説明

光源異常判定装置と画像処理装置と画像読取装置

【課題】 光源の抵抗化故障を判定できるようにする。
【解決手段】 電源立ち上げ時、画像読み取り開始毎、又は画像読み取り終了毎に、光源異常判定チェックタイミングとして、LEDドライバ2により、各光源列m(mは2以上の正の整数)の駆動電流を連続的に変更している間に、第1電圧比較部3−1〜第n電圧比較部3−n(n:正の整数、n=(m×(m−1))/2)によって各光源列について2つの光源列同士の端子電圧値を検出し、各光源列間の電圧値の差を検出し、その電圧値の差が予め記憶している一定値以上になった場合、あるいは、その電圧値の差の変化が予め記憶している一定値以上変化した場合、電圧値の差を比較した各光源列について異常があると判定し、外部へ第1異常通知信号〜第n異常通知信号として通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被写体に光を照射する光源の異常を判定する光源異常判定装置と画像処理装置と画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿(被写体)に光を照射することによって原稿の画像を読み取ってデジタル画像データとして取り込む画像読取装置がある。
このような画像読取装置では、例えば、被写体からの反射光あるいは散乱光を複数の受光素子によって光電変換することでアナログ情報信号を得て、各受光素子に対応する画素毎にサンプリングとA/D変換をすることにより、被写体上の画像をデジタル画像データとして処理することが可能になるCCDリニアイメージセンサ(「リニアCCD」ともいう)を用いている。
上記CCDリニアイメージセンサによって得られる原稿の画像の線情報は、キャリッジの走査あるいは自動給紙手段によって原稿を搬送することで画像の面情報としてデジタル画像データを得ることが可能になる。
【0003】
上記原稿に光を照射する光源としては、半導体レーザ光源(Laser Diode:LD)、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)のような光源を複数個配列し、その各光源によって擬似的に線光源を形成する手段がある。
上記光源は、例えば、LEDを用いた場合、直列に複数個を配置し、それを複数列並列にして配置することが部品点数およびコスト的に有利であるため、よく用いられるが、各々が半導体部品であるため、各LEDに個別に故障が生じる可能性がある。
光源における主な故障モードとしては、オープン(絶縁体となる故障モードおよび物理的に開放)、ショート(完全な導体となる故障モードおよび物理的に短絡)が想定されており、それぞれの故障検出方法も考案されている。
【0004】
LEDのような点光源については、従来いくつかの故障検出方法が提案されている。
例えば、光源の駆動電流を一定の時間変化割合で増加させたときに、受光素子の出力電流をモニタし、駆動電流が増加中にモニタした出力電流に基づいて出力電流の時間変化割合を求め、その時間変化割合が初期値よりも小さいときに光源の故障と判定する光源故障検出方法(例えば、特許文献1参照)があった。
また、電源投入時に検出した基準白データレベルと第1の値とを比較して光源の異常の有無を判断し、光源が正常と判断された基準白データを保持し、原稿読み取り時に検出した白データレベルと上記基準白データレベルとの差分値と第2の値とを比較して光源の異常の有無を検出する光源故障検出方法(例えば、特許文献2参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、いままでは、光源は故障するとオープン(開放)あるいはショート(短絡)状態となると考えられていたが、光源には電流は流れるが正常な状態ではない“中途半端な”故障モードが存在することが確認されている。
このような故障モードを、抵抗化故障と呼んでいる。
上記抵抗化故障は、一般的な抵抗のように、電流が流れると電圧降下特性を持ち、かつ光源の本来の発光特性を持たない(消灯あるいは暗い)状態になる故障である。ただし、この抵抗化故障では、光源に電流は流れる。
しかしながら、従来の技術では、光源における抵抗化故障を検出することはできないという問題があった。
【0006】
上述した受光素子の出力電流をモニタすることによって光源の故障を検出する光源故障検出方法では、電流のみをモニタするため、駆動側(例:LDドライバ)が定電流源であると、光源が正常でも異常でも(オープン以外)一定の電流が流れるように動作するので、光源の異常は検知できない。また、タイマカウンタ及びメモリが必須で必要であるため、装置のスペースを取るし、コストが上昇するという欠点もあった。
