説明

光源装置

【課題】 ショートアーク型放電ランプ1を取り囲む凹面反射鏡2と、放射光を発光部11に戻すための副反射鏡3とを有していても、補助ランプ5を用いてショートアーク型放電ランプ1を確実に点灯できる光源装置を提供すること。
【解決手段】 発光部11の両端に封止部12a、12bが形成されたショートアーク型放電ランプ1と、一方の封止部12aに首部21が取り付けられて、該ショートアーク型放電ランプ1を取り囲む凹面反射鏡2と、他方の封止部12bに取り付けられて、該ショートアーク型放電ランプ1からの放射光を発光部11に戻すための副反射鏡3とを有する光源装置において、
前記副反射鏡3に放射光が取り込まれる位置に、紫外線を放射する補助ランプ5が設けられていることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、データプロジェクタや液晶プロジェクタ、DLP(デジタルライトプロセッサ)プロジェクタなどの装置に用いられる光源装置に関する。特に、発光部内に水銀が0.15mg/mm以上封入され、水銀蒸気圧が110気圧以上となるショートアーク型放電ランプを備える光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶プロジェクタや、デジタル・ライト・プロセッシング技術を使用したDLPプロジェクタが普及しつつある。このような装置は広く一般に使用されているため、取扱いの安全性が求められており、始動時に印加する電圧を小さくした低始動型が採用されるようになっている。しかしながら、始動電圧を下げてしまうと、絶縁破壊に必要な電圧に満たないために不点灯となる場合が発生してしまう。
そこで、特開2004−139955号公報では、始動時に補助ランプから紫外線を放射して、放電容器内の物質の光電効果による光電子放出および放電媒体のイオン化を促進し、始動時に必要とする絶縁破壊電圧を下げている。絶縁破壊に必要な電圧を下げることにより、低始動型としても確実に点灯できるようにしている。
【0003】
また、光源装置から放射される光の利用効率を高めるためにも種々の試みがなされており、特開2005−309372号公報では、ショートアーク型放電ランプの封止部に、反射部がショートアーク型放電ランプの発光部の外周面の近傍に位置するように副反射鏡が取り付けられた光源装置が提案されている。凹面反射鏡から直接に前方に向けて放射された光は、凹面反射鏡の焦点に集光されないので有効に利用できなかったが、副反射鏡を設けることによって、副反射鏡で反射させて凹面反射鏡に戻すことができる。副反射鏡から凹面反射鏡に戻された光は、凹面反射鏡の焦点に集光して利用可能となるため、発光部から放出された光の利用効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−139955号公報
【特許文献2】特開2005−309372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2005−309372号公報に記載の光源装置を、補助ランプを用いて低始動型とすると、不点灯となる場合が発生してしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、ショートアーク型放電ランプを取り囲む凹面反射鏡と、放射光を発光部に戻すための副反射鏡とを有していても、補助ランプを用いてショートアーク型放電ランプを確実に点灯できる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明は、形成されたショートアーク型放電ランプと、一方の封止部に首部が取り付けられて、該ショートアーク型放電ランプを取り囲む凹面反射鏡と、他方の封止部に取り付けられて、該ショートアーク型放電ランプからの放射光を発光部に戻すための副反射鏡とを有する光源装置において、前記副反射鏡に放射光が取り込まれる位置に、紫外線を放射する補助ランプが設けられていることを特徴とする。
本願第2の発明は、第1の発明において、前記凹面反射鏡の首部に凹部が形成され、前記一方の封止部と当該凹部との間に補助ランプが配置されていることを特徴とする。
本願第3の発明は、第2の発明において、前記一方の封止部が挿通し、前記凹面反射鏡の首部が装着されるベースを備え、当該ベースに前記補助ランプが取り付けられていることを特徴とする。
本願第4の発明は、第1の発明において、前記副反射鏡に、タンタル化合物またはハフニウム化合物が含まれた反射膜が形成されていることを特徴とする。
