説明

光発電パネルの製造方法

【課題】 光発電パネルの製造に用いる光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げる。
【解決手段】 受け台22の逃げ凹部21に可塑性シール材23を充填して、この受け台22上に成形型24をセットした後、成形型24の各椀状凹部26内に粒状の光発電素子11を1個ずつ収容して、各光発電素子11を上方から押さえ付けて各光発電素子11の下部を各椀状凹部26の貫通孔27に嵌まり込ませて、各光発電素子11の下端を受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接させるように各光発電素子11の下部を逃げ凹部21内の可塑性シール材23の内部に押し込む。この後、成形型24の成形キャビティ25内に透明樹脂12の樹脂液を注入して硬化させることで、多数の光発電素子11を透明樹脂12でパネル状に一体化した光発電パネル10を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の粒状の光発電素子を千鳥状又はマトリックス状に配列して透明樹脂でパネル状に成形する光発電パネルの製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光エネルギを電気エネルギに変換する光発電パネルの発電効率を高めるために、例えば、特許文献1(特公平7−54855号公報)、特許文献2(特開2002−164554号公報)に示すように、光発電素子を粒状(若しくは球状)に形成するようにしたものがある。粒状の光発電素子は、様々な方向から入射する太陽光に対してその光入射方向から見た素子投影面積(受光量)がほぼ一定となるため、太陽高度が低くても効率良く発電できる利点がある。
【0003】
これらの特許文献1,2の技術では、表面電極を兼ねたベースプレートに形成された多数の円形孔にそれぞれ粒状シリコンを嵌め込み、ベースプレートの下面側に突出した粒状シリコン露出部に、絶縁層を介して電極を形成するようにしている。
【0004】
しかし、上記特許文献1,2の技術では、ベースプレートの上面側に露出する粒状シリコン受光領域の面積と、下面側の電極形成領域の大きさ(高さ)は、ベースプレートに形成された円形孔の内径と粒状シリコンの外径との関係によって決定されるため、粒状シリコン受光領域の面積と電極形成領域の大きさ(高さ)を均一化するためには、粒状シリコンの外径寸法や形状・真球精度に対して高い均一性が要求される。このため、粒状シリコン製造工程の管理が複雑化して粒状シリコンの生産性が低下すると共に、粒状シリコンの歩留まりが悪くなってしまい、製造コストが高くなるという欠点がある。
【0005】
また、電極と粒状光発電素子との接合部分には、オーミックコンタクトを形成する必要があり、そのために、光発電素子上に直接に電極材料を堆積するか、光発電素子上にコンタクト穴を有する絶縁膜を形成し、このコンタクト穴から露出する光発電素子の部分に電極材料を堆積する方法がある。
【0006】
例えば、特許文献3(特開2004−63564号公報)の電極形成方法は、球状第1半導体表面の第2半導体層を開口して第1半導体の一部を露出させ、第1半導体の露出部及び第2半導体の外周部にそれぞれ内部電極を形成する方法において、底部に接続孔を設けた複数の凹部を有する電気絶縁層及び接続孔としてその周辺部を残して凹部内に形成された第2導電体層からなる支持体を用意し、次いで第2導電体層開口部と第1半導体露出部接続孔周辺部に接するように球状光発電素子を凹部内に配置し、接合部を溶着した後、各部電極を対応する導電体層に半田付けなどで接続するようにしている。
【0007】
また、特許文献4(特開2004−95826号公報)の電極形成方法は、球状光発電素子の表面に、インクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより少なくとも1つの電極を形成する。この方式により、球状の第1導電体の露出面に第1電極を形成し、第2導電型半導体層の外周面の一部に第2電極を形成するようにしている。
【0008】
また、特許文献5(特開2004−140217号公報)の電極形成方法は、光発電素子の表面の第2半導体層の開口部内の第1半導体に第1電極を形成し、第2半導体層の外周部に第2電極を形成し、これを電気絶縁層及び第2導電層からなる支持体の凹部の所定位置に配置し、第1の半田により第1電極と第1導電層とを半田付けし、次いで、第1の電極の半田の固相線温度よりも低い液相線温度を有する半田により第2電極を第2導電層に接繚するようにしている。
