発明の効果が得難くなる傾向にある。
【0035】
本発明においては、その他の共重合性モノマー(a5)として、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)以外のアミド系モノマー(即ち、アルコキシアルキル基を持たないアミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)を、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合成分〔I〕として併用してもよい。
なお、上記共重合性モノマー(a5)として、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)以外のアミド系モノマーを併用する場合、その含有量は、共重合成分〔I〕全体に対して、通常0.1〜2重量%、好ましくは0.3〜1重量%以下であればよく、または、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)に対して、0〜100重量%、好ましくは0〜50重量%、特に好ましくは0〜20重量%であればよい。
【0036】
また、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)とカルボキシル基含有モノマー(a4)との合計の含有割合は、共重合成分〔I〕全体に対して好ましくは4重量%以下、特に好ましくは0.3〜2重量%、更に好ましくは0.4〜1.6重量%である。
かかる(a2)と(a4)との合計の含有割合が多すぎると、粘度が高くなりすぎたり、樹脂の安定性が低下する傾向がある。
【0037】
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ) アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
【0038】
本発明においては、上記(a1)および(a2)のモノマーを少なくとも含有し、好ましくは(a3)、(a4)のモノマー、必要に応じて(a5)のモノマーをさらに含有する共重合成分〔I〕を共重合することによりアクリル系樹脂(A)を製造するのであるが、かかる共重合は、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行なうことができる。例えば、有機溶媒中に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)、芳香環含有モノマー(a3)、カルボキシル基含有モノマー(a4)、その他の共重合性モノマー(a5)等の重合性モノマー、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜90℃で2〜20時間重合する。
【0039】
かかる重合に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
【0040】
かかるラジカル共重合に使用する重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が具体例として挙げられる。
【0041】
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)については、通常40万〜200万、好ましくは45万〜190万、特に好ましくは50万〜180万である。重量平均分子量が小さすぎると、耐久性能が低下する傾向があり、大きすぎると希釈溶剤を大量に必要とし、塗工性やコストの面で好ましくない傾向となる。
【0042】
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、20以下であることが好ましく、特には15以下が好ましく、更には10以下が好ましく、殊には7以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常2である。
【0043】
更に、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、−80〜−20℃、特には−75〜−30℃、更には−60〜−40℃であることが好ましく、ガラス転移温度が高すぎるとタックが不足する傾向があり、低すぎると耐熱性に低下する傾向がある。
【0044】
尚、上記の重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量(Mn)も同様の方法を用いることができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。またガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
【0045】
【数1】

【0046】
Tg :共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
【0047】
本発明においては、上記アクリル系樹脂(A)を必須成分として含有する光学部材用粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤を提供するものであるが、光学部材用粘着剤組成物が、更に架橋剤(B)を含有し、架橋剤により架橋されることにより得られる粘着剤であることが好ましい。
【0048】
かかる架橋剤(B)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。これらの中でも、基材との密着性を向上させる点やベースポリマーとの反応性の点で、イソシアネート系架橋剤が好適に用いられる。
【0049】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0050】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0051】
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
【0052】
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0053】
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0054】
