説明

光照射装置、基板処理装置および光照射装置の制御方法

【課題】低消費電力化を実現しつつ基板の処理効率の低下を抑制可能な光照射装置、基板処理装置および光照射装置の制御方法を提供する。
【解決手段】エッジ露光部においては、エッジ露光処理として基板の周縁部の露光処理が行われる。エッジ露光部は、基板の周縁部を露光する露光用光の露光用光源を備える。露光用光源には、ランプ駆動部から電力が供給される。ランプ駆動部は制御部により制御される。制御部は、基板にエッジ露光処理を行うエッジ露光処理期間に通常モードを設定する。通常モードにおいては、露光用光源に第1の電力PW1が供給される。制御部は、エッジ露光処理期間を除く非処理期間に省電力モードを設定する。省電力モードにおいては、露光用光源に第1の電力PW1よりも小さい第2の電力PW2が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の処理を行う光照射装置、基板処理装置および光照射装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板または光ディスク用ガラス基板等の各種基板の製造工程におけるフォトリソグラフィー工程では、最初に、基板の主面全体にレジストが塗布される。続いて、基板上に形成されたレジスト膜が所定のパターンで露光される。その後、露光処理が施された基板に現像処理が行われることにより、基板上にレジストパターンが形成される。
【0003】
上記のように、レジスト塗布処理後の基板には、基板の主面全体にレジスト膜が形成される。基板上のレジスト膜の周縁部が基板搬送時に基板搬送ロボットの保持部に接触すると、レジスト膜の一部が基板から剥離され、パーティクルとなって浮遊する。パーティクルの発生を防止するため、基板上のレジスト膜の周縁部を予め除去する処理が行われる。
【0004】
例えば、レジスト塗布処理後の基板が回転する状態で、基板上のレジスト膜の周縁部が露光される(エッジ露光処理)。その後、エッジ露光処理後の基板に現像処理が行われる。これにより、基板上のレジスト膜の周縁部が除去される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−253552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の基板処理システムはスピンナを備える。スピンナには、塗布処理ユニットおよび現像処理ユニットとともにエッジ露光ユニットが設けられる。スピンナにおいては、塗布処理ユニットにより基板の主面に均一にレジストが塗布される。レジスト膜が形成された基板がエッジ露光ユニットに搬送される。
【0007】
エッジ露光ユニットは、基板にエッジ露光処理を施すための基板回転機構およびエッジ露光装置を備える。また、エッジ露光装置はエッジ露光用光源および露光ヘッド部を備える。
【0008】
エッジ露光ユニットにおいて、エッジ露光処理時には、基板が基板回転機構により略水平姿勢で保持される。この状態で基板が回転する。エッジ露光用光源により発生された露光用光が、露光ヘッド部を通して回転する基板の周縁部(エッジ領域)に照射される。これにより、基板上に形成されたレジスト膜の周縁部が露光される。続いて、パターン露光装置において、基板上のレジスト膜が所定のパターンで露光される。その後、スピンナの現像処理ユニットにおいて、基板に現像処理が施される。
【0009】
上記のエッジ露光ユニットにおいては、エッジ露光用光源が、実際に基板の露光が行われる時間帯のみ発光し、基板の露光が行われない時間帯(基板の搬出入の時間帯等)に消灯する。この場合、エッジ露光用光源に供給する電力を低減することができる。
【0010】
上記のエッジ露光用光源としては水銀ランプが用いられる。水銀ランプにおいては、アーク放電により得られる光が露光用光として用いられる。そのため、安定した露光用光を得るためには、アーク放電を安定化させるための始動時間が必要となる。水銀ランプが発光および消灯を繰り返す場合、始動時間により基板の処理効率が低下する。
【0011】
本発明の目的は、低消費電力化を実現しつつ基板の処理効率の低下を抑制可能な光照射装置、基板処理装置および光照射装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第1の発明に係る光照射装置は、基板に光を照射する照射処理を行う光照射装置であって、基板に照射処理を行うための光を発生する光源と、光源に電力を供給する電力供給部と、基板に照射処理を行う照射処理期間に第1の電力が光源に供給されるように電力供給部を制御し、照射処理期間を除く非処理期間に第1の電力よりも小さい第2の電力が光源に供給されるように電力供給部を制御する制御部とを備えるものである。
【0013】
その光照射装置においては、照射処理期間に、電力供給部から光源に第1の電力が供給されることにより、光源から発生された光により基板に照射処理が行われる。照射処理が行われない非処理期間においては、電力供給部から光源に第1の電力よりも小さい第2の電力が供給される。それにより、非処理期間において、光源の消費電力が低減される。また、非処理期間に光源が消灯しない。したがって、光源の温度が常温よりも高い温度で維持される。それにより、非処理期間から照射処理期間への移行時に、光源の出力を安定化するために長い始動時間を設ける必要がなくなる。
【0014】
これらの結果、低消費電力化を実現しつつ基板の処理効率の低下を抑制することが可能となる。
【0015】
(2)光照射装置は、光源を冷却するための冷却装置をさらに備え、制御部は、照射処理期間に冷却装置を第1の冷却能力で動作させ、非処理期間に冷却装置を第1の冷却能力よりも低い第2の冷却能力で動作させてもよい。
【0016】
この場合、照射処理期間に冷却装置が第1の冷却能力で動作することにより、第1の電力により発光する光源の温度が過剰に高くなることが防止される。それにより、光源の出力が安定化されるので、精度よく照射処理を行うことが可能となる。
【0017】
一方、非処理期間では、照射処理期間に比べて光源の発熱量が低下する。そのため、非処理期間に冷却装置が第1の冷却能力よりも小さい第2の冷却能力で動作する。それにより、非処理期間における光源の温度を照射処理期間における光源の温度よりも低くかつ常温よりも高く維持することが可能となる。したがって、非処理期間から照射処理期間への移行時に、光源の出力を安定化するために長い始動時間を設ける必要がなくなる。
【0018】
(3)制御部は、非処理期間から照射処理期間へ移行するための移行期間に第2の電力よりも大きい第3の電力が光源に供給されるように電力供給部を制御するとともに、冷却装置を第2の冷却能力よりも低い第3の冷却能力で動作させてもよい。
【0019】
非処理期間における光源の発熱量は、照射処理期間における光源の発熱量に比べて小さい。そのため、非処理期間における光源の温度も照射処理期間における光源の温度に比べて低い。
【0020】
移行期間では、光源に第2の電力よりも大きい第3の電力が供給されることにより、非処理期間に比べて光源の発熱量が高くなる。このとき、冷却装置が第2の冷却能力よりも低い第3の冷却能力で動作する。これにより、移行期間においては、光源の温度が短時間で上昇する。その結果、移行期間を短く設定することができるので、基板の処理効率の低下を確実に防止することが可能となる。
【0021】
(4)照射処理期間は、少なくとも一つのロットの複数の基板に照射処理が行なわれる期間を含み、照射処理期間に光源の温度または光源の周囲の温度が実質的に一定に維持されるように、移行期間の開始時点が設定されてもよい。
【0022】
この場合、照射処理期間において、光源の出力が一定に維持される。したがって、ロット単位で全ての基板に精度よく照射処理を行うことができる。
【0023】
(5)第2の発明に係る基板処理装置は、基板に処理を行う基板処理装置であって、基板上に感光性膜を形成する感光性膜形成ユニットと、感光性膜形成ユニットによる感光性膜形成後の基板に照射処理として露光処理を行う第1の発明に係る光照射装置とを備えるものである。
【0024】
その基板処理装置においては、感光性膜形成ユニットにより、基板上に感光性膜が形成される。また、光照射装置により、感光性膜形成後の基板に照射処理として露光処理が行われる。これにより、基板処理装置における低消費電力化を実現しつつ基板の処理効率の低下を抑制することが可能となる。
【0025】
(6)光照射装置は、基板上に形成された感光性膜の周縁部を露光するように構成されてもよい。
【0026】
この場合、感光性膜の周縁部が露光された基板に現像処理を行うことにより、基板上に形成された感光性膜の周縁部が除去される。それにより、現像処理後において、基板の周縁部が他の部分と接触した場合に、基板の周縁部上の感光性膜が剥離してパーティクルとなることが防止される。
【0027】
(7)第3の発明に係る光照射装置の制御方法は、基板に照射処理を行うための光を発生する光源を含む光照射装置の制御方法であって、基板に照射処理を行う照射処理期間に第1の電力が光源に供給されるように電力供給部を制御するステップと、照射処理期間を除く非処理期間に第1の電力よりも小さい第2の電力が光源に供給されるように電力供給部を制御するステップとを備えたものである。
【0028】
その光照射装置の制御方法においては、照射処理期間に、電力供給部から光源に第1の電力が供給されることにより、光源から発生された光により基板に照射処理が行われる。照射処理が行われない非処理期間においては、電力供給部から光源に第1の電力よりも小さい第2の電力が供給される。それにより、非処理期間において、光源の消費電力が低減される。また、非処理期間に光源が消灯しない。したがって、光源の温度が常温よりも高い温度で維持される。それにより、非処理期間から照射処理期間への移行時に、光源の出力を安定化するために長い始動時間を設ける必要がなくなる。
【0029】
これらの結果、低消費電力化を実現しつつ基板の処理効率の低下を抑制することが可能となる。
【0030】
(8)光照射装置の制御方法は、照射処理期間に光源を冷却する冷却装置を第1の冷却能力で動作させるステップと、非処理期間に冷却装置を第1の冷却能力よりも低い第2の冷却能力で動作させるステップとをさらに備えてもよい。
【0031】
この場合、照射処理期間に冷却装置が第1の冷却能力で動作することにより、第1の電力により発光する光源の温度が過剰に高くなることが防止される。それにより、光源の出力が安定化されるので、精度よく照射処理を行うことが可能となる。
【0032】
一方、非処理期間では、照射処理期間に比べて光源の発熱量が低下する。そのため、非処理期間に冷却装置が第1の冷却能力よりも小さい第2の冷却能力で動作する。それにより、非処理期間における光源の温度を照射処理期間における光源の温度よりも低くかつ常温よりも高く維持することが可能となる。したがって、非処理期間から照射処理期間への移行時に、光源の出力を安定化するために長い始動時間を設ける必要がなくなる。
【0033】
(9)光照射装置の制御方法は、非処理期間から照射処理期間へ移行するための移行期間に第2の電力よりも大きい第3の電力が光源に供給されるように電力供給部を制御するステップと、移行期間に冷却装置を第2の冷却能力よりも低い第3の冷却能力で動作させるステップとをさらに備えてもよい。
【0034】
非処理期間における光源の発熱量は、照射処理期間における光源の発熱量に比べて小さい。そのため、非処理期間における光源の温度も照射処理期間における光源の温度に比べて低い。
【0035】
