光源装置および照明装置
【課題】 従来に比べて十分な高輝度化を図ることの可能な光源装置を提供する。
【解決手段】 紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1とを有し、該反射型の蛍光回転体1は、前記固体光源5からの励起光により励起され前記固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層2と、光反射性を有する基板6とを備え、前記蛍光体層2には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられている。
【解決手段】 紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1とを有し、該反射型の蛍光回転体1は、前記固体光源5からの励起光により励起され前記固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層2と、光反射性を有する基板6とを備え、前記蛍光体層2には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置は広く普及しているが、近年では高輝度化が進み、一般照明や自動車のヘッドランプなどその応用範囲が広がってきている。このような光源装置は、今後も高輝度化することで、さらに多様な用途での普及が進むと考えられている。
【0003】
このような光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置を高輝度化するための手段として、光半導体に大電流を投入し光半導体からの励起光強度を強めることが考えられるが、実際には蛍光体層で熱が発生し、蛍光体層において樹脂成分の変色や蛍光体の温度消光による蛍光強度の低下が生じてしまう。このため、結果として、発光強度は飽和、減少し、光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置の高輝度化は困難であった。
【0004】
ここで、蛍光体層内の樹脂成分の変色とは、通常、蛍光体層は一定の形状に再現性良く形成するため、蛍光体粉末を樹脂成分と混練してペースト状に調製し、印刷法等を用いて塗布形成しており、この樹脂成分が加熱され200℃程度以上になると変色してしまう現象のことである。樹脂成分は本来透明であるため、熱により樹脂成分に変色が起きると、光半導体からの励起光や蛍光体層からの蛍光の一部を吸収してしまい、高輝度化を妨げる要因となっていた。
【0005】
また、蛍光体の温度消光とは、蛍光体を加熱すると蛍光強度が低下する現象のことである。温度消光により蛍光強度が低下すると、蛍光に変換されなかったエネルギーが熱となるため蛍光体の発熱量が増加し、さらに蛍光体の温度が上昇して温度消光が進み、蛍光強度もさらに低下するという現象が起きる。このため、熱により発生する蛍光体の温度消光も、高輝度化を妨げる要因となっていた。
【0006】
これらの問題を解決するために、特許文献1には、樹脂を含まない蛍光体層を用いた光源装置が提案されている。この場合、蛍光体層は、樹脂成分を含まないため変色は起こらず、さらに蛍光体層を温度感受性の低い蛍光体のセラミックス層とするために温度消光が起きないので、高輝度化が可能である。また、図1のように蛍光体層92を光半導体(固体光源)95と直接接合することで、蛍光体層92で発生した熱を光半導体(固体光源)95側に放散することを意図していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−005367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の図1に示すような光半導体(固体光源)95と蛍光体層92とが直接接合された光源装置では、光半導体(固体光源)95からの励起光によって励起された蛍光体層92からの発光(蛍光)のうち光半導体(固体光源)95側とは反対側に出射する蛍光と、蛍光体層92で吸収されずに蛍光体層92を透過する光半導体(固体光源)95からの励起光とを用いている。つまり、図1の光源装置は、蛍光体層92を透過する光を利用する透過方式のものとなっている。
【0009】
ここで、蛍光体層92からの出射光を考えると、上記透過光とともに蛍光体層92との界面で反射されて光半導体(固体光源)95側へ戻って行く光、つまり反射光も存在しており、この光(反射光)は、光半導体(固体光源)95に再吸収されるため、照明光として利用できない光となってしまうという問題があった。
【0010】
また、図1の光源装置では、蛍光体層92の熱を光半導体(固体光源)95側に放散することを意図しているが、光半導体(固体光源)95の励起光強度を高めた場合、蛍光体層92のみならず光半導体(固体光源)95でも発熱が起きるため、蛍光体層92の発熱を同じく発熱している光半導体(固体光源)95の側から放散させることとなり、熱放散の効率が良くないという問題があった。
【0011】
このように、図1の光源装置では、透過方式のものとなっていることと、蛍光体層92の発熱に対する熱放散の効率が良くないということとから、高輝度化に限界があった。
【0012】
本発明は、従来に比べて十分な高輝度化を図ることの可能な光源装置および照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、回転軸の周りに回転可能な反射型の蛍光回転体とを有し、該反射型の蛍光回転体は、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層と、光反射性を有する基板とを備え、前記蛍光体層には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられていることを特徴とする光源装置である。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光源装置において、前記基板は、前記固体光源側の面に凹部を有し、前記蛍光体層は、前記基板の前記凹部に設けられていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光源において、前記基板の前記凹部の側面は、傾斜面となっていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記複数の蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記少なくとも1つの蛍光体領域および非蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1乃至請求項8記載の発明によれば、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、回転軸の周りに回転可能な反射型の蛍光回転体とを有し、該反射型の蛍光回転体は、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層と、光反射性を有する基板とを備え、前記蛍光体層には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられているので、従来に比べて光源装置および照明装置の十分な高輝度化を図ることができ、さらに、蛍光体層に、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものを用いることで、蛍光体層を安価に(低コストで)形成することができ、光源装置および照明装置の低コスト化を図ることができる。
【0022】
特に、請求項2、請求項3記載の発明では、請求項1記載の光源装置において、前記基板は、前記固体光源側の面に凹部を有し、前記蛍光体層は、前記基板の前記凹部に設けられているので、より一層の高輝度化が可能となり、さらに、蛍光体層を基板の凹部の側壁で囲む構造となっていることにより、蛍光回転体の回転時における蛍光体層の剥離を有効に防止し、高輝度化とともに、信頼性を高めることができる。
【0023】
また、特に、請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の光源において、前記基板の前記凹部の側面は、傾斜面となっているので、傾斜している凹部の側面で反射した光を、蛍光体層外部へ(基板とは反対の側へ)確実に向かわせることができ、より効率よく蛍光体層から光を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の光源装置を示す図である。
【図2】本発明の光源装置の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の光源装置の他の構成例を示す図である。
【図4】本発明の光源装置の他の構成例を示す図である。
【図5】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図6】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図7】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図8】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図9】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図10】照明色を変化させることの可能な第1の例の光源装置の一例を示す図である。
【図11】図10の光源装置に用いられる蛍光回転体の一例を示す図である。
【図12】移動手段の一例を示す図である。
【図13】図10の光源装置に用いられる蛍光回転体の他の例を示す図である。
【図14】照明色を変化させる構成の第2の例の光源装置の一例を示す図である。
【図15】図14の光源装置に用いられる蛍光回転体の一例を示す図である。
【図16】移動手段の一例を示す図である。
【図17】図14の光源装置に用いられる蛍光回転体の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図2(a),(b)は、本発明の光源装置の一構成例を示す図である。なお、図2(a)は全体の正面図、図2(b)は蛍光回転体の平面図である。図2(a),(b)を参照すると、この光源装置10は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、モーターなどの駆動部(図示せず)による駆動によって回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1とを有し、該反射型の蛍光回転体1は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層2と、光反射性を有する基板6とを備え、蛍光体層2には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられている。
【0027】
ここで、蛍光体層2は、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1に設けられており、固体光源5とは空間的に離れて配置されている。
【0028】
なお、蛍光体層2は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、青、緑、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0029】
また、基板6は、光反射性を有する材料(例えば金属など)で形成されている。
【0030】
また、この光源装置10では、蛍光回転体1が反射型の蛍光回転体として構成されており、蛍光体層2の面のうち固体光源5からの励起光が入射する側の面とは反対側に設けられた反射面(基板6の反射面)による反射を用いて蛍光などの光を取り出す方式(以下、反射方式と称す)が採用されている。
【0031】
このように、この光源装置10は、基本的には、固体光源5と蛍光体層2とを空間的に離して配置し、発光を反射方式で利用することを特徴としている。
【0032】
すなわち、図1に示した従来の光源装置のように、蛍光体層92が固体光源95と接している場合には、高輝度化をしようとしても、蛍光体層92と固体光源95との両方とも加熱されてしまうため、蛍光体層92からの熱放散の効率が悪かったが、図2(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層2を固体光源5から離して配置することで、高輝度化をする場合にも、蛍光体層2からの熱を、低温の基板6へ放散させることが可能となり、蛍光体層2からの熱放散の効率を、図1に示した従来の光源装置に比べて、著しく高めることができる。
【0033】
また、図1に示した従来の光源装置では、固体光源95からの励起光と蛍光体層92からの蛍光のうち、固体光源95とは反対の側に出射する蛍光と、蛍光体層92で吸収されずに透過する固体光源95からの励起光とを用いている。つまり透過方式を使用している。ここで、透過方式では、蛍光体層92からの出射光を考えると、励起光については上記透過光とともに蛍光体層92との界面で反射されて固体光源95側へ戻って行く発光、つまり反射光も存在しており、この反射光は固体光源95に再吸収されるため照明光として利用できない光となってしまう。また、蛍光体層92からの蛍光は、蛍光体層92の両面から出射するため、やはり固体光源95側に出射する光は利用できない。このように、透過方式では、光の利用効率が低下してしまう。また、透過方式では、目的の色度の照明光を得るためには蛍光体層92の厚みを厚くする必要があり、蛍光体層92から固体光源95までの距離が長くなるため、蛍光体層92からの熱を固体光源95に放散する上で不利であった。
