説明

光源装置、光源装置の製造方法、およびプロジェクタ

【課題】明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できる光源装置の製造方法を提供する。
【解決手段】製造方法は、リフレクタを所定位置に設置するリフレクタ設置工程S1と、リフレクタにおける凹状内側に光源ランプを設置する光源ランプ設置工程S2と、一対の電極における各突起部を撮像する突起部撮像工程S3と、突起部撮像工程にて撮像した画像に基づいて、光源ランプまたはリフレクタの位置を調整して、光源装置から射出される光束の中心軸に対して発光管の中心軸を傾斜した際に光源ランプから射出されリフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が光源ランプにて遮光されない角度範囲内において、一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線と光源装置から射出される光束の中心軸とのなす角度を最小にする第1の位置調整工程S4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、光源装置の製造方法、およびプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し光学像を拡大投射するプロジェクタが利用されている。
このようなプロジェクタの光源装置としては、高圧放電ランプ(光源ランプ)と、光源ランプから射出された光束を反射する反射ミラー(リフレクタ)とを備えた構成が多用される(例えば、特許文献1参照)。
そして、このような光源ランプは、発光管内部において、先端部同士が互いに所定間隔、離間するように一対の電極が配置された構成を有し、一対の電極間に電圧を印加することで一対の電極間にアーク放電が生じ発光する。
また、特許文献1に記載の光源装置では、アーク起点を固定し放電状態を安定させる、すなわち、アークジャンプを防止することを目的として、電極先端部の中心付近に突起部を形成している。
以上のような光源装置を製造する際には、一般的に、発光管の断面の略中心位置を通り発光管の延出方向に沿う発光管の中心軸と、リフレクタの中心軸(楕円面リフレクタでは回転楕円面の回転軸、パラボラリフレクタでは回転放物面の回転軸)とを一致させた状態で、リフレクタおよび光源ランプを一体化している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−312997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一対の電極の各突起部は、発光管に対して一対の電極を設置する際の製造誤差や、突起部を形成する際の製造誤差等により、発光管の中心軸上からずれた位置に位置付けられる場合がある。
このような場合において、上述したように発光管の中心軸とリフレクタの中心軸とを一致させた状態でリフレクタおよび光源ランプを一体化すると、以下の問題がある。
すなわち、アーク起点となる各突起部が発光管やリフレクタの中心軸(光源装置から射出される光束の中心軸)上からずれた位置に位置付けられることとなり、各突起部間で前記中心軸に沿うことなく傾斜した状態でアークが生じてしまう。そして、このような状態では、光源装置から射出される光の明るさが低減するとともに、照度ムラの原因となる。
【0005】
本発明の目的は、明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できる光源装置、光源装置の製造方法、およびプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光源装置は、放電空間を有する発光管、および前記発光管の放電空間に配置される一対の電極を有する光源ランプと、断面略凹状に拡がり前記光源ランプから放射された光束を反射するリフレクタとを備えた光源装置であって、前記発光管は、内部に前記放電空間を有する発光部と、前記発光部の両側に設けられる封止部とを有し、前記一対の電極は、電極部と、前記電極部先端に形成され前記電極部の断面積よりも小さい断面積を有し他方の電極に向けて突出する突起部とをそれぞれ備え、前記光源ランプは、当該光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光されない角度範囲内において、前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線と当該光源装置から射出される光束の中心軸とのなす角度θが最小となるように前記リフレクタに取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、リフレクタとしては、パラボラリフレクタおよび楕円面リフレクタのいずれを採用してもよい。
また、利用光反射領域とは、発光管の外形寸法、およびリフレクタの焦点距離等により設定される設計上の領域である。より具体的に、利用光反射領域は、発光部から放射された光束を照明対象に対して照射可能な利用光として反射する領域であり、すなわち、発光部から放射された光束をリフレクタにて反射した場合でも、発光管により遮光されずに照明対象に対して照射可能な利用光として反射する領域である。
【0008】
本発明では、光源ランプは、光源装置から射出される光束の中心軸に対して発光管の中心軸を傾斜した際に利用光が光源ランプにて遮光されない角度範囲内において、角度θが最小となるようにリフレクタに取り付けられている。このことにより、例えば、発光管に対して一対の電極を設置する際の製造誤差や、突起部を形成する際の製造誤差等により、一対の電極の各突起部が発光管の中心軸上からずれた位置に位置付けられている場合であっても、前記角度範囲内において、発光管の中心軸を光源装置から射出される光束の中心軸に対して傾斜させて、アーク起点となる各突起部先端を結ぶ直線を光源装置から射出される光束の中心軸に略平行にすることができる。このため、各突起部間において、アークは、光源装置から射出される光束の中心軸に略沿う方向に生じることとなる。また、光源ランプは、前記角度範囲内において、発光管の中心軸を光源装置から射出される光束の中心軸に対して傾斜させて、角度θが最小となるようにリフレクタに対して位置付けられているので、利用光が光源ランプにて遮光されることがない。したがって、上述した場合において、従来のように光源ランプおよびリフレクタが一体化される構成と比較して、光源装置から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できる。
【0009】
本発明の光源装置では、当該光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとした場合に、α≧βの関係を有し、前記光源ランプは、θ=0°の関係を有するように前記リフレクタに取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、傾斜臨界角度をα、発光管の中心軸および一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとした場合に、α≧βの関係を有している時には、発光管の中心軸を光源装置から射出される光束の中心軸に対して角度βだけ傾斜させることができ、θ=0°の関係を有するように光源ランプをリフレクタに取り付けることができる。このように光源ランプおよびリフレクタを一体化することで、利用光が光源ランプにて遮光されることがない状態で、アーク起点となる各突起部先端を結ぶ直線を光源装置から射出される光束の中心軸に平行にすることができ、上述した光源装置から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できるという効果を好適に図れる。
【0010】
本発明の光源装置では、当該光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとした場合に、α<βの関係を有し、前記光源ランプは、θ=β−αの関係を有するように前記リフレクタに取り付けられていることが好ましい。
