説明

光源装置および原稿読み取り装置

【課題】発光ダイオードを用いた光源において、不良発光ダイオードを検出すること。
【解決手段】長尺状の基板21の長手方向に沿って所定間隔で複数の発光ダイオード22が配置されている。複数の発光ダイオード22は、隣接する3または4個の発光ダイオード22毎にグループ化されている。例えば、複数の発光ダイオード22は、コネクタ23側から、第1のグループG1、第2のグループG2、第3のグループG3、第4のグループG4および第5のグループG5の順にグループ化されている。第1のグループG1、第3のグループG3、および第5のグループG5には4個の発光ダイオード22が含まれ、第2のグループG2および第4のグループG4には3個の発光ダイオード22が含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源として有する光源装置およびその光源装置を備える原稿読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードの普及と共に、発光ダイオードを用いた光源が実用化されている。例えば、原稿読み取り装置、すなわち、スキャナにおいても光源として発光ダイオードを用いた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許公報第5767979号公報
【0004】
しかしながら、点光源である発光ダイオードを線光源である陰極冷管に代えて用いる場合には、通常、複数の発光ダイオードが用いられる。複数の発光ダイオードを用いた光源では、一の発光ダイオードに発光不良が生じた場合であっても不良発光ダイオードを検出することが困難である。したがって、全ての発光ダイオードを交換しなければならなかった。
【0005】
発光ダイオードは電流に応じて光量が変化するため、特許文献1に記載のように一の定電流源を用いて発光ダイオードの輝度をそろえるためには、それぞれのグループ毎の電流制限抵抗を調整する必要があり、容易ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、発光ダイオードを用いた光源において、不良発光ダイオードを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は以下の種々の態様を採る。
【0008】
本発明の第1の態様は、光源装置を提供する。本発明の第1の態様に係る光源装置は、基板と、1または直列に接続されている複数の発光ダイオードを含む複数のグループに区分され、前記グループ毎に前記基板上に配置されている複数の発光ダイオードと、前記グループ毎に備えられ、各前記グループにおける前記1または複数の発光ダイオードに接続されている複数の定電流源と、前記発光ダイオードに対する通電を伴う初期化処理時に、発光不良な不良発光ダイオードを検出する検出部とを備える。
【0009】
本発明の第1の態様に係る光源装置によれば、1または直列に接続されている複数の発光ダイオードを含む複数のグループに区分され、グループ毎に前記基板上に配置されている複数の発光ダイオードを備えるので、発光ダイオードを用いた光源において、不良発光ダイオードを検出することができる。
【0010】
本発明の第1の態様に係る光源装置において、前記検出部による不良発光ダイオードの検出は、前記不良発光ダイオードを含むグループを検出することによって実行されても良い。各グループにおいて発光ダイオードは直列に接続されているので、グループに含まれる発光ダイオードに点灯不良が生じた場合には、グループ単位にて不点灯となる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る光源装置において、前記検出部は、前記各グループに対する通電状態に基づいて前記不良発光ダイオードを含むグループを検出しても良い。各グループにおいて発光ダイオードは直列に接続されているので、グループに含まれる発光ダイオードに点灯不良が生じた場合には、グループ単位にて通電が遮断される。
【0012】
本発明の第1の態様に係る光源装置において、前記検出部はさらに、配置されている前記発光ダイオードの明るさに関する分布を取得するための光電変換部を備え、検出された明るさに関する分布と前記基板上における前記各グループの配置とに基づいて前記不良発光ダイオードの検出を実行しても良い。グループ単位にて不点灯となるので、明るさに関する分布の差異が明瞭となり、各グループの配置に基づいて不良発光ダイオードを検出することができる。
【0013】
