光断層画像表示システム及び光断層画像表示方法
【課題】波長走査型光コヒーレントトモグラフィにおいて、高分解能で高感度で画像表示できる断層画像表示システムを提供すること。
【解決手段】周期的に発振波長を変化させる波長走査型光源10と干渉光学計を用いる。測定位置に反射物体を配置し、光干渉信号を等時間間隔でA/D変換し、最小二乗法でピーク及びボトムとなるタイミングのデータ番号を算出する。これに基づいて多項式近似によって近似式を算出し、データ番号を等周波数間隔となるように変換した2の巾乗の数から成る数列を算出する。そして測定位置に測定対象を配置し、測定データからこの時間のタイミング毎に直線近似によってFFTに必要な数のデータを算出して、光干渉計より得られる光ビート信号を等周波数間隔でフーリエ変換することにより、断層画像を得る。
【解決手段】周期的に発振波長を変化させる波長走査型光源10と干渉光学計を用いる。測定位置に反射物体を配置し、光干渉信号を等時間間隔でA/D変換し、最小二乗法でピーク及びボトムとなるタイミングのデータ番号を算出する。これに基づいて多項式近似によって近似式を算出し、データ番号を等周波数間隔となるように変換した2の巾乗の数から成る数列を算出する。そして測定位置に測定対象を配置し、測定データからこの時間のタイミング毎に直線近似によってFFTに必要な数のデータを算出して、光干渉計より得られる光ビート信号を等周波数間隔でフーリエ変換することにより、断層画像を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物体の表面下部の内部構造の画像、あるいは生体組織の表皮下層断層の画像を観察する光断層画像表示システム及び光断層画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年内視鏡治療などの医療技術の進歩に伴って、病理組織を非深襲かつリアルタイム診断する方法が望まれている。従来例えばCCDを用いた電子内視鏡や、CT、MRI、超音波による画像化が診断方法として用いられている。電子内視鏡は生体の表面の観察に限定され、また後者の画像診断システムはミクロンオーダーの分解能で観察するには技術的な限界があった。このような方法を補完する技術として、光干渉断層計測技術が注目されている。
【0003】
干渉断層計測技術の中には、時間領域の断層計測と周波数領域の断層計測の2種類があり、また周波数領域の断層計測の中にもスペクトロメータタイプと波長走査型光源タイプの2つがある。波長走査型光源タイプは、非特許文献1に記されているように、生体に光を照射し、照射光の波長を連続的に変化させ、参照光と生体内の異なる深さから戻ってくる反射光とを干渉計で干渉させ、その干渉信号の周波数成分を分析することによって、断層画像を得るシステムである。この技術は物体内部からの信号の周波数分析から極めて高分解能の断層画像を構築することができるため、高度なシステムとして期待されている。波長走査型光源タイプは測定感度も高く、動的ノイズに強いという点で内視鏡などの実使用に好適である。ここで照射する光の波長走査の帯域が広いほど周波数分析の帯域が上がるので、深さ方向の分解能が上がる。
【0004】
断層画像表示装置において、1回の波長走査の中で画像の分解能に合わせて等周波数間隔で多数のポイントをとり、フーリエ変換を行うタイミング信号として与える必要がある。通常これをkトリガという。トリガ信号の間隔は観察深さ範囲に比例し、より細かく取るほど深くまで解析できる。このトリガ信号の間隔は等周波数間隔である必要があり、これが周波数間隔でなければ、波長走査が非線形となり、画像が歪んだりノイズが生じるという問題点が生じる。
【0005】
しかし通常得られる波長可変型レーザ光源は波長が時間に対して直線的に変化するものではなく、等周波数間隔でトリガ信号を得ることが難しいという欠点があった。従来は非特許文献2のように、サンプルからの後方散乱光と干渉させる干渉計以外に、他の干渉計やファブリペローエタロンのような干渉信号を発生させる光学系を付属し、実際のサンプルの干渉信号と同時にその別に付属した光学系の干渉信号によってサンプルの干渉信号の周波数校正をすることが一般的であった。
【非特許文献1】Handbook of Optical Coherence Tomography,p41-43, Mercel Dekker, Inc. 2002
【非特許文献2】R.Huber. et al. “Three-dimensional and C-mode OCT imaging with a compact, frequency swept laser source at 1300 nm”, 26 December 2005/Vol. 13, No.26/OPTICS EXPRESS 10523
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし非特許文献2では、付属する光学系が高価なこと、そして高価なA/Dボードが必要となるなどの問題があった。
【0007】
本発明は上記課題に着目し、レーザ光源の等周波数間隔の任意のポイントでフーリエ変換することによって高分解能で画像表示することができる光断層画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の光断層画像表示システムは、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備するものである。
【0009】
この課題を解決するために、本発明の光断層画像表示システムは、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備するものである。
【0010】
ここで前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、前記フーリエ変換は高速フーリエ変換としてもよい。
【0011】
ここで前記干渉光学計は、中間に合分岐部を有する第1,第2の光ファイバを含み、前記第1の光ファイバは、前記波長走査型光源から発生した光を前記合分岐部を介して参照ミラーに導き、参照ミラーで反射された光を再び合分岐部に導くものであり、前記第2の光ファイバは、前記波長走査型光源の光を前記合分岐部を介して測定対象まで導き、該測定対象からの反射光を再び合分岐部に導くと共に、合分岐部を介して得られた干渉光を前記受光素子に伝送するようにしてもよい。
【0012】
この課題を解決するために本発明の光断層画像表示方法は、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備するものである。
【0013】
