説明

光照射体、像形成構造体及び画像形成装置

【課題】光源から離れた位置においても、光の反射量を確保することができる光照射体、像形成構造体及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】光照射体68は、光が通過する空間部78と、空間部78に隣接して設けられ空間部78を通過した光を通過させる透光性の導光体部76と、導光体部76と対向して設けられ、導光体部76及び空間部78の少なくともいずれかを通過した光を反射させる突起部82とを有し、静電潜像が形成される像保持体の長手方向に沿って配置され、前記像保持体に導光体部76を通過した光を照射して除電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射体、像形成構造体及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では、像保持体が帯電装置により帯電され、潜像が光書込み装置により形成され、潜像が現像装置により可視像化され、像保持体に形成された現像剤像が用紙に転写される。転写後の像保持体は、光除電装置により除電される。
【0003】
特許文献1では、除電をするために感光体に光を照射する場合であっても、導光手段が画像形成装置本体からの光を利用して除電を行うプロセスカートリッジが開示されている。特許文献2では、被照明面上に均一な照度で照射できる線状照明が可能な照明装置が開示されている。
【0004】
特許文献3では、棒状の導光体の端部にLEDランプを対向させ、前記導光体の側面に設けられた光放出部から光を放出して成るLEDバー光源において、前記LEDランプは前記導光体の一方の端部にのみ対向する1個が設けられ、前記光放出部は前記LEDランプからの距離、および、前記導光体の他方の端部での前記LEDランプが反射して生じる写像からの距離を考慮した幅とされ、且つ、長手方向には略三角波状とされていることを特徴とするLEDバー光源が開示されている。
【0005】
特許文献4では、電子写真方式の画像形成装置に搭載され、光照射により感光体の残留電荷を除去する光除電器において、画像形成装置本体に設けられる点光源と、該画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジに搭載され、該点光源からの入射光を該感光体へと導く光路を構成する導光体とを含む光除電器が開示されている。
【0006】
特許文献5では、電子写真方式の画像形成装置において感光体の電荷を除電するのに用いられる光除電装置であって、前記感光体に対向して配置される導光体と、その導光体の光入射面に光を照射する光源とを有し、前記導光体には前記光源からの光を前記感光体に向けて反射する拡散反射面が形成されているとともに、当該導光体の後端面が光透過面となっており、その導光体の後端面の後方に反射面が配置されていることを特徴とする光除電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3652246号明細書
【特許文献2】特開平10−133026号公報
【特許文献3】特開2002−44378号公報
【特許文献4】特開2002−278395号公報
【特許文献5】特開2006−113216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光源から離れた位置においても、光の反射量を確保することができる光照射体、像形成構造体及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は、静電潜像が形成される像保持体の長手方向に沿って設けられ、光が通過する空間部と、前記空間部に隣接して設けられ、前記像保持体の長手方向に沿って前記像保持体側に設けられていて、光が通過するとともに前記空間部を通過した光も通過させる透光性の導光体部と、前記導光体部と対向して設けられ、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させる反射部と、を有し、前記反射部に、前記導光体部が脱落することを防止する第1の突起部と、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させ、前記導光体部よりも柔らかい材料からなり、前記導光体部に押し付けられ前記導光体部の外形に沿うように変形することで前記導光体部に密着して、前記導光体部と前記反射部の間に空間が形成されるように前記導光体部を支持する第2の突起部と、が形成されていて、前記空間部及び前記導光体部を通過する光が、前記導光体部の一端側から入り、前記導光体部における前記像保持体の長手方向に沿った方向と交わる方向から前記像保持体へ照射される光照射体である。
【0010】
請求項2に係る本発明は、前記導光体部の長手方向の一端には、光が入る開口が形成され、前記空間部は、前記開口に前記長手方向の一端で隣接されている請求項1に記載の光照射体である。
【0011】
請求項3に係る本発明は、前記第2の突起部は、矩形凸形状、針形凸形状及びドーム型凸形状のいずれかの形状を有する請求項1又は2に記載の光照射体である。
【0012】
