説明

光源装置及びプロジェクタ

【課題】高い熱伝導性を有すると共に、光源保持体とレンズ保持体とを強固に固定することでずれを防止することができる光源装置、及びプロジェクタを提供する。
【解決手段】励起光照射装置70は、励起光源71を保持する光源保持体80とレンズ保持体79とが一体とされた光源装置であって、光源保持体80は、前方側の面80eに、前方側の面80eよりも励起光源71の基台71aの前方側の外周部71eの面71fが突出するように、励起光源71が取り付けられる取付凹部80cを有し、レンズ保持体79は、孔部79cを有する。孔部の周辺部が押圧部79hとして励起光源71の外周部71eの面71fを押圧して、レンズ保持体79と光源保持体80との間にギャップ(G)が形成され、そのギャップ部に塗布された接着剤91により、光源保持体80とレンズ保持体79が強固に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、さらにメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのデータプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、光源から射出された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0003】
このようなプロジェクタにおいて、従来は高輝度の放電ランプを光源とするものが主流であったが、近年、光源として発光ダイオードやレーザーダイオード、あるいは、有機EL、蛍光体等を用いる種々のプロジェクタの開発が多々なされている。
【0004】
例えば、レーザーダイオードなどの半導体素子は、チップ温度を定格範囲に保ち、寿命を保証するために適切な放熱が必要であった。レーザーダイオードの発光変換効率は30%程度であり。直流電力の大部分は熱としてパッケージから放出される。よって、レーザーダイオードを放熱器なしで動作させることは避けなければならない。また、熱伝導性を向上させるために、レーザーダイオードとヒートシンクとの間にシリコングリース等を塗布すると、シリコングリース等がガラス面に付着しないように十分に注意する必要があり、作業工数が増加して、高価となってしまう。このため、レーザーダイオード等の光源用素子の放熱機構は重要であるとともに構造には工夫が必要である。
【0005】
ところで、プロジェクタ内の光源装置は、光源用素子と、光源用素子からの光を集光するコリメータレンズとを、光軸調整した状態で光源保持体及びレンズ保持体により保持し、レンズ保持体と光源保持体とが固定ネジにより一体に固定されたものが知られている。
【0006】
また、レンズ保持体と光源保持体とを接着剤で相互に固定するレーザー光源装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のレーザー光源装置は、半導体レーザーを保持する光源保持体としてのホルダと、光学素子を保持するレンズ保持体としてのベースとを有し、ホルダには内周凸部と外周凸部とが形成され、ホルダの内周凸部の上面とベースの上面とを密着させて、内周凸部と外周凸部との間隙に接着剤を注入し、その接着剤によりホルダとベースとを固着するものであり、部品点数を少なくし、製造を容易とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−246040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従前のネジによりレンズ保持体と光源保持体を固定した光源装置では、長期の使用によりレンズ保持体が僅かにズレて光源装置の性能が低下し、保守を必要とすることがあった。また、上記特許文献1に記載のレーザ光源装置では、装置の組み立て製造を容易としつつ所望の性能を維持できるとしている。しかし、この特許文献1の光源装置では、レンズ保持体と光源保持体とを調整した所定位置に固定して接着工程を行うため、製造効率を高めることが困難であった。また、レンズ保持体に内周凸部等の加工が必要になるという問題があった。
【0009】
本発明は上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、光源保持体とレンズ保持体との間に配置された光源用素子からの熱を放熱する高い熱伝導性を有すると共に、振動等による光源保持体とレンズ保持体とのずれを長期に亘って防止することができる製造効率の高い光源装置、及びプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光源装置は、第1の保持体と第2の保持体との間で光源用素子を保持する光源装置であって、前記第2の保持体は、前記第1の保持体に対向する前方側の面に、該前方側の面よりも前記光源用素子の基台の前方側の外周部の面が突出するように、該光源用素子が取り付けられる取付凹部を有し、前記第1の保持体は、前記第2の保持体に対向する後方側の面に形成された、前記光源用素子からの光を射出させる孔部を有し、前記孔部の周囲により、前記取付凹部に配置された前記光源用素子の前記基台の前記前方側の前記外周部の面を押圧して、前記第1の保持体と前記第2の保持体との間に前記基台の突出によりギャップが形成され、そのギャップ部に塗布された接着剤により、前記第1の保持体と前記第2の保持体とが固着されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプロジェクタは、上記光源装置と、該光源装置の発する光で光学像を形成する表示素子と、前記表示素子により形成される光学像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置及び前記表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源保持体とレンズ保持体との間に配置された光源用素子からの熱を放熱する高い熱伝導性を有すると共に、振動等による光源保持体とレンズ保持体とのずれを防止することができる製造効率の高い光源装置、及びプロジェクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタを示す外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロジェクタの機能回路ブロックを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプロジェクタの内部構造を示す平面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光源装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光源装置のコリメータレンズと光源用素子を通る断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る光源装置の固定ネジを通る断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光源装置の光源用素子が取り付けられた光源保持体の正面図である。
【図8】図7に示した光源保持体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。尚、本実施形態において、プロジェクタ10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0015】
プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、プロジェクタ筐体の前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有すると共に、この正面パネル12には複数の吸気孔18や排気孔17を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0016】
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0017】
さらに、筐体の背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔が形成されている。尚、図示しない筐体の側板である右側パネル、及び、図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18も形成されている。
【0018】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0019】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0020】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源ユニット60から射出された光線束を、導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光学像を形成し、後述する投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。尚、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0021】
また、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0022】
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0023】
筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0024】
尚、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0025】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源ユニット60から射出されるように、光源ユニット60の励起光照射装置、赤色光源装置、及び青色光源装置の発光を個別に制御する。
【0026】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
【0027】
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、図3に示すように、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えてなる。また、プロジェクタ10は、制御回路基板241の側方、つまり、プロジェクタ筐体の略中央部分に光源ユニット60を備えている。さらに、プロジェクタ10は、光源ユニット60と左側パネル15との間に光学系ユニット160を備えている。
【0028】
光源ユニット60は、プロジェクタ筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13近傍に配置される励起光照射装置70と、この励起光照射装置70から射出される光線束の光軸上であって正面パネル12の近傍に配置される蛍光発光装置100と、この蛍光発光装置100から射出される光線束と平行となるように正面パネル12の近傍に配置される青色光源装置300と、励起光照射装置70と蛍光発光装置100との間に配置される赤色光源装置120と、蛍光発光装置100からの射出光や赤色光源装置120からの射出光、青色光源装置300からの射出光の光軸が夫々同一の光軸となるように変換して各色光を所定の一面であるライトトンネル175の入射口に導光する導光光学系140と、を備える。
【0029】
励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が直交するように配置された光源用素子としての励起光源71と、励起光源71からの射出光を集光する集光レンズ78と、励起光源71と背面パネル13との間に配置されたヒートシンク81と、を備える。
【0030】
