説明

光源装置

【課題】光源ユニットと波長変換ユニットとを有する光源装置において、各ユニットの交換作業の簡易化、交換作業時間の短縮を図る。
【解決手段】光源ユニット20と、結合ユニット40と、波長変換ユニット60を具備し、光源ユニット20は、ファイバレーザを光源とする。そして、光源ユニット20と結合ユニット40をファイバ81で結合し、且つ結合ユニット40と波長変換ユニット60とをファイバ82で結合する。ファイバ81、82の着脱により容易に交換可能となり、また結合ユニット40内で空間結合することによって、ファイバ81及び82の損傷を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から射出される光を波長変換して例えば紫外光として出力する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続発振タイプの紫外線レーザ光源として、基本レーザと波長変換ユニットより成る光源装置が用いられている。この連続発振タイプの紫外線レーザは、例えば半導体のウェファ検査用のために利用されており、この用途としては、半導体工場等において24時間の連続運転が必要とされる。このような長時間連続使用が求められる光源装置は、各光学部品の寿命から、多い場合は半年に一度程度、少なくとも2年に一度程度の部品交換が必要となる。
【0003】
これに対し、紫外線を発生する波長変換ユニットにおいては、気密性を確保しないとユニット内部の光学部品が劣化するという問題がある(特許文献1参照)。したがって、クリーンルームなどの清浄な場所での交換作業が必要である。
また、基本レーザユニット、波長変換ユニットのどちらを交換する場合でも、交換後の精密な光学アライメントが必要であり、このような交換作業のために、半導体メーカー等の使用者は、検査装置などの数日間にわたる停止が必要となるため、交換作業の簡易化、交換に要する時間の短縮が求められている。
【0004】
例えば、基本レーザユニットの交換には、使用している例えば半導体工場のクリーン化された室内で検査用装置などからこの光源装置を取り外すことが必要であり、また、新しい基本レーザユニットを入れ替えた光源装置を再び検査装置等に組み込む際には、光源装置自体の精密なアライメントを、検査装置等を配置している現場で行う必要がある。
【特許文献1】特開2000−347234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、光源装置の各ユニットの交換作業は一定の周期をもって必要とされるものであるが、この交換作業には、クリーンな環境で行うことと、精密な光学的なアライメント作業が必要である。交換作業に要する時間としては、例えば、交換ユニットの引き取り作業として装置の梱包・輸送に2日間、工場内での交換作業に1日間、輸送・再立ち上げに2日間の合計5日間程度が必要である。
したがって、例えば半導体工場においてこのような光源装置を有する検査装置などが、数日間も使用不可能となってしまうこととなり、生産性を損なう一因となっている。
このため、光源装置の各ユニットの交換作業の簡易化、作業の短縮が強く望まれている。
【0006】
以上の問題に鑑みて、本発明は、光源ユニットと波長変換ユニットとを有する光源装置において、各ユニットの交換作業の簡易化、交換作業時間の短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、光源ユニットと、結合ユニットと、波長変換ユニットを具備し、光源ユニットは、ファイバレーザを光源とする。そして、少なくとも光源ユニットと結合ユニットがファイバで結合され、且つ結合ユニットと波長変換ユニットがファイバで結合されて成る構成とする。
前記結合ユニットと前記波長変換ユニットとを結合する前記ファイバは、前記波長変換ユニットとの結合が固定され、気密に保持されて成る。
【0008】
このように、本発明による光源装置においては、ファイバレーザを光源とする光源ユニットと、結合ユニットと、波長変換ユニットとを設ける構成とするものである。
そして、光源ユニットと結合ユニットとの間、また結合ユニットと波長変換ユニットとの間をファイバで結合する構成とする。
このような構成とすることによって、先ず、光源ユニットと、波長変換ユニットが互いに独別に分離可能であり、すなわち交換を極めて容易に行うことが可能となる。
更に、従来のように光源ユニットから射出された光を、波長変換ユニットに空間結合するのではなく、結合ユニットを介して、ファイバにより結合することから、交換作業時の精密な光学的位置合わせを不要とし、交換作業の簡易化、作業時間の大幅な短縮を図ることが可能である。
【0009】
