説明

光微小共振器

光微小共振器システム及びセンサーが開示されている。光微小共振器システムは、光導波路と、該光導波路に直接的に光学的に結合される光微小共振器とを備える。光微小共振器システムは、光微小共振器にコア結合されるが、光導波路にはコア結合されない光微小空洞を更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して光学デバイスに関する。本発明は特に、微小共振器を組み込んだ光センサーのような光学デバイスに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
微小共振器は、光スイッチング、波長フィルタリング、光学レーザー、光偏光解消、並びに化学的及び生物学的感知等の様々な用途において益々注目を受けている。
【0003】
いくつかの既知の微小共振器構成では、光ファイバー等の光導波路に近位してガラス球状微小共振器を置く必要がある。そのような場合、光エネルギーは、エバネッセント結合によって共振器と光導波路との間を移動することができる。共振器と光導波路との間の分離は、典型的には1マイクロメートル未満であり、再現可能な性能を提供するために、精密に制御されなければならない。微小共振器の他の形態は、円盤又は環形状の微小共振器を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、本発明は、光学デバイスに関する。また、本発明は、1つ以上の微小共振器を含む光センサーに関する。
【0005】
本発明の一実施形態において、光微小共振器システムは、光導波路と、光導波路に直接的に光学的に結合される光微小共振器とを備える。光微小共振器は、光微小共振器にコア結合されるが、光導波路にはコア結合されない光微小空洞を更に備える。
【0006】
本発明の別の実施形態において、光センサーは、光導波路を含む微小共振器システムと、光導波路に直接的に光学的に結合される光微小共振器と、光微小共振器に光学的に結合されるが、光導波路には光学的に結合されない光微小空洞と、を備える。光センサーは、光導波路と光通信して、微小共振器システムの共振モードに対応する波長で光を放射する光源を更に備える。光センサーは、微小共振器システムと光通信する検出器を更に備える。検出器は、共振モードの特性を検出する。検体が微小共振器システムの近位にもたらされた場合に共振モードの特性は変化する。検出器は、該変化を検出する。
【0007】
本発明の別の実施形態において、光微小共振器システムは、導波モードを支持する光導波路と、導波モードにより直接励起される第一の共振モードを支持する光微小共振器と、第一の共振モードにより直接励起されるが、導波モードにより直接励起されない第二の共振モードを支持する光微小空洞と、を備える。
【0008】
本発明の別の実施形態において、光微小共振器システムは、光導波路と、光導波路にコア結合した第一の光微小空洞と、第一の光微小空洞にコア結合されるが、光導波路にはコア結合されない光微小共振器と、光微小共振器にコア結合されるが、第一の光微小空洞にはコア結合されない第二の光微小空洞と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明がより完全に理解及び評価されよう。
【図1】微小共振器システムの概略平面図。
【図2】図1の微小共振器システムの概略側面図。
【図3】微小共振器システムの概略側面図。
【図4】微小共振器システムの概略平面図。
【図5】光導波路の概略三次元図。
【図6】微小共振器システムの概略平面図。
【図7】光導波路システムの概略平面図。
【図8】光導波路システムの概略平面図。
【図9】微小共振器システムの概略平面図。
【図10】微小共振器システムの概略平面図。
【図11】微小共振器システムの概略平面図。
【図12】微小共振器システム概略平面図。
【図13】微小共振器システム概略平面図。
【図14】集積光学デバイスの概略三次元図。
【図15】微小共振器システムの概略三次元図。
【図16】様々な微小共振器システムに関する計算された信号強度対波長のプロット。
【図17】光学デバイスの概略平面図。
【図18】散乱中心を有さない微小共振器システムに関する計算された信号強度対波長のプロット。
【図19】微小共振器システムの概略平面図。
【図20】微小共振器システムの概略平面図。
【0010】
本明細書において複数の図面で用いられる同じ参照符号は、同一又は同様の性質及び機能を有する同一又は同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、概して、微小共振器システムに関する。本発明は特に、光微小空洞を組み込んだ微小共振器システムに適用することができる。
【0012】
本願は、光導波路及び光微小空洞に光学的に結合される、例えばコア結合される光微小共振器を備える微小共振器システムを開示する。光微小空洞は、一次的に1つ以上の共振モードを支持するよう設計され得る。微小共振器は、光共振モード等の光導波モードを支持することが可能である。微小空洞の共振モードを、微小共振器の共振モードに結合することにより、微小共振器システムの共振モードが形成される。微小共振器システムの共振モードは、システム内の電界の高い蓄積に対応し得る。例えばシステムの出力ポートが好適な位置に配置されるような場合、高い電界蓄積は、高いシステム光伝送及び狭いバンド幅を生じ、微小共振器を波長フィルタリング並びに化学的及び生物学的感知等の用途に好適なものとし得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、本願に開示される微小共振器システム等の任意の光学的構成では、光学モードは、光学的構成において可能な電磁界を指し、放射線又は放射モードは、光学的構成において、閉じ込められない光学モードを指し、導波モードは、光学的構成において、典型的にコア領域である高屈折率領域が存在するために、少なくとも一次元に閉じ込められる光学モードを指す。一次元(第1の次元)に閉じ込められる導波モードは、一次元導波モードと称され得、2つの互いに直交する次元(第1及び第2の次元)に閉じ込められる導波モードは、二次元導波モードを指す。
【0014】
共振モードは、3つの互いに直交する次元(第1、第2及び第3の次元)に閉じ込められる光学モードを指す。共振モードは、三次元導波モード又は光学的構成において、第3の次元に沿った追加の境界条件要求を条件とする二次元導波モードと見なされてもよく、追加の要求は実際は典型的に周期的である。
【0015】
共振モードは、光学的構成において、3つの互いに直交する次元に沿った光学モードの量子化から生じる離散モードである。一般に、光学的構成の共振モードに対応する周波数又は波長における光学的構成の励起又は活性化により、実質的により強力な蓄積電磁界が生じ、ある場合には、光学的構成により、非共振励起から生じる応答と比較して、例えば実質的により高い光スループット等のより強力な応答が生じる。
【0016】
光学的構成の共振モードのモードプロファイルは、3つの互いに直交する次元に沿った境界条件によって確定され得る。場合によっては、共振モードは進行波モード又は一次的に進行波モードであってよい。いくつかの他の場合においては、共振モードは定在波モード又は一次的に定在波モードであってよい。場合によっては、共振モードは、一部定在波及び一部進行波であってよい。
【0017】
場合によっては、光学モードは、一次的に共振モードであってよい。そのような場合、光学モードは、非共振進行波成分等の非共振成分を有してもよい。しかしながら、そのような場合、非共振成分は光学モードの共振成分に対する二次的なものである。例えば、非共振成分は、全光学モードの強度の小さい部分であってもよい。
【0018】
場合によっては、共振モードは放射モードに結合可能であってよい。いくつかの他の場合において、光学モードは、共振である主成分と、放射であり閉じ込められていない二次的成分とを有してもよい。一般に、二次元導波モード等の導波モードは、共振モード又は非共振モードであってもよい。
【0019】
図1及び図2に、それぞれ微小共振器システム100の概略平面図及び概略側面図を示す。微小共振器システムは、光導波路120、光微小共振器150及び光微小共振器150にコア結合されるが、光導波路120にコア結合されない光微小空洞140を備える。光微小共振器150は、光導波路120に直接的に光学的に結合される。本明細書で使用されるように、2つのモード間の光結合は、結合が、主として2つの対応する電磁界の間で少なくとも部分的に重なり合うことにより生じる場合、直接的である。対応する電磁界間で重なり合いが全く又は殆ど存在しない箇所で2つのモード間での光結合が生じる場合、結合は間接的と見なされる。例えば、導波路120のモードは、微小共振器150のモードと直接的に結合し得る。別の例として、導波路120のモードは、間接的に、即ち微小共振器150を介して微小空洞140のモードに結合し得る。直接的な光結合は、本願のあらゆる部分に記載されているように、コア結合又はエバネセント結合、又はコア結合とエバネセント結合との組み合わせであってもよい。
【0020】
光導波路120は、上部クラッド101と、基材103上に配置された下部クラッド102と、幅W、高さ又は厚さH、入力面114及び出力面116を有する光学コア122と、を備える。光導波路120は、正のx軸に沿って進行する導波モード128及び導波モード124、並びに負のx軸に沿って進行する導波モード129等の、1つ以上の光導波モードを支持することが可能である。場合によっては、1つ以上の導波モード124、128及び129は、単一の横方向導波モードであってよい。
【0021】