光源装置における励起光源71は、3行8列の計24個の青色レーザーダイオードがマトリクス状に配列されており、各青色レーザーダイオードの光軸上には、各青色レーザーダイオードからの射出光を平行光に変換する集光レンズであるコリメータレンズ73が夫々配置されている。本実施形態に係る複数のコリメータレンズ73は、光源用素子としての各励起光源71それぞれから射出される光線を集光レンズ78に射出する。
【0031】
ヒートシンク81の近傍には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261とヒートシンク81とによって励起光源71が冷却される。
【0032】
蛍光発光装置100は、正面パネル12と平行となるように、つまり、励起光照射装置70から凹レンズ76を介して射出した光線束の光軸と直交するように配置された蛍光板としての蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動するホイールモータ110と、蛍光ホイール101から背面パネル13方向に射出される光線束を集光する集光レンズ群111と、を備える。集光レンズ群111は、大径の凸レンズ112と小径の凸レンズ113とを有し、それぞれの光軸と集光レンズ78の光軸とが一致するように直線状に配置されている。
【0033】
蛍光ホイール101は、円板状の金属基材であって、励起光源71からの射出光を励起光として緑色波長帯域の蛍光発光光を射出する環状の蛍光発光領域が凹部として形成され、励起光を受けて蛍光発光する蛍光板として機能する。また、蛍光発光領域を含む蛍光ホイール101の励起光源71側の表面は、銀蒸着等によってミラー加工されることで光を反射する反射面が形成され、この反射面上に緑色蛍光体の層が敷設されている。
【0034】
そして、励起光源71からコリメータレンズ73、集光レンズ78、凹レンズ76、及び第一ダイクロイックミラー141を介して蛍光ホイール101の緑色の蛍光体層に照射された光は、緑色の蛍光体層における緑色蛍光体を励起し、緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、直接励起光源71側へ、あるいは、蛍光ホイール101の反射面で反射した後に励起光源71側へ射出される。また、蛍光体層の蛍光体に吸収されることなく、金属基材に照射された励起光は、反射面により反射されて再び蛍光体層に入射し、蛍光体を励起することとなる。よって、蛍光ホイール101の凹部の表面を反射面とすることにより、励起光源71から射出される励起光の利用効率を上げることができ、より明るく発光させることができる。上記凹レンズ76は、励起光源71からの励起光を略平行光に変換する。
【0035】
尚、蛍光ホイール101の反射面で蛍光体層側に反射された励起光において蛍光体に吸収されることなく励起光源71側に射出された励起光は、後述する第一ダイクロイックミラー141を透過し、蛍光光は第一ダイクロイックミラー141により反射されるため、励起光が外部に射出されることはない。そして、ホイールモータ110と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって蛍光ホイール101が冷却される。
【0036】
赤色光源装置120は、励起光源71と光軸が直交するように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの射出光を集光する集光レンズ群125と、を備える。そして、この赤色光源装置120は、励起光照射装置70からの射出光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と光軸が交差するように配置されている。また、赤色光源121は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての赤色発光ダイオードである。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側に配置されるヒートシンク130を備える。そして、ヒートシンク130と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって赤色光源121が冷却される。
【0037】
青色光源装置300は、蛍光発光装置100からの射出光の光軸と平行となるように配置された青色光源301と、青色光源301からの射出光を集光する集光レンズ群305と、を備える。そして、この青色光源装置300は、赤色光源装置120からの射出光と光軸が交差するように配置されている。また、青色光源301は、青色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての青色発光ダイオードである。さらに、青色光源装置300は、青色光源301の正面パネル12側に配置されるヒートシンク310を備える。そして、ヒートシンク310と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって青色光源301が冷却される。
【0038】
そして、導光光学系140は、赤色、緑色、青色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせるダイクロイックミラー等からなる。具体的には、励起光照射装置70から射出される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一ダイクロイックミラー141が配置されている。
【0039】
また、青色光源装置300から射出される青色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色波長帯域光を透過し、緑色及び赤色波長帯域光を反射してこの緑色及び赤色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二ダイクロイックミラー148が配置されている。そして、第一ダイクロイックミラー141と第二ダイクロイックミラー148との間には、集光レンズ77が配置されている。さらに、ライトトンネル175の近傍には、ライトトンネル175の入射口に光源光を集光する集光レンズ173が配置されている。