本発明の第1の態様に係る光源装置において、前記複数の発光ダイオードは共通の接地線に接続されていても良い。この場合には、基板上における配線数を削減することができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、原稿読み取り装置を提供する。本発明の第2の態様に係る原稿読み取り装置は、1または直列に接続されている複数の発光ダイオードを含む複数のグループに区分され、前記グループ毎に基板上に配置されている複数の発光ダイオードと、前記グループ毎に備えられ、各前記グループにおける前記1または複数の発光ダイオードに接続されている複数の定電流源とを備える光源と、原稿の読み取りを実行する原稿読み取り部と、発光させた前記光源および前記原稿読み取り部を用いて前記初期化処理を実行する初期化処理実行部と、前記初期化処理時に、発光不良な不良発光ダイオードを検出する検出部とを備える。
【0015】
本発明の第2の態様に係る原稿読み取り装置によれば、1または直列に接続されている複数の発光ダイオードを含む複数のグループに区分され、グループ毎に前記基板上に配置されている複数の発光ダイオードを備えるので、発光ダイオードを用いた光源において、不良発光ダイオードを検出することができる。また、初期化処理時に不良発光ダイオードを検出することができるので、不良発光ダイオードの検出のためにのみ時間を要しない。
【0016】
本発明の第2の態様に係る原稿読み取り装置において、前記検出部は、前記初期化処理時に、前記原稿読み取り部によって得られた明るさに関する分布と、前記基板上における前記各グループの配置とに基づいて、前記不良発光ダイオードの検出を実行しても良い。グループ単位にて不点灯となるので、明るさに関する分布の差異が明瞭となり、各グループの配置に基づいて不良発光ダイオードを検出することができる。
【0017】
本発明の第2の態様に係る原稿読み取り装置において、前記初期化処理は、前記光源を用いた前記原稿読み取り部の読み取り感度のばらつきを補正するための処理であっても良い。この場合には、読み取り感度補正と共に不良発光ダイオードを検出することができる。
【0018】
本発明の第2の態様に係る原稿読み取り装置において、前記原稿読み取り部は、前記検出部によって不良発光ダイオードが検出された場合には、原稿の読み取りを実行しなくても良い。この場合には、光量不足による読み取り画像データの品質低下を抑制または防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る光源装置および原稿読み取り装置について、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
【0020】
・第1の実施例
第1の実施例では、光源装置を例にとって説明する。
・光源装置の構成
図1は本実施例に係る光源装置の概略構成を模式的に示す説明図である。図2は本実施例に係る光源装置が備える制御部の機能構成を示す説明図である。
【0021】
図1は、例えば、平面視において略長方形形状を有する光源装置10を所定の位置にて切断した断面を模式的に示している。光源装置10は、光源20、反射部110、光電変換部120および制御部30を備えている。光源20は、基板21および発光ダイオード22を備えている。基板21における発光ダイオード22の実装面は、反射面としても作用するように白色に塗られている。本実施例では、側面発光型の発光ダイオードを発光ダイオード22として用いる。なお、基板21の実装面の色は白色に限られず、銀色、緑色等の色であっても良い。また、発光ダイオード22には、平面(頂面)発光型の発光ダイオードが用いられても良い。光源20の詳細な構成については、後述する。
【0022】
反射部110は、光源20から射出された射出光を予め予定されている光路LPへと導く。具体的には、反射部110は、光源20からの射出光を反射によって所望の照射方向へ収束させる。
【0023】
光電変換部120は、受光量に応じた電圧値を出力する半導体素子であり、一般的に、入射光を電荷に変換する受光素子と、受光素子において発生した電荷を転送するための素子を備える。光電変換部120としては、例えば、転送回路に電荷結合素子(CCD)を用いたCCDセンサ、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)を用いたCMOSセンサを用いることができる。光電変換部120には、光源20からの入射光量(受光量)を調整するためのフィルタが備えられていても良い。なお、光電変換部120は、後述する原稿読み取り装置に備えられる場合には、省略されても良い。
【0024】