請求項4に係る本発明は、前記第2の突起部は、前記像保持体の長手方向に沿って設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の光照射体である。
【0013】
請求項5に係る本発明は、前記第2の突起部は、複数、設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載の光照射体である。
【0014】
請求項6に係る本発明は、前記第2の突起部は、光が入る開口から長手方向に沿って数が増加するように設けられている請求項5に記載の光照射体である。
【0015】
請求項7に係る本発明は、前記導光体部は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂及びABS樹脂のいずれかから成る請求項1乃至6のいずれかに記載の光照射体である。
【0016】
請求項8に係る本発明は、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体の長手方向に沿って配置され、前記像保持体に光を照射して除電する光照射体と、を有し、前記光照射体は、前記像保持体の長手方向に沿って設けられ、光が通過する空間部と、前記空間部に隣接して設けられ、前記像保持体の長手方向に沿って前記像保持体側に設けられていて、光が通過するとともに前記空間部を通過した光も通過させる透光性の導光体部と、前記導光体部と対向して設けられ、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させる反射部と、を有し、前記反射部に、前記導光体部が脱落することを防止する第1の突起部と、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させ、前記導光体部よりも柔らかい材料からなり、前記導光体部に押し付けられ前記導光体部の外形に沿うように変形することで前記導光体部に密着して、前記導光体部と前記反射部の間に空間が形成されるように前記導光体部を支持する第2の突起部と、
が形成されていて、前記空間部及び前記導光体部を通過する光が、前記導光体部の一端側から入り、前記導光体部における前記像保持体の長手方向に沿った方向と交わる方向から前記像保持体へ照射される像形成構造体である。
【0017】
請求項9に係る本発明は、発光部材と、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体の長手方向に沿って配置され、前記像保持体に光を照射して除電する光照射体と、を有し、前記光照射体は、前記像保持体の長手方向に沿って設けられ、光が通過する空間部と、前記空間部に隣接して設けられ、前記像保持体の長手方向に沿って前記像保持体側に設けられていて、光が通過するとともに前記空間部を通過した光も通過させる透光性の導光体部と、前記導光体部と対向して設けられ、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させる反射部と、を有し、前記反射部に、前記導光体部が脱落することを防止する第1の突起部と、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させ、前記導光体部よりも柔らかい材料からなり、前記導光体部に押し付けられ前記導光体部の外形に沿うように変形することで前記導光体部に密着して、前記導光体部と前記反射部の間に空間が形成されるように前記導光体部を支持する第2の突起部と、が形成されていて、前記空間部及び前記導光体部を通過する光が、前記導光体部の一端側から入り、前記導光体部における前記像保持体の長手方向に沿った方向と交わる方向から前記像保持体へ照射される画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、光源から離れた位置においても、光の反射量を確保することができる光照射体を提供することができる。
【0019】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、導光体部の一端から光を入れることができる。
【0020】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、導光体部と突起部とが確実に接触することができる。
【0021】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに係る本発明の効果に加えて、長手方向に沿って、光の反射量を確保することができる。
【0022】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4のいずれかに係る本発明の効果に加えて、導光体部と突起部とが接触した場合の安定性を向上することができる。
【0023】
請求項6に係る本発明によれば、請求項5に係る本発明の効果に加えて、光が入る開口から長手方向に沿って、導光体部と突起部とが接触した場合の安定性を向上することができる。
【0024】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1乃至6のいずれかに係る本発明の効果に加えて、導光体部の透光性を確保することができる。
