説明

光源装置

【課題】 封止部に埋設された金属箔及び外部リードの酸化を確実に防止して封止部が破損することがなく、使用寿命の長い光源装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明の光源装置は、超高圧水銀ランプ10と反射鏡20とからなる光源装置において、前面ガラス26側に位置する封止部12の端部は、外部リード17の周りに凹部12bが形成されており、凹部12bから突出している外部リード17には、外部リード17を取り囲むように金属からなる放熱部材31および低融点ガラスからなる被覆部材32が設けられ、放熱部材31は外部リード17に巻回されたコイル部材であって、低融点ガラスは、酸化ホウ素、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化リン、酸化カルシウムのうち1種類以上を含むガラスであって、封止部の凹部に被覆部材32が充填されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶プロジェクター装置や、DLPプロジェクター装置などの大画面投影装置用の光源に使用される光源装置に関する。特に、超高圧水銀ランプが組み込まれ、ランプ点灯時に外部リードが高温となる構造の光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投射型プロジェクター装置は、スクリーンに対して、均一にしかも十分な演色性をもって画像を照明させることが要求される。このため、光源としては、水銀を発光物質とする水銀ランプ、金属ハロゲン化物を発光物質とするメタルハライドランプ、キセノンガスを発光物質とするキセノンランプなどのショートアーク型高圧放電ランプが用いられている。
【0003】
近年、投射型プロジェクター装置用の光源として、極めて高い水銀蒸気圧、例えば、2×10Pa(197気圧)以上をもつ超高圧水銀ランプが提案されている。このランプは、水銀蒸気圧を高くすることで、アークの広がりを抑えるとともに、より一層の光出力の向上を図るというものである。
【0004】
一方、プロジェクター装置は、DMD(マイクロミラーデバイス)を用いたDLP(デジタルライトプロセッサ)方式が採用されたことにより、液晶パネルを使う必要がなくなり、一層小型化が注目されつつある。そして、このような投射型プロジェクター装置においては、光源として用いられる超高圧水銀ランプの一層の小型化および高出力化が求められるとともに、ランプとランプが組み込まれた反射鏡とからなる光源装置自体の小型化も求められている。
【0005】
図4は、投射型プロジェクター装置に搭載される従来の光源装置を説明するための断面図である。
図4に示すように、光源装置20に組み込まれた超高圧水銀ランプ10は、発光部11とその両端に連続して形成された封止部12とを有する石英ガラスからなる放電容器13と、封止部12に埋設された金属箔14の一端に接続された一対の電極(陰極15、陽極16)と、金属箔14の他端に接続された一対の外部リード17とから構成される。発光部11内には、水銀と希ガスが封入されている。
【0006】
光源装置20は、放電ランプ10の一方の封止部12が前面ガラス26側(光出射方向23側)に配置される。他方の封止部12は、反射鏡21の頂部24(中心孔)から突出して、接着剤を介して反射鏡21に支持されている。また、封止部12の端部には口金25が取り付けられている。開口部22には、前面ガラス26が取り付けられることによって、反射鏡21と前面ガラス26との間に密閉空間27が形成される。
【0007】
また、一方の(前面ガラス26側の)封止部12から外方に突出する外部リード17は、給電線28が接続されたスリーブ部材29と電気的に接続され、給電線28は反射鏡21に設けられた給電線用開口部30を通って反射鏡21の外部に伸ばされ、不図示の外部回路に接続される。
なお、光源装置20は、交流点する放電ランプを用いてもよく、この場合は、電極は陰極、陽極の区別はないものである。
また、口金25は必須ではなく、封止部12が、直接、反射鏡21に固定されていてもよい。
【0008】
図5は、図4における点線部分Aの拡大図である。
図5に示すように、外部リード17は、前面ガラス26側の封止部12から外方に突出している部分の表面に、高融点金属からなりコイル形状を有する放熱部材31が設けられるとともに、放熱部材31の上を覆うように低融点ガラスからなる被覆部材32が設けられている。
【0009】
詳細に説明すると、放熱部材31は鉄クロム合金線であり、外部リード17の表面に接触するように巻回されており、鉄クロム合金線の一部をスリーブ部材等を用いて外部リード17にスポット溶接して、放熱部材31が外部リード17に当接した状態となっている。
そして、放熱部材31の表面に低融点ガラス粉末が溶け込んでいる溶媒をハケ等を用いて塗布し、この部分をバーナー等であぶることによって低融点ガラスを加熱溶融させた後、自然冷却して被覆部材32を形成する。
