説明

光殺菌装置及び光殺菌システム

【課題】 導光路を用いて、機器の各部材に容易に光照射して殺菌を行う光殺菌装置を提供する。
【解決手段】 ランプなどの光源1aを有する光源部1と、光源部1の光源1aからの光が入射される複数本の導光ファイバ2と、空気調和機の熱交換器11、ファン12、空気清浄部13、ドレインパン14などの各部材に塗布され、光を吸収することによって殺菌性が発現する一重項酸素生成剤と、各部材に配置され、導光ファイバ2を介して入射される光源部1からの光をそれぞれ部材に照射する複数の光照射ファイバ3とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を照射することによって固体表面の殺菌を行う光殺菌装置及び光殺菌システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器を構成しているアルミフィン表面に常温酸化触媒を塗布し、その熱交換器の表面に光を照射して殺菌を行う脱臭機能付き熱交換器がある(例えば、特許文献1参照)。
また、光照射装置と、光照射下で殺菌力を持つ光触媒材料とを組み合わせて殺菌を行う手法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、一重項酸素が殺菌効果をもつことが知られており(例えば、非特許文献2参照)、色素に可視光を照射すると一重項酸素が生成することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特許3093953号公報
【非特許文献1】橋本和仁、藤嶋昭 編集「酸化チタン光触媒のすべて」、シーエムシー、1998年7月7日、p.178−195
【非特許文献2】中野稔、「一重項酸素による殺菌」、油化学酸化セミナー、20号、p.33、1999年
【非特許文献3】L.L.INGRAHAM,D.L.MEYER,「酸素の生化学」、学会出版センター、p.31
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファンなどで空気の流れを作り、温湿度を制御したり空気中の不純物を除去する装置においては、その空気の流れる部分の表面に空気中に浮遊している菌が付着し、これが蓄積・繁殖して再飛散したり臭気を発生したりする場合がある。また、例えば、空気調和機のドレインパンは、空気の流れと直接接触することはないが、空気と接した熱交換器の表面に付着した菌が、結露水とともに滴下され蓄積する可能性がある。
従来の光触媒を用いた殺菌手段では、可視光の利用効率が悪いために、十分な殺菌能力を得るには紫外光が必要であった。また、異なる部材を殺菌するためには、それぞれに光源を配置する必要があった。また、殺菌を必要としていない期間は光照射をしないために、光源のための資源・コスト・スペースなどが無駄になっていた。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、導光路を用いて、機器の各部材に容易に光照射ができる光殺菌装置を得ることである。
第2の目的は、可視光を吸収して一重項酸素を生成する化合物を用いることによって安価な光源と導光路とを利用できる光殺菌装置を得ることである。
第3の目的は、光照射を間欠的に行うことによって、殺菌が必要な各部材に十分な光照射を行う光殺菌装置を得ることである。
第4の目的は、殺菌が必要な複数の機器に光照射を行う光殺菌システムを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光殺菌装置は、光源部と、光源部からの光が入射される導光路と、機器の部材に用いられ、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物と、部材に配置され、導光路を介して入射される光源部からの光を部材に照射する光照射部とを備えたものである。
【0007】
また、本発明に係る光殺菌システムは、所定領域の各所に配置された複数の機器と、所定領域外に配置された光源部と、光源部からの光を複数の機器にそれぞれ導く導光路と、複数の機器の部材にそれぞれ用いられ、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物と、複数の機器の部材にそれぞれ配置され、導光路を介して入射される光源部からの光をそれぞれの部材に照射する光照射部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物が用いられた部材に、導光路を介して入射される光源部からの光を照射するようにしたので、機器の各部材に容易に光を照射することが可能になり、このため、衛生面で優れた機器を提供できる。
【0009】
また、本発明においては、所定領域の各所に配置された複数の機器の部材に、所定領域外に配置された光源部から導光路及び光照射部を介して光を照射するようにしたので、複数の機器の殺菌を容易にでき、このため、衛生面で優れた環境を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の光殺菌装置及び光殺菌システムの実施の形態について図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す空気調和機における光殺菌装置の概略構成図である。
実施の形態1においては、熱交換器11と、ファン12と、空気清浄部13と、ドレインパン14とを構成要素とする空気調和機に光殺菌装置を設けたものである。この空気調和機の熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14の各部材には、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物の一重項酸素生成剤が塗布されている。光殺菌装置は、例えば、空気調和機の筐体内に設置された光源部1と、光源部1からの光を導くための複数本の導光ファイバ2(導光路)と、導光ファイバ2を介して入射される光源部1からの光を熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14にそれぞれ照射する複数本の光照射ファイバ3(光照射部)とからなっている。
