説明

光源装置および照明装置

【課題】放電ランプおよび発光ダイオードを一体的に備えた光源装置において、グロー放電試験を行っても発光ダイオードが破壊されることを防止できる光源装置およびこの光源装置を用いた照明装置を提供する。
【解決手段】発光ダイオードLD1,LD2,LD3に対して保護手段LDGが並列に接続されている。保護手段LDGは、発光ダイオードLD1,LD2,LD3の直列回路に対して、逆極性のダイオードD2を接続してなるものであり、グロー放電試験時に印加される電界により配線間に逆電圧が発生しても、発光ダイオードLD1,LD2,LD3に加わらないようにバイパスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば蛍光ランプなどの放電ランプと発光ダイオードとを備える光源装置およびこの光源装置を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱電球用のソケットに装着可能なE26口金を備え、インバータを内蔵した省電力型の電球形蛍光ランプ装置が商品化されている。
【0003】
そして、この種電球形蛍光ランプ装置として、照明ユニットの中に、第1照明素子(蛍光ランプ等の主光源)と第2照明素子(発光ダイオード等の補助光源)とを備え、通常の光とオリエンテーションの光(ナイトランプまたは常夜灯等ともいう。)との切り替えを行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2004−538601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放電ランプに対しては、通常はその出荷前にバルブのリークによる不点を検知するためにグロー放電試験が行われている。このグロー放電試験とは、一般にテスラーコイルと称される試験器により、放電ランプのバルブにその外部から電界を与え、バルブ内でグロー放電が発生したか否かを視認するものである。すなわち、バルブにリークが発生していればグロー放電が発生せず、リークが無ければグロー放電が発生する。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように発光ダイオードを備えた電球形蛍光ランプ装置では、電球形蛍光ランプ装置に前記電界を与えると、電気回路に電圧が発生して発光ダイオードに印加することがある。発光ダイオードに印加される電圧の極性、値は、電界の与え方すなわち試験子および電球形蛍光ランプ装置の相対位置関係により不規則である。発光ダイオードは種類によって異なるが、10Vオーダーの逆電圧を印加されると破壊に至ることが知られている。
【0006】
したがって、特許文献1の電球形蛍光ランプ装置のように、グロー放電試験によって発光ダイオードに不所望な電圧が印加されることについて考慮されていない場合には、グロー放電試験時に発光ダイオードが破壊されてしまうことが予測される。
【0007】
本発明は放電ランプおよび発光ダイオードを一体的に備えた光源装置において、グロー放電試験を行っても発光ダイオードが破壊されることを防止できる光源装置およびこの光源装置を用いた照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の光源装置は、放電ランプおよび発光ダイオードを一体的に有している光源と;発光ダイオードに並列的に接続され、発光ダイオードに印加しようとする逆電圧から発光ダイオードを保護する保護手段と;を具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明および以下の発明において、特に断わらない限り、各用語の意味または定義はつぎのとおりである。放電ランプとは、蛍光ランプのような熱陰極形の低圧放電灯、冷陰極形の低圧放電灯、高輝度放電灯(HID)等を含むものである。発光ダイオードは、特許文献1のように常夜灯として機能するものであってもよいが、放電ランプと同時に点灯して混色用として作用するもの、あるいは、放電ランプが高輝度放電灯の場合にその光束立上りを補う補助灯として作用するもの等用途は限定されない。そして、放電ランプおよび発光ダイオードが一体的とは、その結合手段を特徴的構成とするのではなく、放電ランプのグロー放電試験時に電界により発光ダイオードの回路に電圧が発生し、かつ、この電圧が発光ダイオードに破壊電圧として印加する可能性がある程度に両者が接近して結合されていることを意味する。
【0010】
また、保護手段は発光ダイオードに大きな逆電圧が印加することを防止できればよく、例えば発光ダイオードの極性と逆向きに接続されるダイオード、ツェナーダイオード、抵抗等のインピーダンス素子、所定の電圧値で導通するスイッチング素子およびこれらを組合わせたもの等を許容する。
【0011】
保護手段を並列的に接続するとは、直接並列接続する他、自己または発光ダイオードに直列接続された他の部品を含んで並列接続する場合を含むことを意味する。また、発光ダイオードが複数個用いられる場合、保護手段を、発光ダイオード個々にあるいは全体に対して設けることができる。
【0012】
請求項1記載の発明は、光源装置の出荷前に、必要に応じて放電ランプに対してグロー放電試験を行う。グロー放電試験に用いられるテスラーコイル等により電界を加えられることによって、配線間(印刷配線を含む)に不規則な極性、値の電圧が生じ得る。例えば、発光ダイオードに対して逆極性の電圧が発生し、発光ダイオードに印加しようとするが、保護手段はこの電圧をバイパスさせて発光ダイオードに過大な逆電圧が印加することを防止する。これにより、発光ダイオードは逆耐圧を超えた電圧を印加されて破壊することがない。また、他の要因によって逆電圧が印加しようとしても同様に保護する。
【0013】
請求項2記載の光源装置は、電源に接続されるソケットに対して着脱可能な口金を有する本体と;本体に取付けられた主光源としての屈曲形の蛍光ランプと;蛍光ランプの照射方向に光を出力するように本体に取付けられた補助光源としての発光ダイオードと;本体内に設けられた蛍光ランプの点灯装置と;本体に設けられた発光ダイオードの点灯装置と;発光ダイオードに並列的に接続され、発光ダイオードに印加しようとする逆電圧から発光ダイオードを保護する保護手段と;を具備したことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明において、本体の口金は一般電球のような捩じ込み形、コンパクト蛍光ランプのようなピン差込形等のいずれであってもよい。屈曲形の蛍光ランプは、被照射面を照明する主要な光源として作用し、その形状は例えばU字形状、H字形状、U字またはH字管を並設して連結した形状、W字形状、ヘリカル形状であるが、これらに限られずどのような形状であってもよい。
【0015】
発光ダイオードは、被照射面を補助的に照明する光源として作用し、光の照射方向が蛍光ランプの照射方向の少なくとも一部と一致する、すなわち被照射面からみて蛍光ランプの補助光として機能することを要する。したがって、前記機能を満たせば、取付け位置は特に限定されない。