また更に、本発明の光源装置において、結合ユニットと波長変換ユニットとを結合するファイバを、波長変換ユニットに固定される構成とすることにより、波長変換ユニットはこの結合部において気密に保持されることとなり、交換作業をクリーンな環境で行う必要がなくなるため、交換作業の簡易化、作業時間の大幅な短縮が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の光源装置によれば、光源ユニット及び波長変換ユニットの交換作業の簡易化、作業時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
〔光源装置の構成〕
先ず、本発明による光源装置の一実施形態例を、図1の概略構成図を参照して説明する。
図1に示すように、本発明による光源装置10は、ファイバレーザを有する光源ユニット20と、結合ユニット40と、波長変換ユニット60を具備し、光源ユニット20と結合ユニット40がファイバ81で結合されて成る。また、結合ユニット40と波長変換ユニット60もファイバ82で結合されて成る。なお、各ファイバ81及び82は、それぞれ光源ユニット20、結合ユニット40に設けられるファイバコネクタ91〜93において着脱可能とされる。
【0012】
ファイバ82が波長変換ユニット60にファイバコネクタ94において固定されている場合は、波長変換ユニット60をこの部分において気密に保持することができる。また、ファイバ82の着脱によりファイバコネクタ94からの出力光の光軸が、波長変換ユニット60の光学部品の光軸からずれることがなくなるため、再結合時の光学的な微調整が不要となるという利点を有する。このため、この結合位置においては、ファイバ82は波長変換ユニット60に固定されていることが望ましい。
一方、ファイバ82を、波長変換ユニット60とファイバコネクタ94において着脱可能とする場合は、例えばファイバコネクタ94の内側に窓を設けることにより、ファイバ82の着脱時に内部の気密性が保持される構造としてもよい。
【0013】
図示の例においては、ファイバ82が波長変換ユニット60の外部にファイバコネクタ94を介して結合される例を示すが、ファイバ82の少なくとも一部を波長変換ユニット60に内蔵し、波長変換ユニット60と恒久的に固定される構成としてもよい。
【0014】
次に、各ユニットの構成について説明する。
なお、これらの各ユニットを結合するファイバ81及び82としては、例えばコア径6μm以上のラージモードコアシングルモードファイバが利用可能である。
【0015】
〔光源ユニットの構成〕
ここで光源ユニット20の基本レーザ光源としては、ファイバレーザが用いられる。ファイバレーザは、一般に少なくともファイバアンプ(増幅器)及び励起用のポンプレーザより構成され、出力光の波長によっては、シードレーザが用いられる。この例においては、一例として、シードレーザを用いる場合を示す。
図2においては、DFB(Distributed Feedback:分布帰還型)シード型のファイバレーザを用いたMOPA(Master Oscillator Power Amplifier)方式(発振器・増幅器混合方式)の光源ユニット20の一実施形態例の概略構成図を示す。
図2に示すように、この光源ユニット20には、例えばDFBレーザより成る波長1064nmのレーザ光を出力するシードレーザ21と、波長分割多重素子(WDM:Wavelength Division Multiplexing)22、Er、Ybなどの希土類含有、例えばYb含有のファイバアンプ23、偏光コントローラ24、波長分割多重素子25、励起用のポンプレーザ26、光アイソレータ27が設けられる。
【0016】
ポンプレーザ26から出力された励起光は、波長多重分割素子22、25の間で往復してファイバアンプ23を励起する。シードレーザ21からの出力光は、励起されたファイバアンプ23において出力が増幅されて、偏光コントローラ24で偏光方向を制御され、波長分割多重素子25、光アイソレータ27を通過して外部に矢印Lfとして出力される。波長分割多重素子22からは、余分な光Ltが外部に放出される。
なお、光源ユニット20のファイバレーザのシードレーザとしては、その他DBR(Distributed Bragg Reflection:分布反射)型レーザや、ファブリペロー(FP)型レーザを用いることもできる。
これらのファイバレーザを用いることによって、スペクトル幅の狭い、すなわち単一縦モードの光を得ることができ、波長変換ユニット60において良好に例えば第2高調波を発生することができる。
また、ファイバレーザとしては、波長0.9μm以上2μm以下、出力1W以上10,000W以下の連続発振光を発するものを用いることが可能である。
【0017】
〔波長変換ユニットの構成〕
次に、本発明の光源装置10の具備する波長変換ユニット60の一実施形態例を、図3の概略構成図を参照して説明する。
