光情報装置及び光記憶媒体及び光記憶媒体検査装置及び光記憶媒体検査方法
【課題】最短のマーク及びスペースに関するジッタが最短のマーク及びスペースよりも長いマーク及びスペースに関するジッタより悪い光記憶媒体を用いた場合にも高い信頼性で情報を記録再生可能な光記憶媒体および光情報装置を提供する。
【解決手段】この光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号を出力する光ピックアップヘッドと、前記光ピックアップヘッドから出力される信号のジッタを計測するジッタ計測部と、前記計測したジッタから前記光記憶媒体が良品か不良品かを判別する判別部とを備え、前記ジッタ計測部は、デジタル情報が2以上の整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録されている前記光記憶媒体に対して、3T以上のマーク又はスペース列についてのジッタを計測する。
【解決手段】この光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号を出力する光ピックアップヘッドと、前記光ピックアップヘッドから出力される信号のジッタを計測するジッタ計測部と、前記計測したジッタから前記光記憶媒体が良品か不良品かを判別する判別部とを備え、前記ジッタ計測部は、デジタル情報が2以上の整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録されている前記光記憶媒体に対して、3T以上のマーク又はスペース列についてのジッタを計測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク及びスペースで情報を記録する光記憶媒体、光記憶媒体に対して情報の記録、再生もしくは消去を行う光情報装置、光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査装置、光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度・大容量の記憶媒体として、近年、DVD(デジタルバーサタイル光記憶媒体)と称する高密度・大容量の光記憶媒体が実用化され、動画のような大量の情報を扱える情報媒体として広く普及している。さらに大容量の光記憶媒体を実現するために、2面の情報記録面に記録可能な2層光記憶媒体の開発成果が盛んに発表されている。また、大容量のデータを再生するだけではなく記録も行う手段の開発が盛んに行われ、より高い記録密度を達成するためのアプローチがなされており、その中の一つの方式に、結晶−非結晶間の可逆的な状態変化を利用した相変化型光情報装置がある。
【0003】
特開2000−200418号公報には、相変化型光記憶媒体にビームを照射して情報を記録再生している技術が記載されている。
図20は、記録再生が可能な光情報装置としての光記録再生システムにおける光ピックアップヘッドで用いられている、一般的な光学系の構成を示した図である。光源である半導体レーザ1は、発振波長λ1が405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。半導体レーザ1から出射された発散ビーム70は、焦点距離15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、回折格子58に入射する。回折格子58に入射した発散ビーム70は、0次及び±1次回折光の3つのビームに分岐される。0次回折光が情報の記録/再生を行うメインビーム70a、±1次回折光がトラッキング誤差(以下TEとする)信号の検出を安定に行うためのディファレンシャルプッシュプル(以下DPPとする)法でTE信号を検出する際に用いられる2つのサブビーム70b及び70cとなる。回折格子の0次光と1つの1次光の回折効率の比は、サブビーム70b、70cにより不要な記録がなされることを避けるために、通常10:1〜20:1に設定される。ここでは20:1に設定されている。回折格子58で生成された3つのビーム、つまりメインビーム70a、サブビーム70b、70cは、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離3mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40の透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55で制限され、開口数NA(Numerical Aperture)を0.85としている。透明基板40aの厚さは0.1mmである。光記憶媒体40は、情報記録面40bと40cを有している。情報記録面40bは、半透過膜となっており、入射したビームの一部が透過する。情報記録面40cに情報の記録再生を行う際は、情報記録面40bを透過したビームを用いる。
【0004】
図21に従来例における光記憶媒体40のトラックの構成を示す。光記憶媒体40は、溝状のトラック(グルーブトラック1301)に記録領域を有し、前記グルーブトラックがスパイラル状に連続している光記憶媒体である。
【0005】
図22は、情報記録面40b上のビームとトラックとの関係を示している。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、Tn−1、Tn、Tn+1はそれぞれ、トラックである。トラックの周期Tpは0.32μmである。メインビーム70aがトラック上に位置するとき、サブビーム70bと70cがそれぞれトラック間となるように、ビームを配置している。すなわち、メインビームとサブビームのトラックと直交する方向の間隔Lは0.16μmである。また、トラック上には、DVDと同様に、8−16変調で、すなわち周期Tを基本としてTの整数倍の長さのマーク又はスペースで情報が記録されており、且つ、最短マーク長及び最短スペース長が3Tの長さである。ここでは、最短マーク長は0.185μmである。
【0006】
情報記録面40bで反射されたメインビーム70a、サブビーム70b、70cは、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52を反射したメインビーム70a、サブビーム70b、70cは、集光レンズ59を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ57を経て、光検出器32に入射する。メインビーム70a、サブビーム70b、70cには、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0007】
光検出器32は、図23に示すように、8つの受光部32a〜32hを有し、受光部32a〜32dがメインビーム70aを、受光部32e〜32fがサブビーム70bを、受光部32g〜32hがサブビーム70cを、それぞれ受光する。受光部32aから32hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I32a〜I32hを出力する。非点収差法によるフォーカス誤差(以下FEとする)信号は、
(I32a+I32c)−(I32b+I32d)
により得られる。
【0008】
また、DPP法によるTE信号は、
{(I32a+I32b)−(I32c+I32d)}−a・{(I32e−I32f)+(I32g−I32h)}
により得られる。aは回折格子の回折効率に依存した係数であり、ここでは10である。
【0009】
光記憶媒体40に記録された情報(以下RFとする)信号は、
I32a+I32b+I32c+I32d
により得られる。FE信号及びTE信号は、所望のレベルに増幅及び位相補償が行われた後、アクチュエータ91及び92に供給されて、フォーカス及びトラッキング制御がなされる。
【0010】
図24に、RF信号のアイパターンを示す。光記憶媒体40に記録された情報は、RF信号をトランスバーサルフィルタに入力して、高域を強調した後、2値化し、さらに2値化された信号を復調することで得られる。8−16変調がDCフリー符号であるので、2値化した信号の1と0をそれぞれ時間幅で積分して差動演算することにより、2値化の閾値SLをアイの中心に容易に設定できる。
【0011】
相変化型の光情報装置では、結晶部をアモルファス化するピークパワーと、アモルファス部を結晶化するバイアスパワーの2つのパワーで半導体レーザを光記憶媒体媒体に照射して、光記憶媒体上にマーク(アモルファス部)と、マークに挟まれたスペース(結晶部)とを形成し、デジタル情報を記録する。マークとスペースではそれぞれ結晶性の違いに起因して反射率が異なるので、再生時にはこの反射率の違いを利用して記録された信号を読み出す。
【0012】
図25に、従来例における相変化光情報装置の構成を示す。図25において、従来の相変化光情報装置は、光記憶媒体40にレーザ光を照射し、該光記憶媒体40からの反射光を受光する光ピックアップヘッド1202と、再生手段1203と、再生信号品質検出手段1204と、最適記録パワー決定手段1205と、記録手段1208と、レーザ駆動回路1207と、記録パワー設定手段1206とを備える。
【0013】
光記憶媒体40が光情報装置に装着され、光記憶媒体タイプの識別や回転制御等の所定の動作の終了後、光ピックアップヘッド1202は最適照射パワーを決定するための領域に移動する。なお前記領域は、光記憶媒体の最内周もしくは最外周に設けられた、ユーザがデータを記録するユーザ領域以外の記録領域とする。決定するパワーとしては相変化光記憶媒体では、ピークパワーやバイアスパワーやボトムパワーがあるが、ここではピークパワーの決定方法について説明する。
【0014】
まず記録パワー設定手段1206により、ピークパワー、バイアスパワーの初期値がレーザ駆動回路1207に設定される。続いて記録手段1208から、グルーブトラック1周を記録するための信号がレーザ駆動回路1207に送られ、光ピックアップヘッド1202により記録される。このとき光ピックアップヘッド1202の構成要素である半導体レーザの出力光は光記憶媒体40上に光スポットとして集光され、発光波形に応じた記録マークが形成される。記録が終わると、光ピックアップヘッド1202の半導体レーザは再生パワーで発光し、さきほど記録を行ったトラックを再生し、再生信号として光記憶媒体40上の記録マークの有無により変化する信号1209が再生手段1203に入力される。再生信号1209は再生手段1203で、増幅、波形等化、2値化等の再生信号処理を受け、信号1210が再生信号品質検出手段1204に入力される。
再生信号品質検出手段1204は信号1210の信号品質を検出し、検出結果を最適記録パワー決定手段1205に入力する。
【0015】
ここで再生信号品質検出手段1204は、例えば記録した信号を再生したときのジッタを検出する。図26にピークパワーとジッタの関係を示す。図26において横軸がピークパワーであり、縦軸がジッタである。再生条件が等しければ、一般にジッタが小さいほど正確な記録が行われている。そこでジッタが、あるしきい値に対してそれ以下となるときを検出結果OKとし、それ以上となるときを検出結果NGとする。
【0016】
最適記録パワー決定手段1205は、例えば図27に示すフローチャートに従って動作する。
(a)例えば再生信号品質検出手段1204の1回目の結果がNGならば、初めのパワーよりも大きいピークパワーを設定する(ステップ1505)。
(b)検出手段1204による検出結果がOKならば初めのパワーよりも小さいピークパワーを設定する(ステップ1504)。
(c)前回と同様に、設定されたピークパワーでグルーブトラックの記録、再生を行う(ステップ1506)。
(d)もし再生信号品質検出手段1204の1回目の結果がNG、2回目の結果がOKであれば、最適記録パワー決定手段1205は今回のピークパワーと前回のピークパワーの平均パワーに一定のマージンを上乗せしたパワーを最適記録パワーと決定する(ステップ1511)。
(e)もし再生信号品質検出手段1204の1回目の結果がOK、2回目の結果がNGであれば、最適記録パワー決定手段1205は今回のピークパワーと前回のピークパワーの平均パワーに一定のマージンを上乗せしたパワーを最適記録パワーと決定する(ステップ1511)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−200418号公報
【特許文献2】特開2001−291325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら上記のような従来の構成では、情報記録面40bと40cから得られる信号のI3pp/I14pp比はそれぞれの記録面で15%と20%、ジッタはそれぞれの記録面で10%と8%と、いずれも記録面40bから読み出した信号の特性の方が記録面40cより悪い。そのため、情報記録面40bに記録する情報の記録密度を情報記録面40cに記録する情報の記録密度よりも下げなければ、記録された情報を高い信頼性で再生することができないという課題があった。
【0019】
更に、一般に最適照射パワーを決定するための領域と、ユーザがデータを記録するユーザ領域とは別の場所にある。このため、例えば光記憶媒体の反りや、ヘッドの取り付け具合によっては、前記2つの領域に相対的なチルトが生じ、最適照射パワーを決定するための領域で決定した照射パワーよりも実効的に弱めのパワーでユーザデータの記録がなされる場合があった。また、逆に最適照射パワーを決定するための領域で決定した照射パワーより実効的に強めのパワーでユーザデータの記録がなされる場合があった。このとき上記従来技術ではランダム信号を記録した際のジッタにより最適パワーを決定しているが、ジッタに最も影響を与えるのは最短マークの信号品質であり、実質的に最短マークの最適パワーを求めていることになる。これにより最短マークについては記録パワーが多少ばらついた場合でもデータを正しく記録することが可能であるが、最短マークよりも長いマークについては、特に記録密度が大きくなると、パワーの変動等による影響が無視できなくなり、記録信号品質が劣化するという課題があった。
【0020】
更に、再生時においても、光記憶媒体とヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生すると、最短マークよりも長いマークの信号の再生信号品質が低下し、データを正しく再生することができない場合があった。
【0021】
本発明は、従来の光情報装置における上記課題を考慮し、2つの情報記録面を同じ情報の記録密度としても情報を高い信頼性で記録又は再生できる光記憶媒体および光情報装置を提供することを第1の目的とする。
【0022】
また、最短のマーク及びスペースに関するジッタが最短のマーク及びスペースよりも長いマーク及びスペースに関するジッタより悪い光記憶媒体を用いた場合にも高い信頼性で情報を記録再生可能な光記憶媒体および光情報装置を提供することを第2の目的とする。
【0023】
また、記録再生時に光記憶媒体と光ピックアップヘッドとに相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、データを正しく記録再生できる光記憶媒体および光情報装置を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係る光記憶媒体検査装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号のジッタを計測するジッタ計測部と、
前記計測したジッタから前記光記憶媒体が良品か不良品かを判別する判別部と
を備え、
前記ジッタ計測部は、デジタル情報が2以上の整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録されている前記光記憶媒体に対して、3T以上のマーク又はスペース列についてのジッタを計測することを特徴とする。これにより上記目的が達成される。
【0025】
本発明に係る別の光記憶媒体検査装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号のジッタを計測するジッタ計測部と、
前記計測したジッタから前記光記憶媒体が良品か不良品かを判別する判別部と
を備え、
前記ジッタ計測部は、デジタル情報が2以上の整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマークもしくはスペース列として記録されている光記憶媒体に対して、長さが2Tのマーク又はスペースに関するエッジから得られる信号のジッタを除外して、ジッタを計測する。これにより上記目的が達成される。
【0026】
上記の光情報装置において好ましくは、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光記憶媒体のジッタを計測する。
【0027】
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI2ppとし、長さが8Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI8ppとしたとき、I2pp/I8pp<0.2であってもよい。
【0028】
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースの一対の長さをMLとし、光ピックアップヘッドが照射する光ビームの波長をλとし、光ピックアップヘッドの集光光学系の開口数をNAとしたとき、ML<λ/(1.25・NA)であってもよい。
【0029】
また、前記ジッタ計測部は、照射された光の一部が透過する半透過膜からなる第1の記録層と第2の記録層を有する前記光記憶媒体のジッタを計測するものであって、前記第1の記録層に光ビームを照射することにより前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達して得られる信号のジッタを計測してもよい。
【0030】
また、光記憶媒体の反射率が変動した場合の復調手段に入力される信号の振幅の変動が小さくなるように利得調整手段を設けてもよい。
【0031】
本発明に係る光記憶媒体検査方法は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号のジッタを計測することにより光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査方法であって、前記方法は、
デジタル情報が整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録されている前記光記憶媒体に光ピックアップから光ビームを照射するステップと、
前記マーク又はスペースで反射した光を受光するステップと、
前記受光した光に基づく信号から、長さが最短のマーク又はスペースに関わるエッジから得られる信号のジッタを除外して、ジッタを計測するステップと、
前記計測したジッタから光記憶媒体が良品か不良品かを判別するステップと
を含むことを特徴とする。これにより上記目的が達成される。
【0032】
また好ましくは、前記長さが最短のマーク又はスペースは、長さ2Tのマーク又はスペースであって、長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号のジッタを除外して、ジッタを計測する。
【0033】
本発明に係る光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマーク及びスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、2Tのマークの幅が、3T以上のマークの幅よりも狭く、これにより上記目的が達成される。
【0034】
本発明に係る別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、これにより上記目的が達成される。
【0035】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、これにより上記目的が達成される。
【0036】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、これにより上記目的が達成される。
【0037】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成し、これにより上記目的が達成される。
【0038】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成し、これにより上記目的が達成される。
【0039】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と、
トラッキング制御に用いるTE信号生成手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記TE信号生成手段は、前記光記憶媒体に記録されたマークもしくはスペース列のエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化からTE信号を生成し、前記TE信号生成手段は、長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化は無効にしてTE信号を生成し、これにより上記目的が達成される。
【0040】
上記の光情報装置において好ましくは、記録層が、繰り返し情報を記録及び消去可能である。
また、記録層が、1度だけ情報を記録可能であってもよい。
また、記録層が、読み出し専用であってもよい。
また、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能であってもよい。
また、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能であってもよい。
【0041】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンの情報を再生するのに適した閾値と同じレベルになるように、長さが2Tのデジタル情報のマークの長さを調整し、これにより上記目的が達成される。
【0042】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、前記評価尺度に対して長さが2Tよりも長いデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整し、これにより上記目的が達成される。
【0043】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、kは本来2以上の整数を用いて情報が記録される光記憶媒体に対して、kに3以上を選んで情報を記録し、前記評価尺度に対して長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整し、これにより上記目的が達成される。
【0044】
上記の光情報装置において好ましくは、評価尺度がジッタである。
また、評価尺度がエラーレートであってもよい。
また、評価尺度が得られた信号の時間幅であってもよい。
また、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの強度を調整することにより、マークの長さを調整してもよい。
また、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの時間幅を調整することにより、マークの長さを調整してもよい。
また、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光記憶媒体のジッタを計測してもよい。
【0045】
また、光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層に光ビームを照射することにより得られる信号のジッタを計測してもよい。
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI2ppとし、長さが8Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI8ppとしたとき、I2pp/I8pp<0.2であってもよい。
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースの一対の長さをMLとし、光ピックアップヘッドが照射する光ビームの波長をλとし、光ピックアップヘッドの集光光学系の開口数をNAとしたとき、ML<λ/(1.25・NA)であってもよい。
【0046】
また、光記憶媒体の反射率が変動しても復調手段に入力される信号の振幅が変動が小さくなるように、利得調整手段を設けてもよい。
【0047】
本発明に係る光記憶媒体は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置し、これにより上記目的が達成される。
【0048】
本発明に係る別の光記憶媒体は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置し、これにより上記目的が達成される。
【0049】
本発明に係る光記憶媒体は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有し、これにより上記目的が達成される。
【0050】
また、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有しても良い。
また、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質より高くても良い。
また、再生信号品質としてジッタを検出しても良い。
また、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別しても良い。
また、再生信号品質としてエラーレートを検出しても良い。
【0051】