【0025】
請求項8に係る本発明によれば、光源から離れた位置においても、光の反射量を確保することができる像形成構造体を提供することができる。また、導光体部が第2の突起部に押し付けられた際に、突起部が容易に変形することができる。
【0026】
請求項9に係る本発明によれば、光源から離れた位置においても、光の反射量を確保することができる画像形成装置を提供することができる。また、導光体部が第2の突起部に押し付けられた際に、突起部が容易に変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置10を示す図である。
【図2】像保持体40及び光除電装置46を中心として像形成部64を示す図である。
【図3】光照射体68の側面断面図を中心として光除電装置46を示す図である。
【図4】発光部材70側から見た光照射体68の断面を示す図であって、図4(A)は、第1の実施形態に係る光除電装置46の光照射体68の断面図を示し、図4(B)は、図4(A)の矢印Cで示される範囲の拡大図である。
【図5】像保持体40に対向する開口側から見た反射部72を示す図である。
【図6】像保持体40に照射される光量と、発光部材70側から距離との関係を示す図である。
【図7】異なる実施形態に係る光除電装置46の第2の突起部82を示す図であって、図7(A)〜図7(C)は、それぞれ第2の実施形態〜第4の実施形態に係る光除電装置46の突起部82を示す。
【図8】異なる実施形態に係る光除電装置46の反射部72を示す図であって、図8(A)〜図8(C)は、それぞれ第5の実施形態〜第7の実施形態に係る光除電装置46の反射部72を示す。
【図9】異なる実施形態に係る光除電装置46の光照射体68の断面を示す図であって、図9(A)〜図9(C)は、それぞれ第8の実施形態〜第11の実施形態に係る光除電装置46の光照射体68の断面を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12の下部には、給紙装置14が配置されていると共に、画像形成装置本体12の上部には排紙部16が形成されている。
【0029】
給紙装置14は、用紙トレイ18を有し、この用紙トレイ18に多数の用紙が積層される。この用紙トレイ18の一端上部には、フィードロール20が配置されていると共に、このフィードロール20に対向して捌きロール22が設けられている。用紙トレイ18の最上位にある用紙がフィードロール20によりピックアップされ、フィードロール20と捌きロール22との協働により用紙が捌かれて搬送される。
【0030】
用紙トレイ18から搬送された用紙は、レジストローラ24により一時停止され、所定のタイミングにより後述する像保持体ユニット26と転写ユニット28との間及び定着装置30を通って排紙ローラ32により排紙部16へ排出される。
【0031】
画像形成装置本体12内には、画像形成装置本体12に対して着脱可能に取り付けられた像保持体ユニット26、転写ユニット28、電源ユニット34、トナーボックス50、光書込み装置56及び制御部36が配置されている。制御部36は、各構成要素を制御する。
【0032】
像保持体ユニット26には、例えば4つの像形成部64(像形成構造体)が設けられている。像形成部64には、像保持体40が、回転自在に支持されている。像保持体40は、後述する搬送ベルト60又はこの搬送ベルト60により搬送される用紙に転写される像を保持する。像保持体40は、例えば、感光層を有する感光体からなる。像形成部64において、像保持体40の周囲には、像保持体40を所定の極性に帯電する帯電ロールを備えた帯電装置42、像保持体40に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置44、転写後の像保持体40を除電する光除電装置46、及び転写がなされた後に像保持体40に残留する現像剤を除去するクリーニング装置48が設けられている。
【0033】
トナーボックス50は、像保持体ユニット26の裏面側側方に接続されている。トナーボックス50は、トナー供給部54とトナー回収部52とが一体になって構成されている。トナー供給部54は、現像装置44に接続されてトナーを現像装置44に供給し、トナー回収部52は、クリーニング装置48に接続されて各色のトナーを回収する。トナーボックス50は、例えば、マゼンダ、イエロー、シアン及び黒用である。
【0034】
光書込み装置56は、それぞれレーザー露光装置からなり、像保持体ユニット26の背面側にあって各像保持体40に対応した位置に配置され、一様に帯電された像保持体40に対してレーザーを照射して潜像を形成するようになっている。
【0035】
転写ユニット28は、像保持体ユニット26の表側にあって像保持体ユニット26に対向して縦方向に配置されている。この転写ユニット28においては、搬送ベルト60が、上下方向に設けられた二つの支持ロール58に掛けられている。搬送ベルトは、像又は用紙を搬送する。また、転写ロール62が、搬送ベルト60を挟んで対向して像保持体40に設けられている。
【0036】