【0011】
一重項酸素生成剤として、ローズベンガル、メチレンブルー、ポルフィリン類、フタロシアニン類、アダマンタン類、ソラレン類、フラーレン類などから一種以上の化合物が用いられている。これら物質の分子は、それぞれ固有の光吸収波長域を有し、この波長の光が照射されると励起状態となり、酸素分子にエネルギーを与えて自ら基底状態に戻る特性を有している。酸素分子は、通常は三重項状態であるが、エネルギーを得ると一重項状態(一重項酸素)となって、殺菌能力を有するようになる。
【0012】
また、一重項酸素生成剤の安定性を向上させたり、水溶性を抑制して水洗耐久性を向上させるために、シリカやアルミナなどの酸化物や複合酸化物、モンモリロナイトやセピオライト、ゼオライトなどのナノメートルサイズの多孔構造を有する酸化物、メソポーラスシリカやチタニアナノシートの再構成体などのマイクロメートルサイズの多孔構造を有する酸化物などに担持するとよい。また、シクロデキストリンなどの包接分子やポリアクリルアミドなどの高分子と混合したり、化学的に結合させてもよい。
【0013】
また、一重項酸素生成剤の励起状態をより安定化し、酸素分子にエネルギーを受け渡す確率を高くするために、一重項酸素生成剤の担体としてシリカなどの高表面積な担体にナノメートルサイズの金や白金などの金属微粒子を付着させたものを用いて、金属微粒子のプラズモン共鳴による電場増強効果を利用するようにしてもよい。
【0014】
光源部1は、光源1aと、この光源1aから放射される光を効率よく導光ファイバ2に入射させる反射板1bとが筐体1cに収納されてなっている。その筐体1cは、光源1aを交換可能に、かつ光源1aの点灯による熱を放散させる構造となっている。光源1aは、一重項酸素生成剤が吸収可能な波長(400nm〜800nmの可視光)の光を発する例えば水銀ランプ、キセノンランプ、白色蛍光灯、LEDなどの何れかからなっている。例えば、一重項酸素生成剤にメチレンブルーが用いられている場合は、約660nmの波長に吸収ピークがあるので、白色蛍光灯あるいは赤色LEDなどが光源1aとして用いられる。
なお、吸収波長の異なる複数の一重項酸素生成剤を混合して用いたり、各部材に吸収波長の異なる一重項酸素生成剤を用いた場合には、それぞれに適した波長の光を照射できるように光源1aを組み合わせて用いる。また、放射光の一部が空気調和機の筐体から、あるいは筐体に設けた窓部から見える構造にして、殺菌動作中であることがユーザーにわかるようにしてもよい。
【0015】
導光ファイバ2は、ガラスやプラスチックをコアとする光ファイバ心線が多数本束ねられた光ファイバケーブルからなり、一端が光入射可能に筐体1cに連結され、他端が光照射ファイバ3に連結されている。このうち、熱交換器11側に配線された導光ファイバ2は、途中から4分割されてそれぞれの光照射ファイバ3と連結され、また、空気清浄部13側に配線された導光ファイバ2は、途中から2分割されて2本の光照射ファイバ3と連結されている。光源部1からの導光ファイバ2は、各部材に応じて光源1aの光量が所定比率で分割されるように光ファイバ心線の本数が選定されている。これにより、殺菌に必要十分な光量が照射される。
なお、この導光ファイバ2は、通信用光ファイバとして広く用いられている、屈折率の異なる2種の材料を用いたり、屈折率が中心部から外縁部にかけて徐々に変化する材料を用いたものであってもよい。また、殺菌に必要十分な光量が得られるのであれば、単純な構造の線材や棒材、板材などで構成された光ファイバでもよい。
【0016】
光照射ファイバ3は、例えば導光ファイバ2が連結された端面から入射する光が側面全体から漏れるように構成された漏光型光ファイバからなり、一重項酸素生成剤が塗布された熱交換器11、ファン12、空気清浄部13、ドレインパン14の各部材にそれぞれ光照射できるように配置されている。
なお、光照射ファイバ3として、棒材や板材の表面が粗く研磨された光ファイバや、徐々にテーパー状に加工された光ファイバでもよい。
【0017】
前述した一重項酸素生成剤、光源1a、導光ファイバ2、光照射ファイバ3を組み合わせることで所定の殺菌性能が得られる。例えば、単位時間当たりの各部材の菌増加量をN(個)とし、光源1aの光強度をF(W)、導光ファイバ2での光損失比をx、光照射ファイバ3での光損失をy、各部材の単位表面積当たりの一重項酸素生成剤の濃度をC(モル)、一重項酸素生成剤からの一重項酸素生成量子収率をφ、一重項酸素1モル当たりの殺菌可能菌数をkとして、
N≦k・F・(1−x)・(1−y)・C・φ
とすることによって、一重項酸素生成剤が塗布された各部材の菌数Nの増加を抑制できる。
【0018】
なお、一重項酸素生成剤の代わりに、酸化チタンなどの紫外線を吸収して殺菌可能な材料や、酸化チタンに窒素などの原子やイオンをドープした材料や、酸化ニオブや酸化バナジウムを含む非酸化チタン系の複合酸化物の材料などの、いわゆる可視光応答光触媒を用いてもよい。これらの材料は、前記の有機化合物に比べると、可視光吸収性が低いため、より紫外領域の光を含む光源と導光ファイバを用いる。
【0019】
次に動作について説明する。
空気調和機を運転すると、室外機(図示せず)と熱交換器11とからなるヒートポンプ機能によって熱交換器11の表面が加熱または冷却され、ファン12によって導かれて空気中に熱を与えたり奪ったりする。空気の熱を奪う際には、空気中の水分が熱交換器11の表面に結露し、水がドレインパン14に集められ、ドレインパイプ(図示せず)によって屋外に排出される。また、ファン12によって空気が空気清浄部13を通過する際に、空気中の粉塵やガスを吸着したり分解したりする。
【0020】
一方、空気調和機の運転中に光源部1の光源1aを点灯させると、その光が複数の導光ファイバ2を通じてそれぞれの光照射ファイバ3に入射し、光照射ファイバ3の表面からそれぞれ熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14の各部材に照射され、これら部材に塗布された一重項酸素生成剤に吸収される。この光の吸収により一重項酸素生成剤から一重項酸素が生成され、各部材に菌が付着・蓄積されていた場合には、その一重項酸素によって殺菌される。