この課題を解決するために本発明の光断層画像表示方法は、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備するものである。
【0014】
ここで前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、前記フーリエ変換は高速フーリエ変換としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、信号処理部の内部での処理により周波数間隔でフーリエ変換をするので、歪みとノイズの少ない断層画像が得られる。このため高い精度で等間隔のサンプリングを行うことができる。
【0016】
又データ取り込み数列の要素の数を2の巾乗にしておくことによって、データの無駄なく高速のフーリエ変換によって画像信号を得ることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による波長走査型光断層表示システムの全体構成を示すブロック図である。本図において波長走査型光源10は一定の範囲、例えば220〜250THzの光信号を発振する波長走査型の光源であって、その出力は光ファイバ11に与えられる。光ファイバ11の他端にコリメートレンズ12及び参照ミラー13が設けられる。又この光ファイバ11の中間部分には、他の光ファイバ15を接近させて干渉させる合分岐部14が設けられている。光ファイバ15の一端には、波長走査型光源10から合分岐部14を介して得られた光信号を平行光とするコリメートレンズ16、光をスキャニングするスキャニングミラー17が設けられる。スキャニングミラー17の反射光を受光する位置に、光を測定物に照射するためのレンズ18が設けられる。スキャニングミラー17は紙面に垂直な軸を中心にして一定範囲で回動することによって、平行光の反射角度を変化させ、光の集束位置を水平方向にスキャニング(走査)するものである。さて光ファイバ15の他端にはレンズ19を介してフォトダイオード20を接続する。フォトダイオード20は、参照ミラー13からの反射光と測定部位で反射された光の干渉光を受光することによって、そのビート信号を電気信号として得る受光素子である。ここで光ファイバ11,15と合分岐部14、コリメートレンズ12、参照ミラー13、コリメートレンズ16、スキャニングミラー17、レンズ18は干渉光学計を構成している。
【0018】
さてフォトダイオード20の出力は増幅器21を介して信号処理部22に入力される。又波長走査型光源10は後述するように光の走査の開始時点でトリガ信号を生成するものとし、その出力は信号処理部22に与えられる。信号処理部22は図示のように光干渉信号の折り返し歪みを除去するローパスフィルタ(LPF)31が設けられ、この出力がA/D変換器32に与えられる。A/D変換器32は所定の等時間間隔でA/D変換を行い、その出力をCPU33に出力する。CPU33はこのデータを保持し、後述するアルゴリズムに基づいてフーリエ変換回路34によってフーリエ変換を行い、得られた画像をモニタ36に出力するものである。又D/A変換器35はA/D変換器32から出力されるトリガ信号に基づいて、のこぎり波状の画像掃引信号を生成してモニタ36に出力するものである。
【0019】
次に、波長走査型光源を用いた光干渉断層計測の原理について説明する。光源から光周波数が連続的にかつ周期的に変化するコヒーレント光を対象物体に照射させ、干渉光学計を用いて物体内部、あるいは生体表皮下層で反射した後方散乱光と参照光とを干渉させる。この干渉光の強度分布を計測し、光周波数の変化に対応した強度分布の変化を測定することによって、深さ方向に沿った断層画像を構築できる。さらに物体上で1次元、2次元に空間ビームを走査することによって、夫々2次元、3次元の断層画像を構築することができる。
【0020】
干渉計において合分岐部14から2つの腕の光路、すなわち参照ミラー13までの光路L1と、物体中の反射面までの光路L2とが等しいときには、干渉光のビート周波数はゼロとなる。次に、反射光が物体内部のある深さzから反射するとき、光周波数が時間的に変化していると、その光路差の分、物体からの反射光と参照ミラー13からの反射光の周波数に差が生じ、干渉光にビートが生じる。ここで、例えば光源の光周波数が時間的に線形に走査されているとする。干渉計の腕の長さが等しい位置に物体の表面があり、物体の反射面は表面から深さzの位置にのみあるとする。合分岐部14での参照光の周波数と物体からの反射光(物体光)の周波数は一定の差を持つので、フォトダイオード20で受光される干渉光は、一定のビート周波数で変動することになる。
【0021】
実際は反射光は物体内部の深さに沿って連続的に異なった位置から発生するので、反射光はそれぞれの深さに対応した異なったビート周波数成分をもつ。従って干渉光の強度変化を周波数分析することによって、ビート周波数に対応するある特定の深さからの反射光強度を検出することができる。この反射強度の空間分布をとることで、断層画像を構築できる。
【0022】
さて本実施の形態による光断層画像表示システムの表示のアルゴリズムについて、図2のフローチャートを用いて説明する。まず波長走査型光源10は、図3の直線Aに示すように時間に対して周波数fが直線的に変化する光源であるのが好ましい。しかし実際には曲線Bに示すように、時間tに対して周波数fが非線形に変化する特性となっている。この光源を用いて、もし単純に等時間間隔のクロックトリガでサンプリングしてしまうと、波長走査の非線形性の分、画像が歪んだり、ノイズを生じる。そこでこの光源の特性を補正して歪みのない断層画像を表示するアルゴリズムについて説明する。まず合分岐部14から参照ミラー13までの距離をL1とすると、合分岐部14からL1とは異なる距離をL2の位置の測定領域にミラーなどの反射物を配置するものとし、L1とL2との光路差をΔLとする(ステップS1)。
【0023】