本発明では、傾斜臨界角度をα、発光管の中心軸および一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとした場合に、α<βの関係を有している時には、傾斜臨界角度αにより光源装置から射出される光束の中心軸に対する発光管の中心軸の傾斜角度が制限され、最大で傾斜臨界角度αだけ傾斜させることができる。すなわち、θ=β−αの関係を有するように光源ランプをリフレクタに取り付けることができる。このように光源ランプおよびリフレクタを一体化することで、上述した製造誤差により、一対の電極の各突起部が発光管の中心軸上からかなりずれた位置に位置付けられている場合であっても、利用光が光源ランプにて遮光されない傾斜臨界角度αまで発光管の中心軸を光源装置から射出される光束の中心軸に対して傾斜させ、角度θを最小の角度(β−α)とすることができ、上述した光源装置から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できるという効果を好適に図れる。
【0011】
本発明の光源装置の製造方法は、放電空間を有する発光管、および前記発光管の放電空間に配置される一対の電極を有する光源ランプと、断面略凹状に拡がり前記光源ランプから放射された光束を反射するリフレクタとを備えた光源装置の製造方法であって、前記発光管は、内部に前記放電空間を有する発光部と、前記発光部の両側に設けられる封止部とを有し、前記一対の電極は、電極部と、前記電極部先端に形成され前記電極部の断面積よりも小さい断面積を有し他方の電極に向けて突出する突起部とをそれぞれ備え、当該光源装置の製造方法は、前記リフレクタを所定位置に設置するリフレクタ設置工程と、前記リフレクタにおける凹状内側に前記光源ランプを設置する光源ランプ設置工程と、前記一対の電極における各突起部を撮像する突起部撮像工程と、前記突起部撮像工程にて撮像した画像に基づいて、前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置を調整して、前記光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光されない角度範囲内において、前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線と前記光源装置から射出される光束の中心軸とのなす角度θを最小にする第1の位置調整工程とを備えていることを特徴とする。
本発明の光源装置の製造方法は、リフレクタ設置工程と、光源ランプ設置工程と、突起部撮像工程と、第1の位置調整工程とを備えているので、上述した光源装置を良好に製造でき、上述した光源装置と略同様の作用・効果を享受できる。
【0012】
本発明の光源装置の製造方法では、前記第1の位置調整工程は、前記光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとし、α≧βの関係を有している場合には、θ=0°の関係を有するように前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置を調整することが好ましい。
本発明では、第1の位置調整工程は、傾斜臨界角度をα、発光管の中心軸および一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとし、α≧βの関係を有している場合には、θ=0°の関係を有するように光源ランプまたはリフレクタの位置を調整する。このことにより、光源ランプおよびリフレクタの相対位置を最適位置に位置付けることができ、上述した光源装置と略同様の作用・効果を享受できる。
【0013】
本発明の光源装置の製造方法では、前記第1の位置調整工程は、前記光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとし、α<βの関係を有している場合には、θ=β−αの関係を有するように前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置を調整することが好ましい。
本発明では、第1の位置調整工程は、傾斜臨界角度をα、発光管の中心軸および一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとし、α<βの関係を有している場合には、θ=β−αの関係を有するように光源ランプまたはリフレクタの位置を調整する。このことにより、上述した製造誤差により、一対の電極の各突起部が発光管の中心軸上からかなりずれた位置に位置付けられている場合であっても、光源ランプおよびリフレクタの相対位置を最適位置に位置付けることができ、上述した光源装置と略同様の作用・効果を享受できる。
【0014】
本発明の光源装置の製造方法では、前記第1の位置調整工程の後、前記光源ランプを点灯させる点灯工程と、前記光源ランプから射出され前記リフレクタにて反射される光束を検出して前記光束の強度を測定する光強度測定工程と、前記光強度測定工程にて前記光束の強度を測定しながら、前記光源装置から射出される光束の中心軸をZ軸、前記Z軸に直交する2軸をX軸およびY軸とした場合に、前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置をX軸、Y軸、Z軸の少なくともいずれかの軸方向に調整して前記光束の強度を最大にする第2の位置調整工程とを備えていることが好ましい。
本発明では、光源装置の製造方法は、第1の位置調整工程の後に実施される工程として、点灯工程、光強度測定工程、および第2の位置調整工程を備える。このことにより、第1の位置調整工程によりアーク起点となる各突起部先端を結ぶ直線を光源装置から射出される光束の中心軸に略平行にした状態から、各突起部先端を光源装置から射出される光束の中心軸に近付けることができる。このため、各突起部間において、アークは、光源装置から射出される光束の中心軸上に生じることとなる。したがって、上述した光源装置から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できるという効果をより好適に図れる。
【0015】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、前記光源装置は、上述した光源装置、もしくは、上述した光源装置の製造方法により製造された光源装置であることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光源装置、もしくは、上述した光源装置の製造方法により製造された光源装置を備えているので、上述した光源装置、もしくは、上述した光源装置の製造方法と同様の作用・効果を享受できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの構成〕
図1は、本実施形態におけるプロジェクタ1の概略構成を示す平面図である。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、該画像光をスクリーン等の投射面上に拡大投射する光学機器である。このプロジェクタ1は、図1に示すように、略直方体状の外装筺体2と、この外装筺体2内部に収納配置される光学ユニット3とで大略構成される。
なお、具体的な図示は省略するが、外装筺体2内部には、光学ユニット3の他、プロジェクタ1の構成部材に外部からの電力を供給する電源ユニット、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ユニット、プロジェクタ1全体を制御する制御装置等が配置されるものとする。
【0017】
外装筺体2は、射出成型等による合成樹脂製品であり、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケース、およびプロジェクタ1の底面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するロアーケース等で構成される。そして、各ケースは、互いにねじ等で固定されている。
なお、外装筺体2は、合成樹脂製に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
【0018】
光学ユニット3は、外装筺体2内部に配置され、画像光を形成して拡大投射する。この光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置10、均一照明光学系20、色分離光学系30、リレー光学系35、光学装置40、および投射光学装置としての投射光学系50を備えて構成され、これらの光学系20〜35を構成する光学素子および光学装置40は、所定の照明光軸Aが設定された光学部品用筐体3A内に位置決め調整されて収納されている。
【0019】