移行期間では、光源に第2の電力よりも大きい第3の電力が供給されることにより、非処理期間に比べて光源の発熱量が高くなる。このとき、冷却装置が第2の冷却能力よりも低い第3の冷却能力で動作する。これにより、移行期間においては、光源の温度が短時間で上昇する。その結果、移行期間を短く設定することができるので、基板の処理効率の低下を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、低消費電力化を実現しつつ基板の処理効率の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理システムの模式的平面図である。
【図2】主として図1の塗布処理部、塗布現像処理部および洗浄乾燥処理部を示す基板処理システムの一方側面図である。
【図3】主として図1の熱処理部および洗浄乾燥処理部を示す基板処理システムの他方側面図である。
【図4】主として図1の塗布処理部、搬送部および熱処理部を示す側面図である。
【図5】主として図1の搬送部を示す側面図である。
【図6】搬送機構を示す斜視図である。
【図7】洗浄乾燥処理ブロックの内部構成を示す図である。
【図8】エッジ露光部の露光ユニットの一側面を模式的に示す図である。
【図9】エッジ露光部の露光ユニットの他の側面を模式的に示す図である。
【図10】エッジ露光部の光源ユニットの構成を示す模式的縦断面図である。
【図11】主としてエッジ露光部の各構成要素と図1の制御部との関係を示すブロック図である。
【図12】図1の制御部によるエッジ露光部の一制御例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態に係る光照射装置、基板処理装置および光照射装置の制御方法について図面を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等をいう。本実施の形態では、光照射装置の一例として、基板の周縁部の露光処理を行うエッジ露光部を説明する。
【0039】
(1)基板処理システムの構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理システムの模式的平面図である。
【0040】
図1および図2以降の所定の図には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。なお、各方向において矢印が向かう方向を+方向、その反対の方向を−方向とする。
【0041】
図1に示すように、基板処理システム1000は、基板処理装置100およびホストコンピュータ800を備える。
【0042】
基板処理装置100は、インデクサブロック11、第1の処理ブロック12、第2の処理ブロック13、洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bを備える。洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bにより、インターフェイスブロック14が構成される。搬入搬出ブロック14Bに隣接するように露光装置15が配置される。露光装置15においては、液浸法により基板Wに露光処理が行われる。
【0043】
図1に示すように、インデクサブロック11は、複数のキャリア載置部111および搬送部112を含む。各キャリア載置部111には、複数の基板Wを多段に収納するキャリア113が載置される。本実施の形態においては、キャリア113としてFOUP(front opening unified pod)を採用しているが、これに限定されず、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドまたは収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)等を用いてもよい。
【0044】
搬送部112には、制御部114および搬送機構115が設けられる。制御部114は、基板処理装置100の種々の構成要素を制御する。また、制御部114は、有線通信または無線通信によりホストコンピュータ800に接続されている。制御部114とホストコンピュータ800との間で種々のデータの送受信が行われる。
【0045】
搬送機構115は、基板Wを保持するためのハンド116を有する。搬送機構115は、ハンド116により基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する。また、後述の図5に示すように、搬送部112には、キャリア113と搬送機構115との間で基板Wを受け渡すための開口部117が形成される。
【0046】
搬送部112の側面には、メインパネルPNが設けられる。メインパネルPNは、制御部114に接続されている。ユーザは、基板処理装置100における基板Wの処理状況等をメインパネルPNで確認することができる。
【0047】
メインパネルPNの近傍には、例えばキーボードからなる操作部90(後述の図11参照)が設けられている。ユーザは、操作部90(図11)を操作することにより、基板処理装置100の動作設定等を行うことができる。
【0048】
第1の処理ブロック12は、塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123を含む。塗布処理部121および熱処理部123は、搬送部122を挟んで対向するように設けられる。搬送部122とインデクサブロック11との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS1および後述する基板載置部PASS2〜PASS4(図5参照)が設けられる。搬送部122には、基板Wを搬送する搬送機構127および後述する搬送機構128(図5参照)が設けられる。
【0049】
第2の処理ブロック13は、塗布現像処理部131、搬送部132および熱処理部133を含む。塗布現像処理部131および熱処理部133は、搬送部132を挟んで対向するように設けられる。搬送部132と搬送部122との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS5および後述する基板載置部PASS6〜PASS8(図5参照)が設けられる。搬送部132には、基板Wを搬送する搬送機構137および後述する搬送機構138(図5参照)が設けられる。第2の処理ブロック13内において、熱処理部133とインターフェイスブロック14との間にはパッキン145が設けられる。
【0050】
洗浄乾燥処理ブロック14Aは、洗浄乾燥処理部161,162および搬送部163を含む。洗浄乾燥処理部161,162は、搬送部163を挟んで対向するように設けられる。搬送部163には、搬送機構141,142が設けられる。
【0051】
搬送部163と搬送部132との間には、載置兼バッファ部P−BF1および後述の載置兼バッファ部P−BF2(図5参照)が設けられる。載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2は、複数の基板Wを収容可能に構成される。
【0052】
また、搬送機構141,142の間において、搬入搬出ブロック14Bに隣接するように、基板載置部PASS9および後述の載置兼冷却部P−CP(図5参照)が設けられる。載置兼冷却部P−CPは、基板Wを冷却する機能(例えば、クーリングプレート)を備える。載置兼冷却部P−CPにおいて、基板Wが露光処理に適した温度に冷却される。
【0053】
搬入搬出ブロック14Bには、搬送機構146が設けられる。搬送機構146は、露光装置15に対する基板Wの搬入および搬出を行う。露光装置15には、基板Wを搬入するための基板搬入部15aおよび基板Wを搬出するための基板搬出部15bが設けられる。なお、露光装置15の基板搬入部15aおよび基板搬出部15bは、水平方向に隣接するように配置されてもよく、または上下に配置されてもよい。
【0054】
(2)塗布処理部および現像処理部の構成
図2は、主として図1の塗布処理部121、塗布現像処理部131および洗浄乾燥処理部161を示す基板処理システム1000の一方側面図である。
【0055】
図2に示すように、塗布処理部121には、塗布処理室21,22,23,24が階層的に設けられる。各塗布処理室21〜24には、塗布処理ユニット129が設けられる。塗布現像処理部131には、現像処理室31,33および塗布処理室32,34が階層的に設けられる。各現像処理室31,33には、現像処理ユニット139が設けられ、各塗布処理室32,34には、塗布処理ユニット129が設けられる。
【0056】
各塗布処理ユニット129は、基板Wを保持するスピンチャック25およびスピンチャック25の周囲を覆うように設けられるカップ27を備える。本実施の形態においては、スピンチャック25およびカップ27は、各塗布処理ユニット129に2つずつ設けられる。スピンチャック25は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ)により回転駆動される。
【0057】
また、図1に示すように、各塗布処理ユニット129は、処理液を吐出する複数のノズル28およびそのノズル28を搬送するノズル搬送機構29を備える。
【0058】
塗布処理ユニット129においては、複数のノズル28のうちのいずれかのノズル28がノズル搬送機構29により基板Wの上方に移動される。そして、そのノズル28から処理液が吐出されることにより、基板W上に処理液が塗布される。なお、ノズル28から基板Wに処理液が供給される際には、図示しない駆動装置によりスピンチャック25が回転される。それにより、基板Wが回転される。
【0059】
本実施の形態においては、塗布処理室22,24の塗布処理ユニット129において、反射防止膜用の処理液がノズル28から基板Wに供給される。塗布処理室21,23の塗布処理ユニット129において、レジスト膜用の処理液がノズル28から基板Wに供給される。塗布処理室32,34の塗布処理ユニット129において、レジストカバー膜用の処理液がノズル28から基板Wに供給される。
【0060】
図2に示すように、現像処理ユニット139は、塗布処理ユニット129と同様に、スピンチャック35およびカップ37を備える。また、図1に示すように、現像処理ユニット139は、現像液を吐出する2つのスリットノズル38およびそのスリットノズル38をX方向に移動させる移動機構39を備える。
【0061】
現像処理ユニット139においては、まず、一方のスリットノズル38がX方向に移動しつつ各基板Wに現像液を供給する。その後、他方のスリットノズル38が移動しつつ各基板Wに現像液を供給する。なお、スリットノズル38から基板Wに現像液が供給される際には、図示しない駆動装置によりスピンチャック35が回転される。それにより、基板Wが回転される。
【0062】
本実施の形態では、現像処理ユニット139において基板Wに現像液が供給されることにより、基板W上のレジストカバー膜が除去されるとともに、基板Wの現像処理が行われる。また、本実施の形態においては、2つのスリットノズル38から互いに異なる現像液が吐出される。それにより、各基板Wに2種類の現像液を供給することができる。
【0063】
図2の例では、塗布処理ユニット129が2つのスピンチャック25および2つのカップ27を有し、現像処理ユニット139が3つのスピンチャック35および3つのカップ37を有するが、スピンチャック25,35およびカップ27,37の数はこれに限らず、任意に変更してもよい。
【0064】
洗浄乾燥処理部161には、複数(本例では4つ)の洗浄乾燥処理ユニットSD1が設けられる。洗浄乾燥処理ユニットSD1においては、露光処理前の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。