【0009】
これら特許文献3,4,5の技術では、球状光発電素子上にオーミックな電極を形成するには、球状シリコンの外径寸法や形状、真球精度に対して高い均一性が要求されるとともに、ベースプレートと粒状シリコンとの間に、高い真球精度が要求されることになり、量産性が低く製造コストが高くなるという欠点がある。
【0010】
また、特許文献6(特開2003−282480号公報)には、半導体の電極形成部に電極材製のディスクまたはブラシを擦り付けることにより電極材を塗布し、擦り付けに伴う摩擦熱によりシンタリングを行う方法が開示されているが、電極部周辺にある封止材に働く摩擦熱や物理的な力が働き、光発電素子を保持する樹脂層に損傷を与える可能性がある。
【特許文献1】特公平7−54855号公報
【特許文献2】特開2002−164554号公報
【特許文献3】特開2004−63564号公報
【特許文献4】特開2004−95826号公報
【特許文献5】特開2004−140217号公報
【特許文献6】特開2003−282480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した課題を解決しようとしてなされたものであり、従って、本発明の目的は、光発電パネルの要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現できる光発電パネルの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、光発電素子を保持する樹脂層に損傷を与えることなく、電極と前記光発電素子との接合部分にオーミックな接触抵抗部を容易に形成することができる光発電パネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、多数の粒状の光発電素子を配列して透明樹脂でパネル状に成形し、且つ、各光発電素子の一部を樹脂部から突出させた光発電パネルを製造する方法において、成形キャビティに前記多数の光発電素子が1個ずつ収容される多数の椀状凹部が形成され、且つ各椀状凹部の底部に前記各光発電素子の一部が下向きに突出する円形の貫通孔が形成された成形型と、少なくとも前記貫通孔に対向する部分に逃げ凹部が形成された受け台とを用い、
前記受け台の逃げ凹部に可塑性シール材を充填する工程と、
前記受け台上に前記成形型をセットする工程と、
前記成形型の各椀状凹部に前記光発電素子を1個ずつ収容する工程と、
前記成形型の各椀状凹部内に収容された前記各光発電素子を上方から押さえ付けて前記各光発電素子の下部を各椀状凹部の貫通孔に嵌まり込ませて前記可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込む素子押し込み工程と、
前記成形型の成形キャビティ内に前記透明樹脂の樹脂液を注入する工程と、
前記成形型の成形キャビティ内の前記樹脂液を硬化させて前記多数の光発電素子を透明樹脂でパネル状に一体化した光発電パネルを成形する工程と、
前記成形型の成形キャビティから前記光発電パネルを取り出す工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法である。
【0013】
要するに、本発明では、受け台の逃げ凹部に可塑性シール材を充填して、この受け台上に成形型をセットし、この成形型の各椀状凹部内に収容した各光発電素子を上方から押さえ付けて各光発電素子の下部を各椀状凹部の貫通孔に嵌まり込ませて受け台の逃げ凹部内の可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込んだ後、成形型の成形キャビティ内に透明樹脂の樹脂液を注入して硬化させることで、多数の光発電素子を透明樹脂でパネル状に一体化した光発電パネルを成形するものである。このようにすれば、光発電パネルの製造に用いる光発電素子の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、光発電パネルの樹脂部からの素子突出量を均一化することができると共に、光発電素子の外径寸法や形状・真球精度のばらつきによって生じる各椀状凹部の貫通孔と光発電素子との隙間を可塑性シール材でシールすることができて、その隙間からの樹脂漏れを防止することができる(この際、樹脂の粘度を調整して樹脂漏れをより確実に防止するようにしても良い)。これにより、光発電パネルの要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現することができる。