【0010】
この結果、外部リード17の表面積が増大するため放熱効果により外部リードを構成する物質が酸化して蒸発することを防止できるものである。
さらに、低融点ガラスからなる被覆部材32は、ランプ点灯時高温となり、適度の粘性を有する状態となっており、放熱部材31がコイル状となっているので、放熱部材31は被覆部材32を保持する機能も有しているため、ランプ点灯時に被覆部材32が外部リード17から滑り落ちることを効果的に防止できるものである。
したがって、長時間ランプを点灯しても外部リードが断線することがなく、所望の使用寿命を有する光源装置となっていた。
このような、外部リードの表面に放熱部材と被覆部材を設けた技術は、特開2005−32474号に記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2005−32474号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、外部リードの表面に放熱部材及び被覆部材を形成しても、外部リードが酸化して断線したり、或いは、封止部に埋設された外部リード及び金属箔が酸化して封止部が破損する場合があった。
【0013】
図6は、このような問題が起こる光源装置の前面ガラス側の封止部の拡大図である。
図6に示すように、被覆部材32は、放熱部材31の表面に低融点ガラス粉末が溶け込んでいる溶媒をハケ等によって塗布して形成するものであるが、封止部12の端部12aに溶媒をハケ等で塗布する場合、端部12aまで溶媒が十分に流れていかないことがあり、この場合、封止部12の端部12aと被覆部材32との間に隙間Kが形成される場合がある。
つまり、隙間Kが存在すると、外部リード17が密閉空間27に露出した状態になり、高温状態の外部リード17が、その密閉空間27に露出した位置から酸化して断線することがあった。
【0014】
さらには、封止部12に埋設された外部リード17と封止部12を構成する石英ガラスとの空隙に、隙間Kを通り空気が入り込み、封止部12内の外部リード17及び金属箔14が酸化し体積が増大し、封止部12が破損することがあった。
【0015】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、ランプ点灯時における封止部から突出する外部リードの温度を低下させ、しかも、外部リードを反射鏡内部の密閉空間から確実に隔離することにより、外部リードの酸化を防止して外部リードが断線することがなく、しかも、封止部に埋設された金属箔及び外部リードの酸化を確実に防止して封止部が破損することがなく、使用寿命の長い光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の光源装置は、発光部とその両端に連続して形成された封止部とを有する石英ガラスからなる放電容器と、封止部に埋設された金属箔に接続され当該封止部から外方に突出する外部リードとからなる超高圧水銀ランプと、この超高圧水銀ランプを取り囲むように配置された、光出射方向に前面ガラスを有する反射鏡とからなる光源装置において、前記前面ガラス側に位置する封止部の端部は、当該封止部から外方に突出する外部リードの周りに凹部が形成されており、前記凹部から突出している外部リードには、当該外部リードを取り囲むように金属からなる放熱部材および低融点ガラスからなる被覆部材が設けられ、前記放熱部材と前記被覆部材のいずれか一方あるいはその両方が、前記外部リードに当接しており、前記放熱部材は、前記外部リードに巻回されたコイル部材であって、前記低融点ガラスは、酸化ホウ素、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化リン、酸化カルシウムのうち1種類以上を含むガラスであって、前記封止部の凹部に、前記被覆部材が充填されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の光源装置は、請求項1に記載の光源装置であって、特に、前記前面ガラス側に位置する封止部に埋設された外部リードと石英ガラスとの空隙に、ルビジウム酸化物からなる封着剤が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光源装置によれば、前面ガラス側に位置する封止部の端部は、当該封止部から外方に突出する外部リードの周りに凹部が形成されており、凹部から突出している外部リードの周囲を取り囲むように金属からなる放熱部材および低融点ガラスからなる被覆部材のいずれか一方あるいはその両方が外部リードと当接し、封止部の凹部に低融点ガラスが充填された構造である。これにより、外部リードの表面積が増大することによる放熱効果により外部リードを構成する物質が酸化して蒸発することを防止できる。さらに、放熱部材は、低融点ガラスからなる被覆部材を保持する機能も有しているため、ランプ点灯時に被覆部材が滑り落ちることを効果的に防止できる。