制御部30は、光源装置10の動作を制御する。制御部30は、双方向バス34によって相互に接続されている中央処理装置(CPU)31、メモリ32、入出力インターフェース33を備えている。入出力インターフェース33は、光源20および光電変換部120と接続されている。CPU31は、メモリ32に格納されている各種プログラム、モジュールを実行する。メモリ32には、不良発光ダイオードの検出処理を実行するために検出実行モジュールM1、光源20の点灯・消灯、あるいは、光量を調整するための光源制御モジュールM2を備えている。CPU31が検出実行モジュールM1を実行することによって、検出部の機能が実現される。
【0025】
光源20の詳細な構成について説明する。図3は本実施例に係る光源装置に用いられる発光ダイオード光源を実装面からみた構成の一例を示す説明図である。図4は本実施例に係る光源装置に用いられる発光ダイオード光源を実装面の裏面から見た構成の一例を示す説明図である。図5は本実施例に係る光源の回路構成を模式的に示す説明図である。
【0026】
本実施例の光源20では、長尺状の基板21の長手方向に沿って所定間隔で複数の発光ダイオード22が配置されている。基板21の一端には、電流回路と接続するためのコネクタ23が備えられている。既述の通り、発光ダイオード22は側面発光型の白色発光ダイオードであり、発光面が基板21の長辺近傍に位置するように基板21の中心線に対してオフセットして配置されている。ここで、本実施例では、長尺状の基板21に対する発光ダイオード22の実装を容易にするため、発光ダイオード22の実装時には複数の基板21が一体化された原基板が用いられる。したがって、基板21の切り離し時に発光ダイオード22が損傷を受けないよう、発光ダイオード22は、基板21の外縁部上には配置されていない。
【0027】
複数の発光ダイオード22は、隣接する3または4個の発光ダイオード22毎にグループ化されている。図3の例では、複数の発光ダイオード22は、コネクタ23側から、第1のグループG1、第2のグループG2、第3のグループG3、第4のグループG4および第5のグループG5の順にグループ化されている。第1のグループG1、第3のグループG3、および第5のグループG5には4個の発光ダイオード22が含まれ、第2のグループG2および第4のグループG4には3個の発光ダイオード22が含まれている。なお、基板21上に配置される発光ダイオード22の数、各グループに含まれる発光ダイオード22の数は1または複数の任意の数で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0028】
各グループG1〜G5における発光ダイオード22は、図4に示すように、電源線201〜205に対して直列に接続されている。この結果、グループ内に発光不良な発光ダイオードが含まれる場合には、当該グループに含まれる全ての発光ダイオードが発光しない。一方、各グループG1〜G5における末端の発光ダイオード22は、共通の接地線GLに接続されている。この結果、配線数を低減することができる。なお、図4では、電源線201〜205を明瞭に示すため、基板21の幅を大きく取っている。
【0029】
基板21の裏面には、実装されている発光ダイオード22に関する情報が記載される記載部25が設けられている。発光ダイオード22に関する情報としては、例えば、発光ダイオードの輝度に関するランク、色味に関するランクが含まれる。これら情報によって、発光ダイオードの特性を示すことが出来る。記載部25には、ランクに対応する数値・記号といったコードが記載されていてもよく、あるいは、ランクに応じた複数のチェック欄が用意されていても良い。チェック欄が用意されている場合には、該当するチェック欄に対して、チェック(印)が記される。
【0030】
本実施例における光源20の回路構成について、図5を参照して説明する。各グループG1〜G5は、コネクタ23を介して、それぞれ第1定電流源261、第2定電流源262、第3定電流源263、第4定電流源264および第5定電流源265が接続されている。各グループG1〜G5毎に定電流源261〜265を備えることで、各グループG1〜G5を構成する発光ダイオード22に適した電流を個別に供給することができる。すなわち、定電流源(回路)の外部に別途、電流制限抵抗を備えなくても良い。したがって、1つの定電流源を用いる場合における、電流制限抵抗を用いた各グループG1〜G5に対する個別の電流調整が不要となる。
【0031】
電流制限抵抗を別途要しないので、電流制限抵抗を実装することによる発光ダイオード22の点灯不良、すなわち、基板に対する電流制限抵抗の実装(半田付け)の不具合に起因する発光ダイオード22の点灯不良を抑制または防止することができる。同様のことは、定電圧源を電源として用いる場合にも当てはまる。発光ダイオード22は電流値によって光量が変化するので、定電圧源を用いる場合には、抵抗を用いて発光ダイオード22に入力される電流値を制御しなければならないからである。