また、上述した電源投入時に検出した基準白データレベルに基づいて光源の異常の有無を検出する光源故障検出方法では、光源の固体毎の光量バラツキやマージンを考慮した設計(誤検知回避)を考慮すると、精度のいい検出は困難であるし、読み取りデータで判定するため、検出に時間を要するという問題があった。
【0007】
さらに、その他の公知技術として、LEDと定電流源間の電圧値をモニタし、そのモニタした電圧値が特定の範囲を超えた場合に光源の異常と判定するものもあるが、抵抗化故障ではある程度の電圧降下を生じるため、光源の異常を正しく検出することができない可能性が高い。
このように、LEDを含む光源についての抵抗化故障については有効な故障検出方法は未だ提案されていない。
なお、上記抵抗化故障の発生例は少なく、また電圧降下レベルも光源によって様々である。例えば、LEDについて確認した範囲では、電圧降下レベルは通常のLED特性とは明らかに異なることが確認された。ただし、LEDに流れる電流に対する線形性は未確認である。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光源の抵抗化故障を判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記の目的を達成するため、被写体に光を照射する複数の光源からなる光源列を複数有し、上記各光源列の駆動電流をアナログ値に変更する電流変更手段と、上記各光源列の駆動電流を定常的に一定とする定電流駆動手段と、上記各光源列と上記定電流駆動手段の間の電圧値を検出する電圧レベル検出手段と、上記電圧レベル検出手段によって検出された複数の光源列間の電圧値の差を検出する電位差検出手段と、上記電流変更手段によって上記各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、上記電位差検出手段によって検出された電位値の差に基づいて各光源列について異常を判定する異常判定手段を備えた光源異常判定装置を提供する。
【0009】
また、上記異常判定手段を、上記電流変更手段によって上記各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、上記電位差検出手段によって検出される電位値の差が一定値以上になった各光源列を異常と判定する手段にするとよい。
あるいは、上記異常判定手段を、上記電流変更手段によって上記各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、上記電位差検出手段によって検出される電位値の差の変化が一定値以上変化した各光源列を異常と判定する手段にするとよい。
また、上記異常判定手段によって判定された光源列の異常を外部へ通知する通知手段を設けるとよい。
【0010】
さらに、上記電圧レベル検出手段によって検出された電圧値を記憶する記憶手段を設けるとよい。
また、上記通知手段は、光源列の異常の通知としてローレベルのデジタル信号を外部へ出力するとよい。
さらに、上記記憶手段を不揮発性メモリにするとよい。
また、上記のような光源異常判定装置を備えた画像処理装置と画像読取装置も提供する。
さらに、上記のような画像読取装置において、上記光源異常判定装置が、画像読み取り開始毎に光源列の異常の判定を実行するようにするとよい。
また、上記のような画像読取装置において、上記光源異常判定装置が、画像読み取り終了毎に光源列の異常の判定を実行するようにするとよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明による光源異常判定装置と画像処理装置と画像読取装置は、光源の抵抗化故障を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この実施例の複写機の第1実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図3に示す読取ユニット20のデータ処理に係る構成例を示すブロック図である。
【図3】この発明の一実施例である複写機100の機構部を示す概略構成図である。
【0013】
【図4】この実施例の複写機の第2実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】この実施例の複写機の第3実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
【図6】この実施例の複写機の第4実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この実施例の複写機の第5実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔実施例〕
図3は、この発明の一実施例である複写機100の機構部を示す概略構成図である。