したがって、各像保持体40は、帯電装置42により一様に帯電され、光書込み装置56により静電潜像が形成され、現像装置44により静電潜像がトナーにより可視像化される。各像保持体40に形成されたトナー像は、転写ユニット28の搬送ベルト60により搬送される用紙に転写され、定着装置30により用紙に定着される。転写後の像保持体40は、光除電装置46により除電される。
【0037】
図2は、像保持体40及び光除電装置46を中心として像形成部64を示す図である。
図2に示すように、光除電装置46は、光照射体68と、発光部材70とを有する。
【0038】
発光部材70は、画像形成装置本体12に設けられた光源であり、例えばLED(Light Emitting Diode)である。発光部材70は、光照射体68の長手方向延長線上に位置し、発光部材70と光照射体68との距離は、例えば1〜3mmである。発光部材70は、矢印Aで示すように、光照射体68の長手方向端面に対して光を照射する。
【0039】
光照射体68は、像形成部本体66に回転可能に支持された像保持体40の長手方向に沿って、この像形成部本体66に取り付けられている。光照射体68は、矢印Bで示すように、発光部材70から発せられた光を像保持体40に一様に照射して、像保持体40を除電する。
【0040】
図3は、本実施形態に係る光照射体68の側面断面図を中心として光除電装置46を示す図である。
図3に示すように、光照射体68は、光が通過する空間部78と、この空間部78に隣接して設けられた透光性の導光体部76と、光を反射させるための反射部72とを有する。空間部78、導光体部76及び反射部72は、像保持体40の長手方向に沿って設けられている。空間部78は、導光体部76の長手方向の一端に形成された開口79に接続されている。即ち、空間部78は、導光体部76の開口79に導光体部76の長手方向の一端で隣接している。
【0041】
導光体部76は、光が入る開口79が長手方向端面に形成された中空形状を有する。導光体部76は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂及びABS樹脂のいずれかから成り、押出成形されている。導光体部76の内径は、例えば3mmであり、導光体部76の外径は、例えば5mmである。ここで、発光部材70の外径は、導光体部76の内径より大きいことが好ましく、例えば3mm以上であり、さらに好ましくは5mmである。
【0042】
導光体部76は、光が入る開口79側の端面が粗面化されて成る。導光体部76の端面の粗さは、例えばRz=3〜15μmであり、好ましくは、Rz=15μm以上である。
【0043】
反射部72は、例えば白色樹脂で形成されたケースであり、導光体部76の少なくとも一部を覆っている。より具体的には、反射部72は、長手方向の沿って導光体部76を覆っており、導光体部76に光を入射するための光入射面、及び像保持体40に近接する対向面で開口している。さらに、反射部72は、導光体部76の端部であって光が入る開口79が形成された端部とは異なる端部を覆う終端部74を有する。
【0044】
したがって、図中の矢印で示すように、発光部材70から照射された光は、光照射体68の空間部78又は導光体部76の内部を通り、導光体部76及び反射部72の少なくともいずれかにより反射され、像保持体40に照射する。
【0045】
光が空間部78を通過すると、導光体部76を通過する場合と比較して、光エネルギーの損失が少ない。したがって、空間部78を通過する光は、光量の減衰が抑えられて、発光部材70側から当該発光部材70の反対側へと移動する。これにより、発光部材70側から離れた箇所でも、像保持体40に照射する光量を確保し易くなる。
【0046】
さらに、終端部74が、発光部材70の反対側の端部に設けられている場合、光は、終端部74で反射し、戻りながら反射と透過を繰り広げる。これにより、終端部74側から像保持体40に照射する光量が増加する。
【0047】
なお、図3に示される矢印は、導光体部76及び反射部72のいずれかの界面で光が反射又は透過していることを模式的に示す。したがって、図中の矢印は、入射角、反射角、屈折角の関係や全ての光の筋道を正確に表していない。実際には、図示した以上に無数の光が、反射又は透過している。
【0048】
図4は、発光部材70側から見た光照射体68の断面を示す図であって、図4(A)は、光照射体68の断面図を示し、図4(B)は、図4(A)の矢印Cで示される範囲の拡大図である。
図4(A)に示すように、光照射体68の反射部72には、像保持体40に対向する開口部に、突出する例えば爪形状又は凸形状の脱落防止用の第1の突起部80が設けられている。開口部の一方に設けられた第1の突起部80の先端と、他方に設けられた第1の突起部80の先端との距離Lは、導光体部76の直径より小さい。第1の突起部80は、導光体部76が反射部72に嵌め込まれた場合、導光体部76を支持して、導光体部76が脱落することを防止する。
【0049】
また、反射部72には、第2の突起部82が、導光体部76と対向して設けられている。第2の突起部82は、複数、設けられている(本実施形態では、2つ)。第2の突起部82は、導光体部76及び空間部78の少なくともいずれかを通過した光を反射させる。
【0050】