【0034】
これに対し、図2(a),(b)の光源装置10では、反射型の蛍光回転体1を用い、固体光源5とは反対の側に出射する光(励起光、蛍光)を反射面(具体的には、基板6の反射面)で固体光源5側に反射する反射方式を採用しているので、固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層2からの発光(蛍光)の全て(すなわち、固体光源5側に出射する蛍光)と、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの励起光の全て(すなわち、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの光の反射光)とを照明光として利用できるため(すなわち、励起光、蛍光とも効率よく照明光として利用できるため)、光の利用効率を著しく高めることができ、高輝度化が可能となる。また、透過型に対し、反射型では、蛍光体層2の厚みが半分以下でも蛍光体層2内の光路長が等しくなり、同じ色度の光が得られるため、蛍光体層2を薄くすることができ、蛍光体層2から基板6までの距離が短くなるので、熱放散の面でも有利である。
【0035】
このように、図2(a),(b)の光源装置10では、基本的には、固体光源5と蛍光体層2とを空間的に離して配置し、発光を反射方式で利用するので、従来に比べて十分な高輝度化を図ることができる。
【0036】
さらに、図2(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層2は、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1に設けられているので、固体光源5に対して蛍光体層2を回転させることにより、固体光源5からの励起光が当たる場所を分散させ、光照射部での発熱を抑えることができ、これにより、より一層の高輝度化が可能となる。
【0037】
さらに、図2(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層2には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられているので(すなわち、実質的に樹脂成分を含んでいないものが用いられているので)、熱による変色がなく、光の吸収が少ないことから、より一層の高輝度化を図ることができる。また、蛍光体層2に、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものを用いることで、蛍光体層2を安価に(低コストで)形成することができる。すなわち、ガラス中に蛍光体粉末を分散させた構造では、熱に弱い樹脂成分がないため変色が起きず、作製時に加圧雰囲気が必要でないため大量生産が可能であり、コスト(製造コスト)も低く抑えることができる。
【0038】
なお、図2(a),(b)の光源装置10では、基板6に平板状のものを用いているが、基板6には平板状以外のものを用いることもできる。
【0039】
図3(a),(b)は、本発明の光源装置の他の構成例を示す図である。なお、図3(a)は全体の正面図、図3(b)は蛍光回転体の平面図である。また、図3(a),(b)において、図2(a),(b)と同様の箇所には同じ符号を付している。図3(a),(b)を参照すると、この光源装置20では、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体11の基板16が固体光源5側の面に凹部17を有し、基板16の凹部17に蛍光体層12が設けられている。すなわち、この構成では、蛍光体層12の側面(端面)を光反射性の側壁(凹部17の側壁)17aで囲む構造となっている。
【0040】
ここで、蛍光体層12には、図2(a),(b)の蛍光体層2と同様に、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられている。
【0041】
すなわち、蛍光体層12は、蛍光体層2と同様に、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、青、緑、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0042】
また、基板16は、光反射性を有する材料(例えば金属など)で形成されている。
【0043】
図3(a),(b)の構成では、蛍光体層12の側面(端面)を光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで囲む構造となっていることにより、蛍光体層12内を側面(端面)へ導波する光も、光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで反射されて再度蛍光体層12内に戻り、効率的に(すなわち、光損失を少なく)蛍光体層12から取り出すことができる。特に、蛍光体層12が透明または半透明のものである場合には、図4に示すように(なお、図4は図3(a)に対応する図であり、図4において図3(a)と同様の箇所には同じ符号を付している)、光反射性の側壁(凹部17の側面)17aを傾斜面(光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで反射した光を基板16とは反対の側に向かわせるように傾斜している面)とするのが望ましい。すなわち、この場合には、傾斜している光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで反射した光を、蛍光体層12外部へ(基板16とは反対の側へ)確実に向かわせることができるため、より効率よく蛍光体層12から光を取り出すことができる。
【0044】
このように、図3(a),(b)、図4の構成では、光反射性を有する材料(例えば金属など)で形成されている基板16の凹部17に蛍光体層12が設けられていることによって、蛍光体層12の側面(基板16の凹部17の側面17a)の光反射性を利用して、蛍光体層12からの光(励起光、蛍光)を反射させて利用できるので(光の利用効率を向上させることができるので)、より一層の高輝度化が可能となる。
【0045】
さらに、図3(a),(b)、図4の構成では、蛍光体層12を基板16の凹部17の側壁で囲む構造となっていることにより、蛍光回転体11の回転時に蛍光体層12へ回転軸Xに対して垂直面内方向、いいかえれば蛍光体層12の面内方向に応力が発生しても、蛍光体層12の剥離が起きなくなり、高輝度化とともに、信頼性を高めることができる。
【0046】
さらに、蛍光体層12にガラス中に蛍光体粉末を分散させたものを用いるとき、これを凹部17を有する基板16と組合わせた場合には、製造上の有利な点がある。すなわち、蛍光回転体11を製造する場合に、蛍光体粉末を分散した溶融ガラスを基板16の凹部17へ直接流し込み、冷却して硬化することで、蛍光体層12と基板16を簡便に作製することが可能となる。この方法では、凹部17の深さを任意に調整し、そこにガラスを注入することで、一定の厚みの蛍光体層12を作製することができる。
【0047】
次に、図2(a),(b)の光源装置10、図3(a),(b)、図4の光源装置20をより詳細に説明する。
【0048】
図2(a),(b)の光源装置10、図3(a),(b)、図4の光源装置20において、固体光源5には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつ発光ダイオードや半導体レーザーなどが使用可能である。
【0049】
より具体的に、固体光源5には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nmの近紫外光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2、12の蛍光体としては、波長が約380nmないし約400nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、La2O2S:Eu3+、KSiF6:Mn4+、 KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+,Mn2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+等を用いることができ、青色蛍光体には、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+、LaAl(Si,Al)6(N,O)10:Ce3+等を用いることができる。
【0050】
また、固体光源5には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2、12の蛍光体としては、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、KSiF6:Mn4+、KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、Y3(Ga,Al)5O12:Ce3+、Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、CaSc2O4:Eu2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+、Ba3Si6O12N2:Eu2+、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+等を用いることができる。また、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
【0051】
そして、前述のように、蛍光体層2、12は、固体光源5が例えば紫外光を出射するものであるか青色光を出射するものであるかに応じて、あるいは、何色の照明光を得たいかなどに応じて、これらの蛍光体を1種類だけ用いたものでも良いし、複数種類を組み合わせて(複数種類を均一に分散混合させて)用いたものでも良い。また、蛍光体の粒径は、1μm〜30μmの範囲が望ましい。これは、蛍光体の粒径が1μm以下では蛍光体の発光効率が低下し、蛍光体の粒径が30μm以上では封止母材中の蛍光体の分散具合が不均一になるためである。
【0052】
また、蛍光体層2、12としては、蛍光体粉末をガラス中に分散させた構造を用いることができる。ガラスは、低融点ガラスと呼ばれる融点が600℃以下のものが望ましい。これは、溶融したガラス中に蛍光体粉末を分散させて使用するため、融点が高いものでは蛍光体が劣化してしまうためである。このようなガラスの組成としては、主成分としてP2O3、SiO2、B2O3、Al2O3などの成分とアルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物の成分を含むガラスが挙げられる。さらに、Bi2O3やTa2O5などの重金属の成分を含んでいても良い。また、窒素を組成に含むガラスも使用可能である。さらに高輝度化のために、蛍光体層2、12の表面に光取り出し構造を設けても良い。
【0053】
また、基板6、16には、金属や酸化物セラミックス、非酸化セラミックスなどが使用可能であるが、蛍光体粉末を分散させたガラス板を基板6、16と接着する場合には、反射率が高く、加工の容易な金属基板が望ましく、また、溶融したガラスを直接基板6、16上へ流し、成形する場合には、空気中でも高温まで安定である酸化物セラミックス基板を使用することが望ましい。基板6、16に使用可能な材質は、金属基板としてはAl、Ag、Cu、Fe、Ni、Ti、Mo、Wなどの単体や合金が、酸化物セラミックスの場合はAl2O3、ZrO2、MgO、Y2O3などが挙げられる。また、酸化物セラミックスの基板表面に金属膜を形成してもよい。このような構造は、蒸着やスパッタ、高融点金属法などにより酸化物セラミックス表面をメタライズすることで実現することができる。また、凹部17を有する基板16は、板材を用意し中央部を切削もしくはエッチングすること、もしくは板材に壁となる部品を取り付けることにより製造することが可能である。
【0054】
以下、蛍光体層2、12と基板6、16の製造方法について説明する。
【0055】
まず、蛍光体層2と基板6を貼り付ける場合について説明する。はじめにガラス板の作製方法であるが、封止母材であるガラスの原料粉末を目的の組成比となるように秤量する。次に1種類以上の蛍光体、例えば緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類の蛍光体粉末を秤量し、先ほどのガラス原料と十分に混合する。次に、この原料をるつぼに投入し、ガラスの融点以上で過熱し、溶融させる。この溶融したガラスを板状に拡げつつ冷却することで、ガラス板を作製することができる。作製されたガラス(すなわち、蛍光体層2)は、目的の形状に切断し、平板状の基板6と接着する。このときの接着部材としては、有機樹脂や有機接着剤、無機接着剤、ガラス、コバールなどの金属が挙げられる。
【0056】