【0016】
また、蛍光ランプの点灯装置は、特に限定されないがインバータ等によって構成され、蛍光ランプを高周波点灯するものが、小形、軽量化の点で有利である。発光ダイオードの点灯装置は、通常、整流装置、限流抵抗および必要に応じて定電流手段を用いて構成することができる。しかしながら、蛍光ランプの点灯装置の一部を兼用することが可能であったり、点灯電源に応じて変形可能であったりするから、特に限定されるものではない。
【0017】
さらに、本体には、蛍光ランプおよび発光ダイオードの点灯を選択する制御手段を設けるようにしてもよい。制御手段の作動を制御するための信号としては、電源スイッチの入り切りおよびその時間との関係とするのが最も簡便である。
【0018】
請求項2記載の発明は、例えば特許文献1のように、通常は蛍光ランプが被照射面を照明する。また、発光ダイオードを選択したときに、常夜灯として機能させてもよい。このような光源装置の出荷前のグロー放電試験、発光ダイオードの保護についての作用は、請求項1記載の発明と同様である。
【0019】
請求項3記載の光源装置は、環形に形成された蛍光ランプと;発光ダイオードおよび発光ダイオードの点灯装置を有し、発光ダイオードが蛍光ランプの照射方向の少なくとも一部と同じ方向に光を照射するように蛍光ランプに一体的に取付けられた補助光源と;発光ダイオードに並列的に接続され、発光ダイオードに印加しようとする逆電圧から発光ダイオードを保護する保護手段と;を具備したことを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明において、環形の蛍光ランプは、円形、角形、あるいはこれらを多重環形にしたもののいずれでもよい。このような、蛍光ランプは、一般には点灯装置を備えた照明器具に装着されて使用される。
【0021】
補助光源は、蛍光ランプの口金またはその近傍に設けるようにするのが構造上および光出力の障害になり難いという点から好ましいが、半面、発熱量が大きいフィラメントから離間できる点ではバルブの口金部から遠ざけて取り付けるのが有利である。
【0022】
請求項3記載の発明の主要な作用は、請求項1または2記載の発明と同様である。
【0023】
請求項4記載の発明の照明装置は、照明器具本体と;照明器具本体に設けられた請求項1ないし3いずれか一記載の光源装置と;を具備したことを特徴とする。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3に記載の発明が有する光源装置を備えた照明装置を提供する。したがって、発光ダイオードが出荷前にグロー放電試験によって破壊された光源装置を装着することがない。
【発明の効果】
【0025】
請求項1〜3記載の発明は、放電ランプと発光ダイオードとを備えた光源装置であって、放電ランプのグロー放電試験時の電界によって発光ダイオードに対する逆電圧が発生しても、保護手段によって発光ダイオードの破壊を防止できる。もちろん、他の要因による逆電圧に対しても保護することができる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載のいずれかの光源装置を備えた照明装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の一実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1は光源装置の一実施形態を示す一部断面正面図、図2は同じくグローブを透視した平面図、図3は同じく分解斜視図、図4は同じく点灯装置の一部を拡大して示す部分断面図、図5は同じく点灯装置の一例を示す回路図、図6は光源装置のグロー放電試験の概念図である。
【0028】
本実施形態は、光源装置として電球形蛍光ランプ装置に適用した例を示している。この電球形蛍光ランプ装置は、放電ランプとしての蛍光ランプ1、点灯装置2、カバー3、口金4、グローブ5、仕切り部材6、補助光源である発光ダイオードLD1,LD2,LD3を備えている。蛍光ランプ1は、透光性バルブ1a、蛍光体層、放電媒体、電極1b等を有している。透光性バルブ1aは、4個のU字状ガラス管1a1を互いに連結して構成されている。
【0029】
以後、カバー3、口金4、グローブ5、仕切り部材6などの外形部分を本体BDと称する。本体BDは、電球用の口金4が固定されたカバー3にグローブ5を固定することで、外形が電球の形状をなすよう構成されている。
【0030】
カバー3は、白色の遮光性の耐熱性合成樹脂をカップ状の筒体に成形して構成されている。そして、基端3aが細く絞られ、先端3bが開口し、内部が空洞を形成していて、点灯装置2の殆どを包囲している。
【0031】
カバー3は、その内部に仕切り部材6および点灯装置2を収納するとともに、蛍光ランプ1を支持し、かつ、基端3aに口金4を支持する。さらに、この例のようにグローブ5を備えたものの場合、カバー3は、グローブ5を固定している。
【0032】
グローブ5は、透光性のものであり、カバー3に取り付けられて、蛍光ランプ1とダイオードLD1,LD2,LD3を内部に収容するものである。より具体的には、グローブ5は、透明ガラスバルブの内面に形成された光拡散性微粒子を含む塗付膜によって乳白色の透光性および光拡散性を備え、A形をなしている。グローブ5の基端は、カバー3の先端の開口に接続されており、グローブ5およびカバー3は、外囲器AJを形成している。
【0033】
発光ダイオードLD1,LD2,LD3は、グローブ5または本体のほぼ中心軸上に仕切り部材6に固定されたLED支持部材7によって、先端がU字状ガラス管1a1(発光管)よりも少なくとも高い位置に支持されている。図1では矢印Cに示されている。
【0034】
LED支持部材7は、複数のU字状ガラス管1a1(発光管)に囲まれたほぼ中心位置に発光室Aの側に突出するように仕切り部材6に固定または一体成形されている。LED支持部材7は、断面が円形、多角形、側面を凹湾曲させた多角形等の筒形状をなし、内部に発光ダイオードLD1,LD2,LD3用の配線8が挿通されている。LED支持部材7は、反射機能を発揮させるために表面の色が白色または銀色となるように形成されており、その材質は、耐熱性樹脂、金属、ガラス、セラミック等からなるものである。
【0035】
なお、筒の外形は、太すぎると、バルブに近づきすぎて光の再吸収率が高くなったり、裏面側のU字状ガラス管1a1の側への光の透過効果が低下したりして全光束が低下する恐れがあるため、例えば最大径を8mm以下にすることが好ましい。
【0036】
LED支持部材7は、直下照度をできるだけ多く取るため、グローブ5と発光ダイオードLD1,LD2,LD3の先端との間隔(図1の矢印B)が例えば3mm〜10mmとなるように発光ダイオードLD1,LD2,LD3を支持している。発光ダイオードLD1,LD2,LD3とグローブ5との距離が近いほど直下照度が高くなるが、製造ばらつきを考慮して互いが接触しない程度に離す必要があり、互いの間隔は、上記3mm〜10mmとすることが好ましい。