【0021】
以上のように実施の形態1によれば、熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14にそれぞれ一重項酸素生成剤を塗布し、この一重項酸素生成剤に光源部1からの光を導光ファイバ2及び光照射ファイバ3を通じて照射するようにしたので、熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14に付着・蓄積した菌を容易に殺菌することが可能になり、このため、衛生面で優れた空気調和機を提供できる。
【0022】
なお、前記の実施の形態1では、熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14の各部材に一重項酸素生成剤を塗布して光を照射するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、空気調和機の筐体内面、ドレイン水の管路、空気中の粒子状やガス状の物質を除去するフィルタ、屋内と屋外とを連結するダクト、筐体内部に流れる空気経路などの各部材に一重項酸素生成剤を塗布して光を照射するようにしてもよい。
【0023】
また、熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14に一重項酸素生成剤を塗布したことを述べたが、これら部材の製造の際に用いられる材料に一重項酸素生成剤を混合するようにしてもよい。
【0024】
また、実施の形態1では、空気調和機の運転時に、一重項酸素生成剤が塗布された熱交換器11、ファン12、空気清浄部13及びドレインパン14の各部材に光を照射するようにしたが、光の照射を所定時間毎に行うようにしてもよい。この場合、例えば光源部1に制御部(図示せず)を設け、空気調和機の運転時に、所定時間毎に光が導光ファイバ2に入射されるように光源1aを点灯する。このような構成をした場合、殺菌に必要な各部材に間欠的に光を照射することになり、このため、衛生面で優れた空気調和機を提供できる上に、光源1aの消費電力を抑えることができる。
【0025】
実施の形態2.
図2は本発明の実施の形態2を示す空気清浄機における光殺菌装置の概略構成図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
実施の形態2においては、粗大粉塵除去用のプレフィルタ21と、微細粉塵除去用のメインフィルタ22と、ファン23とを構成要素とする空気清浄機に光殺菌装置を設けたものである。この空気清浄機のプレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23の各部材には、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物の一重項酸素生成剤が塗布されている。プレフィルタ21とメインフィルタ22には、それぞれ2本の光照射ファイバ3が配置されており、ファン23には、1本の光照射ファイバ3が配置されている。光源部1からの3本の導光ファイバ2は、前述したように、各部材に応じて光源1aの光量が所定比率で分割されるように光ファイバ心線の本数が選定されている。
【0026】
空気清浄機の運転中、室内の空気は、ファン23によって機体内にプレフィルタ21とメインフィルタ22とを通過して吸い込まれ、室内に戻される。また、空気中に含まれる粗大粉塵は、プレフィルタ21によって除去され、プレフィルタ21を通過した微細粉塵は、メインフィルタ22によって除去される。一方、光源部1の光源1aを点灯させると、その光は、複数の導光ファイバ2を通じてそれぞれの光照射ファイバ3に入射し、光照射ファイバ3の表面からそれぞれプレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23に照射され、これら部材に塗布された一重項酸素生成剤に吸収される。この光の吸収により一重項酸素生成剤から一重項酸素が生成され、プレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23に菌が付着されていた場合には、その一重項酸素によって殺菌される。
【0027】
以上のように実施の形態2によれば、プレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23にそれぞれ一重項酸素生成剤を塗布し、この一重項酸素生成剤に光源部1からの光を導光ファイバ2及び光照射ファイバ3を通じて照射するようにしたので、プレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23に付着した菌を容易に殺菌することが可能になり、衛生面で優れた空気清浄機を提供できる。
【0028】
なお、前記の実施の形態2では、プレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23に一重項酸素生成剤を塗布して光を照射するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、空気清浄機の筐体内面、筐体内に流れる空気経路、空気中のガス状物質を除去するフィルタなどの各部材に一重項酸素生成剤を塗布して光を照射するようにしてもよい。
【0029】
また、プレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23に一重項酸素生成剤を塗布したことを述べたが、これら部材の製造の際に用いられる材料に一重項酸素生成剤を混合するようにしてもよい。
【0030】
また、実施の形態2では、空気清浄機の運転時に、一重項酸素生成剤が塗布されたプレフィルタ21、メインフィルタ22及びファン23の各部材に光を照射するようにしたが、光の照射を所定時間毎に行うようにしてもよい。この場合、例えば光源部1に制御部(図示せず)を設け、空気清浄機の運転時に、所定時間毎に光が導光ファイバ2に入射されるように光源1aを点灯する。このような構成をした場合、殺菌に必要な各部材に間欠的に光を照射することになり、このため、衛生面で優れた空気清浄機を提供できる上に、光源1aの消費電力を抑えることができる。
【0031】
実施の形態3.
