光照射用チップ、光照射用ヘッド及び光照射器
【課題】診療対象の狭隘な箇所に挿入可能で、且つ照射ムラや光量の減衰の懸念がない光照射用チップ、これを備えた光照射用ヘッド及びこれらをアセンブリした医療用の光照射器を提供する。
【解決手段】診療対象Tの狭隘な箇所T1に挿入可能な細長部材7と、前記細長部材7の先端部に取付けられた光源6と、前記光源6に接続され且つ前記細長部材7にその後端部に及ぶよう添装された光源用導線61とよりなる光照射用チップ5。給電中継部43を内蔵するヘッド基部4と、前記ヘッド基部4の先端に、前記給電中継部43と前記光源用導線61とが電気的接続状態で装着された光照射用チップ5とよりなる光照射用ヘッド3。給電部26を含む電気制御部20を内蔵するグリップ形状の光照射器本体2と、前記光照射器本体2の先側に装着された光照射用ヘッド3とよりなる光照射器1。
【解決手段】診療対象Tの狭隘な箇所T1に挿入可能な細長部材7と、前記細長部材7の先端部に取付けられた光源6と、前記光源6に接続され且つ前記細長部材7にその後端部に及ぶよう添装された光源用導線61とよりなる光照射用チップ5。給電中継部43を内蔵するヘッド基部4と、前記ヘッド基部4の先端に、前記給電中継部43と前記光源用導線61とが電気的接続状態で装着された光照射用チップ5とよりなる光照射用ヘッド3。給電部26を含む電気制御部20を内蔵するグリップ形状の光照射器本体2と、前記光照射器本体2の先側に装着された光照射用ヘッド3とよりなる光照射器1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射用チップ、光照射用ヘッド及びこれらを構成部材として備える医療用の光照射器に関し、更に詳しくは、歯牙の根管や歯周ポケット等のように診療対象の狭隘な箇所に挿入して、当該狭隘箇所の光照射を行うことができる医療用の光照射器とその構成部材としての光照射用チップ及び光照射用ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯牙の根管や歯周ポケット等のように狭隘な部位を光照射することは、斯かる部位の診療に極めて有効である。このように、歯牙の狭隘な部位にまで光照射し得るようにした先行技術としては、特許文献1〜4に開示された技術を挙げることができる。特許文献1には、基端側がレーザ光を生成する手段(発光源)に接続された光ファイバを根管内に挿入し、光ファイバで導光されたレーザ光を根管内に充填された感光性物質に照射しこれを活性化させて根管を閉塞する技術が開示されている。特許文献2には、ライトガイド(光照射装置)の先端に装着された光照射補助チップを、歯牙の窩洞(根管)に充填された光硬化性レジンに挿入し、この補助チップよりレジンに光照射して光重合させる技術が開示されている。特許文献3には、光源部材と導光部材(アタッチメント)とを着脱自在に装着し得るヘッド部を有する歯科用光照射器が開示されている。そして、本特許文献3には、前記アタッチメントとして、広範囲照明用、狭範囲照明用、根管内照明用のアッタチメントが準備され、これらを選択使用し得るよう構成されている点が記載されている。更に、特許文献4には、ベースハンドルに光源を内蔵するアタッチメントを介してライトガイドが装着され、このライトガイドの先側部分が歯周用プローブとされた歯科用機器が開示されている(Fig.3B,Fig.4D及び0085欄の記載参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−525072号公報
【特許文献2】特開2003−310641号公報
【特許文献3】特開2004−321422号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0017416号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、特許文献1〜4には、歯牙の根管や歯周ポケット等のように狭隘な部位を光照射するという技術思想が開示されている。しかし、これらは共通して、光源からの光をライトガイド或いはこれに相当するもの(集光部材等も含む)を介して導光して目的部位に照射するよう構成されており、光源を目的部位の至近位置に配して直接照射するものではない。このように、ライトガイド等を介して導光する場合は、光の照射ムラや光量の減衰が生じることは不可避であり、特にライトガイドを介在させる場合は、ライトガイドへの入光量の限界やライトガイドの伝送効率の為、光量の減衰は40〜50%にも及ぶ。従って、照射端において充分な光量を得るには、容量の大きな光源を用いる必要があり、これに伴い光源及び付随する関連機器が大型化され、あるいは消費電力が大きなものとなる。特に歯科用や耳鼻科用等の光照射器においては、光源やその関連機器は、ハンドピースタイプのグリップ部等に内蔵され、その為グリップ部等も自ずと大型化され、その取扱適性を低下させる要因となっていた。そのうえ、ライトガイドは通常、樹脂やファイバ、ガラス材が原材料であるため、小径のライトガイドは強度が低く実用的でなく、実用化されていない。
【0005】
特許文献4のFig.2A,2B,2Cには、前記ベースハンドルの反対側に装着されるパイプ状の部材(ENCLOSURE)の先端に青色LEDを設けた歯科用光重合照射器が示されている(0064〜0070欄の記載も参照)。しかし、このパイプ状の部材は、歯牙の根管や歯周ポケット等のように狭隘な部位に挿入し得るような細径のものではなく、歯牙の表面に光源を近接させて、光重合樹脂を硬化させるべく使用されるものと解される。
【0006】
本発明は、前記に鑑みなされたものであり、診療対象の狭隘な箇所に挿入可能で、且つ照射ムラや光量の減衰の懸念がない光照射用チップ、これを備えた光照射用ヘッド及びこれらをアセンブリした医療用の光照射器を提供することを目的とする。特に、治療用レーザ照射チップに内蔵された光ファイバのようなライトガイドによることなく、照射対象領域に光を照射するための機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明に係る光照射用チップは、診療対象の狭隘な箇所に挿入可能な細長部材と、前記細長部材の先端部に取付けられた光源と、前記光源に接続され且つ前記細長部材にその後端部に及ぶよう添装された光源用導線とよりなることを特徴とする。
【0008】
本発明の光照射用チップにおいて、前記細長部材の断面形状は、円形であってその外径が0.6mm〜2mmであり、或いは、方形であってその1辺の長さが0.6mm〜2mmであることが望ましい。ここで、外径や1辺の長さが2mm程度であれば、根管の入り口である根管口へ、隣接歯に妨げられることなくあてがうことができ、従来の光照射器に比べて近接した位置から光を根管内へ直接照射できる。さらに径が細くなれば、根管口から根管内まで光源自体を挿入でき、より望ましい。
【0009】
また、本発明の光照射用チップにおいて、前記光源が、前記細長部材の先端より少許後退した位置の内部に取付けられ、且つこの後退により形成される細長部材の先端部の空間部に透光性部材が装着されているものとしても良い。更に、前記細長部材が、その長手方向に沿った少なくとも1箇所で湾曲する非直線状の形状とされているものとしても良い。ここでいう湾曲とは、細長部材がその全体に亘って湾曲している場合はもとより、局部的に屈曲しているような、線分と線分、及びその間の角度の組み合わせにより湾曲している形状を含む。
【0010】
第二の発明に係る光照射用ヘッドは、給電中継部を内蔵するヘッド基部と、前記ヘッド基部の先端に、前記給電中継部と前記光源用導線とが電気的接続状態で装着された前記のいずれかの光照射用チップとよりなることを特徴とする。
【0011】
本発明の光照射用ヘッドにおいて、前記光照射用チップが、前記ヘッド基部の先端に着脱自在に装着されているものとしても良い。また、前記ヘッド基部が、前記光照射用チップが装着される先側部分と、前記給電中継部が内蔵されるヘッド基部本体部とよりなり、前記先側部分が前記ヘッド基部本体部に対して着脱自在に連接されているものとしても良い。更に、前記ヘッド基部が、その軸線が途中で湾曲した形状とされているものとしても良い。
【0012】
第三の発明に係る光照射器は、給電部を含む電気制御部を内蔵するグリップ形状の光照射器本体と、前記光照射器本体の先側に装着された前記のいずれかの光照射用ヘッドとよりなることを特徴とする。
【0013】
本発明の光照射器において、前記光照射用ヘッドが、前記光照射器本体に対して着脱自在に装着され、この装着状態においては、前記光照射器本体の電気制御部と、前記ヘッド基部内の給電中継部とが電気的に接続されるようにしても良い。この場合、前記光照射器本体の前記電気制御部が、前記光源より高出力の光源に対応する能力を有し、前記光照射器本体の先側には前記高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドが着脱自在とされ、前記ヘッド基部に内蔵される給電中継部は、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えているよう構成しても良い。
【発明の効果】
【0014】
第一の発明に係る光照射用チップによれば、先端部に光源が取付けられた細長部材は、診療対象の狭隘な箇所に挿入可能とされているから、歯牙の根管や歯周ポケット等にもその先端部より挿入することができ、これによって光源をこれら狭隘な箇所にある診療対象部位の至近位置に臨ませることができる。また、前記細長部材には前記光源に接続され且つその後端部に及ぶ光源用導線が添装されているから、後記する第二発明に係る光照射用ヘッド、更には第三発明に係る光照射器の一構成部としてアセンブリした際には、光照射器の電気制御部に対して光照射ヘッドの給電中継部を介して電気的な接続がなされ、これによって光源の発光制御がなされる。光源としては、LEDが、小型であること、小型でありながら光量が大であること、寿命が長いこと等の点で望ましく採用される。特に、0.9×0.9mm角或いはそれ以下の寸法のLEDも実用化されており、本発明ではこのような微小なLEDが最も望ましく採用される。
【0015】