【0037】
また、発光ダイオードLD1,LD2,LD3は、LED支持部材7の高さの分だけ透光性バルブ1aの端部の電極1bより離間されていることになり、それだけ電極1bの熱影響を受け難く温度特性上有利になっている。
【0038】
以上のように、発光ダイオードLD1,LD2,LD3は、少なくともその発光チップ部分が複数個のU字状ガラス管1a1に囲まれた空間のほぼ中心位置であって、かつその先端部分がU字状ガラス管1a1の先端よりも、グローブ5側に突出している。このような構成により、発光ダイオードLD1,LD2,LD3のみを点灯させた場合、蛍光ランプ1が影になり難く、円形でムラのない配光に近づけることができる。
【0039】
仕切り部材6は、図3に示すように、下方が開放し頂部が閉塞した筒部6aおよび筒部6aの外側に突出した鍔部6bを備えている。そして、筒部6aの頂面6a1に蛍光ランプ1の透光性バルブ1aのU字状ガラス管1a1の両端のシール部1a3近傍を挿入する挿入孔6a2が形成されている。 このような仕切り部材6は、本体BDの内部を発光室Aと回路収容室Bとに区分するように本体BDに固定されている。
【0040】
仕切り部材6の挿入孔6a2には、U字状ガラス管1a1のシール部1a3が挿入され、シリコーン接着剤(図示しない。)により仕切り部材6に接着されている。仕切り部材6は、蛍光ランプ1を支持し固定している。また、仕切り部材6の筒部6aの下端内部には、配線基板2aが挿入され支持されている。
【0041】
さらに、仕切り部材6は、その鍔部6bがカバー3の開口部近傍の内面に当接するようにカバー3内に挿入され、上からグローブ5の開口端がカバー3の開口端に挿入した状態でシリコーン接着剤(図示しない。)によって固着されている。
【0042】
透光性バルブ1aは、外径10mmの4本のU字状ガラス管1a1を3つの連結管1a2によって連結し、かつ、各U字状ガラス管1a1が円周上にほぼ等間隔で配置されるように形成されている。前記連結管1a2は、吹き破り法などによって形成されている。なお、外径10mmの3本のU字状ガラス管1a1を2つの連結管1a2によって連結したものであってもよい。
【0043】
各U字状ガラス管1a1の下端には、シール部1a3が設けられている。また複数の中の一つのU字状ガラス管1a1の下端には、細管1a4が設けられている。細管1a4は、シール部1a3から下方へ突出して設けられており、透光性バルブ1aの内部に連通している。
【0044】
この例の細管1a4は、U字状ガラス管1a1の下端より下方へ突出し一部が屈曲している。細管1a4は、連結されたU字状ガラス管1a1の中で最も温度が低くなる部分であり、比較的高い水銀蒸気圧特性を有する主アマルガム(図示せず)を収納する場合に利用する。電球形蛍光ランプは、点灯中、高温になるため、高温下での水銀蒸気圧を最適に制御するためにアマルガムを採用するのが一般的である。アマルガムを用いることにより、周囲温度の変化に対しても水銀蒸気圧を安定に制御でき、したがって安定した光出力を得ることができる。
【0045】
透光性バルブ1aは、内部に屈曲された放電路が形成されるようにコンパクトな形に形成されており、より小形化のためには外径が13mm以下、好ましくは8〜11mm、さらにいっそう小形化を図るには3〜9mmが好適である。透光性バルブ1aの両端には一対の電極1bがシール部1a3を介して封装されている。
【0046】
また、口金4をカバー3に支持させるための手段は、特に制限されないので、既知の支持手段、例えばポンチによるカシメや接着などによって支持すればよい。
【0047】
次に、配線基板2aについて説明する。配線基板2aは、図4に示すように回路部品を装着した第1の面Xとこれらの回路部品の端子を半田付けした第2の面Yとを有している。回路部品は、外部のスイッチのオン・オフ操作により供給、または供給停止される交流電源電圧を整流(必要に応じて平滑)して、蛍光ランプ1を点灯するインバータINV等からなる点灯装置2の構成部品(スイッチング素子Q1〜Q3、ダイオードD1、トリガダイオードDB3、コンデンサC1、C3…、抵抗素子R1〜R6…等)を含む。また、回路部品は、発光ダイオードLD1,LD2,LD3の点灯装置を構成する電子部品(スイッチング素子Q4、コンデンサC9…、抵抗素子R13等)を含む。
【0048】
発光ダイオードLD1,LD2,LD3を点灯させる点灯装置の部品として、限流抵抗50(限流用の抵抗素子R7、R8、R9)がある。これらの抵抗素子R7、R8、R9は、素子本体41が配線基板2aの一面Yの側に配置され、配線基板2aに実装されている。素子本体41のリード42は、配線基板2aのリード挿入孔から他面Xへ挿通して露出したところで切断され、この他面Xと反対の一面Yに形成されたパターンに半田44で半田付けされている。
【0049】
また、配線基板2aの他面Xには、電子部品が実装され、それぞれの部品の端子45がリード挿入孔から一面Yへ挿通して露出したところで切断され、一面Yに形成された用パターンに半田44で半田付けされている。
【0050】
配線基板2aの一面Yから限流用の抵抗素子R7、R8、R9の素子本体41までの距離は3mm以上離間されている。このように3mm以上の間隔をあけることで、限流用の抵抗素子R7、R8、R9で発生した熱が、配線基板2aの一面Yに実装された整流ダイオード、コンデンサ、抵抗等のチップ部品および他面Xに配置した電子部品へ伝わり難くなる。
【0051】
なお、離間距離として3mm以上を確保するためには、例えば適した長さや径の耐熱性チューブ(スペーサ)に抵抗素子R7、R8、R9のリード42を挿通した上で配線基板2aのリード挿入孔へ挿入すること、または抵抗素子R7、R8、R9のリード42を素子本体41から3mm以上の位置でリード挿入孔の径よりも広く屈曲加工(<字状などに)しておき、その位置でリード42が止まるようにしておくこと、などが考えられる。
【0052】
次に、図5を参照してこの電球形蛍光ランプ装置の点灯装置2について説明する。点灯装置2は、配線基板2aに実装されている。配線基板2aは、ほぼ円形をなし、仕切り部材6を介してカバー3の開口端近傍に支持されている。ほぼ円形状の配線基板2aは、その一部が切り欠かれ、U字状ガラス管1a1の最冷部1a4が挿通される。
【0053】
点灯装置2は、蛍光ランプ(主光源)1を点灯させるインバータ回路と、発光ダイオードLD1,LD2,LD3(補助光源)を点灯させる回路と、ユーザの好みのままに蛍光ランプ1および発光ダイオードLD1,LD2,LD3のうちのいずれか一方を点灯させるように壁スイッチなどがオン・オフされ、そのオン・オフ操作により入力電圧が変化した場合に、その変化に応じて各光源を点消灯制御する制御回路とを有している。
【0054】
