説明

光強度コントローラ

【課題】 加入者における伝送容量増大の要求は年々高まっているが、強度ばらつきの大きなバースト信号は、受信器におけるビットレート向上の妨げになっていた。
【解決手段】 入力した光信号の一部を分岐する光信号分岐手段と、前記光信号分岐手段により分岐された光信号の強度をモニタする光強度モニタと、前記光信号を減衰させ、該減衰量を駆動信号により可変できる可変光減衰器と、前記光信号分岐手段と前記可変光減衰器との間に設置される光信号遅延手段と、前記光強度モニタによりモニタされる前記強度に応じた出力信号の強度となるように前記可変光減衰器を駆動する制御手段とを含み、ディジタル処理により可変光減衰器を駆動するタイミング制御を行うにより、バースト光信号入力時も適切な強度コントロールを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光強度コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
加入者系光ネットワークにおいては、Passive Optical Network(PON)が広く採用されている。PONでは、Optical Line Terminal(OLT)と呼ばれる配信局に繋がる1本の光ファイバをスプリッタにより多数分岐して多数の加入者と接続することにより、光ファイバを多くの加入者で共有して加入者当たりのコストを削減している。一般的には、加入者が常時信号を発信することはないため、加入者から発信される信号は図2に示すようなビット信号が束となった間欠的な信号(バースト信号)となる。
【0003】
加入者から発信されるバースト信号は、スプリッタにより1本のファイバに結合されてOLTに送られる。しかし、各加入者からスプリッタまでの距離の違い、各加入者の機器の個体差、接続状態の違いによる過剰損失のばらつきなどにより、OLTに送られる各バースト信号の強度はばらついてしまう。
【0004】
一方、加入者における伝送容量増大の要求は年々高まっており、加入者からの送信ビットレートも高くなっている。ビットレートが上がると、OLT側の光信号受信機も高速受信する必要が生じるが、高速化により受光できる光信号強度のダイナミックレンジは小さくなってしまう。前述の如く、OLTに送られるバースト信号の強度にばらつきがある場合、ビットレートの高い信号を受信することが困難になる。
【0005】
そこで、自動光強度コントローラと呼ばれる光強度を自動制御により一定な強度で出力する装置をOLTにおいて光信号を受信する前段に配置することにより、光受信機のダイナミックレンジが小さくても受信できるようになる。すなわち、ビットレートの高い信号の受信が可能になる。
【0006】
自動光強度コントローラとしては、図3に示すように、可変光減衰器と後段に配置する光分岐要素、さらには前記光分岐要素で分岐された光信号を電気信号に変換するモニタにより構成され、前記モニタにより得られた光強度情報に応じて可変光減衰機を駆動する制御を行う装置が非特許文献1に記載されている。
【0007】
非特許文献1では、前記可変光減衰器の後段に配置され、光信号を電気信号に変換するモニタにより得られた光強度情報に応じて可変光減衰機を駆動するフィードバック制御方式により一定な強度の光信号を出力する方法が用いられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】 「電気光学型可変光減衰器を用いた高速光オートレベルコントローラの開発」2006年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会(C−3−24)
【発明の概要】

【本発明が解決しようとする課題】
【0009】
多数の加入者からのバースト信号がスプリッタにより1本の光ファイバに結合すると、図4に示すような様々な強度のバースト信号が次々とOLTに入力する。各バースト信号間はガードタイムと呼ばれる信号の存在しない時間により分離されているが、容量を大きくするためには信号の存在しないガードタイムは出来るだけ短くするのが好ましい。しかし、非特許文献1の方法では、フィードバック制御方式を用いており、被制御物である可変光減衰器の応答時間の10倍以上の制御時間を必要とするため、バースト信号のように急激な強度変動を瞬時に制御することは困難であった。
【0010】
本発明は、以上のような実情を鑑み、様々な強度のバースト信号が入力したときも、瞬時に一定の強度に自動制御されたバースト信号として出力する光強度コントローラを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の光強度コントローラは、入力した光信号の一部を分岐する光信号分岐手段と、前記光信号分岐手段により分岐された光信号の強度をモニタする光強度モニタと、前記光信号を減衰させ、該減衰量を駆動信号により可変できる可変光減衰器と、前記光信号分岐手段と前記可変光減衰器との間に設置される光信号遅延手段と、前記光強度モニタによりモニタされる前記強度に応じた出力信号の強度となるように前記可変光減衰器を駆動する制御手段とを含むことを特徴としている。