前記細長部材の断面形状は、円形又は方形であることが望ましく、円形の場合耐曲げ性に優れ、方形の場合は屈曲加工がし易いというメリットがある。断面が円形の細長部材の場合の外径は、0.6〜2mmとされる。0.6mm未満の場合は、前記のような微小なLEDでも細長部材の先端部に取付けることが難しくなり、また、2mmを超えると、診療対象を根管とした場合、根管の根尖部にまで光源を近づけることは難しく、根管口よりの照射程度の効果が期待できる程度である。また、断面が方形の細長部材の場合の1辺の長さは、0.6〜2mmとされる。この場合も同様に、0.6mm未満の場合は、前記のような微小なLEDでも細長部材の先端部に取付けることが難しくなり、また、2mmを超えると根管の内部に挿入して根尖部にまで光源を近づけることが難しくなる。
【0016】
前記細長部材が、その長手方向に沿った少なくとも1箇所で湾曲する非直線状の形状とされている場合、特に歯科診療においては、歯牙の根管や歯周ポケット等に挿入し易く、また、細長であることとも相俟って視野の妨げともならない。ここでいう湾曲とは、前述のとおり、細長部材がその全体に亘って湾曲している場合はもとより、局部的に屈曲しているような、線分と線分、及びその間の角度の組み合わせにより湾曲している形状を含む。これは、根管用のプラッガーやスプレッダー、或いはポケット探針のような、要所に直線形状を含むように本願発明の細長部材を形成すること含む。全体に亘って湾曲させることは、例えばレーザ照射チップであれば、光ファイバを内蔵しているため、やむをえなかった。ところが本願発明によれば、細径部材の先端まで光ファイバを設ける必要がないため、その形状に自由度があり、全体に亘る湾曲形状はもちろん、要所に直線形状を含むような屈曲形状にも構成し得る。
【0017】
第二の発明に係る光照射用ヘッドは、給電中継部を内蔵するヘッド基部の先端に、前記光照射用チップが装着されて構成される。この装着状態では、ヘッド基部内の前記給電中継部と前記光照射用チップの細長部材に添装される光源用導線とが電気的接続状態とされるから、該光照射用ヘッドを後記する第三発明に係る光照射器の一構成部としてアセンブリした際には、光照射器の電気制御部に対して光照射ヘッドの給電中継部を介して電気的な接続がなされ、これによって光源の発光制御がなされる。
【0018】
前記光照射用ヘッドにおいて、前記光照射用チップが、前記ヘッド基部の先端に着脱自在に装着されているものとすれば、光照射用チップが毀損した場合、診療目的に適した波長の光を発する光源を備えたものを選択使用したい場合、或いは、滅菌消毒を行う場合等において、光照射用チップのみを取外してその作業を実行することができる。特に、毀損した場合等におけるランニングコストを抑えることができ、ユーザにとっての実益は大である。また、診療目的に適した波長の光を発する光源を備えたものを選択使用することができることにより、例えば、光重合樹脂の硬化に適した波長(470±20nm)の光を発する光源を備えたもの、照射対象を励起して蛍光を発光させる励起光(405±10nm)を発する光源を備えたもの、或いは、光そのものが殺菌効果を有する光や殺菌剤の活性化に適した光など、光殺菌に適した波長(405±10nmや630±30nm)の光を発する光源を備えたもの等を準備しておき、これらを選択使用することにより多様な診療態様に対応させることができ極めて有用である。
【0019】
また、前記光照射ヘッドにおいて、前記ヘッド基部が、前記光照射用チップが装着される先側部分と、前記給電中継部が内蔵されるヘッド基部本体部とよりなり、前記先側部分が前記ヘッド基部本体部に対して着脱自在に連接されているものとした場合、ヘッド基部の先側部分をヘッド基部本体部に対して適宜交換着脱することにより、光照射チップのみを交換着脱する場合と同様の効果が得られる。そして、前記ヘッド基部が、その軸線が途中で湾曲した形状とされていることとした場合、光照射チップの前記湾曲形状との適宜組合せにより、その操作性の一層の向上を図ることができる。
【0020】
第三の発明に係る光照射器によれば、給電部を含む電気制御部を内蔵するグリップ形状の光照射器本体と、この光照射器本体の先側に装着された前記いずれかの光照射用ヘッドとよりなるから、グリップ形状の光照射器本体を把持し、光照射用ヘッドの光照射用チップを診療対象の狭隘な箇所に挿入して、光照射用チップの先端部に設けられる光源から診療対象部位に直接光照射することができる。この場合、光源からの光はライトガイドや光学部材(集光部材等)等を介さず、診療対象部位に対して至近位置より照射されるから、照射ムラが生じず、極めて精度の高い光照射診療が可能となる。また、光量の減衰が生じず、低容量の光源であっても効率的な光照射が可能となり、光源及びこれの関連機器が小型化され、細長部材を歯牙の根管等の狭隘な部位へ挿入し得るよう構成することができると共に、機器全体がコンパクト化され、取扱性の向上も図ることができる。
【0021】
また、前記光照射器において、光照射用ヘッドが、前記光照射器本体に対して着脱自在に装着され、この装着状態においては、前記光照射器本体の電気制御部と、前記ヘッド基部内の給電中継部とが電気的に接続されるよう構成すれば、光照射器本体の電気制御部と光照射用チップの先端部に設けられる光源への給電系が、光照射器本体に対して光照射用ヘッドを装着するだけで確立される。また、光照射用ヘッドが光照射器本体に対して着脱自在とされていることにより、前記と同様にメンテナンスに便利であり、診療態様に応じた適宜使い分け等も可能となる。
【0022】
この場合、前記光照射器本体の前記電気制御部が、前記光源より高出力の光源に対応する能力を有し、前記光照射器本体の先側には前記高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドが着脱自在とされており、前記ヘッド基部に内蔵される給電中継部が、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えている場合、診療対象の広域部分を光照射したい場合は、高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドを装着することによって、診療対象の広い部分に光照射して周辺部分の状態の確認や治療等に使用することができる。そして、前記光照射チップを備える光照射ヘッドに付け替えて、目的の狭隘な部位への光照射を行うようにすれば、目的部位への光照射を的確に行うことができる。しかも、前記チップ基部に内蔵される給電中継部が、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えているので、装着された光照射ヘッドの種類の識別手段を付加すれば、それぞれに応じた給電系が確立される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の光照射器の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】同光照射器の部分破断部分縦断分解平面図である。
【図3】図2におけるX線部の拡大図である。
【図4】図2におけるY−Y線矢視部から見た斜視図である。
【図5】同光照射器の制御ブロック図である。
【図6】同光照射器の使用例を示す模式図である。
【図7】同光照射器における光照射ヘッドの他の実施形態を示す部分破断分解縦断面図である。
【図8】図3に対応する部分の変形例を示す図3と同様図である。
【図9】図3に対応する部分の他の変形例を示す図3と同様図である。
【図10】(a)〜(f)は、図4に対応する部分の種々の変形例を示す図4と同様図である。
【図11】(a)(b)(c)は、図4に対応する部分の他の実施形態の種々の例を示す図4と同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の光照射用チップ、光照射用ヘッド及びこれらをアセンブリして構成される光照射器の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態としての光照射器の全体構成を示す斜視図である。図1に示す光照射器1は、主に歯牙の根管や歯周ポケット内を照射し得るコードレスのハンドピースタイプに構成されたものである。本光照射器1は、術者が歯科診療する際に手に持つ部分であるグリップ形状の光照射器本体2と、該光照射器本体2の先側部に着脱自在に装着された光照射用ヘッド3とより構成される。更に、光照射用ヘッド3は、ヘッド基部4と、該ヘッド基部の先端に装着された光照射用チップ5とよりなる。光照射器本体2の表面には、照射時間を設定する設定操作部21,22、設定された照射時間や残り照射時間或いは後記する電池26の残量等を表示する表示部23、及び照射の開始や停止操作を行う照射操作部24が設けられている。また、光照射器本体2の内部には、図5に示すように、照射制御部25及び給電部としての電池(電源部)26が内蔵されている。電池26は充電式であり、不図示の充電器に設置されている時に、無接点受電部26aより充電がなされる。これらによって電気制御部20が構成される。
【0025】
図2に示すように、前記光照射器本体2の先側部には、光照射用ヘッド3が光照射器本体2の軸線L0方向に沿った相互の差し込みによって着脱自在に装着されている。この着脱自在な装着部分にはフリクション手段(不図示)が介在され、所定の力が付加されないと着脱ができないようになされている。光照射用ヘッド3のヘッド基部4は、光照射器本体2の先側部に着脱自在に装着されるヘッド基部本体部40と、該ヘッド基部本体部40の先側に一体に固着連接された先側部分41とよりなり、該先側部分41には後記する光照射用チップ5が一体に装着されている。光照射器本体2の先側部には、前記照射制御部25に電気的に接続された雌形の給電コネクタ端子27が前記軸線L0方向に沿うように設けられている。一方、光照射用ヘッド3のヘッド基部4には、雄形の受電コネクタ端子42が光照射用ヘッド3の軸線L1に沿うように設けられ、光照射用ヘッド3を光照射器本体2の先側部に装着した時には、両端子27,42の電気的接合がなされる。前記光照射用ヘッド3の軸線L1は、先側に向かう途中で図2の紙面では上向きに湾曲しているが、光照射器本体2に対する装着部では、光照射器本体2の軸線L0と整合している。前記ヘッド基部本体部40内には、給電中継部43が設置され、該給電中継部43は前記受電コネクタ端子42に電気的に結線されている。また、該給電中継部43には、後記する光源用導線61が接続されている。
【0026】