図5に示すように、点灯装置2は、商用の低周波交流電源ASが壁スイッチを通じて供給されるポートPortV1、PortV2、過電流遮断器としてのフューズFU1、コンデンサC1とコイルL1から構成されるノイズフィルタNF、整流平滑回路RS、インバータINV、発光ダイオード回路LED、保護手段LDG、調光制御回路DCC、放電回路DIS、スイッチオフ検出回路SC、起動回路ST、インバータ発振停止回路IOSC、蛍光ランプ(Lamp)1、ソフトスタート回路SSなどを有している。なお、点灯装置2は、必要に応じて他の構成を付加したり、または省いたりすることが許容される。
【0055】
ノイズフィルタNFは、整流平滑回路RSの直流出力側において線路に直列に挿入されたインダクタL1および同じく入力側において線路間に並列的に接続されたコンデンサC1を備える。
【0056】
ノイズフィルタNFは、インバータINVのスイッチングによって発生する高周波ノイズを低周波交流電源側に流出させないように除去する回路である。ここで「高周波」とは、周波数10KHz以上を意味し、好ましくは周波数20KHz〜30MHzである。
【0057】
蛍光ランプ1は、一対のフィラメント電極1bにはそれぞれ端子K3,K4、K5,K6が設けられている。端子K3、K5には共振コンデンサC5が並列に接続されている。他方の一対の端子K4、K6には、ソフトスタート回路SSが接続されている。
【0058】
ソフトスタート回路SSは、例えば温度可変抵抗素子PTCを利用した回路であり、電流が温度可変抵抗素子PTCに流れることで、温度可変抵抗素子PTCが自己発熱しインピーダンスを変化させて蛍光ランプ1を徐々に加熱する。
【0059】
低周波交流電源ASは、この例の場合、商用100V交流電源、つまり家庭用のAC電源である。ポートPortV1は、フューズFU1を介して全波整流回路FBR1の入力端に接続されている。 外部スイッチとしての壁スイッチは、スイッチオフのときに発光するネオン管などの発光素子が抵抗成分として直列接続されたもの(通称:OFFピカスイッチ)と、抵抗などが無挿入のものとがあり、本回路は、両方のスイッチを利用できる。
【0060】
整流平滑回路RSは、全波整流回路FBR1および平滑コンデンサC2からなる。なお、整流機能を実現する手段としては、全波整流回路FBR1の他、例えば倍電圧形全波整流回路、センタータップ形全波整流回路、半波整流回路などを用いることができる。
【0061】
平滑コンデンサC2は、脈流を含んだ不完全な平滑化を許容する。また、平滑コンデンサC2に代えて、種々の平滑回路を任意所望に採用することができる。しかし、電球形蛍光ランプの白熱電球との代替性を高めるためおよび高調波含有率を公的な規格値内に収めるためには、平滑化機能の回路素子として用いる電解コンデンサの静電容量をなるべく小さく抑えて、電解コンデンサを小形化することが肝要である。
【0062】
インバータINVは、ハーフブリッジ形インバータであり、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2を主体とし、コンデンサC4,抵抗器R2,R3,R5,R6、駆動トランスCT、起動回路STなどを含む回路によって構成されている。抵抗R6は、通称:エミッタ抵抗と呼ばれる負帰還抵抗である。このインバータINVは、交互にスイッチング動を行う2つのスイッチング素子Q1,Q2からなる直列回路を直流電源に接続して構成される。
【0063】
抵抗器R3,R5,R6には、チップ抵抗が用いられている。チップ抵抗の大きさは、2mm×1.25mm(通称:2012と呼ばれる)EIA規格0805サイズである。
【0064】
このように第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2周辺の抵抗素子をチップ抵抗とすることで、例えば蛍光ランプの寿命末期時を含む異常時などに、スイッチング素子Q1,Q2に過電流が継続して流れた場合に、チップ抵抗が開放破壊を起こし、ランプの点灯を停止させる。つまり、チップ抵抗がヒューズの役目を果たし、過電流による過発熱などの異常動作を防止できる。
【0065】
なお、チップ抵抗は、過電流破壊によって開放モードになる素子なので、チップコンデンサやダイオードに比べて寿命末期時にインバータの発振を停止させるための素子として好適である。
【0066】
第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2は、バイポーラ形トランジスタである。この第1のスイッチング素子Q1のコレクタは、整流平滑回路RSの直流出力端の正極に接続されている。
【0067】
第1のスイッチング素子Q1のエミッタは、ダイオードD1のカソードに接続されている。コンデンサC4および抵抗器R2は、整流平滑回路RSの直流出力端の正極とダイオードD1のカソードに、並列に接続されている。コンデンサC4は、スイッチング改善用のスナバ素子であり、電流の流れをON/OFFする第1のスイッチング素子Q1にて切り替わりの過渡状態で発生する高いスパイク電圧を防止する。
【0068】
第2のスイッチング素子Q2のコレクタは、ダイオードD1のカソードに接続されている。第2のスイッチング素子Q2のエミッタは、抵抗器R6を介して整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
【0069】
これにより、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2の直列回路の両端間、すなわちインバータINVの入力端に整流平滑回路RSから出力される平滑化直流電圧が印加される。
【0070】
インバータINVを起動する起動回路STは、抵抗器R1,R21、ダイオードD1、起動用のコンデンサC3、トリガ素子であるトリガダイオードDB3などからなる。抵抗器R1は、ダイオードD1のアノードとカソード間に接続されている。
【0071】
起動用のコンデンサC3は、ダイオードD1のアノードと整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。ダイオードD1は、コンデンサC3に蓄えられた電荷を、第2のスイッチング素子Q2がオンしたときに第2のスイッチング素子Q2のコレクタ・エミッタを通じて放電するためのものである。
【0072】
トリガダイオードDB3は、商用100Vの交流電源からの電圧供給によって、インバータINVを起動させるときに、起動用のコンデンサC3の電圧が上昇し、ブレークオーバー電圧を超えると、通電状態になり、第2のスイッチング素子Q2のベースに起動パルスを与え、インバータINVの発振を開始させる。
【0073】
抵抗器R3は、第1のスイッチング素子Q1のベースと駆動トランスCTに接続されている。抵抗器R5は、第2のスイッチング素子Q2のベースと駆動トランスCTに接続されている。
【0074】
第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2と整流平滑回路RSとの間に他の回路部品、例えばインダクタや抵抗器などを介在させていてもよい。また第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2との間に回路部品を介在させてもよい。
【0075】
