説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】輝度の低下を抑えて薄型化を図るとともに、副鏡が脱落し難く振動や衝撃に対する耐性が高い光源装置およびプロジェクターを提供すること。
【解決手段】光源装置10は、管球部21と封止部22a,22bとを有する発光管20と、平面S2で切断したとき一方側が削除された形状を有する反射部32と封止部22bに沿って延設された基部34とを有するリフレクター30と、リフレクター30とは反対側に配置されており管球部21に対向配置された反射部42と封止部22bに沿って延設された固定部44とを有する副鏡40と、封止部22bと基部34との間に配置され発光管20とリフレクター30とを固着するとともに封止部22bと固定部44との間に配置され発光管20と副鏡40とを固着する接着剤Cと、を備え、固定部44の一部が封止部22bと基部34との間に配置されており固定部44の一部と基部34との間にも接着剤Cが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、管球部を有する発光管と、所定の平面で切断したとき一方側が削除された形状を有し、管球部から射出される光を被照明領域側に反射するリフレクターと、発光管を間に挟んでリフレクターとは反対側に配置され、管球部から射出される光を管球部側に反射する副鏡とを備える光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような光源装置の構成によれば、リフレクターの一方側、すなわち副鏡の位置する側が削除されることで薄型化が図られ、その一方で、管球部からリフレクターの削除された側へ射出される光を副鏡で反射し有効利用することで、輝度の低下が抑えられる。このような光源装置では、例えば接着剤によって、リフレクターに発光管が固着されており、発光管に副鏡が固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−335196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構成を有する光源装置では、副鏡は、発光管における重力方向の下方側に固着されている。このため、副鏡が発光管から脱落し易く、振動や衝撃に対する耐性が低いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る光源装置は、管球部と、前記管球部の両側に照明光軸に沿って延設された一対の封止部と、を有する発光管と、所定の平面で切断したとき一方側が削除された形状を有し前記管球部から射出される光を被照明領域側に反射する第1の反射部と、前記第1の反射部から前記一対の封止部の一方に沿って延設された基部と、を有するリフレクターと、前記発光管を間に挟んで前記リフレクターとは反対側に配置されており、前記管球部に対向配置された第2の反射部と、前記第2の反射部から前記一方の前記封止部に沿って延設された固定部と、を有する副鏡と、前記一方の前記封止部と前記基部との間に配置され前記発光管と前記リフレクターとを固着するとともに、前記一方の前記封止部と前記固定部との間に配置され前記発光管と前記副鏡とを固着する接着剤と、を備え、前記固定部の一部が前記一方の前記封止部と前記基部との間に配置されており、前記固定部の前記一部と前記基部との間にも前記接着剤が配置されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、リフレクターの一方側が削除されて薄型化されており、発光管の管球部から一方側に射出される光は副鏡により反射され有効利用される。したがって、輝度の低下を抑えて光源装置を薄型化できる。
【0009】
また、この構成によれば、副鏡は発光管に接着剤で固着されているが、副鏡の固定部の一部が発光管の封止部とリフレクターの基部との間に配置されており、その固定部の一部と基部との間にも接着剤が配置されている。すなわち、固定部の一部が接着剤を介して封止部と基部との間に保持されている。このため、副鏡が発光管から脱落し難くなるとともに、振動や衝撃に対する耐性が向上する。これらの結果、輝度の低下を抑えて薄型化を図るとともに、副鏡が脱落し難く振動や衝撃に対する耐性が高い光源装置を提供できる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る光源装置であって、前記基部は、前記一方の前記封止部の外周を半周を超えて覆っていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、リフレクターの基部が発光管の封止部の外周を半周を超えて覆うことで、基部を副鏡の固定部の一部に重ならせて、その固定部の一部と基部との間にも接着剤を配置することができる。
【0012】
また、この構成によれば、リフレクターの第1の反射部が発光管の管球部を半周を超えて覆うことが可能になる。これにより、管球部から射出される光のうち、従来第1の反射部と副鏡の第2の反射部との間から漏れ出ていた光を第1の反射部で被照明領域側に反射して有効利用することができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る光源装置であって、前記固定部は、前記一方の前記封止部の外周を半周を超えて覆っていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、副鏡の固定部が発光管の封止部の外周を半周を超えて覆うことで、固定部の一部をリフレクターの基部に重ならせて、その固定部の一部と基部との間にも接着剤を配置することができる。