そして走査型光源10を駆動し、フォトダイオード20からの出力をA/D変換器32により等時間間隔でA/D変換する(ステップS2)。図4はこのフォトダイオード20からの光干渉信号の変化を示しており、黒点は等間隔でA/D変換したタイミングを示すものである。黒点のタイミングでA/D変換値がデータとして得られるので、その番号を順次データ番号1,2・・・という。図4の横軸は時間tをデータ番号の単位nで示したものとする。A/D変換器32では一定の間隔でA/D変換を行うため、図4に示すように周期が連続的に変化する波形が加わったとしても、等時間間隔のA/D変換のタイミングで離散的な出力が得られている。このデータ番号とA/D変換値とから、最小二乗法などによってフォトダイオード20の出力のピーク及びボトム(以下、単にピークという)位置の時間を、データ番号の単位で算出する(ステップS3)。これにより上下のピーク位置を与える相対的な時間の数列が得られる。例えば図4の場合には、第1のピーク値の時刻はデータ番号で示すと2.9であり、第2のピーク値の時刻は同様に5.2であり、以下第3,第4・・・のピーク値の時刻は夫々7.8,10.9・・・である。ここでこのピーク番号をpとする。そして図5に示すように横軸を等間隔のピーク番号p、縦軸をデータ番号単位の時間nにとって、図4で得られたデータを入力する。そしてこの各点を結ぶ式を多項式近似によって求めて、近似曲線f(p)を得る(ステップS4)。尚図4では説明を簡略化するために1から10までのピーク、ボトムのみを示しているが、実際には例えば数百以上の多くのデータから近似曲線f(p)を求める。以下ではピーク番号の最大値をPとする。この近似曲線f(p)は、縦軸の等時間間隔を横軸の等周波数間隔に変換するための変換式となっている。
【0024】
さて図5では、横軸をピーク番号pとし縦軸をデータが得られる時間に対応するデータ番号nとしており、測定の開始からピーク番号の最大値Pの点までのピーク番号の変化分をΔPとする。そしてこのΔPを実際に高速フーリエ変換(FFT)したいポイント数Jに分割する。FFTしたいポイント数Jは2の巾乗(2k)であり、例えば2048(=211)とし、変数jは0〜J−1まで変化するものとする。そしてΔPを分割した以下の要素から成る数列pjを算出する。
p0=(ΔP/J)×0
p1=(ΔP/J)×1
p2=(ΔP/J)×2
・
・
・
pJ−1=(ΔP/J)×(J−1)
【0025】
次に図5に示す近似曲線f(p)に、こうして求めたpj(j=0〜J−1)を代入する。
f(pj)=nj
こうして各pjに対応するデータ番号に相当する値njを求める。これにより等周波数間隔となる時間のデータ番号njがJ個の数列、ここでは2048個の数列(n0〜n2047)として得られることとなる(ステップS5)。この数列njをデータ取り込み数列という。
【0026】
次に測定領域に実際に測定対象となる人体組織等の反射物を配置した状態で、波長走査型光源10を駆動する(ステップS6)。こうすれば参照ミラー13で反射した光と物体からの反射光との干渉光は合分岐部14で干渉し、そのビート周波数が電気信号としてフォトダイオード20に得られる。図6(a)はこのフォトダイオード20から得られる出力の一例を示す図である。ここで前述の場合と同様に光干渉信号をA/D変換して保持する(ステップS7)。このときのタイミングは等時間間隔であり、図中黒丸で示す。この等時間間隔のデータ番号を順次q0,q1・・・とする。その値とA/D変換値とから、前述した等周波数間隔となる時間のデータ番号njに対応する光信号のレベル(図中白丸で示す)を直線補間などにより算出する。例えば図6(b)はnjの前後のデータ番号qi,qi+1を検出し、直線補間によってそのときの干渉光の信号レベルI(nj)を算出する様子を拡大して示している。こうして図6(a)に示すように全てのnj、即ちn0,n1,n2・・・n2047までの光信号の値I(n0)〜I(n2047)を求める(ステップS8)。こうして得られた2048のデータに基づいて、高速フーリエ変換回路34でFFT演算を行う(ステップS9)。この状態では光源の波長変化の特性は図3Aに示すようにリニアに補正されていると考えられる。こうすれば図7に示すように物体までの位置に対する画像信号を得ることもできる。これによって一次元の画像を得ることができる。そして光をスキャニングミラー17によって走査することで二次元画像とすることができる。
【0027】
図8は光断層画像表示システムの全体の動作を示すタイムチャートである。図8(a)は波長走査型光源より発振するレーザ光の周波数fと時間の関係を示しており、そののこぎり波状の波長走査の開始のタイミングで波長走査型光源10より図8(b)に示すようにトリガ信号が得られる。この信号はA/D変換器32に与えられる。A/D変換器32ではこのトリガ信号によって所定の時間間隔でA/D変換を開始し、A/D変換を開始している間での走査開始のトリガ信号を図8(c)に示すように出力する。D/A変換器35はこのトリガ信号に基づいて画像の変更のためののこぎり波信号を図8(d)に示すように出力する。こののこぎり波信号はCPUで演算処理された画像信号と同時にモニタ36に加えられる。これによって2次元の画像信号をモニタ36上に出力することができる。
【0028】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態による光断層画像表示システムについて説明する。全体のブロック図については第1の実施の形態と同様である。この実施の形態のアルゴリズムでは、波長によって測定対象となる物質の屈折率が変化することによる波長分散による誤差を除くようにしたものである。この実施の形態における動作について、図9のフローチャートを用いて説明する。この実施の形態ではステップS1〜S5は前述した第1の実施の形態と同様である。ここでステップS5の数列をここではnam(m=0〜M−1)とする。続けてステップS11において測定点に測定対象となる測定物、又はこれに近いサンプルを配置する。ここでは測定対象そのものを配置するものとする。次いでステップS12において光干渉信号を検出し、そのA/D変換値を保持する。更にステップ13において前述したステップS8と同様にnamのタイミングでA/D変換値を直線近似によって抽出し、光干渉信号I(nam)を得る。この場合にはMは2の巾乗である必要はなく、任意の整数であれば足りる。図10はこうして得られた光干渉信号の変化を示すグラフである。
【0029】
そしてステップS14では、注目したい境界面に対応する周波数を抽出する。例えば測定対象が人体の場合には、その皮膚表面の反射や内部の反射がある。そして注目したい画像が表面でなく体内の反射である場合には、それに対応する周波数をバンドパスフィルタによって抽出する。ここではCPU33によってソフトウェアのフィルタリングを行う。そして図11はこうして得られた出力の変化を示すグラフである。図11において横軸はデータ番号nであり、ほぼ等周期であるが、波長分散があるので周期はわずかに変化している。
【0030】
次いでステップS15に進んで、このグラフから最小二乗法によってピーク値を算出する。更にステップS16において、ステップS3,S4と同様に、図12に示すようにピーク番号を横軸、縦軸をデータ番号にとってピーク値をプロットする。そしてピーク番号pに対するデータ番号の関数として、多項式近似によって近似曲線g(p)を算出する。ここでピーク番号の最大値をP2、ピーク番号の変化分をΔP2とする。そしてステップS5の場合と同様に、g(p)から数列nbjを求める。ここではデータ数Jを前述したようにFFTの処理のために2の巾乗(2k)、例えば2048とする。従ってこの数列は、nb0〜nb2047の2048個となる。この数列をデータ取り込み数列という。