また、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定しても良い。
また、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質が最も高く設定しても良い。また、再生信号品質の閾値を光記憶媒体の所定領域に記載しても良い。
また、所定領域は再生専用領域であっても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていても良い。
【0052】
また、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きくても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていても良い。
【0053】
また好ましくは、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有する。
また、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きくても良い。
【0054】
本発明に係る光情報装置は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置であり、これにより上記目的が達成される。
【0055】
本発明に係る光情報装置は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有し、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置であり、これにより上記目的が達成される。
【0056】
本発明に係る光情報装置は、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有するように記録する光情報装置であって、
信号を記録する手段と、
記録した信号を再生する手段と、
再生信号における最短マークもしくは最短スペースを検出する手段と、
検出した最短マークもしくは最短スペースに隣接するエッジを除いた信号における再生信号品質を検出する再生信号品質検出手段と
を有し、これにより上記目的が達成される。
【0057】
また、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有するように記録しても良い。
また、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質より高くても良い。
また、再生信号品質としてジッタを検出しても良い。
また、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別しても良い。
また、再生信号品質としてエラーレートを検出しても良い。
【0058】
また、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定しても良い。
また、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質を最も高く設定しても良い。
また、再生信号品質の閾値を光情報装置の所定領域に記載しても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていても良い。
また、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きくても良い。
【0059】
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていても良い。
【0060】
また好ましくは、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有する。
また、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きくても良い。
【0061】
本発明に係る光情報装置は、再生信号品質結果によって記録時の照射パワーを決定し、これにより上記目的が達成される。
また好ましくは、照射パワーの決定をユーザがデータを記録するユーザ領域以外の領域で行う。
【0062】
上記発明に係る光記憶媒体検査装置の構成によれば、最短の長さのマーク及びスペースに関するジッタを除いてジッタを計測して、光記憶媒体が良品か不良品かを判断している。具体的には、2つの閾値を用いて最短マークを識別している。これによって、2つの情報記録面を同じ情報の記録密度として記録している2層光記憶媒体を用いた場合に、光ピックアップに近い記録層でマークが所望の大きさよりも小さくなってジッタが劣化した場合の影響を軽減でき、確実に良品・不良品を判断できる。また、光情報装置に適用した場合には、同様に最短の長さのマーク及びスペースによるジッタの劣化の影響を軽減できるので、2面の情報記録面のそれぞれについて高い信頼性で再生できる。また、最短のマーク及びスペースに関するジッタがより長いマーク及びスペースに関するジッタより悪い光記憶媒体を用いても、高い信頼性で情報を記録再生できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1の光情報装置の構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1の光情報装置で得られるRF信号の様子を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1の光情報装置における光記憶媒体上のマークとクロック信号の関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1の光情報装置における光記憶媒体上のマークの長さと信号振幅の関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1の光情報装置における記録パルスの様子を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2の光記憶媒体の構成の概略を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態4における光記憶媒体のトラック構成図である。
【図11】本発明の実施の形態4におけるピークパワーとジッタの相関図である。
【図12】本発明の実施の形態4におけるフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態4におけるフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態4における光情報装置の出力信号の説明図である。
【図19】本発明の実施の形態4における光情報装置の出力信号の説明図である。
【図20】従来の光情報装置における光ピックアップヘッドの構成の概略を示す図である。
【図21】従来の光情報装置における光記憶媒体上のトラックとビームの関係を示す図である。
【図22】従来の光情報装置における光ピックアップヘッドを構成する光検出器とビームの関係を示す図である。
【図23】従来の光情報装置で得られるRF信号の様子を示す図である。
【図24】従来の光情報装置のブロック図である。
【図25】従来の光記憶媒体のトラック構成図である。
【図26】従来の光情報装置におけるピークパワーとジッタの相関図である。
【図27】従来の光情報装置におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明の光情報装置の実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の符号は同一の構成要素または同様の作用、動作をなすものを表す。
【0065】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光情報装置の構成の一例を示す図である。この光情報装置は、光ピックアップヘッド80と、光記憶媒体駆動部81と、光ピックアップヘッド駆動部82と、信号処理部83と、電源部84とを備えている。図では電源部84を設ける構成としているが、電源部84の替わりに外部電源(図示せず)との接続端子(図示せず)を設け、外部電源と接続端子とを接続することにより電源を供給する構成としてもよい。また、光ピックアップヘッド80の構成には全く制約はなく、本実施の形態における光ピックアップヘッドは、図9に示す従来の構成と同様である。
【0066】
次に各構成部材の機能について説明する。光記憶媒体駆動部81は、光記憶媒体41を回転させる。光ピックアップヘッド80は、光ピックアップヘッド80と光記憶媒体41との位置関係に対応する信号を信号処理部83へ送る。信号処理部83は、送られた信号を増幅または演算してフォーカス誤差信号及びTE信号を生成し、光ピックアップヘッド80または光ピックアップヘッド内の対物レンズを微動させる。また、光ピックアップヘッド80は、光記憶媒体41に記録された情報を読み出した信号を信号処理部83へ送る。信号処理部83では光記憶媒体41に記録された情報の復調を行う。アクチュエータ91、92は光ピックアップヘッド80内の対物レンズを駆動する。光ピックアップヘッド駆動部82は、一般にトラバースメカニズムと呼ばれており、光ピックアップヘッド80から出射されるビームが光記憶媒体41の所望の位置に集光されるように、光ピックアップヘッド80の位置を移動させる。前記信号と光ピックアップヘッドの駆動部82もしくはアクチュエータ91、92によって、光記憶媒体41に対してフォーカスサーボとトラッキングサーボが行われ、情報の読み出しもしくは書き込みまたは消去が行われる。電源部84から信号処理部83、光ピックアップヘッド駆動部82、光記憶媒体駆動部81及びアクチュエータ91、92へ電源が供給される。
【0067】
なお、電源もしくは外部電源との接続端子は、各駆動回路にそれぞれ設けても何ら問題ない。光記憶媒体41は、図7に示すように、従来の光記憶媒体40と同様に2つの情報記録面41bと41cを有している。情報記録面41bは、半透過膜である。本光記憶媒体41が従来の光記憶媒体40と異なる点は、従来の光記憶媒体40では8−16変調すなわち、最短マーク及びスペースの長さが3Tである変調方式によって情報を記録していたが、本光記憶媒体41では、1−7変調すなわち、最短マーク及びスペースの長さが2Tであり、マーク長が制限されている変調方式で情報を記録していることである。一般に、マーク長が制限されている変調は、RLL(Run Length Limited)と表現されており、今回の場合、RLL(1,7)とも表現される。
【0068】
図2は、信号処理部83の具体的構成の一例を説明する図であって、情報を復調する部分の構成及び光記憶媒体に情報を記録する際に用いる記録信号を生成する部分の構成を示す図である。
【0069】
光ピックアップヘッド80から出力された信号は、イコライザ部801に入力される。光学的な周波数特性に依存して光ピックアップヘッド80から出力される信号は、高域成分が低下しているので、イコライザ部801では入力された信号の高域成分を強調して、光学的に劣化している信号の高域成分の低下を補正する。
【0070】
イコライザ部801から出力される信号は、自動利得調整部810で、信号振幅が一定となるように増幅利得が自動的に調整される。自動利得調整部810がなくても光情報装置は機能するので、省略することも可能であるが、自動利得調整部810を設けることにより、光記憶媒体41の反射率が変動した場合にもその影響を受けにくくなるので、光情報装置の信頼性が向上する。また、自動利得調整部810は、イコライザ部801の前段に設けても構わない。自動利得調整部810から出力される信号は、2値化部804とパーシャルレスポンス部802にそれぞれ入力される。
【0071】
2値化部804では、入力された信号を1と0の2値に2値化する。2値化された信号はクロック信号生成部805に入力され、クロック信号生成部805では、光記憶媒体41に記録された信号に応じたタイミングを有するクロック信号を生成する。クロック信号生成部805は、位相比較器、ローパスフィルタ、VCO、等からなる一般的なフェーズロックドループ(以下PLLとする)を有する構成のものを用いることができる。しかしながら、1−7変調を用いる場合、2Tのマーク及びスペースから得られる信号のS/Nは悪い場合が多い。このとき、全てのマーク及びスペースのエッジを用いてクロック信号を生成した場合には、クロック信号のジッタが増加して、光記憶媒体に記録された情報を忠実に再生できないことも生じる。
【0072】
ここでは、光情報装置を最初に起動したときには、全てのマーク及びスペースのエッジを用いてクロック信号を生成し、PLLが引き込みをした後には、2Tのマーク及びスペースに関するエッジに関係する位相比較結果を除外してクロック信号を生成している。2Tのマーク及びスペースの識別はパーシャルレスポンス部802が行い、2Tのマーク及びスペースを識別した結果はパーシャルレスポンス部802からクロック信号生成部805に送られる。光情報装置を最初に起動するときには、全てのマーク及びスペースのエッジを用いることによって、PLLの引き込みを行い易くなる。一方、PLLが引き込みをした後には、2Tのマーク及びスペースに関するエッジに関係する位相比較結果を除外することによって、クロック信号のジッタを下げることができる。したがって、本実施の形態の光情報装置におけるクロック信号生成部805は、光記憶媒体の記録密度を高めて、2Tのマーク及びスペースから得られる信号のS/Nが悪くなったとしても、ジッタの少ないクロック信号を出力し、その分、情報を信頼性高く再生することができる。
【0073】
クロック信号生成部805で生成されたクロック信号は、光記憶媒体駆動信号生成部806とパーシャルレスポンス部802に入力される。光記憶媒体駆動信号生成部806では入力された信号に応じて、光記憶媒体41の駆動速度を制御するための光記憶媒体駆動信号を生成する。光記憶媒体駆動信号生成部806で生成された光記憶媒体駆動信号は、光記憶媒体駆動部81に供給される。パーシャルレスポンス部802から出力される信号は、復調部803に入力されて、光記憶媒体41に記録された信号の復調が行われる。
【0074】
図3は、パーシャルレスポンスで設定される閾値(SL1、SL2)とアイパターンの関係を示している。閾値としては、2Tのマークから得られる信号と3Tのマークから得られる信号の間に第1の閾値SL1を、及び2Tのスペースから得られる信号と3Tのスペースから得られる信号の間に第2の閾値SL2をそれぞれ設定している。パーシャルレスポンス部802では、自動利得調整部810から出力された信号を、クロック信号のエッジのタイミングで、サンプリングし、マーク及びスペースの長さの識別を行う。第1の閾値SL1と第2の閾値SL2を設定することにより、2Tの信号振幅が小さいときに、マーク及びスペースが2Tであるということを精度よく識別できる。また、パーシャルレスポンス部に(1、2、2、1)等、他のクラスを用いた場合でも、ビタビ復号等の最尤復号を併用することにより、すなわちPRML(Partial Response Maximum Likelihood)を用いることにより、2Tのマーク及びスペースから得られる信号振幅が小さいときでも、マーク及びスペースが2Tであるということを精度よく識別できる。
【0075】
図4は、クロック信号生成部805で生成されたクロック信号CLKと、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cに記録されたマークとの関係を示している。マーク902a〜902cは、長さ2Tのマークを、マーク903は、長さ3Tのマークであり、ここでは、それぞれ長さ0.15μmと、長さ0.225μmである。情報記録面40cに記録された2Tと3Tのマークは、それぞれマーク902aと903であり、それぞれのマークの幅Wは等しい。一方、情報記録面40bに記録された2Tと3Tのマークは、それぞれマーク902bと903であり、マーク902bはマーク902aと比べて、幅W、長さL共に小さくなってしまう。マークを記録する条件を変えることにより、マーク902bをマーク902cのようにすることはできる。このとき、マーク902bの長さLを長くすることができるが、幅Wは依然としてマーク902aよりも小さいままである。以上のことをまとめると、次のようになる。まず、情報記録面40cには長さ2Tのマークを形成した場合にも長さ3Tのマークと同様の幅とすることができる。一方、情報記録面40bに2Tのマークを記録した場合には3Tのマークに比べて十分な幅とすることができない。これは、情報記録面40bを半透過膜としているために、情報記録面41bにおける熱の拡散時間が遅く、記録したマークに対して一種の消去作用が働くためである。
【0076】
この現象は、記録膜に相変化材料を用いた場合だけではなく、光磁気材料、等、熱を用いて情報の記録、消去を行う場合には、いずれの場合においても生じる。なお、4T以上のマークは、3Tのマークと同じ幅である。マークの大きさの減少は、マークの長さが短い程著しく、通常、λ/(NA×2.5)以下のとき影響が無視できなくなる。すなわち、NAを0.85、λを0.405μmとしたときには、マーク長が0.190μm以下で、この影響が無視できなくなる。マークの大きさが減少する条件では、アイパターンのアイの開口率が低下し、結果として、2値化した後のジッタが増加する。すなわち、最短のマーク及びスペースの長さが2Tの場合には、それより長い3T以上のマークおよびスペースに比べてジッタが相対的に大きくなることを意味している。
【0077】
本実施の形態では、2Tのマーク長を0.15μm、3Tのマーク長を0.225μmとしているため、先に述べたように、2Tのマークが、他のマークよりも幅が細くなり、2値化した後のジッタは著しく増加する。そこで、この実施の形態では、閾値を2つ設けて、パーシャルレスポンスによる信号の検出を行っている。2Tマークの幅が細くなったとしても、2つの閾値を超えるRF信号とはならず、情報の検出に悪影響を与えない。すなわち、情報記録面40bに記録された2Tのマークの幅が細くなったとしても、情報を信頼性高く再生することができる。
【0078】
図5は、マークの長さと信号振幅の関係を示している。図5において、横軸は、λ/(ML・NA)である。ここで、λは光源の波長、NAは光ピックアップヘッドが有する対物レンズの開口数、MLは同じ長さのマークとスペースを一対としたときの長さである。一方、縦軸は、I2pp/I8ppが2Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅を8Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅で割った値である。また、I3pp/I8ppが3Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅を8Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅で割った値である。
【0079】
図5からわかることについて説明する。λ/(ML・NA)が約1.25のとき、I2pp/I8ppが0.2、I3pp/I8ppが0.6であり、したがって、I2ppとI3ppの比は3倍である。2Tのマーク幅が3Tのマーク幅よりも狭くなると、さらにこの比は増大する。λ/(ML・NA)が1.25よりも大きいとき、さらにI2pp/I8ppが急激に低下するので、I2pp/I8ppの低下に伴って相対的に、I2ppに対する光記憶媒体、レーザ、回路、等によるノイズの割合が急激に増加するので、従来の2値化信号を単純に検出する方式では、2Tのマーク及びスペースに関係するエッジのジッタが悪化する。
【0080】
一方、2つの閾値を設けたときの、2T及び3Tのマークもしくはスペースから得られる信号と閾値の間隔は広くなり、すなわち、長さ2Tのマーク及びスペースと長さ3Tのマーク及びスペースとの違いを識別することが容易になる。したがって、MLが一対の2Tのマークとスペースの長さであり、λ/(ML・NA)が1.25よりも大きいとき、2つの閾値を設けるパーシャルレスポンス部や、PRMLを用いることが有効になる。
【0081】
なお、ここでは、光記憶媒体41に2つの記録層を有する場合について説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、光記憶媒体の記録層が、2Tのマークが3T以上のマークよりも細くなるという特性を有している場合や、MLが一対の2Tのマークとスペースの長さであり、λ/(ML・NA)が1.25よりも大きい場合には、記録層の数に関係なく、いずれの場合にも、本発明の光情報装置を用いることによって情報を信頼性高く再生することができることは言うまでもない。また、本発明の光情報装置は、何度も記録可能な光記憶媒体の記録・再生用に限定されるわけではなく、1度だけ記録可能な光記憶媒体や、読み出し専用の光記憶媒体に対しても有効である。
【0082】
例えば、読み出し専用の光記憶媒体を作製する際のマスターリング工程において、レーザビームを用いて原盤のカッティングを行った場合には2Tマークの幅が3T以上のマークの幅よりも狭くなることが起こり得る。原盤のカッティングに適用できるレーザの最短波長が270nm程度、対物レンズの最大開口数が0.9程度であることを考慮して、最短マークの長さが0.2μm、トラックピッチが0.4μmよりも小さい高密度の読み出し専用の光記憶媒体を作製する場合には、特に2Tのマーク幅が3T以上のマーク幅よりも細くなることは避けられない。この場合にも本実施の形態の光情報装置の効果が特に発揮される。
【0083】
レーザビームを用いて原盤のカッティングを行う際にレジスト膜に非線形透過膜を用いて、小さなマークを形成する方法もあるが、このときも2Tマークの幅が3T以上のマークの幅よりも狭くなることは、特によく起こり得る。この場合にも本実施の光情報装置の効果が特に発揮される。電子ビームを用いて原盤のカッティングを行う場合には、2Tマークの幅を3Tマークの幅と同様にすることができるが、カッティングに要する時間がレーザビームを用いる場合と比較して遙かに長いため、それだけ光記憶媒体のコストが増大する。本実施の光情報装置を用いることにより、レーザビームで原盤のカッティングを行って、安価な光記憶媒体を提供することができる。
【0084】
また、最短マークは長さ2Tに限定されるものではなく、最短マークの幅が、最短マークよりも長いマークの幅より狭い場合、本発明の効果を得ることができ、例えば最短マークが3Tであってもよい。
【0085】
なお、ここでは従来と同様の光ピックアップヘッドを用いたが、光記憶媒体にビームを照射して、光記憶媒体から反射されたビームに応じた信号を出力するものであれば、如何なる構成の光ピックアップヘッドであってもよい。また、光記憶媒体に記録されたRF信号を用いてクロックを生成しているが、トラックをウォブルした溝として、そのウォブルのタイミングからクロック信号を生成する方法等、従来から用いられているクロック信号の生成方法は全て適用できる。
【0086】
次に、情報を記録する系を説明する。
(a)デジタルパターン発生部807は、音楽、映像、コンピュータのデータ、等の情報を1−7変調の変換規則に基づいて、所望のデジタル情報パターンに変換する。さらに、デジタルパターン発生部807は、光記憶媒体に最適な記録条件を学習するために、単一パターン、ランダムパターン、特定のマーク及びスペース長の組み合わせからなる特殊パターン、等を生成する機能も有する。
(b)デジタルパターン発生部807で生成されたデジタル情報パターンは、記録パルス発生部808に入力される。
(c)記録パルス発生部808は、入力されたデジタル情報パターンに基づいて、光記憶媒体にマーク及びスペースを記録するのに適した記録パルス信号を生成する。記録パルス信号は、幅、振幅、タイミング等を調整できる。更に、光記憶媒体の固有情報、学習した最適結果、光記憶媒体に記録されている記録条件、等の情報を格納しておくメモリも有している。そのため、一度学習を行った光記憶媒体や、既に最適な記録条件が光記憶媒体に記録されている光記憶媒体に対して記録を行う場合には、記録条件の学習時間が短縮できるようになっている。
(d)記録パルス発生部808で生成された記録パルス信号は、レーザ駆動部809に入力される。
(e)レーザ駆動部809では、入力された記録パルス信号に基づいて、光ピックアップヘッドを構成する光源である半導体レーザ光源の出力を制御することにより、光記憶媒体の記録層に情報の記録を行う。
【0087】
図6は、3Tのマークを記録するときの記録パルス信号を示している。ここでは、マーク長に応じてパルス数を増やしており、3Tマークではパルス数が3つ、5Tマークではパルス数が5つである。破線は、クロック信号のエッジのタイミングを示している。PTW1、PTW2、PTW3は記録パルスの幅、TF1、TF2、TF3はクロック信号のエッジのタイミングから記録パルスの立ち上がりエッジまでの遅延時間、PW1、PW2、PW3は記録パルスのピークパワー、PB1、PB2、PB3はバイアスパワーである。
【0088】
これらの値は、光記憶媒体が有する特性及び記録するマークの長さと前後のスペースの長さに応じて最適化される。したがって、PW1〜PW3は異なる値をとり得る。PTW1〜PTW3、PB1〜PB3についても同様である。勿論、レーザ駆動部809の特性に応じて、PW1〜PW3及びPB1〜PB3を各々等しくして、PTW1〜PTW3を調整することにより最適化する場合もあれば、PTW1〜PTW3を一定として、PW1〜PW3及びPB1〜PB3を最適化してもよい。
【0089】