図例の光照射器本体2は、高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッド(不図示)が着脱可能とされており、前記電気制御部20はこのような高出力(例えば、500mA)の光源に給電し得る容量の給電部を備えたものとされている。然るに、後記する光源6は、低出力(例えば、30mA)のLEDからなり、その為、前記給電中継部43は、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備え(以下、給電中継部を光源駆動回路と言う)、該光源駆動回路43によって電流の調整がなされ、低出力の光源6に対して適正な給電がなされるように構成されている。前記光照射用ヘッド3と光照射器2との着脱自在な装着部には、図示を省略する識別手段(例えば、光照射用ヘッド毎に特定される接続端子等)が設けられており、この識別手段によって、装着された光照射用ヘッドが低出力の光源6を備える光照射用ヘッド3であると判定された時には、前記電気制御部20は、光源駆動回路43をして、低出力の光源6に対して適正な給電がなされるよう電流を調整制御する。
【0027】
前記光照射用チップ5は、断面円形の金属製細管からなる細長部材7と、該細長部材7の先端部に取付けられたLEDからなる光源6と、該光源6に接続され且つ前記細長部材7内に挿通された状態で細長部材7の後端部に及ぶよう添装された光源用導線61とよりなる。前記光照射用チップ5は、前記細長部材7をして、前記ヘッド基部4の先側部分41に対し、前記先側部分41の中央部に前記軸線L1に同心に形成された貫通孔41aに挿入固着一体とされている。これによって、前記細長部材7の軸線L2が光照射用ヘッド3の前記軸線L1に整合する状態とされる。細長部材7の先側部分41に対する挿入固着一体状態では、その挿入端(後端部)が前記ヘッド基部本体部40内に及び、前記光源用導線61はこの細長部材7の後端部から導出されて前記光源駆動回路43に電気的に結線されている。光源6は、前記のように、0.9×0.9mm角程度の微小な角型LEDからなり、図3に示すように、細長部材7の先端部内に接着剤71によって固着一体とされ、その光軸が前記細長部材7の軸線L2方向に沿い且つ細長部材7の前方に向くよう位置付けられている。該LED(光源)6の背面には基板60が固定され、前記光源用導線61はこの基板60を介して前記LED6に電気的に接続されている。
【0028】
前記細長部材7は、図2及び図4に示すように全長に亘り同径の中空円筒形細管からなり、その長手方向(前記軸線L2方向)に沿った1箇所で、図2では紙面下向きに屈曲された形状とされている。細長部材7の外径Dは、0.6〜2mmで臨床的に使用可能とされ、診療対象が2mm程度の内径を有する空洞状である狭隘な部位に挿入し得るように設定されている。細長部材7の外径Dが0.6mm未満の場合は、前記のような微小なLED6でも細長部材7の先端部に取付けることが難しくなり、また、2mmを超えると、診療対象を歯牙とした場合、根管の根尖部にまで光源を近づけることが難しくなる。歯牙の根尖部にまで支障なく光源6を近付け、根尖部をより的確に照射するようにする為には、前記Dは1.6mm以下で可能な限り細いことが望ましい。細長部材7の外径DがLED(光源)6を収容できないほど小さいものであれば、収容せずに細長部材7の軸線L2方向端面外部にLED(光源)6を露出させて接着することで、LED(光源)6を搭載すればよい。
【0029】
前記のような構成の光照射器1を歯科の照射診療に使用する場合について略述する。図6は、歯牙(診療対象)Tの根管(狭隘な箇所)T1内に前記光照射用チップ5を挿入し、光源6を根尖部T2の近傍部にまで至らせた状態を示している。根管T1は空洞形状で、通常その切削拡大後の根管上部の内径は2〜3mm程度であり、その下端に根尖部T2が歯肉側に開口し、その開口径は0.3mm程度である。従って、光照射用チップ5の細長部材7の外径Dを1.6mm以下とすると、図のように光源6を根尖部T2の近傍部にまで至らせることができる。そして、前記のように光照射用ヘッド3の軸線L1が途中で湾曲し、更に、光照射用チップ5がその長手方向に沿った1箇所で屈曲した非直線状の形状(1本の直線が所定の角度で曲げられている形状)とされているから、このような歯牙Tの狭隘な根管T1内への光照射用チップ5の挿入操作がし易く、しかも視野の妨げとなることがない。光照射用チップ5は、1箇所に限らず、2個所以上で湾曲した形状とすれば、更に挿入の操作性が向上し、使用目的に応じて適正な湾曲箇所数を設定することができる。
【0030】
図6に示すような歯牙Tの根管T1の照射診療としては、根管T1に充填された光硬化樹脂の硬化処置、励起光の照射による蛍光診断(齲蝕等の有無判断)、光殺菌処置等が実施される。これらの診療には、それぞれの診療目的に適した波長の光を発するLEDが採用される。例えば、光重合処置用には波長が470±20nmの光を発するLEDが、蛍光診断用には波長が405±10nmの光を発するLEDが、光殺菌処置用には波長が405±10nmの光を発するLEDが採用される。これら波長特性や出力特性の異なるLEDをそれぞれ取付けた光照射用ヘッド3を複数準備し、診療目的に応じて光照射本体2に対して適宜選択装着して使用される。従って、光照射用ヘッド3と光照射本体2との着脱自在な装着部には、前記と同様に、これらを識別する識別手段(不図示)が設けられており、この識別手段による種別判断情報に基づき、装着された光照射用ヘッド3が備えるLED6の波長特性等に応じて、前記電気制御部20は、当該LED6に対して適正な給電がなされるよう電流を調整制御する。
【0031】
照射診療に際して、術者は光照射本体2を把持し、光照射用チップ5をその先端部より根管T1内に挿入する。そして、設定操作部21,22によって表示部23を見ながら照射時間を設定した上で照射操作部24を操作してLED6の発光を開始させ、表示部23で残りの照射時間を確認しながら目的の診療部位を照射する。残りの照射時間がなくなったことを確認して、照射操作部24を操作しLED6の発光を停止させる。この場合、各照射診療態様に応じた適正な照射時間を予め登録しておき、術者によって照射操作部24が操作されLED6の発光が開始された後は、前記照射制御部25がこの登録情報、特に術者が選択した照射時間に基づき自動的に発光を停止させるよう構成しても良い。使用しない待機状態の時、或いは表示部23に表示される電池残量が少なくなったことを確認した際は、光照射器本体2の基部側を下にして不図示の充電器に設置され、この間無接点受電部26aより電池26の充電がなされる。尚、無接点受電部26aに代え、有接点の受電部とすることはもとより可能である。また、設定操作部や表示部を別体の制御ボックス(不図示)に設け、このボックスとの間で無線或いは有線でデータ通信を行うよう構成しても良い。
【0032】
図6に示すような照射診療においては、LED6からの光が目的診療部位に対して至近位置で直接照射される。本図の例はあくまで一例であって、根管中部まで重合剤が充填され、その近傍位置で光が照射される使用例もあるが、ここでは特に、本願発明の特徴を明確にするため、便宜上根尖付近でLED6からの光を根尖位置まで照射する図を示している。この場合、ムラのない照射が可能とされて、光重合樹脂の重合不足や殺菌不足が生じず極めて精度の高い光照射診療が可能となると共に、光量の減衰が殆どなく、低出力のLED6であっても、効率的な光照射が可能となる。
尚、図6では、根管T1の上端開口部より光照射用チップ5を挿入し、LED6が根尖T2に臨むように配置した例を示しているが、歯牙Tの側部に形成される破切線(不図示)に沿って光照射用チップ5を動かしながら照射するようにしても良い。光重合樹脂の硬化処置に使用する場合は、これによって、よりムラのない光硬化が可能となる。また、図6に示す歯周ポケットT3に光照射用チップ5をその先端部より挿入して、歯周ポケットT3内の照射診療に使用することも可能である。
【0033】
励起光の照射による蛍光診断の場合、歯牙Tの根管T1のように狭隘な部位での蛍光像を直接視認することは極めて難しい。従って、このような診療目的に対しては、前記LED6の近傍にCCD等の撮像手段(不図示)を配置し、この撮像手段による撮像情報(電気信号)を光照射用ヘッド3内を電送し、前記電気的制御部20から外部のモニタディスプレイ(不図示)等に無線又は有線で送信してこのモニタディスプレイ等によって蛍光像を観察し得るように構成しても良い。この場合、LED6の近傍には受光部(不図示)を配置し、光照射用ヘッド3内に導光体(不図示)を配設して、受光部で受光した蛍光像を導光体で導光させて光照射器本体2内に設置される撮像手段に結像させて、前記と同様に外部のモニタディスプレイ等に送信させるようにしても良い。
【0034】
図7は、前記光照射ヘッド3の他の実施形態を示す部分破断分解縦断面図である。この実施形態の光照射ヘッド3は、ヘッド基部4の先側部分41がヘッド基部本体部40に対して着脱自在に連接され、更に、先側部分41に対して光照射用チップ5が着脱自在に装着されている。図例では、先側部分41とヘッド基部本体部40との結合関係、及び、先側部分41と光照射用チップ5との結合関係のいずれもが着脱自在とされているが、どちらか一方が一体固定関係で他方が着脱自在とされていてもよい。図示のように、ヘッド基部本体部40の先端に対し先側部分41がフリクション手段(図示省略)を介したいんろう嵌合構造によって、前記軸線L1方向に沿った着脱が可能とされている。また、光照射用チップ5が、前記先側部分41に対し、その貫通孔41aに、細長部材7をして密嵌的に挿脱可能とされている。細長部材7の後端部には、前記光源用導線61に電気的に接続された雄形の受電コネクタ端子61aが設けられ、一方前記光源駆動回路43の先側端部には該光源駆動回路43の出力端に電気的に接続された雌形の給電コネクタ端子43aが搭載されている。
【0035】
従って、光照射用チップ5を前記貫通孔41aに挿入して先側部分41に装着した状態で、先側部分41をヘッド基部本体部40に前記いんろう嵌合によって装着すると、受電コネクタ端子61a及び給電コネクタ端子43aが電気的に接合されて、光照射用ヘッド3が構成される。この場合、先に先側部分41をヘッド基部本体部40に装着した上で、光照射用チップ5を先側部分41に装着することはもとより可能である。このように、光照射用チップ5及び先側部分41を個々に着脱自在とすることにより、波長特性等の異なるLED6を備えた光照射用チップ5を複数準備して、診療態様に応じた適宜選択使用による多様な診療が可能となる。また、光照射用チップ5が毀損した場合の交換や、光照射用チップ5及び先側部分41の滅菌消毒等のメンテナンスにも好適となる。