【0012】
ここで「光信号の強度をモニタする光強度モニタ」とは、光信号を電圧、電流、電力など電気信号の形態に変換するモニタ手段を意味する。また、「可変光減衰器」とは、入力された光信号を減衰させ、その減衰量は与える制御信号により可変できる手段を意味する。応答時間は1マイクロ秒以内の高速駆動型が好ましいため、可変減衰素子としては、電気光学材料、電界吸収材料、半導体材料、音響光学材料など高速応答が可能な素子が挙げられるがその限りではない。可変光減衰器に与える駆動信号は、電圧、電流、電力、光のいずれでも構わない。さらに、「光信号遅延手段」とは、光信号が前記光信号分岐手段から前記可変光減衰器に進む間に少なくとも20ナノ秒以上の時間的な遅延を与える手段を意味する。また、「前記光強度モニタによりモニタされる前記強度に応じた出力信号の強度となるように前記可変光減衰器を駆動する制御手段」とは、入力信号強度に応じて可変光減衰器を駆動するフィードフォーワード制御手段を意味する。入力信号強度に応じて可変光減衰器を駆動するための制御信号生成手段としては、予め予備測定などにより得た可変光減衰器の電気信号入力と減衰量の関係を、アナログ回路またはディジタル回路から構成される演算回路により実現する方法、または、予め予備測定などにより得た可変光減衰器の電気信号入力と減衰量の関係をテーブル情報としてメモリに格納し、必要に応じて前記テーブル情報を引き出す方法が挙げられる。
【0013】
本発明の請求項2に記載の光強度コントローラは、前記入力した光信号がバースト光信号であることを特徴とする請求項1に記載の光強度コントローラである。
【0014】
ここで「バースト光信号」とは、図2に記載するように、信号が含まれないガードタイムに挟まれたビット信号の束を意味する。
【0015】
本発明の請求項3に記載の光強度コントローラは、前記制御手段において、前記バースト光信号の立ち上がりまたは前記バースト光信号の立ち下がりを検知する検知手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光強度コントローラである。
【0016】
ここで、「バースト光信号の立ち上がり」とは、バースト光信号が所定の強度の10%を超えてからバースト光信号が所定の強度の90%を超えるまでの状態を意味し、「バースト光信号の立ち下がり」とは、バースト光信号が所定の強度の90%以下となってからバースト光信号が所定の強度の10%以下となるまでの状態を意味する。
【0017】
本発明の請求項4に記載の光強度コントローラは、前記光信号遅延手段において、前記バースト光信号の立ち上がりが前記可変光減衰器への入力されるタイミングよりも、前記検知手段が前記バースト光信号の立ち上がりを検知し前記制御手段から前記可変光減衰器に出力される駆動信号に対する前期可変光減衰器の応答が完了するタイミングの方が遅くなるように光信号遅延量が設定されることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の光強度コントローラである。
【0018】
本発明の請求項5に記載の光強度コントローラは、前記光遅延手段が、10m以上の光ファイバであることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の光強度コントローラである。
【0019】
本発明の請求項6に記載の光強度コントローラは、前記制御手段において、前記可変光減衰器への駆動信号出力を遅延させる遅延手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光強度コントローラである。
【0020】
本発明の請求項7に記載の光強度コントローラは、前記遅延手段において、前記バースト光信号の立ち下がりが前記可変光減衰器への入力されるタイミングよりも、前記検知手段が前記バースト光信号の立ち下がりを検知し、前記制御手段から前記可変光減衰器に出力される駆動信号に対する前期可変光減衰器の応答が開始するタイミングの方が遅くなるように遅延量が設定されることを特徴とする請求項1から請求項6に記載の光強度コントローラである。
【0021】