【0031】
そして保持されている出力からステップS8と同様に、データ取り込み数列nbjのタイミングで2048等のデータを直線近似によって抽出する。そしてステップS17に進んでこのデータに基づいてFFT処理を行い、画像を出力する。こうすればサンプル又は実際の測定物の波長分散の誤差を除いたデータを得ることが可能となり、より正確に2次元画像を生成することができる。
【0032】
尚前述した各実施の形態では、2次元の画像データを得るようにしているが、スキャニングミラー17を図1の紙面に垂直な方向だけでなく紙面に平行な軸で回転させることによって、3次元の画像を得ることができる。又フォトダイオード20としてはバランスドフォトディテクタを用いて光の出力レベルを2倍にするようにしてもよい。又前述した実施の形態ではFFTのためにJを2の巾乗としているが、DFTでよければ2の巾乗に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態による波長走査型光断層表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態による断層表示のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態によるレーザ光源の走査時間と発振周波数の関係の一例を示すグラフである。
【図4】本実施の形態においてデータ番号に対する光干渉出力の変化を示すグラフである。
【図5】ピーク番号nに対するデータ番号の変化を示すグラフである。
【図6】(a)は測定物体を配置したときのデータ番号に対する光干渉信号の変化を示すグラフ、(b)はその部分拡大図である。
【図7】本実施の形態によるフーリエ変換後の出力を示す図である。
【図8】位置に対するFFT後の画像信号の変化を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態による波長走査型光断層表示システムの断層表示のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態によるデータ番号に対する光干渉出力の変化を示すグラフである。
【図11】フィルタリング後のデータ番号に対する出力の変化を示すグラフである。
【図12】ピーク番号とデータ番号との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10 波長走査型光源
11,15 光ファイバ
12,16,18,19 レンズ
13 参照ミラー
17 スキャニングミラー
20 フォトダイオード
21 プリアンプ
22 信号処理部
31 ローパスフィルタ
32 A/D変換器
33 フーリエ変換回路
34 CPU
35 D/A変換器
36 モニタ
【技術分野】
【0001】
本発明は物体の表面下部の内部構造の画像、あるいは生体組織の表皮下層断層の画像を観察する光断層画像表示システム及び光断層画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年内視鏡治療などの医療技術の進歩に伴って、病理組織を非深襲かつリアルタイム診断する方法が望まれている。従来例えばCCDを用いた電子内視鏡や、CT、MRI、超音波による画像化が診断方法として用いられている。電子内視鏡は生体の表面の観察に限定され、また後者の画像診断システムはミクロンオーダーの分解能で観察するには技術的な限界があった。このような方法を補完する技術として、光干渉断層計測技術が注目されている。
【0003】
干渉断層計測技術の中には、時間領域の断層計測と周波数領域の断層計測の2種類があり、また周波数領域の断層計測の中にもスペクトロメータタイプと波長走査型光源タイプの2つがある。波長走査型光源タイプは、非特許文献1に記されているように、生体に光を照射し、照射光の波長を連続的に変化させ、参照光と生体内の異なる深さから戻ってくる反射光とを干渉計で干渉させ、その干渉信号の周波数成分を分析することによって、断層画像を得るシステムである。この技術は物体内部からの信号の周波数分析から極めて高分解能の断層画像を構築することができるため、高度なシステムとして期待されている。波長走査型光源タイプは測定感度も高く、動的ノイズに強いという点で内視鏡などの実使用に好適である。ここで照射する光の波長走査の帯域が広いほど周波数分析の帯域が上がるので、深さ方向の分解能が上がる。
【0004】
断層画像表示装置において、1回の波長走査の中で画像の分解能に合わせて等周波数間隔で多数のポイントをとり、フーリエ変換を行うタイミング信号として与える必要がある。通常これをkトリガという。トリガ信号の間隔は観察深さ範囲に比例し、より細かく取るほど深くまで解析できる。このトリガ信号の間隔は等周波数間隔である必要があり、これが周波数間隔でなければ、波長走査が非線形となり、画像が歪んだりノイズが生じるという問題点が生じる。
【0005】
しかし通常得られる波長可変型レーザ光源は波長が時間に対して直線的に変化するものではなく、等周波数間隔でトリガ信号を得ることが難しいという欠点があった。従来は非特許文献2のように、サンプルからの後方散乱光と干渉させる干渉計以外に、他の干渉計やファブリペローエタロンのような干渉信号を発生させる光学系を付属し、実際のサンプルの干渉信号と同時にその別に付属した光学系の干渉信号によってサンプルの干渉信号の周波数校正をすることが一般的であった。
【非特許文献1】Handbook of Optical Coherence Tomography,p41-43, Mercel Dekker, Inc. 2002
【非特許文献2】R.Huber. et al. “Three-dimensional and C-mode OCT imaging with a compact, frequency swept laser source at 1300 nm”, 26 December 2005/Vol. 13, No.26/OPTICS EXPRESS 10523
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし非特許文献2では、付属する光学系が高価なこと、そして高価なA/Dボードが必要となるなどの問題があった。
【0007】
本発明は上記課題に着目し、レーザ光源の等周波数間隔の任意のポイントでフーリエ変換することによって高分解能で画像表示することができる光断層画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の光断層画像表示システムは、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備するものである。