次に、凹部17を有する基板16に蛍光体層12を形成する場合について説明する。溶融したガラスを作製する工程までは、前述の工程と同じであるが、凹部17を有する基板16に蛍光体層12を形成する場合には、その溶融したガラス(すなわち、蛍光体層12)を基板16の凹部17に直接注ぎ込み、凹部17の側壁の高さと一致する高さとなったところで注入をやめて冷却する。こうすることで、基板16の凹部17に蛍光体層12を形成することができる。
【0057】
このようにして蛍光体層2、12と基板6、16とを作製した後、この基板6、16をモーターなどの駆動部と連結することで、反射型蛍光回転体1、11を作製することができ、固体光源5と反射型蛍光回転体1、11とを組合わせることで、光源装置10、20とすることができる。
【0058】
なお、上述の各例では、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12としては、1種類の蛍光体層だけが用いられている。具体的に、例えば図2(a),(b)、図3(a),(b)の例では、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12として、例えば黄色蛍光体からなる蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。あるいは、図2(a),(b)、図3(a),(b)の例では、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12として、例えば青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっている蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。ただし、本発明は、これに限定されず、種々の変形が可能である。すなわち、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12としては、青、緑、黄、赤色などの蛍光体層を少なくとも1つ配置した構成にすることができる。換言すれば、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12は、複数のセクションに分かれていても良い。複数のセクションに分かれる場合には、隣接するセクションと発光が混ざるのを防ぐため、隣接するセクション間を光反射性の分離壁で分離させることが望ましい。また各セクションに分散している蛍光体の種類、分散量が異なっていても良い。また、各セクションの蛍光体層の厚みが異なっていても良い。
【0059】
図5、図6、図7は、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。なお、図5、図6、図7は、説明の便宜上、図2(a),(b)の構成(反射型蛍光回転体1の蛍光体層2)に対応させて図示されているが、同様に、図3(a),(b)の構成にも対応したものとすることができる。図5の例は、反射型蛍光回転体1(11)の蛍光体層2(12)として、2種類の蛍光体層2a,2b(12a,12b)(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2a(12a)と緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b(12b))が2等分に分割された蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1(11)の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図6の例は、反射型蛍光回転体1(11)の蛍光体層2(12)として、3種類の蛍光体層2a,2b,2c(12a,12b,12c)(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2a(12a)と緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b(12b)と青色蛍光体からなる青色の蛍光体層2c(12c))が3等分に分割された蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1(11)の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図7の例は、反射型蛍光回転体1(11)の蛍光体層2(12)として、2種類の蛍光体層2a,2b(12a,12b)(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2a(12a)と緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b(12b))が蛍光体領域として設けられ、蛍光体層が設けられていない領域が非蛍光体領域42cとして設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1(11)の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0060】
また、図8、図9は、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2が複数のセクションに分かれている場合についての他の構成例を示す図(平面図)である。上述した図5、図6、図7の構成例は、隣接するセクションの境界線が反射型蛍光回転体1の半径方向となるように、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2が複数のセクションに分けられているが、図8、図9の構成例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2が同心円状に複数のセクションに分けられている。すなわち、図8の構成例では、3種類の蛍光体層22a,22b,22c(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層22aと緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層22bと青色蛍光体からなる青色の蛍光体層22cとが同心円状の帯状の蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いて各蛍光体領域22a,22b,22cを同時に照射すれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図9の構成例では、2種類の蛍光体層22a,22b(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層22aと緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層22b)の蛍光体領域と蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域52cとが同心円状の帯状の領域として設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いて各領域22a,22b,52cを同時に照射すれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。なお、上述の各例において、蛍光体領域とは、蛍光体層を有する領域であって、蛍光体層に対応させて、光の透過率もしくは反射率を調整する調整層などが設けられる場合には、蛍光体層とともに、これらをも含めたものを指すものとする。ここでは、便宜上、蛍光体層とこれに対応する蛍光体領域には、同じ符号を付している。また、同心円状の帯状とは、円周上全周に渡って繋がった一定の幅を持ったドーナツ状の形状をいい、全周に渡って繋がっておらず円周上の一部の円弧状で一定の幅を持った形状は含まれないとする。また、図8、図9の構成において、非蛍光体領域52cは光変換効率が100%であるから、白色光を得るためには、非蛍光体領域52cの幅を各蛍光体領域22a,22bの幅よりも狭くする必要がある。また、図8、図9の構成においても、各蛍光体層22a,22b,22cを、基板の凹部に設けることができる。
【0061】
上述の各例の他にも、種々の変形が可能である。
【0062】
また、このような固体光源5と反射型蛍光回転体とを組み合わせて、照明色を変化させる構成にすることもできる。なお、以下では、説明の便宜上、反射型蛍光回転体が図2(a),(b)に示したものに対応したものであるとする(便宜上、各部に図2(a),(b)と同じ符号を付す)。反射型蛍光回転体が図3(a),(b)に示したものに対応したものである場合も同様であるので、反射型蛍光回転体が図3(a),(b)に示したものに対応したものである場合の説明は省略する。
【0063】
照明色を変化させる構成の第1の例は、上述したような反射型蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の領域(複数の蛍光体領域のみのときもあるし、あるいは、少なくとも1つの蛍光体領域の他に非蛍光体領域を有するときもある)に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記複数の領域が配置されており、固体光源5と反射型蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0064】
より具体的には、前記反射型蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように、前記反射型蛍光回転体は、前記複数の領域を区分する境界線の少なくとも1本が曲線状になっている。
【0065】
図10は、照明色を変化させることの可能な第1の例の光源装置の一例を示す図である。図10を参照すると、この光源装置30は、紫外光を出射する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)反射型蛍光回転体1とを備えている。図11は、図10の光源装置30に用いられる蛍光回転体1の一例を示す図である。図11の例では、反射型蛍光回転体1は、基板(例えば、金属基板、あるいは、金属膜などの反射面が設けられた所定基板)上に紫外光を照射すると赤色、緑色、青色の蛍光をそれぞれ発光する蛍光体層2a,2b,2cが3つの分割された領域として配置されており、赤色と緑色の蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3a、緑色と青色の蛍光体層2b,2cの領域を区分する境界線3bは、蛍光回転体1の回転軸X(回転中心)を通って半径方向に延びる直線となっているが、赤色と青色の蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cは、曲線状になっている(紫外光の入射によって赤色の蛍光を発する蛍光体領域2aと青色の蛍光を発する蛍光体領域2cとを区分する境界線が曲線状になっている)。すなわち、複数の蛍光体領域2a,2b,2cのうち、最も短波長の蛍光を発する蛍光体領域2cと最も長波長の蛍光を発する蛍光体領域2aとを区分する境界線が曲線状になっている。これにより、反射型蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように構成されている。
【0066】
図10の光源装置30では、図11の蛍光回転体1を用いていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。
【0067】
固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段26としては、固体光源5が固定されている場合、蛍光回転体1を蛍光回転体1の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図12に示すように、モーター27の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構28を用いた一般的なものが使用可能である。
【0068】
図10乃至図12の構成では、モーター4によって蛍光回転体1を回転させることで、赤緑青の3色の混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、蛍光回転体1の赤色蛍光体層2aの領域と青色蛍光体層2cの領域とを区分する境界線3cが曲線状となっていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、以下のような原理で、緑色蛍光体層2bの励起時間を固定し、青色蛍光体層2cと赤色蛍光体層2aの励起時間を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。このことは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に赤味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
【0069】