【0040】
光学系ユニット160は、励起光照射装置70の左側方に位置する照明側ブロック161と、背面パネル13と左側パネル15とが交差する位置の近傍に位置する画像生成ブロック165と、導光光学系140と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック168と、の3つのブロックによって略コの字状に構成されている。
【0041】
この照明側ブロック161は、光源ユニット60から射出された光源光を画像生成ブロック165が備える表示素子51に導光する光源側光学系170の一部を備えている。この照明側ブロック161が有する光源側光学系170としては、光源ユニット60から射出された光線束を均一な強度分布の光束とするライトトンネル175、ライトトンネル175から射出された光を集光する集光レンズ178、ライトトンネル175から射出された光線束の光軸を画像生成ブロック165方向に変換する光軸変換ミラー181等がある。
【0042】
画像生成ブロック165は、光源側光学系170として、光軸変換ミラー181で反射した光源光を表示素子51に集光させる集光レンズ183と、この集光レンズ183を透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー185と、を有している。さらに、画像生成ブロック165は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51と背面パネル13との間には表示素子51を冷却するためのヒートシンク190が配置されて、このヒートシンク190によって表示素子51が冷却される。また、表示素子51の正面近傍には、投影側光学系220としての集光レンズ195が配置されている。
【0043】
投影側ブロック168は、表示素子51で反射されたオン光をスクリーンに放出する投影側光学系220のレンズ群を有している。この投影側光学系220としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群225と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群235とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0044】
次に、プロジェクタ10の光源装置である励起光照射装置70を説明する。図4は本発明の実施形態に係る励起光照射装置70の斜視図である。図5は光源装置のコリメータレンズと光源用素子を通る断面図である。図6は光源装置の固定ネジを通る断面図である。
【0045】
励起光照射装置70は、図4に示すように、第1の保持体としての略直方体のレンズ保持体79と、第2の保持体としての光源保持体80とを有し、レンズ保持体79と光源保持体80との間で励起光源71としての光源用素子であるレーザーダイオードが保持される構造を有する。光源保持体80は、板状本体部80aと突出部80bとを有し、断面形状がL字形状に形成されている。光源保持体80とレンズ保持体79とは、固定部材である複数の固定ネジ87により固定されている。
【0046】
詳細には、レンズ保持体79の前方側には、押え板89が配置されており、コリメータレンズ73に対応する複数の大径の孔89aが配置され、ネジ82によりレンズ保持体79に固定されるように構成されている。この複数の大径の孔89aの間には、固定ネジ87が挿入される複数の小径の孔89bが形成されている。
【0047】
固定ネジ87は、押え板89の小径の孔89bに挿入され、後述するレンズ保持体79の凹穴部79d、孔部79c及び光源保持体80のネジ孔である孔部80gに螺合することで、レンズ保持体79と光源保持体80が固定される。
【0048】
光源保持体80は、励起光源71を保持する面の反対側の面(下面)に、光源保持体80と当接するヒートシンク81がネジ(不図示)により取り付けられている。つまり、光源保持体80の後方にはヒートシンク81が設けられている。励起光照射装置70の底面側には、励起光源71に電気的に接続されるフレキシブル基板(不図示)が設けられている。
【0049】
以下、励起光照射装置70の各構成要素について、図5、図6を参照しながら説明する。コリメータレンズ73は、励起光源71である青色レーザーダイオードからの射出光を集光させる集光レンズである。レンズ取付枠74は、予めコリメータレンズ73と一体とされるものであり、コリメータレンズ73の周縁に接着剤等で固着される取付枠である。コリメータレンズ73の光軸調整としての位置調整は、コリメータレンズ73の周縁を接着剤等で固着されて一体とされるレンズ取付枠74の周縁を押圧して移動させて行うことにより、レンズ自体を傷つけることを防止できる。
【0050】
励起光源71は、発光部が載置されている円板形状の基台71aと、発光部を収容し且つこの発光部による光を前方に射出するための開口部が形成された円筒形状のカバー部71bとを有し、基台71aには発光部に電気的に接続されたリード端子部71cが設けられている。
【0051】
基台71aは、アルミニウム等の良好な熱伝導性の金属材料で形成されており、発光部による熱を放熱する働きを有する。また、基台71aは、カバー部71bよりも大きな直径に形成されており、光源保持体80側の端面には後方側平坦面71dが形成され、光源保持体80の取付凹部80cの平坦面80dに密着するように、光源保持体80に配置される。基台71aの外周部71eの前方側に平坦面71fが形成されており、この前方側の平坦面71fがレンズ保持体79により光源保持体80側に押圧されるように構成されている。
また、本実施形態では、励起光源71には、光源保持体80の取付凹部80cに嵌め込む際にフレキシブル基板に対してリード端子部71cの向きが揃うように、基台71aの周囲の3箇所に位置決め用の切欠部が設けられている(後述の図7参照)。
【0052】