【0065】
洗浄乾燥処理ユニットSD1においては、ブラシ等を用いて基板Wの裏面、および基板Wの端部(ベベル部)のポリッシング処理を行ってもよい。ここで、基板Wの裏面とは、回路パターン等の各種パターンが形成される基板Wの面の反対側の面をいう。
【0066】
図2に示すように、塗布処理室21〜24,32,34において塗布処理ユニット129の上方には、塗布処理室21〜24,32,34内に温湿度調整された清浄な空気を供給するための給気ユニット41が設けられる。また、現像処理室31,33において現像処理ユニット139の上方には、現像処理室31,33内に温湿度調整された清浄な空気を供給するための給気ユニット47が設けられる。
【0067】
塗布処理室21〜24,32,34内において塗布処理ユニット129の下部には、カップ27内の雰囲気を排気するための排気ユニット42が設けられる。また、現像処理室31,33において現像処理ユニット139の下部には、カップ37内の雰囲気を排気するための排気ユニット48が設けられる。
【0068】
図1および図2に示すように、塗布処理部121において塗布現像処理部131に隣接するように流体ボックス部50が設けられる。同様に、塗布現像処理部131において洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接するように流体ボックス部60が設けられる。流体ボックス部50および流体ボックス部60内には、塗布処理ユニット129および現像処理ユニット139への薬液の供給ならびに塗布処理ユニット129および現像処理ユニット139からの排液および排気等に関する導管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調節器等の流体関連機器が収納される。
【0069】
(3)熱処理部の構成
図3は、主として図1の熱処理部123,133および洗浄乾燥処理部162を示す基板処理システム1000の他方側面図である。
【0070】
図3に示すように、熱処理部123は、上方に設けられる上段熱処理部301および下方に設けられる下段熱処理部302を有する。上段熱処理部301および下段熱処理部302には、複数の熱処理ユニットPHP、複数の密着強化処理ユニットPAHPおよび複数の冷却ユニットCPが設けられる。
【0071】
熱処理ユニットPHPにおいては、基板Wの加熱処理および冷却処理が行われる。密着強化処理ユニットPAHPにおいては、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理が行われる。具体的には、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板WにHMDS(ヘキサメチルジシラサン)等の密着強化剤が塗布されるとともに、基板Wに加熱処理が行われる。冷却ユニットCPにおいては、基板Wの冷却処理が行われる。
【0072】
熱処理部133は、上方に設けられる上段熱処理部303および下方に設けられる下段熱処理部304を有する。上段熱処理部303および下段熱処理部304には、冷却ユニットCP、複数の熱処理ユニットPHPおよびエッジ露光部EEWが設けられる。
【0073】
エッジ露光部EEWにおいては、基板Wの周縁部の露光処理(エッジ露光処理)が行われる。ここで、基板Wの周縁部とは、基板Wの表面において基板Wの外周端部に沿った一定幅の領域をいう。
【0074】
基板Wにエッジ露光処理が行われることにより、後の現像処理時に、基板Wの周縁部上のレジスト膜が除去される。それにより、現像処理後において、基板Wの周縁部が他の部分と接触した場合に、基板Wの周縁部上のレジスト膜が剥離してパーティクルとなることが防止される。
【0075】
以下、基板W上のレジスト膜を露光するために基板Wに照射される光を露光用光と呼ぶ。エッジ露光部EEWは、基板Wの周縁部を露光する露光用光の露光用光源612(後述する図10参照)として、例えば高圧水銀キセノンランプを備える。高圧水銀キセノンランプから発生される露光用光は、紫外線領域(例えば10nm以上400nm以下)の波長の光を含む。
【0076】
基板処理装置100が基板Wを処理可能な稼働状態(例えば、基板処理装置100の電源がオンされた状態)にある間、エッジ露光部EEWの露光用光源612には電力が供給される。したがって、本実施の形態では、基板処理装置100が稼働状態にある間、露光用光源612から常に露光用光が発生される。
【0077】
基板処理装置100による基板Wの処理は、所定数の基板Wからなるロット単位で行われる。例えば、図1の制御部114に一のロットの基板Wの一連の処理の開始が指令されることにより、一のロットの基板Wに主としてレジスト膜形成処理、レジストカバー膜形成処理、エッジ露光処理、洗浄乾燥処理、現像処理および熱処理を含む一連の処理が施される。その後、新たなロットの基板Wに前のロットの基板Wと同じまたは異なる条件で連続的に一連の処理が施される。
【0078】
本実施の形態では、一のロットの一番目の基板Wのエッジ露光処理が開始される時点から一のロットの最後の基板Wのエッジ露光処理が終了する時点までの期間をエッジ露光処理期間と呼ぶ。
【0079】
また、エッジ露光処理期間以外の期間のうち、エッジ露光処理期間に続く一部の期間を非処理期間と呼ぶ。さらに、エッジ露光処理期間以外の期間のうち、非処理期間から次のエッジ露光処理期間(新たなロットの基板Wがエッジ露光処理される期間)に移行するための期間を移行期間と呼ぶ。非処理期間および移行期間においては、エッジ露光処理は行われない。
【0080】
露光用光を発生する露光用光源612としては、上記の高圧水銀キセノンランプのように高出力の光源が用いられる。高出力の露光用光源612は、発光することにより発熱する。露光用光源612の温度およびその周辺の温度環境は、露光用光源612の出力に影響を及ぼす。そのため、露光用光源612から発生される露光用光の強さを安定化させるためには、露光用光源612の温度およびその周辺の温度環境も安定化させる必要がある。そこで、本実施の形態において、図1の制御部114は、エッジ露光処理期間に通常モードを設定し、非処理期間に省電力モードを設定し、移行期間に移行モードを設定する。
【0081】
通常モードにおいては、露光用光源612に後述の第1の電力PW1(図12)が供給される。また、露光用光源612が後述の第1の冷却能力PV1(図12)で冷却される。
【0082】
一方、省電力モードにおいては、露光用光源612に第1の電力PW1よりも小さい後述の第2の電力PW2(図12)が供給される。また、露光用光源612が第1の冷却能力PV1よりも小さい後述の第2の冷却能力PV2(図12)で冷却される。
【0083】
他方、移行モードにおいては、露光用光源612に後述の第1の電力PW1が供給される。また、露光用光源612が第1の冷却能力PV1および第2の冷却能力PV2よりも小さい後述の第3の冷却能力PV3(図12)で冷却される。本実施の形態において、第3の冷却能力PV3は0である。したがって、移行モードでは、露光用光源612は冷却されない。
【0084】
上記のように、露光用光源612には、エッジ露光処理期間であるか否かにかかわらず、基板処理装置100が稼働状態である間継続して電力が供給される。そのため、露光用光源612は、基板処理装置100の稼働状態である間消灯しない。また、非処理期間に省電力モードで露光用光源612に第1の電力PW1よりも小さい第2の電力PW2が供給される場合に、露光用光源612が第1の冷却能力PV1よりも小さい後述の第2の冷却能力PV2で冷却される。
【0085】
これにより、非処理期間に露光用光源612に供給される電力が小さくなる場合でも、非処理期間に露光用光源612の温度が著しく低くなることが防止される。したがって、一のエッジ露光処理期間の終了時点から所定時間経過後に次のエッジ露光処理期間が開始される場合に、露光用光源612の温度およびその周辺の温度環境を、短時間で安定化させることができる。すなわち、非処理期間から次のエッジ露光処理期間に移行するための移行期間を十分に短くすることができる。
【0086】
これらの結果、基板処理装置100における低消費電力化を実現しつつ基板処理装置100による基板Wの処理効率の低下を抑制することができる。エッジ露光部EEWの構成および動作の詳細については後述する。
【0087】
洗浄乾燥処理部162には、複数(本例では5つ)の洗浄乾燥処理ユニットSD2が設けられる。洗浄乾燥処理ユニットSD2においては、露光処理後の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。
【0088】
(4)搬送部の構成
(4−1)概略構成
図4は、主として図1の塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123を示す側面図である。図5は、主として図1の搬送部122,132,163を示す側面図である。
【0089】
図4および図5に示すように、搬送部122は、上段搬送室125および下段搬送室126を有する。搬送部132は、上段搬送室135および下段搬送室136を有する。
【0090】
上段搬送室125には搬送機構127が設けられ、下段搬送室126には搬送機構128が設けられる。また、上段搬送室135には搬送機構137が設けられ、下段搬送室136には搬送機構138が設けられる。
【0091】
図4に示すように、塗布処理室21,22と上段熱処理部301とは上段搬送室125を挟んで対向するように設けられ、塗布処理室23,24と下段熱処理部302とは下段搬送室126を挟んで対向するように設けられる。同様に、現像処理室31および塗布処理室32(図2)と上段熱処理部303(図3)とは上段搬送室135(図5)を挟んで対向するように設けられ、現像処理室33および塗布処理室34(図2)と下段熱処理部304(図3)とは下段搬送室136(図5)を挟んで対向するように設けられる。
【0092】
図5に示すように、搬送部112と上段搬送室125との間には、基板載置部PASS1,PASS2が設けられ、搬送部112と下段搬送室126との間には、基板載置部PASS3,PASS4が設けられる。上段搬送室125と上段搬送室135との間には、基板載置部PASS5,PASS6が設けられ、下段搬送室126と下段搬送室136との間には、基板載置部PASS7,PASS8が設けられる。
【0093】
上段搬送室135と搬送部163との間には、載置兼バッファ部P−BF1が設けられ、下段搬送室136と搬送部163との間には載置兼バッファ部P−BF2が設けられる。搬送部163において搬入搬出ブロック14Bと隣接するように、基板載置部PASS9および複数の載置兼冷却部P−CPが設けられる。
【0094】
載置兼バッファ部P−BF1は、搬送機構137および搬送機構141,142(図1)による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。載置兼バッファ部P−BF2は、搬送機構138および搬送機構141,142(図1)による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。また、基板載置部PASS9および載置兼冷却部P−CPは、搬送機構141,142(図1)および搬送機構146による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。
【0095】
図5の例では、基板載置部PASS9が1つのみ設けられるが、複数の基板載置部PASS9が上下に設けられてもよい。この場合、基板Wを一時的に載置するためのバッファ部として複数の基板載置部PASS9を用いてもよい。