【0032】
・不良発光ダイオードの検出処理
本実施例に係る光源装置10によって実行される不良発光ダイオードの検出処理について説明する。図6は発光ダイオードのグループ位置と光量の分布の関係の一例を示す説明図である。図6において特性線L1は不良発光ダイオードが存在しない場合に得られる光量の分布を示し、特性線L2は第2グループG2に不良発光ダイオードが含まれている場合に得られる光量の分布を示している。
【0033】
CPU31が検出実行モジュールM1を実行すると、光電変換部120が光路LPへと移動される。CPU31は光源制御モジュールM2を実行して光源20をオンする。CPU31は光電変換部120を介して得られた受光量の分布と、光源20における発光ダイオード22の配置位置とから、不良発光ダイオードが属するグループを決定する。
【0034】
具体的には、本実施例では、発光ダイオードはグループ単位でかたまって配置されていると共にグループ単位にて直列接続されている。したがって、1のグループ内に発光不良な発光ダイオードが含まれている場合には、当該グループに属する全ての発光ダイオードが発光しない。この結果、図6に示す光量分布特性線L2において、不良発光ダイオードを含む第2のグループG2に対応する位置における受光量の低下を検出することが可能となり、不良発光ダイオードを含むグループを特定することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施例に係る光源装置10によれば、基板21上に1または複数の発光ダイオード22を直列に接続すると共に、グループ単位で配置したので、発光不良の発光ダイオードを検出することができる。すなわち、各グループG1〜G5において発光ダイオード22は直列接続されているので、グループ内に発光不良の発光ダイオードが含まれる場合には、グループ単位にて不点灯となる。したがって、光源20の輝度(光量)分布と、基板21上における各グループG1〜G5の位置との対応関係から、発光不良の発光ダイオードを含むグループを特定することができる。
【0036】
また、本実施例では、各グループG1〜G5に対して、それぞれ定電流源261〜265が備えられているので、電流制限抵抗を用いて各グループに対して供給される電流値を調整しなくて良い。この結果、電流制限抵抗の実装不良、例えば、半田不良に起因する発光ダイオードの不点灯を抑制または防止することができる。したがって、光源装置10の信頼性を向上させることができる。
【0037】
さらに、光源装置10に光電変換部120を備えることによって、光源装置10自身で、発光不良の発光ダイオードの有無を検出することができる。
【0038】
・第2の実施例
第2の実施例では、原稿読み取り装置を例にとって説明する。
・原稿読み取り装置の構成
【0039】
図7は本実施例に係る原稿読み取り装置の概略構成を模式的に示す説明図である。図8は本実施例に係る原稿読み取り装置が備える制御部の機能構成を示す説明図である。原稿読み取り装置40は、光源41、原稿載置ガラス421、原稿カバー422、走査ユニット43、可動ミラーユニット44、光学レンズユニット45、撮像ユニット46を備えている。
【0040】
本実施例では光源41として、透過用光源411および反射用光源412が用いられる。各光源411、412は原稿載置ガラス421に対して主走査方向に延びる長尺状体である。透過用光源411は原稿カバー422内に、反射用光源412は走査ユニット43内に配置されている。走査ユニット43には、反射用光源412の他に反射鏡431が備えられている。透過用光源411および走査ユニット43は、矢印方向に移動して、原稿載置ガラス421上に載置されている原稿60を走査して、原稿60の読み取りを実行する。
【0041】
可動ミラーユニット44は反射鏡441、442を備えている。可動ミラーユニット44もまた、走査ユニット43と連動して、原稿読み取りの際には矢印方向へ移動する。両ユニット42、43は、例えば、タイミングベルトを用いた周知の駆動機構によって駆動される。
【0042】
光学レンズユニット45は、1または複数のレンズを備え、可動ミラーユニット44から入力された光を撮像ユニット46上に集光させる。撮像ユニット46は、例えば、CCDセンサまたは、CMOSセンサといった光電変換装置である。
【0043】
第2の実施例における各光源411、412は、第1の実施例に係る光源装置10が備える光源20と同様の構成を備えている。すなわち、基板上に複数の発光ダイオードがグループ別に配置されている。なお、各光源411、412は少なくともいずれか一方が備えられていれば良い。
【0044】
