説明

光源装置

【課題】従来の黄色の感光性防止用蛍光灯に用途に関係なく代替可能であり、使用者や利用者が使用波長に関係なく自由に選択できるかつ明るさ調整を可能とした光源装置を提供する。
【解決手段】波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した加算方式光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ド素子をそれぞれ独立して出力を制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、前記複数個の発光ダイオ−ド素子には少なくとも緑色系発光ダイオ−ド素子が含まれており、当該緑色系発光ダイオ−ド素子の緑色系波長の中心波長が少なくとも530nm以上の波長特性を有し、さらに500nm時の発光輝度を20分の1以下に制御していることを特徴とした光源装置。また電源部には印加電圧の時間を調整することで波長スペクトラムを変えることなく明るさ調整を可能とした光源装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関する。特に、光源装置を使用しているものが、紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体工場等に用いられている光源には、半導体工場用とされている黄色の蛍光灯などが用いられている。
【0003】
この蛍光灯には、フィルター膜を施したり、プラスチックのフィルムで覆い、有害な波長域や、不必要な波長域を除去する工夫がなされている。このような工夫によって、感光性材料が感光しないようにしている。
【0004】
しかし、このような蛍光灯の照明下では、保守、クリーン度維持の都合上、明るさなど快適な環境とはいえない作業条件にならざるを得なかった。すなわち、蛍光灯断線などがあっても、蛍光灯の交換など頻繁に行うことが出来にくい環境である。
【0005】
一方、我々の日常生活においては、明るさ、色など不自由なく認識することができる。そこで、作業場においても、我々の日常生活と同じような環境下で作業を行いたいという欲求が人間生活の高度化と共に高まっている。
【0006】
上述した従来の手法は、紫外線を遮断する黄色のフィルムで蛍光灯を覆い、青色の発光色を無くすものである。この手法は蛍光灯が発光している波長スペクトラムのうち、有害な波長を取り除く手段として、光源に覆いを取り付けるものである。すなわち、蛍光灯が発光している波長スペクトラムのうち、不必要な波長を取り除くという消去法、減算方法である。不必要な波長を取り除く手段として光源に覆いを取り付けるものである。
【0007】
なお、この種の従来技術に関しては、例えば下記特許文献1を挙げることができる。
上述したように、従来の半導体工場等に用いられている光源の場合、高精度で緻密な作業環境化で各種入力、手作業操作において障害となる色認識、照度の確保などできないという問題があった。
【0008】
また、従来の蛍光管では、2〜3年に1回取り替えるというメンテナンスも作業も大きな作業の負担であった。
【0009】
波長スペクトラムという点から見て減算法である上述した不必要な波長を除去する方法では、除去する紫外線波長を急激に取り除くために、多層膜のフィルタ−を使うなどの方法がある。しかし、これは高価であるため一般的には使用されていない。
【0010】
そこで、紫外線波長を発生しないためには通常530nmあたりから波長を吸収する光学フィルタ−などを使用している。その結果として、黄色の光源装置になっていた。
【0011】
また、波長スペクトラムも、緑色以下の波長が少ない光源装置となる。その場合、使用者や利用者がその光源を使用した場合、緑色、青色などの色の区別ができないという課題があった。
【0012】
また、近年では、その利用が着目され、各分野で使われ始めている白色発光ダイオ−ド素子においても、青色に蛍光体を加えた白色等の特定色である。その結果、使用者や利用者が希望に応じて波長選択ができる光源装置は、これまでに存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−243915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来の黄色の紫外線感光防止蛍光管と同等の性能を有し、代替を可能かつ、省エネルギーで長時間寿命で紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる光源装置を提供することを目的にしている。従来の黄色波長特性と同等の性能を有しているため、使用する感光剤に制限なく完全に置き換えを可能としたこと目的にしている。