光源保持体80は、アルミニウムや銅等の金属材料や合金材料からなる放熱部材であり、断面形状が略L字形状に形成されている。詳細には、光源保持体80は、板状本体部80aと、この板状本体部80aの下端から前方に突出すると共に、中央部が両端よりも突出した略5角形状に形成され平坦な底面部80fを備えた突出部80bとを有し、板状本体部80aと突出部80bとが同一材料により一体に形成されている。板状本体部80aは、レンズ保持体79とヒートシンク81との間に配置されている。光源保持体80の板状本体部80aとレンズ保持体79とは、励起光源71を間に保持した状態で固定ネジ87にて固定される。
【0053】
板状本体部80aの前面には、図5に示したように、レンズ保持体79に対向する前方側平坦面80eが形成されており、この平坦面80eに複数の取付凹部80cが形成され、各取付凹部80cには励起光源71が取り付けられる。この取付凹部80cは、レンズ保持体79の孔部79aに対応する位置に形成されている。
【0054】
また、取付凹部80cの深さは、励起光源71の基台71aの厚みよりも僅かに小さく形成されており、この取付凹部80cに励起光源71が取り付けられた場合に、基台71aの外周部71eの前方側の平坦面71fが、レンズ保持体79に対向する平坦面80eの前面よりも、僅かに突出するように取付凹部80cが形成されている。より詳細には、励起光源71の基台71aの厚みの製造誤差が最小または最大の場合でも、基台71aの外周部71eの前方側の平坦面71fが、光源保持体80の平坦面80eよりも、僅かに突出するように取付凹部80cが形成されている。本実施形態では、例えば、基台71aの外周部71eの前方側の平坦面71fが、光源保持体80の平坦面80eよりも、約0.1mm程度突出するように構成されている。
【0055】
取付凹部80cに配置された励起光源71のリード端子部71cには、端子部(不図示)が取り付けられ、その端子部を介してフレキシブル基板に電気的に接続されており、フレキシブル基板は光源制御回路41や制御部38等に電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、光源保持体80の取付凹部80cには、光源保持体80の切欠部に対応する突起部が設けられていて、この突起部に光源保持体80の切欠部と対応させるように嵌め込むことにより、フレキシブル基板に対してリード端子部71cの向きを揃えて実装することができる(後述の図7参照)。
【0056】
また、板状本体部80aは、図6に示したように、レンズ保持体79の各孔部79cに連通するように、複数の孔部80gが形成されており、この複数の孔部80gの内側には雌ネジが形成され、固定ネジ87が嵌合するように構成されている。この固定ネジ87が挿入される孔部80gは、光源保持体80に形成された複数の取付凹部80cの間に形成されており、すなわち、取付凹部80cの近傍に形成されている。
【0057】
レンズ保持体79は、耐熱樹脂性の保持部材であり、図5に示したように、光源保持体80に対向する後方側の端面には平坦面79gが形成されている。また、レンズ保持体79は、励起光源71からコリメータレンズ73へ放射される光の光路として複数の孔部79aが形成されており、孔部79aの前方側には孔部79aより小径のレンズ取付穴79bが形成され、レンズ取付穴79bにレンズ取付枠74とコリメータレンズ73が配置されて、コリメータレンズ73を保持する。レンズ保持体79の孔部79aそれぞれの後方側には、励起光源71が配置される。レンズ保持体79の光源保持体80側の平坦面79gのうち孔部79cの周辺部が押圧部79hとなり、押圧部79hは、励起光源71の基台71aの外周部71eの前方側の平坦面71fに当接すると共に、平坦面71fを光源保持体80側に押圧する。
【0058】
そして、レンズ保持体79は、図6に示したように、固定ネジ87用の複数の孔部79cが形成されており、この孔部79cの内側には雌ネジが形成されている。この孔部79cの雌ネジには、固定ネジ87の本体部87aに形成された雄ネジが係合するように構成されている。孔部79cの前方側には、孔部79cより直径が大きく、且つ、固定ネジ87の頭部87bを配置する凹穴部79dが形成され、段部79eに固定ネジ87の頭部87bが係合するように構成されている。
【0059】
固定ネジ87は、本体部87aと頭部87bとを有する。本体部87aに形成された雄ネジが、レンズ保持体79のネジ孔部である孔部79cと光源保持体80のネジ孔部である孔部80gに挿入されて係合することで、レンズ保持体79と光源保持体80とが締結されて一体となる。固定ネジ87の頭部87bは、レンズ保持体79の孔部79cと光源保持体80の孔部80gの直径よりも大きく、レンズ保持体79の凹穴部79dの直径よりも僅かに小さく形成され、レンズ保持体79の段部79eに係合する。このため、固定ネジ87により、レンズ保持体79と光源保持体80とが一体に固定される。
【0060】
そして、固定ネジ87によりレンズ保持体79と光源保持体80とを確実に一体とした後、押え板89用のネジ82が緩んだ状態で、コリメータレンズ73と励起光源71の光軸調整を行い、ネジ82を締め付けることにより、高精度に光軸調整が可能である。
【0061】
又、本実施形態では、固定ネジ87によりレンズ保持体79と光源保持体80とを一体とする際に、光源保持体80の孔部80gの位置に接着剤91を塗布しておく。この接着剤91は、図6に示したように、レンズ保持体79と光源保持体80との間のギャップ(G)に塗布され、レンズ保持体79と光源保持体80とを強固に固着する。接着剤91としては、例えば、熱硬化性接着剤、嫌気性接着剤やUV硬化性接着剤などを採用することができる。
【0062】
詳細には、光源保持体80の平坦面80eの位置に接着剤91を塗布して、レンズ保持体79を光源保持体80に重ねる際に、接着剤91は、レンズ保持体79と光源保持体80との間のギャップ(G)において、固定ネジ87が挿入される光源保持体80とレンズ保持体79の孔部80g、79cの周辺部に塗布されることとなる。さらに、接着剤91は、固定ネジ87を孔部80g、79cにねじ込むことにより、固定ネジ87と孔部80gの間、固定ネジ87と孔部79cの間、固定ネジ87の先端部に塗布された状態となる。このため、接着剤91は、光源保持体80とレンズ保持体79とを強固に固着すると共に、固定ネジ87と光源保持体80及びレンズ保持体79とを強固に固着する。