さらに、封止部の凹部に充填された低融点ガラスは、ランプ点灯時に適度の粘性を持つことにより、封止部から突出した外部リードの根元部分を確実に被覆部材によって被覆することができ、また、外部リードの根元部分以外の部分も確実に被覆部材によって被覆されるので、外部リードを反射鏡内の密閉空間から確実に隔離することができ、外部リード表面が酸化環境に暴露されることがない。
したがって、ランプ点灯時に外部リードが断線することがなく、所望の使用寿命を有する光源装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の高圧放電ランプを、図1を用いて説明する。図1は、投射型プロジェクター装置に搭載される本発明の光源装置を説明するための断面図である。
図1に示すように、光源装置20に組み込まれた超高圧水銀ランプ10は、発光部11とその両端に連続して形成された封止部12とを有する石英ガラスからなる放電容器13と、封止部12に埋設されたモリブデン製の金属箔14の一端に接続された一対の電極(陰極15、陽極16)と、金属箔14の他端に接続された一対の外部リード17とから構成される。発光部11内には、水銀と希ガスが封入されている。外部リード17はモリブデン若しくはタングステンである。
【0020】
光源装置20は、放電ランプ10の一方の封止部12が前面ガラス26側(光出射方向23側)に配置される。他方の封止部12は、反射鏡21の頂部24(中心孔)から突出して、接着剤を介して反射鏡21に支持されている。また、封止部12の端部には口金25が取り付けられている。開口部22には、前面ガラス26が取り付けられることによって、反射鏡21と前面ガラス26との間に密閉空間27が形成される。
【0021】
また、一方の(前面ガラス26側の)封止部12から外方に突出する外部リード17は、給電線28が接続されたスリーブ部材29と電気的に接続され、給電線28は反射鏡21に設けられた給電線用開口部30を通って反射鏡21の外部に伸ばされ、不図示の外部回路に接続される。
なお、光源装置20は、交流点する放電ランプを用いてもよく、この場合は、電極は陰極、陽極の区別はないものである。
また、口金25は必須ではなく、封止部12が、直接、反射鏡21に固定されていてもよい。
【0022】
図2は、図1における点線部分Aの拡大図である。
図2に示すように、前面ガラス26側の封止部12の端部12aは、封止部12から外方に突出する外部リード17の周りに凹部12bが形成されている。
この凹部12bは、封止部12を形成する際に石英ガラスが溶融して金属箔14と外部リード17が封着した状態で、封止部12を構成する封止管を切断した時に、封止部12の端部12aに凹んだ凹部ができるものである。
この凹部12bは、内径2mm、深さ1mm以上の円筒状の凹部である。
【0023】
そして、外部リード17は、前面ガラス26側の封止部12から外方に突出している部分の表面に、高融点金属からなる放熱部材31が設けられている。
この放熱部材31は、外部リード17の表面に接触するように巻回されたコイル部材であって、鉄クロム合金線からなり、鉄クロム合金線の一部をスリーブ部材等を用いて外部リード17にスポット溶接して、放熱部材31が外部リード17に当接した状態となっている。
【0024】
なお、放熱部材31を構成する金属は、外部リード17を構成するモリブデン若しくはタングステンと同等若しくは同等以上の耐熱性のある金属であることが好ましい。具体的には、外部リード17がモリブデンからなる場合は、例えば、鉄とクロムの合金以外に、鉄とニッケルからなる合金、クロムとニッケルからなる合金、ニッケル、カンタル、タングステン、モリブデン、ニッケル鍍金を施した銅のいずれかであってもよい。
【0025】
なお、放熱部材31は、封止部12の凹部12b内を含めて外部リード17の全表面を覆うように設けることが好ましいが、これに限るものではなく光源装置の仕様に応じて適宜変更可能である。
例えば、放熱部材31は、外部リード17の根元部が高温となる場合は少なくとも根元部周辺に設け、外部リード17の先端部が高温となる場合は少なくとも先端部周辺に設ければ良い。なお、放熱部材31であるコイル部材は数値例を挙げると、線径が0.2mm、全長が3mmである。
【0026】
また、図2に示すように、放熱部材31の上を覆うように低融点ガラスからなる被覆部材32が設けられている。
この被覆部材32は、放熱部材31の表面に低融点ガラス粉末が溶け込んでいる溶媒をハケ等を用いて塗布する。この時、封止部12の凹部12bの内部にも溶媒を充填する。
そして、封止部12の凹部12bの内部の溶媒も含め放熱部材31上の溶媒をバーナー等であぶることによって低融点ガラスを加熱溶融させた後、自然冷却して被覆部材32を形成する。
【0027】