光源装置10は、光源ランプ11から放射された光束を一定方向に揃えて射出し、光学装置40を照明するものである。この光源装置10は、詳しくは後述するが、図1に示すように、光源ランプ11、リフレクタとしての主反射鏡12、副反射鏡13、および平行化凹レンズ14を備えて構成されている。この光源装置10は、光学部品用筐体3Aに接続するランプハウジング10Bに収納配置される。光源装置10は、ランプハウジング10Bに収納配置されることで、光学部品用筐体3Aに対する所定位置(光源装置10から射出される光束の中心軸と光学部品用筐体3A内に設定された照明光軸Aとが一致する位置)に位置決めされる。
そして、光源ランプ11から放射された光束は、主反射鏡12により光源装置10の前方側に射出方向を揃えて集束光として射出され、平行化凹レンズ14によって平行化され、均一照明光学系20に射出される。
なお、図1では主反射鏡12が楕円面リフレクタとして構成されている場合を示しており、主反射鏡12がパラボラリフレクタとして構成されている場合には平行化凹レンズ14を省略する。
【0020】
均一照明光学系20は、光源装置10から射出された光束を複数の部分光束に分割し、照明領域の面内照度を均一化する光学系である。この均一照明光学系20は、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、偏光変換素子23、および重畳レンズ24を備えている。
第1レンズアレイ21は、光源装置10から射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸Aと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えて構成される。
第2レンズアレイ22は、上述した第1レンズアレイ21により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ21と同様に照明光軸Aに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えた構成を有している。
【0021】
偏光変換素子23は、第1レンズアレイ21により分割された各部分光束の偏光方向を略一方向の直線偏光に揃える偏光変換素子である。
この偏光変換素子23は、図示を略したが、照明光軸Aに対して傾斜配置される偏光分離膜および反射膜を交互に配列した構成を具備する。偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束およびS偏光光束のうち、一方の偏光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、反射膜によって曲折され、一方の偏光光束の射出方向、すなわち照明光軸Aに沿った方向に射出される。射出された偏光光束のいずれかは、偏光変換素子23の光束射出面に設けられる位相差板によって偏光変換され、略全ての偏光光束の偏光方向が揃えられる。このような偏光変換素子23を用いることにより、光源ランプ11から射出される光束を、略一方向の偏光光束に揃えることができるため、光学装置40で利用する光源光の利用率を向上することができる。
【0022】
重畳レンズ24は、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、および偏光変換素子23を経た複数の部分光束を集光して光学装置40の後述する3つの液晶パネルの画像形成領域上に重畳させる光学素子である。
【0023】
色分離光学系30は、2枚のダイクロイックミラー31,32と、反射ミラー33とを備え、ダイクロイックミラー31,32により均一照明光学系20から射出された複数の部分光束を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を具備する。
ダイクロイックミラー31,32は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。そして、光路前段に配置されるダイクロイックミラー31は、青色光を反射し、その他の色光を透過するミラーである。また、光路後段に配置されるダイクロイックミラー32は、緑色光を反射し、赤色光を透過するミラーである。
【0024】
リレー光学系35は、入射側レンズ36と、リレーレンズ38と、反射ミラー37,39とを備え、色分離光学系30を構成するダイクロイックミラー31,32を透過した赤色光を光学装置40まで導く機能を有している。なお、赤色光の光路にこのようなリレー光学系35が設けられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。本実施形態においては赤色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、青色光の光路の長さを長くしてリレー光学系35を青色光の光路に用いる構成も考えられる。
【0025】
上述したダイクロイックミラー31により分離された青色光は、反射ミラー33により曲折された後、フィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。また、ダイクロイックミラー32により分離された緑色光は、そのままフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。さらに、赤色光は、リレー光学系35を構成するレンズ36,38および反射ミラー37,39により集光、曲折されてフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。なお、光学装置40の各色光の光路前段に設けられるフィールドレンズ41は、第2レンズアレイ22から射出された各部分光束を、各部分光束の主光線に対して平行な光束に変換するために設けられている。
【0026】
光学装置40は、入射した光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものである。この光学装置40は、照明対象となる光変調装置としての液晶パネル42R,42G,42B(赤色光側の液晶パネルを42R、緑色光側の液晶パネルを42G、青色光側の液晶パネルを42Bとする)と、クロスダイクロイックプリズム43とを備えて構成される。なお、フィールドレンズ41および各液晶パネル42R,42G,42Bの間には、入射側偏光板44が介在配置され、各液晶パネル42R,42G,42Bおよびクロスダイクロイックプリズム43の間には、射出側偏光板45が介在配置され、入射側偏光板44、液晶パネル42R,42G,42B、および射出側偏光板45によって入射する各色光の光変調が行なわれる。
【0027】
液晶パネル42R,42G,42Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として、与えられた画像信号にしたがって、入射側偏光板44から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム43は、射出側偏光板45から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム43は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の誘電体多層膜は、青色光を反射するものであり、これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
そして、クロスダイクロイックプリズム43から射出されたカラー画像は、投射光学系50によって拡大投射され、図示を略したスクリーン上で大画面画像を形成する。
【0028】
〔光源装置の構成〕
光源装置10は、上述したように、光源ランプ11と、主反射鏡12と、副反射鏡13と、平行化凹レンズ14とを備える。そして、これら各部材のうち、光源ランプ11、主反射鏡12、および副反射鏡13が一体化されて光源装置本体10A(図2参照)を構成する。また、光源装置本体10Aおよび平行化凹レンズ14は、ランプハウジング10Bにより一体化されて光学部品用筐体3Aに対する所定位置に配置される。
【0029】
図2は、光源装置本体10Aの概略構成を示す断面図である。
光源ランプ11は、図2に示すように、石英ガラス管から構成される発光管111と、この発光管111内に配置される一対の電極112および図示しない封入物とを備える。
ここで、光源ランプ11としては、高輝度発光する種々の光源ランプを採用でき、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を採用できる。
【0030】
発光管111は、図2に示すように、中央部分に位置し略球状に膨出する発光部1111と、この発光部1111の両側に延びる一対の封止部1112,1113とで構成される。