すなわち、固体光源5の光軸上を図11に示すA点が横切るように蛍光回転体1を配置した場合、蛍光回転体1をモーター4で回転させると、蛍光回転体1の回転軸Xを中心として持つA点を通る円弧上の部分の蛍光体層2a,2b,2cが固体光源5によりそれぞれの発光色で発光する。A点を通る円弧上での赤、緑、青の各蛍光体層2a,2b,2cに対する円弧の長さはほぼ等しくなり、この時に照明光が基準となる白色になるように、例えば、各蛍光体層2a,2b,2cに重ねて調整層を設けたり、各蛍光体層2a,2b,2cの膜厚などを調整しておく。この基準となる白色に対して青味を持たせるためには、青色蛍光体層2cの励起時間を延ばし赤色蛍光体層2aの励起時間を短くすれば良いが、図11に示す蛍光回転体1では、A点より外側に位置する蛍光回転体の回転軸Xを中心とする円弧上を固体光源5により励起すれば良いことになる。この状態を実現するために、例えば図12に示すように蛍光回転体1およびモーター4を、図12上で右方向に位置移動させれば良い。これにより、青味を持たせた照明色に変化させることができる。逆に、基準となる白色に対して赤味を持たせるためには、図12上で蛍光回転体1およびモーター4を左方向に移動させれば良い。この場合には、A点より内側に位置する蛍光回転体1の回転軸Xを中心とする円弧上を固体光源5により励起することになり、赤色蛍光体層2aの励起時間を延ばし青色蛍光体層2cの励起時間を短くすることができ、赤味を持たせた照明色に変化させることができる。以上のように、蛍光回転体1およびモーター4をモーター27とラックアンドピニオン機構28により連続的に動かせば、照明色を青味を持った白色から、赤味を持った白色まで連続的に変化させることができる。
【0070】
なお、図11の例では、赤色と青色の蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cだけが曲線状になっているが、本発明では、蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように、前記蛍光回転体1は、前記複数の蛍光体領域2a,2b,2cを区分する境界線3a,3b,3cの少なくとも1本が曲線状になっていればよく、図11の例のように赤色と青色の蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cだけが曲線状になっている場合に限らず、蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するという条件を満たす限り、赤色と緑色の蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3aや、緑色と青色の蛍光体層2b,2cの領域を区分する境界線3bをも曲線状にすることも可能である。また、図11の例では、蛍光回転体には、赤緑青の3つの蛍光体領域2a,2b,2cが設けられている場合を示したが、例えば赤緑青の蛍光体領域がそれぞれ2つずつ赤緑青の順に繰り返し設けられている場合(6つの蛍光体領域が設けられている場合)なども、本発明の範囲に含まれる。
【0071】
また、上述の例では、固体光源5に紫外光を出射するものを用い、複数の領域が3つの蛍光体領域2a,2b,2cのみから構成されている場合を示したが、固体光源5に可視光(例えば、青色光)を出射するものを用い、蛍光回転体1として、図13に示すように、可視光(例えば、青色光)を照射すると赤色、緑色の蛍光をそれぞれ発光する蛍光体層2a,2bが2つの分割された蛍光体領域として配置され、蛍光体層が設けられていない領域42cが非蛍光体領域として配置されており、赤色と緑色の蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3a、緑色の蛍光体層2bの領域と非蛍光体領域42cとを区分する境界線3bは、蛍光回転体1の回転軸X(回転中心)を通って半径方向に延びる直線となっているが、赤色の蛍光体層2aの領域と非蛍光体領域42cとを区分する境界線3cが、曲線状になっているものを用いることもできる。この場合も、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。すなわち、可視光を発光する固体光源5の色(いまの例では、青色)と、固体光源5により励起され固体光源5の発光波長より長波長の蛍光色(赤色と緑色)との混色により、白色光を得て、さらに、白色光の色を変化させたい場合、蛍光回転体1の赤色蛍光体領域2aと非蛍光体領域42cとを区分する境界線3cが曲線状となっていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、前述したと同様な原理で、緑色蛍光体層2bの励起時間を固定して、青色固体光源5の照明時間と赤色蛍光体層2aの励起時間を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。
【0072】
また、照明色を変化させる構成の第2の例は、反射型蛍光回転体上に配置された前記複数の領域(複数の蛍光体領域のみのときもあるし、あるいは、少なくとも1つの蛍光体領域の他に非蛍光体領域を有するときもある)が、前記反射型蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状であり、前記固体光源と前記反射型蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0073】
図14は、照明色を変化させる構成の第2の例の光源装置の一例を示す図である。図14を参照すると、この光源装置40は、紫外光を出射する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)蛍光回転体1とを備えている。図15は、図14の光源装置40に用いられる蛍光回転体1の一例を示す図である。図15の例では、蛍光回転体1は、基板(例えば、金属基板、あるいは、金属膜などの反射面が設けられた所定基板)上に,紫外光を照射すると赤色、緑色、青色の蛍光をそれぞれ発光する蛍光体層22a,22b,22cが、蛍光回転体1の回転軸Xを中心とした同心円状の帯状蛍光体領域として配置されている。
【0074】
さらに、図14の光源装置40では、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変にする可変手段26が設けられている。なお、この際、蛍光回転体1としては、図8に示したものに比べて、蛍光体領域22cの幅と蛍光体領域22aの幅が、より広く(大きく)とられているものを用いる必要がある。
【0075】
固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段26としては、固体光源5が固定されている場合、蛍光回転体1を蛍光回転体1の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図16に示すように、モーター27の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構28を用いた一般的なものが使用可能である。
【0076】
図14、図15、図16の構成では、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、固体光源5から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体1上の各領域22a,22b,22cの面積割合が変化することになり、それぞれの領域22a,22b,22cから発せられる各色光の混合割合が変化するため、照明色を変えることができる。
【0077】
より詳細に、赤緑青の3色の混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、固体光源5から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体1上の緑色蛍光体領域22bの面積割合を固定し、青色蛍光体領域22cと赤色蛍光体領域22aの面積割合を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、緑色蛍光体領域22bを挟んで両隣に赤色蛍光体領域22aおよび青色蛍光体領域22cを配置した蛍光回転体1を利用して、例えば青味を増す場合には紫外光の照射スポットに入る青色蛍光体領域22cの面積を大きくする一方で、赤色蛍光体領域22aの面積が小さくなるように、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させればよい。青色蛍光体領域22cの照射面積を大きくし、赤色蛍光体領域22aの照射面積を小さくすることは、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させれば自動的に実現される。このように、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に赤味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
【0078】
なお、上述の例では、固体光源5に紫外光を出射するものを用い、複数の領域が3つの蛍光体領域22a,22b,22cのみから構成されている場合を示したが、固体光源5に可視光(例えば、青色光)を出射するものを用い、蛍光回転体1として、図17に示すように、青色の励起光により赤色および緑色に発光する2つの蛍光体領域(蛍光体層22a,22b)と非蛍光体領域52cとが、蛍光回転体1の回転軸Xを中心とした同心円状の帯状領域として隣り合いながら塗り分けられて配置されたものを使用できる。なお、この際、蛍光回転体1としては、図9に示したものに比べて、非蛍光体領域52cの幅と蛍光体領域22aの幅が、より広く(大きく)とられているものを用いる必要がある。
【0079】
このように、図17の蛍光回転体1が用いられる場合も、図14、図16の構成において、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。
【0080】
すなわち、図17の蛍光回転体1が用いられる場合には、固体光源5から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体41上の各領域22a,22b,52cの面積割合が変化することになり、それぞれの領域22a,22b,52cから発せられる各色光の混合割合が変化するため、照明色を変えることができる。
【0081】
より詳細に、赤緑青の3色の混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、固体光源5から発せられる青色光の照射スポットの中に入る蛍光回転体1上の緑色蛍光体領域22bの面積割合を固定し、非蛍光体領域52cと赤色蛍光体領域22aの面積割合を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、緑色蛍光体領域22bを挟んで両隣に赤色蛍光体領域22aおよび非蛍光体領域52cを配置した図17の蛍光回転体1を利用して、例えば青味を増す場合には青色光の照射スポットに入る非蛍光体領域52cの面積を大きくする一方で、赤色蛍光体領域22aの面積が小さくなるように、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させればよい。非蛍光体領域52cの照射面積を大きくし、赤色蛍光体領域22aの照射面積を小さくすることは、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させれば自動的に実現される。このように、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に赤味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
【0082】
また、本発明の上述した種々の光源装置を所定のレンズ系などの光学部品と組み合わせることで、高輝度化が可能な照明装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、照明一般などに利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1、11 蛍光回転体
2、12、22 蛍光体層(蛍光体領域)
42c、52c 非蛍光体領域
4 モーター
5 固体光源
6、16 基板
17 基板の凹部
17a 凹部の側壁
26 可変手段
10、20、30、40 光源装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置は広く普及しているが、近年では高輝度化が進み、一般照明や自動車のヘッドランプなどその応用範囲が広がってきている。このような光源装置は、今後も高輝度化することで、さらに多様な用途での普及が進むと考えられている。
【0003】
このような光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置を高輝度化するための手段として、光半導体に大電流を投入し光半導体からの励起光強度を強めることが考えられるが、実際には蛍光体層で熱が発生し、蛍光体層において樹脂成分の変色や蛍光体の温度消光による蛍光強度の低下が生じてしまう。このため、結果として、発光強度は飽和、減少し、光半導体と蛍光体層を組み合わせた光源装置の高輝度化は困難であった。
【0004】
ここで、蛍光体層内の樹脂成分の変色とは、通常、蛍光体層は一定の形状に再現性良く形成するため、蛍光体粉末を樹脂成分と混練してペースト状に調製し、印刷法等を用いて塗布形成しており、この樹脂成分が加熱され200℃程度以上になると変色してしまう現象のことである。樹脂成分は本来透明であるため、熱により樹脂成分に変色が起きると、光半導体からの励起光や蛍光体層からの蛍光の一部を吸収してしまい、高輝度化を妨げる要因となっていた。