被覆部材32を構成する低融点ガラスは、放電容器13を構成する石英ガラスよりも軟化点の低いものが好ましい。具体的には、酸化ホウ素(B)、酸化ビスマス(Bi)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化リン(P)のうち1種類以上を含んでいることが好ましい。
図2に示す被覆部材32を構成する低融点ガラスは、例えば、酸化ホウ素と酸化ビスマスと酸化亜鉛を含むもの、酸化スズと酸化亜鉛と酸化リンを含むもの、酸化ケイ素と酸化ホウ素と酸化カルシウム(CaO)を含むものを用いることができる。尚、被覆部材32の数値例を挙げると、その厚みが1mmである。
【0028】
このような被覆部材32は、ランプ点灯時に放熱部材31あるいは外部リード17表面から剥離することを防止するため、軟化点が400〜750℃の範囲にあることが好ましい。
【0029】
上記数値範囲の軟化点を有する低融点ガラスからなる被覆部材32は、図1に示す光源装置20において、ランプ点灯時における外部リード17の温度が400℃以上もの高温になった場合に適度の粘性を有することにより、放熱部材31または外部リード17に効果的に付着し剥離することがない。
【0030】
一方、低融点ガラスは、その軟化点が750℃を超えると、ランプ点灯中に、粘性を持たないためランプ点灯時にひび割れを起こしたり、放熱部材31または外部リード17から剥離したりする怖れがあり、軟化点が400℃未満であるとランプ点灯時に低融点ガラスが溶融して放熱部材31または外部リード17から流失してしまうため好ましくない。
【0031】
被覆部材32は、放熱部材31の全表面および放熱部材31が設けられていない外部リード17の表面を全て覆うように設けることが好ましいが、光源装置の仕様に応じて適宜変更が可能であり、要は外部リード17が酸化しないように設ければ良い。
つまり、放熱部材31と被覆部材32のいずれか一方あるいはその両方は、外部リード17に当接した状態になっている。
【0032】
以上のような、本発明の光源装置によると、外部リードは、その表面が金属からなる放熱部材によって覆われているので、その表面積を大きくすることによる放熱効果により外部リードを構成する物質が酸化して蒸発することを防止できる。さらに、放熱部材は、低融点ガラスからなる被覆部材を保持する機能も有しているため、ランプ点灯時に被覆部材が滑り落ちることを効果的に防止できる。
【0033】
さらに、被覆部材を構成する低融点ガラスが、封止部の凹部に充填されており、ランプ点灯時に適度の粘性を持つことにより、封止部から突出した外部リードの根元部分を確実に被覆部材によって被覆することができ、また、外部リードの根元部分以外の部分も確実に被覆部材によって被覆されるので、外部リードを反射鏡内の密閉空間から確実に隔離することができ、外部リード表面が酸化環境に暴露されることがない。したがって、外部リードが断線することがないものである。
【0034】
図3は、本発明の光源装置において、前面ガラス側の封止部の拡大断面図であって、封止部に埋設された外部リードと封止部を構成する石英ガラスとの空隙に封着剤が充填された説明図である。
なお、空隙Sは実際の寸法より大きく誇張して表現している。
【0035】
図3に示すように、封止作業において、封止部12を構成する石英ガラスと外部リードを構成するモリブデンの膨張係数が異なることに起因して、封止部12の石英ガラスと外部リード12との間に空隙Sが形成される。
この空隙S内に空気が存在した状態でランプを点灯させ、封止部12が高温となり、また、低融点ガラスが粘性状態になっている時に、空隙S内の空気が低融点ガラス中に気泡として混入し、この気泡が低融点ガラス中で連続して連なった状態になった場合、空隙Sが反射鏡内の密閉空間と連通する場合がある。
【0036】
このようなことが起こらないように、図3に示すように、封止部12の石英ガラスと外部リード12との間に空隙Sにルビジウム酸化物からなる封着剤18が充填されている。
このルビジウム酸化物からなる封着剤18は、封止部12の凹部12b内に低融点ガラスを充填する前に、ルビジウム硝酸塩の水溶液を注入器により、外部リードの周りに適量滴下させて、毛細管現象により空隙S全体にルビジウム硝酸塩の水溶液が満たされる。
その後、150℃で10分間乾燥させることにより、水分が蒸発して硝酸ルビジウム粉末となり、さらに、封止部をバーナーで加熱することにより、硝酸ルビジウム酸化物が生成される。
【0037】
この結果、ランプ点灯中に凹部12bに充填された低融点ガラスに気泡が発生せず、空隙Sと反射鏡内の密閉空間と連通することがなくなる。
また、空隙Sにルビジウム酸化物からなる封着剤18が充填されているので、封止部12内の外部リード及び金属箔の酸化を確実に防止することができ、封止部の破損を低減することができる。
【0038】
<実験例1>