【0015】
[適用例4]本適用例に係るプロジェクターは、上記に記載の光源装置を備える照明装置と、前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置からの変調光を投写する投写レンズと、を備えていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、輝度の低下を抑えて薄型化を図り、振動や衝撃に対する耐性が高い本発明の光源装置を備えるため、高輝度かつ薄型で、さらには耐衝撃性の高いプロジェクターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図3】第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図4】第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図5】変形例1に係る光源装置の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
【0019】
(第1の実施形態)
<プロジェクター>
まず、第1の実施形態に係るプロジェクターについて、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
【0020】
第1の実施形態に係るプロジェクター1000は、図1に示すように、照明装置100と、色分離導光光学系200と、3つの集光レンズ300R,300G,300Bと、電気光学変調装置としての3つの液晶装置400R,400G,400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写レンズ600と、冷却機構(図示省略)とを備えたプロジェクターである。
【0021】
照明装置100は、光源装置10と、凹レンズ90と、複数の第1小レンズ122を有する第1レンズアレイ120と、複数の第2小レンズ132を有する第2レンズアレイ130と、偏光変換素子140と、重畳レンズ150とを備えている。
【0022】
光源装置10は、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40とを備えている。リフレクター30は、照明光軸OC上に第1焦点と第2焦点とを有する回転楕円面の一部である反射面31(図2参照)を有する。また、リフレクター30の第1焦点は、発光管20の管球部21(図2参照)内に位置する。光源装置10は、リフレクター30の第2焦点に向かって集束する照明光束を射出する。
【0023】
光源装置10は、発光管20が寿命となった場合等に、ユーザーが取り替え可能なように構成されている。光源装置10において、光束が射出される側、すなわちリフレクター30の開口側を被照明領域側とも呼ぶ。また、光源装置10において、被照明領域側(開口側)とは反対側を背面側とも呼ぶ。光源装置10の詳細構成については後述する。
【0024】
凹レンズ90は、光源装置10の被照明領域側に配置されている。凹レンズ90は、光源装置10からの集束光を略平行光として、第1レンズアレイ120に向けて射出する。第1レンズアレイ120は、凹レンズ90から射出される照明光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有する。第1レンズアレイ120は、照明光軸OCと略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第1小レンズ122を備えている。図示による説明は省略するが、第1小レンズ122の外形形状は、液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域の外形形状に関して相似形である。
【0025】
第2レンズアレイ130は、上述した第1レンズアレイ120により分割された複数の部分光束を集光するための光学素子である。第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応して、照明光軸OCに略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第2小レンズ132を備えている。
【0026】
偏光変換素子140は、第2レンズアレイ130からの各部分光束を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光に変換して射出する偏光変換素子である。偏光変換素子140は、光源装置10からの照明光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分をそのまま透過し、他方の直線偏光成分を照明光軸OCに垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸OCに平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有している。
【0027】