【0014】
この場合、請求項2のように、素子押し込み工程において、各光発電素子の下端を受け台の逃げ凹部の底面に当接又はほぼ当接させるように押し込むことで、各光発電素子の下部を可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込むようにすると良い。このようにすれば、極めて簡単な作業で樹脂部からの素子突出量を均一化することができ、生産性を更に高めることができる。但し、本発明は、可塑性シール材の粘度を調整することで、光発電素子の下部を可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込むようにしても良い。
【0015】
更に、請求項3のように、各光発電素子の下端が受け台の逃げ凹部の底面に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子の外周面が各貫通孔の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように各貫通孔の孔径を設定するようにすると良い。このようにすれば、素子押し込み工程で、各椀状凹部の貫通孔と光発電素子との隙間を小さくすることができて、その隙間から可塑性シール材の一部が椀状凹部内に押し込まれることを防止できて、光発電素子と樹脂部との境界を滑らかに形成することができる。これにより、光発電パネルの裏面側に、光反射面を兼ねる電極を形成する工程で、光発電素子と樹脂部との境界周辺の電極(光反射面)を滑らかに形成することができ、光発電素子への反射光の受光量を増加させることができて、光発電効率を高めることができる。
【0016】
また、請求項4のように、光発電パネルの各光発電素子のうちの樹脂部から突出する部分に電極を形成するようにすると良い。本発明では、樹脂部からの素子突出量が均一化されるため、この突出部分に形成する電極の大きさや高さ位置を均一化することができる。
【0017】
以上説明した請求項1〜4に係る発明では、受け台の逃げ凹部に可塑性シール材を充填するようにしたが、請求項5のように、可塑性シール材が充填されていない受け台上に成形型を両者間の少なくとも前記貫通孔に対向する部分に隙間をあけた状態にセットし、この成形型の各椀状凹部に光発電素子を1個ずつ収容して各光発電素子の下部を各椀状凹部の貫通孔に嵌まり込ませて、各光発電素子の下端を受け台に当接又はほぼ当接させた状態にした後、成形型の成形キャビティ内に透明樹脂の樹脂液を注入して硬化させて光発電パネルを成形するようにしても良い。このようにしても、光発電素子の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、極めて簡単な作業で樹脂部からの素子突出量を均一化することができ、この突出部分に形成する電極の大きさや高さ位置を均一化することができる。しかも、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現することができる。
【0018】
この場合も、請求項6のように、各光発電素子の下端が受け台に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子の外周面が各貫通孔の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように各貫通孔の孔径を設定するようにすると良い。このようにすれば、成形型の成形キャビティ内に樹脂液を注入する際に、各椀状凹部の貫通孔と光発電素子との隙間を小さくすることができて、その隙間から樹脂液が漏れることを防止することができる。
【0019】
更に、請求項7のように、光発電パネルの各光発電素子のうちの樹脂部から突出する部分に電極を形成するようにすると良い。この場合も、樹脂部からの素子突出量が均一化されているため、この突出部分に形成する電極の大きさや高さ位置を均一化することができる。
【0020】