光微小共振器150は、上部クラッド101と、下部クラッド102と、高さ又は厚さHを有し、結合領域190においてエバネセント結合により光導波路120に光学的に結合される光学コア152と、を備える。光学コア152は、光学コア122から距離tにより分離されている。一般に、光微小共振器150は、共振モード及び非共振モードを支持することが可能である。場合によっては、微小共振器の共振モード160は、一次的に定常波である。そのような場合、モード160は進行波成分であってもよいが、任意のそのような成分は、一次的な定在波成分又は共振モードの性質に対して二次的なものである。場合によっては、共振定在波モード160は、微小共振器150内で、反対方向等の概ね異なる方向に進行する第一の進行波162及び第二の進行波164のそれぞれのような2つ以上の進行波の干渉重ね合わせと同等であってよい。場合によっては、図1に示す環形状の微小共振器150の場合、進行波モード162及び164は、逆伝播(counter propagating)導波モードであってよい。定在波モード160並びに進行波モード162及び164は同一周波数及び/又は自由空間波長を有する。
【0022】
場合によっては、微小共振器の共振モード160は、一次的に例えば微小共振器150内で反時計回りに進行する進行波である。そのような場合、モード160は、定在波成分を有してもよいが、任意のそのような成分は、一次的な進行波成分又は共振モードの性質に対して二次的なものである。
【0023】
図1に示す例示的な光微小共振器150は、環状微小共振器である。一般に、微小共振器150は、導波路120及び微小空洞140に光学的に結合可能な光微小共振器であってよい。
【0024】
場合によっては、微小共振器150は円対称性を有してもよく、円対称性とは、xy平面におけるコア152の断面の外辺部が、中心点からの距離のみの関数として表現することができることを意味する。図1に概略的に示される円形環状微小共振器150等、場合によっては、中心点は微小共振器のコア152の中心151であり得る。円対称性を有する別の例示的な微小共振器は、球、円盤及び円筒を含む。例えば、図3に、光導波路120に光学的に結合されるコア252を有する円盤微小共振器250と、円盤微小共振器250に光学的に結合されるコア242を有する光微小空洞240と、を備える微小共振器システム200の概略平面図を示す。
【0025】
光微小空洞240は、一次的に1つ以上の共振モードを支持することが可能であり、一般に、支持される共振モードは、一次的に共振定在波、共振進行波、又は実質的な進行及び定在波成分を有する共振モードであってよい。
【0026】
場合によっては、微小共振器150は球状微小共振器の場合等、球対称を有することができる。場合によっては、微小共振器は、環状又はレーストラック微小共振器等、閉鎖ループ微小共振器であってよい。例えば、図4に微小共振器システム300の概略平面図を示し、該システムは、結合領域190において光導波路120に光学的に結合されるコア352を有するレーストラック微小共振器350と、レーストラック微小共振器350に光学的に結合されるコア342を有する光微小空洞340と、を備える。光微小空洞340は、1つ以上の共振定在波モード等、一次的に1つ以上の共振モードを支持することが可能である。微小共振器350のコア352は、直線部分360及び362と、曲線部分364及び366とを有する。図4に示す例示的なレーストラックでは、曲線部分364及び366は、半円形である。詳細には、半円形の曲線部分366は、中心351と、内側半径rとを有する。一般に、曲線部分364及び366は、直線部分360及び362を接続する任意の種類の曲線部分であってよい。
【0027】
一般に、微小共振器150は特定の方向に沿って単一又は多モードであってもよい。例えば、微小共振器150は微小共振器の高さ又は厚さ方向(z軸)に沿って単一モード又は多モードであってよい。環形状微小共振器の場合等、場合によっては、微小共振器は半径方向に沿って単一又は多モードであってよい。環形状微小共振器の場合等、場合によっては、微小共振器150の進行波導波モード162及び164は微小共振器の方位角モードであってよい。
【0028】
光微小空洞140は、上部クラッド101と、下部クラッド102と、高さ又は厚さHを有する光学コア142と、を備える。微小空洞140は、一次的に1つ以上の共振モードを支持することが可能であり、場合により微小空洞の共振モードは一次的に進行波であってもよく、他の場合には、微小空洞の共振モードは一次的に定在波であってもよい。場合によっては、微小空洞の共振モードは、実質的な進行波成分及び定在波成分を有してもよい。
【0029】
微小空洞140はそれぞれの共振モードが、例えば、進行波、定在波、又はその2つの組み合わせであってよい1つ以上の共振モードを一次的にサポートすることができる。場合によっては、微小空洞140は非共振進行波等の非共振モードをサポートすることが可能であり得るが、そのような非共振モードは微小空洞によってサポートされる共振モードに対する二次的なものである。
【0030】
場合によっては、微小空洞140の共振モードは一次的に定在波モードであってよく、一般に、定在波は反対方向等の概して異なる方向に進行する2つの進行波の干渉重ね合わせと同等であってよい。そのような場合、微小空洞140によってサポートされる共振モードは共振進行部分を有してもよいが、このようないずれの進行部分も、共振モード全体のごく一部しか形成せず、共振モードは事実上、一次的に定在波であり、モードのいずれかの共振進行部分はモードの定在波部分に対して二次的なものでしかないことを意味する。
【0031】
場合によっては、微小空洞140の共振モードは一次的に進行波モードであってよい。そのような場合、微小空洞140によってサポートされる共振モードは共振定在波部分を有してもよいが、このようないかなる定在波部分も、共振モード全体のごく一部しか形成せず、共振モードは事実上、一次的に進行しており、モードのいずれかの共振定在波部分はモードの進行部分に対する二次的なものでしかないことを意味する。
【0032】
微小空洞140の共振モードは例えば、微小空洞がコア142の境界に沿って大きな反射を有し、結果として入射波の大部分が反射される場合、事実上、一次的に定在波であってよい。そのような場合、反射された波は入射波と干渉して、事実上、優位に定在波である波を形成する。共振モードのいかなる進行波成分も、共振モードの定在波部分に対する二次的なものである。
【0033】
微小空洞140の共振モードは例えば、微小空洞がコア142の境界に沿って小さな反射を有し、結果として入射波の小さい部分が反射される場合、事実上、一次的に進行していてもよい。そのような場合、反射及び入射波は干渉して、事実上、優位に進行波である波を形成する。共振モードのいかなる定在波成分も、共振モードの進行波部分に対する二次的なものである。
【0034】
図1及び図2に示す例示的な微小共振器システム100において、光微小空洞のコア142は、x軸に沿って長さLを有し、y軸に沿って幅Wを有し、z軸に沿って高さHを有する矩形固体である。一般に、微小空洞140は、一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることが可能な任意の形状の微小空洞のコア142を含んでもよい。光微小空洞のコア142の例示的な形状には、球、円盤、円筒、環状、ドーナツ形状及びレーストラックが挙げられる。場合によっては、微小空洞のコア142は、規則的又は不規則的な多角形であってよい。場合によっては、微小空洞のコア142は、閉鎖ループ微小空洞のコアであってよい。例えば、図20に、微小共振器150にコア結合される六角形の光微小空洞2040を含む光微小共振器システムの概略平面図を示す。場合によっては、六角形の微小空洞2040は規則的な六角形であり、その場合、6つの各内角、例えば角度α及びαは120°であり、六角形は6つの対称線を有する。場合によっては、六角形の微小空洞2040は不規則な六角形である。
【0035】
図1及び図2に示す例示的な微小共振器システム100において、導波路120、微小共振器150及び微小空洞140は、同一の上部クラッド101及び同一の下部クラッド102を有する。一般に、微小共振システム100内の異なる導波要素は、異なる上部クラッド、及び/又は下部クラッド、及び/又は側部クラッドを有することが可能である。例えば、導波路120及び微小共振器150は、異なる上部クラッドを有してもよい。
【0036】
一般に、微小共振器システム100内の光導波路120等の導波要素は、異なる方向に沿って異なるクラッド、及び/又は多数のクラッドを有してもよい。例えば、図5に、基材521上に配置された、屈折率nを有する光学コア522、屈折率nを有する上部クラッド501、屈折率nを有する左側クラッド502、屈折率nを有する第一の下部クラッド503、屈折率nを有する第二の下部クラッド504、及び屈折率nを有する右側クラッド505を含む光導波路520を示す。場合によっては、コア屈折率nは、コアを包囲する数個又は全部のクラッドの屈折率よりも大きい。例えばx方向に沿って伝播する光導波路520の導波モード510は、コア522内でピークフィールド強度510A、下部クラッド503及び504内でエバネセントテール(evanescent tail)510B、並びに上部クラッド501内でエバネセントテール510Cを有してもよい。光導波路520は、例えば微小共振器システム100の光導波路120であってもよい。
【0037】
図1及び図2に示す例示的な微小共振器システム100において、微小空洞のコア142は、コア152の内側周辺156と、コア152の外側周辺157とを越えて等しく延びる。詳細には、距離dとdとは、等しい。一般に、微小空洞のコア142は、一用途において微小空洞140と微小共振器150との間に光結合を提供する任意の位置に配置され、及び/又は任意の配向で配置され得る。
【0038】