【0009】
この課題を解決するために、本発明の光断層画像表示システムは、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備するものである。
【0010】
ここで前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、前記フーリエ変換は高速フーリエ変換としてもよい。
【0011】
ここで前記干渉光学計は、中間に合分岐部を有する第1,第2の光ファイバを含み、前記第1の光ファイバは、前記波長走査型光源から発生した光を前記合分岐部を介して参照ミラーに導き、参照ミラーで反射された光を再び合分岐部に導くものであり、前記第2の光ファイバは、前記波長走査型光源の光を前記合分岐部を介して測定対象まで導き、該測定対象からの反射光を再び合分岐部に導くと共に、合分岐部を介して得られた干渉光を前記受光素子に伝送するようにしてもよい。
【0012】
この課題を解決するために本発明の光断層画像表示方法は、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備するものである。
【0013】
この課題を解決するために本発明の光断層画像表示方法は、周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備するものである。
【0014】
ここで前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、前記フーリエ変換は高速フーリエ変換としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、信号処理部の内部での処理により周波数間隔でフーリエ変換をするので、歪みとノイズの少ない断層画像が得られる。このため高い精度で等間隔のサンプリングを行うことができる。
【0016】
又データ取り込み数列の要素の数を2の巾乗にしておくことによって、データの無駄なく高速のフーリエ変換によって画像信号を得ることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による波長走査型光断層表示システムの全体構成を示すブロック図である。本図において波長走査型光源10は一定の範囲、例えば220〜250THzの光信号を発振する波長走査型の光源であって、その出力は光ファイバ11に与えられる。光ファイバ11の他端にコリメートレンズ12及び参照ミラー13が設けられる。又この光ファイバ11の中間部分には、他の光ファイバ15を接近させて干渉させる合分岐部14が設けられている。光ファイバ15の一端には、波長走査型光源10から合分岐部14を介して得られた光信号を平行光とするコリメートレンズ16、光をスキャニングするスキャニングミラー17が設けられる。スキャニングミラー17の反射光を受光する位置に、光を測定物に照射するためのレンズ18が設けられる。スキャニングミラー17は紙面に垂直な軸を中心にして一定範囲で回動することによって、平行光の反射角度を変化させ、光の集束位置を水平方向にスキャニング(走査)するものである。さて光ファイバ15の他端にはレンズ19を介してフォトダイオード20を接続する。フォトダイオード20は、参照ミラー13からの反射光と測定部位で反射された光の干渉光を受光することによって、そのビート信号を電気信号として得る受光素子である。ここで光ファイバ11,15と合分岐部14、コリメートレンズ12、参照ミラー13、コリメートレンズ16、スキャニングミラー17、レンズ18は干渉光学計を構成している。
【0018】
さてフォトダイオード20の出力は増幅器21を介して信号処理部22に入力される。又波長走査型光源10は後述するように光の走査の開始時点でトリガ信号を生成するものとし、その出力は信号処理部22に与えられる。信号処理部22は図示のように光干渉信号の折り返し歪みを除去するローパスフィルタ(LPF)31が設けられ、この出力がA/D変換器32に与えられる。A/D変換器32は所定の等時間間隔でA/D変換を行い、その出力をCPU33に出力する。CPU33はこのデータを保持し、後述するアルゴリズムに基づいてフーリエ変換回路34によってフーリエ変換を行い、得られた画像をモニタ36に出力するものである。又D/A変換器35はA/D変換器32から出力されるトリガ信号に基づいて、のこぎり波状の画像掃引信号を生成してモニタ36に出力するものである。
【0019】
次に、波長走査型光源を用いた光干渉断層計測の原理について説明する。光源から光周波数が連続的にかつ周期的に変化するコヒーレント光を対象物体に照射させ、干渉光学計を用いて物体内部、あるいは生体表皮下層で反射した後方散乱光と参照光とを干渉させる。この干渉光の強度分布を計測し、光周波数の変化に対応した強度分布の変化を測定することによって、深さ方向に沿った断層画像を構築できる。さらに物体上で1次元、2次元に空間ビームを走査することによって、夫々2次元、3次元の断層画像を構築することができる。
【0020】
干渉計において合分岐部14から2つの腕の光路、すなわち参照ミラー13までの光路L1と、物体中の反射面までの光路L2とが等しいときには、干渉光のビート周波数はゼロとなる。次に、反射光が物体内部のある深さzから反射するとき、光周波数が時間的に変化していると、その光路差の分、物体からの反射光と参照ミラー13からの反射光の周波数に差が生じ、干渉光にビートが生じる。ここで、例えば光源の光周波数が時間的に線形に走査されているとする。干渉計の腕の長さが等しい位置に物体の表面があり、物体の反射面は表面から深さzの位置にのみあるとする。合分岐部14での参照光の周波数と物体からの反射光(物体光)の周波数は一定の差を持つので、フォトダイオード20で受光される干渉光は、一定のビート周波数で変動することになる。
【0021】
実際は反射光は物体内部の深さに沿って連続的に異なった位置から発生するので、反射光はそれぞれの深さに対応した異なったビート周波数成分をもつ。従って干渉光の強度変化を周波数分析することによって、ビート周波数に対応するある特定の深さからの反射光強度を検出することができる。この反射強度の空間分布をとることで、断層画像を構築できる。
【0022】