図3は本発明の実施の形態3を示す加湿器における光殺菌装置の概略構成図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
実施の形態3においては、気化エレメント31と、貯水トレイ32と、ファン33とを構成要素とする加湿器に光殺菌装置を設けたものである。この加湿器の気化エレメント31及び貯水トレイ32の各部材には、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物の一重項酸素生成剤が塗布されている。気化エレメント31の両側には、それぞれ1本の光照射ファイバ3が配置されており、貯水トレイ32には、1本の光照射ファイバ3が配置されている。光源部1からの2本の導光ファイバ2は、前述したように、各部材に応じて光源1aの光量が所定比率で分割されるように光ファイバ心線の本数が選定されている。
【0032】
加湿器の運転中、室内の空気は、ファン23によって気化エレメント31を通過して吸い込まれ、室内に戻される。水は、貯水タンク(図示せず)から貯水トレイ32に供給されており、気化エレメント31が水を吸水して濡れた状態になっているため、空気が気化エレメント31を通過すると水分が揮発し、室内が加湿される。一方、光源部1の光源1aを点灯させると、その光は、複数の導光ファイバ2を通じてそれぞれの光照射ファイバ3に入射し、光照射ファイバ3の表面からそれぞれ気化エレメント31及び貯水トレイ32に照射され、これら部材に塗布された一重項酸素生成剤に吸収される。この光の吸収により一重項酸素生成剤から一重項酸素が生成され、気化エレメント31及び貯水トレイ32に菌が付着・蓄積されていた場合には、その一重項酸素によって殺菌される。
【0033】
以上のように実施の形態3によれば、気化エレメント31及び貯水トレイ32にそれぞれ一重項酸素生成剤を塗布し、この一重項酸素生成剤に光源部1からの光を導光ファイバ2及び光照射ファイバ3を通じて照射するようにしたので、気化エレメント31及び貯水トレイ32に付着・蓄積した菌を容易に殺菌することが可能になり、衛生面で優れた加湿器を提供できる。
【0034】
なお、前記の実施の形態3では、気化エレメント31及び貯水トレイ32に一重項酸素生成剤を塗布して光を照射するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、加湿器の筐体内面、ファン33、筐体内に流れる空気経路、空気中の粒子状及びガス状物質を除去するフィルタ、貯水タンクなどの各部材に一重項酸素生成剤を塗布して光を照射するようにしてもよい。
【0035】
また、気化エレメント31及び貯水トレイ32に一重項酸素生成剤を塗布したことを述べたが、これら部材の製造の際に用いられる材料に一重項酸素生成剤を混合するようにしてもよい。
【0036】
また、実施の形態3では、加湿器の運転時に、一重項酸素生成剤が塗布された気化エレメント31及び貯水トレイ32の各部材に光を照射するようにしたが、光の照射を所定時間毎に行うようにしてもよい。この場合、例えば光源部1に制御部(図示せず)を設け、加湿器の運転時に、所定時間毎に光が導光ファイバ2に入射されるように光源1aを点灯する。このような構成をした場合、殺菌に必要な各部材に間欠的に光を照射することになり、このため、衛生面で優れた加湿器を提供できる上に、光源1aの消費電力を抑えることができる。
【0037】
前述した実施の形態1、2、3では、各部材に応じて光源1aの光量が所定比率で分割されるように導光ファイバ2の光ファイバ心線の本数を選定したことを述べたが、導光ファイバ2の光ファイバ心線の本数を均等に選定し、光源部1と導光ファイバ2との間に、各部材に応じて光の波長を分波する光分波器(図示せず)を設けてもよい。この場合、各部材に塗布する一重項酸素生成剤は、照射される波長の光を吸収し、一重項酸素を生成するのに適したものを選択する。これにより、菌の蓄積や増殖が早いと考えられる部材には、殺菌効果の高い光(波長)を照射できるので、より衛生面で優れた空気調和機、空気清浄機や加湿器を提供できる。
【0038】
また、可視光(400nm〜800nm)の吸収により一重項酸素を生成する一重項酸素生成剤を用いることによって、安価な光源1aと導光ファイバ2を利用でき、また、光源部1にランプである光源1aを交換可能に装着されているので、メンテナンスの面でも優れているという効果がある。
【0039】
実施の形態4.