発光部1111には、略球状の放電空間が形成され、この放電空間内に、一対の電極112と、水銀、希ガス、および少量のハロゲンが封入される。
一対の封止部1112,1113の内部には、図2に示すように、一対の電極112と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔112Aが挿入され、ガラス材料等で封止されている。各金属箔112Aには、さらに電極引出線としてのリード線113が接続され、このリード線113は、光源ランプ11の外部まで延出している。
【0031】
図3は、一対の電極112の概略構成の一例を示す図である。
一対の電極112は、図3に示すように、電極軸1121と、コイル1122とを備える。
電極軸1121は、タングステン等の棒状部材で構成され、図3に示すように、一端側が金属箔112Aと電気的に接続する。
この電極軸1121において、他端側には、図3に示すように、該電極軸1121の断面積よりも大きい断面積を有し先端に向けて略半球形状を有する電極部1121Aが形成されている。また、電極部1121Aの先端には、図3に示すように、一対の電極112を発光管111に設置した状態で他方の電極112に向けて突出する突起部1121Bが形成されている。
コイル1122は、点灯始動性を良好にし、定常点灯時における電極部1121Aおよび突起部1121Bを含む電極軸1121の過熱を防止するために電極軸1121に付着されたものであり、図3に示すように、電極部1121Aの後方側において電極軸1121に巻回されている。
以上説明した一対の電極112は、発光管111に設置する際の製造誤差や、各突起部1121Bの形成位置の製造誤差等により、例えば、図3に示すように、各突起部1121Bが発光管111の中心軸Ax上からずれた位置に位置付けられる場合がある。
【0032】
そして、リード線113に電圧を印加すると、図3に示すように、金属箔112Aを介して一対の電極112における各突起部1121B間に電位差が生じて放電が生じ、各突起部1121Bをアーク起点としてアーク像Dが生成して発光部1111内部が発光する。なお、以下では、発光中心を各突起部1121B間に生成されるアーク像Dの中心位置Oとして説明する。また、アーク像Dの中心位置Oは、各突起部1121B先端間の略中央に位置する。
【0033】
主反射鏡12は、図2に示すように、光源ランプ11の基端側の一方の封止部1112が挿通される筒状の首状部121、およびこの首状部121から拡がる凹曲面状の反射部122を備えた透光性を有するガラス製の一体成形品である。
首状部121には、図2に示すように、略円筒状となるように中央に挿入孔123が成形加工により形成されており、この挿入孔123の中心に封止部1112が配置される。
反射部122は、回転曲線形状のガラス面に金属薄膜を蒸着形成して構成された反射面122Aを備える。そして、この反射面122Aは、可視光を反射して赤外線および紫外線を透過するコールドミラーとなっている。
【0034】
このような主反射鏡12の反射部122内部に配置される光源ランプ11は、後述する製造装置により、アーク像Dの中心位置Oが反射部122の反射面122Aの回転曲線形状の第1焦点位置F1の近傍となりかつ、光源装置10から射出される光束の中心軸(照明光軸A)に対して発光管111の中心軸Axを傾斜した際に光源ランプ11から射出され主反射鏡12の利用光反射領域Ar(図7参照)にて反射される利用光R3(図7参照)が光源ランプ11にて遮光されない角度範囲内(後述する傾斜臨界角度αの範囲内)において、一対の電極112の各突起部1121B先端を結ぶ直線と光源装置10から射出される光束の中心軸とのなす角度θ(図10、図11参照)が最小となるように配置される。
そして、光源ランプ11を点灯すると、図2に示すように、発光部1111から放射された光束のうち主反射鏡12に向った光束R1は、主反射鏡12の反射部122の反射面122Aで反射して、回転曲線形状の第2焦点位置F2に集束する集束光となる。
また、反射部122における光射出前方側端部は、図2に示すように、主反射鏡12の中心軸(図2では照明光軸Aに一致)に略直交して外側に延出し、平面視矩形枠形状を有する。そして、反射部122における光射出前方側端部は、ランプハウジング10Bに対する所定位置に位置決めする位置決め面として機能する。
【0035】
副反射鏡13は、図2に示すように、光源ランプ11の発光管111を構成する他方の封止部1113が挿通される略筒状の首状部131、およびこの首状部131から拡がる略球面状の反射部132を備え、これら首状部131および反射部132が一体的に形成されたものである。
首状部131は、光源ランプ11に対して副反射鏡13を固着する部分であり、筒状の挿通孔131Aに光源ランプ11の封止部1113を挿通することで、図2に示すように、光源ランプ11に対して副反射鏡13が設置される。そして、この挿通孔131Aの内周面は、封止部1113との固定用接着剤が充填される接着面とされる。このように、副反射鏡13に首状部131を設けることで、首状部131を設けない構成と比較して、光源ランプ11に対する副反射鏡13の固着領域を大きくとることができ、光源ランプ11に対する副反射鏡13の固着状態を良好に維持できる。
【0036】
反射部132は、図2に示すように、光源ランプ11に対して副反射鏡13を設置した状態で、光源ランプ11の発光部1111の前側略半分を覆う反射部材であり、椀形状に構成されている。
この反射部132は、その内面が光源ランプ11の発光部1111の球面に倣う球面状に形成された反射面132Aとなる。なお、この反射面132Aは、主反射鏡12の反射面122Aと同様に、可視光を反射して赤外線および紫外線を透過するコールドミラーとなっている。
上述した副反射鏡13は、低熱膨張材および/または高熱伝導材である、例えば石英、アルミナセラミックス等の無機系材料から構成される。
【0037】
そして、上述した副反射鏡13を発光管111に装着することにより、図2に示すように、発光部1111から放射された光束のうち主反射鏡12とは反対側(前方側)に放射される光束R2は、光源ランプ11から主反射鏡12の反射面122Aに直接入射した光束R1と同様に、第2焦点位置F2に集束する。
【0038】
以上のように、副反射鏡13を設けることで、光源ランプ11から主反射鏡12とは反対側に放射される光束を副反射鏡13にて主反射鏡12の反射面122Aに入射するよう後方側に反射させることができる。このため、主反射鏡12の光軸方向寸法および開口径を例えば副反射鏡13を設けない場合と比較して小さくすることができる。すなわち、光源装置10やプロジェクタ1を小型化でき、光源装置10をプロジェクタ1に組み込むレイアウトも容易になる。
【0039】
〔光源装置本体の製造装置の構成〕
図4は、光源装置本体10Aを製造するための製造装置60の概略構成を示す図である。なお、図4では、光源装置本体10Aを構成する部材のうち、副反射鏡13を省略している。
製造装置60は、図4に示すように、保持枠61、光束検出部62、位置調整機構63、2つの突起位置認識部64(図4では1つのみ図示)、および情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、PCと記載する)65を備える。
保持枠61は、主反射鏡12を保持する部分であり、主反射鏡12の光射出前方側開口部分に応じた開口部を有する枠状部材として構成され、枠状端部で主反射鏡12の光射出前方側開口部分を係合保持する。
【0040】
光束検出部62は、位置調整機構63に保持された光源ランプ11を点灯させた際、主反射鏡12から射出される光束を検出する部分であり、上述したプロジェクタ1を構成する光学素子14,21〜24,41,43,50と同様の光学素子と枠部材421とが照明光軸Aに沿って直線状に配置されている。なお、光学素子14,21〜24,41,43,50の配置は、プロジェクタ1の緑色光の光路の長さに合わせてある。枠部材421は、上述したプロジェクタ1の各液晶パネル42R,42G,42Bの画像形成領域と同形状の開口部を有し、フィールドレンズ41の光束射出側に配置される。
また、最後段に配置される投射光学系50の光路後段には、積分球621が設けられており、これらの光学素子14,21〜24,41を経て枠部材421の開口部を通過し光学素子43,50を経た光束は、この積分球621で光強度(照度)測定される。
【0041】