以上説明した請求項1〜7に係る発明は、光発電パネルの樹脂部を成形するために成形型を用いるようにしたが、請求項8に係る発明では、受け台の凹部に充填した可塑性シール材に成形キャビティを形成し、これを成形型として用いるようにしている。具体的には、受け台の上面側に形成された凹部に可塑性シール材を充填した後、光発電パネルの樹脂部を成形する成形キャビティの形状を転写するための転写型を前記可塑性シール材に押し付けることで、多数の光発電素子が1個ずつ収容される多数の椀状凹部を有する成形キャビティを前記可塑性シール材に形成し、前記成形キャビティの各椀状凹部に前記光発電素子を1個ずつ収容した後、各椀状凹部内に収容された各光発電素子を上方から押さえ付けて各光発電素子の下部を可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込み、その後、成形キャビティ内に透明樹脂の樹脂液を注入して硬化させるようにしても良い。この場合でも、光発電素子の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、光発電パネルの樹脂部からの素子突出量を均一化することができると共に、光発電素子と樹脂部との境界を滑らかに形成することができる。
【0021】
この場合も、請求項9のように、素子押し込み工程において、各光発電素子の下端を受け台の凹部の底面に当接又はほぼ当接させるように押し込むことで、各光発電素子の下部を可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込むようにすると良い。このようにすれば、極めて簡単な作業で樹脂部からの素子突出量を均一化することができ、生産性を更に高めることができる。
【0022】
更に、請求項10のように、光発電パネルの各光発電素子のうちの樹脂部から突出する部分に電極を形成するようにすると良い。この場合も、樹脂部からの素子突出量が均一化されているため、この突出部分に形成する電極の大きさや高さ位置を均一化することができる。
【0023】
また、他の目的を達成するために、請求項11に係る発明は、多数の粒状の光発電素子を配列して透明樹脂でパネル状に成形し、且つ各光発電素子の一部を樹脂部から露出させてその部分に電極を形成した光発電パネルを製造する方法において、前記光発電素子のうちの前記樹脂部から露出する部分に前記電極を形成した後、レーザー光を前記電極に照射してシンタリングすることで、前記電極と前記光発電素子との接合部分にオーミックな接触抵抗部を形成するようにしたものである。このようにすれば、光発電パネルの製造に用いる光発電素子の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、レーザー光によるシンタリングによって、電極と光発電素子との接合部分にオーミックな接触抵抗部を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した3つの実施例1〜3を説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を図1乃至図15に基づいて説明する。まず、図15に基づいて本実施例の製造方法で製造した光発電パネル10の構造を説明する。
【0026】
光発電パネル10は、多数の粒状の光発電素子11を千鳥状又はマトリックス状に配列して透明樹脂12(樹脂部)で一体化したものである。この透明樹脂12としては、例えば、光透過性の紫外線硬化性樹脂を用いると良い。
【0027】
各光発電素子11は、外周部にn型半導体層が薄く形成され、その内周側がp型半導体層となっている。この光発電素子11の製造方法は、特に限定されず、例えば、国際公開WO99/10935号公報に示すように、加熱融解されたシリコン液滴を自由落下させて、そのシリコン液滴を表面張力で球状の形状に変形させて凝固させる自由落下法や、特開2002−60943号公報に示すように、プラズマCVD装置内で、芯材の表面全体にSiを堆積させて球状の光発電素子を製造するプラズマCVD法を用いても良いし、それ以外の製造方法を用いても良い。
【0028】
光発電パネル10の裏面側(図15において上面側)には、各光発電素子11の外周部のn型半導体層に導通するn電極13が透明樹脂12の裏側を覆うように形成されている。このn電極13は、2層の絶縁性樹脂層14,15によって完全に覆われている。下層の絶縁性樹脂層14は、後述するエッチング時に保護層(マスク)として機能し、上層の絶縁性樹脂層15は、n電極13とp電極16とを絶縁する絶縁層として機能する。
【0029】