また、他の長さのマークやスペースに対しても同様に、最適なパワー、幅、遅延時間、等を設定する。また、遅延時間については、光記憶媒体の特性によって、正負どちらの値にもなり得る。記録条件の学習は、ここでは1−7変調したランダム信号を光記憶媒体に記録し、2T〜8Tのマーク及びスペースから得られる信号の時間幅の平均値が、それぞれTの整数倍で等しくなるように記録パルスを調整している。このことにより、2Tのマーク及びスペースの平均値を、3T以上の長さのマーク及びスペースから得られる信号を2値化する際に設定される閾値と一致させることができる。2Tのマーク及びスペースの平均値と3T以上の長さのマーク及びスペースから得られる信号を2値化する際に設定される閾値と一致させることにより、2つの閾値を設定して情報を再生する際に、最も誤りを起こす確率が低くなり、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0090】
また、2Tのマークもしくはスペースと隣接しない3T以上の長さのマーク及びスペースに関しては、ジッタもしくはエラーレートを評価関数として、記録パルスの最適化を図ってもよい。このときには、マーク及びスペースから得られる信号の時間幅だけで最適化を行うよりも、誤りを起こす確率が低くなり、更に信頼性を高めることができる。また、このとき、2Tのマーク及びスペースを除いて記録し、記録条件の最適化を行ってもよい。そのときには、2Tのエッジを識別して除外する必要がなくなるので、より簡単に且つ短時間で記録条件の学習ができる。
【0091】
また、許される範囲で記録条件の最適化を図った後に情報を記録したとき、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジに関する結果を除外したジッタが、所望の値を上回るときには、光記憶媒体が情報を記録するのに適さないと判断して、光記憶媒体に本来記録しようとする情報を記録しないようにする。さらには、光記憶媒体が情報を記録するには適さない旨を示す警告を出してもよい。そうすることにより、貴重な情報を光記憶媒体に記録する際には、高い信頼性で再生できることが保証されるようになる。
【0092】
従来、全てのマーク及びスペースのエッジに関するジッタの値で評価していた。この場合、2Tのマーク及びスペースに隣接するエッジのジッタが悪いのか否かを判断できなかった。すなわち、2Tのマーク及びスペースに隣接しないエッジのジッタが、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジのジッタよりも遙かに小さい場合と、2Tのマーク及びスペースに隣接しないエッジのジッタが、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジのジッタと同様の場合との識別はできなかった。そのため単に全てのエッジに関するジッタの値が所望の値よりも大きいか小さいかということで、光記憶媒体が情報の記録に適しているか適していないかを判別していた。しかし、この場合、同じジッタ値を示す光記憶媒体であっても、PRMLを用いて情報の再生を行ったとき、エラーレートには大きな違いがあった。情報を信頼性よく記録再生するためには、ジッタの基準値を低く保つことで、確実にエラーレートが低い光記憶媒体を識別しなければならず、PRMLを用いた場合に十分に低いエラーレートが得られる光記憶媒体も情報の記録に適さない光記憶媒体として扱わなければならなかった。
【0093】
一方、本実施の形態の光情報装置によれば、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジに関する結果を除外したジッタを評価関数しており、この場合には、ジッタの値とPRMLを用いた場合のエラーレートとは非常に強い相関が有る。そのため、ジッタの基準値を従来よりも高く設定することができ、PRMLを用いた場合に低いエラーレートが得られる光記憶媒体を確実に識別することができる。したがって、光記憶媒体を製造する際の歩留まりが向上し、安価な光記憶媒体を提供できるようになる。勿論、この光記憶媒体は、PRMLを用いた場合だけではなく、2つの閾値を有するパーシャルレスポンスを用いる場合も同様に許容できる。また、ジッタを評価関数とした場合には、エッジの数は1000〜10000程度でよいが、エラーレートを評価関数とした場合には、エッジの数は100000〜1000000程度が必要となる。したがって、評価関数にジッタを用いることで、評価関数にエラーレートを用いる場合と比較して、評価に要する時間は、遙かに短い時間で済むので、光記憶媒体の生産性が向上する。
【0094】
(実施の形態2)
図7は、本発明に係る別の光記憶媒体の一例として、光記憶媒体の構成を示した図である。光記憶媒体41は、透明な保護層41aと2つの記録層41b、41cを有している。光記憶媒体40と光記憶媒体41で異なる点は、情報記録面41cは何度も書き換え可能な記録層であるが、情報記録面41bは、読み出し専用の記録層であるという点である。情報記録面41bには、エンボスとしてマークが形成されている。また、最短マーク及びスペースは2Tである。また、情報記録面41bの透過率は、50%よりも高く設定しており、ここでは、80%としている。記録層41bの透過率は読み出し専用のため、透過率は、どの位置でもほぼ一定である。読み出し専用の記録層である情報記録面41bを記録可能な情報記録面41cよりも光が入射する側に配置することで、情報記録面41bの透過率が一定なことから、情報記録面41cに照射されるビームのパワーが安定し、所望の情報を記録再生することができる。また、情報記録面41bの透過率は読み出し専用のため、情報記録面41bの透過率を50%よりも高く設定できる。そのため、情報記録面41cに記録する際に必要な、光ピックアップヘッドを構成するレーザの出射するパワーは少なくてもよく、レーザの寿命が長くなるので、長期間使える光情報装置を構成することができる。また、情報記録面41cに記録された情報を読み出す際にも、情報記録面41bの透過率を高くしている分、光検出器に入射するビームの光量は大きくなるので、その分S/Nが良くなり、信頼性高く情報を再生することができる。
【0095】
なお、ここでは情報記録面41cを何度も書き換え可能な記録層としたが、1度だけ記録可能な記録層としてもよい。
【0096】
また、記録層を3層以上設けて、1つの層だけを記録可能な記録層とし、残りの記録層は読み出し専用の記録層とするときには、光ピックアップヘッドからのビームが入射する側に読み出し専用の記録層を配置し、光ピックアップヘッドからのビームが入射する側から最も遠い位置に記録可能な記録層を設けることで、同様な効果を得ることができる。
【0097】
なお、本実施の形態の光記憶媒体は、変調方式に関しては全く制約がなく、如何なる変調方式も適用できる。
【0098】
(実施の形態3)
図8は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、長さが最短のマーク及びスペースとして2Tのマーク及びスペースが形成された後の光記憶媒体から位相差法(DPD法ともいう)によりTE信号を生成する光情報装置の構成を示した図である。
【0099】
光記憶媒体には、例えば、実施の形態2に示す光記憶媒体41のように、エンボスでマークが形成されている記録層を有する光記憶媒体を用いることができる。本光情報装置は、ファーフィールド領域におけるビームを分割して光検出器で受光し、位相比較可能な信号を出力可能な光ピックアップヘッドであれば、如何なる光ピックアップヘッドも用いることができる。ここでは、最も一般的に用いられている、図9に記載の光ピックアップヘッドを用いて説明する。
【0100】
(a)光検出器32の受光部32a〜32dから出力される信号は、信号処理部85に入力される。
(b)信号処理部85に入力された受光部32a〜32dから出力された信号は、加算部820で加算された後、自動利得調整部810に入力される。
(c)自動利得調整部810では、入力された信号振幅が所望の大きさとなるように利得が自動的に調整されて増幅される。
(d)自動利得調整部810から出力された信号は、イコライザ部822に入力されて、信号の高い周波数成分が強調された後、識別部821に入力される。
(e)識別部821では、入力された信号のうち、長さが2Tのマーク及びスペースのエッジに関するタイミングのときに保持信号を生成して出力する。
(f)受光部32a〜32dから出力された信号は、イコライザ部822にも入力され、4つの信号はそれぞれ、高い周波数成分が強調された後、位相比較部823に入力される。
(g)位相比較部823では、入力された信号の振幅の変化のタイミングに応じた信号を出力する。
(h)位相比較部823から出力された信号は、ホールド部824を経た後、駆動信号生成部825に入力される。
(i)ホールド部824では、2Tのマーク及びスペースのエッジに関するタイミングのときの信号は無効として、駆動信号生成部825に出力しない。
(j)駆動信号生成部825では、入力された信号を所望の大きさに増幅し、位相補償、帯域制限等の処理を行ったのちトラッキング制御用のアクチュエータを制御するために用いられる信号を出力する。
【0101】
1−7変調を用いる場合、2Tのマーク及びスペースから得られる信号のS/Nは、他の2Tよりも長いマーク及びスペースから得られる信号よりも悪いことが多い。全てのマーク及びスペースのエッジを用いてTE信号を生成した場合には、2Tのマーク及びスペースに関するエッジのタイミングの検出精度が非常に悪く、TE信号のS/Nを大きく劣化させ、その分、トラッキング制御の精度が低下してしまう。2Tのマーク及びスペースに関するエッジに関係する位相比較結果を除外してTE信号を生成することにより、単位時間当たりのタイミングの検出数は減少するため、トラッキング制御の帯域を高められない可能性も考えられるが、S/Nの改善効果が遙かに大きいため、全てのマーク及びスペースのエッジのタイミングを用いてTE信号を生成するときよりも、トラッキング制御の帯域を高めることができる。
【0102】
また、実施の形態1で説明したクロック信号を生成する場合と同様に、λ/(ML・NA)が1.25よりも大きいとき、特に本実施の形態に示すTE信号の生成方法を用いることで、顕著な効果が発揮される。
【0103】
なお、図8に記載していない構成要素については、一般的な光情報装置に用いられている構成を問題なく適用できるので、説明を略している。
【0104】
また、最短マークは2Tに限定されるものではなく、最短マークの幅が、最短マークよりも長いマークの幅より狭い場合、本発明の効果を得ることができ、例えば最短マークが3Tであってもよい。
【0105】
(実施の形態4)
図9は、本発明に係る別の光情報装置の一例としての相変化光情報装置の構成を示す図である。この光情報装置は、光ピックアップヘッド102と、再生手段103と、再生信号品質検出手段A104と、検出手段B105と、最適記録パワー決定手段106と、記録手段107と、レーザ駆動回路108と、記録パワー設定手段109とを備える。光ピックアップヘッド102によって光記憶媒体101に光ビームを照射し、反射光を受光する。再生手段103では、該光ピックアップヘッド102で受光した光に基づく信号を再生する。再生信号品質検出手段A104と、検出手段B105とによって、再生信号の品質を検出する。最適記録パワー決定手段106では、該検出手段A104、検出手段B105で得られた再生信号品質に基づいて最適記録パワーを決定する。レーザ駆動回路108によってレーザを出射する。記録パワー設定手段109によって記録時のパワーを設定する。
【0106】
図10は、本実施の形態における光記憶媒体101のトラックの構成を示す図である。光記憶媒体101は、溝状のグルーブトラック201に記録領域を有し、前記グルーブトラックがスパイラル状に連続している光記憶媒体である。
【0107】
光記憶媒体101が光情報装置に装着され、光記憶媒体タイプの識別や回転制御等の所定動作の終了後、光ピックアップヘッド102は最適記録パワーを設定するための領域に移動する(ステップ402:図12)。
【0108】
なお前記領域は、光記憶媒体の最内周もしくは最外周に設けられた、ユーザがデータを記録するユーザ領域以外の記録領域とする。ユーザ領域以外の領域を使用することにより、高い照射パワーの記録によるユーザ領域の熱的な破壊を防止することができる。
【0109】
以下に記録時のパワーを決定する際の動作について説明する。なお、図9に示す装置を構成する回路から出力される信号、および前記信号に対応する光記憶媒体101上の記録マークを図18および図19に示し適宜参照する。
(a)まず記録パワー設定手段109により、ピークパワー1103、バイアスパワー1104、ボトムパワー1105の初期値がレーザ駆動回路108に設定される。
(b)続いて記録手段107から、所定の位置よりグルーブトラック1周を連続して記録するための信号115がレーザ駆動回路108に送られる。
(c)レーザ駆動回路108から、記録するマークの長さに応じて整形されたパルス列信号116が光ピックアップヘッド102に送られて、光ピックアップヘッド102により信号が記録される。このとき光ピックアップヘッド102の構成要素である半導体レーザの出力光は光記憶媒体101上に光スポットとして集光され、発光波形に応じた記録マーク1001が形成される。なお光ピックアップヘッド102においてレーザ光の波長は405nm程度であり、対物レンズのNAは0.85程度である。
【0110】
なお本実施の形態では、1−7変調方式のデータをマークエッジ記録方式で記録するものとする。この場合、最短の2Tから最長の8Tまでの基準周期であるT毎に7種類のマークおよびスペースが存在する。なお記録方式はこれに限らず他の記録方式でも良い。なお最短マーク長は0.16μm程度である。
【0111】
記録が終わると、光ピックアップヘッド102の半導体レーザは再生パワーで発光し、さきほど記録を行ったトラックを再生し、再生信号として光記憶媒体101上の記録マーク1001の有無により変化する信号110が再生手段103に入力される。
【0112】
図14は、再生手段103の構成を示すブロック図である。この再生手段103は、プリアンプ601と、イコライザ602と、ローパスフィルタ603と、2値化回路604と、PLL605とを備える。信号110は、プリアンプ601で増幅され、イコライザ602、ローパスフィルタ603で波形等化されて信号606となる。信号606は、2値化回路604に入力されて、スライスレベル1002との交点においてパルスを出力し、信号111となる。ここでスライスレベル1002はマークの積分値とスペースの積分値が等しくなるように通常数10KHzの帯域で動作する。
【0113】
2値化回路604の出力信号111は、PLL605に入力される。図15は、PLL605の構成を示すブロック図である。このPLL605は、位相比較器701と、ローパスフィルタ702と、VCO703と、フリップフロップ704と、分周回路705と、ゲート回路706とを備える。
(a)2値化回路604の出力信号111が位相比較器701に入力される。
(b)位相比較器701は入力信号111とゲート回路706の出力信号707との位相差を検出し、2つの入力信号の位相差と周波数差に関係する誤差信号708を出力する。
(c)誤差信号708はローパスフィルタ702で低周波成分だけが取り出され、VCO703の制御電圧となる。
(d)VCO703は制御電圧によって決まる周波数でクロック信号709を発生する。
(e)クロック信号709は、分周回路705で分周され、ゲート回路706で信号111に対応した信号のみが出力される。このときVCO703は2つの入力信号の位相が等しくなるように制御され、結果的に信号111をその基本周期に同期させた信号112が出力され、再生信号品質検出手段A104と再生信号品質検出手段B105に入力される。
【0114】
図16は、再生信号品質検出手段A104のブロック図である。この再生信号品質検出手段A104は、エッジ間隔測定回路801と、ジッタ演算回路803と、比較回路805とを備える。2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112がエッジ間隔測定回路801に入力されると、エッジ間隔測定回路801は、図18に示すように、2つのパルスのエッジ間隔t0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9・・・を測定し、ジッタ演算回路803においてジッタ値を出力する。続いて比較回路805にて、得られたジッタ値を閾値とする所定のジッタ値と比較し、比較結果を信号113として最適記録パワー決定手段106に出力する。
【0115】
次に、図17に再生信号品質検出手段B105のブロック図を示す。この再生信号品質検出手段B105は、セレクタ回路901と、ディレイ回路903と、エッジ間隔測定回路906と、ジッタ演算回路908と、比較回路910とを備える。
(a)2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112はディレイ回路903に入力され、それぞれ信号904、905をエッジ間隔測定回路906に出力する。
(b)信号111は一方でセレクタ回路901に入力され、最短マークおよび最短スペースのエッジを検出して信号902をエッジ間隔測定回路906に出力する。本実施の形態では2T信号が最短であるので2T以下もしくは2T+α以下となるパルス間隔を検出する。ここでαは0.5T以下であり、望ましくは0.25T以下である。この信号902は、最短マーク及び最短スペース、例えばここでは長さが2Tのマーク及びスペースをマスクするために用いられる。
(c)エッジ間隔測定回路906は、図19に示すように、信号904において、信号902でマスクされるエッジ間隔t3、t6を非測定とし、それ以外のパルスのエッジ間隔t0、t1、t2、t4、t5、t7、t8、t9・・・を測定し、ジッタ演算回路908においてジッタ値を出力する。
(d)続いて比較回路910にて、得られたジッタ値を閾値とする所定のジッタ値と比較し、比較結果を信号114として最適記録パワー決定手段106に出力する。
【0116】
図11は、ピークパワーとジッタの関係を示す図である。図11において横軸がピークパワーであり、縦軸がジッタである。ジッタとは再生信号の原信号との時間的なずれのことであり、記録時のレーザ光の照射パワー不足による再生信号振幅の低下等により発生し、再生信号振幅が増加すると減少し、再生信号振幅が飽和するとジッタ量もほぼ一定となる。再生条件が等しければ、一般にジッタが小さいほど正確な記録が行われている。そこで記録したトラックのジッタが閾値以下となるときOKとし、閾値以上となるときをNGとする。
【0117】
最適記録パワー決定手段106は、例えば図12、図13に示すフローチャートに従って以下のように動作する。
(a)まず、再生信号品質検出手段A104の1回目の結果においてNGならば初めのパワーよりも大きいピークパワーを設定し(ステップ405)、OKならば初めのパワーよりも小さいピークパワーを設定し(ステップ404)、前回と同様に、設定されたピークパワーでグルーブトラックの記録、再生を行う(ステップ406)。
(b)もし再生信号品質検出手段A104の1回目の検出結果がNGであり、2回目の検出結果がOKであれば、最適記録パワー決定手段106は1回目のピークパワーと2回目のピークパワーの平均パワー(P1)に一定のマージンを上乗せしたパワー(P2)を下記式に従って算出する(ステップ411)。
P1=(現在のピークパワー+直前のピークパワー)/2
P2=K1×P1(マージン上乗せ,K1>1)
(c)もし再生信号品質検出手段A104の1回目の検出結果がOKであり、2回目の検出結果がNGであれば、最適記録パワー決定手段106は1回目のピークパワーと2回目のピークパワーの平均パワー(P1)に一定のマージンを上乗せしたパワー(P2)を算出する(ステップ411)。
P1=(現在のピークパワー+直前のピークパワー)/2
P2=K1×P1(マージン上乗せ,K1>1)
【0118】
(d)もし再生信号品質検出手段A104の1回目の検出結果がOKであり、2回目の検出結果がOKであれば、2回目に記録したピークパワーよりもさらに小さいパワーを設定し、このピークパワーで記録、再生を行い、再生信号品質を検出する。そして再生信号品質検出手段A104の3回目の検出結果においてNGであれば、最適記録パワー決定手段106は2回目のピークパワーと3回目のピークパワーの平均パワー(P1)に一定のマージンを上乗せしたパワー(P2)を算出する(ステップ411)。
(e)続いてピークパワーP2を設定し(ステップ412)、該ピークパワーP2により、ランダム信号を記録し、再生を行う(ステップ413)。
(f)再生信号品質検出手段A104にて再生信号品質を検出する(ステップ414)。
(g)もし検出結果がNGであれば、ステップ411におけるマージンの上乗せ係数のK1を変更し(ステップ415)、再度ステップ412以降の処理を実施する。変更により検出結果がOKとなれば、次に再生信号品質検出手段B105にて再生信号品質を検出する(ステップ416)。もし検出結果がNGであれば、処理411におけるマージンの上乗せ係数のK1を変更し(ステップ417)、再度412以降の処理を実施する。変更により検出結果がOKとなればピークパワーP2をユーザデータ記録時のピークパワーと決定する(ステップ418)。ここでステップ415における変更量は最大で±10%程度であり、ステップ417における変更量は最大で±5%程度である。
【0119】
以上の様に、記録性能確認等のために、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタ検出に加えて、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することにより、実使用時に光記憶媒体とヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、データを正しく記録することができる。
【0120】
さらに本実施の形態のように最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの閾値と、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値をそれぞれ設定することにより、より最適な記録再生を行うことが可能になる。
【0121】
言い換えると、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの閾値と、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値を満足する記録性能を光記憶媒体が有することにより、より最適な記録再生を行うことが可能になる。なおこれらの閾値は光記憶媒体上の再生専用領域に記録されていても良いし、光情報装置のメモリに記憶されていても良い。
【0122】
なお、これまでに説明した実施の形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な形態を採り得る。
【0123】
ジッタやエラーレート等の評価尺度に関して、マークの始端エッジと終端エッジとを区別していないが、区別しても良い。区別することにより始端エッジと終端エッジの一方が極端に大きい場合を排除することができる。更に、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジを区別できるのであれば、検出量はジッタに限らず例えばビットエラーレート等でも良い。
【0124】
また、2値化回路604の出力信号111においてパルス間隔を測定することにより最短マークおよび最短スペースを含むエッジを検出しているが、最短マークおよび最短スペースの検出方法はこれに限らず、図3に示すように2つの閾値SL1とSL2を設定して振幅から最短マークおよび最短スペースを検出する等、特に検出方法に制約はない。
【0125】
また、エッジ間隔測定回路906は、セレクタ回路901の出力信号902でマスクされたエッジ間隔を非測定としているが、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを測定できるのであれば他の方法でも良い。
【0126】
また、2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112を基にしてエッジ間隔を測定しているが、エッジ間隔の測定はこれに限らず、2値化回路604の出力信号111のみのエッジ間隔を測定してもよい。信号112のジッタが無視できる場合、理論的には、2値化回路604の出力信号111のみのエッジ間隔におけるジッタ値は、2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112を基にしてエッジ間隔におけるジッタ値の約1.41倍になり、2値化回路604の出力信号111のみのエッジ間隔におけるジッタ値を検出する場合でも相応の効果を有する。
【0127】
また、再生系にPRML方式を使用する場合には、最短マークおよび最短スペースの検出能力が一層向上する。このような場合には特に本実施の形態における、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することが有効である。例えば、全てのエッジにおけるジッタ値が等しい二つの記録状態を比較した場合に、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタ値が小さい方がより正しくデータを再生できるのはもちろんであるが、最短マークおよび最短スペースの影響で、全てのエッジにおけるジッタ値が大きい場合でも、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタ値が小さければ、PRML方式により最短マークおよび最短スペースを含むエッジは正しく2Tと検出することができるので、結果的に全てのエッジにおけるジッタ値が小さい場合よりも正しくデータを再生することが可能である。
【0128】
また、符号系列は、最短マーク長が2Tに限定されるものではなく、最短マーク長が3Tである3T系や1T等、他の長さであっても同様の効果を有する。
【0129】