【0005】
また、蛍光体の温度消光とは、蛍光体を加熱すると蛍光強度が低下する現象のことである。温度消光により蛍光強度が低下すると、蛍光に変換されなかったエネルギーが熱となるため蛍光体の発熱量が増加し、さらに蛍光体の温度が上昇して温度消光が進み、蛍光強度もさらに低下するという現象が起きる。このため、熱により発生する蛍光体の温度消光も、高輝度化を妨げる要因となっていた。
【0006】
これらの問題を解決するために、特許文献1には、樹脂を含まない蛍光体層を用いた光源装置が提案されている。この場合、蛍光体層は、樹脂成分を含まないため変色は起こらず、さらに蛍光体層を温度感受性の低い蛍光体のセラミックス層とするために温度消光が起きないので、高輝度化が可能である。また、図1のように蛍光体層92を光半導体(固体光源)95と直接接合することで、蛍光体層92で発生した熱を光半導体(固体光源)95側に放散することを意図していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−005367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の図1に示すような光半導体(固体光源)95と蛍光体層92とが直接接合された光源装置では、光半導体(固体光源)95からの励起光によって励起された蛍光体層92からの発光(蛍光)のうち光半導体(固体光源)95側とは反対側に出射する蛍光と、蛍光体層92で吸収されずに蛍光体層92を透過する光半導体(固体光源)95からの励起光とを用いている。つまり、図1の光源装置は、蛍光体層92を透過する光を利用する透過方式のものとなっている。
【0009】
ここで、蛍光体層92からの出射光を考えると、上記透過光とともに蛍光体層92との界面で反射されて光半導体(固体光源)95側へ戻って行く光、つまり反射光も存在しており、この光(反射光)は、光半導体(固体光源)95に再吸収されるため、照明光として利用できない光となってしまうという問題があった。
【0010】
また、図1の光源装置では、蛍光体層92の熱を光半導体(固体光源)95側に放散することを意図しているが、光半導体(固体光源)95の励起光強度を高めた場合、蛍光体層92のみならず光半導体(固体光源)95でも発熱が起きるため、蛍光体層92の発熱を同じく発熱している光半導体(固体光源)95の側から放散させることとなり、熱放散の効率が良くないという問題があった。
【0011】
このように、図1の光源装置では、透過方式のものとなっていることと、蛍光体層92の発熱に対する熱放散の効率が良くないということとから、高輝度化に限界があった。
【0012】
本発明は、従来に比べて十分な高輝度化を図ることの可能な光源装置および照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、回転軸の周りに回転可能な反射型の蛍光回転体とを有し、該反射型の蛍光回転体は、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層と、光反射性を有する基板とを備え、前記蛍光体層には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられていることを特徴とする光源装置である。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光源装置において、前記基板は、前記固体光源側の面に凹部を有し、前記蛍光体層は、前記基板の前記凹部に設けられていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光源において、前記基板の前記凹部の側面は、傾斜面となっていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記複数の蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記少なくとも1つの蛍光体領域および非蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1乃至請求項8記載の発明によれば、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、回転軸の周りに回転可能な反射型の蛍光回転体とを有し、該反射型の蛍光回転体は、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層と、光反射性を有する基板とを備え、前記蛍光体層には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられているので、従来に比べて光源装置および照明装置の十分な高輝度化を図ることができ、さらに、蛍光体層に、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものを用いることで、蛍光体層を安価に(低コストで)形成することができ、光源装置および照明装置の低コスト化を図ることができる。
【0022】
特に、請求項2、請求項3記載の発明では、請求項1記載の光源装置において、前記基板は、前記固体光源側の面に凹部を有し、前記蛍光体層は、前記基板の前記凹部に設けられているので、より一層の高輝度化が可能となり、さらに、蛍光体層を基板の凹部の側壁で囲む構造となっていることにより、蛍光回転体の回転時における蛍光体層の剥離を有効に防止し、高輝度化とともに、信頼性を高めることができる。
【0023】
また、特に、請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の光源において、前記基板の前記凹部の側面は、傾斜面となっているので、傾斜している凹部の側面で反射した光を、蛍光体層外部へ(基板とは反対の側へ)確実に向かわせることができ、より効率よく蛍光体層から光を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の光源装置を示す図である。
【図2】本発明の光源装置の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の光源装置の他の構成例を示す図である。
【図4】本発明の光源装置の他の構成例を示す図である。
【図5】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図6】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図7】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図8】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図9】反射型蛍光回転体の蛍光体層が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。
【図10】照明色を変化させることの可能な第1の例の光源装置の一例を示す図である。
【図11】図10の光源装置に用いられる蛍光回転体の一例を示す図である。
【図12】移動手段の一例を示す図である。
【図13】図10の光源装置に用いられる蛍光回転体の他の例を示す図である。
【図14】照明色を変化させる構成の第2の例の光源装置の一例を示す図である。
【図15】図14の光源装置に用いられる蛍光回転体の一例を示す図である。
【図16】移動手段の一例を示す図である。
【図17】図14の光源装置に用いられる蛍光回転体の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図2(a),(b)は、本発明の光源装置の一構成例を示す図である。なお、図2(a)は全体の正面図、図2(b)は蛍光回転体の平面図である。図2(a),(b)を参照すると、この光源装置10は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、モーターなどの駆動部(図示せず)による駆動によって回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1とを有し、該反射型の蛍光回転体1は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層2と、光反射性を有する基板6とを備え、蛍光体層2には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられている。
【0027】
ここで、蛍光体層2は、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1に設けられており、固体光源5とは空間的に離れて配置されている。
【0028】
なお、蛍光体層2は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、青、緑、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0029】
また、基板6は、光反射性を有する材料(例えば金属など)で形成されている。
【0030】
また、この光源装置10では、蛍光回転体1が反射型の蛍光回転体として構成されており、蛍光体層2の面のうち固体光源5からの励起光が入射する側の面とは反対側に設けられた反射面(基板6の反射面)による反射を用いて蛍光などの光を取り出す方式(以下、反射方式と称す)が採用されている。
【0031】
このように、この光源装置10は、基本的には、固体光源5と蛍光体層2とを空間的に離して配置し、発光を反射方式で利用することを特徴としている。
【0032】
すなわち、図1に示した従来の光源装置のように、蛍光体層92が固体光源95と接している場合には、高輝度化をしようとしても、蛍光体層92と固体光源95との両方とも加熱されてしまうため、蛍光体層92からの熱放散の効率が悪かったが、図2(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層2を固体光源5から離して配置することで、高輝度化をする場合にも、蛍光体層2からの熱を、低温の基板6へ放散させることが可能となり、蛍光体層2からの熱放散の効率を、図1に示した従来の光源装置に比べて、著しく高めることができる。
【0033】
また、図1に示した従来の光源装置では、固体光源95からの励起光と蛍光体層92からの蛍光のうち、固体光源95とは反対の側に出射する蛍光と、蛍光体層92で吸収されずに透過する固体光源95からの励起光とを用いている。つまり透過方式を使用している。ここで、透過方式では、蛍光体層92からの出射光を考えると、励起光については上記透過光とともに蛍光体層92との界面で反射されて固体光源95側へ戻って行く発光、つまり反射光も存在しており、この反射光は固体光源95に再吸収されるため照明光として利用できない光となってしまう。また、蛍光体層92からの蛍光は、蛍光体層92の両面から出射するため、やはり固体光源95側に出射する光は利用できない。このように、透過方式では、光の利用効率が低下してしまう。また、透過方式では、目的の色度の照明光を得るためには蛍光体層92の厚みを厚くする必要があり、蛍光体層92から固体光源95までの距離が長くなるため、蛍光体層92からの熱を固体光源95に放散する上で不利であった。
【0034】
これに対し、図2(a),(b)の光源装置10では、反射型の蛍光回転体1を用い、固体光源5とは反対の側に出射する光(励起光、蛍光)を反射面(具体的には、基板6の反射面)で固体光源5側に反射する反射方式を採用しているので、固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層2からの発光(蛍光)の全て(すなわち、固体光源5側に出射する蛍光)と、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの励起光の全て(すなわち、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの光の反射光)とを照明光として利用できるため(すなわち、励起光、蛍光とも効率よく照明光として利用できるため)、光の利用効率を著しく高めることができ、高輝度化が可能となる。また、透過型に対し、反射型では、蛍光体層2の厚みが半分以下でも蛍光体層2内の光路長が等しくなり、同じ色度の光が得られるため、蛍光体層2を薄くすることができ、蛍光体層2から基板6までの距離が短くなるので、熱放散の面でも有利である。
【0035】
このように、図2(a),(b)の光源装置10では、基本的には、固体光源5と蛍光体層2とを空間的に離して配置し、発光を反射方式で利用するので、従来に比べて十分な高輝度化を図ることができる。
【0036】
さらに、図2(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層2は、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体1に設けられているので、固体光源5に対して蛍光体層2を回転させることにより、固体光源5からの励起光が当たる場所を分散させ、光照射部での発熱を抑えることができ、これにより、より一層の高輝度化が可能となる。
【0037】