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
【0055】
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
【0056】
また、これらの架橋剤(B)は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
上記架橋剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜2.5重量部である。架橋剤(B)が少なすぎると、凝集力が不足し、充分な耐久性が得られない傾向がみられ、多すぎると柔軟性、および粘着力が低下し、耐久性が低下し、剥離が起こりやすくなるため光学部材としての使用が困難となる傾向がみられる。
【0058】
本発明においては、光学部材用粘着剤組成物の構成成分として、更にシランカップリング剤(C)を含有させることが、光学部材に対する密着性が向上する点で好ましい。
【0059】
かかるシランカップリング剤(C)としては、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、水酸基含有シランカップリング剤、カルボキシル基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、アミド基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エポキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤が好ましく用いられ、エポキシ基含有シランカップリング剤とメルカプト基含有シランカップリング剤を併用することも、湿熱耐久性の向上と粘着力が上がり過ぎない点で好ましい。
【0060】
上記エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(グリシジル)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられるが、中でも好ましいのはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。
【0061】
上記メルカプト基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等が挙げられる。
【0062】
シランカップリング剤(C)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.001〜10重量部であり、好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.03〜0.8重量部である。かかるシランカップリング剤(C)の含有量が少なすぎると、添加効果が得られない傾向があり、多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し接着力や凝集力が得られなくなる傾向がある。
【0063】
本発明においては、さらに、不飽和基含有化合物(D)および重合開始剤(E)を含有させ、光学部材用粘着剤組成物を活性エネルギー線および/または熱(活性エネルギー線照射および/または加熱)により架橋することもできる。
【0064】
上記活性エネルギー線および/または熱(活性エネルギー線照射および/または加熱)により架橋する場合には、不飽和基含有化合物(D)および重合開始剤(E)を含有する光学部材用粘着剤組成物を用いる。このように、不飽和基含有化合物(D)を含有することにより、架橋を調整することができ、光学部材用途に適した粘着物性を実現することが可能となるのである。また、上記重合開始剤(E)を含有することにより、活性エネルギー線照射時および/または加熱時の反応を安定化させることができる。
【0065】
上記架橋の場合は、不飽和基含有化合物(D)が活性エネルギー線および/または熱により重合(ポリマー化)されて、アクリル系樹脂(A)との架橋(物理架橋)が行なわれる。アクリル系樹脂(A)が、不飽和基含有アクリル系樹脂である場合には、活性エネルギー線および/または熱による不飽和基含有化合物(D)のポリマー化に限らず、不飽和基含有アクリル系樹脂(A)と不飽和基含有化合物(D)とのポリマー化等に伴う架橋も生じることとなる。
【0066】
上記不飽和基含有化合物(D)としては、1分子中に1つの不飽和基を有する単官能の不飽和基含有化合物であってもよいし、1分子中に2つ以上の不飽和基を有する多官能の不飽和基含有化合物であってもよいが、好ましくは2つ以上の不飽和基を有する不飽和基含有化合物、より好ましくは3つ以上の不飽和基を有する不飽和基含有化合物であることが活性エネルギー線照射時の硬化性の点で好ましい。
【0067】
上記不飽和基含有化合物(D)の構造としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物や、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を含有するエチレン性不飽和モノマー、例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマー等を用いることができる。これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(d1)、エチレン性不飽和モノマー(d2)を用いることが硬化速度や到達物性の安定性に優れる点で好ましい。
【0068】
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(d1)は、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系化合物であり、水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート化合物(必要に応じて、ポリオール系化合物)を公知一般の方法により反応させて得られるものを用いればよく、その重量平均分子量としては、通常300〜4000のものを用いることができる。
【0069】
本発明で用いられるエチレン性不飽和モノマー(d2)としては、公知一般の単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマー等を用いることができる。