図4(B)に示すように、第2の突起部82は、凸形状を有し、好適には、矩形凸形状を有する。第2の突起部82は、導光体部76より柔らかい材料からなる。したがって、導光体部76が反射部72に嵌め込まれると、導光体部76は第2の突起部82に押し付けられ、第2の突起部82の先端が潰れる。第2の突起部82は、導光体部76の外形に沿うように変形するので、第2の突起部82と導光体部76とは密着し、第2の突起部82と導光体部76との接触面は安定する。
【0051】
図5は、像保持体40に対向する開口側から見た反射部72を示す図である。
図5に示すように、第1の突起部80は、当該開口部に複数設けられている。第2の突起部82は、像保持体40の長手方向に沿って設けられている。
【0052】
なお、反射部72が設けられる代わりに、導光体部76の外側表面が白色塗料等の光を反射し易い色の塗料で塗られた形態や、導光体部76の外側表面に銀色のテープ等の光を反射し易い色のテープが貼られた形態、が用いられてもよい。このような形態が用いられた場合においても、像保持体40に対向する開口部は確保される。
【0053】
図6は、像保持体40に照射される光量と、発光部材70側から距離との関係を示す図である。
図6(a)は、特許文献1等に開示されている導光手段のように、長手方向と交わる方向に細かな凹凸形状が形成された導光手段により像保持体40に照射される光量と発光部材70側から距離との関係を示し、図6(b)は、本実施形態に係る光照射体68により像保持体40に照射される光量と発光部材70側から距離との関係を示す。
【0054】
図6(a)に示される場合では、巨視的に見ると、発光部材70側、発光部材70の反対側(終端部74側)及びその中間部において、光量の減衰は、図6(b)に示される場合と比べて少ない。また、微視的に見ると、導光手段の長手方向と交わる方向に細かな凹凸形状が形成されているので、光量の強弱の差が、図6(b)に示される場合と比べて大きく現れる。
【0055】
一方、図6(b)に示される場合では、巨視的に見ると、発光部材70側から終端部74側に向けて、光量の減衰が、図6(a)に示される場合と比べて大きい。また、光が終端部74で反射するので、中間部から終端部74側に向けて、光量が増している。微視的に見ると、導光体部76の像保持体40に沿った方向と交わる方向に細かな凹凸形状が形成されていないので、光量の強弱の差は、表れない。なお、細かなキズ状の溝が、導光体部76の像保持体40に沿った方向に形成されると、巨視的に見た場合における、発光部材70側から終端部74側に向けての光量の減衰が、緩やかになる。
【0056】
像保持体40が経時劣化を起こした場合、光が強く照射した部位と光が弱く照射した部位とで、像保持体40の帯電量に、差異が生じる。この場合、図6(a)に示される導光手段の形態では、ハーフトーン画像等の中間的な画像密度の画像が印刷される際、細かな線状濃淡画像が、人目につく画像欠陥として表れる。一方、図6(b)に示される形態では、微視的な光の強弱の差がないため、ハーフトーン画像等の中間的な画像密度の画像が印刷される場合においても、細かな線状濃淡画像は表れず、人目につく画像欠陥とはならない。
【0057】
さらに、図6(a)に示される導光手段は、一般的に型加工にて成型されるが、図6(b)に示される導光体部76は、引き抜き加工、押し出し加工等の簡易で低コストの加工で作られてもよい。導光体部76がこのような加工で作られた場合においても、像保持体40が経時劣化を起した際、光の強弱の差による細かな線状濃淡画像は表れない。
【0058】
なお、像保持体40を除電させる程度は、像保持体40が適用された画像形成装置等の装置の事情で決まる。したがって、所望のレベル以上、除電させることができれば、その除電の程度や均一性は、除電という観点からは格別気にする必要はなく、適宜設定されるものである。像保持体40の長手方向で所望のレベル以上の除電を行うためには、発光部材70の大きさ、光量及び光強度等、光照射体68の長さ、厚み、形状及び透明度等、像保持体40の感度及び移動速度等、ならびに光照射体68を構成する空間部78、導光体部76及び反射部72それぞれの長さ、厚み、形状及び透明度等を、それぞれ設定すればよい。
【0059】
次に、第2の実施形態〜第4の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。第2の実施形態〜第4の実施形態に係る画像形成装置10では、光除電装置46に設けられた第2の突起部82の形状が異なる。
【0060】
図7は、異なる実施形態に係る光除電装置46の第2の突起部82を示す図であって、図7(A)〜図7(C)は、それぞれ第2の実施形態〜第4の実施形態に係る光除電装置46の突起部82を示す。
図7(A)に示すように、第2の実施形態に係る光除電装置46は、湾曲した断面の第2の突起部82を有する。本実施形態では、第1の実施形態に係る第2の突起部82と比較して、第2の突起部82と導光体部76とが接触する面積が小さく、第2の突起部82の先端は容易に潰れる。
【0061】
図7(B)に示すように、第3の実施形態に係る光除電装置46は、断面がドーム状の凸形状である第2の突起部82を有する。本実施形態では、第1の実施形態に係る第2の突起部82と比較して、第2の突起部82と導光体部76とが接触する面積が大きい。