例えば、図6に、微小空洞のコア142が内側周辺156及び外側周辺157を越えて不均等に延びる、即ち距離dとdとが等しくない微小共振器システム600の概略平面図を示す。例示的な微小共振器システム600において、距離dは、距離dよりも大きい。
【0039】
例示的な微小共振器システム100において、光微小共振器150のコア152は、第一の面154及び第二の面155において光微小空洞140のコア142から延びる。コア142及びコア152は一体構造を形成してもよく、これは、接続するコアの間に物理的インターフェースを有さない単一ユニットをコアが形成することを意味する。一体構造においては、コアは典型的に、同一のコア材料で作製される。一体構造はエッチング、鋳造、成形、エンボス加工及び押出成形等の様々な既知の方法を使用して作製することができる。
【0040】
一般に、コア142及びコア152は一体構造を形成しても、又は一体構造をしなくてもよい。場合によっては、コア142及びコア152は、同一の屈折率を有する異なる材料で形成されてもよい。場合によっては、コア142及びコア152は、異なる屈折率を有する異なる材料で形成されてもよい。例えば、図6の微小共振器システム600において、コア152は屈折率no1を有し、コア142は、no1とは異なる屈折率no2を有する。コア152及びコア142は、2つのコアの間の屈折率の違いが、2つのコアの間で、それぞれ第一のインターフェース654と第二のインターフェース655を形成するために、一体構造を形成しない。
【0041】
例示的な微小共振器システム600において、微小空洞140と微小共振器150との間の光結合は、少なくとも一次的に光学コア結合であり、微小共振器150と光導波路120との間の光結合は、エバネセント結合である。
【0042】
一般に、光導波路は、クラッド又はクラッド領域により包囲されるコア又はコア領域を有する。コア及びクラッドのそれぞれは、1種以上の材料を含んでもよい。典型的には、導波路の光導波モード等の、光導波路内に閉じ込められた光学モードに関して、クラッドの屈折率は、コアの屈折率よりも小さい。閉じ込められた光学モードは、典型的にコアフィールド成分及びエバネセントフィールド成分を有する。コアフィールドは、典型的にコア内に存在し(exit)、1つ以上のピークを含む。エバネセントフィールドは、典型的にクラッド内に存在する減衰フィールドである。エバネセントフィールドは時折、閉じ込められた光学モードのエバネセントテールと称される。
【0043】
一般に、光エネルギーは、異なる方法により、第一の光導波路内の第一のモードから、第一の光導波路の近隣に配置された第二の光導波路内の第二のモードに移動することができる。例えば、光エネルギーは、コア結合により第一のモードから第二のモードに移動することができる。別の例として、2つのモード間の光エネルギーの移動は、エバネセント結合によるものであってもよい。別の例として、光エネルギーのいくらかがコア結合により移動され、光エネルギーのいくらかがエバネセント結合により移動されてもよい。
【0044】
2つのモード間のエバネセント結合は、典型的には一次的に2つのモードのエバネセントフィールドの重なり合いによる光エネルギーの移動を指す。場合によっては、エネルギーのいくらかは、コア結合等、エバネセント結合以外の手段により移動されてもよいが、任意のそのようなエネルギー移動は、エバネセント結合によるエネルギー移動に対して二次的なものである。
【0045】
2つのモード間のコア結合は、典型的には一次的に2つのモードのコアフィールドの重なり合いによる光エネルギーの移動を指す。場合によっては、エネルギーのいくらかは、エバネセント結合等、コア結合以外の手段により移動されてもよいが、任意のそのようなエネルギー移動は、コア結合によるエネルギー移動に対して二次的なものである。
【0046】
2つのモードのコアフィールド間及び2つのモードのエバネセント間に重なり合いが存在する場合等、場合によっては、2つのモード間の光結合は、実質的なコア結合及びエバネセント結合部分を有し得る。
【0047】
結合領域は、一般に、光エネルギーが第一の光導波路と第二の光導波路との間で移動され得る領域を指す。場合によっては、結合領域の一部分が2つのモードのコアフィールド間で重なり合う領域を含んでもよく、該結合領域の他の部分が2つのモードのエバネセントフィールド間で重なり合う領域を含んでもよい。
【0048】
場合によっては、結合領域は、各モードが十分に高いフィールド強度を有する重なり合う領域を含む。場合によっては、結合領域は、移動されるエネルギーが移動可能なエネルギーの少なくとも20%、又は移動可能なエネルギーの少なくとも30%、移動可能なエネルギーの少なくとも40%、又は移動可能なエネルギーの少なくとも50%、又は移動可能なエネルギーの少なくとも60%、又は移動可能なエネルギーの少なくとも70%、又は移動可能なエネルギーの少なくとも80%、又は移動可能なエネルギーの少なくとも90%、又は移動可能なエネルギーの少なくとも95%の領域である。
【0049】
場合によっては、結合領域は、移動されるエネルギーが移動可能なエネルギーの10%以下、又は移動可能なエネルギーの7%以下、又は移動可能なエネルギーの5%以下、又は移動可能なエネルギーの3%以下、又は移動可能なエネルギーの2%以下、又は移動可能なエネルギーの1%以下、又は移動可能なエネルギーの0.5%以下の領域である。
【0050】
図7に、近位して離間された第一の光導波路710及び第二の光導波路720を含む光導波路システム700の概略平面図を示す。第一の光導波路710は、クラッド701とクラッド702との間に配置されたコア712を含み、コア712内部のコアフィールド730A、クラッド702内のエバネセントフィールド730B、及びクラッド701内のエバネセントフィールド730Cを含む第一の導波モード730をサポートすることができる。コアフィールド730Aは、コア712内にピーク731を有する。
【0051】
第二の光導波路720は、クラッド702とクラッド703との間に配置されたコア722を含み、コア722内部のコアフィールド740A、クラッド702内のエバネセントフィールド740B、及びクラッド703内のエバネセントフィールド740Cを含む第二の導波モード740をサポートすることができる。コアフィールド740Aは、コア722内にピーク741及びピーク742を有する。
【0052】
エバネセントフィールド730Bとエバネセントフィールド740Bとの間の重なり合いは、第一の光導波路710と第二の光導波路720との間の光エネルギーの移動を生じ得る。例えば、導波路710内で起動される第一の導波モード730は、導波路720にエバネセント的に結合して、導波路720内の第二の導波モード740を励起し得る。領域790は、モード730とモード740に関する2つの導波路の間の結合領域を概略的に示す。
【0053】
図8に、コア812を有する第一の光導波路810と、コア822を有する第二の光導波路820とを含む光導波路システム800の概略平面図を示す。コア812及びコア822は、交差領域850にて交差又は連結する。場合によっては、コア812及びコア822は一体構造を形成してよい。そのような場合、コア822は、コア812から延びると見なされてもよく、又はコア812はコア822から延びると見なさてもよい。
【0054】
コア812及びコア822は、クラッド801により包囲されている。第一の光導波路801は、コア812内部のコアフィールド830Aを含む第一の導波モード830をサポートすることができる。コアフィールド830Aは、コア812内にピーク831を有する。第二の光導波路820は、コア822内部のコアフィールド840Aを含む第二の導波モード840をサポートすることができる。コアフィールド840Aは、コア822内にピーク841を有する。
【0055】
コアフィールド830Aとコアフィールド840Aとの間の重なり合いは、第一の光導波路810と第二の光導波路820との間の光エネルギーの移動を生じ得る。例えば、導波路820内で起動された導波モード840は、導波路810にコア結合して、結果として導波路810内の導波モード830を励起し得る。領域890は、モード830とモード840に関する2つの導波路の間の結合領域を概略的に示す。
【0056】
1つの位置における2つの導波路間の光学結合は、例えば2つの導波路のコアが、その位置にて取り付け、接続、又は連結される場合、典型的にはコア結合である。例えば、微小共振器システム100において、微小共振器150のコア152は、それぞれ、第一の面154と第二の面155において微小空洞140のコア142と連結されている。微小共振器150は、一次的にコア結合により、面154及び面155において、若しくは面154及び面155の近隣にて、及び/又はそれぞれの面を含む領域内で微小空洞140に光学的に結合する。面154における結合領域は、面154と、面154の近隣の、及び面154を包囲する領域と、を含む。同様に、面155における結合領域は、面155と、面155の近隣の、及び面155を包囲する領域とを含む。
【0057】
1つの位置における2つの導波路間のエバネセント結合の場合、2つのコアは典型的に、2つの導波路のコアの間の間隙を占める1つ以上のクラッドにより、その位置において離間されている。例えば、導波路120と微小共振器150との間の光結合は、一次的にエバネセント結合である。クラッド101は、結合領域190においてコア122とコア152との間の間隙を占める。
【0058】