各光発電素子11の後端部には、研磨等によってn型半導体層が部分的に取り除かれてp型半導体層が露出する部分が形成され、このp型半導体層にp電極16が導通するように形成されている。このp電極16は、絶縁性樹脂等で形成された耐候性の保護絶縁層17によって完全に覆われ、保護・絶縁されている。
【0030】
以上のように構成した光発電パネル10の製造方法を説明する。前述したように、粒状の光発電素子11の製造方法は、特に限定されず、どの様な方法で粒状の光発電素子11を製造しても良く、1つのメーカーで光発電素子11の製造から光発電パネル10の製造までを一貫して行っても良いし、他のメーカーで製造した光発電素子11を購入して光発電パネル10を製造するようにしても良い。以下、何等かの方法で製造された粒状の光発電素子11を用いて光発電パネル10を製造する各工程を図1乃至図15に基づいて順番に説明する。
【0031】
[1]可塑性シール材充填工程
まず、図1に示すように、上面側に浅底の逃げ凹部21が形成された受け台22を使用し、この受け台22の逃げ凹部21内に可塑性シール材23を充填する。この可塑性シール材23は、塑性変形可能で、透明樹脂12(紫外線硬化性樹脂)の樹脂液が浸透しないシール性を有し、且つ透明樹脂12が接着しない材料が用いられる。具体的には、可塑性シール材23として、油粘土、糊、タイル目地用のウレタン系シーリング材、型抜き用の熱硬化性の液状シリコンゴム等を用いれば良い。
【0032】
受け台22の逃げ凹部21の深さ寸法は、光発電パネル10の透明樹脂12からの光発電素子11の突出量(素子突出量)とほぼ同一の深さ寸法又はこれよりも若干大きい深さ寸法に設定されている。
【0033】
[2]成形型セット工程
可塑性シール材充填工程終了後に、成形型セット工程に進み、図2に示すように、受け台22上に成形型24をセットする。この成形型24の成形キャビティ25には、多数の光発電素子11が1個ずつ収容される多数の椀状凹部26が形成され、且つ各椀状凹部26の底部に各光発電素子11の一部が下向きに突出する円形の貫通孔27が形成されている。尚、図2〜図6には、椀状凹部26が3個のみ図示されているが、実際には椀状凹部26が多数形成されている。
【0034】
[3]光発電素子収容工程
成形型セット工程終了後に、光発電素子収容工程に進み、図3に示すように、成形型24の各椀状凹部26に光発電素子11を1個ずつ収容する。尚、成形型24の各椀状凹部26に光発電素子11を収容した後、この成形型24を受け台22上にセットするようにしても良い。
【0035】
[4]素子押し込み工程
光発電素子収容工程終了後に、素子押し込み工程に進み、図4に示すように、成形型24の各椀状凹部26内に収容された各光発電素子11を治具(図示せず)で上方から押さえ付けて各光発電素子11の下部を各椀状凹部26の貫通孔27に嵌まり込ませて、受け台22の逃げ凹部21内の可塑性シール材23の内部にほぼ一定量だけ押し込む。この素子押し込み工程において、各光発電素子11の下端を受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接させるように押し込むことで、各光発電素子11の下部を可塑性シール材23の内部にほぼ一定量だけ押し込むようにすれば良い。
【0036】
この場合、各光発電素子11の下端が受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子11の外周面が各貫通孔27の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように各貫通孔27の孔径が設定されている。
【0037】
[5]樹脂液注入工程
素子押し込み工程終了後に、樹脂液注入工程に進み、図5に示すように、成形型24の成形キャビティ25内に透明樹脂12(紫外線硬化性樹脂)の樹脂液を注入して、全ての椀状凹部26を樹脂液中に完全に沈めた状態にする。この際、各椀状凹部26の貫通孔27と光発電素子11との隙間が可塑性シール材23でシールされ、その隙間からの樹脂漏れが防止される。
【0038】
[6]樹脂硬化工程
樹脂液注入工程終了後に、樹脂硬化工程に進み、図6に示すように、成形型24の成形キャビティ25内の透明樹脂12(紫外線硬化性樹脂)の樹脂液に紫外線を照射して該樹脂液を硬化させることで、多数の光発電素子11を透明樹脂12でパネル状に一体化した光発電パネル10を成形する。
【0039】
[7]離型工程
樹脂硬化工程終了後に、離型工程に進み、図7に示すように、成形型24の成形キャビティ25から光発電パネル10を取り出す。