位置調整機構63は、光源ランプ11を保持し、保持枠61に装着された主反射鏡12に対して光源ランプ11を三次元的に位置調整する部分であり、主反射鏡12から射出される光束の中心軸の光束射出方向をZ軸とした時に、Z軸方向と、このZ軸に直交するX軸およびY軸方向と、XY平面内に対する光源ランプ11の倒れを調整できるようになっている。この位置調整機構63は、基台631、Y軸方向調整部632、X軸方向調整部633、Z軸方向調整部634、Y軸回り調整部635、X軸回り調整部636、および光源ランプホルダ640を備えて構成される。
【0042】
基台631には、Y軸方向に延びる軸部材631Aが設けられており、この軸部材631Aには、Y軸方向調整部632が軸部材631Aの延出方向に沿って摺動自在に支持されている。
Y軸方向調整部632は、図示を略したが、軸部材631Aに形成されるラックと噛合するピニオンを有し、マイクロメータヘッド632Aを回転させると、軸部材631Aに沿ってY軸方向調整部632はY軸方向に昇降する。
【0043】
また、このY軸方向調整部632の上面はテーブル632Bとされ、このテーブル632B上には、X軸方向に延びるレール632Cが設けられている。
このレール632Cには、X軸方向調整部633が摺動自在に取り付けられており、このX軸方向調整部633は、テーブル633Aおよびマイクロメータヘッド633Bを備えている。そして、マイクロメータヘッド633Bを回転させると、テーブル633AがX軸方向に沿って移動する。
【0044】
テーブル633A上には、図示を略したが、Z軸方向に延びるレールが設けられていて、このレールには、Z軸方向調整部634が摺動自在に支持されている。
このZ軸方向調整部634は、Z軸方向に延びる腕部634Aおよびマイクロメータヘッド634Bを備え、マイクロメータヘッド634Bを回転させると、腕部634AがZ軸方向に移動する。
腕部634Aの先端面は、図示を略したが、Y軸回りに円弧状に形成された凸曲面とされており、この凸曲面上には、Y軸回り調整部635が設けられている。
【0045】
Y軸回り調整部635は本体635Aおよびマイクロメータヘッド635Bを備え、マイクロメータヘッド635Bを回転すると、本体635Aが凸曲面に沿ってY軸回りに回転する。
そして、本体635Aの先端面はX軸回りに円弧状に形成された凸曲面とされ、この凸曲面上には、X軸回り調整部636が設けられている。
X軸回り調整部636は、本体636Aおよびマイクロメータヘッド636Bを備え、マイクロメータヘッド636Bを回転すると、本体636AがX軸回りに回転する。
この本体636Aの先端には、腕部636Cを介して光源ランプホルダ640が設けられている。
【0046】
図5は、光源ランプホルダ640の概略構成を示す図である。
光源ランプホルダ640は、図5に示すように、光源ランプ11を保持する部分であり、基部641、一対の把持部642(図5では1つのみ図示)を備えている。
基部641は、X軸回り調整部636の腕部636Cに取付けられる本体部641Aを備え、この本体部641Aの上面にはX軸方向に延びる溝状のレール641Bが形成されている。本体部641Aの下面には、エアー供給用の継ぎ手641Dが設けられている。
レール641Bには、図5中X軸方向にスライド自在に支持されるスライド駒641Cが2つ設けられ、各スライド駒641C(図5では1つのみ図示)は、図5中X軸方向に互いに接近、離間するようにスライドする。
一対の把持部642は、一対のスライド駒641C上にそれぞれ立設される柱状部材であり、本体部641Aのスライド駒641Cを互いに接近させることでX軸方向に移動して、Y軸方向先端部分にて光源ランプ11の封止部1113の外面部分を挟持する。
【0047】
2つの突起位置認識部64は、CCD(Charge Coupled Device)を撮像素子としたエリアセンサを備えたCCDカメラで構成され、PC65による制御の下、位置調整機構63にて保持された光源ランプ11における発光部1111(各突起部1121B)を撮像し、撮像した画像に応じた信号をPC65に出力する。これら突起位置認識部64は、互いに直交する方向から発光部1111を撮像可能とするように、製造装置60の所定位置に位置決めされて固定されている。すなわち、一方の突起位置認識部64は、図4に示すように、YZ平面に沿う方向から発光部1111を撮像可能とするように製造装置60の所定位置に位置決めされて固定されている。また、他方の突起位置認識部64は、図示を略したが、XZ平面に沿う方向から発光部1111を撮像可能とするように製造装置60の所定位置に位置決めされて固定されている。
【0048】
図6は、PC65にて処理され2つのモニタ651に表示される各画像の一例を示す図である。なお、図6では、上述したような製造誤差により各突起部1121Bが発光管111の中心軸Axからずれた位置に位置付けられている状態を示している。
PC65は、所定のプログラムを実行することで、2つの突起位置認識部64にて撮像された各画像を取り込み、取り込んだ各画像に所定の画像処理を施して、画像処理後の各画像を2つのモニタ651にそれぞれ表示する処理を実施する。具体的に、2つのモニタ651に表示される各画像としては、図6(A),(B)に示す各画像が例示できる。すなわち、製造装置60を操作する作業者は、2つのモニタ651に表示される例えば図6(A),(B)に示す各画像を確認することで、互いに直交する方向に配置された2つの突起位置認識部64にて撮像された発光部1111内部に位置する一対の電極112の各突起部1121B先端の各位置を認識できる。
【0049】
また、PC65は、内部の記憶部に記憶された情報に基づいて、図6の例に示すように、光束検出部62の照明光軸Aに平行する直線L1を、2つの突起位置認識部64にて撮像された各画像に重畳させる処理を実施する。
さらに、PC65は、内部の記憶部に記憶された情報に基づいて傾斜臨界角度αを演算処理により算出し、図6の例に示すように、傾斜臨界角度αを示す直線L2を、2つの突起位置認識部64にて撮像された各画像に重畳させる処理を実施する。
【0050】
図7は、傾斜臨界角度αを説明するための図である。
傾斜臨界角度αは、図7に示すように、アーク像Dの中心位置O(各突起部1121B間の中心位置)が主反射鏡12の第1焦点位置F1の近傍に配置された状態で、中心位置Oを中心として、光源装置10から射出される光束の中心軸(照明光軸A)に対して発光管111の中心軸Axを傾斜した際に、光源ランプ11から射出され主反射鏡12の利用光反射領域Arにて反射される利用光R3が光源ランプ11や副反射鏡13(図7では図示略)にて遮光される発光管111の傾斜角度範囲と、遮光されない発光管111の傾斜角度範囲との臨界の照明光軸Aに対する発光管111の中心軸Axの角度である。
なお、利用光反射領域Arとは、副反射鏡13や発光管111の外形寸法、および主反射鏡12の第1焦点距離、第2焦点距離等により設定される設計上の領域である。より具体的に、利用光反射領域Arは、発光部1111から放射された光束を照明対象(液晶パネル42R,42G,42B)に対して照射可能な利用光として反射する設計上の領域である。すなわち、主反射鏡12の反射領域において、発光部1111から放射された光束を主反射鏡12にて反射した場合でも、発光管111や副反射鏡13により遮光されたり照明対象に対して照射可能に利用されなかったりする光を反射する非利用光反射領域以外の部分が、上述した利用光反射領域Arである。また、図7では、説明の便宜上、副反射鏡13の図示を省略し、傾斜臨界角度αとして、発光管111の外形寸法、すなわち封止部1113の外形寸法により規定される角度としているが、副反射鏡13の外形寸法により規定される場合もある。
【0051】
PC65による傾斜臨界角度αの演算処理としては、例えば、以下の処理方法を採用できる。
すなわち、PC65は、例えば、副反射鏡13や発光管111の外形寸法、主反射鏡12の第1焦点距離、第2焦点距離、利用光反射領域Ar、発光管111の中心軸(発光管111の断面略中心を通る直線)等の設計情報から傾斜臨界角度αを演算処理により算出し内部の記憶部に記憶しておく。
また、PC65は、例えば、作業者による図示しない操作部の操作により、作業者が各画像を確認しながら画像毎に各突起部1121B先端部分の各位置を指定することで、画像毎に各突起部1121B先端部分を認識し、画像毎に各突起部1121B先端間の中心位置を演算処理により算出する。次に、PC65は、上述したように画像毎に各突起部1121B先端部分を認識した後、各突起部1121B先端を結ぶ直線L3と、内部の記憶部に記憶された情報に基づく発光管111の中心軸Ax(図6中では直線L1に一致)とのなす突起部傾き角度βを画像毎に演算処理する。
【0052】