制御回路50は、光源41のオン・オフ、走査ユニット43および可動ミラーユニット44の動作を制御する。制御回路50は、撮像ユニット46を介して原稿60の読み取り画像データを取得する。
【0045】
制御回路50は、図7に示すように、双方向バス54によって相互に接続されている中央処理装置(CPU)51、メモリ52、入出力インターフェース53を備えている。入出力インターフェース53は、光源40および撮像ユニット46、走査ユニット43および可動ミラーユニット44と接続されている。CPU51は、メモリ52に格納されている各種プログラム、モジュールを実行する。メモリ52には、不良発光ダイオードの検出処理を実行するために検出実行モジュールM1、光源41の点灯・消灯、あるいは、光量を調整すると共に原稿の読み取りを実行するための原稿読取制御モジュールM2、初期化処理を実行するための初期化処理実行モジュールM3を備えている。CPU51が検出実行モジュールM1を実行することによって、検出部が実現され、原稿読取制御モジュールM2を実行することによって、原稿読み取り部が実現され、初期化処理実行モジュールM3を実行することによって、初期化処理実行部が実現される。
【0046】
撮像ユニット46によって読み取られ、生成された画像データはメモリ52に記録される。なお、メモリ52には、揮発性メモリ、不揮発性メモリの双方が含まれ得る。
【0047】
本実施例において実行される初期化処理は、例えば、原稿読み取り装置40の起動時、原稿読み取り開始前のタイミングにて実行される処理であり、シェーディング処理とも呼ばれる。初期化処理では、光源40の照射光を用いて、白基準を決定する処理である。決定された白基準を用いて、撮像ユニット46(光電変換素子)のばらつきの補正、あるいは、光源40を構成する発光ダイオードの光量のグループ単位での補正が実行される。光源40の初期化処理が初期化時に実行される場合には、透過用光源411から照射される光を撮像ユニット46によって読み取ることによって実行される。初期化処理が原稿読み取り前に実行される場合には、原稿60が載置されていない位置に走査ユニット43を移動させて、透過用光源411から照射される光を撮像ユニット46によって読み取ることによって実行される。
【0048】
初期化処理では、反射用光源412を用いて同様の処理が実行されても良い。すなわち、原稿カバー422の内面を白色とし、原稿カバー422内面を反射し得t撮像ユニット46に入力された光を白基準として用いても良い。
【0049】
なお、初期化処理として、シェーディング処理とは別に、光源40の不良検出のために、光源40から照射される光の光量分布を検出する処理を実行しても良い。
【0050】
・不良発光ダイオードの検出処理
本実施例に係る原稿読み取り装置40によって実行される不良発光ダイオードの検出処理について説明する。
【0051】
CPU51は、原稿読み取り装置40に対する起動要求を検出すると、原稿読取制御モジュールM2を実行すると共に、初期化処理実行モジュールM3を実行する。これにより、光源40(透過用光源411または反射用光源412のいずれか)がオンされる。CPU51は検出実行モジュールM1を実行し、撮像ユニット46を介して得られた受光量の分布と、光源40における発光ダイオード22の配置位置とから、不良発光ダイオードが属するグループを決定する。具体的な説明は、図6を用いて第1の実施例において説明したとおりである。
【0052】
CPU51は、不良発光ダイオードが属するグループを決定すると、原稿読取制御モジュールM2を実行し、原稿の読み取り操作を中止、または、原稿読み取り要求を受け付けない。光源40が正常に点灯しない状態において原稿60の読み取りを実行すれば、読み取りの結果得られる画像データの品質が低下するからである。CPU51は、さらに、原稿読取制御モジュールM2を実行し、原稿読み取り装置40に備えられている表示部を介して、不良発光ダイオードが属するグループを表示する。表示部としては、文字、図形を表示可能なディスプレイ装置、グループを特定可能に点灯するランプ等が用いられる。
【0053】
以上説明したように、本実施例に係る原稿読み取り装置40によれば、基板上に1または複数の発光ダイオードを直列に接続すると共に、グループ単位で配置する光源41を備えるので、初期化処理時に、発光不良の発光ダイオードを検出することができる。すなわち、各グループにおける発光ダイオードは直列接続されているので、グループ内に発光不良の発光ダイオードが含まれる場合には、グループ単位にて不点灯となる。したがって、初期化処理時に、光源41の輝度(光量)分布を取得し、基板上における各グループの位置との対応関係から、発光不良の発光ダイオードを含むグループを特定することができる。また、不良発光ダイオードを含むグループを交換することによって、常に、十分な光源光量を提供することができる。これに対して、グループ単位にて配置されていない従来技術では、そもそも、隣接する発光ダイオードの点灯によって、不良発光ダイオードの有無すら検出できず、十分な光源光量を保証することができなかった。