【0096】
基板載置部PASS1および基板載置部PASS3には、インデクサブロック11から第1の処理ブロック12へ搬送される基板Wが載置される。基板載置部PASS2および基板載置部PASS4には、第1の処理ブロック12からインデクサブロック11へ搬送される基板Wが載置される。
【0097】
基板載置部PASS5および基板載置部PASS7には、第1の処理ブロック12から第2の処理ブロック13へ搬送される基板Wが載置される。基板載置部PASS6および基板載置部PASS8には、第2の処理ブロック13から第1の処理ブロック12へ搬送される基板Wが載置される。
【0098】
載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2には、第2の処理ブロック13から洗浄乾燥処理ブロック14Aへ搬送される基板Wが載置される。載置兼冷却部P−CPには、洗浄乾燥処理ブロック14Aから搬入搬出ブロック14Bへ搬送される基板Wが載置される。基板載置部PASS9には、搬入搬出ブロック14Bから洗浄乾燥処理ブロック14Aへ搬送される基板Wが載置される。
【0099】
上段搬送室125内において搬送機構127の上方に給気ユニット43が設けられ、下段搬送室126内において搬送機構128の上方に給気ユニット43が設けられる。上段搬送室135内において搬送機構137の上方に給気ユニット43が設けられ、下段搬送室136内において搬送機構138の上方に給気ユニット43が設けられる。給気ユニット43には、図示しない温調装置から温湿度調整された空気が供給される。
【0100】
また、上段搬送室125内において搬送機構127の下方に上段搬送室125の排気を行うための排気ユニット44が設けられ、下段搬送室126内において搬送機構128の下方に下段搬送室126の排気を行うための排気ユニット44が設けられる。
【0101】
同様に、上段搬送室135内において搬送機構137の下方に上段搬送室135の排気を行うための排気ユニット44が設けられ、下段搬送室136内において搬送機構138の下方に下段搬送室136の排気を行うための排気ユニット44が設けられる。
【0102】
これにより、上段搬送室125,135および下段搬送室126,136の雰囲気が適切な温湿度および清浄な状態に維持される。
【0103】
洗浄乾燥処理ブロック14Aの搬送部163内の上部には、給気ユニット45が設けられる。搬入搬出ブロック14B内の上部には、給気ユニット46が設けられる。給気ユニット45,46には、図示しない温調装置から温湿度調整された空気が供給される。それにより、洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14B内の雰囲気が適切な温湿度および清浄な状態に維持される。
【0104】
(4−2)搬送機構の構成
次に、搬送機構127について説明する。図6は、搬送機構127を示す斜視図である。
【0105】
図5および図6に示すように、搬送機構127は、長尺状のガイドレール311,312を備える。図5に示すように、ガイドレール311は、上段搬送室125内において上下方向に延びるように搬送部112側に固定される。ガイドレール312は、上段搬送室125内において上下方向に延びるように上段搬送室135側に固定される。
【0106】
図5および図6に示すように、ガイドレール311とガイドレール312との間には、長尺状のガイドレール313が設けられる。ガイドレール313は、上下動可能にガイドレール311,312に取り付けられる。ガイドレール313に移動部材314が取り付けられる。移動部材314は、ガイドレール313の長手方向に移動可能に設けられる。
【0107】
移動部材314の上面には、長尺状の回転部材315が回転可能に設けられる。回転部材315には、基板Wを保持するためのハンドH1およびハンドH2が取り付けられる。ハンドH1,H2は、回転部材315の長手方向に移動可能に設けられる。
【0108】
上記のような構成により、搬送機構127は、上段搬送室125内においてX方向およびZ方向に自在に移動することができる。また、ハンドH1,H2を用いて塗布処理室21,22(図2)、基板載置部PASS1,PASS2,PASS5,PASS6(図5)および上段熱処理部301(図3)に対して基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0109】
なお、図5に示すように、搬送機構128,137,138は搬送機構127と同様の構成を有する。
【0110】
(5)洗浄乾燥処理ブロックの構成
図7は、洗浄乾燥処理ブロック14Aの内部構成を示す図である。なお、図7は、洗浄乾燥処理ブロック14Aを図1の露光装置15側から見た図である。
【0111】
図7に示すように、搬送機構141は、基板Wを保持するためのハンドH3,H4を有し、搬送機構142は、基板Wを保持するためのハンドH5,H6を有する。
【0112】
搬送機構141の+Y側には洗浄乾燥処理ユニットSD1が階層的に設けられ、搬送機構142の−Y側には洗浄乾燥処理ユニットSD2が階層的に設けられる。搬送機構141,142の間において、−X側には、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2が上下に設けられる。
【0113】
また、上段熱処理部303および下段熱処理部304の熱処理ユニットPHPは、洗浄乾燥処理ブロック14Aからの基板Wの搬入が可能に構成される。
【0114】
(6)基板処理装置の各構成要素の動作
以下、本実施の形態に係る基板処理装置100の各構成要素の動作について説明する。
【0115】
(6−1)インデクサブロック11の動作
以下、図1および図5を主に用いてインデクサブロック11の動作を説明する。
【0116】
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、まず、インデクサブロック11のキャリア載置部111に、未処理の基板Wが収容されたキャリア113が載置される。搬送機構115は、そのキャリア113から1枚の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS1に搬送する。その後、搬送機構115はキャリア113から他の1枚の未処理の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS3(図5)に搬送する。
【0117】
なお、基板載置部PASS2(図5)に処理済みの基板Wが載置されている場合には、搬送機構115は、基板載置部PASS1に未処理の基板Wを搬送した後、基板載置部PASS2からその処理済みの基板Wを取り出す。そして、搬送機構115は、その処理済みの基板Wをキャリア113に搬送する。同様に、基板載置部PASS4に処理済みの基板Wが載置されている場合には、搬送機構115は、基板載置部PASS3に未処理の基板Wを搬送した後、基板載置部PASS4からその処理済みの基板Wを取り出す。そして、搬送機構115は、その処理済み基板Wをキャリア113へ搬送するとともにキャリア113に収容する。
【0118】
(6−2)第1の処理ブロック12の動作
以下、図1〜図3および図5を主に用いて第1の処理ブロック12の動作について説明する。なお、以下においては、簡便のため、搬送機構127,128のX方向およびZ方向の移動の説明は省略する。
【0119】
搬送機構115(図5)により基板載置部PASS1(図5)に載置された基板Wは、搬送機構127(図5)のハンドH1により取り出される。また、搬送機構127は、ハンドH2に保持されている基板Wを基板載置部PASS2に載置する。なお、ハンドH2から基板載置部PASS2に載置される基板Wは、現像処理後の基板Wである。
【0120】
次に、搬送機構127は、ハンドH2により上段熱処理部301(図3)の所定の密着強化処理ユニットPAHP(図3)から密着強化処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構127は、ハンドH1に保持されている未処理の基板Wをその密着強化処理ユニットPAHPに搬入する。
【0121】
次に、搬送機構127は、ハンドH1により上段熱処理部301(図3)の所定の冷却ユニットCPから冷却処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構127は、ハンドH2に保持されている密着強化処理後の基板Wをその冷却ユニットCPに搬入する。冷却ユニットCPにおいては、反射防止膜形成に適した温度に基板Wが冷却される。
【0122】
次に、搬送機構127は、ハンドH2により塗布処理室22(図2)のスピンチャック25(図2)上から反射防止膜形成後の基板Wを取り出す。また、搬送機構127は、ハンドH1に保持されている冷却処理後の基板Wをそのスピンチャック25上に載置する。塗布処理室22においては、塗布処理ユニット129(図2)により、基板W上に反射防止膜が形成される。
【0123】
次に、搬送機構127は、ハンドH1により上段熱処理部301(図3)の所定の熱処理ユニットPHPから熱処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構127は、ハンドH2に保持されている反射防止膜形成後の基板Wをその熱処理ユニットPHPに搬入する。熱処理ユニットPHPにおいては、基板Wの加熱処理および冷却処理が連続的に行われる。
【0124】
次に、搬送機構127は、ハンドH2により上段熱処理部301(図4)の所定の冷却ユニットCP(図3)から冷却処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構127は、ハンドH1に保持されている熱処理後の基板Wをその冷却ユニットCPに搬入する。冷却ユニットCPにおいては、レジスト膜形成処理に適した温度に基板Wが冷却される。
【0125】
次に、搬送機構127は、ハンドH1により塗布処理室21(図2)のスピンチャック25(図2)からレジスト膜形成後の基板Wを取り出す。また、搬送機構127は、ハンドH2に保持されている冷却処理後の基板Wをそのスピンチャック25上に載置する。塗布処理室22においては、塗布処理ユニット129(図2)により、基板W上にレジスト膜が形成される。
【0126】
次に、搬送機構127は、ハンドH2により上段熱処理部301(図3)の所定の熱処理ユニットPHPから熱処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構127は、ハンドH1に保持されているレジスト膜形成後の基板Wをその熱処理ユニットPHPに搬入する。
【0127】
次に、搬送機構127は、ハンドH2に保持されている熱処理後の基板Wを基板載置部PASS5(図5)に載置する。また、搬送機構127は、ハンドH2により基板載置部PASS6(図5)から現像処理後の基板Wを取り出す。その後、搬送機構127は、基板載置部PASS6から取り出した現像処理後の基板Wを基板載置部PASS2(図5)に搬送する。
【0128】
搬送機構127が上記の処理を繰り返すことにより、第1の処理ブロック12内において複数の基板Wに所定の処理が連続的に行われる。
【0129】
搬送機構128は、搬送機構127と同様の動作により、基板載置部PASS3,PASS4,PASS7,PASS8(図5)、塗布処理室23,24(図2)および下段熱処理部302(図4)に対して基板Wの搬入および搬出を行う。
【0130】