本願第5の発明は、第1の発明において、前記補助ランプは、容器の表面の一部に紫外線反射膜が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願第1の発明に係る光源装置によれば、副反射鏡に放射光が取り込まれる位置に、紫外線を放射する補助ランプを配置することによって、副反射鏡で発光部を覆っていても、補助ランプからの光が副反射鏡で反射されて発光部の内部に取り込みやすくなる。補助ランプから発光部に向かって放射される光に、副反射鏡の反射部で反射された光を加えて、始動補助のための光が照射されるようになり、発光部の内部に照射される光量を増やすことができる。放電容器内の物質に光が照射されると、光電効果により光電子放出および放電媒体のイオン化を促進し、始動時に必要とする絶縁破壊電圧を下げて、ショートアーク型放電ランプの始動性を改善する。
【0008】
本願第2の発明に係る光源装置によれば、凹面反射鏡の首部に凹部を形成し、前記一方の封止部と首部との間に隙間を作り、その隙間に補助ランプを配置している。補助ランプを凹面反射鏡の開口側に配置していないので、該ショートアーク型放電ランプから放射された光が前方に向かって反射する光路の障害物とならないように、副反射鏡に補助ランプの放射光が取り込まれる位置に配置することができる。
【0009】
本願第3の発明に係る光源装置によれば、ベースに補助ランプを配置することによって、副反射鏡に放射光が取り込まれる位置に配置しつつ、封止部と凹面反射鏡と補助ランプを接着剤で容易に固定することができる。
【0010】
本願第4の発明に係る光源装置によれば、副反射鏡に、タンタル化合物またはハフニウム化合物が含まれた反射膜が形成することによって、副反射鏡の反射部で紫外線も反射するようになって、より多くの紫外線を発光部に取り込むことができ、ショートアーク型放電ランプの始動性をより一層改善することができる。
【0011】
本願第5の発明に係る光源装置によれば、補助ランプから発光部または副反射鏡に向かう光に加えて、紫外線反射膜に反射された光も始動補助に用いることができ、補助ランプから反射部に向けて照射される光の光量が増える。光電効果では、光の強度を強くすると、飛び出される光電子の数が増えるので、絶縁破壊に必要な電圧を下げることができる。そのため、ショートアーク型放電ランプの始動性をより一層改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】光源装置の構成を示す断面図
【図2】光源装置を凹面反射鏡の首部から見た図
【図3】補助ランプを説明するための斜視図
【図4】光源装置の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、光源装置の構成を示す断面図である。
光源装置の主光源であるショートアーク型放電ランプ1の一方の封止部12aが凹面反射鏡2に組み込まれ、凹面反射鏡2の中心軸にショートアーク型放電ランプ1の光軸が一致するように水平に配置されている。首部21の一部が取り除かれて凹部22が形成されており、封止部12aの周囲に構造物が配置されていない空間的に余裕がある部分が形成されている。首部21に凹部22を設けることによってできた隙間に、始動時の補助光源となる補助ランプ5が配置されている。
【0014】
凹部22に補助ランプ5が配置された状態で、封止部12aと首部21との間に接着剤41を充填して、凹面反射鏡2の首部21と封止部12aと補助ランプ5とを固着している。補助ランプ5から放射される光を接着剤41で遮らないように、補助ランプ5が配置されていない箇所において、ベース4の隙間に接着剤41が充填されている。
【0015】
ショートアーク型放電ランプ1の他方の封止部12bには、その反射部31がショートアーク型放電ランプ1の発光部11の外周面の近傍に位置するように、例えば石英ガラスよりなる漏斗状の副反射鏡3が取り付けられている。副反射鏡3は、発光部11の表面に対応するように形成された半円状の反射部31に反射膜が形成されて光を反射するようになっている。反射膜は、例えばシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層、もしくは、シリカ(SiO)層とニオビア(Nb)層が交互に積層されてなる、全体で厚さ0.5μm〜10μmの誘電体多層膜からなるものであって、波長350nm〜800nmの可視光を反射する機能を有している。
【0016】
発光部11から封止部12bに向けて放射された光は副反射鏡3で反射させられるので、反射部31を介して凹面反射鏡2に戻る。副反射鏡3から凹面反射鏡2に戻された光は、凹面反射鏡2の焦点に集光させることができ、発光部11から放出された光の利用効率が向上する。
【0017】