【0054】
また、グループ単位にて不良発光ダイオードを特定することができるので、不良発光ダイオードを含むグループのみを交換すれば良く、全ての発光ダイオードを交換しなければならなかった従来と比較して、発光ダイオードの交換コストを低減することができる。
【0055】
さらに、初期化処理として、白基準を決定するためのシェーディング処理を実行することにより、発光不良の発光ダイオードを検出するための処理を別途実行することなく、発光不良の発光ダイオードを検出することができる。したがって、原稿読み取り装置40のユーザーには、発光不良の発光ダイオードを検出処理のために、原稿読み取りの実行を待たなくて良いという利点がある。
【0056】
また、本実施例に係る原稿読み取り装置40によれば、光源41の他は既存の原稿読み取り装置の構成を利用して、不良発光ダイオードを検出することができる。したがって、光源41まわりの設計を変更するだけで、容易に本実施例により得られる利点を得ることができる。
【0057】
・その他の実施例:
(1)第1の実施例では、基板21上に一列に並ぶ発光ダイオード22を光源20の一例として説明したが、発光ダイオード22は2列以上の複数列であってもよく、あるいは、ブロック状に固まりをなして配置されていてもよい。いずれの場合にも、発光ダイオードの配置領域、例えば基板21上を複数の領域に分割した場合に、分割された各領域と1または複数の発光ダイオードからなるグループとが対応付けられており、また、不良発光ダイオードが含まれている場合にはグループ単位で不点灯となるように構成されていれば良い。この場合には、光量分布特性を用いて不良発光ダイオードを含むグループを特定することができる。
【0058】
(2)上記実施例では、光量または輝度の分布特性に基づいて不良発光ダイオードを含むグループを特定しているが、この他にも、例えば、明度、色温度といった発光ダイオードの照射の有無を検出可能なパラメータを種々用いることができる。
【0059】
(3)第1および第2の実施例では、白色の発光ダイオード22を用いているが、この他にも、種々の色の発光ダイオードが用いられ得る。例えば、3原色光源として、赤色、緑色、青色の発光ダイオードが、それぞれグループ単位にて備えられていてもよく、また、ネガフィルム透過用光源として、赤外発光ダイオードが備えられても良い。
【0060】
(4)第2の実施例に係る原稿読み取り装置40では、走査ユニット43が移動することによって原稿60の読み取りが行われているが、固定されている走査ユニット上を原稿60が移動しても良い。すなわち、原稿と走査ユニット(読み取り部)とが相対的に移動すれば良い。また、原稿とは、文書、画像その他、読み取りの対象となる対象を意味する。
【0061】
(5)上記実施例では、光源装置10(40)が原稿読み取り装置40に適用される例を説明したが、この他にも、ファクシミリ、複写機、複合機といった、均一な光源を要する種々の装置に用いることができる。さらに、感光ドラム上に潜像を形成するために発光ダイオードを用いるプリンタに対して適用されても良い。
【0062】
(6)第1の実施例では、光電変換部120を用いて不良発光ダイオードの検出を行っているが、各グループG1〜G5毎に電流計を設け、各グループG1〜G5における通電状態に基づいて不良発光ダイオードの検出を行っても良い。この場合には、不良発光ダイオードを含むグループには電流が流れなくなり、通電状態に基づいて不良発光ダイオードを含むグループを特定することができる。
【0063】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施例に係る光源装置の概略構成を模式的に示す説明図である。
【図2】第1の実施例に係る光源装置が備える制御部の機能構成を示す説明図である。
【図3】第1の実施例に係る光源装置に用いられる発光ダイオード光源を実装面からみた構成の一例を示す説明図である。
【図4】第1の実施例に係る光源装置に用いられる発光ダイオード光源を実装面の裏面から見た構成の一例を示す説明図である。
【図5】第1の実施例に係る光源の回路構成を模式的に示す説明図である。
【図6】発光ダイオードのグループ位置と光量の分布の関係の一例を示す説明図である。
【図7】第2の実施例に係る原稿読み取り装置の概略構成を模式的に示す説明図である。