図4は本発明の実施の形態4を示す光殺菌装置の光源部の説明図である。なお、同図(b)は光源側から見た光量可変部の正面図、(c)は光量可変部に設けられたシャッタの一部を拡大して示す説明図である。
光殺菌装置の光源部41は、例えば図4(a)に示すように、円筒状に形成された筐体42と、筐体42の一方の開口に着脱可能に嵌入された外観弾頭状の反射板43と、反射板43側に接近して取り付けられた光源44と、筐体42の他方の開口に着脱可能に嵌入された外観円柱状の光量可変部45とからなっている。この光量可変部45は、筐体42から露出する端部に、例えば3本の導光ファイバ2a、2b、2cが着脱可能に連結され、光源44に対向する端部に、導光ファイバ2a、2b、2cの各端部にそれぞれ連通する入射口46が設けられている。入射口46以外の部分は鏡からなってる。また、入射口後方の端部内に各入射口46の開度をそれぞれ可変するシャッタ47が設けられている。
【0040】
各シャッタ47は、複数の細長い板状鏡47a及びこれを回転させる回転軸47bと(図4(c)参照)、シャッタ毎に設けられ回転軸47bを通じて複数の板状鏡47aの角度を可変するモータ(図示せず)と、モータを制御する制御部48とからなっている。シャッタ47の角度は0度から90度の範囲内で、0度のときは、シャッタ47が閉鎖されて光源44の光を光源部41内に閉じ込め、90度のときは、シャッタ47が開放されて光源部41内の光を導光ファイバ2a、2b、2cに入射させる。
【0041】
また例えば、この3つのシャッタ47の角度をそれぞれ0度、45度、90度とした場合、各入射口46の比率は0:1:2となるので、シャッタ47の角度を90度とした入射口46には光源部41内の全光量の2/3が入射し、角度を45度とした入射口46には全光量の1/3が入射する。即ち、シャッタ47の角度(0度も含む)を調整することにより、それぞれの導光ファイバ2a、2b、2cへの入射光量を変えることができる。
【0042】
前述した制御部48は、例えばマイコンからなり、各入射口46にそれぞれ設けられたシャッタ47の角度が設定され、機器の制御手段(図示せず)を通じて運転を検知したときに、スイッチ48aをオンして光源44に電源を印加し、各シャッタ47がそれぞれ所定の角度になるように各モータを制御する。そして、運転の停止を検知したときは、スイッチ48aをオフして電源を遮断し、各シャッタ47の角度が0度になるように各モータを制御する。
【0043】
前述した光源部1を用いることにより、各部材に対して殺菌に必要な光量の光を照射することできるので、効率のよい殺菌が行えるという効果がある。
【0044】
なお、シャッタ47に、外部からの電圧印加によって反射率を変えることのできるデバイスを用いてもよい。例えば、2枚の透明導電膜電極間に、電解質層、パラジウム鏡面層、マグネシウム・ニッケル合金層を挟んだデバイスを用いた場合、光は合金層が酸化状態にあるとパラジウム鏡面層で反射され、電圧を加えて合金層を還元状態にすると透過する。また、プリズムや回折格子を用いて波長を分波し、異なる波長をそれぞれのファイバに入射できるようにしてもよい。
【0045】
このような機構を用いることによって、異なる部材に、異なる光量(強度)あるいは波長の光を照射することが可能となるため、菌の蓄積や増殖が早いと考えられる部材には、多くの光量あるいは殺菌効果の高い波長の光を照射できる。プリズムや回折格子などの光分波器を用いて波長が異なる光を照射する場合には、光が照射される部材に塗布、又は部材の材料と共に混合される一重項酸素生成剤は、前述したように照射される波長の光を吸収し、一重項酸素を生成するのに適したものを選択することが望ましい。
【0046】
実施の形態5.
図5は本発明の実施の形態5を示す空気調和機における光殺菌装置の概略構成図、図6は実施の形態5における光殺菌装置の光照射を示すシーケンスである。なお、図1及び図4で説明した実施の形態1、4と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
実施の形態5は、空気調和機の例えば熱交換器11及びドレインパン14の各部材に一重項酸素生成剤を塗布し、熱交換器11に対しては時間t1毎に、ドレインパン14に対しては時間t1より長い時間t2毎に光を照射するようにしたものである。時間t1の方が短いのは、ドレインパン7よりも熱交換器11の方が菌の付着・蓄積が早いからである。この制御は、制御部48が行っている。また、この制御部48には、熱交換器11に照射される光量がドレインパン7に照射される光量よりも多くなるようにそれぞれのシャッタ47の開放角度が設定されている。
【0047】
次に、実施の形態5の光殺菌装置の動作について図6のシーケンスを参照しながら説明する。
光殺菌装置の制御部48は、空気調和機の運転を検知すると、時間t1、t2の計測を開始する。そして、時間t1を経過したときは、スイッチ48aをオンして光源部41の光源44を点灯し、導光ファイバ2a,2bと連通する各シャッタ47を予め設定された角度に基づいて開放し、光源4の光を導光ファイバ2a,2bを通じて各光照射ファイバ3からそれぞれ熱交換器11に照射させる。この光照射時間は、図6(a)に示すように熱交換器11に付着する菌数をn1以下にする時間で、予め設定されている。光照射時間が経過した後は、再び時間t1の計測を開始すると共に、開放したシャッタ47を閉鎖し、熱交換器11への光照射を遮断する。
【0048】
その後、時間t2を経過したときは、導光ファイバ2cと連通するシャッタ47を予め設定された角度に基づいて開放し、光源4の光を導光ファイバ2cを通じて光照射ファイバ3からドレインパン7に照射させる。この光照射時間は、図6(b)に示すようにドレインパン7に付着する菌数をn2以下にする時間で、前記と同様に予め設定されている。光照射時間が経過した後は、再び時間t2の計測を開始すると共に、開放したシャッタ47を閉鎖し、ドレインパン7への光照射を遮断する。
【0049】
この後に時間t1を経過したときは、前述したように導光ファイバ2a,2bと連通する各シャッタ47を前記の角度に基づいて開放して、熱交換器11への光照射を行い、また、時間t2を経過したときは、導光ファイバ2cと連通するシャッタ47を開放して、ドレインパン7への光照射を行い、これを空気調和機の運転の間、繰り返し行う。
【0050】
以上のように、熱交換器11に対してはドレインパン7よりも光量の多い光を時間t1毎に照射し、ドレインパン7に対しては熱交換器11よりも光量の少ない光を時間t2毎に照射し、これを繰り返し行うようにしたので、短時間で、しかも効率よく菌数を抑制することが可能になり、衛生面で優れた空気調和機を提供できる。
【0051】
なお、前記の実施の形態5では、空気調和機の運転中、熱交換器11に対しては時間t1毎に光を照射し、ドレインパン7に対しては時間t2毎に光を照射するようにしたが、風量、風速、ファンの回転数、室内温度や湿度、粉塵濃度、浮遊菌数、付着菌数などを検出する各種センサの少なくとも1つ以上を用い、そのセンサからの信号の入力に基づいて前記の時間t1,t2を算出するようにしてもよい。このようにした場合、最適な光照射のタイミングを設定できるので、効率よく殺菌でき、光源1aの消費電力の無駄を削減できる。
【0052】
また、前述した各種センサの少なくとも1つ以上を用い、そのセンサからの信号が入力されたときに、熱交換器11に時間t1毎に光を照射し、ドレインパン7に時間t2毎に光を照射して、殺菌を行うようにしてもよい。これにより、空気調和機が運転を開始したときに殺菌を行う実施の形態5と比べ、各部材に付着・蓄積した菌を集中的に殺菌することができる。
【0053】
また、本実施の形態の光殺菌装置を空気調和機に用いたことを述べたが、空気清浄機や加湿器に適用してもよい。さらに、制御部に夜間運転中に過度に光照射をしないモードを備え、光による眠りを妨げることのないようにしてもよい。
【0054】
実施の形態6.