重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130、および偏光変換素子140を経て射出される複数の部分光束を集光して液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に重畳させるための光学素子である。なお、重畳レンズ150は、図1では1枚のレンズとして図示されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
【0028】
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有している。色分離導光光学系200は、照明装置100から射出される照明光束を赤色光、緑色光、および青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる液晶装置400R,400G,400Bに導く機能を有している。
【0029】
ダイクロイックミラー210,220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。光路前段に配置されるダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射し、その他の色光成分を透過するミラーである。光路後段に配置されるダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射し、青色光成分を透過するミラーである。
【0030】
ダイクロイックミラー210で反射された赤色光成分は、反射ミラー230により曲折され、集光レンズ300Rを介して赤色光用の液晶装置400Rの画像形成領域に入射する。集光レンズ300Rは、重畳レンズ150からの各部分光束を各主光線に対して略平行な光束に変換するために設けられている。他の液晶装置400G,400Bの光路前段に配設される集光レンズ300G,300Bも、集光レンズ300Rと同様に構成されている。
【0031】
ダイクロイックミラー210を通過した緑色光成分および青色光成分のうち緑色光成分は、ダイクロイックミラー220によって反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶装置400Gの画像形成領域に入射する。一方、青色光成分は、ダイクロイックミラー220を透過し、入射側レンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、および集光レンズ300Bを通過して青色光用の液晶装置400Bの画像形成領域に入射する。入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶装置400Bまで導く機能を有している。
【0032】
なお、青色光の光路にこのような入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。第1の実施形態に係るプロジェクター1000においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成としてもよい。
【0033】
液晶装置400R,400G,400Bは、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調するものであり、照明装置100の照明対象となっている。図示を省略するが、各集光レンズ300R,300G,300Bと各液晶装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が配置され、各液晶装置400R,400G,400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が配置されている。
【0034】
これら入射側偏光板、液晶装置400R,400G,400B、および射出側偏光板によって、入射する各色光の光変調が行われる。液晶装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものである。液晶装置400R,400G,400Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
【0035】
クロスダイクロイックプリズム500は、3つの液晶装置400R,400G,400Bによって変調され、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
【0036】
投写レンズ600は、クロスダイクロイックプリズム500によって合成されたカラー画像をスクリーンSCR等の投写面に拡大投写する。これにより、スクリーンSCR等の投写面上に画像が形成される。
【0037】
<光源装置>
次に、第1の実施形態に係る光源装置について、図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図2(a)は光源装置10の要部の構成を示す斜視図である。また、図2(b)は、図2(a)において照明光軸OCを含む平面S1で切断したときのA−A’線に沿った断面図である。
【0038】
以下では、プロジェクター1000をいわゆる据え置き状態に配置する場合を例にとり説明する。図2(a)および(b)における光源装置10の各構成要素の配置は、プロジェクター1000の据え置き状態に対応している。
【0039】