【課題を解決する手段】
【0015】
本発明が提案する光源装置は、波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ドの出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、前記複数個の発光ダイオ−ド素子には少なくとも緑色系発光ダイオ−ド素子が含まれており、当該緑色系発光ダイオ−ド素子の緑色系波長が少なくとも中心波長が530nm以上の波長特性に制御されたものである。
【0016】
また、本発明が提案する他の光源装置は、波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ド素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、前記複数個の発光ダイオ−ド素子には少なくとも赤色系発光ダイオ−ド素子と緑色系発光ダイオ−ド素子とが含まれているものである。
【0017】
本発明の更に他の光源装置は、波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ド素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、前記複数個の発光ダイオ−ド素子には少なくとも緑色系発光ダイオ−ド素子と、赤色系発光ダイオ−ド素子とが含まれていて、当該緑色系発光ダイオ−ド素子の緑色系波長の中心輝度に対して、500nmにおける発光輝度は少なくとも20分の1以下の発光輝度に制御されている輝度特性を有した光源装置である。
【0018】
さらに、前記光源装置は485nm以下のは波長帯において、発光輝度が0.1mcd/m以下に制御されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の黄色の蛍光管と同等の特性を有しているため、かつ、紫外線感光の被照射物が感光することを防止できる光源装置を提供することを目的にしている。また、省エネルギー、超寿命で緑色の可視光も含まれているため、作業環境の大幅な改善、かつ使用者や利用者が躊躇なく従来品の黄色い蛍光管の代替することを目的とした光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による光源装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電源部の出力波形図である。
【図3】本発明による光源装置の波長スペクトラム図である。
【図4】一般的な緑色発光ダイオードを使用したスペクトラム図である。
【図5】従来の半導体工場に使用されている一般的な波長スペクトラム図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明が提案する光源装置は、波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ド素子の出力をそれぞれ独立しえて制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、前記複数個の発光ダイオ−ド素子には少なくとも赤色系発光ダイオードおよび緑色系発光ダイオ−ド素子が含まれており、当該緑色系発光ダイオ−ド素子の緑色系波長の中心波長が少なくとも530nm以上の波長特性を有しているものである。
【0022】
本発明が提案する更に他の光源装置は、これら両者を組み合わせた、波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ド素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、電源部は印加電圧を変えることなく、印加時間の調整を行うことにより、光源装置の明るさを変えることで、波長スペクトラムの形状を変えない波長特性を有しているものである。
【0023】
以上に説明した本発明の光源装置は、紫外線感光の被照射物に対して感光させない光源を作るため、希望する波長スペクトラムに合致するよう複数個の波長の異なる発光ダイオ−ド素子を用いた、加算方式光源装置である。
【0024】
以上の本発明の光源装置において、前記波長の異なる複数個の発光ダイオ−ド素子を同一回路基板上に実装することにより、波長選択を目的とするスペクトラムを有している構成にすることができる。
【0025】
また、本発明の光源装置において、複数個の発光ダイオ−ド素子に少なくとも緑色系発光ダイオ−ド素子を含む場合、緑色系波長が530nm以上で550nm以下である当該緑色系発光ダイオ−ド素子の500nmの発光輝度が緑色発光輝度の中心輝度より20分の1以下に制御されている光源装置。