一般に、開示した実施形態において、微小共振器コアと微小空洞のコアとは、平行な対称軸を有しても、又は平行な対称軸を有さなくてもよい。例えば、図3の微小共振器システム200において、微小空洞のコア242は、結合領域190において概ね方向付けられた、例えば該領域190を通過する対称軸210をy軸に沿って有し、対称軸210に直交する対称軸215をx軸に沿って有する。対称軸210は、微小空洞の幅方向に沿っており、対称軸215は、微小空洞の長さ方向に沿っている。微小空洞は、微小空洞の長さ方向に沿って長さLを有し、微小空洞の幅方向に沿った幅Wを有する。微小共振器コア252は、y軸に沿った対称軸230、及びx軸に沿った対称軸230に直交する対称軸235を含む、多数の対称軸を有する。対称軸230は、対称軸210と一致し又は同一直線上にある。したがって、微小空洞のコア242と微小共振器コア252とは、y軸に沿って同一の対称軸を共有し、共有された対称軸は、微小空洞の幅方向に沿っている。対称軸215と対称軸235とは同一直線上にない。詳細には、2つの軸は、y方向に沿って距離tだけ互いに側方にずれている。
【0059】
図9に、光導波路120、結合領域990において導波路120に光学的に結合されるコア952を有する光微小共振器950と、微小共振器950に光学的に結合されるが、導波路120には光学的に結合されないコア942を有する光微小空洞940と、を備える微小共振器システム900の概略平面図を示す。光導波路120によりサポートされる導波モードは、光微小共振器950の第一の共振モード等のモードを直接励起することができ、これは例えば導波モードのエバネセントテールが、少なくとも部分的に第一の共振モードのエバネセントテールと重なり合うことを意味する。光微小空洞940は、1つ以上のモード、例えば第二の共振モード等の1つ以上の共振モードをサポートすることができる。第二の共振モードは、第一の共振モードにより直接励起されることができ、これは例えば、第一の共振モードのエバネセントテールが、少なくとも部分的に第二の共振モードのエバネセントテールと重なり合うことを意味する。しかしながら、第二の共振モードは導波モードにより直接励起されることができず、これは2つのモードのコアフィールド及び/又はテール間に重なり合いが存在しないためである。むしろ、第二の共振モードは導波モードにより間接励起され、これは導波モードが、最初に第一の共振モードを直接励起することにより、第二の共振モードを励起することを意味する。
【0060】
微小共振器コア952は、y軸に沿って、結合領域990において概ね方向付けられた対称軸930と、x軸に沿って対称軸930と直交する対称軸935とを有する。微小空洞のコア942は、y軸に沿って、軸930と平行であるが同一直線上にない対称軸910と、x軸に沿って、軸935と平行であるが同一直線上にない対称軸915とを有する。
【0061】
したがって、微小共振器コア952と微小空洞のコア942とは、同一直線上にある対称軸を有さず、又は対称軸を共有しない。詳細には、軸910は、軸930から距離tだけ側方にずれ、軸915は、軸935から距離tだけ側方にずれている。
【0062】
図10に、光導波路120と、結合領域1090において導波路120に光学的に結合されるコア1052を有する光微小共振器1050と、微小共振器1050に光学的に結合されるが、導波路120には光学的に結合さえないコア1042を有する光微小空洞1040と、を備える微小共振器システム1000の概略平面図を示す。
【0063】
微小共振器コア1052は、y軸に沿って、結合領域1090において概ね方向付けられた対称軸1030と、x軸に沿って対称軸1030と直交する対称軸1035と、を有する。微小空洞のコア1042は、y軸に沿って、軸1030と平行であるが同一直線上にない対称軸1010と、x軸に沿って、軸1035と同一直線上にある対称軸1015と、を有する。
【0064】
微小共振器コア1052と微小空洞のコア1042とは、微小空洞の幅方向に沿っているが、結合領域1090において方向付けられていない対称軸を共有する。したがって、微小共振器コア1052と微小空洞のコア1042とは、同一直線上にある対称軸を有さず、又は結合領域1090において概ね方向付けられた共通の対称軸を共有しない。
【0065】
図11に、光導波路120と、結合領域1190において導波路120に光学的に結合されるコア1152を有する光微小共振器1150と、微小共振器1150に光学的に結合されるが、導波路120には光学的に結合されないコア1142を有する光微小空洞1140と、を備える微小共振器システム1100の概略平面図を示す。
【0066】
微小共振器コア1152は、結合領域1190において概ね方向付けられた、y軸に沿った対称軸1130を有する。微小空洞のコア1142は、微小空洞の幅方向に沿った対称軸1110と、微小空洞の長さ方向に沿った対称軸1115とを有する。微小空洞の対称軸1110は、微小共振器コア1152に関する対称軸でもある。
【0067】
微小共振器コア1152と微小空洞のコア1142とは、微小空洞の幅方向に沿っているが、結合領域1190において方向付けられない、対称軸を共有する。したがって、微小共振器コア1152と微小空洞のコア1142とは、同一直線上にある対称軸を有さず、結合領域1190において概ね方向付けられた、共通の対称軸を共有しない。
【0068】
図12に、光導波路120と、結合領域1290において導波路120に光学的に結合されるコア1252を有する光微小共振器1250と、微小共振器1250に光学的に結合されるが、導波路120には光学的に結合されないコア1242を有する光微小空洞1240と、を備える微小共振器システム1200の概略平面図を示す。
【0069】
微小空洞のコア1242は、微小空洞の幅方向に沿った対称軸1210と、微小空洞の長さ寸法に沿った対称軸1215とを有する。微小共振器コア1252は、軸1210と平行であるが同一直線上にない対称軸1230と、軸1215と平行であるが同一直線上にない対称軸1235とを有する。
【0070】
微小共振器コア1252と微小空洞のコア1242とは、微小空洞の幅方向に沿っているが、結合領域1290において概ね方向付けられない対称軸を共有する。したがって、微小共振器コア1252と微小空洞のコア1242とは、同一直線上にある対称軸を有さず、又は結合領域1290において概ね方向付けられた共通の対称軸を共有しない。軸1210は、軸1230から距離t側方にずれ、軸1215は、軸1235から距離t側方にずれている。
【0071】
図1の例示的な微小共振器システム100は、単一の光微小空洞を含む。一般に、微小共振器システムは、1つ以上の光微小空洞を含むことができ、少なくとも1つの微小空洞は、一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることができる。
【0072】
例えば、図13に、光導波路120と、結合領域1390において導波路120に光学的に結合されるコア1352を有する光微小共振器1350と、微小共振器1350に光学的に結合されるが、導波路120には光学的に結合されないコア1342を有する第一の光微小空洞1340と、微小共振器1350に光学的に結合されるが、導波路120には光学的に結合されないコア1362を有する第二の光微小空洞1360と、を備える微小共振器システム1300の概略平面図を示す。場合によっては、微小空洞1340及び微小空洞1360の少なくとも1つは、一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることができる。
【0073】
光微小共振器1350は、y軸に沿って、微小空洞1340の幅寸法に沿って微小空洞1340に光学的に結合される。微小空洞のコア1342は、幅W及び長さLを有する。例示的な微小共振器システム1300において、微小空洞のコア1342は、コア1352の内側周辺1356及び外側周辺1357を越えて、微小空洞の少なくとも1つの幅側、例えば幅側1371に沿って延びている。詳細には、距離dとdとは等しい。一般に、微小空洞のコア1342は、一用途において微小空洞1340と微小共振器1350との間に光結合を提供する任意の位置に配置され、及び/又は任意の配向で配置されてもよい。
【0074】
光微小共振器1350は、y軸に沿って、微小空洞1360の幅寸法に沿って微小空洞1360に光学的に結合される。微小空洞のコア1362は、幅W及び長さLを有する。例示的な微小共振器システム1300において、微小空洞のコア1362は、内側周辺1356及び外側周辺1357を越えて等しく、少なくとも幅側、例えば幅側1372に沿って延びている。詳細には、距離dとdとは等しい。一般に、微小空洞のコア1362は、一用途において微小空洞1360と微小共振器1350との間に光結合を提供する任意の位置に配置され、及び/又は任意の配向で配置されてもよい。
【0075】
例示的な微小共振器システム1300において、微小空洞1340と微小空洞1360とは、互いに直接的に光学的に結合されない。例えば、コア1342とコア1362との間の分離kは十分大きいため、2つの微小空洞の間にエバネセント結合が全く又は殆ど存在しない。場合によっては、距離kは、2つの微小空洞の間の光結合を可能にするよう十分小さくてもよい。
【0076】
場合によっては、2つの各微小空洞は、一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることができる。そのような場合、2つの微小空洞の共振モードの、微小共振器の共振モードとの光結合は、微小共振器システム1300の共振モードの形成に繋がり得る。場合によっては、例えば、微小空洞と微小共振器とのそれぞれの1つ以上の共振モードが互いに十分接近し、例えば微小共振器システム100において、距離tが約100〜10,000ナノメーターの場合、システム共振モードが存在し得る。
【0077】
微小共振器コア1352は、結合領域1390において方向付けられる対称軸1330をy軸に沿って有する。微小空洞のコア1342は、軸1330に平行であり、軸1330から距離k側方にずれた対称軸1310を有する。微小空洞のコア1362は、軸1330に平行であり、軸1330から距離k側方にずれた対称軸1320を有する。