直流成分カット用のコンデンサC6が、整流平滑回路RSの直流出力端の正極と蛍光ランプ1の端子K3に接続され、インバータINVから直流成分が負荷回路LCに流入しないようにしている。
【0076】
コンデンサC7およびインダクタL3は直列共振回路を形成している。直列共振回路は、インバータINVから出力される高周波交流により作動して蛍光ランプ1高周波電力を供給する。
【0077】
また、この点灯装置2は、蛍光ランプ1を始動して安定に点灯させるためにソフトスタート回路SSを備える。ソフトスタート回路SSは、例えば共振コンデンサC7と温度可変抵抗素子PTCとを蛍光ランプ1に対して並列的に接続して構成する。温度可変抵抗素子PTCは、蛍光ランプ1への始動電圧印加前に、一対のフィラメント電極を所要温度に予熱するための付加回路である。
【0078】
インバータ発振停止回路IOSCは、スイッチング素子Q3とコンデンサC8からなる。スイッチング素子Q3は、MOSFETを利用している。スイッチング素子Q3がオフ状態のときにインバータINVが発振する。スイッチング素子Q3がオン状態になると、第2のスイッチング素子Q2のべースが短絡するためインバータINVは発振しない。
【0079】
調光制御回路DCCは、スイッチオフ検出回路SC、発光ダイオード回路LED、LED点灯回路LLC、ラッチ回路LTCなどを有している。
【0080】
複数の電圧保持回路VH1、VH2は、壁スイッチのオン・オフ操作による調光指令信号を識別するために、例えばコンデンサの放電時定数が異なる時定数回路を主体とする回路である。スイッチオフ検出回路SCは、スイッチング素子Q5とツェナーダイオードZD3と抵抗器R15を有している。スイッチング素子Q5には、例えばPNP接合のトランジスタが利用されている。
【0081】
スイッチオフ検出回路SCは、壁スイッチとして、通称「OFFピカスイッチ」などと呼ばれる、ネオン管などの発光素子が抵抗成分としてスイッチ回路に対して並列接続されたスイッチが入力側の負荷として接続された場合の誤動作を防止するための回路である。
【0082】
抵抗成分入りの壁スイッチがOFFされた場合、壁スイッチの抵抗成分を介して電流が流れ続けるために、回路電位はゼロにはならない。このため、回路電位がツェナーダイオードZD3のクランプ電圧(例えば16Vなど)以下になった場合にスイッチング素子Q5をオフしてスイッチング素子Q5のエミッタ・コレクタ間の通電を遮断することで、ラッチ回路LTCの電圧保持状態が強制的に解除される。なお、コンデンサC11は、スイッチオフ検出回路SCのノイズフィルタとして作用するものである。
【0083】
抵抗器R11,R12,R13から供給される電圧を抵抗器R14にて分流し、第1の電圧保持回路VH1、第2の電圧保持回路VH2およびラッチ回路LTCに供給する。電圧保持回路VHは、抵抗器R17とこれに並列接続されたコンデンサC12およびコンデンサC13とダイオードD4とからなる。
【0084】
コンデンサC12とコンデンサC13は、体積を小型化するためにセラミックチップコンデンサを2つ用いているが、取り付けスペースが確保できれば一つでも良い。コンデンサC12とコンデンサC13は、同じ定数のものが利用されている。ダイオードD4のアノードは、スイッチング素子Q5のコレクタに接続され、ダイオードD4のカソードは、コンデンサC12およびコンデンサC13の接点に接続されている。なお、コンデンサC12とコンデンサC13は、電解コンデンサであっても良い。
【0085】
ラッチ回路LTCは、プログラマブル・ユニジャンクション・トランジスタ1(以下PUT1と称す)、コンデンサC14、抵抗器R16、R18、R19から構成されている。PUT1は、抵抗器R18と直列回路を構成し、電解コンデンサC15に並列に接続されている。
【0086】
抵抗器R16は、ダイオードD4のアノードとPUT1のゲートとに接続されている。抵抗器R19は、PUT1のカソードとスイッチング素子Q3のゲートに接続されている。
【0087】
放電回路DICは、抵抗器R20とダイオードD6との直列回路により構成されている。抵抗器R20の他の一端は、コンデンサC3とトリガダイオードDB3の接点に接続されている。ダイオードD6のカソードは、スイッチング素子Q4のソースに接続されている。
【0088】
発光ダイオード回路LEDは、直列に接続された限流用の抵抗器R7,R8,R9と、これら抵抗器R7,R8,R9と直列に接続された発光ダイオードLD1,LD2,LD3を有している。抵抗器R7,R8,R9は、定数設定のためと発熱を分散させるため複数個としたが、一つでもさらに多くてもよい。このように用いる抵抗を限流用抵抗50という。限流用抵抗50の一端は、整流平滑回路RSの直流出力端の正極に接続されており、他端は、発光ダイオードLD1のアノードに接続されている。
【0089】
発光ダイオードLD1,LD2,LD3に対して保護手段LDGが並列に接続されている。本実施形態において、保護手段LDGは、発光ダイオードLD1,LD2,LD3の直列回路に対して、逆極性のダイオードD2を接続してなるものである。すなわち、ダイオードD2のカソードは、発光ダイオードLD1のアノードに接続されている。ダイオードD2のアノードは、発光ダイオードLD3のカソードに接続されている。
【0090】
LED点灯制御回路LLCは、発光ダイオード回路LEDの点消灯を制御する回路であり、LED点消灯の機能とコンデンサC3の電荷放電機能とを兼用するスイッチング素子Q4と抵抗器R13とコンデンサC9とを備える。
【0091】
抵抗器R13の一端は、抵抗器R18とPUT1との間に接続されている。また、抵抗器R13の他端は、スイッチング素子Q4のゲートに接続されている。コンデンサC9は、スイッチング素子Q4のゲートと整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
【0092】
スイッチング素子Q4のソースには、ダイオードLD3のカソードが接続されている。スイッチング素子Q4のドレインは、整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
【0093】
LED点灯制御回路LLCは、抵抗器R18の両端に電圧が発生し、コンデンサC11、C12、C13が充電された後の放電によりPUT1がオンしたときに抵抗器R13を通してスイッチング素子Q4のゲートに電圧を印加してスイッチング素子Q4をオンし、スイッチング素子Q4のソース・ドレイン間を導通させる回路である。
【0094】
スイッチング素子Q4がオンすると、整流平滑回路RSから抵抗器R7,R8,R9を通じて発光ダイオードLD1,LD2,LD3に電流が流れ、発光ダイオードLD1,LD2,LD3が点灯する。このとき、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3はオン状態なので、インバータINVは発振を停止し、蛍光ランプ本体1は消灯する。
【0095】
また、スイッチング素子Q4がオンすると、コンデンサC3に電荷が蓄積されないように抵抗器R20を通じてスイッチング素子Q4から通電される。