一例として、図1に示すような構成を示す。入力光信号201は、光信号分岐手段111により、主信号22とモニタ信号211に分離され、モニタ信号211は強度モニタ131で光信号から電気信号231に変換され、制御手段14を通って、駆動信号25として可変光減衰器10へ与えられる。一方、主信号22は、光信号遅延手段12によって遅延されるため、主信号22が可変光減衰器に到着する前に、前記モニタ信号211は駆動信号25に変換され、可変光減衰器10に与えられ、可変光減衰器の応答まで完了しているように、光信号遅延手段12による遅延時間が設定されている。
【0022】
さらに、制御手段14は、図5に示すように構成される。制御手段14に入力する電気信号231は、A/Dコンバータ16によりディジタル信号232に変換され、ディジタル制御回路18に入力し、遅延時間および出力強度が決定される。ディジタル制御回路18を経た出力ディジタル信号232はD/Aコンバータ17により、アナログ信号に変換され、ドライバ15により、可変光減衰器10を駆動する駆動信号25が生成される。
【0023】
また、ディジタル制御回路18では、バースト信号の立ち上がりと立ち下がりを判別し、判別結果に応じた遅延を信号に与え、さらに所定の光信号出力となるように可変光減衰器を制御するための駆動信号を出力する。
【0024】
本発明の請求項8に記載の光強度コントローラは、請求項1から請求項7のいずれかに記載の光強度コントローラであって、入力した光信号の一部を分岐する第一の光信号分岐手段と、前記第一の光信号分岐手段により分岐された光信号の強度をモニタする第一の光強度モニタと、前記光信号を減衰させ、該減衰量を駆動信号により可変できる可変光減衰器と、前記光信号分岐手段と前記可変光減衰器との間に設置される光信号遅延手段と、前記第一の光強度モニタによりモニタされる前記強度に応じた出力信号の強度となるように前記可変光減衰器を駆動する制御手段とを含み、前記可変光減衰器から出力する出力光信号の一部を分岐する第二の光信号分岐手段と、前記第二の光信号分岐手段により分岐された光信号をモニタする第二の強度モニタとを含み、前記第二の強度モニタによるモニタ値と出力光信号強度設定値と差分と、前記制御手段から前記可変光減衰器に出力される駆動信号の和に応じた出力信号の強度になるように前記可変光減衰器を駆動することを特徴とする光強度コントローラである。
【0025】
一例として、図6に示すような構成を示す。第二の強度モニタ132を設け、出力光強度モニタによりフィードバック制御を行う。
【0026】
本発明の請求項9に記載の光強度コントローラは、請求項1から請求項8のいずれかに記載の光装置の前段に、自動利得制御機能付き光増幅器を配置することを特徴とする光強度コントローラである。
【0027】
ここで、「自動利得制御機能付き光増幅器」は、光信号のまま増幅可能な増幅手段を用いて自動利得制御を行う光増幅器を意味しており、光増幅器としては、光ファイバ増幅器でも半導体光増幅器でも構わない。
【0028】
一例として、図7に示すような構成を示す。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、様々な強度を有するバースト光信号を一定強度のバースト光信号として出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の構成例
【図2】バースト光信号の例
【図3】従来の光強度コントローラの構成図
【図4】本発明の光強度コントローラに入力するバースト光信号
【図5】本発明の光強度コントローラにおける制御手段の構成例
【図6】本発明の第二の構成例
【図7】本発明の第三の構成例
【図8】本発明の第一の実施例
【図9】本発明の第一の実施例における制御ブロック構成図
【図10】本発明に使用される可変光減衰器の特性例
【図11】本発明の第一の実施例のタイミングチャート
【図12】本発明の第二の実施例
【図13】本発明の第二の実施例における制御ブロック構成図
【図14】本発明の第二の実施例のタイミングチャート
【図15】本発明の第三の実施例における制御ブロック構成図
【図16】本発明の第四の実施例
【図17】本発明の第四の実施例における制御ブロック構成図
【図18】本発明の第五の実施例
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【実施例】
【0032】
第一の実施形態を図8に示す。光強度コントローラは、入力光信号カプラ1110、入力光信号フォトダイオード1310、トランスインピーダンスタイプ電気アンプ回路(TIA)30、A/Dコンバータ16、制御ブロック14、D/Aコンバータ17、可変光減衰器ドライバ15、光信号遅延光ファイバ120、可変光減衰器10から構成される。また、制御ブロック14は、図9に示すように、レジスタ141、テーブル142、出力部143の機能ブロックから構成されている。制御ブロックは、専用LSIやフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)やディジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの高速デバイスで構成されることが好ましい。