この複写機100は、コピー機能にプリンタ機能が一体となって構成されたものであり、読取ユニット(スキャナ)及びプリンタを構成する複写機100の本体の上部に、自動原稿給送装置(以下「ADF」という)10を搭載している。また、手前側上面に図示を省略した操作部を備えている。
ADF10は、複写機100の本体の上面に設けられた読取ユニット20のコンタクトガラス21に対して開閉するように、複写機100の本体に図示を省略したヒンジ等を介して連結されている。
【0015】
ADF10の原稿トレイ(原稿載置台)11に画像面を上にして複数枚の原稿の束(原稿束)が置かれ、例えば、操作部上のプリントキーが押下されると、図示を省略したコントローラは、ADF10の図示を省略した給紙モータを正転駆動させて給送ローラ12を、同図正面に対して時計方向に回転させる。また、図示を省略した搬送ベルトモータを回転させて給送ベルト13を同図正面に対して反時計方向(図中矢示B方向)に回転させる。
これにより、原稿束から最上位に位置する原稿が給紙されてコンタクトガラス21に向かって搬送される。
この原稿の先端が原稿セット検知センサ16によって検知されると、コントローラは原稿セット検知センサ16からの出力信号に基づいて給紙モータを逆転駆動させる。
これにより、後続する原稿が進入するのを防止して分離されないようにしている。
【0016】
また、コントローラは、原稿セット検知センサ16が原稿の後端を検知したとき、この検知時点からの搬送ベルトモータの回転パルス数を計数し、その回転パルス数が所定値に達したときに、給送ベルトモータの駆動を停止して給送ベルト13を停止することにより、原稿をコンタクトガラス21の読取位置に停止させる。
原稿がコンタクトガラス21上の読取位置に搬送して停止すると、読取ユニット20によって原稿の画像を読み取り、その後、その原稿を給送ベルト13と排送ローラ14によって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出する。
【0017】
また、コントローラは、原稿セット検知センサ16が原稿トレイ11上に次の原稿があることを検知した場合は、原稿セット検知センサ16によって前の原稿の後端が検知された時点で、給紙モータを再び駆動し、後続する原稿を上述したように分離してコンタクトガラス21に向かって搬送し、この原稿が原稿セット検知センサ16によって検知された時点からの給紙モータの回転パルス数が所定パルス数に到達したときに、給紙モータを停止させて次原稿を先出し待機させる。
そして、原稿がコンタクトガラス21の読取位置に停止したとき、読取ユニット20によって原稿の画像を読み取り、その後、その原稿を給送ベルト13と排送ローラ14によって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出する。
【0018】
次に、読取ユニット20によって原稿の画像を読み取り、その読み取った原稿の画像データに対応する静電潜像を感光体ドラム41の表面に形成するまでの動作について説明する。
なお、静電潜像とは、画像データを光情報に変換して、感光体ドラム41の表面(帯電器によって帯電された面)にレーザビームにより書き込むことにより生じる電位分布のことである。
読取ユニット20は、原稿を載置するコンタクトガラス21と読み取り光学系等による各種の歪みを補正するための白基準板29と光学走査系とによって構成されており、その光学走査系は、原稿露光用の光源(露光ランプ)1,レンズ24,CCDリニアイメージセンサ(以下「CCD」と略称する)25,第1ミラー26,第2ミラー27,及び第3ミラー28等で構成されている。
【0019】
光源1と第1ミラー26は、第1キャリッジ22上に固定されていて、第2ミラー27及び第3ミラー28は、第2キャリッジ23上に固定されている。
原稿の画像を読み取るときには、光路長が変わらないように、その第1キャリッジ22と第2キャリッジ23とが2対1の相対速度で図中矢示C方向の副走査方向へ機械的に走査される。光学走査系は、図示を省略したスキャナ駆動モータ等の駆動部によって駆動される。
また、シートスルーによる原稿読み取りでは、第1キャリッジ22及び第2キャリッジ23がシートスルー読み取り用スリットSの下へ移動後、ADF10に設置された原稿をローラ15によって図中矢示B方向へガイドすることで、シートスルー読み取り用スリットSの位置において読み取っていく。
この読取ユニット20は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データ(画像信号ともいう)に変換する。
【0020】