ショートアーク型放電ランプ1は、石英ガラスよりなる概略球形の発光部11を有し、この発光部11に、タングステンよりなる電極13a、13bが対向して配置される。また、発光部11の端部から伸びるよう封止部12a、12bが形成され、封止部12a、12b内には、例えばモリブデンよりなる導電用の金属箔14がシュリンクシールにより気密に埋設されている。一対の電極13a、13bは、基端が金属箔14に溶接されて電気的に接続されている。
【0018】
発光部11には、水銀と、希ガスと、ハロゲンガスが封入されている。
水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜830nmという放射光を得るためのもので、0.15mg/mm以上封入される。この水銀封入量は温度条件によっても異なるが、点灯時に発光部11の内圧が150気圧以上の極めて高い蒸気圧となるように製作される。また、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧が200気圧以上または300気圧以上となるショートアーク型放電ランプ1を製作することができ、プロジェクタ装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、点灯始動性を改善するために用いられ、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入される。
【0019】
ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入され、ハロゲンの封入量は、1×10−6〜1×10−2μmol/mmの範囲から選択される。ハロゲンを封入することによって、ハロゲンサイクルが発生し、ショートアーク型放電ランプ1の寿命を長くすることができる。また、本発明の光源装置に用いられるショートアーク型放電ランプ1のように極めて小型で高い内圧を有するものでは、ハロゲンを封入することによって、発光部11の黒化・失透を防止する効果がある。
【0020】
図2は、光源装置を凹面反射鏡2の首部21から見た図を示す。
中央に封止部12aが突出しており、封止部12aを囲むように凹面反射鏡2が接着剤により固着されている。凹面反射鏡2の首部21の端部の一部が、三日月柱状に取り除かれて凹部22が形成されている。凹部22を形成することによって空いた半円状の隙間に、補助ランプ5が配置されている。補助ランプ5は、円柱状なので、中央の容器51はほとんどが封止部12aと首部21との間の隙間に配置されるが、両端の外部電極52は首部21に隠れる位置に配置される。
【0021】
角が丸められた四角形は凹面反射鏡2の開口を示しており、封止部12aとベース4との間の円状の点線は副反射鏡3の開口33を示している。補助ランプ5は、容器51の外部電極52が形成されていない部分の少なくとも一部が、ショートアーク型放電ランプ1の管軸から副反射鏡3の開口33の範囲に含まれるように配置されている。このような配置にすることによって、補助ランプ5から放射された光が、副反射鏡3に取り込まれて、反射部31で反射して発光部11に向かうようになる。
【0022】
図3は、補助ランプ5を説明するための斜視図である。
補助ランプ5の容器51は、両端が封止された円管状であり、少なくとも一部が短波長の紫外線に対して透過性を有するように形成され、例えば、石英ガラスにより形成される。容器51の内部には、放電用媒質として、アルゴン、キセノン、ネオン、などの希ガスに加え、窒素若しくはヘリウム等の気体が、一種以上封入されている。
【0023】
容器51の両端において、管軸方向にそれぞれ0.5〜5.0mmの長さに、外表面に密着させるようにワイヤがコイル状に巻きつけられて、一対の外部電極52が形成されている。外部電極52の材質としては、高温での耐酸化性、熱衝撃に優れる材料からなり、例えば、ステンレス、カンタル(鉄クロム合金)があげられる。これらの一対の外部電極52間に電圧が印加されると、静電結合により空間内に誘電体バリア放電が誘起され、補助放電が開始される。なお、外部電極52は容器51の外周を被覆する面積を大きくした方が、外部電極52間での静電容量が大きくなり、放電開始が容易になるので、外部電極52を絶縁距離が確保できる範囲で広く設けるのが良い。
【0024】
補助ランプ5の構成の一例をあげると、容器51は、例えば、全長15mm、外径3mm、肉厚0.8mmの両端が封止された細いガラス管からなり、容器51の内部には、アルゴンが1×10Pa封入される。容器51の両端に外部電極52が形成され、一つの外部電極52における管軸方向の長さが15mmであり、φ0.3mmのステンレス製ワイヤが、容器51の外表面に密着させるようコイル状に巻きつけられて構成される。
【0025】