波長変換ユニット60は、例えば非線型結晶を有する第2高調波発生装置により構成する。また、波長変換ユニット60はその内部の光学部品の寿命を延命化することを目的として外部気体の流入が最小限に抑えられる構成であってもよい。波長変換することによって、波長150nm〜900nm、出力0.1mW〜100Wの出力光を得ることができる。
この波長変換ユニット60としては、例えば波長532nmの基本波を共振器内で266nmの紫外線に波長変換する外部共振器型の第2高調波発生装置を用いることができる。
この場合、図3に示すように、外部共振器を構成する第1〜第4のミラー51〜54を有し、第1〜第3のミラー51〜53は、基本波の波長532nmに対して例えば99.95%以上の反射率を有する高反射ミラーより成り、第4のミラー54は、波長532nmに対して例えば99%±1%とされたミラーによって構成される。
【0018】
また、第1及び第4のミラー51及び54の間には、非線型光学素子55、例えばベータバリウムボレートβ−BaB(以下BBOという)が配置される。この非線型光学素子55の両端面、すなわち光入射端面55a及び光出射端面55bは、それぞれ鏡面研磨され、基本波の532nmに対して0.1%以下の反射率とする低反射膜が形成されて成る。
【0019】
この構成によって、第4のミラー54を透過して到来する上述の532nmの入射光56すなわち基本波は、第1〜第4のミラー51〜54間で干渉効果により増大され、非線型光学素子55によって基本波の第2高調波の波長266nmの紫外線が、光出射端面55bから導出される。そして、このようにして波長変換されて得られた紫外線は、この波長に対して透過率の高い第1のミラー51を透過して出射光57として出力される。
【0020】
この外部共振器において、第3のミラー53を、例えばVCM(Voice Coil Motor)によるアクチュエータ(図示せず)に設置して、その共振器の光路長を高精度に制御する構成としてもよい。
このような構成とすることによって、より効率の高い波長変換を行うことができる(例えば特許第3564705号参照)。
【0021】
〔結合ユニットの構成〕
次に、以上説明した光源ユニット20及び波長変換ユニット60を、ファイバ81、82を介して結合する結合ユニット40の各実施形態例を、図4A〜Cの概略構成図を参照して説明する。
図4Aに示すように、例えばこの結合ユニット40は、筐体48内において固定配置された一対の光学レンズ41及び42により構成し得る。筐体48の光入射側及び光射出側には、ファイバと結合するファイバコネクタ92及び93が設けられる。
少なくとも一方のファイバコネクタ92又は93或いは光学レンズ(図示の例ではコネクタ93)の筐体48への固定位置に、ファイバ位置調整装置49を設けてもよい。ファイバ位置調整装置49を設けることにより、より効率よく、また目的とする結合効率をもって、光を結合することができる。
【0022】
また、例えば図4B又は図4Cに示すように、この結合ユニット40に、光量を調節する機構を設けてもよい。
図4Bにおいては、光学レンズ41及び42の間に、波長板43及び偏光子44より成る偏光変調部45を設ける例を示す。このような構成において、例えば波長板43を、光軸に沿う方向(一点鎖線cで示す)を回転軸として矢印bで示すように回転可能とすることによって、例えば図5に示すように、回転角度を0°から45°まで回転させて出力を0%から100%まで調整可能とすることができる。
【0023】
更に、図4Cに示すように、光学レンズ41及び42の間にNDフィルタやメカシャッター等より成る出力調整部46を設ける構成としてもよい。例えば図6に示すように、メカシャッター47として、部分的に光透過性の異なる円盤状の部材を用いることができ、例えば領域47aで光透過率0.1%、領域47bで30%、領域47cで90%、・・などと適宜構成することが可能である。
このような構成とすることによって、この結合ユニット40において、光源ユニット20から波長変換ユニット60に結合させる光の出力を精度良く調整することが可能となる。
【0024】
次に、本発明による光源装置と、従来構成の光源装置との相違点について、参考例とともに図面を参照して詳細に説明する。以下の図7及び図8A〜Dにおいて、図1と対応する部分には同一符号を付して示す。
図7は、従来の一般的な光源装置の一例の概略構成図である。この場合、光源ユニット120としては、代表的には固体レーザ、又は例えばNPRO(Non-Planer Ring Oscillator)レーザ、ECDL(External Cavity Diode Laser)などが用いられる。
そして、このような光源ユニット120の光射出端と、波長変換ユニット60の光入射端との間の光学的な結合は、ミラー101、102及び光学レンズ103などによって空間的に結合される空間結合部100とされる。ミラー101及び102を例えば矢印a1、a2で示すように回転可能とされて光学的なアライメントを行うものである。