PRML方式を使用する場合には、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのゆらぎを小さくするようにマークを記録することにより、最短マークおよび最短スペースについては、正しい時間間隔ではなくとも、少なくとも信号の存在が検出できる程度の振幅を有するようにマークを記録すれば、たとえ全てのエッジにおけるジッタ値が大きい場合でも正しくデータを再生することができるので、本実施の形態の様な、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出して記録条件を求めることが非常に有効である。
【0130】
また、本実施の形態では最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタと、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの両方を検出しているが、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタのみを検出する場合でも、相応の効果を有する。
【0131】
また、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出した場合でも、最短マークを含まないエッジもしくは最短スペースを含まないエッジのどちらか一方のジッタのみを検出する場合でも、相応の効果を有する。
【0132】
また、PRML方式以外であっても、RLL符号の場合には最短マークが規定されていることから、簡易的な最短マークおよび最短スペースの検出が可能である。すなわちRLL(1,7)変調方式において、再生波形から2.5Tの信号を検出した場合には、2Tの可能性と3Tの可能性があるが、2Tよりも短い信号を検出した場合には2Tの可能性の方が高い。従ってRLL符号により記録を行う場合には、本実施の形態のように最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することが有効である。
【0133】
また、閾値となるジッタ値は、光情報装置のエラー訂正能力やイコライザの形態により異なるが、エラー訂正前で1.0×10−4から1.0×10−3程度のビットエラーレートを想定した光情報装置の場合、再生信号品質検出手段A104において、本実施の形態に示した通常の線形イコライザでは8%〜11%程度が望ましく、ブースト量が線形イコライザよりも大きいリミットイコライザ等の非線形イコライザでは6%〜9%程度が望ましい。同様に再生信号品質検出手段B105において、本実施の形態に示した通常の線形イコライザでは7%〜10%程度が望ましく、ブースト量が線形イコライザよりも大きいリミットイコライザ等の非線形イコライザでは5%〜8%程度が望ましい。再生信号品質検出手段A104の閾値となるジッタ値は、再生信号品質検出手段B105の閾値となるジッタ値以上である。なおジッタ値は再生系の構成等により1〜2%程度変化しても良い。
【0134】
また、連続記録、連続再生の区間に特に制約はなく、セクタ単位の記録を行う光情報装置においてはセクタ単位の記録でもECCブロック単位の記録でも良い。
【0135】
また、記録トラックは1周でなくとも良く、例えば5トラックを連続して記録し、その中央トラックを再生しても良い。これにより、隣接トラックによる消去の影響を含めることができ、より実際のデータの記録に近い条件でジッタ値を検出することができる。
また、中央トラックを記録した後に両側のトラックに記録しても良い。これにより、隣接トラックによる消去の影響を含めることができ、より実際のデータ記録に近い条件でジッタ値を検出することができる。この際に、異なる光情報装置で異なるデータを隣接トラックに記録される場合を考慮し、隣接するトラックに中央トラックを記録したピークパワーよりも高いピークパワーで記録しても良い。より厳しい条件でピークパワーを求めることにより、より信頼性の高い記録を行うことができる。
【0136】
また、特に隣接トラックへの記録による中央トラックへの影響を考慮しない場合には、隣接トラックを記録した後に中央トラックに記録しても良い。これによりトラックピッチのむらがある場合でも、隣接トラックの影響を低減することができ、正しくピークパワーを求めることができる。
【0137】
なお記録回数は同一トラックに1回でなくとも良く、例えば同一トラックに10回記録を行っても良い。繰り返し記録可能な光記憶媒体においては、複数回記録を行うことにより、より実際のデータ記録に近い条件でジッタ値を検出することができる。なおジッタの検出は記録を行う毎に行っても良く、これにより光記憶媒体の初期オーバーライト特性を考慮した最適なピークパワーを求めることができる。
【0138】
また、異なる光情報装置で高いピークパワーで記録された領域にオーバライトすることを考慮し、複数回の記録を行う際に、ユーザ領域に記録を行う際のピークパワーよりも高いピークパワーで記録を行った後にユーザ領域に記録を行う際のピークパワーでオーバライトしても良い。より厳しい条件でピークパワーを求めることにより、より信頼性の高い記録を行うことができる。
【0139】
なお本実施の形態ではピークパワーを中心に説明したが、バイアスパワー、ボトムパワーについても、それぞれピークパワーと同様の求め方を行っても良いし、ピークパワーに連動させて変更させても良い。
【0140】
また本実施の形態はトラックに限定されるものではなく、ランドトラックに記録する光記憶媒体はもちろんのこと、ランドトラックとグルーブトラックの両方のトラックに記録する光記憶媒体であっても構わない。
【0141】
また、記録可能な層数については一層でも良いし、二層でも良いし、それ以上の層数でも良い。例えば二層光記憶媒体では、光ピックアップヘッドに近い側の層では遠い側の層に比べてレーザ光のコマ収差の影響が小さくチルト特性が良好であるので、光ピックアップヘッドに近い側の、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの閾値や、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値を、遠い側の層に比べて大きくしても良い。最短マークおよび最短スペースを含むエッジの閾値ジッタ値や、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値ジッタ値を層毎にそれぞれ設定することにより、それぞれの層において最適な記録再生を行うことが可能になる。また、これらの閾値は光記憶媒体上の再生専用領域に記録されていても良いし、光情報装置のメモリに記憶されていても良い。
【0142】
また、再生信号品質検出手段の結果に応じて変化させるパラメータは記録するパワーに限定されるものではなく、例えば記録するマークの長さに応じて整形されたパルス列の幅や位置であっても良い。
【0143】
また、ジッタの要因は、記録時の条件に限定されるものではなく、例えば、チルトやデフォーカスによる照射パワーの非最適や、照射パワーの変動等、記録時の要因により結果的に記録マークのゆらぎとしてジッタが発生しても良いし、記録マーク自身のゆらぎは小さく、再生装置のノイズや、チルトやデフォーカス等による再生信号のゆらぎとしてジッタが発生しても良い。
【0144】
また、光記憶媒体の特徴は、相変化型に限定されるものではなく、RLL符号を用いるのであれば、光磁気記録型の光記憶媒体や磁気光記憶媒体、等、如何なる光記憶媒体であっても良い。勿論、再生専用の光記憶媒体であっても良い。例えば再生専用の光記憶媒体の製造過程において光記憶媒体性能確認等のために、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタ検出に加えて、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することにより、実使用時に光記憶媒体と光ピックアップヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、データを正しく再生することができる。
【0145】
以上のように、本発明によれば、マークが所望の大きさよりも小さくなることでジッタが劣化する光記憶媒体を用いる場合でも、ジッタが悪化することの影響を軽減でき、記録再生時に光記憶媒体とヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、情報を信頼性高く記録再生することができる光記憶媒体、光情報装置、光記憶媒体検査装置及び光記憶媒体検査方法を提供できる。
【0146】
なお、本発明は、請求の範囲に記載した態様に限定されず、以下のように様々な態様に展開できる。
本発明の第1の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマーク及びスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、2Tのマークの幅が、3T以上のマークの幅よりも狭い光情報装置である。
【0147】
本発明の第2の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光情報装置である。
【0148】
本発明の第3の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数である光情報装置である。
【0149】
本発明の第4の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数である光情報装置である。
【0150】
本発明の第5の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成する光情報装置である。
【0151】
本発明の第6の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成する光情報装置である。
【0152】
本発明の第7の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と、
トラッキング制御に用いるTE信号生成手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記光記憶媒体に記録されたマークもしくはスペース列のエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化からトラッキング誤差信号を生成し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化は無効にしてトラッキング誤差信号を生成する光情報装置である。
【0153】
本発明の第8の態様は、前記光情報装置であって、記録層が、繰り返し情報を記録及び消去可能であることを特徴とする。
本発明の第9の態様は、前記光情報装置であって、記録層が、1度だけ情報を記録可能であることを特徴とする。
本発明の第10の態様は、前記光情報装置であって、記録層が、読み出し専用であることを特徴とする。
本発明の第11の態様は、前記光情報装置であって、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能であることを特徴とする。
本発明の第12の態様は、前記光情報装置であって、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能であることを特徴とする。
【0154】
本発明の第13の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンの情報を再生するのに適した閾値と同じレベルになるように、長さが2Tのデジタル情報のマークの長さを調整する光情報装置である。
【0155】
本発明の第14の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、前記評価尺度に対して長さが2Tよりも長いデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整する光情報装置である。
【0156】
本発明の第15の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、kは本来2以上の整数を用いて情報が記録される光記憶媒体に対して、kに3以上を選んで情報を記録し、前記評価尺度に対して長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整する光情報装置である。
【0157】
本発明の第16の態様は、前記光情報装置であって、評価尺度がジッタであることを特徴とする。
本発明の第17の態様は、前記光情報装置であって、評価尺度がエラーレートであることを特徴とする。
本発明の第18の態様は、前記光情報装置であって、評価尺度が得られた信号の時間幅であることを特徴とする。
【0158】
本発明の第19の態様は、前記光情報装置であって、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの強度を調整することにより、マークの長さを調整することを特徴とする。
本発明の第20の態様は、前記光情報装置であって、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの時間幅を調整することにより、マークの長さを調整することを特徴とする。
本発明の第21の態様は、前記光情報装置であって、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光記憶媒体のジッタを計測することを特徴とする。
【0159】
本発明の第22の態様は、前記光情報装置であって、光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層に光ビームを照射することにより得られる信号のジッタを計測することを特徴とする。
【0160】
本発明の第23の態様は、前記光情報装置であって、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI2ppとし、長さが8Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI8ppとしたとき、I2pp/I8pp<0.2であることを特徴とする。
【0161】
本発明の第24の態様は、前記光情報装置であって、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースの一対の長さをMLとし、光ピックアップヘッドが照射する光ビームの波長をλとし、光ピックアップヘッドの集光光学系の開口数をNAとしたとき、ML<λ/(1.25・NA)であることを特徴とする。
【0162】
本発明の第25の態様は、前記光情報装置であって、光記憶媒体の反射率が変動しても復調手段に入力される信号の振幅が変動が小さくなるように、利得調整手段を設けたことを特徴とする。
【0163】
本発明の第26の態様は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置することを特徴とする光記憶媒体である。
【0164】
本発明の第27の態様は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置することを特徴とする光記憶媒体である。
【0165】
本発明の第27の態様は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有することを特徴とする光記憶媒体である。
【0166】
本発明の第28の態様は、前記光記憶媒体であって、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有することを特徴とする。
本発明の第29の態様は、前記光記憶媒体であって、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質よりも高いことを特徴とする。
本発明の第30の態様は、前記光記憶媒体であって、再生信号品質としてジッタを検出することを特徴とする。
【0167】
本発明の第31の態様は、前記光記憶媒体であって、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別することを特徴とする。
本発明の第32の態様は、前記光記憶媒体であって、再生信号品質としてエラーレートを検出することを特徴とする。
本発明の第33の態様は、前記光記憶媒体であって、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定することを特徴とする。
【0168】
本発明の第34の態様は、前記光記憶媒体であって、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質が最も高いことを特徴とする。
本発明の第35の態様は、前記光記憶媒体であって、再生信号品質の閾値を光記憶媒体の所定領域に記載することを特徴とする。
本発明の第36の態様は、前記光記憶媒体であって、所定領域は再生専用領域であることを特徴とする。
【0169】
本発明の第37の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていることを特徴とする。
本発明の第38の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていることを特徴とする。
本発明の第39の態様は、前記光記憶媒体であって、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
【0170】
本発明の第40の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
本発明の第41の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
本発明の第42の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていることを特徴とする。
【0171】
本発明の第43の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有することを特徴とする。
本発明の第44の態様は、前記光記憶媒体であって、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
【0172】
本発明の第45の態様は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置である。
【0173】
本発明の第46の態様は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有し、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置である。
【0174】
本発明の第47の態様は、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有するように記録する光情報装置であって、
信号を記録する手段と、
記録した信号を再生する手段と、
再生信号における最短マークもしくは最短スペースを検出する手段と、
検出した最短マークもしくは最短スペースに隣接するエッジを除いた信号における再生信号品質を検出する再生信号品質検出手段と
を有することを特徴とする光情報装置である。
【0175】
本発明の第48の態様は、前記光情報装置であって、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有するように記録することを特徴とする。
本発明の第49の態様は、前記光情報装置であって、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質よりも高いことを特徴とする。
【0176】
本発明の第50の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質としてジッタを検出することを特徴とする。
本発明の第51の態様は、前記光情報装置であって、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別することを特徴とする。
【0177】
本発明の第52の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質としてエラーレートを検出することを特徴とする。
本発明の第53の態様は、前記光情報装置であって、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定することを特徴とする。
【0178】
本発明の第54の態様は、前記光情報装置であって、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質が最も高いことを特徴とする。
本発明の第54の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質の閾値を光情報装置の所定領域に記載することを特徴とする。
【0179】
本発明の第55の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていることを特徴とする。
本発明の第56の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていることを特徴とする。
【0180】
本発明の第57の態様は、前記光情報装置であって、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
本発明の第58の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
【0181】
本発明の第59の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
本発明の第60の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていることを特徴とする請求項64記載の光情報装置。
【0182】
本発明の第61の態様は、前記光情報装置であって、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有することを特徴とする。
本発明の第62の態様は、前記光情報装置であって、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
【0183】
本発明の第63の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質結果によって記録時の照射パワーを決定することを特徴とする。
本発明の第64の態様は、前記光情報装置であって、照射パワーを決定は、ユーザがデータを記録するユーザ領域以外の領域で行うことを特徴とする。
【0184】
上述の通り、本発明は好ましい実施形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク及びスペースで情報を記録する光記憶媒体、光記憶媒体に対して情報の記録、再生もしくは消去を行う光情報装置、光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査装置、光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度・大容量の記憶媒体として、近年、DVD(デジタルバーサタイル光記憶媒体)と称する高密度・大容量の光記憶媒体が実用化され、動画のような大量の情報を扱える情報媒体として広く普及している。さらに大容量の光記憶媒体を実現するために、2面の情報記録面に記録可能な2層光記憶媒体の開発成果が盛んに発表されている。また、大容量のデータを再生するだけではなく記録も行う手段の開発が盛んに行われ、より高い記録密度を達成するためのアプローチがなされており、その中の一つの方式に、結晶−非結晶間の可逆的な状態変化を利用した相変化型光情報装置がある。
【0003】
特開2000−200418号公報には、相変化型光記憶媒体にビームを照射して情報を記録再生している技術が記載されている。
図20は、記録再生が可能な光情報装置としての光記録再生システムにおける光ピックアップヘッドで用いられている、一般的な光学系の構成を示した図である。光源である半導体レーザ1は、発振波長λ1が405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。半導体レーザ1から出射された発散ビーム70は、焦点距離15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、回折格子58に入射する。回折格子58に入射した発散ビーム70は、0次及び±1次回折光の3つのビームに分岐される。0次回折光が情報の記録/再生を行うメインビーム70a、±1次回折光がトラッキング誤差(以下TEとする)信号の検出を安定に行うためのディファレンシャルプッシュプル(以下DPPとする)法でTE信号を検出する際に用いられる2つのサブビーム70b及び70cとなる。回折格子の0次光と1つの1次光の回折効率の比は、サブビーム70b、70cにより不要な記録がなされることを避けるために、通常10:1〜20:1に設定される。ここでは20:1に設定されている。回折格子58で生成された3つのビーム、つまりメインビーム70a、サブビーム70b、70cは、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離3mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40の透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55で制限され、開口数NA(Numerical Aperture)を0.85としている。透明基板40aの厚さは0.1mmである。光記憶媒体40は、情報記録面40bと40cを有している。情報記録面40bは、半透過膜となっており、入射したビームの一部が透過する。情報記録面40cに情報の記録再生を行う際は、情報記録面40bを透過したビームを用いる。