尚、先側部分41とヘッド基部本体部40との着脱自在な接続構造は、図例のようないんろう嵌合構造によるものの他、例えば、ねじ式の接続構造であっても良い。但し、光照射用チップ5と先側部分41が一体固定関係の場合は、軸心L1回りの捻回を伴うような接続構造は、受電コネクタ端子61aと給電コネクタ端子43aとの接合が不可となる為適さない。
【0036】
図8は、図3に対応する部分の変形例を示す。この例では、光源(LED)6が、前記金属製細管からなる細長部材7の先端より少許後退した位置の内部に取付けられ、且つこの後退により形成される細長部材7の先端部の空間部に透光性部材62が装着されている。透光性部材62は樹脂又はガラスからなり、前記少許後退の程度(後退深さ)はこの透孔性部材62の厚さに略適合するよう設定される。図例では、LED6、基板60及び透孔性部材62はいずれも接着剤71によって、細長部材7の先端部内に固着一体とされている。このように、LED6の表面(出光面)が透孔性部材62によって被覆されて保護されるから、例えば、歯周ポケットT3(図6参照)内に押圧しながら光照射用チップ5を挿入するように使用しても、LED6が損耗するようなことがない。
【0037】
図9は、図3に対応する部分の他の変形例を示す。この例では、金属製細管からなる細長部材7の先端部内面とLED6及び基板60との間に円筒形の外套部材63を介在させて、この外套部材63に細長部材7をかしめることによって、LED6及び基板60を細長部材7の先端部に取付け固定するようにしている。外套部材63は、LED6及び基板60を外嵌一体に保持し、そのLED6の出光面側は該出光面と面一となるよう外嵌され、その反出光面側は基板60より突出するような円筒形状とされている。この突出部63aの内径は基板60の外径より小とされると共に、突出部の外周部には周溝63bが形成されている。外套部材63に外嵌一体に保持されたLED6及び基板60は、細長部材7の先端部からLED6の出光面が細長部材7の先端より少許後退する位置になるよう、細長部材7に挿入され、前記周溝63bの位置で、細長部材7を外方から周溝63b内に陥入させるようかしめることによって細長部材7の先端部内に固定される。細長部材7の周溝63bに対応する位置には、周溝63bに倣ってかしめ凹部72が形成される。このようなかしめによる取付構造を採用することにより、LED6の取付けが簡易化されると共に、かしめによるLED6の毀損も防ぐことができる。そして、前記少許後退により形成される細長部材7の先端部の空間部には、透光性部材62が接着剤71により細長部材7の内面に装着固定されている。この透光性部材62により、前記と同様にLED6の保護が図られる。
【0038】
図10(a)〜(f)は、図4に対応する部分の種々の変形例を示す。(a)に示す例では、細長部材7が、中空円筒形で、その長手方向全体に亘るスリット73を備えている。このスリット73の幅は光源用導線61の外径よりやや大とされ、光源用導線61がこのスリット73より細長部材7の内筒部に配設される。(b)〜(e)に示す例では、細長部材7が中実の樹脂製円筒部材からなる。(b)の例では、光源用導線61が細長部材7に埋設され、(c)(d)に示す例では、細長部材7の周面にその長手方向全体に亘る断面角形及びV形の凹溝74,74´がそれぞれ形成され、これらの凹溝74,74´内にそれぞれ2本の光源用導線61が配設されている。(e)に示す例では、細長部材7の直径方向の対向位置の周面に長手方向全体に亘る断面角形(半円形であっても良い)の2本の小凹溝75,75が形成され、各小凹溝75,75に光源用導線61が1本ずつ配設されている。(f)に示す例では、中空円筒形の細長部材7が、その基部側(後端部側)において内筒部を開口する切欠部76を備え、光源用導線61は、この切欠部76より挿通されて細長部材7の内筒部内に配設されている。これらの各例は、光照射用チップ5の組立性や圧延・切削加工にかかるコスト等を勘案して適宜選択採用される。
【0039】
図11(a)(b)(c)は、図4に対応する部分の他の実施形態の種々の例を示す。これらの例は、いずれも、前記円筒形の細長部材7に代え、断面形状が方形の中空体からなる細長部材8としている点で前記の例と異なる。図例では長方形である例を示しているが、正方形であっても良い。この方形の1辺の長さdは、0.6〜2mmであることが望ましく、その臨界的意義は、断面が円形の場合の外径Dにおける前記の意義と同様である。(a)に示す例では、断面方形の1辺が存在しない凹形形状とされている。光源用導線61は、この凹形の開口部81より細長部材8内に配設されている。(b)に示す例では、細長部材8の一面に長手方向全体に亘るスリット82が形成され、該スリット82の幅は光源用導線61の外径よりやや大とされている。光源用導線61はこのスリット82より細長部材8内に配設されている。(c)に示す例では、(a)に示す例における断面凹形状の開口部81より、光源用導線61を細長部材8内に配設した後、蓋体83で閉塞するようにしている。これらの各例は、光照射用チップ5の組立性やコスト等を勘案して適宜選択採用される。また、断面円形の細長部材の先端部分のみをLED6の形状に合わせて断面方形としても良い。このようにすれば、LED6が取付けられる先端部のデッドスペースを少なくすることができ、その他の部分が断面円形であることにより、外力に抗する耐屈曲強度を保つことができる。
【0040】
断面が円形の細長部材7の場合は、上述のように耐屈曲強度が得られ、一方、断面が方形の細長部材8の場合は、湾曲加工がし易く、これによって取扱性を高めることができるメリットがあり、これらは、製品仕様、加工コスト、診療目的等に対する適合性等を勘案して適宜選択採用される。
【0041】
尚、実施形態では光源6としてLEDを採用した例について述べたが、その他の微小な光源も採用可能である。また、本発明の光照射器1の使用例として、診療対象を歯牙Tとした例について述べたが、耳鼻科、産婦人科、内科、外科等を診療対象とし、その狭隘な箇所に挿入して内部を照射するよう使用することも可能である。更に、光源用導線61を細長部材7,8内に沿わせて添装した例について述べたが、その外面に沿って添装しても良い。加えて、光源を細長部材7の先端部内に取付けた例について述べたが、細長部材7の先端から一部が突出するよう先端部内に取付けても良いし、先端面や先端部の外周面に貼着するよう取付けても良い。また、光照射器1は、電池26を給電部とするコードレスタイプのものを例示したが、商用電源を用いる有線タイプのものであっても良く、更には、光照射器本体1の基部側に他の機能部分(例えば、スケーラ等)を設け、キュレットタイプの歯科用インスツルメントとして構成することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 光照射器
2 光照射器本体
20 電気制御部
26 電池(給電部)
3 光照射用ヘッド
4 ヘッド基部
40 ヘッド基部本体部
41 先側部分
43 給電中継部
5 光照射用チップ
6 LED(光源)
61 光源用導線
62 透孔部材
7 細長部材(断面円形)
8 細長部材(断面方形)
D 細長部材(断面円形)の外径
d 細長部材(断面方形)の1辺の長さ
L1 ヘッド基部の軸線
T 歯牙(診療対象)
T1 根管(狭隘な箇所)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射用チップ、光照射用ヘッド及びこれらを構成部材として備える医療用の光照射器に関し、更に詳しくは、歯牙の根管や歯周ポケット等のように診療対象の狭隘な箇所に挿入して、当該狭隘箇所の光照射を行うことができる医療用の光照射器とその構成部材としての光照射用チップ及び光照射用ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯牙の根管や歯周ポケット等のように狭隘な部位を光照射することは、斯かる部位の診療に極めて有効である。このように、歯牙の狭隘な部位にまで光照射し得るようにした先行技術としては、特許文献1〜4に開示された技術を挙げることができる。特許文献1には、基端側がレーザ光を生成する手段(発光源)に接続された光ファイバを根管内に挿入し、光ファイバで導光されたレーザ光を根管内に充填された感光性物質に照射しこれを活性化させて根管を閉塞する技術が開示されている。特許文献2には、ライトガイド(光照射装置)の先端に装着された光照射補助チップを、歯牙の窩洞(根管)に充填された光硬化性レジンに挿入し、この補助チップよりレジンに光照射して光重合させる技術が開示されている。特許文献3には、光源部材と導光部材(アタッチメント)とを着脱自在に装着し得るヘッド部を有する歯科用光照射器が開示されている。そして、本特許文献3には、前記アタッチメントとして、広範囲照明用、狭範囲照明用、根管内照明用のアッタチメントが準備され、これらを選択使用し得るよう構成されている点が記載されている。更に、特許文献4には、ベースハンドルに光源を内蔵するアタッチメントを介してライトガイドが装着され、このライトガイドの先側部分が歯周用プローブとされた歯科用機器が開示されている(Fig.3B,Fig.4D及び0085欄の記載参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−525072号公報
【特許文献2】特開2003−310641号公報
【特許文献3】特開2004−321422号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0017416号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、特許文献1〜4には、歯牙の根管や歯周ポケット等のように狭隘な部位を光照射するという技術思想が開示されている。しかし、これらは共通して、光源からの光をライトガイド或いはこれに相当するもの(集光部材等も含む)を介して導光して目的部位に照射するよう構成されており、光源を目的部位の至近位置に配して直接照射するものではない。このように、ライトガイド等を介して導光する場合は、光の照射ムラや光量の減衰が生じることは不可避であり、特にライトガイドを介在させる場合は、ライトガイドへの入光量の限界やライトガイドの伝送効率の為、光量の減衰は40〜50%にも及ぶ。従って、照射端において充分な光量を得るには、容量の大きな光源を用いる必要があり、これに伴い光源及び付随する関連機器が大型化され、あるいは消費電力が大きなものとなる。特に歯科用や耳鼻科用等の光照射器においては、光源やその関連機器は、ハンドピースタイプのグリップ部等に内蔵され、その為グリップ部等も自ずと大型化され、その取扱適性を低下させる要因となっていた。そのうえ、ライトガイドは通常、樹脂やファイバ、ガラス材が原材料であるため、小径のライトガイドは強度が低く実用的でなく、実用化されていない。