【0025】
前述したように、このような従来構成の光源装置では、光源ユニット120の基本レーザ光源、波長変換ユニット60の光学部品の劣化によって周期的な部品交換が必要であるが、その部品交換作業のために、光源装置全体を使用場所から取り外し輸送し、また交換後に使用する現地での精密な光学的位置調整が必要となる。
【0026】
また前述したように、特に紫外光を出力する波長変換ユニットにおいては気密性を確保しないとユニット内部の光学部品が劣化する(上記特許文献1参照)。
そこで、図7に示す従来型の空間結合方式ではなく、例えば図8Aに示すように、光源ユニット120と波長変換ユニット60との間をファイバ80で結合するファイバ結合方式を採用することで、上述した交換の簡易化及び気密性保持の2点を解決することが考えられる。
例えば、米国OZ Optics社のVacuum Feed−through optical fiber cable、又は銀ペーストなどを利用してファイバ80を波長変換ユニット60の結合部に封止することにより、気密性を保持してファイバ80を結合して、光を導入することができる。
【0027】
しかしながら、本出願に係る発明者等は、この方式ではファイバを交換する際に、2つの問題があることを見出した。
先ず第1に、ファイバ交換時のばらつきである。クラッド部に対するコアの位置公差は1μm程度であり、本発明の対象とする光源装置においてはこのわずかな公差によってファイバ結合位置がずれると性能が著しく変化する。したがって、ファイバ結合方式を採用すると、特性の保持が難しい。
2つ目の問題は、ファイバ80が劣化し、これを交換する際には、波長変換ユニット60の気密性を破らなければならなくなる点である。
【0028】
そこで、図8Bに示すように、ファイバ81及び82を用いて両ユニット120及び60を結合する構成を検討した。ファイバ82の出力端は、波長変換ユニット60に恒久的に固定することとする。ファイバ81の入力端は、光源ユニット120の基本レーザの出力と結合する。ファイバ81及び82の間は例えばファイバ用コネクタなどを利用して結合部95において結合する。このような構成とすることによって、光源ユニット120の基本レーザや、波長変換ユニット60の各部品を交換する際に、その都度ファイバの出力端を波長変換ユニット60に対して精密調整しなおす必要がなくなり、交換作業は極めて簡易化され、また、波長変換ユニット60の気密性も保たれることとなる。
【0029】
しかし、本出願に係る発明者等は、この方式をもってしても、更に問題があることを実験的研究によって見出した。基本レーザとして固体レーザを利用する場合、一旦ファイバへ入力させ、それからファイバの出力をファイバへ入力しなければならない。しかしながら、固体レーザはロット毎に、外部温度の変化や電流調整時でのビーム品質が変化してしまうという性質がある。これによりファイバ端面での光強度分布が変化し、コネクタ91部でのファイバ端面が損傷する恐れがある。
【0030】
また一方において、本発明の対象とする波長変換により比較的短波長のレーザ光を出力する光源装置には、本質的に高出力化が求められている。例えば固体レーザを高出力化するには、例えば米国Coherent社製のVerdi(商品名)のようなエタロン挿入型のリング共振器等を導入するなど、大変難易度の高い技術を用いないと周波数線幅が増大してしまい、波長変換ユニットを有する光源装置に固体レーザを使用して高出力化を図ることは、装置の複雑化、大型化を招き、簡易化や小型化が難しいことが分かってきた。
【0031】
そこで、光源ユニットにおいて、ファイバレーザを基本レーザに使用することが考えられる。特に、シードレーザとして分布帰還形ファイバレーザを用いることにより、下記のようなスペックが実現できる。
波長:800nm〜3000nm
出力:1W〜10、000W
ファイバ種類:偏光保存・ラージコア形シングルモードファイバ
線幅:2MHz以下
【0032】
図8Cにおいては、このようなファイバレーザを有する光源ユニット20を、波長変換ユニット60とファイバ81及び82によりファイバコネクタなどの結合部95を介して結合した例を示す。
しかしながらこのように、ファイバ81及び82同士を結合部95において光学接触させる構成とする場合、ファイバレーザの出力端とファイバ81の入力端が損傷するという問題が生じることが分かった。このような接合部で発生した損傷は、ファイバ内を逆伝搬し、数秒後にファイバレーザのファイバアンプの内部まで損傷させてしまう。特に、1ワットを超えるパワーのレーザ光をシングルモードファイバに入力させた場合、入力端面、出力端面の両方において長期信頼性が確保できないということが分かった。
【0033】