【0040】
[8]n電極形成工程
離型工程終了後に、n電極形成工程に進み、図8に示すように、光発電パネル10の裏面全体に、蒸着、めっき、塗布、CVD、スパッタリング等の導体成膜技術を用いてn電極13を形成する。n電極13を形成する導体は、Ag、Ag系導体等の電気抵抗値が小さく、且つ、光を反射しやすい導体(入射光の反射面としても機能させるため)を用いることが好ましい。このn電極13は、各光発電素子11の外周部のn型半導体層に導通し、且つ透明樹脂12の裏側を覆って入射光の反射面としても機能するようになっている。尚、n電極13の一部は、後述するサンドブラスト工程で光発電素子11の一部を露出させるように取り除かれるため、その部分にはn電極13を形成しない部分があっても良い。
【0041】
[9]保護層(下層の絶縁性樹脂層)形成工程
n電極形成工程終了後に、保護層形成工程に進み、図9に示すように、光発電パネル10の裏面のn電極13全面に、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して硬化させて保護層(下層の絶縁性樹脂層)14を形成し、n電極13全面を保護層14で覆った状態にする。この保護層14を形成する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良いが、絶縁性と耐エッチング性(エッチング時のマスクとして用いるため)を備えている必要がある。尚、保護層14の一部は、次のサンドブラスト工程で光発電素子11の一部を露出させるように取り除かれるため、その部分には保護層14を形成しない部分があっても良い。
【0042】
[10]サンドブラスト工程
保護層形成工程終了後に、サンドブラスト工程に進み、図10に示すように、サンドブラストにより、各光発電素子11の後端部の保護層14とn電極13を部分的に取り除いて、各光発電素子11の後端部のn型半導体層を露出させた状態にする。尚、サンドブラストに代えて、研磨、レーザ加工、放電加工等によって保護層14とn電極13を部分的に取り除くようにしても良い。
【0043】
[11]エッチング工程
サンドブラスト工程終了後に、エッチング工程に進み、保護層14をマスク(エッチングレジスト)として用いて、該保護層14から露出する光発電素子11の後端部のn型半導体層を化学エッチングして取り除き、その内側のp型半導体層を露出させた状態にする。尚、化学エッチングに代えて、ドライエッチングを用いても良い。
【0044】
[12]絶縁層(上層の絶縁性樹脂層)形成工程
エッチング工程終了後に、絶縁層(上層の絶縁性樹脂層)形成工程に進み、図11に示すように、光発電パネル10の裏面全体に、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して硬化させて絶縁層(上層の絶縁性樹脂層)15を形成し、前記サンドブラスト工程で部分的に露出されたn電極13を完全に覆って絶縁した状態にする。この絶縁層15を形成する樹脂は、その下層の保護層14と同種、異種のいずれの絶縁性樹脂を用いても良く、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良い。尚、絶縁層15の一部は、次の研磨工程で光発電素子11の一部を露出させるように除かれるため、その部分には絶縁層15を形成しない部分があっても良い。
【0045】
[13]研磨工程
絶縁層形成工程終了後に、研磨工程に進み、図12に示すように、光発電パネル10の裏面の絶縁層15を研磨装置で研磨して平坦化すると共に、光発電素子11の後端部のp型半導体層を絶縁層15から露出させると共に、該p型半導体層の露出面を平坦化する。尚、サンドブラストで研磨するようにしても良い。
【0046】
[14]p電極形成工程
研磨工程終了後に、p電極形成工程に進み、図13に示すように、光発電パネル10の裏面全体にp電極16を各光発電素子11のp型半導体層の露出面に密着させるように形成する。このp電極16を形成する導体は、前述したn電極13と同じ導体でも良いし、異なる導体を用いても良く、p電極16の形成方法も、n電極13と同じ方法でも異なる方法でも良く、例えば、アルミニウム等の導体の蒸着、印刷、スパッタを用いても良いし、或は、アルミニウム箔等の導体箔を光発電パネル10の裏面全体に貼り付けてp電極16を形成しても良い。
【0047】
[15]レーザーシンタ工程