【0005】
特許文献4のFig.2A,2B,2Cには、前記ベースハンドルの反対側に装着されるパイプ状の部材(ENCLOSURE)の先端に青色LEDを設けた歯科用光重合照射器が示されている(0064〜0070欄の記載も参照)。しかし、このパイプ状の部材は、歯牙の根管や歯周ポケット等のように狭隘な部位に挿入し得るような細径のものではなく、歯牙の表面に光源を近接させて、光重合樹脂を硬化させるべく使用されるものと解される。
【0006】
本発明は、前記に鑑みなされたものであり、診療対象の狭隘な箇所に挿入可能で、且つ照射ムラや光量の減衰の懸念がない光照射用チップ、これを備えた光照射用ヘッド及びこれらをアセンブリした医療用の光照射器を提供することを目的とする。特に、治療用レーザ照射チップに内蔵された光ファイバのようなライトガイドによることなく、照射対象領域に光を照射するための機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明に係る光照射用チップは、診療対象の狭隘な箇所に挿入可能な細長部材と、前記細長部材の先端部に取付けられた光源と、前記光源に接続され且つ前記細長部材にその後端部に及ぶよう添装された光源用導線とよりなることを特徴とする。
【0008】
本発明の光照射用チップにおいて、前記細長部材の断面形状は、円形であってその外径が0.6mm〜2mmであり、或いは、方形であってその1辺の長さが0.6mm〜2mmであることが望ましい。ここで、外径や1辺の長さが2mm程度であれば、根管の入り口である根管口へ、隣接歯に妨げられることなくあてがうことができ、従来の光照射器に比べて近接した位置から光を根管内へ直接照射できる。さらに径が細くなれば、根管口から根管内まで光源自体を挿入でき、より望ましい。
【0009】
また、本発明の光照射用チップにおいて、前記光源が、前記細長部材の先端より少許後退した位置の内部に取付けられ、且つこの後退により形成される細長部材の先端部の空間部に透光性部材が装着されているものとしても良い。更に、前記細長部材が、その長手方向に沿った少なくとも1箇所で湾曲する非直線状の形状とされているものとしても良い。ここでいう湾曲とは、細長部材がその全体に亘って湾曲している場合はもとより、局部的に屈曲しているような、線分と線分、及びその間の角度の組み合わせにより湾曲している形状を含む。
【0010】
第二の発明に係る光照射用ヘッドは、給電中継部を内蔵するヘッド基部と、前記ヘッド基部の先端に、前記給電中継部と前記光源用導線とが電気的接続状態で装着された前記のいずれかの光照射用チップとよりなることを特徴とする。
【0011】
本発明の光照射用ヘッドにおいて、前記光照射用チップが、前記ヘッド基部の先端に着脱自在に装着されているものとしても良い。また、前記ヘッド基部が、前記光照射用チップが装着される先側部分と、前記給電中継部が内蔵されるヘッド基部本体部とよりなり、前記先側部分が前記ヘッド基部本体部に対して着脱自在に連接されているものとしても良い。更に、前記ヘッド基部が、その軸線が途中で湾曲した形状とされているものとしても良い。
【0012】
第三の発明に係る光照射器は、給電部を含む電気制御部を内蔵するグリップ形状の光照射器本体と、前記光照射器本体の先側に装着された前記のいずれかの光照射用ヘッドとよりなることを特徴とする。
【0013】
本発明の光照射器において、前記光照射用ヘッドが、前記光照射器本体に対して着脱自在に装着され、この装着状態においては、前記光照射器本体の電気制御部と、前記ヘッド基部内の給電中継部とが電気的に接続されるようにしても良い。この場合、前記光照射器本体の前記電気制御部が、前記光源より高出力の光源に対応する能力を有し、前記光照射器本体の先側には前記高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドが着脱自在とされ、前記ヘッド基部に内蔵される給電中継部は、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えているよう構成しても良い。
【発明の効果】
【0014】
第一の発明に係る光照射用チップによれば、先端部に光源が取付けられた細長部材は、診療対象の狭隘な箇所に挿入可能とされているから、歯牙の根管や歯周ポケット等にもその先端部より挿入することができ、これによって光源をこれら狭隘な箇所にある診療対象部位の至近位置に臨ませることができる。また、前記細長部材には前記光源に接続され且つその後端部に及ぶ光源用導線が添装されているから、後記する第二発明に係る光照射用ヘッド、更には第三発明に係る光照射器の一構成部としてアセンブリした際には、光照射器の電気制御部に対して光照射ヘッドの給電中継部を介して電気的な接続がなされ、これによって光源の発光制御がなされる。光源としては、LEDが、小型であること、小型でありながら光量が大であること、寿命が長いこと等の点で望ましく採用される。特に、0.9×0.9mm角或いはそれ以下の寸法のLEDも実用化されており、本発明ではこのような微小なLEDが最も望ましく採用される。
【0015】
前記細長部材の断面形状は、円形又は方形であることが望ましく、円形の場合耐曲げ性に優れ、方形の場合は屈曲加工がし易いというメリットがある。断面が円形の細長部材の場合の外径は、0.6〜2mmとされる。0.6mm未満の場合は、前記のような微小なLEDでも細長部材の先端部に取付けることが難しくなり、また、2mmを超えると、診療対象を根管とした場合、根管の根尖部にまで光源を近づけることは難しく、根管口よりの照射程度の効果が期待できる程度である。また、断面が方形の細長部材の場合の1辺の長さは、0.6〜2mmとされる。この場合も同様に、0.6mm未満の場合は、前記のような微小なLEDでも細長部材の先端部に取付けることが難しくなり、また、2mmを超えると根管の内部に挿入して根尖部にまで光源を近づけることが難しくなる。
【0016】
前記細長部材が、その長手方向に沿った少なくとも1箇所で湾曲する非直線状の形状とされている場合、特に歯科診療においては、歯牙の根管や歯周ポケット等に挿入し易く、また、細長であることとも相俟って視野の妨げともならない。ここでいう湾曲とは、前述のとおり、細長部材がその全体に亘って湾曲している場合はもとより、局部的に屈曲しているような、線分と線分、及びその間の角度の組み合わせにより湾曲している形状を含む。これは、根管用のプラッガーやスプレッダー、或いはポケット探針のような、要所に直線形状を含むように本願発明の細長部材を形成すること含む。全体に亘って湾曲させることは、例えばレーザ照射チップであれば、光ファイバを内蔵しているため、やむをえなかった。ところが本願発明によれば、細径部材の先端まで光ファイバを設ける必要がないため、その形状に自由度があり、全体に亘る湾曲形状はもちろん、要所に直線形状を含むような屈曲形状にも構成し得る。
【0017】
第二の発明に係る光照射用ヘッドは、給電中継部を内蔵するヘッド基部の先端に、前記光照射用チップが装着されて構成される。この装着状態では、ヘッド基部内の前記給電中継部と前記光照射用チップの細長部材に添装される光源用導線とが電気的接続状態とされるから、該光照射用ヘッドを後記する第三発明に係る光照射器の一構成部としてアセンブリした際には、光照射器の電気制御部に対して光照射ヘッドの給電中継部を介して電気的な接続がなされ、これによって光源の発光制御がなされる。
【0018】
前記光照射用ヘッドにおいて、前記光照射用チップが、前記ヘッド基部の先端に着脱自在に装着されているものとすれば、光照射用チップが毀損した場合、診療目的に適した波長の光を発する光源を備えたものを選択使用したい場合、或いは、滅菌消毒を行う場合等において、光照射用チップのみを取外してその作業を実行することができる。特に、毀損した場合等におけるランニングコストを抑えることができ、ユーザにとっての実益は大である。また、診療目的に適した波長の光を発する光源を備えたものを選択使用することができることにより、例えば、光重合樹脂の硬化に適した波長(470±20nm)の光を発する光源を備えたもの、照射対象を励起して蛍光を発光させる励起光(405±10nm)を発する光源を備えたもの、或いは、光そのものが殺菌効果を有する光や殺菌剤の活性化に適した光など、光殺菌に適した波長(405±10nmや630±30nm)の光を発する光源を備えたもの等を準備しておき、これらを選択使用することにより多様な診療態様に対応させることができ極めて有用である。
【0019】
また、前記光照射ヘッドにおいて、前記ヘッド基部が、前記光照射用チップが装着される先側部分と、前記給電中継部が内蔵されるヘッド基部本体部とよりなり、前記先側部分が前記ヘッド基部本体部に対して着脱自在に連接されているものとした場合、ヘッド基部の先側部分をヘッド基部本体部に対して適宜交換着脱することにより、光照射チップのみを交換着脱する場合と同様の効果が得られる。そして、前記ヘッド基部が、その軸線が途中で湾曲した形状とされていることとした場合、光照射チップの前記湾曲形状との適宜組合せにより、その操作性の一層の向上を図ることができる。
【0020】
第三の発明に係る光照射器によれば、給電部を含む電気制御部を内蔵するグリップ形状の光照射器本体と、この光照射器本体の先側に装着された前記いずれかの光照射用ヘッドとよりなるから、グリップ形状の光照射器本体を把持し、光照射用ヘッドの光照射用チップを診療対象の狭隘な箇所に挿入して、光照射用チップの先端部に設けられる光源から診療対象部位に直接光照射することができる。この場合、光源からの光はライトガイドや光学部材(集光部材等)等を介さず、診療対象部位に対して至近位置より照射されるから、照射ムラが生じず、極めて精度の高い光照射診療が可能となる。また、光量の減衰が生じず、低容量の光源であっても効率的な光照射が可能となり、光源及びこれの関連機器が小型化され、細長部材を歯牙の根管等の狭隘な部位へ挿入し得るよう構成することができると共に、機器全体がコンパクト化され、取扱性の向上も図ることができる。
【0021】