そこで、図8Dに示すように、ファイバ81及び82を空間的に結合させる結合ユニット60を設ける本発明構成を採用する。これにより、ファイバ81、82同士を接合することがなく、すなわちファイバ81及び82の端部の光損傷を回避できることとなる。
【0034】
このように、結合ユニット60を介して光を結合する構成とし、ファイバ81からの光を空間に出力させることによって、接合による損傷リスクが低減するが、より長期の信頼性、例えば数千時間の信頼性を確保することは難しい。
そこで、ファイバ81、82の端部に、図9にその一例の概略断面構成を示すように、厚さ0.1mm〜20mm程度のガラス材81Gを融着する。これにより、ファイバ端部81Eでの光密度が大幅に減り、損傷リスクを更に大幅に低減することに成功した。
またこの場合、ファイバの接合時の芯ずれによる端面損傷リスクも低減するので、実用上非常に大きなメリットがある。
なお、ファイバ81、82と各ユニット20、40及び60とのファイバコネクタ91〜94としては、例えば図10に示すように、互いに螺合するネジ部92A及び92Bを有するファイバコネクタ92を用いることができる。ファイバ端81Aは、例えば結合ユニット40内において、ファイバレーザ(図示せず)の出力端と空間結合してもよい。
このようなファイバコネクタ91の種類としては、FC形(JIS C 5970)、SC形(JIS C 5973)、MU形(JIS C 5983)など、使用用途に応じて各種のファイバコネクタを利用可能である。
【0035】
更にこの場合、前述の図4〜図6において説明したように、結合ユニット40の中にND(Neutral Density)フィルタ等のフィルタ、ナイフエッジ、波長板、偏光子等の出力調整部及び/又は偏光調整部を挿入することによって、結合ユニット40内での出力変調や偏光変調を容易に行うことが可能となる。
【0036】
以上説明したように、本発明の光源装置においては、
(1)基本レーザをファイバレーザとする
(2)基本レーザと波長変換ユニットの間を、結合ユニットとファイバで結合する
の2点において従来の光源装置と異なる。
これにより、部品交換作業としては、ファイバを取り外し、それぞれのユニットを交換するだけの極めて簡単な作業のみとなり、大幅な交換作業時間の短縮を図ることができ、すなわちメンテナンスの簡易化を図ることができる。
【0037】
特に、基本レーザと波長変換ユニットの交換頻度はインターバルが異なる場合があることから、本発明によれば、この寿命の異なる二つの部品又はユニットを、それぞれの寿命ごとに容易に交換することができるので、このような光源装置を使用するユーザにとって利益が著しく大きい。
【0038】
このように、本発明構成の光源装置によれば、従来構成の光源装置では不可能であった高出力化及びメンテナンスの簡易化という2つの特長を兼ね備えた連続発振光の波長変換が可能な光源装置を提供することができる。
【0039】
図11A及びBにおいては、結合ユニット40と波長変換ユニット60との間のファイバ82を、波長変換ユニット60の内部に内蔵する構成とした例を示す。図11A及びBにおいて、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この場合、例えば光源ユニット20の被増幅レーザ、励起用レーザなどが劣化し、光源ユニット20を交換する必要が生じても、図11Aに示す結合状態から、図11Bに示すようにファイバ81を結合ユニット60との結合部から取り外しても、結合ユニット40と波長変換ユニット60との結合はそのままで、波長変換ユニット60の気密性は保持される。
また、光源ユニット20内の部品を交換した後は、光源ユニット20と結合ユニット40との間のファイバ81を結合するのみの簡単な作業で交換、メンテナンスが終了する。
なお、図1に示す例においては、ファイバ82が波長変換ユニット60の外部にファイバコネクタ94を介して結合される例を示すが、前述の図8Dや、図11A及びBに示す例のように、ファイバ82の少なくとも一部、図示の例ではほぼ全てを波長変換ユニット60に内蔵し、結合ユニット40が波長変換ユニット60と恒久的に固定される構成としてもよい。このような構成とすることにより、波長変換ユニット60内が外気に触れず気密性が保持されるとともに、ファイバ82の着脱によるファイバ82の出力端と波長変換装置60の光入力端との光学的な微調整が不要となるという利点を有する。
【0040】
次に、本発明の光源装置における他の構成の実施形態例について説明する。
図12は、本発明の光源装置10において、2つの波長変換ユニット260、261を設け、これらを直列に接続する例の概略構成図を示す。
