説明

光源駆動回路、バックライト光源装置、及び液晶表示装置

【課題】LED故障発生時の輝度低下、表示不良などの品質低下を最小限に抑えること、及び製造コスト低減を可能とする光源駆動回路を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明における光源駆動回路30は、直列接続された複数の発光素子1a〜1eと、発光素子1a〜1eの各々に逆並列に接続されたツェナーダイオード2a〜2eとを備え、複数の発光素子1a〜1eのいずれかが故障したときは、故障した発光素子1a〜1eに逆並列に接続したツェナーダイオード2a〜2eが降伏し電流をバイパスさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源駆動回路、バックライト光源装置、及び液晶表示装置に関し、特に光源としてLEDを用いた光源駆動回路、バックライト光源装置、及び液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどを背面から照射するバックライトとして、LEDを用いたバックライト光源装置がある。このようなLEDを用いたバックライト光源装置は、蛍光灯を利用したバックライトと比較して、駆動電圧が低い、寿命が長いなどの利点が得られる。しかし、LEDを用いたバックライト光源装置は、点光源であるために輝度ムラが発生しやすい。そこで、各LEDに流れる電流値を等しくして輝度バラツキを防止するために、複数のLEDを直列に接続した光源駆動回路が採用されている。
【0003】
しかしながら、全てのLEDを直列に接続した場合、LEDが1つでも壊れて断線状態になると、残り全てのLEDが点灯しなくなるという問題があった。このLEDの故障の原因には、断線によるオープンモード、短絡によるショートモードなどがある。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、複数のLEDを直列に接続するとともに、このように複数のLEDを直列に接続したグループを複数並列に接続し、これらグループに保護回路としてツェナーダイオードを接続する光源駆動回路が開示されている。この光源駆動回路によると、いずれかのLEDが断線状態になった場合、故障したLEDと同一グループは消灯状態となるが、他のグループにあるLEDは点灯状態を保つため、表示を継続することができる。
【0005】
また、下記特許文献2には、直列接続された複数のLEDの各々にサイリスタを並列に接続する光源駆動回路が開示されている。この光源駆動回路によると、正常動作時は、サイリスタがオフ状態にあり、LEDが故障状態(オープンモード状態)になった場合に、サイリスタがバイパス路として導通する。従って、いずれかのLEDが故障状態になっても、故障個所のLEDを迂回し、その他のLEDは表示を継続することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−233809号公報
【特許文献2】特開2006−310999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のバックライト光源装置は、1つのLEDに故障が生じた場合には、同一グループにある複数のLEDが不点灯となり、大幅な輝度低下、表示不良などの品質低下が起きるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載のバックライト光源装置は、バイパスとして用いるサイリスタが比較的高価であるため、製造コスト低減が困難であるという問題があった。
【0009】
そこで本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、LED故障発生時の輝度低下、表示不良などの品質低下を最小限に抑えること、及び製造コスト低減を可能とする光源駆動回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における光源駆動回路は、直列接続された複数の発光素子と、前記発光素子の各々に逆並列に接続されたツェナーダイオードとを備え、前記複数の発光素子のいずれかが故障したときは、前記故障した発光素子に逆並列に接続した前記ツェナーダイオードが降伏し電流をバイパスさせる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光源駆動回路によれば、1つ1つのLEDにツェナーダイオードを逆並列に接続することで、1つのLEDに故障が生じた場合でも、故障したLEDに逆並列に接続したツェナーダイオードに電流をバイパスすることができる。従って、その他のLEDが不点灯状態になることを防ぎ、輝度低下、表示不良などの品質低下を最小限に抑えることができる。また、このような回路をツェナーダイオードを用いて構成することにより、コストの低減を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施の形態>
本発明は、例えば図1に示すような構成の液晶表示装置100に適用することができる。この液晶表示装置100は、液晶表示パネル10と、この液晶表示パネル10の背面に設けられたバックライト光源装置20とからなる。液晶表示パネル10は、TFT基板11、対向電極基板12の2枚の透明な基板を互いに対向配列させ、その間隙に液晶層13を設けた構成となっている。TFT基板11には、マトリクス状に配列された信号線14と、走査線15と、この信号線14と走査線15の交点に配列された薄膜トランジスタ16と、画素電極17が形成されている。一方、対向電極基板12の内表面には、図示していないが、全画素に共通の1つの電極である対向電極と、カラーフィルタが形成されている。