【0078】
再び図1を参照すると、光源110は光線112を放射することができ、その少なくとも一部分は入力面114を通って光導波路120に入る。場合によっては、光源110から光導波路120に入る光は導波モード128等の導波路の導波モードとして導波路に沿って伝播することができる。場合によっては、導波モード128は光微小共振器150の共振モード160を励起する。場合によっては、共振モード160は、光微小空洞140の共振モード170を励起する。場合によっては、共振モード170及び160はそれぞれ微小空洞140及び微小共振器150の定在波モードであってよい。一般に、共振モード170と160との間の光結合は微小共振器システム100の共振モードを形成することができる。
【0079】
場合によっては、微小共振器150の共振モード160は、正のx軸に沿って検出器166に向かって進行する光導波路120の導波モード124を励起し得る。導波モード124は、出力光168として出力面116から光導波路を抜け出すことができる。出力光168は検出器166によって検出することができる。一般に、検出器166は強度、波長、及び/又は位相等の出力光168の1つ以上の特性を検出することによって微小共振器システム100の共振モード等のモードの1つ以上の特性を検出することができる。
【0080】
場合によっては、出力光168の1つ以上の特性の変化は、微小共振器システム100の1つ以上の特性に影響を与えることができる、散乱中心180等の外部物質の存在を示すことができる。例えば散乱中心と光微小共振器150のコア152との間の距離「t」が十分に小さい場合、微小共振器と散乱中心との間に光結合が生じ得る。光結合は微小共振器システム100の励起された共振モードの1つ以上の特性を変化させることができる。例えば光結合は微小共振器150の共振モード160の1つ以上の特性を変化させることができる。モード160の変化は、出力光168として光導波路130を抜け出す導波モード124の1つ以上の特性に変化をもたらすことができる。検出器166は出力光168における対応する変化を検出することによって微小共振器システム100のモード160又は共振モードの変化を検出することができる。
【0081】
図1に示される例示的な微小共振器システム100においては、散乱中心180は微小共振器150に近位する。一般に、散乱中心180は微小共振器システムの共振モードの特性に変化をもたらすことができる、微小共振器システム100のいずれかの部分と十分近くすることができる。例えば、散乱中心は散乱中心と微小空洞との間の光結合を可能にするために、微小空洞140に十分に近くてもよい。
【0082】
散乱中心180と微小共振器150との間の光結合の強度の変化は、例えば共振モード160の特性の変化を引き起こすことができる。光結合の強度の変化は様々な手段によって達成することができる。例えば散乱中心180と微小共振器150又はコア152との間の間隔「t」の変化は、散乱中心と微小共振器との間の光結合の強度を変化させることができる。別の例としては、散乱中心の屈折率nの変化は散乱中心と微小共振器との間の光結合の強度を変化させることができる。一般に、散乱中心180と微小共振器150との間の光結合の強度に変化を生じさせることができるいずれかの機構は出力光168及び微小共振器システムの共振モードの特性に変化を引き起こすことができる。
【0083】
金のような一部の金属の場合など、一部の場合では、散乱中心の屈折率の実部は、1550nm付近の波長に関して1未満である。シリコンの場合などいくつかのその他の場合においては、1550nm付近の波長に対する散乱中心の屈折率の実部は1を超える。
【0084】
散乱中心180として使用し得る散乱中心の例は、誘電体ナノ粒子、シリコンナノ粒子等の半導体ナノ粒子、並びに金及びアルミニウムナノ粒子等の金属ナノ粒子を含む。場合によっては、散乱中心は、Si、GaAs、InP、CdSe、又はCdS等の半導体であってもよい。例えば、散乱中心は直径が80nmであり、関心波長に対する屈折率(実数部)が3.5である、シリコン粒子であってよい。散乱中心の別の例は、直径が80ナノメートルであり、1550ナノメートル付近の波長に対する屈折率が0.54+9.58iである、金粒子である。散乱中心の別の例は、直径が80ナノメートルであり、1550ナノメートル付近の波長に対する屈折率が1.44+16.0iである、アルミニウム粒子である。
【0085】
場合によっては、散乱中心は誘電体粒子であってよい。場合によっては、散乱中心は非蛍光粒子であってよい。場合によっては、散乱中心は半導体ではない。
【0086】
場合によっては、散乱中心180の寸法は約1000ナノメートル以下、約500ナノメートル以下、約100ナノメートル以下、又は約50ナノメートル以下である。
【0087】
微小共振器システム100は、例えば、検体182を感知することができるセンサーとして使用することができる。例えば、微小共振器150は検体182と接合可能であってもよい。このような接合性能は、例えば、微小共振器150又はコア152の外側表面の適した処理によって達成されてもよい。場合によっては、検体182は散乱中心180に付随している。このような付随は、例えば検体を散乱中心に付着させることによって達成することができる。散乱中心は、検体182が微小共振器の外側表面と接合する際に、微小共振器150に光学近位にもたらされてもよい。散乱中心は、共振モード160の特性に変化を引き起こし、これは次いで微小共振器システムの共振モードの特性に変化を生じさせる。光検出器166は、出力光168の1つ以上の特性の変化をモニタリングすることにより共振モード160の特性の変化を検出することによって検体182の存在を検出することができる。場合によっては、引き起こされる変化はモード160における周波数偏移であってよい。そのような場合、光検出器166は、例えば出力光168における周波数偏移を検出することにより、周波数偏移を検出することができる。検体182は、例えば、タンパク質、病原体又はDNA分子を含むことができる。
【0088】
場合によっては、検体182は検出される抗原の第1の抗体を含むことができる。第1の抗体は、散乱中心180に付随することができる。抗原の第2の抗体は、微小共振器150に付随することができる。抗原は第1の抗体と第2の抗体との間の接合を促進する。結果として、散乱中心は微小共振器との光接触へともたらされ、微小共振器システムの共振モードの特性における変化を引き起こす。検出器は特性変化を検出することによって散乱中心の存在、したがって抗原の存在を検出することができる。場合によっては、第1の抗体は第2の抗体と同一であることができる。このような例示的な感知プロセスは、食品の安全性、食品加工、医療検査、環境試験、及び産業衛生等の様々な用途に使用することができる。場合によっては、散乱中心180は共振モード160、並びに、したがって微小共振器システムの対応する共振モードに周波数偏移を引き起こすことができ、偏移は検出器166によって検出することができる。
【0089】
場合によっては、微小共振器システム100はクラッド層101の屈折率の変化を検出可能であってよい。例えば、クラッド層101は初期は空気であってもよい。空気クラッドを用いて、微小共振器システムの共振モードを共振周波数fにおいて出力光168を生じることができる、共振周波数fにすることができる。クラッド層101の屈折率の変化は、例えば空気クラッドが、例えば有機蒸気等の蒸気、ガス、液体、生物学的若しくは化学物質、又はクラッド101の屈折率に変化をもたらすことができるいずれかの他の物質によっても置き換えられる又はそれと混合される場合に生じ得る。クラッド101の屈折率の変化は微小共振器システムの共振モードの変化及び出力光168の、fとは異なるfへの、周波数fへの偏移をもたらすことができる。光検出器166は周波数偏移Δf=f−fを検出することができる。
【0090】
場合によっては、導波路120、微小共振器150、並びに微小空洞140は共通基材上に集積することができる。集積はモノリシック集積であってもよく、その場合、異なる構成要素は典型的に、同一材料系を使用して全て共通基材上に加工される。このような集積は基材特有であってよく、集積がいくつかの基材では容易又は実現可能であり、いくつかのその他の基材ではより困難又は不可能であることを意味する。例えば、検出器、微小共振器、微小空洞及び導波路をSi基材等の基材上に加工する又は作ることは可能であり得るが、同一基材上に例えば光源を作る又は加工することは困難又は不可能である場合がある。別の例としては、InP又はGaAs基材等のIII〜V族半導体基材上に全てのシステム構成要素を作る又は加工することが可能であり得る。
【0091】
集積は混成集積であってもよく、その場合、最初に少なくとも数個の構成要素を別々に作り、次いで例えば接着剤又ははんだ接合を用いることにより通常の基材上に集合されもよい。そのような場合、微小共振器、微小空洞及び導波路は、基材上にモノリシック集積されてもよい。場合によっては、接合は光源及び検出器の導波路との能動整合を必要とする場合がある。
【0092】
図14は集積光学デバイス14の概略三次元図を示す。光源110及び検出器166は光学デバイス1500の基材103上に集積される。導波路120、微小空洞140及び微小共振器150は上部クラッド101及び下部クラッド層102を有し、基材103上に集積される。光源110はギャップ1501によって導波路120から分離され、基材103上に集積された導線1540及び1541を含む。導線1540及び1541は、例えば、図14には示されていない外部電源及び/又は制御装置との接続のために光学デバイス1500の端部1521に延びる。検出器166はギャップ1502によって導波路120から分離され、基材103上に集積された導線1530及び1531を含む。導線1530及び1531は、例えば、図14には示されていない外部電源及び/又はその他の電子機器との接続のために光学デバイス1500の端部1522に延びる。