なお、プロジェクター1000の据え置き状態において、重力方向は照明光軸OCと略直交する方向であり、リフレクター30側から副鏡40側に向かう方向となる。照明光軸OCに沿った方向をX方向とも呼び、重力方向に沿った方向をZ方向とも呼ぶ。また、X方向およびZ方向と略直交する方向をY方向とも呼ぶ。Y方向は、プロジェクター1000の据え置き状態における水平方向に沿った方向である。上述の平面S1は、X方向とZ方向とで構成されるとともに、照明光軸OCを含む平面である。
【0040】
第1の実施形態に係る光源装置10は、図2(a)および(b)に示すように、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40と、接着剤Cとを備えている。なお、図2(a)ではリード線28a,28bおよび接着剤Cの図示を省略している。
【0041】
発光管20は、管球部21と、一対の封止部22a,22bと、一対の電極24a,24bと、一対の金属箔26a,26bと、一対のリード線28a,28bとを有している。発光管20としては、高輝度発光する種々の発光管を採用でき、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を採用できる。
【0042】
封止部22a,22bは、管球部21から両側に照明光軸OCに沿って延設されている。封止部22aは管球部21の被照明領域側に配置されており、封止部22bは管球部21の被照明領域側とは反対側、すなわち背面側に配置されている。管球部21および封止部22a,22bは、例えば石英ガラスからなり、一体に形成されている。管球部21内には、例えば、水銀、希ガスおよび少量のハロゲンが封入されている。
【0043】
図2(b)に示すように、電極24a,24bは、管球部21内に封入された一端部同士が互いに対向するように配置されている。電極24a,24bの互いに対向する一端部には、放電部が形成されている。電極24aは照明光軸OCに沿って封止部22a側に延在しており、その端部は金属箔26aに電気的に接続されている。電極24bは照明光軸OCに沿って封止部22b側に延在しており、その端部は金属箔26bに電気的に接続されている。電極24a,24bは、例えば、タングステン等の金属からなる。
【0044】
金属箔26a,26bは、照明光軸OCに沿って延在している。金属箔26aは封止部22a内に封止されており、金属箔26bは封止部22b内に封止されている。金属箔26a,26bは、例えば、モリブデン等の金属からなる。
【0045】
リード線28a,28bは、照明光軸OCに沿って延在している。リード線28aの一端部側は、封止部22a内に封止され、金属箔26aに電気的に接続されている。リード線28aの他端部は、封止部22aから延出している。リード線28bの一端部側は、封止部22b内に封止され、金属箔26bに電気的に接続されている。リード線28bの他端部は、封止部22bから延出している。リード線28a,28bは、例えば、モリブデン、タングステン等の金属からなる。リード線28a,28bに電圧が印加されると、電極24a,24b間に電位差が発生し、管球部21内で放電が生じてアーク像が生成される。
【0046】
リフレクター30は、図2(a)および(b)に示すように、第1の反射部としての反射部32と、基部34とを有している。反射部32と基部34とは、一体に形成されている。リフレクター30の基材の材料としては、例えば、結晶化ガラスやアルミナ(Al23)等を好適に用いることができる。
【0047】
反射部32は、楕円面を照明光軸OCを回転中心軸として回転させた楕円球の略1/4の形状を有している。より具体的には、反射部32は、楕円球のうち、Y方向とZ方向とで構成される平面で切断したとき照明光軸OCに沿った方向における略1/2が削除されるとともに、X方向とY方向とで構成される所定の平面S2で切断したときZ方向における副鏡40(反射部42)側の端部30zが削除された形状を有している(図2(a)参照)。
【0048】
楕円球が平面S2で切断される位置は、Z方向における照明光軸OCよりも副鏡40側である。したがって、反射部32は、発光管20の外周を半周を超えて覆っている。端部30zが削除されたことで、反射部32の開口側(被照明領域側)の端部は略半円形状となる。反射部32をこのような形状とすることにより、リフレクター30を薄型化することができる。
【0049】
反射部32は、発光管20に対向する内面側に反射面31を有している。反射面31は、照明光軸OC上に第1焦点と第2焦点とを有する回転楕円面の一部である。反射部32は、発光管20に対して、第1焦点近傍に管球部21が位置するように配置されている。反射部32は、反射面31において、管球部21から射出された光を被照明領域側の第2焦点位置に向けて反射する。反射面31には、例えば、酸化チタン(TiO2)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる可視光反射層が形成されている。
【0050】
基部34は、反射部32から背面側に封止部22bに沿って延設されている。基部34は、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形のうち、Z方向における照明光軸OCよりも副鏡40(固定部44)側の位置で反射部32の場合と同一の平面S2で切断され、固定部44側が削除された形状を有している。したがって、基部34は、封止部22bの外周を半周を超えて覆っている。