さらにまた、PC65は、傾斜臨界角度αと突起部傾き角度βとを比較し「α<β」であった場合、作業者により図示しない操作部が操作され、「α<βである」旨の設定入力がされ、以下の処理を実施する。
PC65は、上述したように算出した傾斜臨界角度αおよび前記突起部傾き角度βをそれぞれ画像毎に比較し、β−αを示す直線L4(図11参照)を、2つの突起位置認識部64にて撮像された各画像に重畳させる処理を実施する。
つまり、「α<β」であった場合、突起部1121B先端を結ぶ直線L3が照明光軸Aと一致するように発光管111を傾けると、照明光軸Aに対する発光管111の中心軸Axの角度は傾斜臨界角度α以上となり、利用光反射領域Arで反射された光を発光管111が遮光してしまい、かえって照明対象を照明する光を減少させる結果となる。したがって、「α<β」であった場合、突起部1121B先端を結ぶ直線L3が「β−α」を示す直線L4と一致するように発光管111を傾けると、照明光軸Aに対する発光管111の中心軸Axの角度は傾斜臨界角度αとなり、利用光反射領域Arで反射された光を発光管111が遮光することなく、照明対象を照明する光を減少させない範囲で、突起部1121B先端を結ぶ直線L3が照明光軸Aに対して最小の角度となる。
なお、傾斜臨界角度αと突起部傾き角度βとを比較し「α≧βである」旨の結果であった場合は、突起部1121B先端を結ぶ直線L3が照明光軸Aと一致するように発光管111を傾けたとしても、照明光軸Aに対する発光管111の中心軸Axの角度は傾斜臨界角度α以下となり、利用光反射領域Arで反射された光を発光管111が遮光することがない。
【0053】
〔光源装置の製造方法〕
次に、上述した製造装置60を用いた光源装置本体10Aの製造方法を説明する。
図8は、上述した製造装置60を用いた光源装置本体10Aの製造方法を説明するフローチャートである。なお、以下では、光源装置本体10Aにおいて、光源ランプ11および主反射鏡12を一体化する方法を主に説明し、光源ランプ11への副反射鏡13の取り付け方法については説明を省略する。
先ず、作業者は、製造装置60を構成する保持枠61に主反射鏡12を保持させる(処理S1:リフレクタ設置工程)。この状態では、主反射鏡12は、外形基準により保持枠61に対して位置決めされ、主反射鏡12の中心軸(回転楕円面の回転軸)が光束検出部62の照明光軸Aに一致した状態に設置される。
【0054】
処理S1の後、作業者は、製造装置60を構成する位置調整機構63の光源ランプホルダ640に光源ランプ11を保持させる(処理S2:光源ランプ設置工程)。この状態では、光源ランプ11は、外形基準により光源ランプホルダ640に対して位置決めされ、発光管111の中心軸Axが光束検出部62の照明光軸Aに一致した状態に設置される。
処理S2の後、作業者は、2つの突起位置認識部64およびPC65の電源をONし、PC65の図示しない操作部を操作することで、PC65に2つの突起位置認識部64を駆動制御させ、処理S2において設置した光源ランプ11の発光部1111を2つの突起位置認識部64に互いに直交する方向から撮像させる(処理S3:突起部撮像工程)。そして、2つの突起位置認識部64にて撮像された画像は、PC65に取り込まれ、所定の画像処理が実施された後、2つのモニタ651に表示される。
【0055】
処理S3の後、作業者は、2つのモニタ651に表示された画像を確認しながら、位置調整機構63のY軸回り調整部635およびX軸回り調整部636を操作して、傾斜臨界角度αの範囲内において直線L1(光源装置10から射出される光束の中心軸)に対して発光管111の中心軸Axを傾斜させて、一対の電極112の各突起部1121B先端を結ぶ直線L3と直線L1とのなす角度θを最小にする(処理S4:第1の位置調整工程)。
【0056】
具体的に、図9は、第1の位置調整工程S4を示すフローチャートである。
また、図10および図11は、第1の位置調整工程を説明するための図である。具体的に、図10(A),図11(A)は、YZ平面に沿う方向から突起位置認識部64にて撮像されモニタ651に表示される画像の一部を拡大した図である。図10(B),図11(B)は、XZ平面に沿う方向から突起位置認識部64にて撮像されモニタ651に表示される画像の一部を拡大した図である。また、図10は、α≧βの関係を有する場合での第1の位置調整工程を説明するための図である。図11は、α<βの関係を有する場合での第1の位置調整工程を説明するための図である。さらに、図10,11において、実線は第1の位置調整工程を実施する前の状態を示し、破線は第1の位置調整工程を実施した後の状態を示している。なお、図10,11では、上述したような製造誤差により各突起部1121Bが発光管111の中心軸Ax上からずれた位置に位置付けられている状態を示している。
【0057】
先ず、作業者は、2つのモニタ651に表示される各画像を確認し、目視にて各突起部1121B先端を結ぶ直線L3と発光管111の中心軸Ax(図10,11では、直線L1に一致)とのなす突起部傾き角度βと、傾斜臨界角度αとを比較し、α≧βであるか否かを判定する(処理S4A)。
処理S4Aにおいて、作業者は、「Y」と判定した場合、すなわち、α≧βであると判定した場合には、一方のモニタ651に表示される画像(図10(A))を確認しながら、Y軸回り調整部635を操作して、光源ランプ11をY軸回り(図10(A)中、矢印A1方向)に回転させ、直線L3を直線L1に平行にする(図10(A)に示す例では、直線L3が直線L1に一致可能な状態となっている)。すなわち、各突起部1121B先端を結ぶ直線L3と光源装置10から射出される光束の中心軸(直線L1)とのなす角度θを0°にする(処理S4B)。
また、作業者は、上記同様に、他方のモニタ651に表示される画像(図10(B))を確認しながら、X軸回り調整部635を操作して、光源ランプ11をX軸回り(図10(B)中、矢印A2方向)に回転させ、直線L3を直線L1に平行にする(図10(B)に示す例では、直線L3が直線L1に一致可能な状態となっている)。すなわち、各突起部1121B先端を結ぶ直線L3と光源装置10から射出される光束の中心軸(直線L1)とのなす角度θを0°にする(処理S4B)。
【0058】
一方、処理S4Aにおいて、作業者は、「N」と判定した場合、すなわち、α<βであると判定した場合には、PC65の図示しない操作部を操作し、「α<βである」旨の設定入力を実施する。そして、PC65は、図11に示すように、β−αを示す直線L4を各画像に重畳させる。
この後、作業者は、一方のモニタ651に表示される画像(図11(A))を確認しながら、Y軸回り調整部635を操作して、光源ランプ11をY軸回り(図11(A)中、矢印A1方向)に回転させ、直線L3を直線L4に平行にする(図11(A)に示す例では、直線L3が直線L4に一致可能な状態となっている)。すなわち、各突起部1121B先端を結ぶ直線L3と光源装置10から射出される光束の中心軸(直線L1)とのなす角度θをβ−αにする(処理S4C)。
また、作業者は、上記同様に、他方のモニタ651に表示される画像(図11(B))を確認しながら、X軸回り調整部635を操作して、光源ランプ11をX軸回り(図11(B)中、矢印A2方向)に回転させ、直線L3を直線L4に平行にする(図11(B)に示す例では、直線L3が直線L4に一致可能な状態となっている)。すなわち、各突起部1121B先端を結ぶ直線L3と光源装置10から射出される光束の中心軸(直線L1)とのなす角度θをβ−αにする(処理S4C)。
【0059】
処理S4の後、作業者は、光源ランプ11を点灯させ、光源ランプ11から射出された光束を主反射鏡12にて反射させる(処理S5:点灯工程)。
処理S5の後、作業者は、光束検出部62の積分球621による照度(光強度)測定を開始させる(処理S6:光強度測定工程)。
【0060】
処理S6の後、作業者は、積分球621で検出された照度が最大となるか否かを判定する(処理S7)。
処理S7の後、作業者は、照度が最大ではない、すなわち、主反射鏡12に対する最適位置に光源ランプ11が位置付けられていないと判定した場合には、処理S6において照度を測定しながら、位置調整機構63のY軸方向調整部632、X軸方向調整部633、およびZ軸方向調整部634の少なくともいずれかを操作して、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の少なくともいずれかの軸方向に光源ランプ11の位置を調整し、照度を最大にする(処理S8:第2の位置調整工程)。
【0061】