すなわち、光学走査系の光源1によって原稿の画像面を照明し、その画像面からの反射光像を第1ミラー26,第2ミラー27,第3ミラー28,レンズ24を介してCCD25の受光面に結像させ、そのCCD25によって、画像データに変換する。
このとき、レンズ24及びCCD25を図中の正面に対して左右方向に移動させることにより、コピーされる画像の倍率が変わるようになっている。つまり、レンズ24及びCCD25は、左右方向の位置が指定された倍率に対応して設定されるようになっている。
次に、書込ユニット30は、レーザ出力ユニット31,結像レンズ32,ミラー33等で構成されている。
レーザ出力ユニット31の内部には、レーザ光源であるレーザダイオード及びモータにより高速で定速回転する図示を省略したポリゴンミラー(回転多面鏡)が備わっている。
【0021】
そのレーザ出力ユニット31からレーザビームが照射されると、定速回転するポリゴンミラーで偏向され、結像レンズ32を通ってミラー33で折り返され、感光体ドラム41の帯電面に集光されて結像される。
この偏向されたレーザビームは、感光体ドラム41が回転する方向と直交する方向(主走査方向)に露光走査され、図示を省略した画像処理部のセレクタにより出力された画像データをライン単位で書き込み記録して主走査が行われる。
この主走査を感光体ドラム41の回転速度と走査密度(記録密度)に対応する所定の周期で繰り返すことにより、感光体ドラム41の帯電面に静電潜像が形成される。
【0022】
なお、図示を省略するが、感光体ドラム41の一端近傍のレーザビームが照射される位置にビームセンサが配置されていて、ここから主走査同期信号が発生するようになっている。この主走査同期信号に基づいて、主走査方向の画像記録タイミングの制御と、画像信号の入出力を行うための制御信号を生成する。
感光体ドラム41の静電潜像が現像ユニット40を通過することにより、感光体ドラム41上にトナー画像が形成される。
【0023】
一方、画像を形成するための転写紙(用紙)は、第1給紙トレイ51,第2給紙トレイ52又は第3給紙トレイ53に積載されていて、それぞれ、第1給紙装置54,第2給紙装置55,第3給紙装置56によって給紙され、縦搬送ユニット50によって感光体ドラム41に当接する位置まで搬送される。
なお、実際には各給紙トレイ51〜53のうちのいずれか1つが選択され、そこから転写紙が給紙される。
そして、給紙された転写紙を搬送ベルト(転写ベルト)42により感光体ドラム41の回転と等速で搬送しながらその一方の第1面に感光体ドラム41上のトナー画像を転写し、さらに、そのトナー画像を定着ユニット43により定着して、機外の排紙トレイ57に排出する。
【0024】
また、転写紙の両面にトナー画像を形成する場合には、第1面にトナー画像が形成された転写紙を排紙トレイ57側に搬送せず、図示を省略した分岐爪によって経路を切り替え、一旦両面搬送パス45に搬送する。その後、その転写紙を再び給紙して、感光体ドラム41に形成されたトナー画像を他方の第2面に転写し、その後、定着ユニット43によりそのトナー画像を定着した後、排紙トレイ57に排出する。
なお、排紙ユニット44は、ステープルモードを行わない場合は、排紙トレイ57に転写紙を排紙する。
このようにして、この複写機100は、転写紙の両面に画像を形成する場合には両面搬送パス45を動作させるようになっている。
【0025】
図2は、図3に示した読取ユニット20のデータ処理に係る構成例を示すブロック図である。
読取ユニット20では、CCD25で光電変換されたアナログ画像データをアナログ処理回路部60へ出力する。
アナログ処理回路部60では、アナログ画像データに対してサンプルホールド処理,黒レベル補正などの各種画像処理を施したのち、A/D変換回路部61へ出力する。
A/D変換回路部61では、入力されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換し、さらにLVDSインタフェース(図中「LVDS」と略して記載)62を介して後段(画像処理部等)へ出力する。
【0026】
この読取ユニット20内のCCD25,アナログ処理回路部60,A/D変換回路部61,図示を省略したステッピングモータ及び光源の各種タイミングクロックは、タイミングクロック生成部63において生成して供給される。
なお、このタイミングクロック生成部63、あるいは複写機内のコントローラが、光源1の駆動信号も生成している。さらに、発振器64も備えている。
光源に異常が発生したと判断された場合には、読み取り画像が異常となり、複写機へ悪影響を及ぼす可能性があるため、動作を切り替える(ON/OFFおよび低光量化など)ことが必須である。
そして、この実施例の複写機100では、後述する光源異常判定装置を備えることで、光源1の異常をより精度良く判定すると共に、動作切り替えが可能となる。
【0027】