このように、本実施の形態においては、搬送機構127によって搬送される基板Wは、塗布処理室21,22および上段熱処理部301において処理され、搬送機構128によって搬送される基板Wは、塗布処理室23,24および下段熱処理部302において処理される。この場合、複数の基板Wの処理を上方の処理部(塗布処理室21,22および上段熱処理部301)および下方の処理部(塗布処理室23,24および下段熱処理部302)において同時に処理することができる。それにより、搬送機構127,128による基板Wの搬送速度を速くすることなく、第1の処理ブロック12のスループットを向上させることができる。また、搬送機構127,128が上下に設けられているので、基板処理装置100のフットプリントが増加することを防止することができる。
【0131】
なお、上記の例では、塗布処理室22における反射防止膜の形成処理前に冷却ユニットCPにおいて基板Wの冷却処理が行われるが、適正に反射防止膜を形成することが可能であれば、反射防止膜の形成処理前に冷却ユニットCPにおいて基板Wの冷却処理が行われなくてもよい。
【0132】
(6−3)第2の処理ブロック13の動作
以下、図1〜図3および図5を主に用いて第2の処理ブロック13の動作について説明する。なお、以下においては、簡便のため、搬送機構137,138のX方向およびZ方向の移動の説明は省略する。
【0133】
搬送機構127により基板載置部PASS5(図5)に載置された基板Wは、搬送機構137(図5)のハンドH1により取り出される。また、搬送機構137は、ハンドH2に保持されている基板Wを基板載置部PASS6に載置する。なお、ハンドH2から基板載置部PASS6に載置される基板Wは、現像処理後の基板Wである。
【0134】
次に、搬送機構137は、ハンドH2により塗布処理室32(図2)のスピンチャック25(図2)からレジストカバー膜形成後の基板Wを取り出す。また、搬送機構137は、ハンドH1に保持されているレジスト膜形成後の基板Wをそのスピンチャック25上に載置する。塗布処理室32においては、塗布処理ユニット129(図2)により、基板W上にレジストカバー膜が形成される。
【0135】
次に、搬送機構137は、ハンドH1により上段熱処理部303(図3)の所定の熱処理ユニットPHPから熱処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構137は、ハンドH2に保持されているレジストカバー膜形成後の基板Wをその熱処理ユニットPHPに搬入する。
【0136】
次に、搬送機構137は、ハンドH2によりエッジ露光部EEW(図3)からエッジ露光処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構137は、ハンドH1に保持されている熱処理後の基板Wをエッジ露光部EEWに搬入する。上記のように、エッジ露光部EEWにおいては、基板Wのエッジ露光処理が行われる。
【0137】
搬送機構137は、ハンドH2に保持されているエッジ露光処理後の基板Wを載置兼バッファ部P−BF1(図5)に載置するとともに、そのハンドH2により搬入搬出ブロック14Aに隣接する上段熱処理部301(図4)の熱処理ユニットPHPから熱処理後の基板Wを取り出す。なお、搬入搬出ブロック14Aに隣接する熱処理ユニットPHPから取り出される基板Wは、露光装置15における露光処理が終了した基板Wである。
【0138】
次に、搬送機構137は、ハンドH1により上段熱処理部303(図3)の所定の冷却ユニットCP(図3)から冷却処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構137は、ハンドH2に保持されている露光処理後の基板Wをその冷却ユニットCPに搬入する。冷却ユニットCPにおいては、現像処理に適した温度に基板Wが冷却される。
【0139】
次に、搬送機構137は、ハンドH2により現像処理室31(図2)のスピンチャック35(図2)から現像処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構137は、ハンドH1に保持されている冷却処理後の基板Wをそのスピンチャック35上に載置する。現像処理室31においては、現像処理ユニット139によりレジストカバー膜の除去処理および現像処理が行われる。
【0140】
次に、搬送機構137は、ハンドH1により上段熱処理部303(図4)の所定の熱処理ユニットPHPから熱処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構137は、ハンドH2に保持されている現像処理後の基板Wを熱処理ユニットPHPに搬入する。その後、搬送機構137は、熱処理ユニットPHPから取り出した基板Wを基板載置部PASS6(図5)に載置する。
【0141】
搬送機構137が上記の処理を繰り返すことにより、第2の処理ブロック13内において複数の基板Wに所定の処理が連続的に行われる。
【0142】
搬送機構138は、搬送機構137と同様の動作により、基板載置部PASS7,PASS8,P−BF2(図5)、現像処理室33(図2)、塗布処理室34(図2)および下段熱処理部304(図3)に対して基板Wの搬入および搬出を行う。
【0143】
このように、本実施の形態においては、搬送機構137によって搬送される基板Wは、現像処理室31、塗布処理室32および上段熱処理部303において処理され、搬送機構138によって搬送される基板Wは、現像処理室33、塗布処理室34および下段熱処理部304において処理される。この場合、複数の基板Wの処理を上方の処理部(現像処理室31、塗布処理室32および上段熱処理部303)および下方の処理部(現像処理室33、塗布処理室34および下段熱処理部304)において同時に処理することができる。それにより、搬送機構137,138による基板Wの搬送速度を速くすることなく、第2の処理ブロック13のスループットを向上させることができる。また、搬送機構137,138が上下に設けられているので、基板処理装置100のフットプリントが増加することを防止することができる。
【0144】
(6−4)洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bの動作
以下、図5および図7を主に用いて洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bの動作について説明する。
【0145】
洗浄乾燥処理ブロック14Aにおいて、搬送機構141(図7)は、搬送機構137(図5)により載置兼バッファ部P−BF1に載置されたエッジ露光後の基板WをハンドH3により取り出す。
【0146】
次に、搬送機構141は、ハンドH4により洗浄乾燥処理部161(図7)の所定の洗浄乾燥処理ユニットSD1から洗浄および乾燥処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構141は、ハンドH3に保持するエッジ露光後の基板Wをその洗浄乾燥処理ユニットSD1に搬入する。
【0147】
次に、搬送機構141は、ハンドH4に保持する洗浄および乾燥処理後の基板Wを載置兼冷却部P−CP(図5)に載置する。載置兼冷却部P−CPにおいては、露光装置15(図1)における露光処理に適した温度に基板Wが冷却される。
【0148】
次に、搬送機構141は、搬送機構138(図5)により載置兼バッファ部P−BF2に載置されたエッジ露光後の基板WをハンドH3により取り出す。次に、搬送機構141は、ハンドH4により洗浄乾燥処理部161(図7)の所定の洗浄乾燥処理ユニットSD1から洗浄および乾燥処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構141は、ハンドH3に保持するエッジ露光後の基板Wをその洗浄乾燥処理ユニットSD1に搬入する。次に、搬送機構141は、ハンドH4に保持する洗浄および乾燥処理後の基板Wを載置兼冷却部P−CP(図5)に載置する。
【0149】
このように、搬送機構141は、搬送機構141は、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2から交互にエッジ露光後の基板Wを取り出し、その基板Wを洗浄乾燥処理部161を経由して載置兼冷却部P−CPに搬送する。
【0150】
ここで、キャリア113(図5)に収容されている基板Wは、搬送機構115(図5)により基板載置部PASS1,PASS3(図5)に交互に搬送される。また、塗布処理室21,22(図2)および上段熱処理部301(図3)における基板Wの処理速度と、塗布処理室23,24(図2)および下段熱処理部302(図3)における基板Wの処理速度とは略等しい。
【0151】
また、搬送機構127(図5)の動作速度と搬送機構128(図5)の動作速度とは略等しい。また、現像処理室31(図2)、塗布処理室32および上段熱処理部303(図3)における基板Wの処理速度と、現像処理室33(図2)、塗布処理室34および下段熱処理部304(図3)における基板Wの処理速度とは略等しい。また、搬送機構137(図5)の動作速度と搬送機構138(図5)の動作速度とは略等しい。
【0152】
したがって、上記のように、搬送機構141(図7)により載置兼バッファ部P−BF1,P−BF1(図5)から載置兼冷却部P−CPに基板Wが交互に搬送されることにより、キャリア113から基板処理装置100に搬入される基板Wの順序と、洗浄乾燥処理ブロック14Aから載置兼冷却部P−CP(図5)に搬送される基板Wの順序とが一致する。この場合、基板処理装置100における各基板Wの処理履歴の管理が容易になる。
【0153】
搬送機構142(図7)は、ハンドH5により基板載置部PASS9(図5)に載置された露光処理後の基板Wを取り出す。次に、搬送機構142は、ハンドH6により、洗浄乾燥処理部162(図7)の所定の洗浄乾燥処理ユニットSD2から洗浄および乾燥処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構142は、ハンドH5に保持する露光処理後の基板Wをその洗浄乾燥処理ユニットSD2に搬入する。
【0154】
次に、搬送機構142は、ハンドH6に保持する洗浄および乾燥処理後の基板Wを上段熱処理部303の熱処理ユニットPHP(図7)に搬送する。この熱処理ユニットPHPにおいては、露光後ベーク(PEB)処理が行われる。
【0155】
次に、搬送機構142(図7)は、ハンドH5により基板載置部PASS9(図5)に載置された露光処理後の基板Wを取り出す。次に、搬送機構142は、ハンドH6により、洗浄乾燥処理部162(図7)の所定の洗浄乾燥処理ユニットSD2から洗浄および乾燥処理後の基板Wを取り出す。また、搬送機構142は、ハンドH5に保持する露光処理後の基板Wをその洗浄乾燥処理ユニットSD2に搬入する。
【0156】
次に、搬送機構142は、ハンドH6に保持する洗浄および乾燥処理後の基板Wを下段熱処理部304の熱処理ユニットPHP(図7)に搬送する。この熱処理ユニットPHPにおいては、PEB処理が行われる。
【0157】
このように、搬送機構142は、基板載置部PASS9に載置された露光処理後の基板Wを洗浄乾燥処理部162を経由して上段熱処理部303および下段熱処理部304に交互に搬送する。
【0158】
搬入搬出ブロック14Bにおいて、搬送機構146(図5)は、ハンドH7により、載置兼冷却部P−CPに載置された基板Wを取り出し、露光装置15の基板搬入部15aに搬送する。また、搬送機構146は、ハンドH8により、露光装置15の基板搬出部15bから露光処理後の基板Wを取り出し、基板載置部PASS9に搬送する。
【0159】