【0062】
図7(C)に示すように、第4の実施形態に係る光除電装置46は、針状の凸形状の第2の突起部82を有する。第2の突起部82は、導光体部76により曲げられ、曲げられた方向とは反対側の側面が、導光体部76と密着する。
【0063】
次に、第5の実施形態〜第7の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。第5の実施形態〜第7の実施形態に係る画像形成装置10では、光除電装置46の反射部72に設けられる第2の突起部82の数及び位置が異なる。
【0064】
図8は、異なる実施形態に係る光除電装置46の反射部72を示す図であって、図8(A)〜図8(C)は、それぞれ第5の実施形態〜第7の実施形態に係る光除電装置46の反射部72を示す。
図8(A)に示すように、第5の実施形態に係る光除電装置46は、1つの第2の突起部82が、長手方向に沿って設けられた反射部72を有する。本実施形態では、第1の実施形態に係る第2の突起部82と比較して、第2の突起部82と導光体部76とが接触する全体の面積が小さい。第2の突起部82の数は、特に限定されず、3以上であってもよい。また、第2の突起部82は、長手方向に対して角度を持って設けられてもよい。
【0065】
図8(B)に示すように、第6の実施形態に係る光除電装置46は、6つの第2の突起部82を有する。本実施形態では、長手方向中央部の2つの第2の突起部82の間の距離が、当該中央部の両側部分の2つの第2の突起部82の間の距離より狭くなるように、第2の突起部82が設けられている。したがって、第1の実施形態に係る第2の突起部82と比較して、第2の突起部82と導光体部76とが接触する全体の面積は略同じである一方、光が反射する位置が異なる。このように、2つの第2の突起部82の間の距離は、長手方向の位置においてどのような値であってもよい。
【0066】
図8(C)に示すように、第7の実施形態に係る光除電装置46では、光が入る開口79から長手方向に沿って、第2の突起部82の数が増加するように、第2の突起部82が設けられている。したがって、導光体部76と第2の突起部82とが接触する面積は、光が入る開口79から長手方向に沿って広くなる。また、本実施形態に係る光除電装置46では、第2の突起部82の端部は、光が入る開口79及び終端部74と所定の距離をおいて設けられている。即ち、光が入る開口79及び終端部74の近傍には、第2の突起部82は、設けられていない。
【0067】
次に、第8の実施形態〜第11の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。第8の実施形態〜第11の実施形態に係る画像形成装置10では、光除電装置46の導光体部76の断面の形状及び第2の突起部82が設けられる位置が異なる。
【0068】
図9は、異なる実施形態に係る光除電装置46の光照射体68の断面を示す図であって、図9(A)〜図9(C)は、それぞれ第8の実施形態〜第11の実施形態に係る光除電装置46の光照射体68の断面を示す。
図9(A)に示すように、第8の実施形態に係る光除電装置46は、空間部78が、導光体部76と反射部72とにより形成される光照射体68を有する。本実施形態では、第2の突起部82は、導光体部76を挟むように、対向する位置に設けられている。
【0069】
図9(B)に示すように、第9の実施形態に係る光除電装置46は、空間部78が、断面が略半円形状である導光体部76と反射部72とにより形成される光照射体68を有する。本実施形態では、第2の突起部82は、導光体部76の断面により形成される円弧の端部と接するように設けられている。
【0070】
図9(C)に示すように、第10の実施形態に係る光除電装置46は、導光体部76の開口79の形状が矩形である光照射体68を有する。本実施形態では、第2の突起部82は、導光体部76の所定の側面に接するように設けられている。
【0071】
図9(D)に示すように、第11の実施形態に係る光除電装置46は、複数の空間部78が、導光体部76と反射部72とにより形成される光照射体68を有する。本実施形態では、第2の突起部82は、導光体部76の断面により形成される所定の角と接するように設けられている。
【符号の説明】
【0072】
10・・・画像形成装置
12・・・画像形成装置本体
26・・・像保持体ユニット
40・・・像保持体
42・・・帯電装置
44・・・現像装置
46・・・光除電装置
64・・・像形成部
66・・・像形成部本体
68・・・光照射体
70・・・発光部材
72・・・反射部
74・・・終端部
76・・・導光体部
78・・・空間部
79・・・開口
80・・・第1の突起部
82・・・第2の突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像保持体の長手方向に沿って設けられ、光が通過する空間部と、
前記空間部に隣接して設けられ、前記像保持体の長手方向に沿って前記像保持体側に設けられていて、光が通過するとともに前記空間部を通過した光も通過させる透光性の導光体部と、