次に、この実施例の複写機100の光源異常判定装置について説明する。
図1は、この実施例の複写機100の第1実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
第1実施例の光源異常判定装置では、LEDドライバ2が、原稿(被写体)に光を照射する光源1の複数のLEDからなる複数の光源列m(m:2以上の正の整数)の駆動電流をアナログ値に変更(電流変更手段の機能を果たす)し、各光源列の駆動電流を定常的に一定とする(定電流駆動手段の機能を果たす)ことにより、光源1を発光させる。
【0028】
そして、電源立ち上げ時、画像読み取り開始毎(例えば、スキャン開始直後毎)、又は画像読み取り終了毎(例えば、スキャン終了直後毎)に、光源異常判定チェックタイミングとして、LEDドライバ2により、各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、第1電圧比較部3−1〜第n電圧比較部3−n(n:正の整数、n=(m×(m−1))/2)によって各光源列について2つの光源列同士の端子電圧値(LEDドライバ2と光源列との間の電圧値)を検出(電圧レベル検出手段の機能を果たす)し、各光源列間の電圧値の差を検出(電位差検出手段の機能を果たす)し、その電圧値の差が予め記憶している一定値以上になった場合、あるいは、その電圧値の差の変化が予め記憶している一定値以上変化した場合、電圧値の差を比較した各光源列について異常があると判定し(異常判定手段の機能を果たす)、外部(例えば、複写機100のコントローラ)へ第1異常通知信号〜第n異常通知信号として通知する(通知手段の機能を果たす)。
【0029】
上記端子電圧値の測定は、一般的なコンパレータで比較したり、あるいはダイオードやコンデンサを使用したピークホールド回路での差電圧ピーク検出で測定可能である。
上記第1電圧比較部3−1〜第n電圧比較部3−nでは、各入力端を各LED端子に接続する。
上記一定値は、予め実験により求めた正常な光源列間の電圧値の差である。
光源1は正常であれば電流の変化に対して電圧値が線形的に変化する。
抵抗化故障が生じた光源の電流対電圧特性は、正常な光源とは大きく異なる。よって、抵抗化故障が生じているLEDを含む光源列と正常な光源列との電圧差(LEDカソード側の電位差)は、電流を変化させる毎に変化していく。そこで、正常な光源列間の電圧値の差を超えた場合に故障として判定することが可能となる。
【0030】
このようにして、抵抗化故障状態となったLEDが正常なLEDと電気的な特性が異なる点を利用し、LEDに流す電流を変化させながら列同士の端子電圧を比較し、その差が正常でないレベルに達したこと、あるいは正常でない変化を検出した場合に異常と判定することにより、光源の電流−電圧特性をチェックし、光源の抵抗化故障を精度よく検出することが可能になる。
なお、この光源異常判定装置では正常時/異常時の電位差を検出する手法であるため、既存のオープン/ショート異常を検知することも可能である。このように、ショートおよびオープン異常検知も検出可能であるため、従来の異常検知手段との置き換えが可能であり、単純な機能追加に比べコストおよびスペースの観点でメリットがある。
そこで、この実施例では、LEDの電気的特性が、LEDが正常のときと抵抗化故障のときとで異なる点を利用し、擬似的に特性チェックを行える機構を備える。
【0031】
図4は、この実施例の複写機100の第2実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
第2実施例の光源異常判定装置では、上述した第1実施例の光源異常判定装置にOR演算回路4を設け、OR演算回路4が、第1電圧比較部3−1〜第n電圧比較部3−nからの第1異常通知信号〜第n異常通知信号に基づいて外部へ異常通信号を出力することにより、外部への伝送ラインを1本にまとめたものである。
OR演算回路4は、第1電圧比較部3−1〜第n電圧比較部3−nから異常通知信号を入力しなければ正常であることを通知するローレベル信号の異常通知信号を出力し、第1異常通知信号〜第n異常通知信号を入力すると、光源1のいずれかの光源列に異常があると判定したことを示すハイレベル信号の異常通知信号を出力する。
このようにすれば、外部とのインタフェースとして1本の伝送路で済むため、装置製造上の低コスト化と省スペース化と構成容易化のメリットがある。
【0032】
図5は、この実施例の複写機100の第3実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