【0093】
基材103は剛性又は可撓性であってよい。基材103は光学的に不透明であっても透過性であってもよい。基材は高分子、金属、半導体、又は任意の種類のガラスであってもよい。例えば、基材103はシリコンであってよい。別の例として、基材103はフロートガラスであってもよく、又は、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスルホン等の有機材料から作製されてもよい。
【0094】
微小共振器150、微小空洞140及び光導波路120は既知の加工技術を使用して作製することができる。例示的な加工技術には、フォトリソグラフィ、印刷、鋳造、押出成形、エンボス加工、及び反応性イオンエッチング又は湿式化学エッチング等のエッチングが挙げられる。微小共振器システム100内の異なる層は、スパッタリング、蒸着、火炎堆積法(flame hydrolysis)、鋳造、又は用途に適し得る任意のその他の成膜法等の既知の方法を使用して、形成することができる。
【0095】
場合によっては、光源110は例えば、白色光を放射する広帯域光源であってよい。場合によっては、光源110は、調節可能な狭線幅レーザー源等の狭帯域光源であってよい。場合によっては、検出器166は、狭帯域検出器であってよく、又は検出器は、スペクトルに敏感な検出器であってよい。例えば、検出器166は、スペクトル分析器であってよい。場合によっては、検出器166は、広帯域検出器であってよい。
【0096】
図15に、コア1422を有する光導波路1420と、結合領域1490において導波路1420に光学的に結合されるコア1452を有する光微小共振器1450と、微小共振器1450に光学的に結合されるが、導波路1420には光学的に結合されないコア1442を有する光微小空洞を1440と、を備える微小共振器システム1400の概略三次元平面図を示す。場合によっては、光微小空洞1440は、一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることができる。
【0097】
光微小共振器1450は、微小空洞のコア1442の幅方向1401及び厚さ方向1403に沿って光微小空洞1440と光学的に結合され、厚さ方向1403は、幅方向1401と直交する。例示的な微小共振器システム1400において、厚さ方向1403はy軸に沿っており、幅方向1401は負のz軸に沿っている。厚さ方向及び幅方向は、厚さ方向及び幅方向の両方と直交する長さ方向1402をか画定する。長さ方向1402は、x軸に沿っている。微小空洞のコア1442は、幅方向1401に沿って最大の幅寸法Wを有し、厚さ方向1403に沿って最大の厚さ寸法Hを有し、長さ方向1402に沿って最大の長さ寸法Lを有する。
【0098】
場合によっては、Hは、Wより大きくない。場合によっては、光微小空洞1440は、例えば代理人整理番号62681US002を有する同一所有者の米国特許出願第11/616338号に記載されているように、比L/Wが約10以下の場合に一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることができる。いくつかの他の場合において、光微小空洞1440は、比L/Wが約6以下、約4以下、約3以下、又は約2以下の場合に一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることができる。いくつかの他の場合において、光微小空洞1440は、比L/Wが約1以下、約0.8以下、約0.5以下、約0.3以下、又は約0.1以下の場合に一次的に1つ以上の共振モードをサポートすることができる。
【0099】
場合によっては、Lは約50マイクロメートル以下、約30マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、又は約10マイクロメートル以下である。いくつかのその他の場合においては、Lは約5マイクロメートル以下、約3マイクロメートル以下、約2マイクロメートル以下、又は約1マイクロメートル以下である。いくつかのその他の場合においては、Lは約0.8マイクロメートル以下、約0.6マイクロメートル以下、又は約0.5マイクロメートル以下である。
【0100】
場合によっては、光微小空洞1440は、100以下の共振モード、50以下の共振モード、20以下の共振モード、15以下の共振モード、10以下の共振モード、8以下の共振モード、又は5以下の共振モードを一次的にサポートすることができる。
【0101】
場合によっては、光微小空洞1440は、少なくとも1つの共振モード、少なくとも2つの共振モード、少なくとも5つの共振モード、又は少なくとも10の共振モードを一次的にサポートすることができる。場合によっては、光微小空洞1440は、1つの共振モード又は2つの共振モードを一次的にサポートすることができる。
【0102】
場合によっては、微小共振器システム1400は約0.3マイクロメートル〜約15マイクロメートル、0.3マイクロメートル〜約5マイクロメートル、約0.3マイクロメートル〜約2マイクロメートル、約0.4マイクロメートル〜約1.6マイクロメートル、又は約0.6マイクロメートル〜約1.6マイクロメートルの波長で一次的に動作するように設計される。場合によっては、微小共振器システム1400は約633nm、約850nm、約980nm、約1310nm、約1550nm、又は約10,600nmで一次的に動作するように設計される。
【0103】
場合によっては、微小空洞1440の共振モード、例えば共振モード1470は、進行波又は一次的に進行波である。いくつかのその他の場合においては、微小空洞1440の共振モードは、定在波又は一次的に定在波である。
【0104】
場合によっては、微小空洞1450の共振モードは微小共振器1440の共振モードを励起することができる。例えば、微小共振器の共振モード1460は、微小空洞の共振モード1470に光学的に結合して、共振モード147を励起することができる。場合によっては、微小空洞1450の定在波モードは微小空洞1450の定在波モードを励起することができる。例えば、微小共振器の共振定在波モード1460は、微小空洞の共振定在波モード1470に光学的に結合して、微小空洞の共振定在波モード1470を励起することができる。
【0105】
場合によっては、定在波モード1470は第1の進行波モード1471及び第2の進行波モード1472等の異なる方向に進行する2つの進行波モード間の光学干渉から生じ得る。場合によっては、定在波モード1460は第1の進行波モード1461及び第2の進行波モード1462等の異なる方向に進行する2つの進行波モード間の光学干渉から生じ得る。
【0106】
場合によっては、進行波モード1461は、一次的に同一の概ねの方向に進行する進行波モード1471に光学的に結合して進行波モード1471を励起することができ、進行波モード1462は、進行波モード1472に光学的に結合して進行波モード1472を一次的に励起することができ、両方のモードは時計回り等の同一の概ねの方向に進行する。そのような場合、励起される進行波モード1471及び1472は光学的に干渉し、定在波モード1470を形成することができる。
【0107】
光源110からの光112は、光導波路1420の光導波モードを励起することができる。モード1428は、光導波路1420と微小共振器1450との間に概ね位置する結合領域1490を介して、エバネセント結合により光微小共振器1450に結合することができる。導波モード1428は、同一波長において微小共振器の進行波モード1461等の進行波モードを励起することができる。導波モード1461は、例えば進行波モード1471を励起して、進行波モード1472及び定在波モード1470を生成させることができる。次に、モード1472は、進行波1462を励起することができる。進行波モード1462及び1461は干渉し、定在波モード1460を形成することができる。
【0108】
場合によっては、異なる波長において導波モード1461は、微小空洞1440の異なる定常波モードを一次的に励起してもよい。例えば、第一の波長λを有する導波モード1461は、一次的に1つの定在波モードを励起し得る一方、第二の波長λを有する導波モードは、異なる微小共振器の定在波モードを一次的に励起してもよい。
【0109】
場合によっては、微小空洞1440は縮退定在波モードをサポートできる可能性があり、これは波長λを有する導波モード1461が、一次的に同一の波長λを有する微小空洞の2つ以上の異なる定在波モードを励起することができることを意味する。
【0110】
図19に、光学コア1922を有し、導波モード1928をサポートすることができる入力光導波路1920;光学コア1932を有し、導波モード1924をサポートすることができる出力光導波路1930;コア結合領域1901において入力光導波路1920にコア結合し、コア結合領域1902において出力光導波路1930にコア結合した第一の光微小空洞1960;光学コア1952を有し、コア結合領域1903及び1904において第一の光微小空洞にコア結合した光微小共振器1950;並びに光学コア1942を有し、コア結合領域1905及び1906において光微小共振器1950にコア結合した第二の光微小空洞1940を備える光微小共振器システムの概略平面図を示す。
【0111】