【0051】
基部34と封止部22bとの間には接着剤Cが充填されており、接着剤Cによってリフレクター30と発光管20とが互いに固着されている。接着剤Cは、例えば、シリカ系やアルミナ系の無機接着剤である。このような無機接着剤として、例えば、住友化学工業(株)の「スミセラム(登録商標)」を用いることができる。
【0052】
副鏡40は、発光管20を間に挟んでリフレクター30とは反対側に配置されている。つまり、副鏡40は、発光管20における重力方向の下方側であって、リフレクター30の端部30zが削除された側に位置している。副鏡40は、第2の反射部としての反射部42と、固定部44とを有している。反射部42と固定部44とは、一体に形成されている。副鏡40は、例えば、硬質ガラスや石英ガラス等からなる。副鏡40の材料は、金属であってもよい。
【0053】
反射部42は、球体のうち、平面S2に平行であるとともに照明光軸OCを含む平面で切断したとき、Z方向におけるリフレクター30側の略1/2が削除された略半球形状を有している。反射部42は、管球部21のリフレクター30とは反対側を覆うように配置されている。反射部42は、管球部21に対向する内面側に反射面41を有している。
【0054】
反射部42は、反射面41において、管球部21から副鏡40側に射出される光を管球部21(反射面31)へ向けて反射する。これにより、管球部21から副鏡40側に射出される光をリフレクター30側へ戻して、照明光束として有効利用することができる。反射面41には、例えば、酸化タンタル(Ta25)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる反射層が形成されている。
【0055】
固定部44は、反射部42から背面側に封止部22bに沿って延設されている。固定部44は、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形のうち、例えば、反射部42の場合と同一の平面で切断してZ方向におけるリフレクター30側の略1/2が削除された形状を有している。固定部44と封止部22bとの間には接着剤Cが充填されており、接着剤Cによって発光管20と副鏡40とが互いに固着されている。
【0056】
第1の実施形態に係る光源装置10の構成によれば、リフレクター30は、副鏡40側の端部30zが削除されて、薄型化されている。また、その一方で、発光管20から副鏡40側に射出される光を反射部42で反射して照明光束として有効利用できるので、リフレクター30の端部30zが削除されたことによる輝度の低下が抑えられる。したがって、輝度の低下を抑えて光源装置10を薄型化することができる。
【0057】
続いて、光源装置10における発光管20、リフレクター30、および副鏡40の位置関係について、図3を参照してさらに説明する。図3は、第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図3(a)は光源装置10の側面図であり、図3(b)は光源装置10の背面図である。
【0058】
図3(a)および(b)に示すように、リフレクター30は、発光管20の外周を半周を超えて覆っている。また、リフレクター30は、副鏡40の一部を覆っている。したがって、副鏡40の固定部44の一部が、発光管20の封止部22bとリフレクター30の基部34との間に配置されており、基部34と重なっている。
【0059】
図3(b)に示すように、接着剤Cは、封止部22bと基部34との間、および封止部22bと固定部44との間に配置されている。さらに、接着剤Cは、固定部44のうち基部34と重なる部分と基部34との間にも配置されている。したがって、固定部44は、封止部22bに固着されるとともに、接着剤Cを介して封止部22bと基部34との間に保持される。
【0060】
特許文献1に記載の光源装置のように、副鏡の固定部がリフレクターの基部と重ならない構成を有する光源装置では、副鏡がリフレクター等で支持されておらず、副鏡の固定は発光管の封止部と固定部との間に配置された接着剤の固着力に頼ることとなる。しかしながら、副鏡はリフレクターよりも重力方向における下方側に位置しているため、副鏡が発光管から脱落し易くなり、振動や衝撃に対する耐性が低くなってしまう。
【0061】
これに対して、第1の実施形態に係る光源装置10の構成によれば、固定部44が、接着剤Cで封止部22bに固着されるとともに、接着剤Cを介して封止部22bと基部34との間に保持される。これにより、副鏡40が発光管20から脱落し難くなるとともに、振動や衝撃に対する耐性が向上する。この結果、輝度の低下を抑えて薄型化を図るとともに、副鏡40が脱落し難く振動や衝撃に対する耐性が高い光源装置10を提供できる。
【0062】
なお、副鏡を保持するために、保持部材を別途設ける構成や、リフレクターの基部を筒型等の形状として固定部の周囲を覆う構成とすることも考えられる。しかしながら、保持部材を別途設ける構成とする場合、部品点数や型の増加および組立工数の増大を招く。また、基部を筒型形状とする場合、リフレクターの製造工程において、基部の加工が複雑となるとともに、反射部の加工と基部の加工とを個別に行うこととなり製造工数が増大する。
【0063】