第3実施例の光源異常判定装置では、LEDドライバ2により、各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、第1電圧加算/平均処理部5−1〜第n電圧加算/平均処理部5−n(n:正の整数、n=(m×(m−1))/2)によって各光源列について2つの光源列同士の端子電圧値(LEDドライバ2と光源列との間の電圧値)を加算した加算値を求め、あるいは、各端子電圧値の平均値を求め、その求めた各加算値(あるいは各平均値)を電圧比較部6において比較し、予め実験により求めた正常な光源列間の電圧値の加算値の差以上、あるいは、正常な光源列間の電圧値の平均値の差以上を検出した場合、光源1に異常があると判定して外部に異常通知信号を出力する。
このようにして、上述の電圧比較部や異常通知信号を1つにまとめることができ、電圧比較部を複数構成するよりもコスト面とスペース面でメリットがある。
【0033】
図6は、この実施例の複写機100の第4実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
第4実施例の光源異常判定装置では、電圧加算/平均処理部7により、光源1が正常状態にあると考えられる組立て工程や検査工程において、その時の光源1の各光源列の電圧値について加算した加算値、あるいは各電圧値の平均値の電圧値を求めて電圧記憶部9に記憶しておく。
【0034】
そして、複写機100がユーザによって使用されたとき、LEDドライバ2により、各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、電圧加算/平均処理部7が、各光源列について2つの光源列同士の端子電圧値(LEDドライバ2と光源列との間の電圧値)を加算した加算値を求め、あるいは、各端子電圧値の平均値を求め、電圧比較部8が、その求めた各加算値(あるいは各平均値)と電圧記憶部9の電圧値と比較し、光源列間の電圧値の加算値と電圧記憶部9の加算値との差が一定値以上、あるいは、光源列間の電圧値の平均値と電圧記憶部9の平均値との差が一定値以上を検出した場合、光源1に異常があると判定して外部に異常通知信号を出力する。
したがって、異常を検知した場合に、CPUなどのシステム制御部に通知可能とすることで、異常時の容易な動作切り替えが可能となる。
【0035】
また、検出した正常、異常な電圧値の一方あるいは両方を保持または記憶しておくことで、次回以降はメモリデータとの比較のみで正常/異常の判定ができ、処理の高速化及び精度向上が可能となる。
さらに、電圧記憶部9を不揮発性メモリにすれば、汎用性を高めることが可能となる。
このようにして、異常検知システムとしての構成を省スペース化することが可能であり、かつ正常時の状態を記憶することで複数列が同時に異常を発生した場合にも検知することが可能であることから、確率的に低い同時故障にも対応可能となり、高精度化が期待できる。
【0036】
図7は、この実施例の複写機100の第5実施例の光源異常判定装置の構成を示すブロック図である。
第5実施例の光源異常判定装置では、上述した第4実施例の光源異常判定装置に、電圧比較部8が、光源1に異常があると判定した時は異常通知信号としてロー(Low)レベル信号を出力し、そのローレベル信号をLEDドライバ2に対するLED駆動信号としてフィードバックさせるように構成したものであり、LEDドライバ2のLED駆動の動作切り替えの高速化を図っている。
このように、異常通知信号の異常時信号レベルをローレベル信号にすることにより、LEDドライバ2の駆動を瞬時にオフ(OFF)することができ、異常状態が長時間続くことによる光源1および光源1の周辺回路へのダメージを軽減することができる。
【0037】
すなわち、このローレベル信号を用いることにより、CPUを介することなくLEDドライバ2へのディセーブル信号として使用可能となる。
この実施例の複写機によれば、抵抗化故障状態となった光源が正常な光源と電気的な特性が異なる点を利用し、光源に流す電流を変化させながら光源列同士の端子電圧を比較し、その差が正常でないレベルに達したこと、あるいは正常でない変化を検出した場合に異常と判定することにより、光源の抵抗化故障を精度よく判定することができ、かつ今までのショート/オープンの異常検出も可能であり、光源の異常を精度よく、迅速にかつ効率的に判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明による光源異常判定装置と画像処理装置と画像読取装置は、プリンタ,ファクシミリ装置,複写機,複合機を含む光源を備えた装置において適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:光源 2:LEDドライバ 3−1〜3−n:第1電圧比較部〜第n電圧比較部 4:OR演算回路 5−1〜5−n:第1電圧加算/平均処理部〜第n電圧加算/平均処理部 