【0026】
同じく、本発明の光源装置において、複数個の発光ダイオ−ド素子に少ないとも緑色系発光ダイオ−ド素子を含む場合、本発光波長が500nm時の発光輝度が1mcd/m以下に制御されている光源装置。
【0027】
このように本発明の光源装置において、光源部に採用されている波長の異なる複数の発光ダイオ−ド素子の中に、500nm以下の発光輝度が前記記載しているとおりの制御され、さらに485nm以下の波長帯の発光輝度が0.1mcd/m以下に制御されている光源装置は、従来の黄色蛍光灯とそん色なく、代替することができるため、本発明の目的を達成することができる。すなわち。省エネルギーでかつメンテナンス費用も大幅に削減できる。
【0028】
前述したように使用者の感光材料に関係なく使用することが出来るので、本発明の目的をより効果的に達成することができる。すなわち、従来の黄色蛍光管を代替することで、メンテナンス費用を大幅に削減できる効果をより大きくできる。
【0029】
さらに、波長スペクトラムを変えることなく、印可電圧の時間調整により明るさを調整できるため、メンテナンスの間隔など容易に調整することが出来ることで本発明の目的をさらに向上させ達成したものである。
【0030】
また、以上の本発明の光源装置において、前記波長の異なる複数個の発光ダイオ−ド素子に蛍光体が塗布されている構造にすることができる。これによってスペクトラムの形状などに変更を加わるが500nm以下の波長のスペクトラムが変わることはない。
【0031】
以上の本発明の光源装置において、前記光源部は、電球型光源、ライン型光源、または面発光型光源部のいずれかにすることができる。
【0032】
本発明による光源装置を半導体工場用光源装置として使用する場合、赤(630nm)、緑色(530nm)とすることができる。このような組み合わせのものを少なくとも1組を実装した光源部を採用する。そして、前記の赤色、緑色の発光ダイオ−ド素子をそれぞれ独立してそれらの輝度を制御する制御部を設ける。また、光源部及び制御部にそれぞれ電力を供給する電源部を設け、印可する電源の調整を行うことで明るさの調整を容易にする。前記制御部が発光部の赤色、緑色の各発光ダイオ−ド素子を制御する。これによって、発光部からの出射光を任意のスペクトラムとし、各波長の発光強度を調整することが可能になる。
【0033】
以上に説明した本発明の光源装置による照明下では、緑波長があるため色認識の改善が可能である。そこで、工場内の機械・設備・備品などの色区別が容易になる。この結果、作業効率、歩留まりなどの大幅に改善・向上されるという利点がある。また、2〜3年に1回とりかえる作業を減じることでメンテナンス費用も多いに改善される。
【0034】
また、以上に説明した本発明の光源装置によれば、使用者や利用者が光源として通常の照明としての認識を得つつ、かつ、感光性材料には感光しにくいという光源が得られる。このような極めて優れた効果が発揮される。また、使用者や、利用者の作業環境も大幅に改善され、作業効率の向上という極めて優れた効果が得られる。
【0035】
以下の本発明の具体的な実施の形態について、添付図面を参照して実施例を説明する。なお、本発明は上述した実施形態及び、以下の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【0036】
図1は、本発明による光源装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【0037】
図1において、LSは光源部である。赤色発光ダイオ−ド素子LEDRと赤色発光ダイオ−ド素子LEDRの出力を制限する電流制限抵抗RR、緑色発光ダイオ−ド素子LEDGと緑色発光ダイオ−ド素子LEDGの出力を制限する電流制限抵抗RG、から構成されている。
【0038】
光源部LSは、これからの赤色発光ダイオ−ド素子LEDR、緑色発光ダイオ−ド素子LEDGを1組として図示しない回路基板上に互いに近接して並列に配列されて実装されている。
【0039】
出力を制限する方法として、光源部LSの赤色発光ダイオ−ド素子LEDR、緑色発光ダイオ−ド素子LEDGをそれぞれ独立して固定抵抗や定電流素子を用いて制御してもよい。
【0040】
これらの赤色発光ダイオ−ド素子LEDR,緑色発光ダイオ−ド素子LEDGを同一円周上に配置してもよい。
さらに、これらの赤色発光ダイオ−ド素子LEDR,緑色発光ダイオ−ド素子LEDGは輝度を向上させる目的で複数個並列接続させて配列してもよい。
【0041】
図1において、PSは、電源部である。交流電圧を直流電圧に変更して光源部LSに所定の電力を供給する電源部である。この電源部の出力を電圧一定で、印加する時間を調整することで、明るさの調整が波長スペクトラムを変えることなく容易に達成出来る。