この場合、光源ユニット20は、電源制御部201と共に電源ユニット200内に設けられる。光源ユニット20からの出力光は、ファイバ81、82により結合ユニット240を介して結合された第1の波長変換ユニット260に入射する。第1の波長変換ユニット260から波長変換された例えば第2高調波光は、再びファイバ83、84により結合ユニット241を介して結合された第2の波長変換ユニット261に入射する。第2の波長変換ユニット261において再び波長変換された例えば第2高調波光が、出力光Loとして外部に射出される。
【0041】
なお、波長変換ユニット240、241に必要な電力や、制御信号・レーザーパワーなどの情報を、各ユニット240、241に近接して設ける制御部202及び203に、電源ユニット200の電源制御部201からケーブル等により伝送する構成としてもよい。
またこの構成において、例えば第2の波長変換ユニット261において光が紫外光に変換される場合は、内部の光学部品の劣化を抑制するために、図示の例のように、清浄な空気を常に波長変換ユニット261内に供給するエアーユニット204を設けてもよい。
【0042】
このような構成とする場合は、光源ユニット20を電源ユニット200内に収納することによって、レーザヘッドユニット300の小型化が可能となる。第1の波長変換ユニット260は、電源ユニット200に収納してもよい。
また、波長変換ユニットは2つに限定されるものではなく、使用する装置の目的に応じて求められる波長の出力光を得る、適宜選定すればよい。
この例においては、第1の波長変換ユニット260において、例えば光源ユニット20からの波長1064nmの出力光を、波長532nmのレーザに波長変換して、更に第2の波長変換ユニット261において、波長532nmレーザを、例えば波長266nmレーザに変換することができる。波長266nmのレーザは、ファイバもしくは出力ウインドウを通して外部へ出力される。
【0043】
図13は、光源ユニット20を含めて全部品がレーザヘッドユニット300に内蔵される例の概略構成図を示す。図13において、図12と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。光源ユニット20と第1の波長変換ユニット260とは、ファイバ81、82により結合ユニット240を介して接続される。この場合においても、光源ユニット20から出力される例えば波長1064nmのレーザ光を、2回の波長変換によって、例えば波長266nmの紫外光に変換して、レーザヘッドユニット300から出力させる構成とすることができる。
光源ユニット20のファイバレーザを交換する場合は、このファイバ81のみを分離すればよい。
【0044】
一方、第1及び第2の波長変換ユニット260及び261は、図示のように、ファイバ83、84により結合ユニット241を介して結合される場合は、それぞれ個別にファイバ82、83又は84をはずすことによって、容易に交換可能である。しかしながら、メンテナンス性を考慮して、また波長変換素子の寿命などを考慮して第1及び第2の波長変換ユニット260及び261を同時に交換することを想定した場合は、これら第1及び第2の波長変換ユニット260及び261は互いに空間結合されていてもよく、例えば1つの筐体内に固定配置し、気密性を高くして収めることも可能である。
【0045】
図14は、第1及び第2の波長変換ユニット260及び261を共にレーザヘッドユニット300に収納した例の概略構成図である。図14において、図12と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この場合においても、光源ユニット20を交換する際には、ファイバ81のみを分離すればよい。
また、第1及び第2の波長変換ユニット260及び261の間はファイバ83及び84により結合ユニット241を介して結合されていてもよく、また図13に示す例と同様に、空間結合されていてもよい。
【0046】
以上説明した本発明構成の光源装置において、例えば図15〜図18に示す波長変換を行うことが可能である。
先ず、図15に示すように、基本レーザ光として波長1064nmのレーザ光Lfを、波長532nmのレーザ光Loとして出力することができる。この場合は、例えばディスプレイ用の緑色光源として用いることができる。
【0047】
また、図16に示すように、図15に示す波長変換構成の逓倍をとり、基本レーザ光として波長532nmのレーザ光Lfを、波長266nmのレーザ光Loとして出力することができる。この場合は、例えば半導体の検査装置用の光源として用いることができる。
また、図17に示すように、基本レーザ光として波長1414nmのレーザ光Lfを、波長707nmのレーザ光Loとして出力することができる。この場合は、例えばCD(Compact Disc)などの光ディスク原盤などの記録用の光源として用いることができる。
【0048】