【0033】
次に、様々な強度を有するバースト光信号が入力した際に、第一の実施形態を使用して、バースト光信号強度を一定制御する方法について詳細に説明する。
【0034】
光強度コントローラに入力するバースト光信号は、図1のようにガードタイムに挟まれた信号列であり、バースト光信号強度の平均値は20dB以上のダイナミックレンジを有するとしている。
【0035】
光強度コントローラに入力した光信号201は、入力光信号カプラ1110により、主信号22とモニタ信号211に分離され、モニタ信号211は入力光信号フォトダイオード1310で光信号から電気信号231に変換され、TIA30、A/Dコンバータ16を経て、ディジタル信号として制御ブロック140に入力する。制御ブロック140では、逐次入力されるディジタル信号がレジスタ141に書き込まれ、レジスタ141に書き込まれたデータをテーブル142に入力し、テーブルから該入力値に対応する出力値が選び出され、出力143から制御ブロック外へ出力される。その後、D/Aコンバータ17、可変光減衰器ドライバ15を経て、可変光減衰器に駆動信号が出力される。テーブル142には、予め測定された可変光減衰器の駆動信号値とそれに対応した出力値が書き込まれている。
【0036】
このように、入力光信号モニタによるフィードフォーワード制御により可変光減衰器の高速制御を実現している。
【0037】
一方、入力光信号カプラ1110により、分離された主信号22は、光信号遅延光ファイバ120を経て可変光減衰器10に入力される。光信号遅延光ファイバ120による遅延時間は、モニタ信号211が入力光信号カプラ1110により分離されてから、制御ブロック140を経て、可変光減衰器10への駆動信号25として入力され、可変光減衰器10の応答が完了するまでの時間よりも大きく設定される。本実施形態においては、可変光減衰器10としては、音響光学型の可変光減衰器を使用しており、応答特性例を図10に示す。減衰量10%から減衰量90%までの応答時間は、約40ナノ秒となっている。
【0038】
第一の実施形態においては、モニタ信号211が入力光信号カプラ1110により分離されてから、制御ブロック140を経て、可変光減衰器10への駆動信号25として入力されるまでの時間は約40ナノ秒であることから、光信号遅延光ファイバ120による遅延時間を80ナノ秒に設定すると、主信号22が可変光減衰器10に到達する前に、モニタ信号211により駆動された可変光減衰器10の応答が完了していることになる。この時の可変光減衰器に入力する主信号、可変光減衰器の減衰量、可変光減衰器から出力する主信号のタイミングチャートを図11に示す。ガードタイムを80ナノ秒以上とすると、バースト光信号立ち上がり時における可変光減衰器の応答はガードタイム内で開始、終了しており、バースト光信号の強度変動は生じない。
【0039】
しかし、バースト光信号立ち上がりにおいて、80ナノ秒だけ前もって可変光減衰器10が応答を開始すると、バースト光信号立ち下がりにおいても80ナノ秒だけ前もって可変光減衰器が応答を開始してしまい、バースト光信号の一部で強度変動が生じてしまう。
【0040】
次に、第二の実施形態を図12に示す。光強度コントローラは、入力光信号カプラ1110、入力光信号フォトダイオード1310、トランスインピーダンスタイプ電気アンプ回路(TIA)30、A/Dコンバータ16、制御ブロック140、D/Aコンバータ17、可変光減衰器ドライバ15、光信号遅延光ファイバ120、可変光減衰器10から構成される。また、制御ブロック140は、図13に示すように、レジスタ141、立ち上がり/立ち下がり判定部144、遅延判定部145、テーブル142、出力部143の機能ブロックから構成されている。
【0041】
次に、様々な強度を有するバースト光信号が入力した際に、第二の実施形態を使用して、バースト光信号強度を一定制御する方法について詳細に説明する。
【0042】