【0070】
上記不飽和基含有化合物(D)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.5〜99重量部が好ましく、より好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは8〜30重量部である。上記不飽和基含有化合物(D)の含有量が多すぎると、樹脂との相溶性が低下し、塗膜が白化する傾向が見られ、少なすぎると粘着剤の架橋密度が不充分となり、耐光漏れ性や耐久性が低下する傾向がある。
【0071】
前記重合開始剤(E)としては、例えば、光重合開始剤(e1)、熱重合開始剤(e2)等の種々の重合開始剤を用いることが可能であるが、特には光重合開始剤(e1)を使用することが、ごく短時間の紫外線等の活性エネルギー線照射により架橋(硬化)させることが可能となる点で好ましい。
【0072】
また、上記光重合開始剤(e1)を用いるときは、活性エネルギー線照射により光学部材用粘着剤組成物を架橋させ、熱重合開始剤(e2)を用いるときは、加熱により光学部材用粘着剤組成物を架橋させるのであるが、必要に応じて、両方を併用することも好ましい。
【0073】
上記光重合開始剤(e1)および上記熱重合開始剤(e2)としては、特に限定されるものではなく、公知一般の光重合開始剤、熱重合開始剤を用いることができる。
【0074】
上記重合開始剤(E)の含有量については、前記アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、特に好ましくは0.1〜7重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。上記重合開始剤(E)の含有量が少なすぎると、硬化性に乏しく物性が安定しなくなる傾向がみられ、多すぎてもそれ以上の効果が得られない傾向がみられる。
【0075】
また、本発明の光学部材用粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに帯電防止剤、アクリル系樹脂(A)以外のアクリル系粘着剤等のその他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の従来公知の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。
また、上記添加剤の他にも、光学部材用粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであっても良い。
【0076】
上記帯電防止剤としては、例えば、イミダゾリウム塩、テトラアルキルアンモニウムスルホン酸塩等の第4級アンモニウム塩のカチオン型帯電防止剤;脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等のアニオン型帯電防止剤;カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドや塩化リチウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0077】
なお、本発明においては、光学部材用粘着剤組成物が、アクリル系樹脂(A)を主成分とするものであることが好ましく、ここで「主成分とする」とは、上記アクリル系樹脂(A)を光学部材用粘着剤組成物全量に対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有することを意味する。なお、アクリル系樹脂(A)の含有量の上限は通常99.9重量%である。
【0078】
かくして本発明で用いられる光学部材用粘着剤組成物が得られ、そして、かかる光学部材用粘着剤組成物が架橋されて本発明の光学部材用粘着剤となるのである。
【0079】
〔光学部材用粘着剤〕
本発明においては、上記光学部材用粘着剤組成物が架橋されてなる光学部材用粘着剤のゲル分率が、耐久性能と耐光漏れ性がバランスよく優れる点から、60〜95%であることが好ましく、特に好ましくは65〜90%であり、更に好ましくは70〜85%である。ゲル分率が低すぎると凝集力が不足することに起因する耐久性不足が起こりやすい傾向にあり、ゲル分率が高すぎると凝集力が上がりすぎ、耐久性試験において、剥がれが生じる傾向がある。
【0080】
なお、粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、架橋剤の種類と量を調整すること、組成物中の水酸基とカルボキシル基の組成比を調整すること等により達成される。また、かかる架橋剤と官能基量との割合は、それぞれの相互作用によりゲル分率が変化するので、それぞれバランスをとることが必要になる。
【0081】
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。即ち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の、トルエン浸漬前の粘着剤層に対する重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
【0082】
本発明の光学部材用粘着剤は、ディスプレイやそれを構成する光学部品を概念的に包含する光学部材に用いられる。ディスプレイとしては、ワープロ、コンピュータ、携帯電話、テレビ等の各種ディスプレイが挙げられ、光学部品としては、偏光板やそれに準ずる光学積層体等が挙げられる。本発明の光学部材用粘着剤は、後述する粘着剤層付き光学部材以外にも、様々な利用が可能である。特に本発明の光学部材用粘着剤は、リワーク性と耐久性に優れることから、液晶画面等の画面を保護するための保護シートの粘着剤としても有用である。なお、本発明の光学部材用粘着剤は、電子基板等の一時表面保護用粘着剤、両面テープ用粘着剤、メディカル用粘着剤、表面保護用粘着剤、一般ラベル用粘着剤、玩具向けシール用粘着剤、装飾シール用粘着剤、凹凸追従性粘着剤として用いることも可能である。
【0083】
〔粘着剤層付き光学部材〕
本発明においては、上記光学部材用粘着剤を含む粘着剤層を光学部材(例えば、光学積層体)の片面または両面に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。