【0042】
図2は電源部の出力をパルス信号の波形である。パルス信号のON時のみ光源が光るためON時間の調整で明るさの調整が可能となる。
【0043】
光源部LSより発せられた波長スペクトラムを図3に示す。赤色発光ダイオ−ド素子LEDRによるピ−ク波長630nm、緑色発光ダイオ−ド素子LEDGによるピ−ク波長530nm。このように、波長選択光源として出射光が得られる。
【0044】
図3は、本発明による光源装置の波長スペクトラム図である。500nm波長域では緑系発光ダイオードの中心波長の輝度に対して20分の1以下の輝度となっている。
【0045】
図3の500nm波長の発光輝度はLEDGの中心波長の発光輝度に対して20分の1以下の発光輝度で制御されている。したがって、500nm以下の帯域である発光輝度はこれより大幅に少ないため、紫外域の波長で感光する材料に及ぼす影響はきわめて少ない。
【0046】
図4は一般的緑色発光ダイオードを用いた赤・緑色発光ダイオードの波長スペクトラムである。この図のとおり、500nmでの発光輝度は緑色の中心波長の発光輝度より8分の1以上でありまたは規定できないため、従来の黄色蛍光灯の置き換えに100%対応できることはむつかしかった。
【0047】
なお、この光源部LSに採用する発光ダイオ−ド素子として、赤色発光ダイオ−ド、緑色発光ダイオ−ド以外に橙色発光ダイオ−ド、黄色発光ダイオ−ドを選択しても同様の効果が得られるのはいうまでもない。
【0048】
図5に従来の半導体工場用の光源の波長スペクトラムを示す。このスペクトラムによれば、500nm以下の波長がほとんど含まれていない。この波長スペクトラムと同様の波長スペクトラムを持つことにより、従来の黄色蛍光灯の置き換えが可能となり、LED化することにより、超寿命、省エネルギーが可能となる。
【0049】
なお、前述した実施例においては、半導体工場用の光源で説明した。しかし、本発明のように波長を選択し、加算方式であるスペクトラムを構成することにより、簡便にかつ自由に色調、明るさを制御することが多種、多様の用途をもつ出射光をもつ光源を実現できることは言うまでもない。これは、従来の消去法による光源ではなしえないことである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の光源装置によれば、紫外線がなく、色認識が可能である。そこで、本発明の光源装置は、半導体工場などにとどまらず、紫外線で陳列品の劣化を招くワイン・お酒などの照明装置にも適用できる。また、虫よけ等従来使用されている、黄色のナトリウムランプの代替にも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ド素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、前記複数個の発光ダイオ−ド素子には少なくとも赤色系発光ダイオ−ド素子と緑色系発光ダイオードが含まれており、当該緑色系発光ダイオ−ド素子の緑色系波長の中心波長が少なくとも530nm以上の波長特性を有している光源装置であって500nmの発光輝度が緑色発光ダイオードの中心波長の発光輝度より、少なくとも20分の1以下に制御されている光源装置。
【請求項2】
波長の異なる発光ダイオ−ド素子を複数個組み合わせて実装した光源部と、前記光源部の各発光ダイオ−ド素子の出力をそれぞれ独立して制御する制御部と、当該光源部及び制御部に電力を供給する電源部とを備え、前記複数個の発光ダイオ−ド素子には少なくとも赤色系発光ダイオ−ド素子と緑色系発光ダイオ−ド素子とが含まれていることを特徴とする光源装置で請求項1を備えた光源装置で電源部に波長スペクトラムを変えることなく電源印可電圧時間を調整することで、明るさを調整することを目的とした光源装置。
【請求項3】
前記波長の異なる複数個の発光ダイオード素子の発光輝度は500nmの波長において、発光輝度が1mcd/mを超えないことを制御し、また485nm以下の波長帯での発光輝度は0.1mcd/m以下で制御することを特徴とする請求項1を備えた光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80685(P2013−80685A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231131(P2011−231131)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(505036098)インテックス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】