【0004】
図21に従来例における光記憶媒体40のトラックの構成を示す。光記憶媒体40は、溝状のトラック(グルーブトラック1301)に記録領域を有し、前記グルーブトラックがスパイラル状に連続している光記憶媒体である。
【0005】
図22は、情報記録面40b上のビームとトラックとの関係を示している。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、Tn−1、Tn、Tn+1はそれぞれ、トラックである。トラックの周期Tpは0.32μmである。メインビーム70aがトラック上に位置するとき、サブビーム70bと70cがそれぞれトラック間となるように、ビームを配置している。すなわち、メインビームとサブビームのトラックと直交する方向の間隔Lは0.16μmである。また、トラック上には、DVDと同様に、8−16変調で、すなわち周期Tを基本としてTの整数倍の長さのマーク又はスペースで情報が記録されており、且つ、最短マーク長及び最短スペース長が3Tの長さである。ここでは、最短マーク長は0.185μmである。
【0006】
情報記録面40bで反射されたメインビーム70a、サブビーム70b、70cは、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52を反射したメインビーム70a、サブビーム70b、70cは、集光レンズ59を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ57を経て、光検出器32に入射する。メインビーム70a、サブビーム70b、70cには、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0007】
光検出器32は、図23に示すように、8つの受光部32a〜32hを有し、受光部32a〜32dがメインビーム70aを、受光部32e〜32fがサブビーム70bを、受光部32g〜32hがサブビーム70cを、それぞれ受光する。受光部32aから32hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I32a〜I32hを出力する。非点収差法によるフォーカス誤差(以下FEとする)信号は、
(I32a+I32c)−(I32b+I32d)
により得られる。
【0008】
また、DPP法によるTE信号は、
{(I32a+I32b)−(I32c+I32d)}−a・{(I32e−I32f)+(I32g−I32h)}
により得られる。aは回折格子の回折効率に依存した係数であり、ここでは10である。
【0009】
光記憶媒体40に記録された情報(以下RFとする)信号は、
I32a+I32b+I32c+I32d
により得られる。FE信号及びTE信号は、所望のレベルに増幅及び位相補償が行われた後、アクチュエータ91及び92に供給されて、フォーカス及びトラッキング制御がなされる。
【0010】
図24に、RF信号のアイパターンを示す。光記憶媒体40に記録された情報は、RF信号をトランスバーサルフィルタに入力して、高域を強調した後、2値化し、さらに2値化された信号を復調することで得られる。8−16変調がDCフリー符号であるので、2値化した信号の1と0をそれぞれ時間幅で積分して差動演算することにより、2値化の閾値SLをアイの中心に容易に設定できる。
【0011】
相変化型の光情報装置では、結晶部をアモルファス化するピークパワーと、アモルファス部を結晶化するバイアスパワーの2つのパワーで半導体レーザを光記憶媒体媒体に照射して、光記憶媒体上にマーク(アモルファス部)と、マークに挟まれたスペース(結晶部)とを形成し、デジタル情報を記録する。マークとスペースではそれぞれ結晶性の違いに起因して反射率が異なるので、再生時にはこの反射率の違いを利用して記録された信号を読み出す。
【0012】
図25に、従来例における相変化光情報装置の構成を示す。図25において、従来の相変化光情報装置は、光記憶媒体40にレーザ光を照射し、該光記憶媒体40からの反射光を受光する光ピックアップヘッド1202と、再生手段1203と、再生信号品質検出手段1204と、最適記録パワー決定手段1205と、記録手段1208と、レーザ駆動回路1207と、記録パワー設定手段1206とを備える。
【0013】
光記憶媒体40が光情報装置に装着され、光記憶媒体タイプの識別や回転制御等の所定の動作の終了後、光ピックアップヘッド1202は最適照射パワーを決定するための領域に移動する。なお前記領域は、光記憶媒体の最内周もしくは最外周に設けられた、ユーザがデータを記録するユーザ領域以外の記録領域とする。決定するパワーとしては相変化光記憶媒体では、ピークパワーやバイアスパワーやボトムパワーがあるが、ここではピークパワーの決定方法について説明する。
【0014】
まず記録パワー設定手段1206により、ピークパワー、バイアスパワーの初期値がレーザ駆動回路1207に設定される。続いて記録手段1208から、グルーブトラック1周を記録するための信号がレーザ駆動回路1207に送られ、光ピックアップヘッド1202により記録される。このとき光ピックアップヘッド1202の構成要素である半導体レーザの出力光は光記憶媒体40上に光スポットとして集光され、発光波形に応じた記録マークが形成される。記録が終わると、光ピックアップヘッド1202の半導体レーザは再生パワーで発光し、さきほど記録を行ったトラックを再生し、再生信号として光記憶媒体40上の記録マークの有無により変化する信号1209が再生手段1203に入力される。再生信号1209は再生手段1203で、増幅、波形等化、2値化等の再生信号処理を受け、信号1210が再生信号品質検出手段1204に入力される。
再生信号品質検出手段1204は信号1210の信号品質を検出し、検出結果を最適記録パワー決定手段1205に入力する。
【0015】
ここで再生信号品質検出手段1204は、例えば記録した信号を再生したときのジッタを検出する。図26にピークパワーとジッタの関係を示す。図26において横軸がピークパワーであり、縦軸がジッタである。再生条件が等しければ、一般にジッタが小さいほど正確な記録が行われている。そこでジッタが、あるしきい値に対してそれ以下となるときを検出結果OKとし、それ以上となるときを検出結果NGとする。
【0016】
最適記録パワー決定手段1205は、例えば図27に示すフローチャートに従って動作する。
(a)例えば再生信号品質検出手段1204の1回目の結果がNGならば、初めのパワーよりも大きいピークパワーを設定する(ステップ1505)。
(b)検出手段1204による検出結果がOKならば初めのパワーよりも小さいピークパワーを設定する(ステップ1504)。
(c)前回と同様に、設定されたピークパワーでグルーブトラックの記録、再生を行う(ステップ1506)。
(d)もし再生信号品質検出手段1204の1回目の結果がNG、2回目の結果がOKであれば、最適記録パワー決定手段1205は今回のピークパワーと前回のピークパワーの平均パワーに一定のマージンを上乗せしたパワーを最適記録パワーと決定する(ステップ1511)。
(e)もし再生信号品質検出手段1204の1回目の結果がOK、2回目の結果がNGであれば、最適記録パワー決定手段1205は今回のピークパワーと前回のピークパワーの平均パワーに一定のマージンを上乗せしたパワーを最適記録パワーと決定する(ステップ1511)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−200418号公報
【特許文献2】特開2001−291325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら上記のような従来の構成では、情報記録面40bと40cから得られる信号のI3pp/I14pp比はそれぞれの記録面で15%と20%、ジッタはそれぞれの記録面で10%と8%と、いずれも記録面40bから読み出した信号の特性の方が記録面40cより悪い。そのため、情報記録面40bに記録する情報の記録密度を情報記録面40cに記録する情報の記録密度よりも下げなければ、記録された情報を高い信頼性で再生することができないという課題があった。
【0019】
更に、一般に最適照射パワーを決定するための領域と、ユーザがデータを記録するユーザ領域とは別の場所にある。このため、例えば光記憶媒体の反りや、ヘッドの取り付け具合によっては、前記2つの領域に相対的なチルトが生じ、最適照射パワーを決定するための領域で決定した照射パワーよりも実効的に弱めのパワーでユーザデータの記録がなされる場合があった。また、逆に最適照射パワーを決定するための領域で決定した照射パワーより実効的に強めのパワーでユーザデータの記録がなされる場合があった。このとき上記従来技術ではランダム信号を記録した際のジッタにより最適パワーを決定しているが、ジッタに最も影響を与えるのは最短マークの信号品質であり、実質的に最短マークの最適パワーを求めていることになる。これにより最短マークについては記録パワーが多少ばらついた場合でもデータを正しく記録することが可能であるが、最短マークよりも長いマークについては、特に記録密度が大きくなると、パワーの変動等による影響が無視できなくなり、記録信号品質が劣化するという課題があった。
【0020】
更に、再生時においても、光記憶媒体とヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生すると、最短マークよりも長いマークの信号の再生信号品質が低下し、データを正しく再生することができない場合があった。
【0021】
本発明は、従来の光情報装置における上記課題を考慮し、2つの情報記録面を同じ情報の記録密度としても情報を高い信頼性で記録又は再生できる光記憶媒体および光情報装置を提供することを第1の目的とする。
【0022】
また、最短のマーク及びスペースに関するジッタが最短のマーク及びスペースよりも長いマーク及びスペースに関するジッタより悪い光記憶媒体を用いた場合にも高い信頼性で情報を記録再生可能な光記憶媒体および光情報装置を提供することを第2の目的とする。
【0023】
また、記録再生時に光記憶媒体と光ピックアップヘッドとに相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、データを正しく記録再生できる光記憶媒体および光情報装置を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係る光記憶媒体検査装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号のジッタを計測するジッタ計測部と、
前記計測したジッタから前記光記憶媒体が良品か不良品かを判別する判別部と
を備え、
前記ジッタ計測部は、デジタル情報が2以上の整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録されている前記光記憶媒体に対して、3T以上のマーク又はスペース列についてのジッタを計測することを特徴とする。これにより上記目的が達成される。
【0025】
本発明に係る別の光記憶媒体検査装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号のジッタを計測するジッタ計測部と、
前記計測したジッタから前記光記憶媒体が良品か不良品かを判別する判別部と
を備え、
前記ジッタ計測部は、デジタル情報が2以上の整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマークもしくはスペース列として記録されている光記憶媒体に対して、長さが2Tのマーク又はスペースに関するエッジから得られる信号のジッタを除外して、ジッタを計測する。これにより上記目的が達成される。
【0026】
上記の光情報装置において好ましくは、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光記憶媒体のジッタを計測する。
【0027】
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI2ppとし、長さが8Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI8ppとしたとき、I2pp/I8pp<0.2であってもよい。
【0028】
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースの一対の長さをMLとし、光ピックアップヘッドが照射する光ビームの波長をλとし、光ピックアップヘッドの集光光学系の開口数をNAとしたとき、ML<λ/(1.25・NA)であってもよい。
【0029】
また、前記ジッタ計測部は、照射された光の一部が透過する半透過膜からなる第1の記録層と第2の記録層を有する前記光記憶媒体のジッタを計測するものであって、前記第1の記録層に光ビームを照射することにより前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達して得られる信号のジッタを計測してもよい。
【0030】
また、光記憶媒体の反射率が変動した場合の復調手段に入力される信号の振幅の変動が小さくなるように利得調整手段を設けてもよい。
【0031】
本発明に係る光記憶媒体検査方法は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づく信号のジッタを計測することにより光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査方法であって、前記方法は、
デジタル情報が整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録されている前記光記憶媒体に光ピックアップから光ビームを照射するステップと、
前記マーク又はスペースで反射した光を受光するステップと、
前記受光した光に基づく信号から、長さが最短のマーク又はスペースに関わるエッジから得られる信号のジッタを除外して、ジッタを計測するステップと、
前記計測したジッタから光記憶媒体が良品か不良品かを判別するステップと
を含むことを特徴とする。これにより上記目的が達成される。
【0032】
また好ましくは、前記長さが最短のマーク又はスペースは、長さ2Tのマーク又はスペースであって、長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号のジッタを除外して、ジッタを計測する。
【0033】
本発明に係る光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマーク及びスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、2Tのマークの幅が、3T以上のマークの幅よりも狭く、これにより上記目的が達成される。
【0034】
本発明に係る別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、これにより上記目的が達成される。
【0035】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、これにより上記目的が達成される。
【0036】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、これにより上記目的が達成される。
【0037】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成し、これにより上記目的が達成される。
【0038】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成し、これにより上記目的が達成される。
【0039】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と、
トラッキング制御に用いるTE信号生成手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記TE信号生成手段は、前記光記憶媒体に記録されたマークもしくはスペース列のエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化からTE信号を生成し、前記TE信号生成手段は、長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化は無効にしてTE信号を生成し、これにより上記目的が達成される。
【0040】
上記の光情報装置において好ましくは、記録層が、繰り返し情報を記録及び消去可能である。
また、記録層が、1度だけ情報を記録可能であってもよい。
また、記録層が、読み出し専用であってもよい。
また、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能であってもよい。
また、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能であってもよい。
【0041】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンの情報を再生するのに適した閾値と同じレベルになるように、長さが2Tのデジタル情報のマークの長さを調整し、これにより上記目的が達成される。
【0042】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、前記評価尺度に対して長さが2Tよりも長いデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整し、これにより上記目的が達成される。
【0043】
本発明に係る更に別の光情報装置は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、kは本来2以上の整数を用いて情報が記録される光記憶媒体に対して、kに3以上を選んで情報を記録し、前記評価尺度に対して長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整し、これにより上記目的が達成される。
【0044】
上記の光情報装置において好ましくは、評価尺度がジッタである。
また、評価尺度がエラーレートであってもよい。
また、評価尺度が得られた信号の時間幅であってもよい。
また、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの強度を調整することにより、マークの長さを調整してもよい。
また、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの時間幅を調整することにより、マークの長さを調整してもよい。
また、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光記憶媒体のジッタを計測してもよい。
【0045】
また、光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層に光ビームを照射することにより得られる信号のジッタを計測してもよい。
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI2ppとし、長さが8Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI8ppとしたとき、I2pp/I8pp<0.2であってもよい。
また、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースの一対の長さをMLとし、光ピックアップヘッドが照射する光ビームの波長をλとし、光ピックアップヘッドの集光光学系の開口数をNAとしたとき、ML<λ/(1.25・NA)であってもよい。
【0046】
また、光記憶媒体の反射率が変動しても復調手段に入力される信号の振幅が変動が小さくなるように、利得調整手段を設けてもよい。
【0047】
本発明に係る光記憶媒体は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置し、これにより上記目的が達成される。
【0048】
本発明に係る別の光記憶媒体は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置し、これにより上記目的が達成される。
【0049】
本発明に係る光記憶媒体は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有し、これにより上記目的が達成される。
【0050】
また、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有しても良い。
また、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質より高くても良い。
また、再生信号品質としてジッタを検出しても良い。
また、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別しても良い。
また、再生信号品質としてエラーレートを検出しても良い。
【0051】
また、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定しても良い。
また、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質が最も高く設定しても良い。また、再生信号品質の閾値を光記憶媒体の所定領域に記載しても良い。
また、所定領域は再生専用領域であっても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていても良い。
【0052】
また、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きくても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていても良い。
【0053】
また好ましくは、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有する。
また、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きくても良い。
【0054】
本発明に係る光情報装置は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置であり、これにより上記目的が達成される。
【0055】
本発明に係る光情報装置は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有し、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置であり、これにより上記目的が達成される。
【0056】
本発明に係る光情報装置は、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有するように記録する光情報装置であって、
信号を記録する手段と、
記録した信号を再生する手段と、
再生信号における最短マークもしくは最短スペースを検出する手段と、
検出した最短マークもしくは最短スペースに隣接するエッジを除いた信号における再生信号品質を検出する再生信号品質検出手段と
を有し、これにより上記目的が達成される。
【0057】
また、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有するように記録しても良い。
また、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質より高くても良い。
また、再生信号品質としてジッタを検出しても良い。
また、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別しても良い。
また、再生信号品質としてエラーレートを検出しても良い。
【0058】
また、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定しても良い。
また、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質を最も高く設定しても良い。
また、再生信号品質の閾値を光情報装置の所定領域に記載しても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていても良い。
また、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きくても良い。
【0059】
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていても良い。
また、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていても良い。
【0060】
また好ましくは、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有する。
また、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きくても良い。
【0061】
本発明に係る光情報装置は、再生信号品質結果によって記録時の照射パワーを決定し、これにより上記目的が達成される。
また好ましくは、照射パワーの決定をユーザがデータを記録するユーザ領域以外の領域で行う。
【0062】