光源装置10の構成によれば、リフレクター30の製造工程において端部30zを削除する際の切断位置をずらして、反射部32と基部34とを同一の平面S2で切断すればよいので、反射部32と基部34とを同一の工程で容易に加工することができる。これにより、部品点数や型の増加、あるいは製造工数の増大が避けられる。
【0064】
また、第1の実施形態に係る光源装置10では、リフレクター30が発光管20の外周を半周を超えて覆っているので、反射部32は管球部21の周囲を1/2を超えて覆っており、副鏡40の反射部42の一部と重なっている。このため、反射部が管球部の周囲の1/2までを覆う場合にリフレクターと副鏡との間から漏れ出てしまう光を、リフレクター30(反射部32)で反射し照明光束として有効利用できる。この結果、光源装置10の輝度を向上させることができる。
【0065】
(第2の実施形態)
<光源装置>
次に、第2の実施形態に係る光源装置について、図4を参照して説明する。第2の実施形態に係る光源装置は、第1の実施形態に係る光源装置に対して、リフレクターおよび副鏡の形状が異なっているが、その他の構成は同じである。
【0066】
図4は、第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図4(a)は光源装置の側面図であり、図4(b)は光源装置の背面図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0067】
第2の実施形態に係る光源装置12は、図4(a)および(b)に示すように、発光管20と、リフレクター30Aと、副鏡40Aとを備えている。
【0068】
リフレクター30Aは、第1の反射部としての反射部32aと、基部34aとを有している。反射部32aは、第1の実施形態における反射部32に対して、楕円球から端部30z(図2(a)参照)が削除される位置が異なっており、楕円球が切断される平面S2が照明光軸OCを含んでいる。したがって、反射部32aは、発光管20の外周の略半周を覆っている。
【0069】
基部34aは、略円筒形から反射部32aの場合と同一の平面S2で切断され、その略1/2が削除された形状を有している。したがって、基部34aは、封止部22bの外周の略半周を覆っている。
【0070】
副鏡40Aは、第2の反射部としての反射部42aと、固定部44aとを有している。反射部42aは、第1の実施形態における反射部42に対して、球体が切断され削除される位置が、Z方向において照明光軸OCよりもリフレクター30A側となっている。したがって、反射部42aは、発光管20の外周を半周を超えて覆っている。
【0071】
固定部44aは、略円筒形から反射部42aの場合と同一の平面で切断され削除された形状を有している。したがって、固定部44aは、封止部22bの外周を半周を超えて覆っている。リフレクター30Aの基部34aが封止部22bの外周の略半周を覆っているので、固定部44aの一部が、発光管20の封止部22bと基部34aとの間に配置されており、基部34aと重なっている。
【0072】
第2の実施形態に係る光源装置12の構成によれば、第1の実施形態に係る光源装置10と同様に、リフレクター30Aが薄型化された一方で、発光管20から副鏡40A側に射出される光を有効利用できるので、輝度の低下を抑えて光源装置12を薄型化することができる。
【0073】
また、第2の実施形態に係る光源装置12の構成によれば、固定部44aが、封止部22bに固着されるとともに、接着剤Cを介して封止部22bと基部34aとの間に保持される。これにより、第2の実施形態に係る光源装置12においても、第1の実施形態に係る光源装置10と同様に、副鏡40Aが発光管20から脱落し難くなるとともに、振動や衝撃に対する耐性が向上する。
【0074】
以上、本発明の光源装置およびプロジェクターを上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0075】
(変形例1)
上記実施形態の光源装置の構成では、リフレクターまたは副鏡のいずれか一方が発光管の外周を半周を超えて覆う構成であったが、本発明はこの形態に限定されない。リフレクターおよび副鏡の双方が発光管の外周を半周を超えて覆う構成であってもよい。図5は、変形例1に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図5(a)は光源装置の側面図であり、図5(b)は光源装置の背面図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0076】
変形例1に係る光源装置14は、図5(a)および(b)に示すように、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40Aとを備えている。
【0077】
したがって、リフレクター30(基部34)は発光管20(封止部22b)の外周を半周を超えて覆っており、副鏡40A(固定部44a)は発光管20(封止部22b)の外周を半周を超えて覆っている。
【0078】
変形例1に係る光源装置14の構成によれば、上記実施形態に比べて、固定部44aのうち封止部22bと基部34との間に位置する部分、すなわち固定部44aと基部34とが重なる領域を大きくできる。これにより、上記実施形態に比べて、副鏡40Aの脱落がより効果的に抑えられ、振動や衝撃に対する耐性がより向上する。
【0079】
(変形例2)