図7は本発明の実施の形態6を示す空気清浄機における光殺菌装置の説明図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
実施の形態6は、機器から離れた場所に光殺菌装置の光源部1を配置したものである。例えば図7に示すように、屋外に光源部1を設置し、この光源部1に連結された導光ファイバ2と機器である空気清浄機からの導光ファイバ2とを接続する多心用の光コネクタ71を家屋の壁に設けたものである。空気清浄機に引き入れられた導光ファイバ2は、筐体24内で2分割され、プレフィルタ21、メインフィルタ22などの空気清浄部材20に配置された光照射ファイバ3とそれぞれ連結されている。この光照射ファイバ3は、前述したように漏光型光ファイバからなっている。なお、図中の光照射ファイバ3は、断面を示している。
【0055】
このように、光源部1を屋外に設置し、光源部1に連結された導光ファイバ2と空気清浄機からの導光ファイバ2とを壁に設けられた光コネクタ71で接続するようにしたので、光源部1のメンテナンスが容易になるという効果がある。
【0056】
実施の形態7.
図8は本発明の実施の形態7を示す光殺菌システムの構成図、図9は光殺菌システムにおける光照射のシーケンスである。なお、図1及び図7で説明した実施の形態1、6と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
図中に示す光殺菌システムは、例えば、家屋の1階の各部屋に設置された空気調和機81及び空気清浄機82と、1階の天井裏に布設された換気用のダクト83と、2階の各部屋に設置された加湿器84及び空気調和機85と、2階の天井裏に布設された換気用のダクト86と、屋外に設置された光源部87と、光源部87を制御する制御部88と、光源部87と空気調和機81の間に光コネクタ71aを介在して配線された導光ファイバ2aと、光源部87と空気清浄機82の間に光コネクタ71bを介在して配線された導光ファイバ2bと、光源部87と加湿器84の間に光コネクタ71cを介在して配線された導光ファイバ2cと、光源部87とダクト83の間に光コネクタ71dを介在して配線された導光ファイバ2dと、光源部87と空気調和機85の間に光コネクタ71d,71gを介在して配線された導光ファイバ2eと、光源部87とダクト86の間に光コネクタ71fを介在して配線された導光ファイバ2fとから構築されている。
【0057】
空気調和機81,85、空気清浄機82及び加湿器84は、図示していないが、それぞれの部材に一重項酸素生成剤が塗布され、各部材に光を照射する光照射ファイバ3が配置されている。ダクト83,86は、内面に一重項酸素生成剤が塗布され、一方に光照射ファイバ3aが、他方に光照射ファイバ3bが配線されている。なお、ダクト83は換気扇83aと連結され、ダクト86は換気扇86aと連結されている。
【0058】
光源部87は、基本的には図4に示す光源部からなり、上部及び下部にそれぞれ3個のシャッタを有する光量可変部が設けられている。制御部88は、動作説明時に詳述するが、空気調和機81,85、空気清浄機82及び加湿器84、並びに換気扇83a,86aにそれぞれ対応して間欠的に光を照射する時間が設定され、機器が運転されたとき、その機器に対して設定された時間毎にシャッタを開放して、そのシャッタに連通する導光ファイバに光源の光が間欠的に入射されるようにする。なお、空気調和機81,85に対して設定された時間は共に同じであり、また、換気扇83a,86aに対して設定された時間は共に同じである。
【0059】
次に、光殺菌システムの動作について図9に示すシーケンスを参照しながら説明する。
光殺菌装置の制御部88は、空気調和機81の運転を検知すると、空気調和機81に対して設定された時間t81の計測を開始する。そして、時間t81を経過したときは、光源部87の光源に電源を印加して点灯し、その空気調和機81に配線された導光ファイバ2aと連通するシャッタを開放し、光源の光を導光ファイバ2aを通じて空気調和機81内の光照射ファイバ3から部材に照射させる。この光照射時間は、図9(a)に示すように部材に付着する菌数をn81以下にする時間で、予め設定されている。光照射時間が経過した後は、再び時間t81の計測を開始すると共に、開放したシャッタを閉鎖し、空気調和機81への光照射を遮断する。その後、時間t81が経過すると、前述した動作を繰り返して空気調和機81内の部材に光を照射し、これを空気調和機81の運転の間、繰り返し行う。
【0060】
また、制御部88は、空気清浄機82の運転を検知すると、空気清浄機82に対して設定された時間t82の計測を開始する。そして、時間t82を経過したときは、空気清浄機82に配線された導光ファイバ2bと連通するシャッタを開放し、光源の光を導光ファイバ2bを通じて空気清浄機82内の光照射ファイバ3から部材に照射させる。この光照射時間は、図9(b)に示すように部材に付着する菌数をn82以下にする時間で、前記と同様に予め設定されている。光照射時間が経過した後は、再び時間t82の計測を開始すると共に、開放したシャッタを閉鎖し、空気清浄機82への光照射を遮断する。その後、時間t82が経過すると、前述した動作を繰り返して空気清浄機82内の部材に光を照射し、これを空気清浄機82の運転の間、繰り返し行う。
【0061】