6,8:電圧比較部 7:電圧加算/平均処理部 9:電圧記憶部 10:ADF 11:原稿トレイ 12:給送ローラ 13:給送ベルト 14:排送ローラ 15:ローラ 16:原稿セット検知センサ 20:読取ユニット 21:コンタクトガラス 22:第1キャリッジ 23:第2キャリッジ 24:レンズ 25:CCDリニアイメージセンサ 26:第1ミラー 27:第2ミラー 28:第3ミラー 29:白基準板 30:書込ユニット 31:レーザ出力ユニット 32:結像レンズ 33:ミラー 40:現像ユニット 41:感光体ドラム 42:搬送ベルト(転写ベルト) 43:定着ユニット 44:排紙ユニット 45:両面搬送パス 50:縦搬送ユニット 51:第1給紙トレイ 52:第2給紙トレイ 53:第3給紙トレイ 54:第1給紙装置 55:第2給紙装置 56:第3給紙装置 57:排紙トレイ 60:アナログ処理回路部 61:A/D変換回路部 62:LVDSインタフェース 63:タイミングクロック生成部 64:発振器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2001−36188号公報
【特許文献2】特開2008−236128号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に光を照射する複数の光源からなる光源列を複数有し、
前記各光源列の駆動電流をアナログ値に変更する電流変更手段と、
前記各光源列の駆動電流を定常的に一定とする定電流駆動手段と、
前記各光源列と前記定電流駆動手段の間の電圧値を検出する電圧レベル検出手段と、
前記電圧レベル検出手段によって検出された複数の光源列間の電圧値の差を検出する電位差検出手段と、
前記電流変更手段によって前記各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、前記電位差検出手段によって検出された電位値の差に基づいて各光源列について異常を判定する異常判定手段とを備えたことを特徴とする光源異常判定装置。
【請求項2】
前記異常判定手段は、前記電流変更手段によって前記各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、前記電位差検出手段によって検出される電位値の差が一定値以上になった各光源列を異常と判定する手段であることを特徴とする請求項1記載の光源異常判定装置。
【請求項3】
前記異常判定手段は、前記電流変更手段によって前記各光源列の駆動電流を連続的に変更している間に、前記電位差検出手段によって検出される電位値の差の変化が一定値以上変化した各光源列を異常と判定する手段であることを特徴とする請求項1記載の光源異常判定装置。
【請求項4】
前記異常判定手段によって判定された光源列の異常を外部へ通知する通知手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源異常判定装置。
【請求項5】
前記電圧レベル検出手段によって検出された電圧値を記憶する記憶手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光源異常判定装置。
【請求項6】
前記通知手段は、光源列の異常の通知としてローレベルのデジタル信号を外部へ出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光源異常判定装置。
【請求項7】
前記記憶手段は不揮発性メモリであることを特徴とする請求項5記載の光源異常判定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された光源異常判定装置を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された光源異常判定装置を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
前記光源異常判定装置は、画像読み取り開始毎に光源列の異常の判定を実行することを特徴とする請求項9記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記光源異常判定装置は、画像読み取り終了毎に光源列の異常の判定を実行することを特徴とする請求項9記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−101316(P2011−101316A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256401(P2009−256401)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】