【0096】
発光ダイオード回路LEDは、蛍光ランプ1だけの調光では不可能な明るさ、つまり蛍光ランプ1の点灯時の明るさの50%以下で点灯させるよう発光ダイオードLD1,LD2,LD3やその周辺の回路の定数が設定されている。この例では発光ダイオード回路LEDは、蛍光ランプ1の点灯時の10%〜20%程度の明るさ、つまりベビー球と同等の明るさで点灯させるよう回路が構成されている。
【0097】
具体的には、インダクタL1の出力端(平滑コンデンサC2)には全波整流された直流電圧として、例えば140Vが供給され、3つの発光ダイオードLD1,LD2,LD3からなる発光ダイオード回路LEDは、発光色がアンバー色で、約10mA〜20mA程度の電流が流れるようにしている。蛍光ランプ1は、回路の消費電力を含めた消費電力が13W程度で、電球色の場合、810lmの全光束となるように回路設計を行っている。
【0098】
インバータ発振停止回路IOSCは、調光制御回路DCCから供給されるオン信号により、コンデンサC8に電荷を溜めてスイッチング素子Q3をオンさせることで、スイッチング素子Q2のベース電圧を落とし、インバータINVの発振を確実に停止する。
【0099】
調光制御回路DCCでは、壁スイッチのオン・オフ操作による電源供給時間、または供給停止の時間に応じて、インバータ発振停止回路IOSCおよびLED点灯制御回路LLCを制御して、蛍光ランプ1および発光ダイオード回路LEDのうちのいずれかを点消灯せる制御を行う制御回路(手段)である。
【0100】
「壁スイッチのオン・オフ操作による低周波交流電源ASからの電力供給または供給停止の時間に応じて」とは、壁スイッチのオン・オフ操作の組み合わせ(オン→オフ→オンなど)やオフ時間の長さ(長短など)が含まれる。
【0101】
オン操作およびオフ操作の組み合わせは、例えば電源供給を短い間隔で停止したり、オフ操作に引き続くオン操作での電源の再供給を行うことなどであり、それらの有無または操作回数により調光指令信号の内容が識別される。
【0102】
また、オフ時間の長さによる場合とは、例えば3秒を超える長いオフ時間と3秒以内(1〜2秒程度)の短いオフ時間とで異なる内容として調光制御回路DCCで識別される。
【0103】
調光制御回路DCCでは、電源投入後、抵抗器R10,R11,R12を通じてコンデンサC10が充電されると共に、スイッチング素子Q5を通じてコンデンサC11が充電される。また、電源投入後、スイッチング素子Q5およびダイオードD4を通じてコンデンサC12,C13が充電される。
【0104】
充電時には、コンデンサC11の電圧(点Tの電位)とコンデンサC12,C13の合成電圧(点Uの電位)とで電位差が生じる。つまりダイオードD4のフォワード電圧分(約0.6V)だけコンデンサC12,C13の合成電圧(点Uの電位)の方が低くなる。
【0105】
PUT1は、アノード電圧よりもゲート電圧が0.6V以上低下した場合にオンし、その後、ゲート電圧値に関わらずオンを保持する。この回路では、PUT1のアノード電圧は、コンデンサC12,C13の合成電圧(点Uの電位)であり、ゲート電圧は、コンデンサC11の電圧(点Tの電位)であるので、充電時にはPUT1は、オンしない(T>U)。
【0106】
一方、壁スイッチのオフ操作によって回路電位が低下し、スイッチング素子Q5がオフして以降の回路(ラッチ回路LTCなど)への電源供給が停止されると、コンデンサC11,C12,C13が蓄積した電荷の放電を開始する。コンデンサC11は、コンデンサC12,C13に比べて容量が小さく自己放電により素早く放電する。
【0107】
また、コンデンサC12,13は、抵抗器R17を通してゆっくりと放電する。このとき、互いの時間差からT<Uの状態が発生する。点Tの電位が点Uの電位よりも0.6V低くなると、PUT1はオンする。この例では、T<Uの状態が発生する時間が1秒〜3秒程度になるよう回路定数を設定している。
【0108】
調光制御回路DCCは、壁スイッチのオン操作により交流電源が供給されたとき、またはその後の壁スイッチのオフ・オン操作により交流電源の供給が停止された時間が一定時間(3秒)以上経過した後、抵抗器R10,R11,R12、ダイオードD4からPUT1のオンを維持するための保持電流の供給がなくなると、PUT1はオフ状態となり、交流電源が再供給されたとき、インバータINVを駆動して蛍光ランプ1を点灯させる。
【0109】
また、調光制御回路DCCは、壁スイッチのオフ・オン操作により交流電源の供給が停止された時間が一定時間(3秒)以下(1、2秒程度)で交流電源が再供給されたとき、蛍光ランプ1を消灯させると共に発光ダイオードLD1、LD2,LD3を点灯させる。
【0110】
すなわち、この電球形蛍光ランプ装置は、放電ランプ1を点灯させる回路(インバータINV)と、発光ダイオードLD1、LD2,LD3を点灯させる回路(限流用の抵抗素子R7,R8,R9)を有する一体型光源であって、ユーザの好みの時間で壁スイッチがオン・オフ操作された場合に蛍光ランプ1または発光ダイオードLD1、LD2,LD3のうちのいずれか一方が点灯するように回路を切り替えるものであり、発光ダイオードLD1、LD2,LD3を点灯させる回路部品の一つである限流用の抵抗素子R7,R8,R9を、蛍光ランプ1と配線基板2aとの間に、配線基板2aから浮かせるようにして実装した配線基板2aを仕切り部材6に固定している。
【0111】
次に、この電球形蛍光ランプ装置の動作について説明する。
【0112】
(蛍光ランプ点灯動作)
【0113】
ユーザが壁スイッチをオン操作してポートPortV1,V2に交流電源が供給されると、整流平滑回路RSにより平滑化された直流電圧がインバータINVの入力端間に印加される。
【0114】
すると、整流平滑回路RSにより平滑化された直流電圧は、起動回路STにも印加される。これにより、コンデンサC3が充電されてトリガダイオードDB3がブレークオーバーすると、トリガパルスを第2のスイッチング素子Q2のベース端子に供給し、第2のスイッチング素子Q2がオンする。
【0115】
そして、インバータINVが起動して駆動トランスCTの誘起に基づく自励発振により、スイッチング素子Q1,Q2が交互にオン・オフ動作を行い、2次電圧が誘起される。この2次電圧がインダクタL3と共振コンデンサC7との直列共振により高められて蛍光ランプ1に印加される。また、ソフトスタート回路SSにより、フィラメント電極が適正に予熱された後に、蛍光ランプ1が始動し、ユーザがこのまま壁スイッチを何も操作しない場合は、蛍光ランプ1が点灯する。
【0116】
(発光ダイオードLD1,LD2,LD3の点灯動作)
【0117】
点灯回路2へ電源が供給されると、始動中の蛍光ランプ1は通常どおり点灯し、発光ダイオード回路LEDは消灯したままになる。その後、ユーザが壁スイッチをオフ操作→オン操作を1秒〜2秒の間にすばやく行うことで、上記調光制御回路DCCの動作により、始動中の蛍光ランプ1の点灯を停止させて、発光ダイオード回路LEDを点灯させて暗い明かりの状態へ調光することができる。