本願発明である図2に示す封止部構造を有するランプ、従来技術である図5に示す封止部構造を有するランプ、各5本を作成し、それぞれのランプを電気炉内で600℃、1900時間連続加熱した後の外部リードの状態を調べる実験を行った。
それぞれのランプの寸法仕様は表1に示す。
また、実験結果を表2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
表2からわかるように、従来技術の光源装置のランプである封止部に凹部を有していないランプ(ランプ6、ランプ7、ランプ8、ランプ9、ランプ10)では、封止部近傍の外部リードの根元部が酸化し、外部リードが根元から折れる問題があるが、本願発明の光源装置のランプである封止部に凹部を有し、その凹部に低融点ガラスが充填されているランプ(ランプ1、ランプ2、ランプ3、ランプ4、ランプ5)では、外部リードが折れることがなく、確実に、外部リードの酸化を防止できていることがわかる。
【0042】
<実験例2>
本願発明である図3に示す封止部構造を有するランプ、従来技術である図5に示す封止部構造を有するランプ、各5本を作成し、それぞれのランプを電気炉内で500℃、2000時間連続加熱した封止部の状態を調べる実験を行った。
それぞれのランプの寸法仕様は表3に示す。
また、実験結果を表4に示す。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
表4からわかるように、従来技術の光源装置のランプである封止部に凹部を有さず封着剤を用いていないランプ(ランプ6、ランプ7、ランプ8、ランプ9、ランプ10)では、封止部内の外部リードと金属箔が酸化し、封止部にクラックが入り封止部が破損する問題があるが、本願発明の光源装置のランプである封止部に凹部を有し、その凹部に低融点ガラスが充填され、封止部の空隙に封着剤が充填されているランプ(ランプ1、ランプ2、ランプ3、ランプ4、ランプ5)では、封止部にクラックが発生せず、確実に、外部リードと金属箔の酸化を防止できていることがわかる。
なお、従来技術の光源装置のランプである封止部に凹部を有さず封着剤を用いていないランプ6〜10のうち、外部リード棒が酸化し、外部リード棒が根元折れしたランプもあった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の光源装置の断面図である。
【図2】図1中に示す点線部分Aの拡大断面図である。
【図3】本発明の光源装置のランプであって、前面ガラス側の封止部の拡大断面図である。
【図4】従来の光源装置の断面図である。
【図5】図4中に示す点線部分Aの拡大断面図である。
【図6】従来の光源装置のランプであって、前面ガラス側の封止部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 高圧放電ランプ
11 発光部発光管
12 封止部
12a 封止部の端部
12b 封止部の凹部
13 放電容器
14 金属箔
15 陰極
16 陽極
17 外部リード
18 封着剤
K 隙間
S 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部とその両端に連続して形成された封止部とを有する石英ガラスからなる放電容器と、封止部に埋設された金属箔に接続され当該封止部から外方に突出する外部リードとからなる超高圧水銀ランプと、この超高圧水銀ランプを取り囲むように配置された、光出射方向に前面ガラスを有する反射鏡とからなる光源装置において、
前記前面ガラス側に位置する封止部の端部は、当該封止部から外方に突出する外部リードの周りに凹部が形成されており、
前記凹部から突出している外部リードには、当該外部リードを取り囲むように金属からなる放熱部材および低融点ガラスからなる被覆部材が設けられ、
前記放熱部材と前記被覆部材のいずれか一方あるいはその両方が、前記外部リードに当接しており、
前記放熱部材は、前記外部リードに巻回されたコイル部材であって、
前記低融点ガラスは、酸化ホウ素、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化リン、酸化カルシウムのうち1種類以上を含むガラスであって、
前記封止部の凹部に、前記被覆部材が充填されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記前面ガラス側に位置する封止部に埋設された外部リードと石英ガラスとの空隙に、ルビジウム酸化物からなる封着剤が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−273134(P2007−273134A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94041(P2006−94041)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】