上記発明に係る光記憶媒体検査装置の構成によれば、最短の長さのマーク及びスペースに関するジッタを除いてジッタを計測して、光記憶媒体が良品か不良品かを判断している。具体的には、2つの閾値を用いて最短マークを識別している。これによって、2つの情報記録面を同じ情報の記録密度として記録している2層光記憶媒体を用いた場合に、光ピックアップに近い記録層でマークが所望の大きさよりも小さくなってジッタが劣化した場合の影響を軽減でき、確実に良品・不良品を判断できる。また、光情報装置に適用した場合には、同様に最短の長さのマーク及びスペースによるジッタの劣化の影響を軽減できるので、2面の情報記録面のそれぞれについて高い信頼性で再生できる。また、最短のマーク及びスペースに関するジッタがより長いマーク及びスペースに関するジッタより悪い光記憶媒体を用いても、高い信頼性で情報を記録再生できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1の光情報装置の構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1の光情報装置で得られるRF信号の様子を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1の光情報装置における光記憶媒体上のマークとクロック信号の関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1の光情報装置における光記憶媒体上のマークの長さと信号振幅の関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1の光情報装置における記録パルスの様子を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2の光記憶媒体の構成の概略を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態4における光記憶媒体のトラック構成図である。
【図11】本発明の実施の形態4におけるピークパワーとジッタの相関図である。
【図12】本発明の実施の形態4におけるフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態4におけるフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態4における光情報装置のブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態4における光情報装置の出力信号の説明図である。
【図19】本発明の実施の形態4における光情報装置の出力信号の説明図である。
【図20】従来の光情報装置における光ピックアップヘッドの構成の概略を示す図である。
【図21】従来の光情報装置における光記憶媒体上のトラックとビームの関係を示す図である。
【図22】従来の光情報装置における光ピックアップヘッドを構成する光検出器とビームの関係を示す図である。
【図23】従来の光情報装置で得られるRF信号の様子を示す図である。
【図24】従来の光情報装置のブロック図である。
【図25】従来の光記憶媒体のトラック構成図である。
【図26】従来の光情報装置におけるピークパワーとジッタの相関図である。
【図27】従来の光情報装置におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明の光情報装置の実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の符号は同一の構成要素または同様の作用、動作をなすものを表す。
【0065】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光情報装置の構成の一例を示す図である。この光情報装置は、光ピックアップヘッド80と、光記憶媒体駆動部81と、光ピックアップヘッド駆動部82と、信号処理部83と、電源部84とを備えている。図では電源部84を設ける構成としているが、電源部84の替わりに外部電源(図示せず)との接続端子(図示せず)を設け、外部電源と接続端子とを接続することにより電源を供給する構成としてもよい。また、光ピックアップヘッド80の構成には全く制約はなく、本実施の形態における光ピックアップヘッドは、図9に示す従来の構成と同様である。
【0066】
次に各構成部材の機能について説明する。光記憶媒体駆動部81は、光記憶媒体41を回転させる。光ピックアップヘッド80は、光ピックアップヘッド80と光記憶媒体41との位置関係に対応する信号を信号処理部83へ送る。信号処理部83は、送られた信号を増幅または演算してフォーカス誤差信号及びTE信号を生成し、光ピックアップヘッド80または光ピックアップヘッド内の対物レンズを微動させる。また、光ピックアップヘッド80は、光記憶媒体41に記録された情報を読み出した信号を信号処理部83へ送る。信号処理部83では光記憶媒体41に記録された情報の復調を行う。アクチュエータ91、92は光ピックアップヘッド80内の対物レンズを駆動する。光ピックアップヘッド駆動部82は、一般にトラバースメカニズムと呼ばれており、光ピックアップヘッド80から出射されるビームが光記憶媒体41の所望の位置に集光されるように、光ピックアップヘッド80の位置を移動させる。前記信号と光ピックアップヘッドの駆動部82もしくはアクチュエータ91、92によって、光記憶媒体41に対してフォーカスサーボとトラッキングサーボが行われ、情報の読み出しもしくは書き込みまたは消去が行われる。電源部84から信号処理部83、光ピックアップヘッド駆動部82、光記憶媒体駆動部81及びアクチュエータ91、92へ電源が供給される。
【0067】
なお、電源もしくは外部電源との接続端子は、各駆動回路にそれぞれ設けても何ら問題ない。光記憶媒体41は、図7に示すように、従来の光記憶媒体40と同様に2つの情報記録面41bと41cを有している。情報記録面41bは、半透過膜である。本光記憶媒体41が従来の光記憶媒体40と異なる点は、従来の光記憶媒体40では8−16変調すなわち、最短マーク及びスペースの長さが3Tである変調方式によって情報を記録していたが、本光記憶媒体41では、1−7変調すなわち、最短マーク及びスペースの長さが2Tであり、マーク長が制限されている変調方式で情報を記録していることである。一般に、マーク長が制限されている変調は、RLL(Run Length Limited)と表現されており、今回の場合、RLL(1,7)とも表現される。
【0068】
図2は、信号処理部83の具体的構成の一例を説明する図であって、情報を復調する部分の構成及び光記憶媒体に情報を記録する際に用いる記録信号を生成する部分の構成を示す図である。
【0069】
光ピックアップヘッド80から出力された信号は、イコライザ部801に入力される。光学的な周波数特性に依存して光ピックアップヘッド80から出力される信号は、高域成分が低下しているので、イコライザ部801では入力された信号の高域成分を強調して、光学的に劣化している信号の高域成分の低下を補正する。
【0070】
イコライザ部801から出力される信号は、自動利得調整部810で、信号振幅が一定となるように増幅利得が自動的に調整される。自動利得調整部810がなくても光情報装置は機能するので、省略することも可能であるが、自動利得調整部810を設けることにより、光記憶媒体41の反射率が変動した場合にもその影響を受けにくくなるので、光情報装置の信頼性が向上する。また、自動利得調整部810は、イコライザ部801の前段に設けても構わない。自動利得調整部810から出力される信号は、2値化部804とパーシャルレスポンス部802にそれぞれ入力される。
【0071】
2値化部804では、入力された信号を1と0の2値に2値化する。2値化された信号はクロック信号生成部805に入力され、クロック信号生成部805では、光記憶媒体41に記録された信号に応じたタイミングを有するクロック信号を生成する。クロック信号生成部805は、位相比較器、ローパスフィルタ、VCO、等からなる一般的なフェーズロックドループ(以下PLLとする)を有する構成のものを用いることができる。しかしながら、1−7変調を用いる場合、2Tのマーク及びスペースから得られる信号のS/Nは悪い場合が多い。このとき、全てのマーク及びスペースのエッジを用いてクロック信号を生成した場合には、クロック信号のジッタが増加して、光記憶媒体に記録された情報を忠実に再生できないことも生じる。
【0072】
ここでは、光情報装置を最初に起動したときには、全てのマーク及びスペースのエッジを用いてクロック信号を生成し、PLLが引き込みをした後には、2Tのマーク及びスペースに関するエッジに関係する位相比較結果を除外してクロック信号を生成している。2Tのマーク及びスペースの識別はパーシャルレスポンス部802が行い、2Tのマーク及びスペースを識別した結果はパーシャルレスポンス部802からクロック信号生成部805に送られる。光情報装置を最初に起動するときには、全てのマーク及びスペースのエッジを用いることによって、PLLの引き込みを行い易くなる。一方、PLLが引き込みをした後には、2Tのマーク及びスペースに関するエッジに関係する位相比較結果を除外することによって、クロック信号のジッタを下げることができる。したがって、本実施の形態の光情報装置におけるクロック信号生成部805は、光記憶媒体の記録密度を高めて、2Tのマーク及びスペースから得られる信号のS/Nが悪くなったとしても、ジッタの少ないクロック信号を出力し、その分、情報を信頼性高く再生することができる。
【0073】
クロック信号生成部805で生成されたクロック信号は、光記憶媒体駆動信号生成部806とパーシャルレスポンス部802に入力される。光記憶媒体駆動信号生成部806では入力された信号に応じて、光記憶媒体41の駆動速度を制御するための光記憶媒体駆動信号を生成する。光記憶媒体駆動信号生成部806で生成された光記憶媒体駆動信号は、光記憶媒体駆動部81に供給される。パーシャルレスポンス部802から出力される信号は、復調部803に入力されて、光記憶媒体41に記録された信号の復調が行われる。
【0074】
図3は、パーシャルレスポンスで設定される閾値(SL1、SL2)とアイパターンの関係を示している。閾値としては、2Tのマークから得られる信号と3Tのマークから得られる信号の間に第1の閾値SL1を、及び2Tのスペースから得られる信号と3Tのスペースから得られる信号の間に第2の閾値SL2をそれぞれ設定している。パーシャルレスポンス部802では、自動利得調整部810から出力された信号を、クロック信号のエッジのタイミングで、サンプリングし、マーク及びスペースの長さの識別を行う。第1の閾値SL1と第2の閾値SL2を設定することにより、2Tの信号振幅が小さいときに、マーク及びスペースが2Tであるということを精度よく識別できる。また、パーシャルレスポンス部に(1、2、2、1)等、他のクラスを用いた場合でも、ビタビ復号等の最尤復号を併用することにより、すなわちPRML(Partial Response Maximum Likelihood)を用いることにより、2Tのマーク及びスペースから得られる信号振幅が小さいときでも、マーク及びスペースが2Tであるということを精度よく識別できる。
【0075】
図4は、クロック信号生成部805で生成されたクロック信号CLKと、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cに記録されたマークとの関係を示している。マーク902a〜902cは、長さ2Tのマークを、マーク903は、長さ3Tのマークであり、ここでは、それぞれ長さ0.15μmと、長さ0.225μmである。情報記録面40cに記録された2Tと3Tのマークは、それぞれマーク902aと903であり、それぞれのマークの幅Wは等しい。一方、情報記録面40bに記録された2Tと3Tのマークは、それぞれマーク902bと903であり、マーク902bはマーク902aと比べて、幅W、長さL共に小さくなってしまう。マークを記録する条件を変えることにより、マーク902bをマーク902cのようにすることはできる。このとき、マーク902bの長さLを長くすることができるが、幅Wは依然としてマーク902aよりも小さいままである。以上のことをまとめると、次のようになる。まず、情報記録面40cには長さ2Tのマークを形成した場合にも長さ3Tのマークと同様の幅とすることができる。一方、情報記録面40bに2Tのマークを記録した場合には3Tのマークに比べて十分な幅とすることができない。これは、情報記録面40bを半透過膜としているために、情報記録面41bにおける熱の拡散時間が遅く、記録したマークに対して一種の消去作用が働くためである。
【0076】
この現象は、記録膜に相変化材料を用いた場合だけではなく、光磁気材料、等、熱を用いて情報の記録、消去を行う場合には、いずれの場合においても生じる。なお、4T以上のマークは、3Tのマークと同じ幅である。マークの大きさの減少は、マークの長さが短い程著しく、通常、λ/(NA×2.5)以下のとき影響が無視できなくなる。すなわち、NAを0.85、λを0.405μmとしたときには、マーク長が0.190μm以下で、この影響が無視できなくなる。マークの大きさが減少する条件では、アイパターンのアイの開口率が低下し、結果として、2値化した後のジッタが増加する。すなわち、最短のマーク及びスペースの長さが2Tの場合には、それより長い3T以上のマークおよびスペースに比べてジッタが相対的に大きくなることを意味している。
【0077】
本実施の形態では、2Tのマーク長を0.15μm、3Tのマーク長を0.225μmとしているため、先に述べたように、2Tのマークが、他のマークよりも幅が細くなり、2値化した後のジッタは著しく増加する。そこで、この実施の形態では、閾値を2つ設けて、パーシャルレスポンスによる信号の検出を行っている。2Tマークの幅が細くなったとしても、2つの閾値を超えるRF信号とはならず、情報の検出に悪影響を与えない。すなわち、情報記録面40bに記録された2Tのマークの幅が細くなったとしても、情報を信頼性高く再生することができる。
【0078】
図5は、マークの長さと信号振幅の関係を示している。図5において、横軸は、λ/(ML・NA)である。ここで、λは光源の波長、NAは光ピックアップヘッドが有する対物レンズの開口数、MLは同じ長さのマークとスペースを一対としたときの長さである。一方、縦軸は、I2pp/I8ppが2Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅を8Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅で割った値である。また、I3pp/I8ppが3Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅を8Tのマークとスペースを一対としたときに得られる信号振幅で割った値である。
【0079】
図5からわかることについて説明する。λ/(ML・NA)が約1.25のとき、I2pp/I8ppが0.2、I3pp/I8ppが0.6であり、したがって、I2ppとI3ppの比は3倍である。2Tのマーク幅が3Tのマーク幅よりも狭くなると、さらにこの比は増大する。λ/(ML・NA)が1.25よりも大きいとき、さらにI2pp/I8ppが急激に低下するので、I2pp/I8ppの低下に伴って相対的に、I2ppに対する光記憶媒体、レーザ、回路、等によるノイズの割合が急激に増加するので、従来の2値化信号を単純に検出する方式では、2Tのマーク及びスペースに関係するエッジのジッタが悪化する。
【0080】
一方、2つの閾値を設けたときの、2T及び3Tのマークもしくはスペースから得られる信号と閾値の間隔は広くなり、すなわち、長さ2Tのマーク及びスペースと長さ3Tのマーク及びスペースとの違いを識別することが容易になる。したがって、MLが一対の2Tのマークとスペースの長さであり、λ/(ML・NA)が1.25よりも大きいとき、2つの閾値を設けるパーシャルレスポンス部や、PRMLを用いることが有効になる。
【0081】
なお、ここでは、光記憶媒体41に2つの記録層を有する場合について説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、光記憶媒体の記録層が、2Tのマークが3T以上のマークよりも細くなるという特性を有している場合や、MLが一対の2Tのマークとスペースの長さであり、λ/(ML・NA)が1.25よりも大きい場合には、記録層の数に関係なく、いずれの場合にも、本発明の光情報装置を用いることによって情報を信頼性高く再生することができることは言うまでもない。また、本発明の光情報装置は、何度も記録可能な光記憶媒体の記録・再生用に限定されるわけではなく、1度だけ記録可能な光記憶媒体や、読み出し専用の光記憶媒体に対しても有効である。
【0082】
例えば、読み出し専用の光記憶媒体を作製する際のマスターリング工程において、レーザビームを用いて原盤のカッティングを行った場合には2Tマークの幅が3T以上のマークの幅よりも狭くなることが起こり得る。原盤のカッティングに適用できるレーザの最短波長が270nm程度、対物レンズの最大開口数が0.9程度であることを考慮して、最短マークの長さが0.2μm、トラックピッチが0.4μmよりも小さい高密度の読み出し専用の光記憶媒体を作製する場合には、特に2Tのマーク幅が3T以上のマーク幅よりも細くなることは避けられない。この場合にも本実施の形態の光情報装置の効果が特に発揮される。
【0083】
レーザビームを用いて原盤のカッティングを行う際にレジスト膜に非線形透過膜を用いて、小さなマークを形成する方法もあるが、このときも2Tマークの幅が3T以上のマークの幅よりも狭くなることは、特によく起こり得る。この場合にも本実施の光情報装置の効果が特に発揮される。電子ビームを用いて原盤のカッティングを行う場合には、2Tマークの幅を3Tマークの幅と同様にすることができるが、カッティングに要する時間がレーザビームを用いる場合と比較して遙かに長いため、それだけ光記憶媒体のコストが増大する。本実施の光情報装置を用いることにより、レーザビームで原盤のカッティングを行って、安価な光記憶媒体を提供することができる。
【0084】
また、最短マークは長さ2Tに限定されるものではなく、最短マークの幅が、最短マークよりも長いマークの幅より狭い場合、本発明の効果を得ることができ、例えば最短マークが3Tであってもよい。
【0085】
なお、ここでは従来と同様の光ピックアップヘッドを用いたが、光記憶媒体にビームを照射して、光記憶媒体から反射されたビームに応じた信号を出力するものであれば、如何なる構成の光ピックアップヘッドであってもよい。また、光記憶媒体に記録されたRF信号を用いてクロックを生成しているが、トラックをウォブルした溝として、そのウォブルのタイミングからクロック信号を生成する方法等、従来から用いられているクロック信号の生成方法は全て適用できる。
【0086】
次に、情報を記録する系を説明する。
(a)デジタルパターン発生部807は、音楽、映像、コンピュータのデータ、等の情報を1−7変調の変換規則に基づいて、所望のデジタル情報パターンに変換する。さらに、デジタルパターン発生部807は、光記憶媒体に最適な記録条件を学習するために、単一パターン、ランダムパターン、特定のマーク及びスペース長の組み合わせからなる特殊パターン、等を生成する機能も有する。
(b)デジタルパターン発生部807で生成されたデジタル情報パターンは、記録パルス発生部808に入力される。
(c)記録パルス発生部808は、入力されたデジタル情報パターンに基づいて、光記憶媒体にマーク及びスペースを記録するのに適した記録パルス信号を生成する。記録パルス信号は、幅、振幅、タイミング等を調整できる。更に、光記憶媒体の固有情報、学習した最適結果、光記憶媒体に記録されている記録条件、等の情報を格納しておくメモリも有している。そのため、一度学習を行った光記憶媒体や、既に最適な記録条件が光記憶媒体に記録されている光記憶媒体に対して記録を行う場合には、記録条件の学習時間が短縮できるようになっている。
(d)記録パルス発生部808で生成された記録パルス信号は、レーザ駆動部809に入力される。
(e)レーザ駆動部809では、入力された記録パルス信号に基づいて、光ピックアップヘッドを構成する光源である半導体レーザ光源の出力を制御することにより、光記憶媒体の記録層に情報の記録を行う。
【0087】
図6は、3Tのマークを記録するときの記録パルス信号を示している。ここでは、マーク長に応じてパルス数を増やしており、3Tマークではパルス数が3つ、5Tマークではパルス数が5つである。破線は、クロック信号のエッジのタイミングを示している。PTW1、PTW2、PTW3は記録パルスの幅、TF1、TF2、TF3はクロック信号のエッジのタイミングから記録パルスの立ち上がりエッジまでの遅延時間、PW1、PW2、PW3は記録パルスのピークパワー、PB1、PB2、PB3はバイアスパワーである。
【0088】
これらの値は、光記憶媒体が有する特性及び記録するマークの長さと前後のスペースの長さに応じて最適化される。したがって、PW1〜PW3は異なる値をとり得る。PTW1〜PTW3、PB1〜PB3についても同様である。勿論、レーザ駆動部809の特性に応じて、PW1〜PW3及びPB1〜PB3を各々等しくして、PTW1〜PTW3を調整することにより最適化する場合もあれば、PTW1〜PTW3を一定として、PW1〜PW3及びPB1〜PB3を最適化してもよい。
【0089】
また、他の長さのマークやスペースに対しても同様に、最適なパワー、幅、遅延時間、等を設定する。また、遅延時間については、光記憶媒体の特性によって、正負どちらの値にもなり得る。記録条件の学習は、ここでは1−7変調したランダム信号を光記憶媒体に記録し、2T〜8Tのマーク及びスペースから得られる信号の時間幅の平均値が、それぞれTの整数倍で等しくなるように記録パルスを調整している。このことにより、2Tのマーク及びスペースの平均値を、3T以上の長さのマーク及びスペースから得られる信号を2値化する際に設定される閾値と一致させることができる。2Tのマーク及びスペースの平均値と3T以上の長さのマーク及びスペースから得られる信号を2値化する際に設定される閾値と一致させることにより、2つの閾値を設定して情報を再生する際に、最も誤りを起こす確率が低くなり、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0090】
また、2Tのマークもしくはスペースと隣接しない3T以上の長さのマーク及びスペースに関しては、ジッタもしくはエラーレートを評価関数として、記録パルスの最適化を図ってもよい。このときには、マーク及びスペースから得られる信号の時間幅だけで最適化を行うよりも、誤りを起こす確率が低くなり、更に信頼性を高めることができる。また、このとき、2Tのマーク及びスペースを除いて記録し、記録条件の最適化を行ってもよい。そのときには、2Tのエッジを識別して除外する必要がなくなるので、より簡単に且つ短時間で記録条件の学習ができる。
【0091】
また、許される範囲で記録条件の最適化を図った後に情報を記録したとき、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジに関する結果を除外したジッタが、所望の値を上回るときには、光記憶媒体が情報を記録するのに適さないと判断して、光記憶媒体に本来記録しようとする情報を記録しないようにする。さらには、光記憶媒体が情報を記録するには適さない旨を示す警告を出してもよい。そうすることにより、貴重な情報を光記憶媒体に記録する際には、高い信頼性で再生できることが保証されるようになる。
【0092】
従来、全てのマーク及びスペースのエッジに関するジッタの値で評価していた。この場合、2Tのマーク及びスペースに隣接するエッジのジッタが悪いのか否かを判断できなかった。すなわち、2Tのマーク及びスペースに隣接しないエッジのジッタが、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジのジッタよりも遙かに小さい場合と、2Tのマーク及びスペースに隣接しないエッジのジッタが、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジのジッタと同様の場合との識別はできなかった。そのため単に全てのエッジに関するジッタの値が所望の値よりも大きいか小さいかということで、光記憶媒体が情報の記録に適しているか適していないかを判別していた。しかし、この場合、同じジッタ値を示す光記憶媒体であっても、PRMLを用いて情報の再生を行ったとき、エラーレートには大きな違いがあった。情報を信頼性よく記録再生するためには、ジッタの基準値を低く保つことで、確実にエラーレートが低い光記憶媒体を識別しなければならず、PRMLを用いた場合に十分に低いエラーレートが得られる光記憶媒体も情報の記録に適さない光記憶媒体として扱わなければならなかった。
【0093】
一方、本実施の形態の光情報装置によれば、2Tのマーク及びスペースに隣接したエッジに関する結果を除外したジッタを評価関数しており、この場合には、ジッタの値とPRMLを用いた場合のエラーレートとは非常に強い相関が有る。そのため、ジッタの基準値を従来よりも高く設定することができ、PRMLを用いた場合に低いエラーレートが得られる光記憶媒体を確実に識別することができる。したがって、光記憶媒体を製造する際の歩留まりが向上し、安価な光記憶媒体を提供できるようになる。勿論、この光記憶媒体は、PRMLを用いた場合だけではなく、2つの閾値を有するパーシャルレスポンスを用いる場合も同様に許容できる。また、ジッタを評価関数とした場合には、エッジの数は1000〜10000程度でよいが、エラーレートを評価関数とした場合には、エッジの数は100000〜1000000程度が必要となる。したがって、評価関数にジッタを用いることで、評価関数にエラーレートを用いる場合と比較して、評価に要する時間は、遙かに短い時間で済むので、光記憶媒体の生産性が向上する。
【0094】
(実施の形態2)