第一の実施形態と同様に、光強度コントローラに入力した光信号201は、入力光信号カプラ1110により、主信号22とモニタ信号211に分離され、モニタ信号211は入力光信号フォトダイオード131で光信号から電気信号231に変換され、TIA30、A/Dコンバータ16を経て、ディジタル信号として制御ブロック140に入力する。制御ブロック140では、逐次入力されるディジタル信号がレジスタ141に書き込まれ、レジスタ141に書き込まれた情報を元に、立ち上がり/立ち下がり判定部144において、バースト信号の立ち上がりまたは立ち下がりが入力されているかを判定する。バースト信号の立ち上がりまたは立ち下がりの入力判定をトリガーとして、遅延判定部145により遅延時間が決められる。該遅延時間が考慮されてレジスタ141からデータがピックアップされる。ピックアップされた該データをテーブル142に入力し、テーブルから該入力値に対応する出力値が選び出され、出力143から制御ブロック外へ出力される。その後、D/Aコンバータ17、可変光減衰器ドライバ15を経て、可変光減衰器に駆動信号が出力される。テーブル142には、予め測定された可変光減衰器の駆動信号値とそれに対応した出力値が書き込まれている。
【0043】
第一の実施形態と同様に、可変光減衰器10としては、音響光学型の可変光減衰器を使用しており、減衰量10%から減衰量90%までの応答時間は、約40ナノ秒である。また、制御ブロック140において、意図的な遅延を与えない場合、モニタ信号211が入力光信号カプラ1110により分離されてから、制御ブロック140を経て、可変光減衰器10への駆動信号として入力されるまでの時間は約40ナノ秒である。例えば、光信号遅延光ファイバ○○による遅延時間を80ナノ秒に設定すると、主信号22が可変光減衰器10に到達する前に、モニタ信号211により駆動された可変光減衰器10の応答が完了していることになる。さらには、バースト光信号の立ち下りをトリガーにして、制御ブロック140における遅延量の制御を行うことにより、タイミングチャート図14で示すようにバースト光信号の強度を変動させることなく可能ガードの応答はガードタイム内で開始、終了しており、バースト光信号の強度変動は生じない。
【0044】
第三の実施形態としては、図15に示すように、制御ブロック140に比較演算部146を設定して、テーブルを用いない方法もある。
【0045】
第四の実施形態としての光強度コントローラは、図16に示すように、入力光信号カプラ1110、出力光信号カプラ1120、入力光信号フォトダイオード1310、出力光信号フォトダイオード1320、トランスインピーダンスタイプ電気アンプ回路(TIA)30、A/Dコンバータ16、制御ブロック140、D/Aコンバータ17、可変光減衰器ドライバ15、光信号遅延光ファイバ120、可変光減衰器10から構成される。また、制御ブロック140は、図17に示すように、レジスタ141、立ち上がり/立ち下がり判定部144、遅延判定部145、テーブル142、比較演算部146、加算部147、出力部143、の機能ブロックから構成されている。
【0046】
第四の実施形態を使用して、バースト光信号強度を一定制御する方法について詳細に説明する。
【0047】
可変光減衰器10から出力した光出力信号は、出力設定値と比較演算部146で比較され、その差分は加算部147に送られる。制御ブロック140の出力部143から出力されたディジタル信号も加算部に送られ、前記光出力信号に加算される。すなわち、フィードバック制御とフィードフォーワード制御の併用がなされており、高速かつ安定制御が実現する。
【0048】
第五の実施形態としては、図18に示すように、第一から第四のいずれかの実施形態としての光強度コントローラの入力部に光増幅器を接続した、光増幅機能付きの光強度コントローラである。元々別体としての機能であった装置を、接続して使用することにより、遅延光ファイバの省略(増幅光ファイバで兼用)などコストメリットが期待できる。さらに、本実施形態のメリットとして、光増幅器における多少の過渡応答は、後段の光強度コントローラにより、一定制御が行われるため、光増幅器の過渡応答制御を厳密に行う必要がなくなるメリットもある。光増幅器としては、光ファイバ増幅器、半導体光増幅器のいずれを用いても構わない。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲における変形による実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、高速応答可能な光強度コントローラが実現できるため、光通信機器として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 可変光減衰器
111 入力光信号分岐手段
112 出力光信号分岐手段
1110 入力光信号カプラ
1120 出力光信号カプラ
12 光信号遅延手段
120 光信号遅延光ファイバ
131 入力強度モニタ
132 出力強度モニタ
1310 入力光信号フォトダイオード
1320 出力光信号フォトダイオード
14 制御手段
140 制御ブロック
141 レジスタ
142 テーブル
143 出力部
144 立ち上がり/立ち下がり判定部
145 遅延判定部
146 比較演算部
147 加算部
15 可変光減衰器ドライバ
16 A/Dコンバータ