また、図18に示すように、基本レーザ光として波長266nmのレーザ光Lf1及び波長707nmのレーザ光Lf2を用いて和周波をとり、波長193nmのレーザ光Loとして出力することができる。この場合は、例えば半導体製造装置のステッパ用のレンズ調整用光源や、フォトリソグラフィ用光源などとして用いることができる。
図15〜図18において、図11Aと対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0049】
図19においては、図18に示す光源装置10の波長変換ユニット60として、和周波発生ユニット360を用いたより具体的な概略構成図を示す。従来、このような和周波発生装置としては、その光源として固体レーザを用いている(例えば米国特許第6714567号明細書(B2)参照)。
これに対し本発明の光源装置においては、固体レーザに代えてファイバレーザを用いるものである。すなわちこの場合、ファイバレーザを有する光源ユニット20a及び20bが、それぞれ、ファイバ81a及び81b、81b及び82bにより結合ユニット40a、40bを介して、和周波発生ユニット360の各波長変換ユニット371、372に結合される。
【0050】
各波長変換ユニット371及び372においては、それぞれ第1〜第4のミラー361〜364、365〜368により非線型光学素子370の外部共振器が構成される。
このような構成とすることで、和周波発生型の光源装置において、前述の各実施形態例と同様に、高出力化とメンテナンス容易性が改善され、すなわち交換作業の簡易化、作業時間の短縮が図られる。
【0051】
上述の図19に示す構成の光源装置によって得られる最短波長について検討した。
図20及び図21は、それぞれポンプレーザとしてそれぞれ波長266nm、244nmのレーザを使用した場合において、非線型光学素子としてBBO及びCLBO(CsLiB10)を用いて和周波をとることにより得られる最短波長を検討した結果を示す。図20及び図21において、実線A1、A2はそれぞれBBOを用いた場合の結晶軸の入射角度と出力光波長の関係、実線B1、B2はそれぞれCLBOを用いた場合の結晶軸の入射角度と出力光波長の関係、C1、C2はそれぞれポンプレーザの波長と出力光波長の関係を示す。
図20より、波長266nmのポンプレーザを利用した場合、BBOでは653nmのポンプレーザ光と和周波をとることにより最短189nm、CLBOでは916nmのポンプレーザ光との和周波で最短206nmの出力光が得られることがわかる。
【0052】
また、図21より、波長244nmのポンプレーザを利用した場合、BBOでは754nmのポンプレーザ光と和周波をとることにより最短184nm、CLBOでは1031nmのポンプレーザ光との和周波で最短197nmの波長の出力光が得られることが分かる。
【0053】
以上説明したように、本発明の光源装置によれば、レーザ光源としてファイバレーザを用いることから、レーザの高出力化が実現できる。例えば基本レーザ光源に出力20W、波長1064nmのファイバレーザを利用することにより、出力10W、266nmの出力が可能となる。固体レーザを用いた場合では、固体レーザの出力光を波長変換ユニットへ結合させる部分の光軸ずれによって長期的な信頼性が得られないことなどによってこれを商品化することは非常に難しかった。
【0054】
また、これまで光源ユニットの交換には、レーザヘッドを引き取りクリーン化された工場内で精密アライメントを行う必要があったが、本発明の構成を採ることにより現地での交換が容易に行うことができるようになり、ユーザの利便性が著しく向上する。例えば、従来5日程度光源装置を含む例えば検査装置の停止が必要であったが、本発明を採用することによって、例えば光源ユニットの交換作業は2時間程度と極めて作業時間を短縮することができる。
また、各インターフェースをFC/APCコネクタに統一しておけば、例えばバージョンアップされたユニットのみを随時交換することが可能になる。これにより製品ユニットの改善活動をいち早くユーザサイトで反映することが可能になり、ユーザ側・供給者側の両者利益を得ることができる。
【0055】
なお、本発明による光源装置は、上述の例に限定されるものではなく、本発明構成を逸脱しない範囲において、光源ユニット、結合ユニット及び波長変換ユニットの各光学部品などの構成において変形、変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図2】本発明による光源装置の光源ユニットの一実施形態例の概略構成図である。
【図3】本発明による光源装置の波長変換ユニットの一実施形態例の概略構成図である。
【図4】A〜Cは本発明による光源装置の結合ユニットの一実施形態例の概略構成図である。
【図5】波長板の回転角度と出力との関係を示す図である。
【図6】メカシャッターの一例の概略平面構成図である。