コア結合領域は、一般に、2つ以上の導波路の間にコア結合が生じる領域である。場合によっては、例えば2つの導波路のコアが異なる材料から形成されている場合等、コア結合領域は2つのコア間の境界面である物理的境界面を含んでもよい。場合によっては、例えば2つのコアが同一の材料から形成され、一体構造を形成している場合等、コア結合領域は、2つの導波路の間に物理的境界面を含まない。
【0112】
入力光導波路1920は、入力光112を放射する光源110と光通信する。出力光導波路1930は、出力導波路1930からの出力光168を受容する検出器166と光通信する。
【0113】
光微小共振器1950は、第一の光微小空洞1960とコア結合されるが、入力導波路1920及び出力導波路1930とはコア結合されない。第一の光微小共振器1950は、第一の光微小空洞1960と直接的に結合され、入力導波路1920及び出力導波路1930に間接的に、即ち第一の微小空洞1960を介して結合されている。
【0114】
第二の光微小空洞1940は、微小共振器1950とコア結合しているが、第一の光微小空洞1960、入力導波路1920及び出力導波路1930とはコア結合していない。第二の光微小空洞1940は、微小共振器1950に直接的に結合されている。第二の光微小空洞1940は、微小空洞1960に間接的に、即ち微小共振器1950を介して結合されている。
【0115】
例示的な微小共振器システム1900において、第一の光微小空洞1960は、x方向に沿って長さLを有し、y方向に沿って幅Wを有する矩形である。
【0116】
場合によっては、第一の光微小空洞1960は、例えばSoldano et al.,「Optical Multi−Mode(登録商標) Interference Devices Based on Self−Imaging:Principles and Applications」,Journal of Lightwave Technology 13(4),pp.615〜626,April 1995、及び例えば代理人整理番号62681US002を有する、同一所有者の米国特許出願第11/616338号に記載されている多モード干渉結合器(MMIC)であってよい。場合によっては、MMIC 1960は、例えばx方向に沿って微小空洞内を伝播する微小空洞の進行波モードが、微小空洞の少なくともいくつかの境界、例えば微小空洞の側壁1912及び側壁1913等において反射を全く又は殆ど受けないよう設計される。
【0117】
場合によっては、微小空洞1960は、一次的に2つ以上、3つ以上、又は5つ以上の進行波モードをサポートすることができる。そのような場合、比L/Wは、約2以上、約3以上、約4以上、約6以上、又は約10以上である。いくつかの他の場合において、比L/Wは、約20以上、約40以上、約60以上、約80以上、又は約100以上である。
【0118】
場合によっては、Lは約50マイクロメートルを越え、約100マイクロメートルを越え、約200マイクロメートルを越え、又は約500マイクロメートルを越える。いくつかのその他の場合においては、Lは約1000マイクロメートルを越え、約2000マイクロメートルを越え、約5000マイクロメートルを越え、又は約10,000マイクロメートルを越える。
【0119】
場合によっては、光微小空洞1960は、少なくとも100の共振モード、少なくとも200の共振モード、少なくとも400の共振モード、少なくとも500の共振モード、少なくとも700の共振モード、少なくとも800の共振モード、又は少なくとも1000の共振モードを一次的にサポートすることができる。
【0120】
場合によっては、第一の光微小空洞1960はMMICであり、第二の光微小空洞1940はMMICではない。そのような場合、微小空洞1960は少なくとも50の共振モードをサポートすることができ、かつ微小空洞1940は20以下の共振モードをサポートすることができ、又は微小空洞1960は少なくとも100の共振モードをサポートすることができ、かつ微小空洞1940は20以下の共振モードをサポートすることができ、又は微小空洞1960は少なくとも100の共振モードをサポートすることができ、かつ微小空洞1940は15以下の共振モードをサポートすることができ、又は微小空洞1960は少なくとも100の共振モードをサポートすることができ、かつ微小空洞1940は10以下の共振モードをサポートすることができ、又は微小空洞1960は少なくとも100の共振モードをサポートすることができ、かつ微小空洞1940は8以下の共振モードをサポートすることができ、又は微小空洞1960は少なくとも100の共振モードをサポートすることができ、かつ微小空洞1940は5以下の共振モードをサポートすることができる。
【0121】
開示される実施形態の利点の一部が、以下の実施例によって更に説明される。これらの実施例で挙げられる特定の材料、量及び寸法、並びにその他の条件及び詳細は本発明を不当に制限するものとして考慮すべきではない。
【実施例】
【0122】
(実施例1)
図1の微小共振器システム100と類似する光学デバイスを、実効二次元時間領域差分(FDTD)法を使用して、数値的に解析した。模擬実験では、全てのコアは屈折率3.5及び実効厚さ0.4マイクロメートルを有するシリコンであった。光微小共振器は、0.2マイクロメートルの厚さと、3.6マイクロメートルの外径とを有する環状であった。結合領域190内のコア122とコア152との間の間隔tは、0.2マイクロメートルであった。微小空洞のコア142は、1.8マイクロメートルの幅W及び0.6マイクロメートルの長さLを有し、結果として約0.33の比L/Wを有する矩形固体であった。微小空洞140は、x軸に沿って環状微小共振器150に対して対称的に配置され、これは微小空洞と微小共振器とが、y軸に沿って同一の対称軸を共有することを意味する。距離d及びdは、それぞれ0.8マイクロメートルであった。上部クラッド101は1の屈折率を有する空気であった。下部クラッド102は1.46の屈折率を有する二酸化ケイ素であった。
【0123】
模擬実験において、光源110は2マイクロメートルで中心をとり、半値全幅(FWHM)が1マイクロメートルである、1フェムト秒長の離散型ガウス形パルスの形態で、光112を放射する、パルス光源であった。広帯域入力パルスは検出器166によって検出された約1マイクロメートル〜約3マイクロメートルの広帯域反応を生じた。
【0124】
図16の曲線1620は散乱中心180がない状態で、(マイクロメートル単位の)波長の関数として、検出器166での(入力光の強度に対する任意の単位の)計算された信号強度を示す。曲線1640は散乱中心180の存在下での計算された出力信号強度を示す。散乱中心は、80nmと同等の直径及び、約1550ナノメートルで0.54+9.58iと同等の複素屈折率を有する球状金粒子であった。散乱中心は、図1に概略的に示されるように、中心151を通過する微小共振器の水平な対称軸191に沿って定置された。粒子と微小共振器との間には50ナノメートルのギャップ「t」があった。図16は、散乱中心が微小共振器システムの少なくとも多数の共振周波数に偏移を引き起こしたことを示す。曲線1620は、光学デバイスが、例えば約1.62マイクロメートルに対応する位置1612における共振周波数等、いくつかの共振周波数を有したこと示す。比較のために、曲線1610は、図17に概略的に示す参照デバイスが微小空洞を含まなかった以外は実施例1の光学デバイスと同一の参照光学デバイスに関する、検出器における計算された信号強度を示す。
【0125】
図16に、微小空洞140の包含が光学デバイスの共振周波数に偏倚を生じさせ、少なくともいくつかの共振周波数にてピーク分裂を生じたことを示す。例えば、図16に、位置1611におけるピーク分裂を示す。
【0126】
二次元FDTD法を使用して、微小空洞が共振モードを一次的にサポートしたことを証明した。導波路120内で光学デバイスの共振周波数で光を発し、時間の関数として微小空洞内の電界最高点の位置をモニタリングした。結果はこのような位置が本質的に静止していたことを示し、したがって微小空洞が一次的に共振定在波モードをサポートしたことを示唆する。
【0127】
(実施例2)
実施例1の微小共振器システムと類似する光学デバイスを、微小空洞が正のy軸に沿って0.2マイクロメートル偏倚してdが1.0マイクロメートルに等しく、dが0.6マイクロメートルに等しかった以外は、実効二次元時間領域差分(FDTD)法を使用して数値的に解析した。
【0128】
図16において曲線1630は、散乱中心180の不在下での、検出器166における計算された信号強度を示す。曲線1630は、光学デバイスが、例えば約1.4マイクロメートルに対応する位置1631における共振周波数等、いくつかの共振周波数を有したこと示す。
【0129】
二次元FDTD法を使用して、微小空洞が共振モードを一次的にサポートしたことを証明した。導波路120内で光学デバイスの共振周波数で光を発し、時間の関数として微小空洞内の電界最高点の位置をモニタリングした。結果はこのような位置が本質的に静止していたことを示し、したがって微小空洞が一次的に共振定在波モードをサポートしたことを示唆する。
【0130】
(実施例3)
図13の微小共振器システム1300と類似する光学デバイスを、実効二次元時間領域差分(FDTD)法を使用して、数値的に解析した。模擬実験では、全てのコアは屈折率3.5及び実効厚さ0.4マイクロメートルを有するシリコンであった。光微小共振器は、0.2マイクロメートルの厚さと、3.6マイクロメートルの外径とを有する環状であった。結合領域1390内のコア122とコア1352との間の間隔tは、0.2マイクロメートルであった。上部クラッド101は1の屈折率を有する空気であった。下部クラッド(微小共振器システム100と類似)は、1.46の屈折率を有する二酸化ケイ素であった。
【0131】