このような補助ランプ5が、図1に示すように、凹面反射鏡2の首部21の凹部22に配置されている。副反射鏡3は、発光部11から放射された光を凹面反射鏡2に戻すように形成されているので、凹面反射鏡2側から放射された光は、副反射鏡3の反射部31で反射して発光部11に向かう。副反射鏡3からみて、補助ランプ5が視認できる範囲内にあれば、補助ランプ5からの放射光が副反射鏡3に取り込まれる。
【0026】
発光部11の外周面には、反射部31に反射膜が形成された副反射鏡3が封止部12bから取り付けられているので、凹面反射鏡2の開口側から発光部11の内部に光を取り込むことはできない。しかし、副反射鏡3に放射光が取り込まれる位置に補助ランプ5を配置することによって、副反射鏡3で発光部11を覆っていても、補助ランプ5からの光が副反射鏡3で反射されて発光部11の内部に取り込めるようになる。
【0027】
補助ランプ5から放射された光に、特別な指向性を持たせているわけではないが、そのうちの一部がショートアーク型放電ランプ1の管軸に沿って進み、副反射鏡3の反射部31で反射されて発光部11の内部に取り込まれる。補助ランプ5から発光部11に向かって放射される光に、副反射鏡3の反射部31で反射された光を加えて照射するようになり、発光部11の内部に照射される光量を増やすことができる。放電容器内の物質に光が照射されると、光電効果により光電子放出および放電媒体のイオン化を促進し、始動時に必要とする絶縁破壊電圧を下げて、ショートアーク型放電ランプ1の始動性を改善する。
【0028】
補助ランプ5はこのような機能を有するものなので、ショートアーク型放電ランプ1の始動時にのみ点灯すれば十分機能を果たす。そのため、補助ランプ5は、ショートアーク型放電ランプ1の作動時に常時点灯とさせることもできるが、ショートアーク型放電ランプ1の始動時にのみ点灯させるように動作させることもできる。
【0029】
なお、補助ランプ5の放射光が副反射鏡3に取り込まれるかどうかは、次のようにして確かめることができる。
簡便な方法として、目視で確かめる手法がある。例えば、副反射鏡3を取り外し、副反射鏡3の開口の大きさの範囲の孔が形成された板状部材よりなる治具を、凹面反射鏡2の開口から挿入する。板状部材の孔から補助ランプ5が確認できれば、補助ランプ5からの放射光が副反射鏡3に取り込まれる。
また、正確に確かめるためには、シミュレーションにより光線追跡をする手法がある。光源装置の各部材の寸法を計測し、シミュレーション上に現物の光源装置を再現させる。これを用いて、TraceProなどのシミュレーションソフトを使用して光線追跡する。この光線追跡図により、補助ランプ5からの放射光の光線が副反射鏡3に取り込まれるかどうかを確かめることができる。
【0030】
ショートアーク型放電ランプ1の始動性を改善する光電効果は、特に紫外線などの短波長の光を利用することが望ましいので、副反射鏡3の反射部21を波長350nm以下の紫外線も反射する反射膜によってコーティングすることによって、その効果を高めることができる。紫外線を反射するかどうかはコーティングする金属の属性によるが、例えば、シリカ(SiO)層とタンタル化合物(Ta)層を交互に積層することによって実現できる。また、タンタル化合物(Ta)に替えて、ハフニウム化合物(HfO)を用いた耐熱性多層膜とすることもできる。また、耐熱性多層膜ではなく、単体金属であるアルミニウム(Al)、金(Au)の金属単体蒸着膜を用いることもできる。副反射鏡3の反射部21で紫外線も反射できるようになって、より多くの紫外線を発光部11に取り込むことができ、ショートアーク型放電ランプ1の始動性をより一層改善することができる。
【0031】
副反射鏡3は熱容量が大きい石英ガラスにより形成されているので、封止部13b側を温める保温部材として機能し、封止部13b側に配置される電極13bの温度低下を抑制する機能も有する。そのため、ショートアーク型放電ランプ1が点灯状態から消灯すると、点灯中に蒸発していた水銀は、相対的に温度低下が早い封止部13a側の電極13aに付着する。光電効果は、液体金属よりも、固体金属の表面に光を照射した方が、電子が飛び出しやすく、効果が得られやすい。補助ランプ5からの放射光を副反射鏡3の反射部31で反射させた方が、水銀が付着していない封止部12b側の電極13bに、補助ランプ5から放射された光を照射しやすく、金属表面から電子が飛びやすくなって光電効果を高めることができる。
【0032】
また、以上の説明においては補助ランプ5が凹面反射鏡2の首部21の内側に固定されている場合を示したが、これには限定されない。補助ランプ5から放射された光が副反射鏡3に放射光が取り込まれる位置に配置すればよく、補助ランプ5の外部電極52のリード線をワイヤで留めて、首部21より開口側の凹面反射鏡2の内側に配置することもできる。
【0033】