図7は、本発明に係る別の光記憶媒体の一例として、光記憶媒体の構成を示した図である。光記憶媒体41は、透明な保護層41aと2つの記録層41b、41cを有している。光記憶媒体40と光記憶媒体41で異なる点は、情報記録面41cは何度も書き換え可能な記録層であるが、情報記録面41bは、読み出し専用の記録層であるという点である。情報記録面41bには、エンボスとしてマークが形成されている。また、最短マーク及びスペースは2Tである。また、情報記録面41bの透過率は、50%よりも高く設定しており、ここでは、80%としている。記録層41bの透過率は読み出し専用のため、透過率は、どの位置でもほぼ一定である。読み出し専用の記録層である情報記録面41bを記録可能な情報記録面41cよりも光が入射する側に配置することで、情報記録面41bの透過率が一定なことから、情報記録面41cに照射されるビームのパワーが安定し、所望の情報を記録再生することができる。また、情報記録面41bの透過率は読み出し専用のため、情報記録面41bの透過率を50%よりも高く設定できる。そのため、情報記録面41cに記録する際に必要な、光ピックアップヘッドを構成するレーザの出射するパワーは少なくてもよく、レーザの寿命が長くなるので、長期間使える光情報装置を構成することができる。また、情報記録面41cに記録された情報を読み出す際にも、情報記録面41bの透過率を高くしている分、光検出器に入射するビームの光量は大きくなるので、その分S/Nが良くなり、信頼性高く情報を再生することができる。
【0095】
なお、ここでは情報記録面41cを何度も書き換え可能な記録層としたが、1度だけ記録可能な記録層としてもよい。
【0096】
また、記録層を3層以上設けて、1つの層だけを記録可能な記録層とし、残りの記録層は読み出し専用の記録層とするときには、光ピックアップヘッドからのビームが入射する側に読み出し専用の記録層を配置し、光ピックアップヘッドからのビームが入射する側から最も遠い位置に記録可能な記録層を設けることで、同様な効果を得ることができる。
【0097】
なお、本実施の形態の光記憶媒体は、変調方式に関しては全く制約がなく、如何なる変調方式も適用できる。
【0098】
(実施の形態3)
図8は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、長さが最短のマーク及びスペースとして2Tのマーク及びスペースが形成された後の光記憶媒体から位相差法(DPD法ともいう)によりTE信号を生成する光情報装置の構成を示した図である。
【0099】
光記憶媒体には、例えば、実施の形態2に示す光記憶媒体41のように、エンボスでマークが形成されている記録層を有する光記憶媒体を用いることができる。本光情報装置は、ファーフィールド領域におけるビームを分割して光検出器で受光し、位相比較可能な信号を出力可能な光ピックアップヘッドであれば、如何なる光ピックアップヘッドも用いることができる。ここでは、最も一般的に用いられている、図9に記載の光ピックアップヘッドを用いて説明する。
【0100】
(a)光検出器32の受光部32a〜32dから出力される信号は、信号処理部85に入力される。
(b)信号処理部85に入力された受光部32a〜32dから出力された信号は、加算部820で加算された後、自動利得調整部810に入力される。
(c)自動利得調整部810では、入力された信号振幅が所望の大きさとなるように利得が自動的に調整されて増幅される。
(d)自動利得調整部810から出力された信号は、イコライザ部822に入力されて、信号の高い周波数成分が強調された後、識別部821に入力される。
(e)識別部821では、入力された信号のうち、長さが2Tのマーク及びスペースのエッジに関するタイミングのときに保持信号を生成して出力する。
(f)受光部32a〜32dから出力された信号は、イコライザ部822にも入力され、4つの信号はそれぞれ、高い周波数成分が強調された後、位相比較部823に入力される。
(g)位相比較部823では、入力された信号の振幅の変化のタイミングに応じた信号を出力する。
(h)位相比較部823から出力された信号は、ホールド部824を経た後、駆動信号生成部825に入力される。
(i)ホールド部824では、2Tのマーク及びスペースのエッジに関するタイミングのときの信号は無効として、駆動信号生成部825に出力しない。
(j)駆動信号生成部825では、入力された信号を所望の大きさに増幅し、位相補償、帯域制限等の処理を行ったのちトラッキング制御用のアクチュエータを制御するために用いられる信号を出力する。
【0101】
1−7変調を用いる場合、2Tのマーク及びスペースから得られる信号のS/Nは、他の2Tよりも長いマーク及びスペースから得られる信号よりも悪いことが多い。全てのマーク及びスペースのエッジを用いてTE信号を生成した場合には、2Tのマーク及びスペースに関するエッジのタイミングの検出精度が非常に悪く、TE信号のS/Nを大きく劣化させ、その分、トラッキング制御の精度が低下してしまう。2Tのマーク及びスペースに関するエッジに関係する位相比較結果を除外してTE信号を生成することにより、単位時間当たりのタイミングの検出数は減少するため、トラッキング制御の帯域を高められない可能性も考えられるが、S/Nの改善効果が遙かに大きいため、全てのマーク及びスペースのエッジのタイミングを用いてTE信号を生成するときよりも、トラッキング制御の帯域を高めることができる。
【0102】
また、実施の形態1で説明したクロック信号を生成する場合と同様に、λ/(ML・NA)が1.25よりも大きいとき、特に本実施の形態に示すTE信号の生成方法を用いることで、顕著な効果が発揮される。
【0103】
なお、図8に記載していない構成要素については、一般的な光情報装置に用いられている構成を問題なく適用できるので、説明を略している。
【0104】
また、最短マークは2Tに限定されるものではなく、最短マークの幅が、最短マークよりも長いマークの幅より狭い場合、本発明の効果を得ることができ、例えば最短マークが3Tであってもよい。
【0105】
(実施の形態4)
図9は、本発明に係る別の光情報装置の一例としての相変化光情報装置の構成を示す図である。この光情報装置は、光ピックアップヘッド102と、再生手段103と、再生信号品質検出手段A104と、検出手段B105と、最適記録パワー決定手段106と、記録手段107と、レーザ駆動回路108と、記録パワー設定手段109とを備える。光ピックアップヘッド102によって光記憶媒体101に光ビームを照射し、反射光を受光する。再生手段103では、該光ピックアップヘッド102で受光した光に基づく信号を再生する。再生信号品質検出手段A104と、検出手段B105とによって、再生信号の品質を検出する。最適記録パワー決定手段106では、該検出手段A104、検出手段B105で得られた再生信号品質に基づいて最適記録パワーを決定する。レーザ駆動回路108によってレーザを出射する。記録パワー設定手段109によって記録時のパワーを設定する。
【0106】
図10は、本実施の形態における光記憶媒体101のトラックの構成を示す図である。光記憶媒体101は、溝状のグルーブトラック201に記録領域を有し、前記グルーブトラックがスパイラル状に連続している光記憶媒体である。
【0107】
光記憶媒体101が光情報装置に装着され、光記憶媒体タイプの識別や回転制御等の所定動作の終了後、光ピックアップヘッド102は最適記録パワーを設定するための領域に移動する(ステップ402:図12)。
【0108】
なお前記領域は、光記憶媒体の最内周もしくは最外周に設けられた、ユーザがデータを記録するユーザ領域以外の記録領域とする。ユーザ領域以外の領域を使用することにより、高い照射パワーの記録によるユーザ領域の熱的な破壊を防止することができる。
【0109】
以下に記録時のパワーを決定する際の動作について説明する。なお、図9に示す装置を構成する回路から出力される信号、および前記信号に対応する光記憶媒体101上の記録マークを図18および図19に示し適宜参照する。
(a)まず記録パワー設定手段109により、ピークパワー1103、バイアスパワー1104、ボトムパワー1105の初期値がレーザ駆動回路108に設定される。
(b)続いて記録手段107から、所定の位置よりグルーブトラック1周を連続して記録するための信号115がレーザ駆動回路108に送られる。
(c)レーザ駆動回路108から、記録するマークの長さに応じて整形されたパルス列信号116が光ピックアップヘッド102に送られて、光ピックアップヘッド102により信号が記録される。このとき光ピックアップヘッド102の構成要素である半導体レーザの出力光は光記憶媒体101上に光スポットとして集光され、発光波形に応じた記録マーク1001が形成される。なお光ピックアップヘッド102においてレーザ光の波長は405nm程度であり、対物レンズのNAは0.85程度である。
【0110】
なお本実施の形態では、1−7変調方式のデータをマークエッジ記録方式で記録するものとする。この場合、最短の2Tから最長の8Tまでの基準周期であるT毎に7種類のマークおよびスペースが存在する。なお記録方式はこれに限らず他の記録方式でも良い。なお最短マーク長は0.16μm程度である。
【0111】
記録が終わると、光ピックアップヘッド102の半導体レーザは再生パワーで発光し、さきほど記録を行ったトラックを再生し、再生信号として光記憶媒体101上の記録マーク1001の有無により変化する信号110が再生手段103に入力される。
【0112】
図14は、再生手段103の構成を示すブロック図である。この再生手段103は、プリアンプ601と、イコライザ602と、ローパスフィルタ603と、2値化回路604と、PLL605とを備える。信号110は、プリアンプ601で増幅され、イコライザ602、ローパスフィルタ603で波形等化されて信号606となる。信号606は、2値化回路604に入力されて、スライスレベル1002との交点においてパルスを出力し、信号111となる。ここでスライスレベル1002はマークの積分値とスペースの積分値が等しくなるように通常数10KHzの帯域で動作する。
【0113】
2値化回路604の出力信号111は、PLL605に入力される。図15は、PLL605の構成を示すブロック図である。このPLL605は、位相比較器701と、ローパスフィルタ702と、VCO703と、フリップフロップ704と、分周回路705と、ゲート回路706とを備える。
(a)2値化回路604の出力信号111が位相比較器701に入力される。
(b)位相比較器701は入力信号111とゲート回路706の出力信号707との位相差を検出し、2つの入力信号の位相差と周波数差に関係する誤差信号708を出力する。
(c)誤差信号708はローパスフィルタ702で低周波成分だけが取り出され、VCO703の制御電圧となる。
(d)VCO703は制御電圧によって決まる周波数でクロック信号709を発生する。
(e)クロック信号709は、分周回路705で分周され、ゲート回路706で信号111に対応した信号のみが出力される。このときVCO703は2つの入力信号の位相が等しくなるように制御され、結果的に信号111をその基本周期に同期させた信号112が出力され、再生信号品質検出手段A104と再生信号品質検出手段B105に入力される。
【0114】
図16は、再生信号品質検出手段A104のブロック図である。この再生信号品質検出手段A104は、エッジ間隔測定回路801と、ジッタ演算回路803と、比較回路805とを備える。2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112がエッジ間隔測定回路801に入力されると、エッジ間隔測定回路801は、図18に示すように、2つのパルスのエッジ間隔t0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9・・・を測定し、ジッタ演算回路803においてジッタ値を出力する。続いて比較回路805にて、得られたジッタ値を閾値とする所定のジッタ値と比較し、比較結果を信号113として最適記録パワー決定手段106に出力する。
【0115】
次に、図17に再生信号品質検出手段B105のブロック図を示す。この再生信号品質検出手段B105は、セレクタ回路901と、ディレイ回路903と、エッジ間隔測定回路906と、ジッタ演算回路908と、比較回路910とを備える。
(a)2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112はディレイ回路903に入力され、それぞれ信号904、905をエッジ間隔測定回路906に出力する。
(b)信号111は一方でセレクタ回路901に入力され、最短マークおよび最短スペースのエッジを検出して信号902をエッジ間隔測定回路906に出力する。本実施の形態では2T信号が最短であるので2T以下もしくは2T+α以下となるパルス間隔を検出する。ここでαは0.5T以下であり、望ましくは0.25T以下である。この信号902は、最短マーク及び最短スペース、例えばここでは長さが2Tのマーク及びスペースをマスクするために用いられる。
(c)エッジ間隔測定回路906は、図19に示すように、信号904において、信号902でマスクされるエッジ間隔t3、t6を非測定とし、それ以外のパルスのエッジ間隔t0、t1、t2、t4、t5、t7、t8、t9・・・を測定し、ジッタ演算回路908においてジッタ値を出力する。
(d)続いて比較回路910にて、得られたジッタ値を閾値とする所定のジッタ値と比較し、比較結果を信号114として最適記録パワー決定手段106に出力する。
【0116】
図11は、ピークパワーとジッタの関係を示す図である。図11において横軸がピークパワーであり、縦軸がジッタである。ジッタとは再生信号の原信号との時間的なずれのことであり、記録時のレーザ光の照射パワー不足による再生信号振幅の低下等により発生し、再生信号振幅が増加すると減少し、再生信号振幅が飽和するとジッタ量もほぼ一定となる。再生条件が等しければ、一般にジッタが小さいほど正確な記録が行われている。そこで記録したトラックのジッタが閾値以下となるときOKとし、閾値以上となるときをNGとする。
【0117】
最適記録パワー決定手段106は、例えば図12、図13に示すフローチャートに従って以下のように動作する。
(a)まず、再生信号品質検出手段A104の1回目の結果においてNGならば初めのパワーよりも大きいピークパワーを設定し(ステップ405)、OKならば初めのパワーよりも小さいピークパワーを設定し(ステップ404)、前回と同様に、設定されたピークパワーでグルーブトラックの記録、再生を行う(ステップ406)。
(b)もし再生信号品質検出手段A104の1回目の検出結果がNGであり、2回目の検出結果がOKであれば、最適記録パワー決定手段106は1回目のピークパワーと2回目のピークパワーの平均パワー(P1)に一定のマージンを上乗せしたパワー(P2)を下記式に従って算出する(ステップ411)。
P1=(現在のピークパワー+直前のピークパワー)/2
P2=K1×P1(マージン上乗せ,K1>1)
(c)もし再生信号品質検出手段A104の1回目の検出結果がOKであり、2回目の検出結果がNGであれば、最適記録パワー決定手段106は1回目のピークパワーと2回目のピークパワーの平均パワー(P1)に一定のマージンを上乗せしたパワー(P2)を算出する(ステップ411)。
P1=(現在のピークパワー+直前のピークパワー)/2
P2=K1×P1(マージン上乗せ,K1>1)
【0118】
(d)もし再生信号品質検出手段A104の1回目の検出結果がOKであり、2回目の検出結果がOKであれば、2回目に記録したピークパワーよりもさらに小さいパワーを設定し、このピークパワーで記録、再生を行い、再生信号品質を検出する。そして再生信号品質検出手段A104の3回目の検出結果においてNGであれば、最適記録パワー決定手段106は2回目のピークパワーと3回目のピークパワーの平均パワー(P1)に一定のマージンを上乗せしたパワー(P2)を算出する(ステップ411)。
(e)続いてピークパワーP2を設定し(ステップ412)、該ピークパワーP2により、ランダム信号を記録し、再生を行う(ステップ413)。
(f)再生信号品質検出手段A104にて再生信号品質を検出する(ステップ414)。
(g)もし検出結果がNGであれば、ステップ411におけるマージンの上乗せ係数のK1を変更し(ステップ415)、再度ステップ412以降の処理を実施する。変更により検出結果がOKとなれば、次に再生信号品質検出手段B105にて再生信号品質を検出する(ステップ416)。もし検出結果がNGであれば、処理411におけるマージンの上乗せ係数のK1を変更し(ステップ417)、再度412以降の処理を実施する。変更により検出結果がOKとなればピークパワーP2をユーザデータ記録時のピークパワーと決定する(ステップ418)。ここでステップ415における変更量は最大で±10%程度であり、ステップ417における変更量は最大で±5%程度である。
【0119】
以上の様に、記録性能確認等のために、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタ検出に加えて、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することにより、実使用時に光記憶媒体とヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、データを正しく記録することができる。
【0120】
さらに本実施の形態のように最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの閾値と、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値をそれぞれ設定することにより、より最適な記録再生を行うことが可能になる。
【0121】
言い換えると、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの閾値と、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値を満足する記録性能を光記憶媒体が有することにより、より最適な記録再生を行うことが可能になる。なおこれらの閾値は光記憶媒体上の再生専用領域に記録されていても良いし、光情報装置のメモリに記憶されていても良い。
【0122】
なお、これまでに説明した実施の形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な形態を採り得る。
【0123】
ジッタやエラーレート等の評価尺度に関して、マークの始端エッジと終端エッジとを区別していないが、区別しても良い。区別することにより始端エッジと終端エッジの一方が極端に大きい場合を排除することができる。更に、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジを区別できるのであれば、検出量はジッタに限らず例えばビットエラーレート等でも良い。
【0124】
また、2値化回路604の出力信号111においてパルス間隔を測定することにより最短マークおよび最短スペースを含むエッジを検出しているが、最短マークおよび最短スペースの検出方法はこれに限らず、図3に示すように2つの閾値SL1とSL2を設定して振幅から最短マークおよび最短スペースを検出する等、特に検出方法に制約はない。
【0125】
また、エッジ間隔測定回路906は、セレクタ回路901の出力信号902でマスクされたエッジ間隔を非測定としているが、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを測定できるのであれば他の方法でも良い。
【0126】
また、2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112を基にしてエッジ間隔を測定しているが、エッジ間隔の測定はこれに限らず、2値化回路604の出力信号111のみのエッジ間隔を測定してもよい。信号112のジッタが無視できる場合、理論的には、2値化回路604の出力信号111のみのエッジ間隔におけるジッタ値は、2値化回路604の出力信号111とPLL605の出力信号112を基にしてエッジ間隔におけるジッタ値の約1.41倍になり、2値化回路604の出力信号111のみのエッジ間隔におけるジッタ値を検出する場合でも相応の効果を有する。
【0127】
また、再生系にPRML方式を使用する場合には、最短マークおよび最短スペースの検出能力が一層向上する。このような場合には特に本実施の形態における、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することが有効である。例えば、全てのエッジにおけるジッタ値が等しい二つの記録状態を比較した場合に、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタ値が小さい方がより正しくデータを再生できるのはもちろんであるが、最短マークおよび最短スペースの影響で、全てのエッジにおけるジッタ値が大きい場合でも、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタ値が小さければ、PRML方式により最短マークおよび最短スペースを含むエッジは正しく2Tと検出することができるので、結果的に全てのエッジにおけるジッタ値が小さい場合よりも正しくデータを再生することが可能である。
【0128】
また、符号系列は、最短マーク長が2Tに限定されるものではなく、最短マーク長が3Tである3T系や1T等、他の長さであっても同様の効果を有する。
【0129】
PRML方式を使用する場合には、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのゆらぎを小さくするようにマークを記録することにより、最短マークおよび最短スペースについては、正しい時間間隔ではなくとも、少なくとも信号の存在が検出できる程度の振幅を有するようにマークを記録すれば、たとえ全てのエッジにおけるジッタ値が大きい場合でも正しくデータを再生することができるので、本実施の形態の様な、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出して記録条件を求めることが非常に有効である。
【0130】
また、本実施の形態では最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタと、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの両方を検出しているが、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタのみを検出する場合でも、相応の効果を有する。
【0131】
また、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出した場合でも、最短マークを含まないエッジもしくは最短スペースを含まないエッジのどちらか一方のジッタのみを検出する場合でも、相応の効果を有する。
【0132】
また、PRML方式以外であっても、RLL符号の場合には最短マークが規定されていることから、簡易的な最短マークおよび最短スペースの検出が可能である。すなわちRLL(1,7)変調方式において、再生波形から2.5Tの信号を検出した場合には、2Tの可能性と3Tの可能性があるが、2Tよりも短い信号を検出した場合には2Tの可能性の方が高い。従ってRLL符号により記録を行う場合には、本実施の形態のように最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することが有効である。
【0133】
また、閾値となるジッタ値は、光情報装置のエラー訂正能力やイコライザの形態により異なるが、エラー訂正前で1.0×10−4から1.0×10−3程度のビットエラーレートを想定した光情報装置の場合、再生信号品質検出手段A104において、本実施の形態に示した通常の線形イコライザでは8%〜11%程度が望ましく、ブースト量が線形イコライザよりも大きいリミットイコライザ等の非線形イコライザでは6%〜9%程度が望ましい。同様に再生信号品質検出手段B105において、本実施の形態に示した通常の線形イコライザでは7%〜10%程度が望ましく、ブースト量が線形イコライザよりも大きいリミットイコライザ等の非線形イコライザでは5%〜8%程度が望ましい。再生信号品質検出手段A104の閾値となるジッタ値は、再生信号品質検出手段B105の閾値となるジッタ値以上である。なおジッタ値は再生系の構成等により1〜2%程度変化しても良い。
【0134】
また、連続記録、連続再生の区間に特に制約はなく、セクタ単位の記録を行う光情報装置においてはセクタ単位の記録でもECCブロック単位の記録でも良い。
【0135】
また、記録トラックは1周でなくとも良く、例えば5トラックを連続して記録し、その中央トラックを再生しても良い。これにより、隣接トラックによる消去の影響を含めることができ、より実際のデータの記録に近い条件でジッタ値を検出することができる。
また、中央トラックを記録した後に両側のトラックに記録しても良い。これにより、隣接トラックによる消去の影響を含めることができ、より実際のデータ記録に近い条件でジッタ値を検出することができる。この際に、異なる光情報装置で異なるデータを隣接トラックに記録される場合を考慮し、隣接するトラックに中央トラックを記録したピークパワーよりも高いピークパワーで記録しても良い。より厳しい条件でピークパワーを求めることにより、より信頼性の高い記録を行うことができる。
【0136】
また、特に隣接トラックへの記録による中央トラックへの影響を考慮しない場合には、隣接トラックを記録した後に中央トラックに記録しても良い。これによりトラックピッチのむらがある場合でも、隣接トラックの影響を低減することができ、正しくピークパワーを求めることができる。
【0137】