ここで、上述したように、搬送機構141(図7)によって載置兼冷却部P−CP(図5)に載置される基板Wの順序は、キャリア113(図5)から基板処理装置100に搬入される基板Wの順序に等しい。それにより、キャリア113から基板処理装置100に搬入される基板Wの順序と、搬送機構142(図7)により露光装置15に搬入される基板Wの順序とを一致させることができる。それにより、露光装置15における各基板Wの処理履歴の管理が容易になる。また、一のキャリア113から基板処理装置100に搬入された複数の基板W間において、露光処理の状態にばらつきが生じることを防止することができる。
【0160】
なお、露光装置15が基板Wの受け入れをできない場合、搬送機構141(図7)により、洗浄および乾燥処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2に一時的に収容される。
【0161】
また、第2の処理ブロック13の現像処理ユニット139(図2)が露光処理後の基板Wの受け入れをできない場合、搬送機構137,138(図5)により、PEB処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2に一時的に収容される。
【0162】
また、第1および第2の処理ブロック12,13の不具合等によって基板Wが載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2まで正常に搬送されない場合、基板Wの搬送が正常となるまで搬送機構141による載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2からの基板Wの搬送を一時的に停止してもよい。
【0163】
(7)エッジ露光部の詳細
(7−1)エッジ露光部の構成
エッジ露光部EEWの詳細について説明する。本実施の形態において、エッジ露光部EEWは露光ユニットおよび光源ユニットを備える。図8はエッジ露光部EEWの露光ユニットの一側面を模式的に示す図であり、図9はエッジ露光部EEWの露光ユニットの他の側面を模式的に示す図である。また、図10はエッジ露光部EEWの光源ユニットの構成を示す模式的縦断面図である。
【0164】
図8および図9に示すように、エッジ露光部EEWの露光ユニット550は、投光部510、投光部保持機構520および基板回転機構540を備える。
【0165】
投光部510は、ライトガイド590を介して光源ユニット600と接続されている。本実施の形態では、ライトガイド590は、光ファイバケーブルからなる。光源ユニット600には、上述の露光用光源612(図10)が設けられる。
【0166】
投光部保持機構520は、X方向駆動モータ521、X方向ボールネジ522、投光部保持ガイド523、支柱524、Y方向駆動モータ531、支柱保持ガイド532およびY方向ボールネジ533を備える。
【0167】
投光部保持ガイド523は、投光部510をX方向に移動可能に保持する。また、X方向ボールネジ522は、投光部510に設けられた図示しない連結部に螺合されている。
【0168】
X方向ボールネジ522は、X方向に延びるように設けられており、X方向駆動モータ521の動作に伴って矢印R1の方向に回転する。X方向ボールネジ522が回転することにより、投光部510がX方向に移動する。
【0169】
X方向駆動モータ521および投光部保持ガイド523は、支柱524により所定の高さに支持されている。支柱524の下端部は支柱保持ガイド532により保持されている。支柱保持ガイド532は、支柱524をY方向に移動可能に保持する。また、Y方向ボールネジ533は、支柱524に設けられた図示しない連結部に螺合されている。
【0170】
Y方向ボールネジ533は、Y方向に延びるように設けられており、Y方向駆動モータ531の動作に伴って矢印R3の方向に回転する。Y方向ボールネジ533が回転することにより、支柱524がY方向に移動する。
【0171】
このように、投光部保持機構520の各部の動作により、投光部510がX方向およびY方向に移動する。
【0172】
基板回転機構540は、基板回転モータ541、基板回転軸542およびスピンチャック543を備える。基板回転軸542は、基板回転モータ541から上方に突出する。スピンチャック543は、基板回転軸542の上端に接続されている。エッジ露光処理時には、スピンチャック543上に基板Wが載置される。スピンチャック543は、載置された基板Wを吸着保持する。
【0173】
基板回転モータ541は、基板回転軸542を矢印R2の方向に回転させる。それにより、スピンチャック543が回転し、スピンチャック543により吸着保持された基板Wが回転する。この状態で、投光部保持機構520により投光部510が基板Wの周縁部の上方位置に移動される。これにより、露光用光が投光部510から基板Wの周縁部に照射される。
【0174】
図10に示すように光源ユニット600は、第1のケーシング610、リフレクタ611、露光用光源612、シャッタモータ613、シャッタ614、絞りモータ615、絞り円板616、第2のケーシング620、第3のケーシング630、ランプ駆動部641、ファン駆動部642、ファンモータ643およびファン644を備える。
【0175】
第1のケーシング610、第2のケーシング620および第3のケーシング630はそれぞれ直方体形状を有する。第2のケーシング620は第1のケーシング610に比べて大きい。第2のケーシング620の上面には、気体導入用開口621が形成されている。第2のケーシング620の下面には、気体排出用開口622が形成されている。
【0176】
第1のケーシング610は、第2のケーシング620の内部に設けられる。第2のケーシング620の内表面と第1のケーシング610の外表面との間には、空間620Sが形成されている。
【0177】
第3のケーシング630の上面には、気体導入用開口631が形成されている。第3のケーシング630の気体導入用開口631が第2のケーシング620の気体排出用開口622に重なるように、第3のケーシング630が第2のケーシング620の下部に取り付けられる。
【0178】
第3のケーシング630の一側面には、気体排出用開口632が形成されている。気体排出用開口632が形成された第3のケーシング630の一側面には排気管690の一端が接続されている。排気管690の他端は、例えば工場内の排気系用力設備に接続されている。
【0179】
第1のケーシング610内に、リフレクタ611、露光用光源612、シャッタモータ613、シャッタ614、絞りモータ615および絞り円板616が設けられる。第2のケーシング620および第1のケーシング610の側壁を貫通するように、ライトガイド590が設けられる。第1のケーシング610内に、ライトガイド590の先端の光入射部591が挿入される。
【0180】
第1のケーシング610の内部では、露光用光源612を取り囲むように半球形状のリフレクタ611が配置される。露光用光源612により露光用光が発生される。リフレクタ611は、露光用光源612から発生された露光用光の一部を反射してライトガイド590の光入射部591に集光する。
【0181】
リフレクタ611とライトガイド590の光入射部591との間には、シャッタ614が配置されている。シャッタ614は、シャッタモータ613の回転軸に取り付けられる。これにより、シャッタ614は、シャッタモータ613により回転可能に支持される。シャッタモータ613が動作することによりシャッタ614が開閉される。
【0182】
さらに、リフレクタ611とシャッタ614との間に絞り円板616が配置されている。絞り円板616は開口を有し、絞りモータ615と図示しない駆動機構により連結されている。絞りモータ615が動作することにより絞り円板616の開口面積が調整される。
【0183】
シャッタモータ613によるシャッタ614の開放時においては、露光用光源612からの直接光およびリフレクタ611からの反射光の一部が光入射部591に入射される。この場合、光入射部591に入射する露光用光の光量は絞り円板616により調整される。光入射部591に入射された露光用光は、ライトガイド590を通して図8および図9の投光部510に導かれる。
【0184】
一方、シャッタモータ613によるシャッタ614の閉鎖時(図10の状態)においては、露光用光源612からの直接光およびリフレクタ611からの反射光の一部がシャッタ614により阻止される。その結果、露光用光は光入射部591に入射しない。
【0185】
第3のケーシング630内に、ランプ駆動部641、ファン駆動部642、ファンモータ643およびファン644が設けられる。ランプ駆動部641は、露光用光源612の2つの電極612a,612bに接続されるとともに、例えば商用電源に接続される。ランプ駆動部641は、商用電源から供給される電力を露光用光源612に供給する。後述するように、ランプ駆動部641は、図1の制御部114により制御される。これにより、ランプ駆動部641から露光用光源612に供給される電力が調整される。
【0186】
本実施の形態において、ランプ駆動部641は、露光用光源612に流れる電流の値を調整することにより、露光用光源612に供給される電力を調整する。これにより、ランプ駆動部641により駆動される露光用光源612の発光強度が変化する。
【0187】
第3のケーシング630の内部では、気体排出用開口632に近接した位置にファン644が配置される。ファン644は、ファンモータ643の回転軸に取り付けられる。これにより、ファン644は、ファンモータ643により回転可能に支持される。
【0188】
ファン駆動部642は、ファンモータ643に接続されるとともに、例えば商用電源に接続される。ファン駆動部642は、商用電源から供給される電力をファンモータ643に供給する。これにより、ファン644が回転する。後述するように、ファン駆動部642は、図1の制御部114により制御される。これにより、ファン駆動部642からファンモータ643に供給される電力が調整される。
【0189】
本実施の形態において、ファン駆動部642は、ファンモータ643に流れる電流の値を調整することにより、ファンモータ643に供給される電力を調整する。これにより、ファンモータ643により回転されるファン644の回転速度を容易に変化させることができる。
【0190】
ファンモータ643が動作することによりファン644が回転する。この場合、第2のケーシング620の外部の雰囲気(気体)が、図10に太い一点鎖線で示すように、気体導入用開口621から第2のケーシング620内の空間620Sに流入する。空間620Sに流入した気体は、さらに気体排出用開口622および第3のケーシング630の気体導入用開口631を通して第3のケーシング630内に流入する。第3のケーシング630内に流入した気体は、気体排出用開口632および排気管690を通して工場内の排気系用力設備に送られる。
【0191】
上記のように、ファン644が回転することにより、第2のケーシング620内の第1のケーシング610を取り囲む空間620Sに気体の流れが形成される。この場合、第2のケーシング620内の空間620Sは、第1のケーシング610を冷却するための冷却用給気路として機能する。したがって、露光用光源612が発熱する場合には、露光用光源612が空間620Sを流れる気体により第1のケーシング610を介して冷却される。それにより、露光用光源612の過剰な温度上昇が抑制される。
【0192】
上記のように、ファンモータ643により回転されるファン644の回転速度が変化される。これにより、排気管690から排気される気体の排気出力が調整され、ファン644による露光用光源612の冷却能力が調整される。
【0193】