17 D/Aコンバータ
18 ディジタル制御回路
19 光増幅器
201 入力光信号
202 出力光信号
203 可変光減衰器減衰量
211 入力モニタ光
212 出力モニタ光
22 主信号
231 電気信号
232 ディジタル信号
24 制御信号
25 駆動信号
30 TIA
400 バースト光信号時間
401 ガードタイム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した光信号の一部を分岐する光信号分岐手段と、前記光信号分岐手段により分岐された光信号の強度をモニタする光強度モニタと、前記光信号を減衰させ、該減衰量を駆動信号により可変できる可変光減衰器と、前記光信号分岐手段と前記可変光減衰器との間に設置される光信号遅延手段と、前記光強度モニタによりモニタされる前記強度に応じた出力信号の強度となるように前記可変光減衰器を駆動する制御手段とを含むことを特徴とする光強度コントローラ。
【請求項2】
前記入力した光信号がバースト光信号であることを特徴とする請求項1に記載の光強度コントローラ。
【請求項3】
前記制御手段において、前記バースト光信号の立ち上がりまたは前記バースト光信号の立ち下がりを検知する検知手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光強度コントローラ。
【請求項4】
前記光信号遅延手段において、前記バースト光信号の立ち上がりが前記可変光減衰器への入力されるタイミングよりも、前記検知手段が前記バースト光信号の立ち上がりを検知し前記制御手段から前記可変光減衰器に出力される駆動信号に対する前記可変光減衰器の応答が完了するタイミングの方が遅くなるように光信号遅延量が設定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光強度コントローラ。
【請求項5】
前記光遅延手段が、10m以上の光ファイバであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光強度コントローラ。
【請求項6】
前記制御手段において、前記可変光減衰器への駆動信号出力を遅延させる遅延手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光強度コントローラ。
【請求項7】
前記遅延手段において、前記バースト光信号の立ち下がりが前記可変光減衰器への入力されるタイミングよりも、
前記検知手段が前記バースト光信号の立ち下がりを検知し、前記制御手段から前記可変光減衰器に出力される駆動信号に対する前記可変光減衰器の応答が開始するタイミングの方が遅くなるように遅延量が設定されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の光強度コントローラ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の光強度コントローラであって、入力した光信号の一部を分岐する第一の光信号分岐手段と、前記第一の光信号分岐手段により分岐された光信号の強度をモニタする第一の光強度モニタと、前記光信号を減衰させ、該減衰量を駆動信号により可変できる可変光減衰器と、前記光信号分岐手段と前記可変光減衰器との間に設置される光信号遅延手段と、前記第一の光強度モニタによりモニタされる前記強度に応じた出力信号の強度となるように前記可変光減衰器を駆動する制御手段とを含み、前記可変光減衰器から出力する出力光信号の一部を分岐する第二の光信号分岐手段と、前記第二の光信号分岐手段により分岐された光信号をモニタする第二の強度モニタとを含み、前記第二の強度モニタによるモニタ値と出力光信号強度設定値と差分と、前記制御手段から前記可変光減衰器に出力される駆動信号の和に応じた出力信号の強度になるように前記可変光減衰器を駆動することを特徴とする光強度コントローラ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の光強度コントローラの前段に、自動利得制御機能付き光増幅器を配置することを特徴とする光強度コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−226685(P2010−226685A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97446(P2009−97446)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(504243718)株式会社トリマティス (24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】