【0118】
以下、このときの回路動作について説明する。
【0119】
ユーザが壁スイッチを始めてオン操作することで低周波交流電源から電源が供給されると、上述したようにインバータINVが起動するのと同時に調光制御回路DCCにも平滑化された直流電圧が印加される。
【0120】
この結果、第1の電圧保持回路VH1を構成するコンデンサC11および第2の電圧保持回路VH2のコンデンサC12,C13が同時に充電される。しかし、第1の電圧保持回路VH1による保持電圧の方が、第2の電圧保持回路VH2による保持電圧よりダイオードD4における電圧降下の分の0.6Vだけ高くなっている。このため、ラッチ回路LTCでは、そのPUT1の制御端子に抵抗器R16を介して印加される電圧がアノードの電位より0.6V高く、PUT1がオフしたままでいる。
【0121】
この結果、抵抗器R19を通じてオン信号は供給されず、インバータ発振停止回路IOSC内のスイッチング素子Q3はオフのまま、インバータINVが発振し、蛍光ランプ1を点灯させるために始動する。始動後、ユーザが壁スイッチをオフ操作し、交流電源からの電源供給が停止すると、第1および第2の電圧保持回路VH1、VH2は、共に放電を開始する。このとき、第1の電圧保持回路VH1は、急速に放電する。これに対して、第2の電圧保持回路VH2は、抵抗器R17の抵抗値が大きいため、ゆっくりと放電する。
【0122】
このため、ラッチ回路LTCにおけるPUT1の制御端子(ゲート)の電位は、PUT1のアノードの電位より低くなる。互いの電位差が0.6Vを超えると、PUT1がオンする。なお、PUT1を確実にオンさせるためには、比較的、順方向電圧降下の大きいツェナーダイオードを用いてもよい。
【0123】
回路定数の設定により、放電時にコンデンサC11の電圧(点Tの電位)がコンデンサC12,C13の合成電圧(点Uの電位)以上低くなる時間を1秒〜3秒程度、好ましくは1.5秒〜2.5秒程度に設定しておく。
【0124】
なお、そのまま壁スイッチがオン操作されずにコンデンサC12,C13の放電が進むと、コンデンサC12,C13の合成電圧(点Uの電位)は、0Vとなり(T=U)、また平滑コンデンサC2の電荷は、コンデンサC12,C13よりも速く放電されるので、抵抗器R10,R11,R12、ダイオードD4を介するPUT1の保持電流も供給できなくなり、PUT1はオフする。
【0125】
その後、壁スイッチをオン操作すると、PUT1がオフのため、スイッチング素子Q3,Q4もオフ状態であることから、起動回路STが動作してインバータINVが発振し、蛍光ランプ1が点灯する。
【0126】
一方、壁スイッチSWがオフ操作されてから3秒以内に壁スイッチが再度オン操作されて交流電源が供給されると、オン状態を保持したままのPUT1に抵抗器10,R11,R12を介してコンデンサC11,C12が充電されるが、一度オンしたPUT1には、平滑コンデンサC2から抵抗器R10,R11,R12、ダイオードD4を介した保持電流が供給されるので、オン状態が解除されない。
【0127】
PUT1のオンが維持されることにより、抵抗器R18の両端に電圧が発生する。この電圧は、スイッチング素子Q3をオンさせるためのオン信号となる。これにより、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3のゲートへオン信号が供給されて、スイッチング素子Q3をオンする。ラッチ回路LTCは、PUT1のオン状態にラッチするので、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3もオン状態に維持される。
【0128】
インバータ発振停止回路IOSCは、スイッチング素子Q3のオンにより、スイッチング素子Q3のソース・ドレイン間が導通し、第2のスイッチング素子Q2のベース電圧がLOWに落ちる。これにより、インバータINVは、発振が維持できなくなり発振停止し、始動中だった蛍光ランプ1は消灯する。
【0129】
インバータ発振停止回路IOSCの回路動作をさらに詳述すれば、ラッチ回路LTCのPUT1がオンすると、抵抗器R18に電圧降下が生じ、抵抗器R19を経由してコンデンサC8を充電するので、スイッチング素子Q3は、そのゲート電位がソース電位に対して正のスレッシュホールド電圧より高くなった段階でオンする。すると、スイッチング素子Q3のソース・ドレイン間が導通し、第2のスイッチング素子Q2のベース電圧がLOWに落ち、インバータINVは発振しない。
【0130】
一方、PUT1のオンで抵抗器R18の両端に電圧が発生すると、その電圧が抵抗器R13を通じてスイッチング素子Q4のゲートに供給されてスイッチング素子Q4をオンさせ、ソース・ドレイン間が導通する。すると、全波整流回路(平滑コンデンサC2の一端)から抵抗器R7,R8,R9を通じて発光ダイオード回路LEDに電流が流れ、発光ダイオードLD1,LD2,LD3が点灯する。
【0131】
また、スイッチング素子Q4をオンすると、起動回路STの起動用のコンデンサC3に電荷が蓄積されないように、抵抗器R20、ダイオードD6およびスイッチング素子Q4を通じた経路で通電される。
【0132】
これにより、トリガダイオードDB3がトリガ動作しなくなり、スイッチング素子Q2のベースへ起動のためのトリガが与えられなくなり、インバータINVが不所望に動作して蛍光ランプが微放電したり、蛍光ランプのフィラメント電極を劣化させたりする等の不具合の発生が確実に防止される。
【0133】
このようにこの実施形態の電球形蛍光ランプ装置によれば、本体BDに蛍光ランプ1と発光ダイオードLD1,LD2,LD3とを内蔵し、壁スイッチの操作により電源を点灯装置2に初めに投入したとき、または電源のオフ時間が一定時間以上経過した後、電源を再投入したときに、蛍光ランプ1を点灯させる一方、電源のオフ時間が一定時間以内(1〜3秒)で電源を再投入したときには、蛍光ランプ1を消灯したままに発光ダイオードLD1,LD2,LD3を点灯させるので、壁スイッチの操作に応じて通常のあかり(蛍光ランプの点灯によるあかり)と常夜灯程度のあかり(発光ダイオードLD1,LD2,LD3の点灯によるあかり)の2つのあかりに調光することができる。
【0134】
このようにして発光ダイオードLD1,LD2,LD3を点灯させたときに発熱する限流用の抵抗素子R7,R8,R9の素子本体41を配線基板2aの一面Yに配置することで、抵抗素子R7,R8,R9で発生した熱が他面Xに実装された回路部品(ダイオード、コンデンサ、スイッチング素子などの電子部品)へ伝わり難くなり、抵抗素子R7,R8,R9の発熱の影響を電子部品が受け難くなる。
【0135】
つまり、発光ダイオードLD1,LD2,LD3が点灯状態のときに限流用の抵抗素子R7,R8,R9の温度が上昇しても、他のディスクリート部品が限流用の抵抗素子R7,R8,R9と同一の面にないため、抵抗素子R7,R8,R9の熱の影響が他のディスクリート部品へ及び難くなる。また、限流用の抵抗素子R7,R8,R9を配線基板2aの一面Yから3mm以上離間させて配置したので、一面Yに実装されたチップ部品への熱の影響を最小限に抑えることができる。