【0084】
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材側の面とは逆の面(露出面)に、さらに離型シートを設けることが好ましい。
【0085】
また、粘着剤層付き光学部材を実用に供する際には、上記離型シートを剥離して用いられる。そして、上記離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
【0086】
また、粘着剤層付き光学部材を作製するに際して、光学部材用粘着剤組成物を架橋させる方法としては、〔1〕光学部材上に、光学部材用粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、離型シートを貼合し、エージング処理を行なう方法、〔2〕離型シート上に、光学部材用粘着剤組成物を塗布し、乾燥した後、光学部材を貼合し、エージング処理を行なう方法が挙げられる。これらの中でも、〔2〕の方法が光学部材を痛めない点、作業性や安定製造の点で好ましい。
【0087】
上記エージング処理は、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は通常、室温〜70℃、時間は通常1日〜30日間であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、23℃で3日〜10日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
【0088】
上記光学部材用粘着剤組成物の塗布に際しては、この光学部材用粘着剤組成物を溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。また、上記溶剤としては、光学部材用粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
【0089】
また、上記光学部材用粘着剤組成物の塗布に関しては、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行なうことができる。
【0090】
また、得られる粘着剤層付き光学部材における粘着剤層の厚みは、通常5〜300μmが好ましく、特には10〜50μmが好ましく、更には12〜30μmが好ましい。この粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると光学部材全体の厚みが厚すぎてしまう傾向がある。
【0091】
本発明の粘着剤層付き光学部材は、離型シートを有するものは離型シートを剥がした後、粘着剤層面を例えば液晶セルのガラス基板に貼合して、液晶表示装置に供されるのである。
【0092】
本発明の粘着剤層付き光学部材における光学部材としては、特に限定されることなく、液晶表示装置等の画像表示装置に好適に用いられる光学フィルム、例えば、偏光板や位相差板、楕円偏光板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、さらにはこれらが積層された光学積層体等が挙げられる。中でも特に偏光板であることが本発明では有効である。
【0093】
本発明で用いられる偏光板は、通常、偏光フィルムの両面に三酢酸セルロース系フィルムを保護フィルムとして積層したものであり、上記偏光フィルムとしては、平均重合度が1,500〜10,000、ケン化度が85〜100モル%のポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムを原反フィルムとして、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液あるいは二色性染料により染色された一軸延伸フィルム(通常、2〜10倍、好ましくは3〜7倍程度の延伸倍率)が用いられる。
【0094】
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、少量の不飽和カルボン酸(その塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。また、ポリビニルアルコールを酸の存在下でアルデヒド類と反応させた、例えば、ポリブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂およびポリビニルアルコール誘導体も挙げられる。
【0095】
〔画像表示装置〕
本発明の粘着剤層付き光学部材は、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP、電子ペーパ、LEDパネル等の画像表示装置に好適に使用することができる。本発明の粘着剤層付き光学部材を含有する画像表示装置は、高温、高湿の環境下、及び低温〜高温の環境変化の繰り返しにおいても、粘着剤層と画像表示装置との間に発泡や剥離が生じにくい。また、偏光板等の光学部材の寸法変化に伴う応力により発生する色むら・光漏れ現象を抑制することができる。したがって、画像表示装置の表示品位を維持することができる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0097】
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂(A)を調製した。なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量及び数平均分子量の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
【0098】
〔アクリル系樹脂(A)の調製〕
実施例1〜13については、還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、表1に記載された量の各モノマー(a1)〜(a5)、酢酸エチル80部、アセトン40部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.03部を加え、酢酸エチル還流温度で3時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A)溶液をそれぞれ得た。
【0099】