【0013】
薄膜トランジスタ16は、走査線15により、順次選択されてオン状態になるとともに、信号線14から供給される映像信号を対応する画素電極17に書き込む。画素電極17と対向電極との間に電位差が生じて、液晶物質は電圧オン状態になる。
【0014】
この液晶表示パネル10を2枚の偏光板31,32で挟み、バックライト光源装置20により背面から白色光を照射した状態で、アクティブマトリクス方式で駆動することによって、所望の映像を表示させることができる。
【0015】
バックライト光源装置20は、導光板21と、光源22と、導光板21の下面側の反射シート23と、導光板21の上面側のレンズシートや拡散シートなどといったシート状光学部品24とからなる。光源22でLEDを点灯させると、光源22から出射された光は、導光板21に入射し、反射シート23で反射を繰り返しながら、導光板21の上面に向かって出射される。シート状光学部品24に入射した光は、光散乱性が付与されるなどの作用を受けた後、液晶表示パネル10を背面側から照明する。図1では、エッジライト方式のバックライト光源装置20を用いているが、直下型などその他の方式であってもよい。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態におけるバックライト光源装置20における光源22の光源駆動回路30を模式的に示した図である。本実施の形態における光源駆動回路30は、複数の発光素子1a〜1e(以下、LEDと記載)を直列に接続し、LED1a〜1eの各々に、1つのツェナーダイオード2a〜2eを逆並列に接続した構成である。電源回路3は、LED1a〜1eに定電流を付加する。すなわち、本実施の形態における光源駆動回路30は、あるLED1a〜1eがオープン故障した場合、故障したLED1a〜1eに逆並列に接続したツェナーダイオード2a〜2eが降伏し、電流をバイパスさせるように構成されている。ここで、ツェナーダイオード2a〜2eのツェナー電圧は、LED1a〜1eの順方向電圧よりも大きな値とし、且つ、適切な許容損失を満足することとする。
【0017】
図3は、LED1a〜1eが正常時の電流の流れを示した図である。図に示すように、LED1a〜1eが故障していなければ、LED1a〜1eの端子電圧は順方向電圧であるため、順方向電圧よりも大きな値のツェナー電圧を持つ各ツェナーダイオード2a〜2eには電流が流れない。このように、直列接続した複数のLED1a〜1eに対して、同一の駆動電流が流れるので、各LED1a〜1eからの出射光量が一定である。従って、バックライト光源装置20から出射される光に輝度バラツキが発生しない。
【0018】
図4は、LED1a〜1eのいずれかがオープン故障をした場合の電流の流れを示した図である。故障したLED1bに逆並列に接続されたツェナーダイオード2bは降伏して電流をバイパスし、その端子電圧はツェナー電圧の定電圧になる。故障したLED1b以外の他のLED1a,1c〜1eには電流が流れることができ、その端子電圧は、ほぼ通常時と同様の電圧がかかる。従って、LED1bが故障しても、LED1a,1c〜1eは、点灯することができる。
【0019】
以上より、LEDがオープン故障したとき、故障したLEDのみが不点灯となり、他のLEDは点灯させることができる。従って、本発明の光源駆動回路30は、輝度低下、表示不良などの品質低下を最小限に抑えることができる。また、このような光源駆動回路30をツェナーダイオードを用いて構成することにより、コストの低減を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における液晶表示装置の構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における光源の光源駆動回路を模式的に示した図である。
【図3】本発明の実施の形態における光源駆動回路のLED正常時の電流の流れを示した図である。
【図4】本発明の実施の形態における光源駆動回路のLED故障時の電流の流れを示した図である。
【符号の説明】
【0021】
1a〜1e LED、2a〜2e ツェナーダイオード、3 電源回路、10 液晶表示パネル、11 TFT基板、12 対向電極基板、13 液晶層、14 信号線、15 走査線、16 薄膜トランジスタ、17 画素電極、20 バックライト光源装置、21 導光板、22 光源、23 反射シート、24 シート状光学部品、30 光源駆動回路、31,32 偏光板、100 液晶表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の発光素子と、
前記発光素子の各々に逆並列に接続されたツェナーダイオードと、を備え、
前記複数の発光素子のいずれかが故障したときは、前記故障した発光素子に逆並列に接続した前記ツェナーダイオードが降伏し電流をバイパスさせる光源駆動回路。
【請求項2】
前記ツェナーダイオードは、前記発光素子の順方向電圧よりも大きいツェナー電圧を有する請求項1に記載の光源駆動回路。
【請求項3】
導光板と、
請求項1または2に記載の光源駆動回路を有し、前記導光板に光を出射する発光部と、を備えるバックライト光源装置。
【請求項4】
表示パネルと、
前記表示パネルの背面側から照明する請求項3に記載のバックライト光源装置と、を備える液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−59835(P2009−59835A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225016(P2007−225016)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】