【0063】
この接着剤91の塗布方法を詳細に説明する。図7は光源用素子が取り付けられた光源保持体80の正面図である。図8は図7に示した光源保持体80の断面図である。また、レンズ保持体79と光源保持体80の組立方法についても図5〜図8を参照しながら説明する。
【0064】
先ず、光源保持体80の取付凹部80cに励起光源71を取り付ける。詳細には、励起光源71の基台71aの後方側平坦面71dが、光源保持体80の取付凹部80cの平坦面80dに密着するように取り付けられる。この際、励起光源71の基台71aの外周部71eの前方側の平坦面71fが、光源保持体80の平坦面80eよりも、僅かに突出するように取付凹部80cに取り付けられる。
【0065】
次に、光源保持体80の複数の固定ネジ87が挿入される孔部80g及びその周辺部に、接着剤91を塗布する。そして、レンズ保持体79を光源保持体80に取り付ける。詳細には、レンズ保持体79の孔部79aの周辺部である押圧部79hにより、励起光源71の基台71aの外周部71eの平坦面71fを、光源保持体80側に押圧する。この際、レンズ保持体79と光源保持体80との間に、励起光源71の基台71aの外周部71eの前方側の平坦面71fが、図5、図6に示すように、光源保持体80の平坦面80eから突出した分により僅かなギャップ(G)が形成される。本実施形態では、このギャップ(G)は、約0.1mm程度である。
【0066】
また、固定ネジ87を、レンズ保持体79の孔部79cと光源保持体80の孔部80gとに挿入して、凹穴部79dの段部79eに固定ネジ87の頭部87bを係合させることにより、レンズ保持体79と光源保持体80とを一体に固定する。
【0067】
このとき、接着剤91は、固定ネジ87により孔部80gに押し込まれると共に、レンズ保持体79と光源保持体80との間のギャップ(G)において孔部80g及び孔部79cの周辺部に広がる。さらに、接着剤91は、固定ネジ87と孔部80gの間、固定ネジ87と孔部79cの間にも浸透した状態となる。このように、接着剤91は、固定ネジ87の先端部に押され、光源保持体80の孔部80gと固定ネジ87の間、光源保持体80とレンズ保持体79とのギャップにおける固定ネジ87の近辺、レンズ保持体79の孔部79cと固定ネジ87の間の近辺部などに接着剤91が塗布された状態となる。
この際に、図7に示すように、接着剤91の塗布部は、励起光源71から離間されていることが望ましい。そのようにすれば、たとえ、接着剤が未硬化であった場合にアウトガスが発生したとしても、そのアウトガスによる励起光源71等への光学特性への影響をより確実に防ぐことができる。
なお、本実施形態では、レンズ保持体79の押圧部79hとなる孔部79aの周辺部の径は、孔部79aの周囲の平坦面79gが光源保持体80の切欠部を覆うような大きさとなっている。
【0068】
このため、接着剤91によりレンズ保持体79と光源保持体80とが強固に固着する。また、接着剤91により固定ネジ87と光源保持体80、並びに、固定ネジ87とレンズ保持体79が強固に固着する。
【0069】
また、接着剤91として、熱硬化型接着剤を採用した場合には、励起光照射装置70を所定の温度に加熱することで、レンズ保持体79と光源保持体80とが強固に固着される。
【0070】
以上、説明したように、本発明の実施形態によれば、光源装置としての励起光照射装置70は、光源用素子である励起光源71を保持する第2の保持体としての光源保持体80とコリメータレンズ73を保持する第1の保持体としてのレンズ保持体79との間に励起光源71が配置され、レンズ保持体79の孔部79cの周辺部である押圧部79hにより、取付凹部80cに配置された励起光源71の基台71aの外周部71eの平坦面71fを押圧して、レンズ保持体79と光源保持体80との間にギャップ(G)が形成され、そのギャップ部に塗布された接着剤91により、レンズ保持体79と光源保持体80とを強固に固着するので、励起光源71の基台71aが取付凹部80cを加圧して、励起光源71と光源保持体80との間の熱伝導性を高めると共に、振動等による光源保持体80とレンズ保持体79とのずれを長期に亘って防止することができ製造効率の高い光源装置としての励起光照射装置70、及びこの光源装置を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
また、レンズ保持体79の平坦面79gに突起等を設ける必要はなく。単純な構成で、上記性能を備えた励起光照射装置70、及びこの光源装置を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る励起光照射装置70では、レンズ保持体79の孔部79cの周辺部である押圧部79hと励起光源71の基台71aの外周部71eとが密着して、レンズ保持体79の孔部79a内がギャップ(G)に対して遮蔽された構造であるので、装置製造時、孔部80g及びその周辺部に塗布された接着剤91が、レンズ保持体79の孔部79aの内部に広がることがなく、光の通路である孔部79a内部や励起光源71の光射出面への接着剤91の付着を防止することができると共に、励起光照射装置70の光学特性の低下を防止することができる。
また、本実施形態のように、励起光源71の基台71aの周囲に位置決め用の切欠部が設けられていたとしても、レンズ保持体79の押圧部79hとなる孔部79aの周辺部の径は、孔部79aの周囲の平坦面79gが光源保持体80の切欠部を覆うような大きさとなっているので、レンズ保持体79の孔部79a内がギャップ(G)に対して確実に遮蔽された構造とすることができる。
また、接着剤91の塗布部は、励起光源71から離間されているので、たとえ、接着剤が未硬化であった場合にアウトガス発生したとしても、そのアウトガスの励起光源71等への光学特性への影響をより確実に防ぐことができる。
【0072】