実施例14については、還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル120部を仕込み、撹拌しながら昇温し、内温が75℃になったら、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.05部を酢酸エチル5部に溶かした溶液を全量添加した。その後、内温を74〜76℃に保ちながら、ブチルアクリレート(a1)90.4部、フェニルジエチレングリコールアクリレート(a3)8部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a5)1部、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド(a2)0.5部、アクリル酸(a4)0.4部の混合溶液を2時間かけて反応系内に滴下した。その後、内温74〜76℃で5時間重合させた後、酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂(A)溶液を得た。
【0100】
なお、比較例1〜3については、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)に代えて、表1に記載された量のその他共重合性モノマー(アミドまたはアミン化合物)(a5)を加え、比較例4についてはモノマー(a2)を加えなかったことを除いて、実施例1〜14と同様にしてアクリル系樹脂(A)溶液をそれぞれ得た。
【0101】
上記で得られた各アクリル系樹脂(A)溶液の重量平均分子量、数平均分子量を表1に示す。
【0102】
表1の記号が示すモノマーは下記のとおりである。
BA:ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
BMAA:N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド
MMAA:N−(メトキシメチル)アクリルアミド
IBMAA:N−(iso―ブトキシメチル)アクリルアミド
PEA2:フェニルジエチレングリコールアクリレート(共栄社製、商品名「ライトアクリレートP2HA」)
PEA:フェノキシエチルアクリレート
AAc:アクリル酸
β−CEA:カルボキシエチルアクリレート(混合物)
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
DMAA:ジメチルアミノアクリルアミド
DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート
【0103】
〔架橋剤(B)〕
架橋剤(B)として、以下のものを用意した。
・トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物の55%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製、「コロネートL−55E」)(KL−55E)
【0104】
〔シランカップリング剤(C)〕
シランカップリング剤(C)として、以下のものを用意した。
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランポリオール(信越化学社製「X−41−1805」)
【0105】
〔帯電防止剤〕
帯電防止剤として、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(KFSI)を用意した。
【0106】
〔実施例1〜14、比較例1〜4〕
上記のようにして調製、準備した各配合成分を表1に示す割合で配合することにより光学部材用粘着剤形成材料となる粘着剤組成物を調製し、これをメチルエチルケトンにて希釈し(粘度〔500〜1000mPa・s(25℃)〕)粘着剤組成物溶液を作製した。
【0107】
そして、上記粘着剤組成物溶液を、ポリエステル系離型シートに、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、90℃で3分間乾燥した後、形成された粘着剤組成物層側をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み38μm)上に転写し、その後、温度23℃×相対湿度65%の条件下で10日間エージングさせて粘着剤層付きPETフィルムを得た。
【0108】
このようにして得られた粘着剤層付きPETフィルムを用いて、ゲル分率、表面抵抗率を下記に示す各方法に従って測定・評価した。これらの結果を表2に示した。
【0109】
〔ゲル分率の測定方法〕
得られた粘着剤層付きPETフィルムを40×40mmの大きさに切断した後、離型シートを剥がし粘着剤層側を50×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合した。SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、トルエン250gの入った密封容器にて浸漬した際の重量変化にてゲル分率の測定を行なった。
【0110】
〔表面抵抗率の測定方法〕
得られた粘着剤層付きPETフィルムを40×40mmの大きさに切断した後、これを温度23℃×相対湿度65%の条件下に3時間放置し調湿した。離型シートを剥がして10〜20秒後の粘着剤層について、抵抗率計(三菱化学社製、ハリレエスターUP)を用いて表面抵抗率を測定した。なお、表面抵抗率が小さいほど帯電防止性能が高いことを意味する。
【0111】
〔粘着剤層付き偏光板の調製〕
実施例1〜14、比較例1〜4の粘着剤組成物溶液を、ポリエステル系離型シートに、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、90℃で3分間乾燥した後、形成された粘着剤組成物層を偏光板(厚み190μm)上に転写し、その後、温度23℃×相対湿度65%の条件下で10日間エージングさせて粘着剤層付き偏光板を得た。
なお、上記偏光板は、延伸軸に対して45°になるようにカットして使用した。
【0112】
このようにして得られた粘着剤層付き偏光板を用いて、リワーク性、耐光漏れ性、耐久性(耐熱試験、耐湿熱試験、ヒートサイクル試験)を下記に示す各方法に従って測定・評価した。これらの結果を表2に示す。
【0113】
〔リワーク性〕