上記実施形態のプロジェクターの構成では、光均一化光学系として第1レンズアレイおよび第2レンズアレイからなるレンズインテグレーター光学系を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。光均一化光学系として、例えば、導光ロッドからなるロッドインテグレーター光学系を用いることもできる。
【0080】
(変形例3)
上記実施形態におけるプロジェクターは透過型のプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、反射型のプロジェクターであってもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
【0081】
(変形例4)
上記実施形態におけるプロジェクターは3つの液晶装置を用いたプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、1つ、2つまたは4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクターにも適用することができる。
【0082】
(変形例5)
上記実施形態のプロジェクターの構成では、電気光学変調装置として液晶装置を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。電気光学変調装置としては、一般に、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を利用してもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【0083】
(変形例6)
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクター、および、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用することが可能である。
【0084】
(変形例7)
上記実施形態においては、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の光源装置を、例えば、光ディスク装置等他の光学機器に適用することもできる。
【符号の説明】
【0085】
10,12,14…光源装置、20…発光管、21…管球部、22a,22b…一対の封止部、30,30A…リフレクター、32,32a…第1の反射部としての反射部、34,34a…基部、40,40A…副鏡、42,42a…第2の反射部としての反射部、44,44a…固定部、100…照明装置、120…第1レンズアレイ、122…第1小レンズ、130…第2レンズアレイ、132…第2小レンズ、140…偏光変換素子、150…重畳レンズ、200…色分離導光光学系、210,220…ダイクロイックミラー、230,240,250…反射ミラー、260…入射側レンズ、270…リレーレンズ、300R,300G,300B…集光レンズ、400R,400G,400B…電気光学変調装置としての液晶装置、500…クロスダイクロイックプリズム、600…投写レンズ、1000…プロジェクター、C…接着剤、OC…照明光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管球部と、前記管球部の両側に照明光軸に沿って延設された一対の封止部と、を有する発光管と、
所定の平面で切断したとき一方側が削除された形状を有し前記管球部から射出される光を被照明領域側に反射する第1の反射部と、前記第1の反射部から前記一対の封止部の一方に沿って延設された基部と、を有するリフレクターと、
前記発光管を間に挟んで前記リフレクターとは反対側に配置されており、前記管球部に対向配置された第2の反射部と、前記第2の反射部から前記一方の前記封止部に沿って延設された固定部と、を有する副鏡と、
前記一方の前記封止部と前記基部との間に配置され前記発光管と前記リフレクターとを固着するとともに、前記一方の前記封止部と前記固定部との間に配置され前記発光管と前記副鏡とを固着する接着剤と、を備え、
前記固定部の一部が前記一方の前記封止部と前記基部との間に配置されており、前記固定部の前記一部と前記基部との間にも前記接着剤が配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記基部は、前記一方の前記封止部の外周を半周を超えて覆っていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源装置であって、
前記固定部は、前記一方の前記封止部の外周を半周を超えて覆っていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置を備える照明装置と、
前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
前記電気光学変調装置からの変調光を投写する投写レンズと、
を備えていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−181432(P2011−181432A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46296(P2010−46296)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】