また、前記光照射器において、光照射用ヘッドが、前記光照射器本体に対して着脱自在に装着され、この装着状態においては、前記光照射器本体の電気制御部と、前記ヘッド基部内の給電中継部とが電気的に接続されるよう構成すれば、光照射器本体の電気制御部と光照射用チップの先端部に設けられる光源への給電系が、光照射器本体に対して光照射用ヘッドを装着するだけで確立される。また、光照射用ヘッドが光照射器本体に対して着脱自在とされていることにより、前記と同様にメンテナンスに便利であり、診療態様に応じた適宜使い分け等も可能となる。
【0022】
この場合、前記光照射器本体の前記電気制御部が、前記光源より高出力の光源に対応する能力を有し、前記光照射器本体の先側には前記高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドが着脱自在とされており、前記ヘッド基部に内蔵される給電中継部が、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えている場合、診療対象の広域部分を光照射したい場合は、高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドを装着することによって、診療対象の広い部分に光照射して周辺部分の状態の確認や治療等に使用することができる。そして、前記光照射チップを備える光照射ヘッドに付け替えて、目的の狭隘な部位への光照射を行うようにすれば、目的部位への光照射を的確に行うことができる。しかも、前記チップ基部に内蔵される給電中継部が、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えているので、装着された光照射ヘッドの種類の識別手段を付加すれば、それぞれに応じた給電系が確立される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の光照射器の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】同光照射器の部分破断部分縦断分解平面図である。
【図3】図2におけるX線部の拡大図である。
【図4】図2におけるY−Y線矢視部から見た斜視図である。
【図5】同光照射器の制御ブロック図である。
【図6】同光照射器の使用例を示す模式図である。
【図7】同光照射器における光照射ヘッドの他の実施形態を示す部分破断分解縦断面図である。
【図8】図3に対応する部分の変形例を示す図3と同様図である。
【図9】図3に対応する部分の他の変形例を示す図3と同様図である。
【図10】(a)〜(f)は、図4に対応する部分の種々の変形例を示す図4と同様図である。
【図11】(a)(b)(c)は、図4に対応する部分の他の実施形態の種々の例を示す図4と同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の光照射用チップ、光照射用ヘッド及びこれらをアセンブリして構成される光照射器の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態としての光照射器の全体構成を示す斜視図である。図1に示す光照射器1は、主に歯牙の根管や歯周ポケット内を照射し得るコードレスのハンドピースタイプに構成されたものである。本光照射器1は、術者が歯科診療する際に手に持つ部分であるグリップ形状の光照射器本体2と、該光照射器本体2の先側部に着脱自在に装着された光照射用ヘッド3とより構成される。更に、光照射用ヘッド3は、ヘッド基部4と、該ヘッド基部の先端に装着された光照射用チップ5とよりなる。光照射器本体2の表面には、照射時間を設定する設定操作部21,22、設定された照射時間や残り照射時間或いは後記する電池26の残量等を表示する表示部23、及び照射の開始や停止操作を行う照射操作部24が設けられている。また、光照射器本体2の内部には、図5に示すように、照射制御部25及び給電部としての電池(電源部)26が内蔵されている。電池26は充電式であり、不図示の充電器に設置されている時に、無接点受電部26aより充電がなされる。これらによって電気制御部20が構成される。
【0025】
図2に示すように、前記光照射器本体2の先側部には、光照射用ヘッド3が光照射器本体2の軸線L0方向に沿った相互の差し込みによって着脱自在に装着されている。この着脱自在な装着部分にはフリクション手段(不図示)が介在され、所定の力が付加されないと着脱ができないようになされている。光照射用ヘッド3のヘッド基部4は、光照射器本体2の先側部に着脱自在に装着されるヘッド基部本体部40と、該ヘッド基部本体部40の先側に一体に固着連接された先側部分41とよりなり、該先側部分41には後記する光照射用チップ5が一体に装着されている。光照射器本体2の先側部には、前記照射制御部25に電気的に接続された雌形の給電コネクタ端子27が前記軸線L0方向に沿うように設けられている。一方、光照射用ヘッド3のヘッド基部4には、雄形の受電コネクタ端子42が光照射用ヘッド3の軸線L1に沿うように設けられ、光照射用ヘッド3を光照射器本体2の先側部に装着した時には、両端子27,42の電気的接合がなされる。前記光照射用ヘッド3の軸線L1は、先側に向かう途中で図2の紙面では上向きに湾曲しているが、光照射器本体2に対する装着部では、光照射器本体2の軸線L0と整合している。前記ヘッド基部本体部40内には、給電中継部43が設置され、該給電中継部43は前記受電コネクタ端子42に電気的に結線されている。また、該給電中継部43には、後記する光源用導線61が接続されている。
【0026】
図例の光照射器本体2は、高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッド(不図示)が着脱可能とされており、前記電気制御部20はこのような高出力(例えば、500mA)の光源に給電し得る容量の給電部を備えたものとされている。然るに、後記する光源6は、低出力(例えば、30mA)のLEDからなり、その為、前記給電中継部43は、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備え(以下、給電中継部を光源駆動回路と言う)、該光源駆動回路43によって電流の調整がなされ、低出力の光源6に対して適正な給電がなされるように構成されている。前記光照射用ヘッド3と光照射器2との着脱自在な装着部には、図示を省略する識別手段(例えば、光照射用ヘッド毎に特定される接続端子等)が設けられており、この識別手段によって、装着された光照射用ヘッドが低出力の光源6を備える光照射用ヘッド3であると判定された時には、前記電気制御部20は、光源駆動回路43をして、低出力の光源6に対して適正な給電がなされるよう電流を調整制御する。
【0027】
前記光照射用チップ5は、断面円形の金属製細管からなる細長部材7と、該細長部材7の先端部に取付けられたLEDからなる光源6と、該光源6に接続され且つ前記細長部材7内に挿通された状態で細長部材7の後端部に及ぶよう添装された光源用導線61とよりなる。前記光照射用チップ5は、前記細長部材7をして、前記ヘッド基部4の先側部分41に対し、前記先側部分41の中央部に前記軸線L1に同心に形成された貫通孔41aに挿入固着一体とされている。これによって、前記細長部材7の軸線L2が光照射用ヘッド3の前記軸線L1に整合する状態とされる。細長部材7の先側部分41に対する挿入固着一体状態では、その挿入端(後端部)が前記ヘッド基部本体部40内に及び、前記光源用導線61はこの細長部材7の後端部から導出されて前記光源駆動回路43に電気的に結線されている。光源6は、前記のように、0.9×0.9mm角程度の微小な角型LEDからなり、図3に示すように、細長部材7の先端部内に接着剤71によって固着一体とされ、その光軸が前記細長部材7の軸線L2方向に沿い且つ細長部材7の前方に向くよう位置付けられている。該LED(光源)6の背面には基板60が固定され、前記光源用導線61はこの基板60を介して前記LED6に電気的に接続されている。
【0028】
前記細長部材7は、図2及び図4に示すように全長に亘り同径の中空円筒形細管からなり、その長手方向(前記軸線L2方向)に沿った1箇所で、図2では紙面下向きに屈曲された形状とされている。細長部材7の外径Dは、0.6〜2mmで臨床的に使用可能とされ、診療対象が2mm程度の内径を有する空洞状である狭隘な部位に挿入し得るように設定されている。細長部材7の外径Dが0.6mm未満の場合は、前記のような微小なLED6でも細長部材7の先端部に取付けることが難しくなり、また、2mmを超えると、診療対象を歯牙とした場合、根管の根尖部にまで光源を近づけることが難しくなる。歯牙の根尖部にまで支障なく光源6を近付け、根尖部をより的確に照射するようにする為には、前記Dは1.6mm以下で可能な限り細いことが望ましい。細長部材7の外径DがLED(光源)6を収容できないほど小さいものであれば、収容せずに細長部材7の軸線L2方向端面外部にLED(光源)6を露出させて接着することで、LED(光源)6を搭載すればよい。
【0029】
前記のような構成の光照射器1を歯科の照射診療に使用する場合について略述する。図6は、歯牙(診療対象)Tの根管(狭隘な箇所)T1内に前記光照射用チップ5を挿入し、光源6を根尖部T2の近傍部にまで至らせた状態を示している。根管T1は空洞形状で、通常その切削拡大後の根管上部の内径は2〜3mm程度であり、その下端に根尖部T2が歯肉側に開口し、その開口径は0.3mm程度である。従って、光照射用チップ5の細長部材7の外径Dを1.6mm以下とすると、図のように光源6を根尖部T2の近傍部にまで至らせることができる。そして、前記のように光照射用ヘッド3の軸線L1が途中で湾曲し、更に、光照射用チップ5がその長手方向に沿った1箇所で屈曲した非直線状の形状(1本の直線が所定の角度で曲げられている形状)とされているから、このような歯牙Tの狭隘な根管T1内への光照射用チップ5の挿入操作がし易く、しかも視野の妨げとなることがない。光照射用チップ5は、1箇所に限らず、2個所以上で湾曲した形状とすれば、更に挿入の操作性が向上し、使用目的に応じて適正な湾曲箇所数を設定することができる。
【0030】