【図7】従来の光源装置の一例の概略構成図である。
【図8】A〜Cは光源装置の参考例の概略構成図である。Dは本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図9】本発明による光源装置のファイバの一実施形態例の要部の概略断面構成図である。
【図10】Aは本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。Bは本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図11】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図12】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図13】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図14】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図15】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図16】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図17】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図18】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図19】本発明による光源装置の一実施形態例の概略構成図である。
【図20】和周波発生による励起用光波長と出力光波長の関係を示す図である。
【図21】和周波発生による励起用光波長と出力光波長の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10.光源装置、20.光源ユニット、21.シードレーザ、22.波長分割多重素子、23.ファイバアンプ、24.偏光コントローラ、25.波長分割多重素子、26.励起用レーザ、27.光アイソレータ、40.結合ユニット、41.光学レンズ、42.光学レンズ、43.波長板、44.偏光子、45.偏光調整部、46.出力調整部、48.筐体、49.ファイバ位置調整装置、51.第1のミラー、52.第2のミラー、53.第3のミラー、54.第4のミラー、55.非線型光学素子、56.入射光(基本波)、57.出射光(2次高調波)、60.波長変換ユニット、81〜84.ファイバ、91〜94.ファイバコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニットと、結合ユニットと、波長変換ユニットを具備し、
前記光源ユニットは、ファイバレーザを光源とし、
少なくとも前記光源ユニットと前記結合ユニットがファイバで結合され、
且つ前記結合ユニットと前記波長変換ユニットがファイバで結合されて成る
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記結合ユニットと前記波長変換ユニットとを結合する前記ファイバは、前記波長変換ユニットに固定されて成る
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記波長変換ユニットは、非線型結晶を有する外部共振器型の第2高調波発生装置である
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項4】
前記波長変換ユニットが2以上設けられて成る
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項5】
前記ファイバレーザが2以上設けられて成る
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項6】
前記波長変換ユニットが複数設けられて和周波発生ユニットが構成されて成る
ことを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項7】
前記結合ユニットに、出力変調部及び/又は偏光変調部が設けられて成る
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項8】
前記出力変調部及び/又は偏光変調部として、フィルタ、ナイフエッジ、波長板、偏光子、メカシャッターのいずれか1以上が設けられて成る
ことを特徴とする請求項7記載の光源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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