【0136】
また、限流用の抵抗素子R7,R8,R9を第2の面Y、つまり蛍光ランプ1がある発光室Aの側に配置したことで、発光ダイオードLD1,LD2,LD3が点灯すると、限流用の抵抗素子R7,R8,R9の熱で蛍光ランプ1が暖められるので、発光ダイオードLD1,LD2,LD3から蛍光ランプ1へ点灯状態を切り替えたときに、蛍光ランプ1が安定点灯状態の設定温度に達するまでの時間が短くなる。
【0137】
(グロー放電試験について)
【0138】
次にグロー放電試験について説明する。図6において、60はグロー試験器例えば東京高周波電気炉株式会社製のピンホールテスター「HD-100T」である。この試験器60は、試験子61の先端から高周波電界(例えば1KV/mm)を出力する。62は図1のような電球形蛍光ランプを収納したケースである。このケース62には内部に連通した孔63が形成されていて、この孔63を通して蛍光ランプ1がグローしているか否かが視認可能になっている。
【0139】
このようなグロー試験において、グロー試験器60からの電界によって光源装置の配線間に電圧が発生して、発光ダイオードLD1,LD2,LD3に逆電圧が印加されることがある。しかし、本実施形態によっては、保護手段LDGがこのような逆電圧をバイパスして、発光ダイオードにD1,LD2,LD3を保護する。したがって、発光ダイオードLD1,LD2,LD3の破壊を防止できる。
【0140】
次に、本発明の他の実施形態を図7を参照して説明する。図7は本発明における他の光源装置を示す平面図である。本実施形態は、円環形の蛍光ランプと発光ダイオードを備えた補助光源とを一体化したものである。
【0141】
すなわち、70は円環形の蛍光ランプであり、接続ピン71を有する口金72を備えている。73は補助光源であって、帯状またはクリップ状の取付け具74によって蛍光ランプ70に、口金72に対向した位置に取付けられている。
【0142】
補助光源73は3個の発光ダイオードLEDを有していて、図7においては紙面と直行する上面方向に光を出力するように配設されている。また、本実施形態においては、発光ダイオードLEDは地震等の震動を検知したときに点灯されるようになっている。このため、補助光源73は、バッテリEの他、保護手段、感震センサ、感震センサに応動してバッテリEによる発光ダイオードLEDへの付勢回路を形成するスイッチ等の制御部品75を内蔵している。
【0143】
本実施形態の光源装置は、住宅用の照明器具(図示しない。)等に使用され、蛍光ランプ70は照明器具に設けられた点灯装置(図示しない。)によって点灯される。また、通常時においては、発光ダイオードLEDは点灯しない。
【0144】
そして、蛍光ランプ70の点灯時または消灯時に地震が発生すると、感震センサがこれを感知してスイッチを制御する。したがって、発光ダイオードLEDはバッテリEから給電されて点灯する。このため、例えば就寝時等蛍光ランプ70の消灯時に地震が発生しても、発光ダイオードLEDが点灯することによって最低照度が確保されるので、避難に有効に寄与することができる。
【0145】
このような実施形態の光源装置にあっても、出荷前に蛍光ランプ70のグロー放電試験が行われることがあるから、保護手段によって、グロー放電試験時に印加される電界による逆電圧から発光ダイオードを保護することができる。
【0146】
次に、照明装置の一実施形態を図8を参照して説明する。図8は本発明における照明装置の一実施形態の概略を示す一部断面図である。本実施形態は、天井埋め込み形の照明装置であって、照明器具本体80に図1に示したような電球形蛍光ランプ81を装着したものである。
【0147】
この照明装置は、照明器具本体80の下端側の鍔部82の上面が天井面に接する状態で天井内に埋め込まれる。また、電球形蛍光ランプ81はソケット83にねじ込んで装着されている。
【0148】
なお、図8において電球形蛍光ランプ81およびソケット83は、非断面部分においては透視した状態で表している。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明における光源装置の一実施形態を示す一部断面正面図
【図2】同じくグローブを透視した平面図
【図3】同じく分解斜視図
【図4】同じく点灯装置の一部を拡大して示す部分断面図
【図5】同じく点灯装置の一例を示す回路図
【図6】光源装置のグロー放電試験の概念図
【図7】本発明における他の光源装置を示す平面図
【図8】本発明における照明装置の一実施形態の概略を示す一部断面図
【符号の説明】
【0150】
1…蛍光ランプ、2…点灯装置、LD1,LD2,LD3…発光ダイオード、INV…インバータ、LDG…保護手段、IOSC…インバータ発振停止回路、SC…スイッチオフ検出回路、CT…駆動トランス、DCC…調光制御回路、LED…発光ダイオード回路、LLC…LED点灯制御回路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ランプおよび発光ダイオードを一体的に有している光源と;
発光ダイオードに並列的に接続され、発光ダイオードに印加しようとする逆電圧から発光ダイオードを保護する保護手段と;
を具備したことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
電源に接続されるソケットに対して着脱可能な口金を有する本体と;
本体に取付けられた主光源としての屈曲形の蛍光ランプと;
蛍光ランプの照射方向に光を出力するように本体に取付けられた補助光源としての発光ダイオードと;
本体内に設けられた蛍光ランプの点灯装置と;
本体に設けられた発光ダイオードの点灯装置と;
発光ダイオードに並列的に接続され、発光ダイオードに印加しようとする逆電圧から発光ダイオードを保護する保護手段と;
を具備したことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
環形に形成された蛍光ランプと;
発光ダイオードおよび発光ダイオードの点灯装置を有し、発光ダイオードが蛍光ランプの照射方向の少なくとも一部と同じ方向に光を照射するように蛍光ランプに一体的に取付けられた補助光源と;
発光ダイオードに並列的に接続され、発光ダイオードに印加しようとする逆電圧から発光ダイオードを保護する保護手段と;
を具備したことを特徴とする光源装置。
【請求項4】
照明器具本体と;
照明器具本体に設けられた請求項1ないし3いずれか一記載の光源装置と;
を具備したことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−250323(P2007−250323A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71171(P2006−71171)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】