図6に示すような歯牙Tの根管T1の照射診療としては、根管T1に充填された光硬化樹脂の硬化処置、励起光の照射による蛍光診断(齲蝕等の有無判断)、光殺菌処置等が実施される。これらの診療には、それぞれの診療目的に適した波長の光を発するLEDが採用される。例えば、光重合処置用には波長が470±20nmの光を発するLEDが、蛍光診断用には波長が405±10nmの光を発するLEDが、光殺菌処置用には波長が405±10nmの光を発するLEDが採用される。これら波長特性や出力特性の異なるLEDをそれぞれ取付けた光照射用ヘッド3を複数準備し、診療目的に応じて光照射本体2に対して適宜選択装着して使用される。従って、光照射用ヘッド3と光照射本体2との着脱自在な装着部には、前記と同様に、これらを識別する識別手段(不図示)が設けられており、この識別手段による種別判断情報に基づき、装着された光照射用ヘッド3が備えるLED6の波長特性等に応じて、前記電気制御部20は、当該LED6に対して適正な給電がなされるよう電流を調整制御する。
【0031】
照射診療に際して、術者は光照射本体2を把持し、光照射用チップ5をその先端部より根管T1内に挿入する。そして、設定操作部21,22によって表示部23を見ながら照射時間を設定した上で照射操作部24を操作してLED6の発光を開始させ、表示部23で残りの照射時間を確認しながら目的の診療部位を照射する。残りの照射時間がなくなったことを確認して、照射操作部24を操作しLED6の発光を停止させる。この場合、各照射診療態様に応じた適正な照射時間を予め登録しておき、術者によって照射操作部24が操作されLED6の発光が開始された後は、前記照射制御部25がこの登録情報、特に術者が選択した照射時間に基づき自動的に発光を停止させるよう構成しても良い。使用しない待機状態の時、或いは表示部23に表示される電池残量が少なくなったことを確認した際は、光照射器本体2の基部側を下にして不図示の充電器に設置され、この間無接点受電部26aより電池26の充電がなされる。尚、無接点受電部26aに代え、有接点の受電部とすることはもとより可能である。また、設定操作部や表示部を別体の制御ボックス(不図示)に設け、このボックスとの間で無線或いは有線でデータ通信を行うよう構成しても良い。
【0032】
図6に示すような照射診療においては、LED6からの光が目的診療部位に対して至近位置で直接照射される。本図の例はあくまで一例であって、根管中部まで重合剤が充填され、その近傍位置で光が照射される使用例もあるが、ここでは特に、本願発明の特徴を明確にするため、便宜上根尖付近でLED6からの光を根尖位置まで照射する図を示している。この場合、ムラのない照射が可能とされて、光重合樹脂の重合不足や殺菌不足が生じず極めて精度の高い光照射診療が可能となると共に、光量の減衰が殆どなく、低出力のLED6であっても、効率的な光照射が可能となる。
尚、図6では、根管T1の上端開口部より光照射用チップ5を挿入し、LED6が根尖T2に臨むように配置した例を示しているが、歯牙Tの側部に形成される破切線(不図示)に沿って光照射用チップ5を動かしながら照射するようにしても良い。光重合樹脂の硬化処置に使用する場合は、これによって、よりムラのない光硬化が可能となる。また、図6に示す歯周ポケットT3に光照射用チップ5をその先端部より挿入して、歯周ポケットT3内の照射診療に使用することも可能である。
【0033】
励起光の照射による蛍光診断の場合、歯牙Tの根管T1のように狭隘な部位での蛍光像を直接視認することは極めて難しい。従って、このような診療目的に対しては、前記LED6の近傍にCCD等の撮像手段(不図示)を配置し、この撮像手段による撮像情報(電気信号)を光照射用ヘッド3内を電送し、前記電気的制御部20から外部のモニタディスプレイ(不図示)等に無線又は有線で送信してこのモニタディスプレイ等によって蛍光像を観察し得るように構成しても良い。この場合、LED6の近傍には受光部(不図示)を配置し、光照射用ヘッド3内に導光体(不図示)を配設して、受光部で受光した蛍光像を導光体で導光させて光照射器本体2内に設置される撮像手段に結像させて、前記と同様に外部のモニタディスプレイ等に送信させるようにしても良い。
【0034】
図7は、前記光照射ヘッド3の他の実施形態を示す部分破断分解縦断面図である。この実施形態の光照射ヘッド3は、ヘッド基部4の先側部分41がヘッド基部本体部40に対して着脱自在に連接され、更に、先側部分41に対して光照射用チップ5が着脱自在に装着されている。図例では、先側部分41とヘッド基部本体部40との結合関係、及び、先側部分41と光照射用チップ5との結合関係のいずれもが着脱自在とされているが、どちらか一方が一体固定関係で他方が着脱自在とされていてもよい。図示のように、ヘッド基部本体部40の先端に対し先側部分41がフリクション手段(図示省略)を介したいんろう嵌合構造によって、前記軸線L1方向に沿った着脱が可能とされている。また、光照射用チップ5が、前記先側部分41に対し、その貫通孔41aに、細長部材7をして密嵌的に挿脱可能とされている。細長部材7の後端部には、前記光源用導線61に電気的に接続された雄形の受電コネクタ端子61aが設けられ、一方前記光源駆動回路43の先側端部には該光源駆動回路43の出力端に電気的に接続された雌形の給電コネクタ端子43aが搭載されている。
【0035】
従って、光照射用チップ5を前記貫通孔41aに挿入して先側部分41に装着した状態で、先側部分41をヘッド基部本体部40に前記いんろう嵌合によって装着すると、受電コネクタ端子61a及び給電コネクタ端子43aが電気的に接合されて、光照射用ヘッド3が構成される。この場合、先に先側部分41をヘッド基部本体部40に装着した上で、光照射用チップ5を先側部分41に装着することはもとより可能である。このように、光照射用チップ5及び先側部分41を個々に着脱自在とすることにより、波長特性等の異なるLED6を備えた光照射用チップ5を複数準備して、診療態様に応じた適宜選択使用による多様な診療が可能となる。また、光照射用チップ5が毀損した場合の交換や、光照射用チップ5及び先側部分41の滅菌消毒等のメンテナンスにも好適となる。
尚、先側部分41とヘッド基部本体部40との着脱自在な接続構造は、図例のようないんろう嵌合構造によるものの他、例えば、ねじ式の接続構造であっても良い。但し、光照射用チップ5と先側部分41が一体固定関係の場合は、軸心L1回りの捻回を伴うような接続構造は、受電コネクタ端子61aと給電コネクタ端子43aとの接合が不可となる為適さない。
【0036】
図8は、図3に対応する部分の変形例を示す。この例では、光源(LED)6が、前記金属製細管からなる細長部材7の先端より少許後退した位置の内部に取付けられ、且つこの後退により形成される細長部材7の先端部の空間部に透光性部材62が装着されている。透光性部材62は樹脂又はガラスからなり、前記少許後退の程度(後退深さ)はこの透孔性部材62の厚さに略適合するよう設定される。図例では、LED6、基板60及び透孔性部材62はいずれも接着剤71によって、細長部材7の先端部内に固着一体とされている。このように、LED6の表面(出光面)が透孔性部材62によって被覆されて保護されるから、例えば、歯周ポケットT3(図6参照)内に押圧しながら光照射用チップ5を挿入するように使用しても、LED6が損耗するようなことがない。
【0037】
図9は、図3に対応する部分の他の変形例を示す。この例では、金属製細管からなる細長部材7の先端部内面とLED6及び基板60との間に円筒形の外套部材63を介在させて、この外套部材63に細長部材7をかしめることによって、LED6及び基板60を細長部材7の先端部に取付け固定するようにしている。外套部材63は、LED6及び基板60を外嵌一体に保持し、そのLED6の出光面側は該出光面と面一となるよう外嵌され、その反出光面側は基板60より突出するような円筒形状とされている。この突出部63aの内径は基板60の外径より小とされると共に、突出部の外周部には周溝63bが形成されている。外套部材63に外嵌一体に保持されたLED6及び基板60は、細長部材7の先端部からLED6の出光面が細長部材7の先端より少許後退する位置になるよう、細長部材7に挿入され、前記周溝63bの位置で、細長部材7を外方から周溝63b内に陥入させるようかしめることによって細長部材7の先端部内に固定される。細長部材7の周溝63bに対応する位置には、周溝63bに倣ってかしめ凹部72が形成される。このようなかしめによる取付構造を採用することにより、LED6の取付けが簡易化されると共に、かしめによるLED6の毀損も防ぐことができる。そして、前記少許後退により形成される細長部材7の先端部の空間部には、透光性部材62が接着剤71により細長部材7の内面に装着固定されている。この透光性部材62により、前記と同様にLED6の保護が図られる。
【0038】
図10(a)〜(f)は、図4に対応する部分の種々の変形例を示す。(a)に示す例では、細長部材7が、中空円筒形で、その長手方向全体に亘るスリット73を備えている。このスリット73の幅は光源用導線61の外径よりやや大とされ、光源用導線61がこのスリット73より細長部材7の内筒部に配設される。(b)〜(e)に示す例では、細長部材7が中実の樹脂製円筒部材からなる。(b)の例では、光源用導線61が細長部材7に埋設され、(c)(d)に示す例では、細長部材7の周面にその長手方向全体に亘る断面角形及びV形の凹溝74,74´がそれぞれ形成され、これらの凹溝74,74´内にそれぞれ2本の光源用導線61が配設されている。(e)に示す例では、細長部材7の直径方向の対向位置の周面に長手方向全体に亘る断面角形(半円形であっても良い)の2本の小凹溝75,75が形成され、各小凹溝75,75に光源用導線61が1本ずつ配設されている。(f)に示す例では、中空円筒形の細長部材7が、その基部側(後端部側)において内筒部を開口する切欠部76を備え、光源用導線61は、この切欠部76より挿通されて細長部材7の内筒部内に配設されている。これらの各例は、光照射用チップ5の組立性や圧延・切削加工にかかるコスト等を勘案して適宜選択採用される。
【0039】