微小空洞のコア1342は、1.8マイクロメートルの幅W及び0.6マイクロメートル長さのLを有し、結果として約0.33の比L/Wを有する矩形固体であった。微小空洞1340は、x軸に沿って環状微小共振器1350に対して対称的に配置され、0.4マイクロメートルと等しい距離kを生じた。距離d及びdは、それぞれ0.8マイクロメートルであった。
【0132】
微小空洞のコア1362は、1.8マイクロメートルの幅W及び長さ0.3マイクロメートルのLを有し、結果として約0.17の比L/Wを有する矩形固体であった。微小空洞1360は、x軸に沿って環状微小共振器1350に対して対称的に配置され、0.25マイクロメートルと等しい距離kを生じた。距離d及びdは、それぞれ0.8マイクロメートルであった。
【0133】
模擬実験において、光源110は2マイクロメートルで中心をとり、半値全幅(FWHM)が1マイクロメートルである、1フェムト秒長の離散型ガウス形パルスの形態で、光112を放射する、パルス光源であった。広帯域入力パルスは検出器166によって検出された約1マイクロメートル〜約3マイクロメートルの範囲の広帯域反応を生じた。
【0134】
図18の曲線1810は散乱中心180がない状態で、(マイクロメートル単位の)波長の関数として、検出器166での入力光の強度に対する計算された信号強度を任意の単位で示す。曲線1810は、光学デバイスが、例えば約1.63マイクロメートルに対応する位置1811における共振周波数等、いくつかの共振周波数を有したこと示す。
【0135】
2次元FDTD法を使用して、2つの微小空洞のうちの少なくとも1つが一次的に共振モードをサポートしたことを確認した。導波路120内で光学デバイスの共振周波数で光を発し、時間の関数として2つの微小空洞内の電界最高点の位置をモニタリングした。結果はこのような位置が各微小空洞内で本質的に静止していたことを示し、したがって各微小空洞が一次的に共振定在波モードをサポートしたことを示唆する。
【0136】
本明細書で使用するとき、「垂直の」、「水平の」、「上方の」、「下方の」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「時計回り」及び「反時計回り」などの用語、並びに他の類似の用語は、諸図に示される相対的位置を指す。一般に、物理的な実施形態は、異なる配向を有する可能性があり、その場合、それらの用語は、そのデバイスの実際の向きに修正された相対的位置を指すものとする。例えば、図14の構成が図面の配向と比較して反転されるとしても、クラッド102は依然として「下部」クラッドと見なされる。
【0137】
上記に引用したすべての特許、特許出願及び他の公開を、それらがあたかも完全に再現されたものとして本明細書に援用するものである。本発明の種々の態様の説明を容易にするために、本発明の特定の実施例について上で詳細に説明しているが、その意図は、本発明を実施例の細部に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨と範囲に包含される全ての修正物、等価物、及び代替物を網羅することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路と、
前記光導波路に直接的に光学的に結合される光微小共振器と、
前記光微小共振器にコア結合されるが、光導波路にはコア結合されない第一の光微小空洞と、
を備える光微小共振器システム。
【請求項2】
前記第一の微小空洞が1つ以上の共振モードを一次的に支持することができる、請求項1に記載の光微小共振器システム。
【請求項3】
前記1つ以上の共振モードのうちの少なくとも1つが、2次元内に閉じ込められるが3次元内には閉じ込められない、請求項2に記載の光微小共振器システム。
【請求項4】
前記1つ以上の共振モードのうちの少なくとも1つが、3次元内に閉じ込められる、請求項2に記載の光微小共振器システム。
【請求項5】
前記1つ以上の共振モードのうちの少なくとも1つが、一次的に進行波である、請求項2に記載の光微小共振器システム。
【請求項6】
前記1つ以上の共振モードのうちの少なくとも1つが、一次的に定在波である、請求項2に記載の光微小共振器システム。
【請求項7】
前記光導波路がコア結合によって前記光微小共振器に結合される、請求項1に記載の光微小共振器システム。
【請求項8】
前記光導波路がエバネセント結合によって前記光微小共振器に結合される、請求項1に記載の光微小共振器システム。
【請求項9】
前記光導波路が、光源と光通信する入力面と、光検出器と光通信する出力面とを有する、請求項1に記載の光微小共振器システム。
【請求項10】
前記光微小共振器にコア結合されるが、前記光導波路にはコア結合されない第二の光微小空洞を更に備える、請求項1に記載の光微小共振器。
【請求項11】
前記第二の光微小空洞が1つ以上の共振モードを一次的に支持することができる、請求項10に記載の光微小共振器システム。
【請求項12】
前記光微小共振器が、前記光微小空洞の対称軸と平行な対称軸を有する、請求項1に記載の光微小共振器システム。
【請求項13】
前記光微小共振器の対称軸が、前記光微小空洞の対称軸と同一直線上にある、請求項12に記載の光微小共振器システム。
【請求項14】
前記光微小共振器が、結合領域において前記光導波路と直接的に光学的に結合され、前記光微小共振器が該結合領域に概ね方向付けられた第一の対称軸を有する、請求項1に記載の光微小共振器システム。
【請求項15】
前記光微小空洞が、前記第一の対称軸と平行な第二の対称軸を有する、請求項14に記載の光微小共振器システム。
【請求項16】
前記第二の対称軸が前記第一の対称軸と同一直線上にある、請求項15に記載の光微小共振器システム。
【請求項17】
前記第二の対称軸が前記第一の対称軸から側方にずれている、請求項15に記載の光微小共振器システム。
【請求項18】
前記光微小空洞のいずれの対称軸も前記第一の対称軸と平行ではない、請求項14に記載の光微小共振器システム。
【請求項19】
前記光微小共振器が、前記微小空洞のコアの幅方向及び厚さ方向に沿って前記光微小空洞と光学的に結合され、前記厚さ方向は前記幅方向と直交し、前記微小空洞のコアが、前記幅方向に沿って最大の幅寸法W、前記厚さ方向に沿って最大の厚さ寸法H、及び長さ方向に沿って最大の長さ寸法Lを有し、前記長さ方向は前記幅方向及び厚さ方向と直交し、HはW以下であり、L/Wは約6以下である、請求項1に記載の光微小共振器システム。
【請求項20】
L/Wが約1以下である、請求項16に記載の光微小共振器システム。
【請求項21】
光導波路と、前記光導波路に直接的に光学的に結合される光微小共振器と、前記光微小共振器に光学的に結合されるが、前記光導波路には光学的に結合されない光微小空洞とを有する微小共振器システムと、
前記光導波路と光通信し、前記微小共振器システムの第一の共振モードに対応する波長において光を放射する光源と、
前記微小共振器システムと光通信する検出器であって、検体が前記微小共振器システムの近位にもたらされたときに前記第一の共振モードの特性が変化し、前記検出器が該変化を検出するように前記第一の共振モードの特性を検出する検出器と、
を備える光センサー。
【請求項22】
前記光微小空洞が1つ以上の共振モードを一次的に支持する、請求項21に記載の光センサー。
【請求項23】
前記光微小空洞の前記1つ以上の共振モードのそれぞれが定在波モードである、請求項22に記載の光センサー。
【請求項24】
前記特性が前記第1の共振モードの強度を含む、請求項21に記載の光センサー。
【請求項25】
前記特性が前記第一の共振モードの波長を含む、請求項21に記載の光センサー。
【請求項26】
前記特性が前記第一の共振モードの位相を含む、請求項21に記載の光センサー。
【請求項27】
前記微小共振器が、前記微小空洞の長さに沿って前記微小空洞と光学的に結合され、前記微小空洞は長さ寸法L及び幅寸法Wを有し、L/Wが約6以下である、請求項21に記載の光センサー。
【請求項28】
L/Wが約1以下である、請求項27に記載の光センサー。
【請求項29】
導波モードを支持する光導波路と、
前記導波モードにより直接励起される第一の共振モードを支持することができる光微小共振器と、
前記第一の共振モードにより直接励起されるが、前記導波モードにより励起されない第二の共振モードを支持することができる光微小空洞と、
を備える光微小共振器システム。
【請求項30】
前記第一の共振モードが進行波モードを含み、前記第二の共振モードが定在波モードを含む、請求項29に記載の光微小共振器システム。
【請求項31】
前記第一の共振モード及び第二の共振モードのそれぞれが定在波モードを含む、請求項29に記載の光微小共振器システム。
【請求項32】
前記光微小空洞が矩形固体である、請求項29に記載の光微小共振器システム。
【請求項33】
光導波路と、
前記光導波路にコア結合される第一の光微小空洞と、
前記第一の光微小空洞にコア結合されるが、前記光導波路にはコア結合されない光微小共振器と、
前記光微小共振器にコア結合されるが、前記第一の光微小空洞にはコア結合されない第二の光微小空洞と、
を備える光微小共振器システム。
【請求項34】
前記第一の光微小空洞が多モード干渉結合器であるが、前記第二の光微小空洞は多モード干渉結合器ではない、請求項33に記載の光微小共振器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−505546(P2011−505546A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534093(P2010−534093)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/082325
【国際公開番号】WO2009/064635
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】