また、本発明の実施形態によれば、固定ネジ87により光源保持体80とレンズ保持体79とを一体として固定させているので、光源保持体80とレンズ保持体79とを強固に固定された励起光照射装置70とすることができ、この長期に亘って安定した性能を維持できる光源装置を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
【0073】
また、本発明の実施形態によれば、光源保持体80及びレンズ保持体79は、マトリクス状に配置された複数の光源用素子としての励起光源71の間に、複数の固定ネジ87が挿入される孔部80g、79cを有し、その複数の孔部80g、79c及びその周辺部に接着剤91が塗布されている。このため、マトリクス状に配置された複数の励起光源71からの熱を放熱する高い熱伝導性を有すると共に、光源保持体80とレンズ保持体79とのずれを防止することができ製造効率の高い光源装置としての励起光照射装置70、及び発光効率の高い光源装置を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
【0074】
また、本発明の実施形態によれば、レンズ保持体79が励起光源71から射出される光を集光するコリメータレンズ73を保持する構成となっているので、励起光源71とコリメータレンズ73との組み付け、光軸調整等が容易となる。
【0075】
また、本発明の実施形態によれば、光源保持体80は、光源用素子である励起光源71を保持する面に対向した面に、光源保持体80と当接するヒートシンク81を有する。このため、励起光源71からの熱をヒートシンク81に放熱させることで、さらに高い放熱性を有する光源装置である励起光照射装置70及びこの光源装置を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
【0076】
また、接着剤91として、熱硬化型接着剤を採用した場合には、励起光照射装置70を所定の温度に加熱することで、簡単に接着剤91を硬化させ、レンズ保持体79と光源保持体80とを強固に固着することができる。
【0077】
また、本発明の実施形態によれば、プロジェクタ10は、光源装置である放熱性の高い励起光照射装置70と、励起光照射装置70の発する光で光学像を形成する表示素子51と、表示素子51により形成される光学像をスクリーンに投影する投影側光学系220等を備える。このため、光源保持体80とレンズ保持体79との間に配置された光源用素子である励起光源71からの熱を放熱する高い熱伝導性を有すると共に、振動等による光源保持体80とレンズ保持体79とのずれを防止することができ発光性能の良好な光源装置を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
【0078】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、本実施形態では、レンズ保持体79と光源保持体80とのギャップ(G)は、約0.1mmであったが、それ以下でも構わない。
【0079】
また、上記実施形態では、固定ネジ87をレンズ保持体79の孔部79c及び光源保持体80のネジ孔80gに挿入して螺合させることにより、光源保持体80とレンズ保持体79とを一体化させる例で説明したが、固定ネジ87を用いずに、レンズ保持体79と光源保持体80を治具で圧着させて、接着剤のみにより、一体化させるようにしてもよい。
【0080】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第1の保持体と第2の保持体との間で光源用素子を保持する光源装置であって、
前記第2の保持体は、前記第1の保持体に対向する前方側の面に、該前方側の面よりも前記光源用素子の基台の前方側の外周部の面が突出するように、該光源用素子が取り付けられる取付凹部を有し、
前記第1の保持体は、前記第2の保持体に対向する後方側の面に形成された、前記光源用素子からの光を射出させる孔部を有し、
前記孔部の周囲により、前記取付凹部に配置された前記光源用素子の前記基台の前記前方側の前記外周部の面を押圧して、前記第1の保持体と前記第2の保持体との間に前記基台の突出によりギャップが形成され、そのギャップ部に塗布された接着剤により、前記第1の保持体と前記第2の保持体とが固着されていることを特徴とする光源装置。
[2] 前記接着剤は、前記光源用素子から離間して塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
[3] 前記光源用素子には、前記基台部に切欠部が設けられるとともに、前記第2の保持体には、前記光源用素子の前記切欠部に対応する突起部が設けられ、
前記第1の保持体の前記孔部の径は、前記孔部の周囲が前記切欠部を覆う大きさとなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
[4] 前記第1の保持体と前記第2の保持体とを固定するための固定ネジをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置。
[5] 前記第2の保持体及び前記第1の保持体は、複数の前記光源用素子の間に、複数の前記固定ネジが挿入されるネジ孔部を有し、
前記複数のネジ孔部及びその周辺部に前記接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
[6] 前記第1の保持体が前記光源用素子から射出される光を集光するコリメータレンズを前記孔部に保持することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
[7] 前記第2の保持体は、前記光源用素子を保持する面の反対側の面に、該第2の保持体と当接するヒートシンクを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光源装置。
[8] 前記接着剤は、熱硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