また、制御部88は、加湿器84の運転を検知すると、加湿器84に対して設定された時間t831の計測を開始する。そして、時間t831を経過したときは、加湿器84に配線された導光ファイバ2cと連通するシャッタを開放し、光源の光を導光ファイバ2cを通じて加湿器84内の光照射ファイバ3から部材に照射させる。この光照射時間は、図9(c)に示すように部材に付着する菌数をn831以下にする時間で、前記と同様に予め設定されている。光照射時間が経過した後は、再び時間t831の計測を開始すると共に、開放したシャッタを閉鎖し、加湿器84への光照射を遮断する。その後、時間t831が経過すると、前述した動作を繰り返して加湿器84内の部材に光を照射し、これを加湿器84の運転の間、繰り返し行う。加湿器84においては、運転停止中にも内部の湿度が高く、菌が徐々に増加する可能性があるので、運転停止中は、時間t832毎にシャッタを開放して、導光ファイバ2cに光源の光を入射させ、加湿器84内の菌数をn831以下になるようにする。
【0062】
図9に図示していないが、例えば換気扇83aの運転を検知したときは、換気扇83aに対して設定された時間の計測を開始し、そして、その時間を経過したときは、換気扇83aに配線された導光ファイバ2dと連通するシャッタを開放し、光源の光を導光ファイバ2dを通じてダクト83内の光照射ファイバ3aから放射させる。その後、再び時間の計測を開始すると共に、開放したシャッタを閉鎖し、換気扇83aへの光照射を遮断する。この光照射を予め設定された時間毎に繰り返し行い、換気扇83aの運転が停止されたときに終了する。
【0063】
以上のように実施の形態7によれば、家屋に設置された機器が運転を開始たとき、機器に対して設定された間欠的に光を照射する時間毎に光が機器内部に照射されるようにしたので、それぞれの機器に付着・蓄積される菌数を抑制することが可能になり、このため、衛生面で優れた住環境を提供できる。また、家屋の壁に光コネクタ71を設け、光源部87から導光ファイバ2a〜2fと各機器からの導光ファイバ2a〜2fとを家屋の壁にそれぞれ設けられた光コネクタ71に接続するようにしているので、光源部1のメンテナンスが容易になるという効果がある。
【0064】
前記の実施の形態7では、機器の運転を検知したとき、その機器に対して設定された時間毎に光を照射するようにしたが、風量、風速、ファンの回転数、室内温度や湿度、粉塵濃度、浮遊菌数、付着菌数などを検出する各種センサの少なくとも1つ以上を用い、そのセンサからの信号が入力されたときに、その機器に対して設定された時間毎に光を照射するようにしてもよい。各部材に付着・蓄積した菌を集中的に殺菌することができる。
【0065】
また、機器に応じて最適な光量が照射されるようにシャッタの角度を予め設定しておいてもよい。この場合、制御部88は、家屋に設置された各機器に対応してシャッタの開放角度(光量)が設定され、機器の運転を検知したとき、その機器からシャッタの開放角度を判別し、かつ判別した開放角度になるようにシャッタを制御して、該当する機器にその開放角度に基づく光量の光が導入されるようにする。このように構成した場合、殺菌に必要な光量の光を各機器に導入させることができ、効率のよい殺菌が行えるという効果がある。
【0066】
また、可視光(400nm〜800nm)の吸収により一重項酸素を生成する一重項酸素生成剤を用いることによって、安価な光源1aと導光ファイバ2a〜2fを利用でき、また、光源部1にランプである光源1aを交換可能に装着されているので、メンテナンスの面でも優れているという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の活用例として、空気調和機や空気清浄機、加湿機などを想定して説明したが、菌が付着する表面を有し、衛生面を向上させる必要のあるものであれば、機器に限定されるものではない。また、家屋を想定した光殺菌システムについて述べたが、建築物だけでなく、自動車や飛行機、船舶などに本システムを用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1を示す空気調和機における光殺菌装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2を示す空気清浄機における光殺菌装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態3を示す加湿器における光殺菌装置の概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態4を示す光殺菌装置の光源部の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態5を示す空気調和機における光殺菌装置の概略構成図である。
【図6】実施の形態5における光殺菌装置の光照射を示すシーケンスである。
【図7】本発明の実施の形態6を示す空気清浄機における光殺菌装置の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態7を示す光殺菌システムの構成図である。
【図9】光殺菌システムにおける光照射のシーケンスである。
【符号の説明】
【0069】
1 光源部、1a 光源、1b 反射板、1c 筐体、2 導光ファイバ、3 光照射ファイバ、11 熱交換器、12 ファン、13 空気清浄部、14 ドレインパン、
21 プレフィルタ、22 メインフィルタ、23 ファン、31 気化エレメント、
32 貯水トレイ、41 光源部、42 筐体、43 反射板、44 光源、45 光量可変部、46 入射口、47 シャッタ、48 制御部、48a スイッチ、71 光コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
該光源部からの光が入射される導光路と、
機器の部材に用いられ、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物と、
前記部材に配置され、前記導光路を介して入射される前記光源部からの光を前記部材に照射する光照射部と
を備えたことを特徴とする光殺菌装置。
【請求項2】