さらに、図2(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層2には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられているので(すなわち、実質的に樹脂成分を含んでいないものが用いられているので)、熱による変色がなく、光の吸収が少ないことから、より一層の高輝度化を図ることができる。また、蛍光体層2に、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものを用いることで、蛍光体層2を安価に(低コストで)形成することができる。すなわち、ガラス中に蛍光体粉末を分散させた構造では、熱に弱い樹脂成分がないため変色が起きず、作製時に加圧雰囲気が必要でないため大量生産が可能であり、コスト(製造コスト)も低く抑えることができる。
【0038】
なお、図2(a),(b)の光源装置10では、基板6に平板状のものを用いているが、基板6には平板状以外のものを用いることもできる。
【0039】
図3(a),(b)は、本発明の光源装置の他の構成例を示す図である。なお、図3(a)は全体の正面図、図3(b)は蛍光回転体の平面図である。また、図3(a),(b)において、図2(a),(b)と同様の箇所には同じ符号を付している。図3(a),(b)を参照すると、この光源装置20では、回転軸Xの周りに回転可能な反射型の蛍光回転体11の基板16が固体光源5側の面に凹部17を有し、基板16の凹部17に蛍光体層12が設けられている。すなわち、この構成では、蛍光体層12の側面(端面)を光反射性の側壁(凹部17の側壁)17aで囲む構造となっている。
【0040】
ここで、蛍光体層12には、図2(a),(b)の蛍光体層2と同様に、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられている。
【0041】
すなわち、蛍光体層12は、蛍光体層2と同様に、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、青、緑、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0042】
また、基板16は、光反射性を有する材料(例えば金属など)で形成されている。
【0043】
図3(a),(b)の構成では、蛍光体層12の側面(端面)を光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで囲む構造となっていることにより、蛍光体層12内を側面(端面)へ導波する光も、光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで反射されて再度蛍光体層12内に戻り、効率的に(すなわち、光損失を少なく)蛍光体層12から取り出すことができる。特に、蛍光体層12が透明または半透明のものである場合には、図4に示すように(なお、図4は図3(a)に対応する図であり、図4において図3(a)と同様の箇所には同じ符号を付している)、光反射性の側壁(凹部17の側面)17aを傾斜面(光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで反射した光を基板16とは反対の側に向かわせるように傾斜している面)とするのが望ましい。すなわち、この場合には、傾斜している光反射性の側壁(凹部17の側面)17aで反射した光を、蛍光体層12外部へ(基板16とは反対の側へ)確実に向かわせることができるため、より効率よく蛍光体層12から光を取り出すことができる。
【0044】
このように、図3(a),(b)、図4の構成では、光反射性を有する材料(例えば金属など)で形成されている基板16の凹部17に蛍光体層12が設けられていることによって、蛍光体層12の側面(基板16の凹部17の側面17a)の光反射性を利用して、蛍光体層12からの光(励起光、蛍光)を反射させて利用できるので(光の利用効率を向上させることができるので)、より一層の高輝度化が可能となる。
【0045】
さらに、図3(a),(b)、図4の構成では、蛍光体層12を基板16の凹部17の側壁で囲む構造となっていることにより、蛍光回転体11の回転時に蛍光体層12へ回転軸Xに対して垂直面内方向、いいかえれば蛍光体層12の面内方向に応力が発生しても、蛍光体層12の剥離が起きなくなり、高輝度化とともに、信頼性を高めることができる。
【0046】
さらに、蛍光体層12にガラス中に蛍光体粉末を分散させたものを用いるとき、これを凹部17を有する基板16と組合わせた場合には、製造上の有利な点がある。すなわち、蛍光回転体11を製造する場合に、蛍光体粉末を分散した溶融ガラスを基板16の凹部17へ直接流し込み、冷却して硬化することで、蛍光体層12と基板16を簡便に作製することが可能となる。この方法では、凹部17の深さを任意に調整し、そこにガラスを注入することで、一定の厚みの蛍光体層12を作製することができる。
【0047】
次に、図2(a),(b)の光源装置10、図3(a),(b)、図4の光源装置20をより詳細に説明する。
【0048】
図2(a),(b)の光源装置10、図3(a),(b)、図4の光源装置20において、固体光源5には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつ発光ダイオードや半導体レーザーなどが使用可能である。
【0049】
より具体的に、固体光源5には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nmの近紫外光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2、12の蛍光体としては、波長が約380nmないし約400nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、La2O2S:Eu3+、KSiF6:Mn4+、 KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+,Mn2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+等を用いることができ、青色蛍光体には、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+、LaAl(Si,Al)6(N,O)10:Ce3+等を用いることができる。
【0050】
また、固体光源5には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2、12の蛍光体としては、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、KSiF6:Mn4+、KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、Y3(Ga,Al)5O12:Ce3+、Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、CaSc2O4:Eu2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+、Ba3Si6O12N2:Eu2+、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+等を用いることができる。また、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
【0051】
そして、前述のように、蛍光体層2、12は、固体光源5が例えば紫外光を出射するものであるか青色光を出射するものであるかに応じて、あるいは、何色の照明光を得たいかなどに応じて、これらの蛍光体を1種類だけ用いたものでも良いし、複数種類を組み合わせて(複数種類を均一に分散混合させて)用いたものでも良い。また、蛍光体の粒径は、1μm〜30μmの範囲が望ましい。これは、蛍光体の粒径が1μm以下では蛍光体の発光効率が低下し、蛍光体の粒径が30μm以上では封止母材中の蛍光体の分散具合が不均一になるためである。
【0052】
また、蛍光体層2、12としては、蛍光体粉末をガラス中に分散させた構造を用いることができる。ガラスは、低融点ガラスと呼ばれる融点が600℃以下のものが望ましい。これは、溶融したガラス中に蛍光体粉末を分散させて使用するため、融点が高いものでは蛍光体が劣化してしまうためである。このようなガラスの組成としては、主成分としてP2O3、SiO2、B2O3、Al2O3などの成分とアルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物の成分を含むガラスが挙げられる。さらに、Bi2O3やTa2O5などの重金属の成分を含んでいても良い。また、窒素を組成に含むガラスも使用可能である。さらに高輝度化のために、蛍光体層2、12の表面に光取り出し構造を設けても良い。
【0053】
また、基板6、16には、金属や酸化物セラミックス、非酸化セラミックスなどが使用可能であるが、蛍光体粉末を分散させたガラス板を基板6、16と接着する場合には、反射率が高く、加工の容易な金属基板が望ましく、また、溶融したガラスを直接基板6、16上へ流し、成形する場合には、空気中でも高温まで安定である酸化物セラミックス基板を使用することが望ましい。基板6、16に使用可能な材質は、金属基板としてはAl、Ag、Cu、Fe、Ni、Ti、Mo、Wなどの単体や合金が、酸化物セラミックスの場合はAl2O3、ZrO2、MgO、Y2O3などが挙げられる。また、酸化物セラミックスの基板表面に金属膜を形成してもよい。このような構造は、蒸着やスパッタ、高融点金属法などにより酸化物セラミックス表面をメタライズすることで実現することができる。また、凹部17を有する基板16は、板材を用意し中央部を切削もしくはエッチングすること、もしくは板材に壁となる部品を取り付けることにより製造することが可能である。
【0054】
以下、蛍光体層2、12と基板6、16の製造方法について説明する。
【0055】
まず、蛍光体層2と基板6を貼り付ける場合について説明する。はじめにガラス板の作製方法であるが、封止母材であるガラスの原料粉末を目的の組成比となるように秤量する。次に1種類以上の蛍光体、例えば緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類の蛍光体粉末を秤量し、先ほどのガラス原料と十分に混合する。次に、この原料をるつぼに投入し、ガラスの融点以上で過熱し、溶融させる。この溶融したガラスを板状に拡げつつ冷却することで、ガラス板を作製することができる。作製されたガラス(すなわち、蛍光体層2)は、目的の形状に切断し、平板状の基板6と接着する。このときの接着部材としては、有機樹脂や有機接着剤、無機接着剤、ガラス、コバールなどの金属が挙げられる。
【0056】
次に、凹部17を有する基板16に蛍光体層12を形成する場合について説明する。溶融したガラスを作製する工程までは、前述の工程と同じであるが、凹部17を有する基板16に蛍光体層12を形成する場合には、その溶融したガラス(すなわち、蛍光体層12)を基板16の凹部17に直接注ぎ込み、凹部17の側壁の高さと一致する高さとなったところで注入をやめて冷却する。こうすることで、基板16の凹部17に蛍光体層12を形成することができる。
【0057】
このようにして蛍光体層2、12と基板6、16とを作製した後、この基板6、16をモーターなどの駆動部と連結することで、反射型蛍光回転体1、11を作製することができ、固体光源5と反射型蛍光回転体1、11とを組合わせることで、光源装置10、20とすることができる。
【0058】
なお、上述の各例では、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12としては、1種類の蛍光体層だけが用いられている。具体的に、例えば図2(a),(b)、図3(a),(b)の例では、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12として、例えば黄色蛍光体からなる蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。あるいは、図2(a),(b)、図3(a),(b)の例では、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12として、例えば青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっている蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。ただし、本発明は、これに限定されず、種々の変形が可能である。すなわち、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12としては、青、緑、黄、赤色などの蛍光体層を少なくとも1つ配置した構成にすることができる。換言すれば、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12は、複数のセクションに分かれていても良い。複数のセクションに分かれる場合には、隣接するセクションと発光が混ざるのを防ぐため、隣接するセクション間を光反射性の分離壁で分離させることが望ましい。また各セクションに分散している蛍光体の種類、分散量が異なっていても良い。また、各セクションの蛍光体層の厚みが異なっていても良い。
【0059】