さて本実施の形態による光断層画像表示システムの表示のアルゴリズムについて、図2のフローチャートを用いて説明する。まず波長走査型光源10は、図3の直線Aに示すように時間に対して周波数fが直線的に変化する光源であるのが好ましい。しかし実際には曲線Bに示すように、時間tに対して周波数fが非線形に変化する特性となっている。この光源を用いて、もし単純に等時間間隔のクロックトリガでサンプリングしてしまうと、波長走査の非線形性の分、画像が歪んだり、ノイズを生じる。そこでこの光源の特性を補正して歪みのない断層画像を表示するアルゴリズムについて説明する。まず合分岐部14から参照ミラー13までの距離をL1とすると、合分岐部14からL1とは異なる距離をL2の位置の測定領域にミラーなどの反射物を配置するものとし、L1とL2との光路差をΔLとする(ステップS1)。
【0023】
そして走査型光源10を駆動し、フォトダイオード20からの出力をA/D変換器32により等時間間隔でA/D変換する(ステップS2)。図4はこのフォトダイオード20からの光干渉信号の変化を示しており、黒点は等間隔でA/D変換したタイミングを示すものである。黒点のタイミングでA/D変換値がデータとして得られるので、その番号を順次データ番号1,2・・・という。図4の横軸は時間tをデータ番号の単位nで示したものとする。A/D変換器32では一定の間隔でA/D変換を行うため、図4に示すように周期が連続的に変化する波形が加わったとしても、等時間間隔のA/D変換のタイミングで離散的な出力が得られている。このデータ番号とA/D変換値とから、最小二乗法などによってフォトダイオード20の出力のピーク及びボトム(以下、単にピークという)位置の時間を、データ番号の単位で算出する(ステップS3)。これにより上下のピーク位置を与える相対的な時間の数列が得られる。例えば図4の場合には、第1のピーク値の時刻はデータ番号で示すと2.9であり、第2のピーク値の時刻は同様に5.2であり、以下第3,第4・・・のピーク値の時刻は夫々7.8,10.9・・・である。ここでこのピーク番号をpとする。そして図5に示すように横軸を等間隔のピーク番号p、縦軸をデータ番号単位の時間nにとって、図4で得られたデータを入力する。そしてこの各点を結ぶ式を多項式近似によって求めて、近似曲線f(p)を得る(ステップS4)。尚図4では説明を簡略化するために1から10までのピーク、ボトムのみを示しているが、実際には例えば数百以上の多くのデータから近似曲線f(p)を求める。以下ではピーク番号の最大値をPとする。この近似曲線f(p)は、縦軸の等時間間隔を横軸の等周波数間隔に変換するための変換式となっている。
【0024】
さて図5では、横軸をピーク番号pとし縦軸をデータが得られる時間に対応するデータ番号nとしており、測定の開始からピーク番号の最大値Pの点までのピーク番号の変化分をΔPとする。そしてこのΔPを実際に高速フーリエ変換(FFT)したいポイント数Jに分割する。FFTしたいポイント数Jは2の巾乗(2k)であり、例えば2048(=211)とし、変数jは0〜J−1まで変化するものとする。そしてΔPを分割した以下の要素から成る数列pjを算出する。
p0=(ΔP/J)×0
p1=(ΔP/J)×1
p2=(ΔP/J)×2
・
・
・
pJ−1=(ΔP/J)×(J−1)
【0025】
次に図5に示す近似曲線f(p)に、こうして求めたpj(j=0〜J−1)を代入する。
f(pj)=nj
こうして各pjに対応するデータ番号に相当する値njを求める。これにより等周波数間隔となる時間のデータ番号njがJ個の数列、ここでは2048個の数列(n0〜n2047)として得られることとなる(ステップS5)。この数列njをデータ取り込み数列という。
【0026】
次に測定領域に実際に測定対象となる人体組織等の反射物を配置した状態で、波長走査型光源10を駆動する(ステップS6)。こうすれば参照ミラー13で反射した光と物体からの反射光との干渉光は合分岐部14で干渉し、そのビート周波数が電気信号としてフォトダイオード20に得られる。図6(a)はこのフォトダイオード20から得られる出力の一例を示す図である。ここで前述の場合と同様に光干渉信号をA/D変換して保持する(ステップS7)。このときのタイミングは等時間間隔であり、図中黒丸で示す。この等時間間隔のデータ番号を順次q0,q1・・・とする。その値とA/D変換値とから、前述した等周波数間隔となる時間のデータ番号njに対応する光信号のレベル(図中白丸で示す)を直線補間などにより算出する。例えば図6(b)はnjの前後のデータ番号qi,qi+1を検出し、直線補間によってそのときの干渉光の信号レベルI(nj)を算出する様子を拡大して示している。こうして図6(a)に示すように全てのnj、即ちn0,n1,n2・・・n2047までの光信号の値I(n0)〜I(n2047)を求める(ステップS8)。こうして得られた2048のデータに基づいて、高速フーリエ変換回路34でFFT演算を行う(ステップS9)。この状態では光源の波長変化の特性は図3Aに示すようにリニアに補正されていると考えられる。こうすれば図7に示すように物体までの位置に対する画像信号を得ることもできる。これによって一次元の画像を得ることができる。そして光をスキャニングミラー17によって走査することで二次元画像とすることができる。
【0027】
図8は光断層画像表示システムの全体の動作を示すタイムチャートである。図8(a)は波長走査型光源より発振するレーザ光の周波数fと時間の関係を示しており、そののこぎり波状の波長走査の開始のタイミングで波長走査型光源10より図8(b)に示すようにトリガ信号が得られる。この信号はA/D変換器32に与えられる。A/D変換器32ではこのトリガ信号によって所定の時間間隔でA/D変換を開始し、A/D変換を開始している間での走査開始のトリガ信号を図8(c)に示すように出力する。D/A変換器35はこのトリガ信号に基づいて画像の変更のためののこぎり波信号を図8(d)に示すように出力する。こののこぎり波信号はCPUで演算処理された画像信号と同時にモニタ36に加えられる。これによって2次元の画像信号をモニタ36上に出力することができる。
【0028】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態による光断層画像表示システムについて説明する。全体のブロック図については第1の実施の形態と同様である。この実施の形態のアルゴリズムでは、波長によって測定対象となる物質の屈折率が変化することによる波長分散による誤差を除くようにしたものである。この実施の形態における動作について、図9のフローチャートを用いて説明する。この実施の形態ではステップS1〜S5は前述した第1の実施の形態と同様である。ここでステップS5の数列をここではnam(m=0〜M−1)とする。続けてステップS11において測定点に測定対象となる測定物、又はこれに近いサンプルを配置する。ここでは測定対象そのものを配置するものとする。次いでステップS12において光干渉信号を検出し、そのA/D変換値を保持する。更にステップ13において前述したステップS8と同様にnamのタイミングでA/D変換値を直線近似によって抽出し、光干渉信号I(nam)を得る。この場合にはMは2の巾乗である必要はなく、任意の整数であれば足りる。図10はこうして得られた光干渉信号の変化を示すグラフである。