作製した粘着剤層付き偏光板について、幅25mm幅に裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、イーグルXG)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合した。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行い、50℃環境下で48時間放置した後、23℃環境下に30分放置後、180°剥離試験を行った。リワーク性においては粘着力が適度に小さいことが望まれ、48時間後で10N/25mm程度が目標となる。下記の基準で評価した。
【0114】
(評価基準)
◎:10N/25mm未満
○:10N/25mm以上、15N/25mm未満
△:15N/25mm以上、20N/25mm未満
×:20N/25mm以上
【0115】
〔耐光漏れ性〕
得られた粘着剤層付き偏光板を80℃、1000時間放置した後に、偏光板がクロスニコルになるように表と裏の両面に同じサンプルを貼合した光漏れ観察用サンプルを作製し
た。バックライトを当てて目視確認をして、下記の基準で評価した。
【0116】
(評価基準)
◎:全く光漏れが認められない。
○:僅かに光漏れが認められる。
△:実用に支障があるかもしれない程度の光漏れが認められる。
×:光漏れが酷い。
【0117】
〔耐久性〕
得られた粘着剤層付き偏光板の離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、イーグルXG)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合した後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行ない、その後、下記(1)〜(3)の耐久試験(耐熱試験、耐湿熱試験、ヒートサイクル試験)において発泡、剥がれ、浮きの評価を行なった。なお、使用した試験片のサイズは20cm×15cmであった。
【0118】
(1)耐熱試験
90℃、2000時間の耐久試験
(2)耐湿熱試験
60℃、相対湿度(R.H.)90%、2000時間の耐久試験
(3)ヒートサイクル試験
−35℃で30分間放置した後、70℃で30分間放置する操作を1サイクルとして、1000サイクル行なう耐久試験
【0119】
〔評価基準〕
(発泡)
◎:発泡なし
○:発泡がほとんど見られない
△:発泡がわずかに見られる
×:発泡が多く見られる
(剥離)
○:0.5mm未満の剥がれ、もしくは0.5mm未満の浮き跡の発生
△:0.5mm以上10mm未満の剥がれ、もしくは0.5mm以上10mm未満の浮き跡の発生
×:10mm以上の剥がれ、もしくは10mm以上の浮き跡の発生
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)を含有する実施例1〜14の粘着剤層付き偏光板では、いずれもリワーク性と高温、高湿度下に長時間晒した時の耐久性の両立を達成できることがわかる。
一方、N−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)に代えて、特許文献2等に記載のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを用いた比較例1では、リワーク性は優れるものの、耐久性が劣るものであった。また、モノマー(a2)に代えて、特許文献1等に記載の第3級アミノ基含有モノマー(アクリレート、アクリルアミド)を用いた比較例2,3では、リワーク性、耐久性が共に劣るものであった。さらに、モノマー(a2)を用いなかった比較例4では、リワーク性は優れるものの、耐久性が不十分であった。
【0123】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2010年10月12日出願の日本特許出願(特願2010‐229885)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の光学部材用粘着剤組成物を用いることにより、リワーク性と耐久性に優れた光学部材用粘着剤を得ることができる。さらに本発明の光学部材用粘着剤を用いることにより、液晶表示板等の画像表示装置において、色むら・光漏れ現象を抑制することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を主成分とする共重合成分〔I〕を共重合して得られるアクリル系樹脂(A)を含有してなる光学部材用粘着剤組成物であり、共重合成分〔I〕としてN−(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド系モノマー(a2)を含有してなることを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。
【請求項2】
共重合成分〔I〕として芳香環含有モノマー(a3)およびカルボキシル基含有モノマー(a4)から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項3】
架橋剤(B)を含有してなることを特徴とする請求項1または2記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項4】
シランカップリング剤(C)を含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項に記載の光学部材用粘着剤組成物が架橋されてなることを特徴とする光学部材用粘着剤。
【請求項6】
光学部材が偏光板であることを特徴とする請求項5記載の光学部材用粘着剤。
【請求項7】
請求項5または6記載の光学部材用粘着剤を含む粘着剤層および光学部材の積層構造を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材。
【請求項8】
請求項7記載の粘着剤層付き光学部材を含有することを特徴とする画像表示装置。

【公開番号】特開2012−102322(P2012−102322A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222829(P2011−222829)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】