図4は、光源装置の他の実施形態を示す断面図であり、補助ランプ5の容器51に紫外線反射膜53が形成された場合を示す。
凹面反射鏡2の首部21に、セラミックスよりなり、中心が円形にくり貫かれたキャップ状のベース4が取り付けられている。ショートアーク型放電ランプ1の一方の封止部12aがベース4の中央の孔に挿通され、凹面反射鏡2がベースの内側に組み込まれて固定されている。ベース4に補助ランプ5を配置することによって、封止部12aと凹面反射鏡2と補助ランプ5とを接着剤41で容易に、かつ、補助ランプ5が落ちないように確実に固定することができる。
【0034】
補助ランプ5は、容器51の管軸が、ショートアーク型放電ランプ1の管軸に対して略垂直となるように配置されており、外部電極に電圧を印加すると、容器51からあらゆる方向に向かって紫外光が放射される。ベース4を構成するセラミックスや、周囲に充填される接着剤は光を通さないので、補助ランプ5から後方に向かって容器51から放出された光は始動補助に使うことができない。始動補助に有効に使われずに捨てられる光を利用するために、容器51の表面に紫外線反射膜53をつけている。
【0035】
容器51は円筒状をしているので、ベース4に面する部分の表面に軸方向に伸びる線状の紫外線反射膜53を形成するだけで、容器51の内部で発生してベース4に向かって放射する光を、副反射鏡3が配置されている前に向かって反射させることができる。紫外線反射膜53は、例えば、シリカ(SiO)層とタンタル化合物(Ta)層を交互に積層することによって形成される。
【0036】
セラミックスよりなるベース4は不透過であり、ベース4に向かって容器51から放出された光は始動補助に使うことができないが、容器51のベース4に面する部分の表面、すなわち、凹面反射鏡2の基端側の表面に紫外線反射膜53を形成することによって、ベース4に向かって放射されて捨てられていた光を紫外線反射膜53に反射させて始動補助に用いることができる。発光部11または副反射鏡3の反射部31に向かう光に加えて、紫外線反射膜53に反射された光も始動補助に用いることができ、補助ランプ5から反射部11に向けて照射される光の光量が増える。光電効果では、光の強度を強くすると、飛び出される光電子の数が増えるので、絶縁破壊に必要な電圧をさらに下げることができる。そのため、ショートアーク型放電ランプ1の始動性をより一層改善することができる。
【0037】
また、図示しないが、光源装置に補助ランプ5を2以上配置することによっても、反射部11に向けて照射される光の光量を増やし、光電効果を高めて、絶縁破壊に必要な電圧を下げることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ショートアーク型放電ランプ
2 凹面反射鏡
3 副反射鏡
4 ベース
5 補助ランプ
11 発光部
12a、b 封止部
13a、b 電極
31 反射部
32 筒状部
33 開口
51 容器
52 外部電極
53 紫外線反射膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部の両端に封止部が形成されたショートアーク型放電ランプと、
一方の封止部に首部が取り付けられて、該ショートアーク型放電ランプを取り囲む凹面反射鏡と、
他方の封止部に取り付けられて、該ショートアーク型放電ランプからの放射光を発光部に戻すための副反射鏡とを有する光源装置において、
前記副反射鏡に放射光が取り込まれる位置に、紫外線を放射する補助ランプが設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記凹面反射鏡の首部に凹部が形成され、前記放電ランプの一方の封止部と当該凹部との間に補助ランプが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記一方の封止部が挿通し、前記凹面反射鏡の首部が装着されるベースを備え、当該ベースに前記補助ランプが取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記副反射鏡に、タンタル化合物またはハフニウム化合物が含まれた反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記補助ランプは、容器の表面の一部に紫外線反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−262895(P2010−262895A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114417(P2009−114417)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】