処理S7において、作業者は、照度が最大である、すなわち、主反射鏡12に対する最適位置に光源ランプ11が位置付けられていると判定した場合には、主反射鏡12の光射出後方側から、挿入孔123の内周面と封止部1112の外周面との間に接着剤を注入し、主反射鏡12に対して光源ランプ11を固定する(処理S9)。
なお、ここで用いる接着剤としては、例えば、シリカ・アルミナを主成分とする無機系接着剤等を採用できる。
【0062】
以上のような工程により、光源ランプ11は、アーク像Dの中心位置Oが主反射鏡12の第1焦点位置F1の近傍となりかつ、一対の電極112の各突起部1121B先端が光源装置10から射出される光束の中心軸(照明光軸A)近傍に配置された状態となる。
【0063】
上述した本実施形態においては、以下の効果がある。
本実施形態では、上述した製造誤差により一対の電極112の各突起部1121Bが発光管111の中心軸Ax上からずれた位置に位置付けられている場合であっても、第1の位置調整工程S4により、傾斜臨界角度αの範囲内において、発光管111の中心軸Axを光源装置10から射出される光束の中心軸(照明光軸A)に対して傾斜させて、アーク起点となる各突起部1121B先端を結ぶ直線L3を光源装置10から射出される光束の中心軸に略平行にすることができる。このため、各突起部1121B間において、アークは、光源装置10から射出される光束の中心軸に略沿う方向に生じることとなる。また、光源ランプ11は、傾斜臨界角度αの範囲内において、発光管111の中心軸Axを光源装置10から射出される光束の中心軸に対して傾斜させて、角度θが最小となるように主反射鏡12に対して位置付けられているので、利用光R3が光源ランプ11や副反射鏡13にて遮光されることがない。したがって、上述した場合において、従来のように光源ランプ11および主反射鏡12が一体化される構成と比較して、光源装置10から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できる。
【0064】
ここで、第1の位置調整工程S4では、傾斜臨界角度をα、発光管111の中心軸Axおよび一対の電極112の各突起部1121B先端を結ぶ直線L1のなす突起部傾き角度をβとし、α≧βの関係を有している場合には、発光管111の中心軸Axを直線L1に対して突起部傾き角度βだけ傾斜させることができるため、θ=0°の関係を有するように主反射鏡12に対して光源ランプ11を位置付ける。このように主反射鏡12に対して光源ランプ11を位置付けることで、利用光R3が光源ランプ11や副反射鏡13にて遮光されることがない状態で、アーク起点となる各突起部1121B先端を結ぶ直線L3を光源装置10から射出される光束の中心軸に平行にすることができ、上述した光源装置10から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できるという効果を好適に図れる。
また、第1の位置調整工程S4では、α<βの関係を有している場合には、傾斜臨界角度αにより直線L1(照明光軸A)に対する発光管111の中心軸Axの傾斜角度が制限され、最大で傾斜臨界角度αだけ傾斜させることができるため、θ=β−αの関係を有するように主反射鏡12に対して光源ランプ11を位置付ける。このように主反射鏡12に対して光源ランプ11を位置付けることで、上述した製造誤差により、一対の電極112の各突起部1121Bが発光管111の中心軸Axからかなりずれた位置に位置付けられている場合であっても、利用光R3が光源ランプ11にて遮光されない傾斜臨界角度αまで発光管111の中心軸Axを光源装置10から射出される光束の中心軸(直線L1,照明光軸A)に対して傾斜させ、角度θを最小の角度(β−α)とすることができ、上述した光源装置10から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できるという効果を好適に図れる。
以上のように、第1の位置調整工程S4では、上述した製造誤差により発光管111の中心軸Axに対して種々の位置に各突起部1121Bが位置付けられている場合であっても、発光管111の中心軸Axおよび一対の電極112の各突起部1121B先端を結ぶ直線L3のなす突起部傾き角度βに応じて、傾斜臨界角度αの範囲内で角度θが最小の角度となるように主反射鏡12に対して光源ランプ11を位置付けるので、突起部傾き角度βに応じた最適な光源装置本体10Aを製造できる。
【0065】
また、第1の位置調整工程S4では、2つの突起位置認識部64およびPC65を用い、2つの突起位置認識部64にて撮像した画像をPC65にて画像処理を施し、画像処理を施した画像をモニタ651に表示している。すなわち、PC65による画像処理により、2つの突起位置認識部64にて撮像された画像に、光束検出部62の照明光軸Aに平行する直線L1および傾斜臨界角度αを示す直線L2や、β−αを示す直線L4を重畳させて表示している。このことにより、例えば、PC65による画像処理機能を用いずに2つの突起位置認識部64にて撮像された画像を単に表示し該表示された画像を確認しながら、第1の位置調整工程S4を実施する場合と比較して、傾斜臨界角度αの範囲内において、光源ランプ11における発光管111の中心軸Axを光源装置10から射出される光束の中心軸に対して傾斜させて角度θを最小とする調整を容易にかつ高精度に実施できる。
【0066】
そして、光源装置本体10Aの製造時には、第1の位置調整工程S4の後に、点灯工程S5、光強度測定工程S6、および第2の位置調整工程S8が実施される。このことにより、第1の位置調整工程S4によりアーク起点となる各突起部1121B先端を結ぶ直線L3を光源装置10から射出される光束の中心軸に略平行にした状態から、各突起部1121B先端を光源装置10から射出される光束の中心軸に近付けることができる。このため、各突起部1121B間において、アークは、光源装置10から射出される光束の中心軸上に生じることとなる。したがって、上述した光源装置10から射出される光の明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できるという効果をより好適に図れる。
【0067】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
前記実施形態では、主反射鏡12が楕円面リフレクタとして構成されていたが、これに限らず、光源ランプ11から射出された光束を略平行光として反射するパラボラリフレクタとして構成しても構わない。
【0068】
前記実施形態では、PC65を用いて2つの突起位置認識部64にて撮像された画像に画像処理を施していたが、これに限らず、2つの突起位置認識部64にて撮像された画像を、画像処理を施さずにモニタ651に表示する構成としても構わない。
前記実施形態では、位置調整機構63を作業者が手動で操作して第1の位置調整工程S4および第2の位置調整工程S8を実施していたが、PC65に位置調整機構63を駆動制御させ、第1の位置調整工程S4および第2の位置調整工程S8をPC65による位置調整機構63の自動制御により実施する構成としても構わない。
【0069】
前記実施形態において、光源装置本体10Aを製造するフロー(図8、図9)は、前記実施形態で説明したフローに限らない。例えば、前記実施形態では、第1の位置調整工程S4および第2の位置調整工程S8において、主反射鏡12に対して光源ランプ11の位置を調整していたが、これに限らず、光源ランプ11を固定しておき、光源ランプ11に対して主反射鏡12の位置を調整する工程としても構わない。また、例えば、前記実施形態では、リフレクタ設置工程S1を実施した後、光源ランプ設置工程S2を実施していたが、これに限らず、光源ランプ設置工程S2を実施した後、リフレクタ設置工程S1を実施しても構わない。
【0070】
前記実施形態では、突起位置認識部64は、CCDカメラで構成していたが、これに限らず、各突起部1121Bを撮像可能とするものであればいずれのものでもよく、例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor)センサ等を撮像素子として構成しても構わない。
【0071】
前記実施形態では、光源装置10は、副反射鏡13を設けた構成を説明したが、これに限らず、副反射鏡13を省略した構成でも構わない。
【0072】
前記実施形態では、3つの液晶パネル42R,42G,42Bを用いたプロジェクタ1の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