露光用光源612は第1のケーシング610を介して間接的に冷却される。この場合、第1のケーシング610内の温度がほぼ均一に保たれる。したがって、空間620S内に流入する気体が露光用光源612に直接接触しないので、露光用光源612の温度およびその周辺の温度雰囲気が急峻に変動することが防止される。これにより、露光用光源612を安定して駆動することができる。
【0194】
上記の光源ユニット600においては、図10に示すように、第1のケーシング610の外周面に放熱用のフィン619が設けられる。これにより、第1のケーシング610を効率的に冷却することができる。第1のケーシング610がファン644により十分に冷却される場合には、放熱用のフィン619は設けられなくてもよい。
【0195】
(7−2)エッジ露光部と図1の制御部との関係
図11は、主としてエッジ露光部EEWの各構成要素と図1の制御部114との関係を示すブロック図である。
【0196】
図11に示すように、ランプ駆動部641、ファン駆動部642、基板回転モータ541、X方向駆動モータ521、Y方向駆動モータ531およびメインパネルPNの各々が、制御部114に接続されている。
【0197】
制御部114により、ランプ駆動部641、ファン駆動部642、基板回転モータ541、X方向駆動モータ521、Y方向駆動モータ531およびメインパネルPNの動作が制御される。また、ユーザによる操作部90の操作情報が制御部114に与えられる。
【0198】
(7−3)エッジ露光部の一制御例
図12は、図1の制御部114によるエッジ露光部EEWの一制御例を説明するためのタイミングチャートである。図12においては、横軸が時間を示す。図12の上段に、図10の露光用光源612に流れる電流値の経時的な変化が示される。図12の中段に、図10のファン644による露光用光源612の冷却能力として図10の排気管690から排気される気体の排気出力が示される。排気出力の単位は、例えば[m/min]で表すことができる。図12の下段に、図10の第1のケーシング610内の温度の経時的な変化が示される。
【0199】
本例では、時点t1において、一のロットの基板Wのエッジ露光処理が行われている。すなわち、本例の時点t1は、一のエッジ露光処理期間内の任意の時点を表す。この場合、エッジ露光部EEWは、図1の制御部114により通常モードで制御される。
【0200】
時点t1から時点t2にかけて、図10の露光用光源612に、図10のランプ駆動部641から第1の電流値i1(例えば8A)の電流が供給される。これにより、露光用光源612が、第1の電流値i1に基づく第1の電力PW1で駆動され、露光用光を発生する。この場合、第1のケーシング610内の温度が第1の温度値st1で維持されるように、図10のファン644が駆動され、排気管690から第1の排気出力値j1で気体が排気される。これにより、露光用光源612が第1のケーシング610を介して第1の排気出力値j1に基づく第1の冷却能力PV1で冷却される。本実施の形態において、第1の温度値st1は、エッジ露光処理に必要な露光用光を安定して得るために維持すべき第1のケーシング610内の環境温度である。
【0201】
図12の例では、時点t2は一のエッジ露光処理期間の終了時点を表す。また、時点t2から時点t4の期間が非処理期間に相当する。そのため、時点t2から時点t4では、基板Wのエッジ露光処理が行われない。この場合、エッジ露光部EEWは、図1の制御部114により省電力モードで制御される。時点t2では、一のロットの最後の基板Wのエッジ露光処理が終了することにより、ランプ駆動部641から露光用光源612に供給される電流の値が第1の電流値i1から第2の電流値i2(例えば7A)に切り替えられる。
【0202】
時点t2から時点t4にかけて、露光用光源612にはランプ駆動部641から継続して第2の電流値i2の電流が供給される。これにより、時点t2から時点t4にかけて、露光用光源612が第2の電流値i2に基づく第2の電力PW2で駆動される。
【0203】
第2の電流値i2は、第1の電流値i1よりも小さい。したがって、時点t2から時点t4までの露光用光源612の消費電力は、時点t1から時点t2までの露光用光源612の消費電力に比べて小さくなる。そのため、時点t2から時点t4までの露光用光源612の発熱量も、時点t1から時点t2までの露光用光源612の発熱量に比べて小さくなる。
【0204】
時点t2において、図10のファン644の回転速度が調整されることにより、排気管690から第1の排気出力値j1よりも小さく値0よりも大きい第2の排気出力値j2で気体が排気される。時点t2から時点t4にかけて、排気管690から第2の排気出力値j2で気体が排気される。これにより、露光用光源612が第1のケーシング610を介して第2の排気出力値j2に基づく第2の冷却能力PV2で冷却される。第2の排気出力値j2は、第1の排気出力値j1よりも小さい。これにより、第2の冷却能力PV2は、第1の冷却能力PV1に比べて小さい。
【0205】
上記のように、時点t2から時点t4までの非処理期間における露光用光源612の発熱量は、時点t1から時点t2までのエッジ露光処理期間における露光用光源612の発熱量に比べて小さくなる。そのため、非処理期間のファン644による冷却能力がエッジ露光処理期間におけるファン644による冷却能力と等しいと、非処理期間の第1のケーシング610内の温度が著しく低くなる。
【0206】
そこで、本例では、第1のケーシング610内の温度が常温(例えば25℃)よりも高く第1の温度値st1よりも低い第2の温度値st2に維持されるように、ファン644による露光用光源612の冷却能力が第1の冷却能力PV2よりも小さい第2の冷却能力PV2に調整される。
【0207】
それにより、時点t2から時点t3にかけて第1のケーシング610内の温度の値が第1の温度値st1から第2の温度値st2まで緩やかに低下する。その後、時点t3から時点t4にかけて第1のケーシング610内の温度が第2の温度値st2で維持される。
【0208】
図12の例では、時点t4が移行期間の開始時点を表し、時点t5が移行期間の終了時点でありかつ新たなロットのエッジ露光処理期間の開始時点を表す。時点t4から時点t5の期間が上述の移行期間に相当する。この場合、時点t4から時点t5にかけて、エッジ露光部EEWは、図1の制御部114により移行モードで制御される。また、時点t5から時点t6の期間がエッジ露光処理期間に相当する。この場合、時点t5から時点t6にかけて、エッジ露光部EEWは、図1の制御部114により通常モードで制御される。
【0209】
時点t4では、ランプ駆動部641から露光用光源612に供給される電流の値が第2の電流値i2から第1の電流値i1に切り替えられる。時点t4から時点t6にかけて、露光用光源612にはランプ駆動部641から継続して第1の電流値i1の電流が供給される。これにより、露光用光源612が、再び第1の電力PW1で駆動される。そのため、時点t4から時点t6までの露光用光源612の発熱量が、時点t2から時点t4までの非処理期間における露光用光源612の発熱量に比べて大きくなる。
【0210】
本実施の形態では、時点t4から時点t5までの移行期間中ファン644が駆動されない。この場合、排気出力値は0である。このときのファン644による冷却能力を第3の冷却能力PV3とすると、第3の冷却能力PV3は、第1の冷却能力PV1および第2の冷却能力PV2に比べて小さい。この場合、ファン644による冷却能力が著しく小さくなり、実質的に露光用光源612が冷却されない。
【0211】
上記のように、移行期間における露光用光源612の発熱量は、非処理期間における露光用光源612の発熱量に比べて大きくなる。そのため、移行期間では、第1のケーシング610内の温度が、時点t4から時点t5にかけて第2の温度値st2から第1の温度値st1まで上昇する。
【0212】
その後、時点t5から時点t6にかけて、排気管690から再び第1の排気出力値j1で気体が排気される。この場合、第1のケーシング610内の温度が第1の温度値st1を超えないように第1の排気出力値j1に基づく第1の冷却能力PV1で第1のケーシング610内の露光用光源612が冷却される。その結果、第1のケーシング610内の温度が第1の温度値st1で維持される。
【0213】
移行期間の開始時点は、第1のケーシング610内の温度がエッジ露光処理期間中第1の温度値st1で実質的に一定に維持されるように設定される。これにより、エッジ露光処理時に基板Wに照射される露光用光が安定する。したがって、精度よくエッジ露光処理を行うことができる。
【0214】
本実施の形態において、例えば1のロットの一番目の未処理の基板Wには、図1のキャリア113からエッジ露光部EEWまで搬送される間に種々の処理(例えば、レジスト膜形成処理および熱処理等)が施される。そのため、移行期間の開始時点が、例えば1のロットの一番目の未処理の基板Wが図1のキャリア113から搬出される時点に設定された場合には、一番目の未処理の基板Wがエッジ露光部EEWに到達するまでの間に、第1のケーシング610内の温度を第1の温度値st1で一定に維持しておくことができる。これにより、一番目の未処理の基板Wがエッジ露光部EEW内に搬入された時点で、始動時間を設けることなく露光用光源612をエッジ露光処理に用いることができる。
【0215】
本実施の形態において、移行期間に露光用光源612に供給される電流の値は、第2の電流値i2よりも大きく設定されるのであれば、第1の電流値i1と等しくてもよいし、第1の電流値i1と異なってもよい。
【0216】
例えば、図12の上段に、太い一点鎖線で示すように、移行期間に露光用光源612に供給される電流の値を第1の電流値i1よりも大きい値i0に設定することにより、露光用光源612に供給される電力が第1の電力PW1よりも大きくなる。これにより、露光用光源612の発熱量がさらに大きくなり、移行期間のさらなる短時間化が可能となる。
【0217】
また、移行期間に露光用光源612に供給される電流の値は、第2の電流値i2よりも大きく第1の電流値i1よりも小さく設定してもよい。この場合においても、移行期間における露光用光源612の発熱量が非処理期間における露光用光源612の発熱量に比べて大きくなる。それにより、露光用光源612を第2の温度値st2から第1の温度値st1まで上昇させることができる。
【0218】
(8)本実施の形態の効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、非処理期間(図12の時点t2〜時点t4)に露光用光源612に供給される第2の電力PW2がエッジ露光処理期間および移行期間中(図12の時点t1〜時点t2および時点t4〜時点t6)に露光用光源612に供給される第2の電力PW2に比べて小さくなるように、ランプ駆動部641が制御される。これにより、非処理期間中に、エッジ露光部EEWにおける消費電力が低減される。
【0219】
また、非処理期間(図12の時点t2〜時点t4)に第1のケーシング610内の温度が常温(例えば25℃)よりも高く第1の温度値st1よりも低い第2の温度に維持されるように、ファン644による第1のケーシング610の冷却能力が調整される。これにより、非処理期間中に露光用光源612が過剰に冷却されることが防止される。したがって、新たなエッジ露光処理期間が開始される場合に、短い移行期間で第1のケーシング610内の温度を第1の温度値st1まで上昇させることができる。その結果、基板処理装置100の処理効率の低下が十分に抑制される。
【0220】