図11(a)(b)(c)は、図4に対応する部分の他の実施形態の種々の例を示す。これらの例は、いずれも、前記円筒形の細長部材7に代え、断面形状が方形の中空体からなる細長部材8としている点で前記の例と異なる。図例では長方形である例を示しているが、正方形であっても良い。この方形の1辺の長さdは、0.6〜2mmであることが望ましく、その臨界的意義は、断面が円形の場合の外径Dにおける前記の意義と同様である。(a)に示す例では、断面方形の1辺が存在しない凹形形状とされている。光源用導線61は、この凹形の開口部81より細長部材8内に配設されている。(b)に示す例では、細長部材8の一面に長手方向全体に亘るスリット82が形成され、該スリット82の幅は光源用導線61の外径よりやや大とされている。光源用導線61はこのスリット82より細長部材8内に配設されている。(c)に示す例では、(a)に示す例における断面凹形状の開口部81より、光源用導線61を細長部材8内に配設した後、蓋体83で閉塞するようにしている。これらの各例は、光照射用チップ5の組立性やコスト等を勘案して適宜選択採用される。また、断面円形の細長部材の先端部分のみをLED6の形状に合わせて断面方形としても良い。このようにすれば、LED6が取付けられる先端部のデッドスペースを少なくすることができ、その他の部分が断面円形であることにより、外力に抗する耐屈曲強度を保つことができる。
【0040】
断面が円形の細長部材7の場合は、上述のように耐屈曲強度が得られ、一方、断面が方形の細長部材8の場合は、湾曲加工がし易く、これによって取扱性を高めることができるメリットがあり、これらは、製品仕様、加工コスト、診療目的等に対する適合性等を勘案して適宜選択採用される。
【0041】
尚、実施形態では光源6としてLEDを採用した例について述べたが、その他の微小な光源も採用可能である。また、本発明の光照射器1の使用例として、診療対象を歯牙Tとした例について述べたが、耳鼻科、産婦人科、内科、外科等を診療対象とし、その狭隘な箇所に挿入して内部を照射するよう使用することも可能である。更に、光源用導線61を細長部材7,8内に沿わせて添装した例について述べたが、その外面に沿って添装しても良い。加えて、光源を細長部材7の先端部内に取付けた例について述べたが、細長部材7の先端から一部が突出するよう先端部内に取付けても良いし、先端面や先端部の外周面に貼着するよう取付けても良い。また、光照射器1は、電池26を給電部とするコードレスタイプのものを例示したが、商用電源を用いる有線タイプのものであっても良く、更には、光照射器本体1の基部側に他の機能部分(例えば、スケーラ等)を設け、キュレットタイプの歯科用インスツルメントとして構成することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 光照射器
2 光照射器本体
20 電気制御部
26 電池(給電部)
3 光照射用ヘッド
4 ヘッド基部
40 ヘッド基部本体部
41 先側部分
43 給電中継部
5 光照射用チップ
6 LED(光源)
61 光源用導線
62 透孔部材
7 細長部材(断面円形)
8 細長部材(断面方形)
D 細長部材(断面円形)の外径
d 細長部材(断面方形)の1辺の長さ
L1 ヘッド基部の軸線
T 歯牙(診療対象)
T1 根管(狭隘な箇所)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療対象の狭隘な箇所に挿入可能な細長部材と、
前記細長部材の先端部に取付けられた光源と、
前記光源に接続され且つ前記細長部材にその後端部に及ぶよう添装された光源用導線とよりなることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射用チップにおいて、
前記細長部材の断面形状が円形であり、その外径が0.6mm〜2mmであることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項3】
請求項1に記載の光照射用チップにおいて、
前記細長部材の断面形状が方形であり、その1辺の長さが0.6mm〜2mmであることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光照射用チップにおいて、
前記光源が、前記細長部材の先端より少許後退した位置の内部に取付けられ、且つこの後退により形成される細長部材の先端部の空間部に透光性部材が装着されていることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光照射用チップにおいて、
前記細長部材が、その長手方向に沿った少なくとも1箇所で湾曲する非直線状の形状とされていることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項6】
給電中継部を内蔵するヘッド基部と、
前記ヘッド基部の先端に、前記給電中継部と前記光源用導線とが電気的接続状態で装着された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光照射用チップとよりなることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項7】
請求項6に記載の光照射用ヘッドにおいて、
前記光照射用チップが、前記ヘッド基部の先端に着脱自在に装着されていることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の光照射用ヘッドにおいて、
前記ヘッド基部が、前記光照射用チップが装着される先記側部分と、前記給電中継部が内蔵されるヘッド基部本体部とよりなり、前記先側部分が前記ヘッド基部本体部に対して着脱自在に連接されていることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の光照射用ヘッドにおいて、
前記ヘッド基部は、その軸線が途中で湾曲した形状とされていることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項10】
給電部を含む電気制御部を内蔵するグリップ形状の光照射器本体と、
前記光照射器本体の先側に装着された請求項6乃至9のいずれか1項に記載の光照射用ヘッドとよりなることを特徴とする光照射器。
【請求項11】
請求項10に記載の光照射器において、
前記光照射用ヘッドが、前記光照射器本体に対して着脱自在に装着され、この装着状態においては、前記光照射器本体の電気制御部と、前記ヘッド基部内の給電中継部とが電気的に接続されることを特徴とする光照射器。
【請求項12】
請求項11に記載の光照射器において、
前記光照射器本体の前記電気制御部が、前記光源より高出力の光源に対応する能力を有し、前記光照射器本体の先側には前記高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドが着脱自在とされ、前記チップ基部に内蔵される給電中継部は、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えていることを特徴とする光照射器。
【請求項1】
診療対象の狭隘な箇所に挿入可能な細長部材と、
前記細長部材の先端部に取付けられた光源と、
前記光源に接続され且つ前記細長部材にその後端部に及ぶよう添装された光源用導線とよりなることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射用チップにおいて、
前記細長部材の断面形状が円形であり、その外径が0.6mm〜2mmであることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項3】
請求項1に記載の光照射用チップにおいて、
前記細長部材の断面形状が方形であり、その1辺の長さが0.6mm〜2mmであることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光照射用チップにおいて、
前記光源が、前記細長部材の先端より少許後退した位置の内部に取付けられ、且つこの後退により形成される細長部材の先端部の空間部に透光性部材が装着されていることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光照射用チップにおいて、
前記細長部材が、その長手方向に沿った少なくとも1箇所で湾曲する非直線状の形状とされていることを特徴とする光照射用チップ。
【請求項6】
給電中継部を内蔵するヘッド基部と、
前記ヘッド基部の先端に、前記給電中継部と前記光源用導線とが電気的接続状態で装着された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光照射用チップとよりなることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項7】
請求項6に記載の光照射用ヘッドにおいて、
前記光照射用チップが、前記ヘッド基部の先端に着脱自在に装着されていることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の光照射用ヘッドにおいて、
前記ヘッド基部が、前記光照射用チップが装着される先記側部分と、前記給電中継部が内蔵されるヘッド基部本体部とよりなり、前記先側部分が前記ヘッド基部本体部に対して着脱自在に連接されていることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の光照射用ヘッドにおいて、
前記ヘッド基部は、その軸線が途中で湾曲した形状とされていることを特徴とする光照射用ヘッド。
【請求項10】
給電部を含む電気制御部を内蔵するグリップ形状の光照射器本体と、
前記光照射器本体の先側に装着された請求項6乃至9のいずれか1項に記載の光照射用ヘッドとよりなることを特徴とする光照射器。
【請求項11】
請求項10に記載の光照射器において、
前記光照射用ヘッドが、前記光照射器本体に対して着脱自在に装着され、この装着状態においては、前記光照射器本体の電気制御部と、前記ヘッド基部内の給電中継部とが電気的に接続されることを特徴とする光照射器。
【請求項12】
請求項11に記載の光照射器において、
前記光照射器本体の前記電気制御部が、前記光源より高出力の光源に対応する能力を有し、前記光照射器本体の先側には前記高出力の光源を備える高出力光照射用ヘッドが着脱自在とされ、前記チップ基部に内蔵される給電中継部は、電流可変機能を奏する光源駆動回路を備えていることを特徴とする光照射器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−135973(P2011−135973A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296808(P2009−296808)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
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