【0029】
そしてステップS14では、注目したい境界面に対応する周波数を抽出する。例えば測定対象が人体の場合には、その皮膚表面の反射や内部の反射がある。そして注目したい画像が表面でなく体内の反射である場合には、それに対応する周波数をバンドパスフィルタによって抽出する。ここではCPU33によってソフトウェアのフィルタリングを行う。そして図11はこうして得られた出力の変化を示すグラフである。図11において横軸はデータ番号nであり、ほぼ等周期であるが、波長分散があるので周期はわずかに変化している。
【0030】
次いでステップS15に進んで、このグラフから最小二乗法によってピーク値を算出する。更にステップS16において、ステップS3,S4と同様に、図12に示すようにピーク番号を横軸、縦軸をデータ番号にとってピーク値をプロットする。そしてピーク番号pに対するデータ番号の関数として、多項式近似によって近似曲線g(p)を算出する。ここでピーク番号の最大値をP2、ピーク番号の変化分をΔP2とする。そしてステップS5の場合と同様に、g(p)から数列nbjを求める。ここではデータ数Jを前述したようにFFTの処理のために2の巾乗(2k)、例えば2048とする。従ってこの数列は、nb0〜nb2047の2048個となる。この数列をデータ取り込み数列という。
【0031】
そして保持されている出力からステップS8と同様に、データ取り込み数列nbjのタイミングで2048等のデータを直線近似によって抽出する。そしてステップS17に進んでこのデータに基づいてFFT処理を行い、画像を出力する。こうすればサンプル又は実際の測定物の波長分散の誤差を除いたデータを得ることが可能となり、より正確に2次元画像を生成することができる。
【0032】
尚前述した各実施の形態では、2次元の画像データを得るようにしているが、スキャニングミラー17を図1の紙面に垂直な方向だけでなく紙面に平行な軸で回転させることによって、3次元の画像を得ることができる。又フォトダイオード20としてはバランスドフォトディテクタを用いて光の出力レベルを2倍にするようにしてもよい。又前述した実施の形態ではFFTのためにJを2の巾乗としているが、DFTでよければ2の巾乗に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態による波長走査型光断層表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態による断層表示のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態によるレーザ光源の走査時間と発振周波数の関係の一例を示すグラフである。
【図4】本実施の形態においてデータ番号に対する光干渉出力の変化を示すグラフである。
【図5】ピーク番号nに対するデータ番号の変化を示すグラフである。
【図6】(a)は測定物体を配置したときのデータ番号に対する光干渉信号の変化を示すグラフ、(b)はその部分拡大図である。
【図7】本実施の形態によるフーリエ変換後の出力を示す図である。
【図8】位置に対するFFT後の画像信号の変化を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態による波長走査型光断層表示システムの断層表示のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態によるデータ番号に対する光干渉出力の変化を示すグラフである。
【図11】フィルタリング後のデータ番号に対する出力の変化を示すグラフである。
【図12】ピーク番号とデータ番号との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10 波長走査型光源
11,15 光ファイバ
12,16,18,19 レンズ
13 参照ミラー
17 スキャニングミラー
20 フォトダイオード
21 プリアンプ
22 信号処理部
31 ローパスフィルタ
32 A/D変換器
33 フーリエ変換回路
34 CPU
35 D/A変換器
36 モニタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、
物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備する光断層画像表示システム。
【請求項2】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、
物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備する光断層画像表示システム。
【請求項3】
前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、
前記フーリエ変換は高速フーリエ変換である請求項1又は2記載の光断層画像表示システム。
【請求項4】
前記干渉光学計は、
中間に合分岐部を有する第1,第2の光ファイバを含み、
前記第1の光ファイバは、前記波長走査型光源から発生した光を前記合分岐部を介して参照ミラーに導き、参照ミラーで反射された光を再び合分岐部に導くものであり、
前記第2の光ファイバは、前記波長走査型光源の光を前記合分岐部を介して測定対象まで導き、該測定対象からの反射光を再び合分岐部に導くと共に、合分岐部を介して得られた干渉光を前記受光素子に伝送するものである請求項1又は2記載の光断層画像表示システム。
【請求項5】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、
物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、
前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、
ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、
前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、
測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、
得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備する光断層画像表示方法。
【請求項6】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、