[9] 光源装置と、前記光源装置の発する光で光学像を形成する表示素子と、前記表示素子により形成される光学像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置及び前記表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
前記光源装置が請求項1乃至請求項8の何れかの光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
【符号の説明】
【0081】
10 プロジェクタ
11 上面パネル 12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 17 排気孔
18 吸気孔 19 レンズカバー
20 各種端子 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
51 表示素子 60 光源ユニット
70 励起光照射装置(光源装置) 71 励起光源(光源用素子)
71a 基台 71b カバー部
71c リード端子部 71d 後方側平坦面
71e 外周部 71f 平坦面(前方側の面)
73 コリメータレンズ 74 レンズ取付枠
76 凹レンズ 77 集光レンズ
78 集光レンズ 79 レンズ保持体(第1の保持体)
79a 孔部 79b レンズ取付穴(取付穴)
79c 孔部(固定ネジ用ネジ孔部) 79d 凹穴部
79e 段部 79g 平坦部
79h 押圧部
80 光源保持体(第2の保持体) 80a 板状本体部
80b 突出部 80c 取付凹部
80d 平坦面(前方側の面) 80e 平坦面(前方側の面)
80f 底面部 80g 孔部(固定ネジ用ネジ孔部)
81 ヒートシンク 82 ネジ
87 固定ネジ 87a 本体部
87b 頭部 89 押え板
89a 孔 89b 孔
91 接着剤
100 蛍光発光装置 101 蛍光ホイール
110 ホイールモータ 111 集光レンズ群
112 凸レンズ 113 凸レンズ
120 赤色光源装置 121 赤色光源
125 集光レンズ群 130 ヒートシンク
140 導光光学系 141 第一ダイクロイックミラー
148 第二ダイクロイックミラー 160 光学系ユニット
161 照明側ブロック 165 画像生成ブロック
168 投影側ブロック 170 光源側光学系
173 集光レンズ 175 ライトトンネル
178 集光レンズ 181 光軸変換ミラー
183 集光レンズ 185 照射ミラー
190 ヒートシンク 195 集光レンズ
220 投影側光学系 225 固定レンズ群
235 可動レンズ群 241 制御回路基板
261 冷却ファン 300 青色光源装置
301 青色光源 305 集光レンズ群
310 ヒートシンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の保持体と第2の保持体との間で光源用素子を保持する光源装置であって、
前記第2の保持体は、前記第1の保持体に対向する前方側の面に、該前方側の面よりも前記光源用素子の基台の前方側の外周部の面が突出するように、該光源用素子が取り付けられる取付凹部を有し、
前記第1の保持体は、前記第2の保持体に対向する後方側の面に形成された、前記光源用素子からの光を射出させる孔部を有し、
前記孔部の周囲により、前記取付凹部に配置された前記光源用素子の前記基台の前記前方側の前記外周部の面を押圧して、前記第1の保持体と前記第2の保持体との間に前記基台の突出によりギャップが形成され、そのギャップ部に塗布された接着剤により、前記第1の保持体と前記第2の保持体とが固着されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記接着剤は、前記光源用素子から離間して塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光源用素子には、前記基台部に切欠部が設けられるとともに、前記第2の保持体には、前記光源用素子の前記切欠部に対応する突起部が設けられ、
前記第1の保持体の前記孔部の径は、前記孔部の周囲が前記切欠部を覆う大きさとなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1の保持体と前記第2の保持体とを固定するための固定ネジをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記第2の保持体及び前記第1の保持体は、複数の前記光源用素子の間に、複数の前記固定ネジが挿入されるネジ孔部を有し、
前記複数のネジ孔部及びその周辺部に前記接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1の保持体が前記光源用素子から射出される光を集光するコリメータレンズを前記孔部に保持することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記第2の保持体は、前記光源用素子を保持する面の反対側の面に、該第2の保持体と当接するヒートシンクを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光源装置。
【請求項8】
前記接着剤は、熱硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
【請求項9】
光源装置と、前記光源装置の発する光で光学像を形成する表示素子と、前記表示素子により形成される光学像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置及び前記表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
前記光源装置が請求項1乃至請求項8の何れかの光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−242633(P2012−242633A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113074(P2011−113074)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】