図5、図6、図7は、反射型蛍光回転体1、11の蛍光体層2、12が複数のセクションに分かれている場合についての各種の構成例を示す図(平面図)である。なお、図5、図6、図7は、説明の便宜上、図2(a),(b)の構成(反射型蛍光回転体1の蛍光体層2)に対応させて図示されているが、同様に、図3(a),(b)の構成にも対応したものとすることができる。図5の例は、反射型蛍光回転体1(11)の蛍光体層2(12)として、2種類の蛍光体層2a,2b(12a,12b)(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2a(12a)と緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b(12b))が2等分に分割された蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1(11)の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図6の例は、反射型蛍光回転体1(11)の蛍光体層2(12)として、3種類の蛍光体層2a,2b,2c(12a,12b,12c)(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2a(12a)と緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b(12b)と青色蛍光体からなる青色の蛍光体層2c(12c))が3等分に分割された蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1(11)の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図7の例は、反射型蛍光回転体1(11)の蛍光体層2(12)として、2種類の蛍光体層2a,2b(12a,12b)(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2a(12a)と緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b(12b))が蛍光体領域として設けられ、蛍光体層が設けられていない領域が非蛍光体領域42cとして設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1(11)の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0060】
また、図8、図9は、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2が複数のセクションに分かれている場合についての他の構成例を示す図(平面図)である。上述した図5、図6、図7の構成例は、隣接するセクションの境界線が反射型蛍光回転体1の半径方向となるように、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2が複数のセクションに分けられているが、図8、図9の構成例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2が同心円状に複数のセクションに分けられている。すなわち、図8の構成例では、3種類の蛍光体層22a,22b,22c(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層22aと緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層22bと青色蛍光体からなる青色の蛍光体層22cとが同心円状の帯状の蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いて各蛍光体領域22a,22b,22cを同時に照射すれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図9の構成例では、2種類の蛍光体層22a,22b(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層22aと緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層22b)の蛍光体領域と蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域52cとが同心円状の帯状の領域として設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いて各領域22a,22b,52cを同時に照射すれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。なお、上述の各例において、蛍光体領域とは、蛍光体層を有する領域であって、蛍光体層に対応させて、光の透過率もしくは反射率を調整する調整層などが設けられる場合には、蛍光体層とともに、これらをも含めたものを指すものとする。ここでは、便宜上、蛍光体層とこれに対応する蛍光体領域には、同じ符号を付している。また、同心円状の帯状とは、円周上全周に渡って繋がった一定の幅を持ったドーナツ状の形状をいい、全周に渡って繋がっておらず円周上の一部の円弧状で一定の幅を持った形状は含まれないとする。また、図8、図9の構成において、非蛍光体領域52cは光変換効率が100%であるから、白色光を得るためには、非蛍光体領域52cの幅を各蛍光体領域22a,22bの幅よりも狭くする必要がある。また、図8、図9の構成においても、各蛍光体層22a,22b,22cを、基板の凹部に設けることができる。
【0061】
上述の各例の他にも、種々の変形が可能である。
【0062】
また、このような固体光源5と反射型蛍光回転体とを組み合わせて、照明色を変化させる構成にすることもできる。なお、以下では、説明の便宜上、反射型蛍光回転体が図2(a),(b)に示したものに対応したものであるとする(便宜上、各部に図2(a),(b)と同じ符号を付す)。反射型蛍光回転体が図3(a),(b)に示したものに対応したものである場合も同様であるので、反射型蛍光回転体が図3(a),(b)に示したものに対応したものである場合の説明は省略する。
【0063】
照明色を変化させる構成の第1の例は、上述したような反射型蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の領域(複数の蛍光体領域のみのときもあるし、あるいは、少なくとも1つの蛍光体領域の他に非蛍光体領域を有するときもある)に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記複数の領域が配置されており、固体光源5と反射型蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0064】
より具体的には、前記反射型蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように、前記反射型蛍光回転体は、前記複数の領域を区分する境界線の少なくとも1本が曲線状になっている。
【0065】
図10は、照明色を変化させることの可能な第1の例の光源装置の一例を示す図である。図10を参照すると、この光源装置30は、紫外光を出射する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)反射型蛍光回転体1とを備えている。図11は、図10の光源装置30に用いられる蛍光回転体1の一例を示す図である。図11の例では、反射型蛍光回転体1は、基板(例えば、金属基板、あるいは、金属膜などの反射面が設けられた所定基板)上に紫外光を照射すると赤色、緑色、青色の蛍光をそれぞれ発光する蛍光体層2a,2b,2cが3つの分割された領域として配置されており、赤色と緑色の蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3a、緑色と青色の蛍光体層2b,2cの領域を区分する境界線3bは、蛍光回転体1の回転軸X(回転中心)を通って半径方向に延びる直線となっているが、赤色と青色の蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cは、曲線状になっている(紫外光の入射によって赤色の蛍光を発する蛍光体領域2aと青色の蛍光を発する蛍光体領域2cとを区分する境界線が曲線状になっている)。すなわち、複数の蛍光体領域2a,2b,2cのうち、最も短波長の蛍光を発する蛍光体領域2cと最も長波長の蛍光を発する蛍光体領域2aとを区分する境界線が曲線状になっている。これにより、反射型蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように構成されている。
【0066】
図10の光源装置30では、図11の蛍光回転体1を用いていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。
【0067】
固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段26としては、固体光源5が固定されている場合、蛍光回転体1を蛍光回転体1の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図12に示すように、モーター27の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構28を用いた一般的なものが使用可能である。
【0068】
図10乃至図12の構成では、モーター4によって蛍光回転体1を回転させることで、赤緑青の3色の混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、蛍光回転体1の赤色蛍光体層2aの領域と青色蛍光体層2cの領域とを区分する境界線3cが曲線状となっていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、以下のような原理で、緑色蛍光体層2bの励起時間を固定し、青色蛍光体層2cと赤色蛍光体層2aの励起時間を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。このことは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に赤味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
【0069】
すなわち、固体光源5の光軸上を図11に示すA点が横切るように蛍光回転体1を配置した場合、蛍光回転体1をモーター4で回転させると、蛍光回転体1の回転軸Xを中心として持つA点を通る円弧上の部分の蛍光体層2a,2b,2cが固体光源5によりそれぞれの発光色で発光する。A点を通る円弧上での赤、緑、青の各蛍光体層2a,2b,2cに対する円弧の長さはほぼ等しくなり、この時に照明光が基準となる白色になるように、例えば、各蛍光体層2a,2b,2cに重ねて調整層を設けたり、各蛍光体層2a,2b,2cの膜厚などを調整しておく。この基準となる白色に対して青味を持たせるためには、青色蛍光体層2cの励起時間を延ばし赤色蛍光体層2aの励起時間を短くすれば良いが、図11に示す蛍光回転体1では、A点より外側に位置する蛍光回転体の回転軸Xを中心とする円弧上を固体光源5により励起すれば良いことになる。この状態を実現するために、例えば図12に示すように蛍光回転体1およびモーター4を、図12上で右方向に位置移動させれば良い。これにより、青味を持たせた照明色に変化させることができる。逆に、基準となる白色に対して赤味を持たせるためには、図12上で蛍光回転体1およびモーター4を左方向に移動させれば良い。この場合には、A点より内側に位置する蛍光回転体1の回転軸Xを中心とする円弧上を固体光源5により励起することになり、赤色蛍光体層2aの励起時間を延ばし青色蛍光体層2cの励起時間を短くすることができ、赤味を持たせた照明色に変化させることができる。以上のように、蛍光回転体1およびモーター4をモーター27とラックアンドピニオン機構28により連続的に動かせば、照明色を青味を持った白色から、赤味を持った白色まで連続的に変化させることができる。
【0070】
なお、図11の例では、赤色と青色の蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cだけが曲線状になっているが、本発明では、蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように、前記蛍光回転体1は、前記複数の蛍光体領域2a,2b,2cを区分する境界線3a,3b,3cの少なくとも1本が曲線状になっていればよく、図11の例のように赤色と青色の蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cだけが曲線状になっている場合に限らず、蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するという条件を満たす限り、赤色と緑色の蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3aや、緑色と青色の蛍光体層2b,2cの領域を区分する境界線3bをも曲線状にすることも可能である。また、図11の例では、蛍光回転体には、赤緑青の3つの蛍光体領域2a,2b,2cが設けられている場合を示したが、例えば赤緑青の蛍光体領域がそれぞれ2つずつ赤緑青の順に繰り返し設けられている場合(6つの蛍光体領域が設けられている場合)なども、本発明の範囲に含まれる。