図12の例では、移行期間の開始時点t4から一定期間経過後の時点t5にかけて、排気管690から排気される気体の排気出力が0となる。これにより、新たなエッジ露光処理期間が開始される場合に、より短い移行期間で第1のケーシング610内の温度を第1の温度値st1まで上昇させることができる。その結果、基板処理装置100の処理効率の低下がさらに十分に抑制される。
【0221】
上記では、一のロットの基板Wに主としてレジスト膜形成処理、レジストカバー膜形成処理、エッジ露光処理、洗浄乾燥処理、現像処理および熱処理を含む一連の処理が施される。これに限らず、一のロットの基板Wにエッジ露光処理のみが施される場合がある。このような場合でも、上記のように移行期間中のファン644による冷却能力を十分に小さくすることにより、移行期間を十分に短くすることができる。それにより、移行期間の開始時点を新たなロットの一番目の基板Wが図1のキャリア113からエッジ露光部EEWまで搬送される期間内に設定することが可能となる。
【0222】
上記のように、露光用光源612は、基板処理装置100が稼働状態にある間消灯しない。したがって、露光用光源612として高圧水銀キセノンランプが用いられる場合には、高圧水銀キセノンランプの点灯および消灯の切り替え回数が低減される。それにより、点灯および消灯の切り替えに起因する高圧水銀キセノンランプの短寿命化が抑制される。その結果、露光用光源612の交換頻度が低くなり、ランニングコストの上昇が抑制される。
【0223】
(9)他の実施の形態
(9−1)エッジ露光処理期間は、一のロットの一番目の基板Wのエッジ露光処理が行われる時点から、一のロットの最後の基板Wのエッジ露光処理の終了後一定期間(例えば15分)経過後までの期間であってもよい。
【0224】
この場合、一のロットの全ての基板Wのエッジ露光処理が終了する時点から一定期間内に新たなロットのエッジ露光処理が開始された場合に、露光用光源612に供給される電力を調整する必要がなくなる。
【0225】
(9−2)一のロットの基板Wにエッジ露光処理が行われない場合がある。この場合、第2の電力PW2で露光用光源612が駆動される。これにより、露光用光源612の消費電力を低減することができる。
【0226】
(9−3)上記実施の形態では、エッジ露光部EEWの露光用光源612に供給する電流が調整されることにより、露光用光源612に供給される電力が調整される。露光装置15においても、基板Wの表面に形成されたレジスト膜を所定のパターンで露光するための光源が用いられる。そのため、上記実施の形態と同様に、露光装置15の光源に供給する電流を調整することにより、露光装置15の光源に供給する電力を調整してもよい。この場合、露光装置15における低消費電力化が実現されるとともに露光装置15による基板Wの処理効率の低下が抑制される。
【0227】
基板Wに紫外線を照射することによりベーキングを行う処理部(以下、UVキュア処理部と呼ぶ。)がある。UVキュア処理部には、上記のエッジ露光部EEWと同様に、基板Wに紫外線を照射するための光源が設けられる。
【0228】
例えば基板処理装置100に、UVキュア処理部が設けられてもよい。また、上記実施の形態と同様に、UVキュア処理部の光源に供給する電流を調整することにより、UVキュア処理部の光源に供給する電力を調整してもよい。この場合においても、基板処理装置100における低消費電力化が実現されるとともに基板処理装置100による基板Wの処理効率の低下が抑制される。
【0229】
(9−4)図10の第1のケーシング610内に温度センサを設けてもよい。この場合、温度センサにより検出される第1のケーシング610内の温度に基づいて露光用光源612に供給する電力を調整してもよい。または、温度センサにより検出される第1のケーシング610内の温度に基づいてファン644による第1のケーシング610の冷却能力を調整してもよい。これにより、露光用光源612の温度およびその周辺の温度環境をより正確に調整することができる。
【0230】
(9−5)露光用光源612としては、上記の高圧水銀キセノンランプに代えて、高圧水銀ランプ等の他の放電ランプを用いてもよい。または、高出力で紫外線領域(例えば10nm以上400nm以下)の波長の光を発生することができる半導体レーザまたはLED(発光ダイオード)を用いてもよい。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0231】
(9−6)上記実施の形態では、露光用光源612を冷却するためにファン644が用いられる。これに限らず、例えば排気系用力設備が気体の吸引機能を有する場合には、排気管690の内部に排気量を制御するためのダンパ等を設けてもよい。この場合、ダンパの開度を調整することにより、第1のケーシング610の冷却能力を調整してもよい。
【0232】
(9−7)上記実施の形態では、塗布処理室32,34において、塗布処理ユニット129により基板W上にレジストカバー膜が形成されるが、塗布処理室21,23において、耐水性を有するレジスト膜が形成される場合には、塗布処理室32,34において、レジストカバー膜が形成されなくてもよい。
【0233】
その場合、エッジ露光部EEWにおいて、基板Wの表面状態としてレジスト膜の状態が検査される。
【0234】
なお、基板W上にレジストカバー膜が形成されない場合には、塗布処理室32,34が設けられなくてもよく、または、塗布処理室32,34において、レジスト膜の形成または現像処理等の他の処理が行われてもよい。
【0235】
(9−8)上記実施の形態では、液浸法により基板Wの露光処理を行う露光装置15が基板処理装置100の外部装置として用いられるが、これに限らず、液体を用いずに基板Wの露光処置を行う露光装置が基板処理装置100の外部装置として用いられてもよい。
【0236】
(10)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0237】
上記の実施の形態では、基板Wが基板の例であり、露光用光が光の例であり、エッジ露光処理および基板Wに紫外線を照射することによりベーキングを行う処理が光照射処理の例であり、エッジ露光部EEW、露光装置15およびUVキュア処理部が光照射装置の例である。
【0238】
また、露光用光源612が光源の例であり、ランプ駆動部641が電力供給部の例であり、エッジ露光処理期間に露光用光源612に供給される第1の電力PW1が第1の電力の例であり、非処理期間に露光用光源612に供給される第2の電力PW2が第2の電力の例であり、移行期間に露光用光源612に供給される第1の電力PW1が第3の電力の例であり、図1の制御部114が制御部の例である。
【0239】
さらに、エッジ露光処理期間が照射処理期間の例であり、非処理期間が非処理期間の例であり、ファン駆動部642、ファンモータ643およびファン644、ならびに排気管690の内部に設けられるダンパ等が冷却装置の例である。
【0240】
また、第1の冷却能力PV1が第1の冷却能力の例であり、第2の冷却能力PV2が第2の冷却能力の例であり、移行期間が移行期間の例であり、第3の冷却能力PV3が第3の冷却能力の例であり、塗布処理室21,23が感光性膜形成ユニットの例であり、エッジ露光部EEWが光照射装置の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例である。
【0241】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0242】
本発明は、種々の基板の処理に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0243】
21,23 塗布処理室
100 基板処理装置
114 制御部
612 露光用光源
641 ランプ駆動部
642 ファン駆動部
643 ファンモータ
644 ファン
690 排気管
EEW エッジ露光部
PV1 第1の冷却能力
PV2 第2の冷却能力
PV3 第3の冷却能力
PW1 第1の電力
PW2 第2の電力
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に光を照射する照射処理を行う光照射装置であって、
基板に照射処理を行うための光を発生する光源と、
前記光源に電力を供給する電力供給部と、
基板に照射処理を行う照射処理期間に第1の電力が前記光源に供給されるように前記電力供給部を制御し、前記照射処理期間を除く非処理期間に前記第1の電力よりも小さい第2の電力が前記光源に供給されるように前記電力供給部を制御する制御部とを備えることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記光源を冷却するための冷却装置をさらに備え、
前記制御部は、前記照射処理期間に前記冷却装置を第1の冷却能力で動作させ、前記非処理期間に前記冷却装置を前記第1の冷却能力よりも低い第2の冷却能力で動作させることを特徴とする請求項1記載の光照射装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記非処理期間から前記照射処理期間へ移行するための移行期間に前記第2の電力よりも大きい第3の電力が前記光源に供給されるように前記電力供給部を制御するとともに、前記冷却装置を前記第2の冷却能力よりも低い第3の冷却能力で動作させることを特徴とする請求項2記載の光照射装置。
【請求項4】
前記照射処理期間は、少なくとも一つのロットの複数の基板に照射処理が行なわれる期間を含み、
前記照射処理期間に前記光源の温度または光源の周囲の温度が実質的に一定に維持されるように、前記移行期間の開始時点が設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光照射装置。
【請求項5】
基板に処理を行う基板処理装置であって、
基板上に感光性膜を形成する感光性膜形成ユニットと、
前記感光性膜形成ユニットによる感光性膜形成後の基板に照射処理として露光処理を行う請求項1〜4のいずれかに記載の光照射装置とを備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記光照射装置は、基板上に形成された感光性膜の周縁部を露光するように構成されたことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板に照射処理を行うための光を発生する光源を含む光照射装置の制御方法であって、
基板に照射処理を行う照射処理期間に第1の電力が前記光源に供給されるように電力供給部を制御するステップと、
前記照射処理期間を除く非処理期間に前記第1の電力よりも小さい第2の電力が前記光源に供給されるように前記電力供給部を制御するステップとを備えたことを特徴とする光照射装置の制御方法。
【請求項8】
前記照射処理期間に前記光源を冷却する冷却装置を第1の冷却能力で動作させるステップと、
前記非処理期間に前記冷却装置を前記第1の冷却能力よりも低い第2の冷却能力で動作させるステップとをさらに備えたことを特徴とする請求項7記載の光照射装置の制御方法。
【請求項9】
前記非処理期間から前記照射処理期間へ移行するための移行期間に前記第2の電力よりも大きい第3の電力が前記光源に供給されるように前記電力供給部を制御するステップと、
前記移行期間に前記冷却装置を前記第2の冷却能力よりも低い第3の冷却能力で動作させるステップとをさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の光照射装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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