前記実施形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。この場合は、光束入射側および光束射出側の偏光板は省略できる。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、プロジェクタに本発明の光源装置を採用していたが、本発明はこれに限らず、他の光学機器に本発明の光源装置を採用してもよい。
【0073】
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の光源装置は、明るさを良好に確保できかつ、照度ムラを低減できるため、ホームシアタやプレゼンテーションで利用されるプロジェクタの光源装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施形態におけるプロジェクタの概略構成を示す平面図。
【図2】前記実施形態における光源装置本体の概略構成を示す断面図。
【図3】前記実施形態における一対の電極の概略構成の一例を示す図。
【図4】前記実施形態における光源装置本体を製造するための製造装置の概略構成を示す図。
【図5】前記実施形態における光源ランプホルダの概略構成を示す図。
【図6】前記実施形態におけるPCにて処理され2つのモニタに表示される各画像の一例を示す図。
【図7】前記実施形態における傾斜臨界角度を説明するための図。
【図8】前記実施形態における製造装置を用いた光源装置本体の製造方法を説明するフローチャート。
【図9】前記実施形態における第1の位置調整工程を示すフローチャート。
【図10】前記実施形態における第1の位置調整工程を説明するための図。
【図11】前記実施形態における第1の位置調整工程を説明するための図。
【符号の説明】
【0076】
10・・・光源装置、11・・・光源ランプ、12・・・主反射鏡(リフレクタ)、42R,42G,42B・・・液晶パネル(光変調装置)、50・・・投射光学系(投射光学装置)、111・・・発光管、112・・・電極、1111・・・発光部、1112,1113・・・封止部、1121A・・・電極部、1121B・・・突起部、A,Ax・・・中心軸、Ar・・・利用光反射領域、L3・・・直線、R3・・・利用光、S1・・・リフレクタ設置工程、S2・・・光源ランプ設置工程、S3・・・突起部撮像工程、S4・・・第1の位置調整工程、S5・・・点灯工程、S6・・・光強度測定工程、S8・・・第2の位置調整工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間を有する発光管、および前記発光管の放電空間に配置される一対の電極を有する光源ランプと、断面略凹状に拡がり前記光源ランプから放射された光束を反射するリフレクタとを備えた光源装置であって、
前記発光管は、内部に前記放電空間を有する発光部と、前記発光部の両側に設けられる封止部とを有し、
前記一対の電極は、電極部と、前記電極部先端に形成され前記電極部の断面積よりも小さい断面積を有し他方の電極に向けて突出する突起部とをそれぞれ備え、
前記光源ランプは、当該光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光されない角度範囲内において、前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線と当該光源装置から射出される光束の中心軸とのなす角度θが最小となるように前記リフレクタに取り付けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
当該光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとした場合に、α≧βの関係を有し、
前記光源ランプは、θ=0°の関係を有するように前記リフレクタに取り付けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光源装置において、
当該光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとした場合に、α<βの関係を有し、
前記光源ランプは、θ=β−αの関係を有するように前記リフレクタに取り付けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
放電空間を有する発光管、および前記発光管の放電空間に配置される一対の電極を有する光源ランプと、断面略凹状に拡がり前記光源ランプから放射された光束を反射するリフレクタとを備えた光源装置の製造方法であって、
前記発光管は、内部に前記放電空間を有する発光部と、前記発光部の両側に設けられる封止部とを有し、
前記一対の電極は、電極部と、前記電極部先端に形成され前記電極部の断面積よりも小さい断面積を有し他方の電極に向けて突出する突起部とをそれぞれ備え、
当該光源装置の製造方法は、
前記リフレクタを所定位置に設置するリフレクタ設置工程と、
前記リフレクタにおける凹状内側に前記光源ランプを設置する光源ランプ設置工程と、
前記一対の電極における各突起部を撮像する突起部撮像工程と、
前記突起部撮像工程にて撮像した画像に基づいて、前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置を調整して、前記光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光されない角度範囲内において、前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線と前記光源装置から射出される光束の中心軸とのなす角度θを最小にする第1の位置調整工程とを備えていることを特徴とする光源装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の光源装置の製造方法において、
前記第1の位置調整工程は、前記光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとし、α≧βの関係を有している場合には、θ=0°の関係を有するように前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置を調整することを特徴とする光源装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の光源装置の製造方法において、
前記第1の位置調整工程は、前記光源装置から射出される光束の中心軸に対して前記発光管の中心軸を傾斜した際に前記光源ランプから射出され前記リフレクタの利用光反射領域にて反射される利用光が前記光源ランプにて遮光される前記発光管の傾斜角度範囲と遮光されない前記発光管の傾斜角度範囲との臨界の傾斜臨界角度をαとし、前記発光管の中心軸および前記一対の電極の各突起部先端を結ぶ直線のなす角度をβとし、α<βの関係を有している場合には、θ=β−αの関係を有するように前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置を調整することを特徴とする光源装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかに記載の光源装置の製造方法において、
前記第1の位置調整工程の後、
前記光源ランプを点灯させる点灯工程と、
前記光源ランプから射出され前記リフレクタにて反射される光束を検出して前記光束の強度を測定する光強度測定工程と、
前記光強度測定工程にて前記光束の強度を測定しながら、前記光源装置から射出される光束の中心軸をZ軸、前記Z軸に直交する2軸をX軸およびY軸とした場合に、前記光源ランプまたは前記リフレクタの位置をX軸、Y軸、Z軸の少なくともいずれかの軸方向に調整して前記光束の強度を最大にする第2の位置調整工程とを備えていることを特徴とする光源装置の製造方法。
【請求項8】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、
前記光源装置は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源装置、もしくは、請求項4から請求項7のいずれかに記載の光源装置の製造方法により製造された光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−234321(P2007−234321A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52637(P2006−52637)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】