【図8】第2の実施例に係る原稿読み取り装置が備える制御部の機能構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
10…光源装置
110…反射部
12…光電変換部
20…光源
201〜205…電源線
21…基板
22…発光ダイオード
23…コネクタ
25…記載部
261〜265…定電流源
30…制御部
31…中央処理装置(CPU)
32…メモリ
33…入出力インターフェース
34…双方向バス
40…原稿読み取り装置
41…光源
411…透過用光源
412…反射用光源
421…原稿載置ガラス
422…原稿カバー
43…走査ユニット
431…反射鏡
44…可動ミラーユニット
441、442…反射鏡
45…レンズユニット
46…撮像ユニット
50…制御回路
51…中央処理装置(CPU)
52…メモリ
53…入出力インターフェース
54…双方向バス
M1…検出実行モジュール
M2…光源制御モジュール
M21…原稿読取制御モジュール
M3…初期化実行モジュール
LP…光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置であって、
基板と、
1または直列に接続されている複数の発光ダイオードを含む複数のグループに区分され、前記グループ毎に前記基板上に配置されている複数の発光ダイオードと、
前記グループ毎に備えられ、各前記グループにおける前記1または複数の発光ダイオードに接続されている複数の定電流源と、
前記発光ダイオードに対する通電を伴う初期化処理時に、発光不良な不良発光ダイオードを検出する検出部とを備える光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記検出部による不良発光ダイオードの検出は、前記不良発光ダイオードを含むグループを検出することによって実行される光源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光源装置において、
前記検出部は、前記各グループに対する通電状態に基づいて前記不良発光ダイオードを含むグループを検出する光源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光源装置において、
前記検出部はさらに、配置されている前記発光ダイオードの明るさに関する分布を取得するための光電変換部を備え、
検出された明るさに関する分布と前記基板上における前記各グループの配置とに基づいて前記不良発光ダイオードの検出を実行する光源装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光源装置において、
前記複数の発光ダイオードは共通の接地線に接続されている光源装置。
【請求項6】
原稿読み取り装置であって、
1または直列に接続されている複数の発光ダイオードを含む複数のグループに区分され、前記グループ毎に基板上に配置されている複数の発光ダイオードと、
前記グループ毎に備えられ、各前記グループにおける前記1または複数の発光ダイオードに接続されている複数の定電流源とを備える光源と、
原稿の読み取りを実行する原稿読み取り部と、
前記原稿読み取り部の読み取り感度のばらつきを補正するために、発光させた前記光源および前記原稿読み取り部を用いて前記初期化処理を実行する初期化処理実行部と、
前記初期化処理時に、発光不良な不良発光ダイオードを検出する検出部とを備える原稿読み取り装置。
【請求項7】
請求項6に記載の原稿読み取り装置において、
前記検出部は、前記初期化処理時に、前記原稿読み取り部によって得られた明るさに関する分布と、前記基板上における前記各グループの配置とに基づいて、前記不良発光ダイオードの検出を実行する原稿読み取り装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の原稿読み取り装置において、
前記初期化処理は、前記光源を用いた前記原稿読み取り部の読み取り感度のばらつきを補正するための処理である原稿読み取り装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれかに記載の原稿読み取り装置において、
前記原稿読み取り部は、前記検出部によって不良発光ダイオードが検出された場合には、原稿の読み取りを実行しない原稿読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−25441(P2009−25441A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186774(P2007−186774)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】