物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、
前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、
ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、
前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、
測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、
算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、
抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、
前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、
測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、
得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備する光断層画像表示方法。
【請求項7】
前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、
前記フーリエ変換は高速フーリエ変換である請求項5又は6記載の光断層画像表示方法。
【請求項1】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、
物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備する光断層画像表示システム。
【請求項2】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、
物体の測定位置に反射物を配置したときに、前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することにより、前記物体の断層画像を算出する信号処理部と、を具備する光断層画像表示システム。
【請求項3】
前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、
前記フーリエ変換は高速フーリエ変換である請求項1又は2記載の光断層画像表示システム。
【請求項4】
前記干渉光学計は、
中間に合分岐部を有する第1,第2の光ファイバを含み、
前記第1の光ファイバは、前記波長走査型光源から発生した光を前記合分岐部を介して参照ミラーに導き、参照ミラーで反射された光を再び合分岐部に導くものであり、
前記第2の光ファイバは、前記波長走査型光源の光を前記合分岐部を介して測定対象まで導き、該測定対象からの反射光を再び合分岐部に導くと共に、合分岐部を介して得られた干渉光を前記受光素子に伝送するものである請求項1又は2記載の光断層画像表示システム。
【請求項5】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、
物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、
前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、
ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、
前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、
測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、
得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備する光断層画像表示方法。
【請求項6】
周期的に光の発振波長を走査する波長走査型光源と、
前記波長走査型光源からの光を参照光と物体への照射光とに分岐し、物体からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学計と、
前記干渉光学計より得られる干渉光を受光し、ビート信号を得る受光素子と、を具備する光断層画像表示システムにおける光断層画像表示方法であって、
物体の測定位置に反射物を配置して前記受光素子からの出力をデータ番号を付して等時間間隔で取り込み、
前記ビート信号のピークとなるデータ番号を算出し、
ピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、
前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出して数列とし、
測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、
算出したデータ列から注目すべき境界面に対する周波数の信号を抽出し、
抽出した信号のピーク番号に対するデータ番号を示す近似曲線を算出し、
前記ピーク番号変化分を任意の数に分割して、分割したピーク番号に対応するデータ番号を近似曲線により算出しデータ取り込み数列とし、
測定位置に測定物体を配置したときの前記受光素子からの等時間間隔の出力から、前記データ取り込み数列の各要素でのタイミングの信号レベルを算出し、
得られた等周波数間隔のデータをフーリエ変換することによって前記物体の断面画像を算出するフーリエ変換処理部と、を具備する光断層画像表示方法。
【請求項7】
前記データ取り込み数列の要素の数は2の巾乗であり、
前記フーリエ変換は高速フーリエ変換である請求項5又は6記載の光断層画像表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−261778(P2008−261778A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105749(P2007−105749)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(591102693)サンテック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(591102693)サンテック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
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