なお記録回数は同一トラックに1回でなくとも良く、例えば同一トラックに10回記録を行っても良い。繰り返し記録可能な光記憶媒体においては、複数回記録を行うことにより、より実際のデータ記録に近い条件でジッタ値を検出することができる。なおジッタの検出は記録を行う毎に行っても良く、これにより光記憶媒体の初期オーバーライト特性を考慮した最適なピークパワーを求めることができる。
【0138】
また、異なる光情報装置で高いピークパワーで記録された領域にオーバライトすることを考慮し、複数回の記録を行う際に、ユーザ領域に記録を行う際のピークパワーよりも高いピークパワーで記録を行った後にユーザ領域に記録を行う際のピークパワーでオーバライトしても良い。より厳しい条件でピークパワーを求めることにより、より信頼性の高い記録を行うことができる。
【0139】
なお本実施の形態ではピークパワーを中心に説明したが、バイアスパワー、ボトムパワーについても、それぞれピークパワーと同様の求め方を行っても良いし、ピークパワーに連動させて変更させても良い。
【0140】
また本実施の形態はトラックに限定されるものではなく、ランドトラックに記録する光記憶媒体はもちろんのこと、ランドトラックとグルーブトラックの両方のトラックに記録する光記憶媒体であっても構わない。
【0141】
また、記録可能な層数については一層でも良いし、二層でも良いし、それ以上の層数でも良い。例えば二層光記憶媒体では、光ピックアップヘッドに近い側の層では遠い側の層に比べてレーザ光のコマ収差の影響が小さくチルト特性が良好であるので、光ピックアップヘッドに近い側の、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタの閾値や、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値を、遠い側の層に比べて大きくしても良い。最短マークおよび最短スペースを含むエッジの閾値ジッタ値や、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタの閾値ジッタ値を層毎にそれぞれ設定することにより、それぞれの層において最適な記録再生を行うことが可能になる。また、これらの閾値は光記憶媒体上の再生専用領域に記録されていても良いし、光情報装置のメモリに記憶されていても良い。
【0142】
また、再生信号品質検出手段の結果に応じて変化させるパラメータは記録するパワーに限定されるものではなく、例えば記録するマークの長さに応じて整形されたパルス列の幅や位置であっても良い。
【0143】
また、ジッタの要因は、記録時の条件に限定されるものではなく、例えば、チルトやデフォーカスによる照射パワーの非最適や、照射パワーの変動等、記録時の要因により結果的に記録マークのゆらぎとしてジッタが発生しても良いし、記録マーク自身のゆらぎは小さく、再生装置のノイズや、チルトやデフォーカス等による再生信号のゆらぎとしてジッタが発生しても良い。
【0144】
また、光記憶媒体の特徴は、相変化型に限定されるものではなく、RLL符号を用いるのであれば、光磁気記録型の光記憶媒体や磁気光記憶媒体、等、如何なる光記憶媒体であっても良い。勿論、再生専用の光記憶媒体であっても良い。例えば再生専用の光記憶媒体の製造過程において光記憶媒体性能確認等のために、最短マークおよび最短スペースを含むエッジのジッタ検出に加えて、最短マークおよび最短スペースを含まないエッジのジッタを検出することにより、実使用時に光記憶媒体と光ピックアップヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、データを正しく再生することができる。
【0145】
以上のように、本発明によれば、マークが所望の大きさよりも小さくなることでジッタが劣化する光記憶媒体を用いる場合でも、ジッタが悪化することの影響を軽減でき、記録再生時に光記憶媒体とヘッドの相対的なチルトや、デフォーカスが発生した場合でも、情報を信頼性高く記録再生することができる光記憶媒体、光情報装置、光記憶媒体検査装置及び光記憶媒体検査方法を提供できる。
【0146】
なお、本発明は、請求の範囲に記載した態様に限定されず、以下のように様々な態様に展開できる。
本発明の第1の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマーク及びスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、2Tのマークの幅が、3T以上のマークの幅よりも狭い光情報装置である。
【0147】
本発明の第2の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光情報装置である。
【0148】
本発明の第3の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、2つの閾値を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数である光情報装置である。
【0149】
本発明の第4の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、最尤復号を用いて前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数である光情報装置である。
【0150】
本発明の第5の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層には、周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成する光情報装置である。
【0151】
本発明の第6の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、前記クロック生成手段は長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジから得られる信号を無効にしてクロック信号を生成する光情報装置である。
【0152】
本発明の第7の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録されたデジタル情報を抽出するためのクロック生成手段と、
前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と、
トラッキング制御に用いるTE信号生成手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記光記憶媒体に記録されたマークもしくはスペース列のエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化からトラッキング誤差信号を生成し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、長さが2Tであるデジタル情報のマークもしくはスペースに関わるエッジに光ビームが照射された際に生じる信号の変化は無効にしてトラッキング誤差信号を生成する光情報装置である。
【0153】
本発明の第8の態様は、前記光情報装置であって、記録層が、繰り返し情報を記録及び消去可能であることを特徴とする。
本発明の第9の態様は、前記光情報装置であって、記録層が、1度だけ情報を記録可能であることを特徴とする。
本発明の第10の態様は、前記光情報装置であって、記録層が、読み出し専用であることを特徴とする。
本発明の第11の態様は、前記光情報装置であって、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能であることを特徴とする。
本発明の第12の態様は、前記光情報装置であって、第1の記録層が読み出し専用、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能であることを特徴とする。
【0154】
本発明の第13の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭く、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンの情報を再生するのに適した閾値と同じレベルになるように、長さが2Tのデジタル情報のマークの長さを調整する光情報装置である。
【0155】
本発明の第14の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は、情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、kは2以上の整数であり、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、前記評価尺度に対して長さが2Tよりも長いデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整する光情報装置である。
【0156】
本発明の第15の態様は、光ビームを光記憶媒体に照射して、前記光記憶媒体から反射された光ビームを受光して、受光した光に基づいた信号を出力する光ピックアップヘッドと、
前記光ピックアップヘッドから出力される信号を受けて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生する復調手段と
を具備し、
前記光記憶媒体は情報を記録する記録層を有し、前記記録層には周期Tを基本として長さがkTのデジタル情報がマークもしくはスペース列として記録され、マーク及びスペースの長さが適切になるように評価尺度を有しており、kは本来2以上の整数を用いて情報が記録される光記憶媒体に対して、kに3以上を選んで情報を記録し、前記評価尺度に対して長さが3T以上のデジタル情報のマーク及びスペースの長さが適切となるように調整する光情報装置である。
【0157】
本発明の第16の態様は、前記光情報装置であって、評価尺度がジッタであることを特徴とする。
本発明の第17の態様は、前記光情報装置であって、評価尺度がエラーレートであることを特徴とする。
本発明の第18の態様は、前記光情報装置であって、評価尺度が得られた信号の時間幅であることを特徴とする。
【0158】
本発明の第19の態様は、前記光情報装置であって、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの強度を調整することにより、マークの長さを調整することを特徴とする。
本発明の第20の態様は、前記光情報装置であって、光ピックアップヘッドから照射する光ビームの時間幅を調整することにより、マークの長さを調整することを特徴とする。
本発明の第21の態様は、前記光情報装置であって、長さが2Tであるデジタル情報のマークの幅が、長さが2Tよりも長いデジタル情報のマークの幅よりも狭い光記憶媒体のジッタを計測することを特徴とする。
【0159】
本発明の第22の態様は、前記光情報装置であって、光記憶媒体は第1の記録層と第2の記録層を有し、前記第1の記録層は照射された光の一部が透過する半透過膜からなり、前記第1の記録層を透過した光が前記第2の記録層に到達し、前記第1の記録層に光ビームを照射することにより得られる信号のジッタを計測することを特徴とする。
【0160】
本発明の第23の態様は、前記光情報装置であって、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI2ppとし、長さが8Tであるデジタル情報のマーク及びスペースが繰り返し記録されたパターンから得られる信号をI8ppとしたとき、I2pp/I8pp<0.2であることを特徴とする。
【0161】
本発明の第24の態様は、前記光情報装置であって、長さが2Tであるデジタル情報のマーク及びスペースの一対の長さをMLとし、光ピックアップヘッドが照射する光ビームの波長をλとし、光ピックアップヘッドの集光光学系の開口数をNAとしたとき、ML<λ/(1.25・NA)であることを特徴とする。
【0162】
本発明の第25の態様は、前記光情報装置であって、光記憶媒体の反射率が変動しても復調手段に入力される信号の振幅が変動が小さくなるように、利得調整手段を設けたことを特徴とする。
【0163】
本発明の第26の態様は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が1度だけ情報を記録可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置することを特徴とする光記憶媒体である。
【0164】
本発明の第27の態様は、光ビームを照射することにより情報の記録もしくは再生がなされる光記憶媒体において、情報を記録する記録層として第1の記録層と第2の記録層を有し、第1の記録層が読み出し専用の記録層であり、第2の記録層が繰り返し情報を記録及び消去可能な記録層であり、第1の記録層が、第2の記録層よりも光ビームの入射する側に位置することを特徴とする光記憶媒体である。
【0165】
本発明の第27の態様は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有することを特徴とする光記憶媒体である。
【0166】
本発明の第28の態様は、前記光記憶媒体であって、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有することを特徴とする。
本発明の第29の態様は、前記光記憶媒体であって、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質よりも高いことを特徴とする。
本発明の第30の態様は、前記光記憶媒体であって、再生信号品質としてジッタを検出することを特徴とする。
【0167】
本発明の第31の態様は、前記光記憶媒体であって、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別することを特徴とする。
本発明の第32の態様は、前記光記憶媒体であって、再生信号品質としてエラーレートを検出することを特徴とする。
本発明の第33の態様は、前記光記憶媒体であって、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定することを特徴とする。
【0168】
本発明の第34の態様は、前記光記憶媒体であって、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質が最も高いことを特徴とする。
本発明の第35の態様は、前記光記憶媒体であって、再生信号品質の閾値を光記憶媒体の所定領域に記載することを特徴とする。
本発明の第36の態様は、前記光記憶媒体であって、所定領域は再生専用領域であることを特徴とする。
【0169】
本発明の第37の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていることを特徴とする。
本発明の第38の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていることを特徴とする。
本発明の第39の態様は、前記光記憶媒体であって、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
【0170】
本発明の第40の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
本発明の第41の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
本発明の第42の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていることを特徴とする。
【0171】
本発明の第43の態様は、前記光記憶媒体であって、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有することを特徴とする。
本発明の第44の態様は、前記光記憶媒体であって、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
【0172】
本発明の第45の態様は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置である。
【0173】
本発明の第46の態様は、同心円状あるいはスパイラル状に形成された複数のトラックを有し、光ビームを前記トラックの記録面に照射してマークおよび、マークとマークの間のスペースで情報を記録する光記憶媒体において、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有し、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有する光記憶媒体を再生する光情報装置である。
【0174】
本発明の第47の態様は、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを除いた信号が第1の再生信号品質を有するように記録する光情報装置であって、
信号を記録する手段と、
記録した信号を再生する手段と、
再生信号における最短マークもしくは最短スペースを検出する手段と、
検出した最短マークもしくは最短スペースに隣接するエッジを除いた信号における再生信号品質を検出する再生信号品質検出手段と
を有することを特徴とする光情報装置である。
【0175】
本発明の第48の態様は、前記光情報装置であって、最短マークおよび/または最短スペースに隣接するエッジを含む信号が第2の再生信号品質を有するように記録することを特徴とする。
本発明の第49の態様は、前記光情報装置であって、第1の再生信号品質が第2の再生信号品質よりも高いことを特徴とする。
【0176】
本発明の第50の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質としてジッタを検出することを特徴とする。
本発明の第51の態様は、前記光情報装置であって、始端エッジのジッタと終端エッジのジッタを区別することを特徴とする。
【0177】
本発明の第52の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質としてエラーレートを検出することを特徴とする。
本発明の第53の態様は、前記光情報装置であって、光記憶媒体は複数の記録層を有し、層毎に再生信号品質を設定することを特徴とする。
【0178】
本発明の第54の態様は、前記光情報装置であって、記録時に光ピックアップヘッドから最も遠い層の品質が最も高いことを特徴とする。
本発明の第54の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質の閾値を光情報装置の所定領域に記載することを特徴とする。
【0179】
本発明の第55の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックは、隣接するトラックにも信号が記録されていることを特徴とする。
本発明の第56の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接するトラックへの記録前に行われていることを特徴とする。
【0180】
本発明の第57の態様は、前記光情報装置であって、隣接するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーが、所定の再生信号品質を有するトラックに記録する際のレーザ光の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
本発明の第58の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する一方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
【0181】
本発明の第59の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックへの記録は、隣接する両方のトラックへの記録後に行われていることを特徴とする。
本発明の第60の態様は、前記光情報装置であって、所定の再生信号品質を有するトラックは複数回の記録が行われていることを特徴とする請求項64記載の光情報装置。
【0182】
本発明の第61の態様は、前記光情報装置であって、所定の回数の全ての記録において、所定の再生信号品質を有することを特徴とする。
本発明の第62の態様は、前記光情報装置であって、第1の照射パワーで記録後に第2の照射パワーで記録し、第1の照射パワーが第2の照射パワーよりも大きいことを特徴とする。
【0183】
本発明の第63の態様は、前記光情報装置であって、再生信号品質結果によって記録時の照射パワーを決定することを特徴とする。
本発明の第64の態様は、前記光情報装置であって、照射パワーを決定は、ユーザがデータを記録するユーザ領域以外の領域で行うことを特徴とする。
【0184】
上述の通り、本発明は好ましい実施形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光ビームを、デジタル情報が整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録可能な光記憶媒体に照射し、前記光記憶媒体で反射された光ビームを光検出器で受光し、前記光検出器で受光した光に基づく信号のジッタを計測することにより光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査方法であって、
前記マークのうち最短の長さとなるマークを最短マークとし、前記スペースのうち最短の長さとなるスペースを最短スペースとしたとき、
最短マークと、前記最短マークに隣接する最短スペースと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
最短スペースと、前記最短スペースに隣接する最短マークと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
最短マークと、前記最短マークに隣接する最短より長い長さを有するスペースと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
最短スペースと、前記最短スペースに隣接する最短より長い長さを有するマークと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
を除外して、ジッタを計測する、ことを特徴とする光記憶媒体検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検査方法にて検査される光記憶媒体を再生するための方法であって、
開口数0.85の対物レンズを介して、波長405nmのレーザ光を照射して、
kTのマーク又はスペース列からの反射光を受光し、デジタル情報を再生する、再生方法。
【請求項3】
請求項1に記載の検査方法にて検査される光記憶媒体にデジタル情報を記録するための方法であって、
開口数0.85の対物レンズを介して、波長405nmのレーザ光を照射して、マークを形成し、
kTのマーク又はスペース列としてデジタル情報を記録する、記録方法。
【請求項1】
光源から出射される光ビームを、デジタル情報が整数kと周期Tを基本とする長さがkTのマーク又はスペース列として記録可能な光記憶媒体に照射し、前記光記憶媒体で反射された光ビームを光検出器で受光し、前記光検出器で受光した光に基づく信号のジッタを計測することにより光記憶媒体が良品か不良品かを判別する光記憶媒体検査方法であって、
前記マークのうち最短の長さとなるマークを最短マークとし、前記スペースのうち最短の長さとなるスペースを最短スペースとしたとき、
最短マークと、前記最短マークに隣接する最短スペースと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
最短スペースと、前記最短スペースに隣接する最短マークと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
最短マークと、前記最短マークに隣接する最短より長い長さを有するスペースと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
最短スペースと、前記最短スペースに隣接する最短より長い長さを有するマークと、に挟まれるエッジ部から得られる信号のジッタと、
を除外して、ジッタを計測する、ことを特徴とする光記憶媒体検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検査方法にて検査される光記憶媒体を再生するための方法であって、
開口数0.85の対物レンズを介して、波長405nmのレーザ光を照射して、
kTのマーク又はスペース列からの反射光を受光し、デジタル情報を再生する、再生方法。
【請求項3】
請求項1に記載の検査方法にて検査される光記憶媒体にデジタル情報を記録するための方法であって、
開口数0.85の対物レンズを介して、波長405nmのレーザ光を照射して、マークを形成し、
kTのマーク又はスペース列としてデジタル情報を記録する、記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−157355(P2010−157355A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94997(P2010−94997)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【分割の表示】特願2009−29649(P2009−29649)の分割
【原出願日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【分割の表示】特願2009−29649(P2009−29649)の分割
【原出願日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]