前記導光路は、前記部材に応じて光量が所定比率で分割されるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の光殺菌装置。
【請求項3】
前記光源部及び導光路の間に、前記部材に応じて光の波長を分波する光分波器を備えたことを特徴とする請求項1記載の光殺菌装置。
【請求項4】
所定時間毎に光が前記導光路に入射されるように前記光源部を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光殺菌装置。
【請求項5】
前記光源部に設けられた光量可変部と、
所定時間毎に所定光量の光が前記導光路に入射されるように前記光量可変部を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の光殺菌装置。
【請求項6】
前記部材の状態を検知するセンサを備え、
前記制御部は、前記センサからの信号が入力されたときに前記制御を開始することを特徴とする請求項4又は5記載の光殺菌装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記センサのからの信号の入力に基づいて前記所定時間を算出することを特徴とする請求項6記載の光殺菌装置。
【請求項8】
前記機器は空気調和機からなり、前記化合物が用いられた部材は、空気調和機の筐体、熱交換器、フィルタ、ファン、ドレインパン、ドレイン水の排水管、筐体から屋外に配設されたダクト、筐体内に流れる空気経路の少なくとも1つ以上からなっていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の光殺菌装置。
【請求項9】
前記機器は空気清浄機からなり、前記化合物が用いられた部材は、空気清浄機の筐体、フィルタ、ファン、筐体内に流れる空気経路の少なくとも1つ以上からなっていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の光殺菌装置。
【請求項10】
前記機器は加湿器からなり、前記化合物が用いられた部材は、加湿器の筐体、フィルタ、ファン、気化エレメント、貯水タンク、筐体内に流れる空気経路の少なくとも1つ以上からなっていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の光殺菌装置。
【請求項11】
前記化合物に一重項酸素を生成する物質が含まれていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の光殺菌装置。
【請求項12】
前記光源部は、波長が400nmから800nmの可視光領域の光を発する光源を備えていることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の光殺菌装置。
【請求項13】
前記光源は、前記光源部に着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項12記載の光殺菌装置。
【請求項14】
前記光源部及び光照射部の間の導光路に光コネクタを介在させたことを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の光殺菌装置。
【請求項15】
所定領域の各所に配置された複数の機器と、
所定領域外に配置された光源部と、
前記光源部からの光を前記複数の機器にそれぞれ導く導光路と、
前記複数の機器の部材にそれぞれ用いられ、光を吸収することによって殺菌性が発現する化合物と、
前記複数の機器の部材にそれぞれ配置され、前記導光路を介して入射される前記光源部からの光をそれぞれの部材に照射する光照射部と
を備えたことを特徴とする光殺菌システム。
【請求項16】
前記光源部に設けられた光量可変部と、
予め複数の機器に対応して間欠的に光を照射する時間が設定され、機器の運転を検知したとき、その機器から前記時間を判別し、かつ判別した時間毎に光が当該機器に導入されるように前記光量可変部を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする請求項15記載の光殺菌システム。
【請求項17】
前記制御部は、予め複数の機器に対応して光量が設定され、機器の運転を検知したとき、その機器から前記光量を判別し、かつ判別した光量の光が当該機器に導入されるように前記光量可変部を制御することを特徴とする請求項16記載の光殺菌システム。
【請求項18】
前記複数の機器に設けられ、それぞれの部材の状態を検知するセンサを備え、
前記制御部は、前記センサからの信号が入力されたときに前記制御を開始することを特徴とする請求項16又は17記載の光殺菌システム。
【請求項19】
前記所定領域からその領域外に跨る境目の前記導光路に光コネクタを介在させたことを特徴とする請求項15乃至18の何れかに記載の光殺菌システム。
【請求項20】
前記化合物に一重項酸素を生成する物質が含まれていることを特徴とする請求項15乃至19の何れかに記載の光殺菌システム。
【請求項21】
前記光源部は、波長が400nmから800nmの可視光領域の光を発する光源を備えていることを特徴とする請求項15乃至20の何れかに記載の光殺菌システム。
【請求項22】
前記光源は、前記光源部に着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項21記載の光殺菌システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−7232(P2007−7232A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193334(P2005−193334)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】