前記導光体部と対向して設けられ、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させる反射部と、
を有し、
前記反射部に、
前記導光体部が脱落することを防止する第1の突起部と、
前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させ、前記導光体部よりも柔らかい材料からなり、前記導光体部に押し付けられ前記導光体部の外形に沿うように変形することで前記導光体部に密着して、前記導光体部と前記反射部の間に空間が形成されるように前記導光体部を支持する第2の突起部と、
が形成されていて、
前記空間部及び前記導光体部を通過する光が、前記導光体部の一端側から入り、前記導光体部における前記像保持体の長手方向に沿った方向と交わる方向から前記像保持体へ照射される
光照射体。
【請求項2】
前記導光体部の長手方向の一端には、光が入る開口が形成され、
前記空間部は、前記開口に前記長手方向の一端で隣接されている
請求項1に記載の光照射体。
【請求項3】
前記第2の突起部は、矩形凸形状、針形凸形状及びドーム型凸形状のいずれかの形状を有する請求項1又は2に記載の光照射体。
【請求項4】
前記第2の突起部は、前記像保持体の長手方向に沿って設けられている
請求項1乃至3のいずれかに記載の光照射体。
【請求項5】
前記第2の突起部は、複数、設けられている
請求項1乃至4のいずれかに記載の光照射体。
【請求項6】
前記第2の突起部は、光が入る開口から長手方向に沿って数が増加するように設けられている請求項5に記載の光照射体。
【請求項7】
前記導光体部は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂及びABS樹脂のいずれかから成る
請求項1乃至6のいずれかに記載の光照射体。
【請求項8】
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体の長手方向に沿って配置され、前記像保持体に光を照射して除電する光照射体と、
を有し、
前記光照射体は、
前記像保持体の長手方向に沿って設けられ、光が通過する空間部と、
前記空間部に隣接して設けられ、前記像保持体の長手方向に沿って前記像保持体側に設けられていて、光が通過するとともに前記空間部を通過した光も通過させる透光性の導光体部と、
前記導光体部と対向して設けられ、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させる反射部と、
を有し、
前記反射部に、
前記導光体部が脱落することを防止する第1の突起部と、
前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させ、前記導光体部よりも柔らかい材料からなり、前記導光体部に押し付けられ前記導光体部の外形に沿うように変形することで前記導光体部に密着して、前記導光体部と前記反射部の間に空間が形成されるように前記導光体部を支持する第2の突起部と、
が形成されていて、
前記空間部及び前記導光体部を通過する光が、前記導光体部の一端側から入り、前記導光体部における前記像保持体の長手方向に沿った方向と交わる方向から前記像保持体へ照射される
像形成構造体。
【請求項9】
発光部材と、
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体の長手方向に沿って配置され、前記像保持体に光を照射して除電する光照射体と、
を有し、
前記光照射体は、
前記像保持体の長手方向に沿って設けられ、光が通過する空間部と、
前記空間部に隣接して設けられ、前記像保持体の長手方向に沿って前記像保持体側に設けられていて、光が通過するとともに前記空間部を通過した光も通過させる透光性の導光体部と、
前記導光体部と対向して設けられ、前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させる反射部と、
を有し、
前記反射部に、
前記導光体部が脱落することを防止する第1の突起部と、
前記導光体部及び前記空間部の少なくともいずれかを通過した光を反射させ、前記導光体部よりも柔らかい材料からなり、前記導光体部に押し付けられ前記導光体部の外形に沿うように変形することで前記導光体部に密着して、前記導光体部と前記反射部の間に空間が形成されるように前記導光体部を支持する第2の突起部と、
が形成されていて、
前記空間部及び前記導光体部を通過する光が、前記導光体部の一端側から入り、前記導光体部における前記像保持体の長手方向に沿った方向と交わる方向から前記像保持体へ照射される
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−137791(P2012−137791A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96501(P2012−96501)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2008−39972(P2008−39972)の分割
【原出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】