【0071】
また、上述の例では、固体光源5に紫外光を出射するものを用い、複数の領域が3つの蛍光体領域2a,2b,2cのみから構成されている場合を示したが、固体光源5に可視光(例えば、青色光)を出射するものを用い、蛍光回転体1として、図13に示すように、可視光(例えば、青色光)を照射すると赤色、緑色の蛍光をそれぞれ発光する蛍光体層2a,2bが2つの分割された蛍光体領域として配置され、蛍光体層が設けられていない領域42cが非蛍光体領域として配置されており、赤色と緑色の蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3a、緑色の蛍光体層2bの領域と非蛍光体領域42cとを区分する境界線3bは、蛍光回転体1の回転軸X(回転中心)を通って半径方向に延びる直線となっているが、赤色の蛍光体層2aの領域と非蛍光体領域42cとを区分する境界線3cが、曲線状になっているものを用いることもできる。この場合も、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。すなわち、可視光を発光する固体光源5の色(いまの例では、青色)と、固体光源5により励起され固体光源5の発光波長より長波長の蛍光色(赤色と緑色)との混色により、白色光を得て、さらに、白色光の色を変化させたい場合、蛍光回転体1の赤色蛍光体領域2aと非蛍光体領域42cとを区分する境界線3cが曲線状となっていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、前述したと同様な原理で、緑色蛍光体層2bの励起時間を固定して、青色固体光源5の照明時間と赤色蛍光体層2aの励起時間を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。
【0072】
また、照明色を変化させる構成の第2の例は、反射型蛍光回転体上に配置された前記複数の領域(複数の蛍光体領域のみのときもあるし、あるいは、少なくとも1つの蛍光体領域の他に非蛍光体領域を有するときもある)が、前記反射型蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状であり、前記固体光源と前記反射型蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
【0073】
図14は、照明色を変化させる構成の第2の例の光源装置の一例を示す図である。図14を参照すると、この光源装置40は、紫外光を出射する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)蛍光回転体1とを備えている。図15は、図14の光源装置40に用いられる蛍光回転体1の一例を示す図である。図15の例では、蛍光回転体1は、基板(例えば、金属基板、あるいは、金属膜などの反射面が設けられた所定基板)上に,紫外光を照射すると赤色、緑色、青色の蛍光をそれぞれ発光する蛍光体層22a,22b,22cが、蛍光回転体1の回転軸Xを中心とした同心円状の帯状蛍光体領域として配置されている。
【0074】
さらに、図14の光源装置40では、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変にする可変手段26が設けられている。なお、この際、蛍光回転体1としては、図8に示したものに比べて、蛍光体領域22cの幅と蛍光体領域22aの幅が、より広く(大きく)とられているものを用いる必要がある。
【0075】
固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段26としては、固体光源5が固定されている場合、蛍光回転体1を蛍光回転体1の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図16に示すように、モーター27の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構28を用いた一般的なものが使用可能である。
【0076】
図14、図15、図16の構成では、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、固体光源5から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体1上の各領域22a,22b,22cの面積割合が変化することになり、それぞれの領域22a,22b,22cから発せられる各色光の混合割合が変化するため、照明色を変えることができる。
【0077】
より詳細に、赤緑青の3色の混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、固体光源5から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体1上の緑色蛍光体領域22bの面積割合を固定し、青色蛍光体領域22cと赤色蛍光体領域22aの面積割合を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、緑色蛍光体領域22bを挟んで両隣に赤色蛍光体領域22aおよび青色蛍光体領域22cを配置した蛍光回転体1を利用して、例えば青味を増す場合には紫外光の照射スポットに入る青色蛍光体領域22cの面積を大きくする一方で、赤色蛍光体領域22aの面積が小さくなるように、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させればよい。青色蛍光体領域22cの照射面積を大きくし、赤色蛍光体領域22aの照射面積を小さくすることは、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させれば自動的に実現される。このように、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に赤味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
【0078】
なお、上述の例では、固体光源5に紫外光を出射するものを用い、複数の領域が3つの蛍光体領域22a,22b,22cのみから構成されている場合を示したが、固体光源5に可視光(例えば、青色光)を出射するものを用い、蛍光回転体1として、図17に示すように、青色の励起光により赤色および緑色に発光する2つの蛍光体領域(蛍光体層22a,22b)と非蛍光体領域52cとが、蛍光回転体1の回転軸Xを中心とした同心円状の帯状領域として隣り合いながら塗り分けられて配置されたものを使用できる。なお、この際、蛍光回転体1としては、図9に示したものに比べて、非蛍光体領域52cの幅と蛍光体領域22aの幅が、より広く(大きく)とられているものを用いる必要がある。
【0079】
このように、図17の蛍光回転体1が用いられる場合も、図14、図16の構成において、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。
【0080】
すなわち、図17の蛍光回転体1が用いられる場合には、固体光源5から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体41上の各領域22a,22b,52cの面積割合が変化することになり、それぞれの領域22a,22b,52cから発せられる各色光の混合割合が変化するため、照明色を変えることができる。
【0081】
より詳細に、赤緑青の3色の混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段26によって可変にすることにより(変化させることにより)、固体光源5から発せられる青色光の照射スポットの中に入る蛍光回転体1上の緑色蛍光体領域22bの面積割合を固定し、非蛍光体領域52cと赤色蛍光体領域22aの面積割合を変化させて、青味と赤味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、緑色蛍光体領域22bを挟んで両隣に赤色蛍光体領域22aおよび非蛍光体領域52cを配置した図17の蛍光回転体1を利用して、例えば青味を増す場合には青色光の照射スポットに入る非蛍光体領域52cの面積を大きくする一方で、赤色蛍光体領域22aの面積が小さくなるように、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させればよい。非蛍光体領域52cの照射面積を大きくし、赤色蛍光体領域22aの照射面積を小さくすることは、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を変化させれば自動的に実現される。このように、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、赤味を増すように照明色を変化させることは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に赤味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
【0082】
また、本発明の上述した種々の光源装置を所定のレンズ系などの光学部品と組み合わせることで、高輝度化が可能な照明装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、照明一般などに利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1、11 蛍光回転体
2、12、22 蛍光体層(蛍光体領域)
42c、52c 非蛍光体領域
4 モーター
5 固体光源
6、16 基板
17 基板の凹部
17a 凹部の側壁
26 可変手段
10、20、30、40 光源装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、回転軸の周りに回転可能な反射型の蛍光回転体とを有し、該反射型の蛍光回転体は、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層と、光反射性を有する基板とを備え、前記蛍光体層には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置において、前記基板は、前記固体光源側の面に凹部を有し、前記蛍光体層は、前記基板の前記凹部に設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光源において、前記基板の前記凹部の側面は、傾斜面となっていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記複数の蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記少なくとも1つの蛍光体領域および非蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置。
【請求項1】
紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、回転軸の周りに回転可能な反射型の蛍光回転体とを有し、該反射型の蛍光回転体は、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層と、光反射性を有する基板とを備え、前記蛍光体層には、ガラス中に蛍光体粉末を分散させたものが用いられていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置において、前記基板は、前記固体光源側の面に凹部を有し、前記蛍光体層は、前記基板の前記凹部に設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光源において、前記基板の前記凹部の側面は、傾斜面となっていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記複数の蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記少なくとも1つの蛍光体領域および非蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として複数の蛍光体層が設けられ、前記複数の蛍光体層に対応した複数の蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光源装置において、前記反射型の蛍光回転体には、前記蛍光体層として少なくとも1つの蛍光体層が設けられ、前記少なくとも1つの蛍光体層に対応した少なくとも1つの蛍光体領域、および、蛍光体層が設けられていない非蛍光体領域が、前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状のものであり、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−129406(P2011−129406A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287559(P2009−287559)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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