p電極形成工程終了後に、図14に示すように、レーザーシンタ工程に進み、p電極16と各光発電素子11の後端部のp型半導体層との接合部分の中央部付近に、レーザー光を所定パターンでスポット的に1回又は複数回照射して、その部分をスポット的に加熱し、オーミックな接触抵抗部を形成するためのp電極16の熱処理(シンタ)を行う。
【0048】
このレーザーシンタ工程で使用するレーザーは、例えばYVO4 レーザー(LD励起個体レーザー)で、照射条件は、Qスイッチ周波数:20kHz、照射面積:直径0.3mm、照射密度:25μmとした。この条件では、透明樹脂12を損傷することなく、良好なオーミック接触抵抗部が形成された。尚、使用するレーザーは、YVO4 レーザー(LD励起個体レーザー)に限定されず、例えばYAGレーザー、CO2 レーザー等を用いても、同様の効果が得られる。また、上記の照射条件も一例に過ぎず、適宜変更しても良いことは言うまでもない。
【0049】
ところで、光発電パネル10における各光発電素子11の配列が正確な等ピッチ配列であれば、配列された各光発電素子11の中心位置(レーザー光の照射位置)が一義的に決められるため、レーザー光照射装置に対して光発電パネル10の各光発電素子11の位置を位置決めして、各光発電素子11の中心位置にスポット的にレーザー光を1回又は複数回照射する処理を光発電素子11の配列に従って順番に自動的に実行するようにすれば良い。
【0050】
しかし、本実施例1で使用する光発電素子11は、外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあるため、光発電パネル10における各光発電素子11の配列が、必ずしも等ピッチ配列とはならない。このような場合は、画像処理等の技術を使用して各光発電素子11の中心位置を1個ずつ探り出し、その点にレーザー光を1回又は複数回照射するようにすれば良い。このようにすれば、各光発電素子11の配列が不均一になっていても、各光発電素子11の中心位置にレーザー光を正確に照射することができる。
【0051】
[16]保護絶縁層形成工程
レーザーシンタ工程終了後に、保護絶縁層形成工程に進み、図15に示すように、光発電パネル10の裏面のp電極16全面に、絶縁性樹脂を塗布して硬化させて耐候性の保護絶縁層17を形成し、p電極16全面を保護絶縁層17で覆った状態にする。この保護絶縁層17を形成する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良い。以上説明した各工程[1]〜[16]を一通り実行すれば、光発電パネル10の製造が完了する。
【0052】
以上説明した本実施例1の光発電パネル10の製造方法によれば、受け台22の逃げ凹部21に可塑性シール材23を充填して、この受け台22上に成形型24をセットし、成形型24の各椀状凹部26内に収容した各光発電素子11を上方から押さえ付けて各光発電素子11の下部を各椀状凹部26の貫通孔27に嵌まり込ませて受け台22の逃げ凹部21内の可塑性シール材23の内部にほぼ一定量だけ押し込んだ後、成形型24の成形キャビティ25内に透明樹脂12の樹脂液を注入して硬化させることで、多数の光発電素子11を透明樹脂12でパネル状に一体化した光発電パネル10を成形するようにしたので、光発電パネル10の製造に用いる光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、光発電パネル10の透明樹脂12部分からの素子突出量を均一化することができると共に、光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度のばらつきによって生じる各椀状凹部26の貫通孔27と光発電素子11との隙間を可塑性シール材23でシールすることができて、その隙間からの樹脂漏れを防止することができる(この際、樹脂の粘度を調整して樹脂漏れをより確実に防止するようにしても良い)。これにより、光発電パネル10の要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子11の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現することができる。
【0053】
しかも、本実施例1では、素子押し込み工程において、各光発電素子11の下端を受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接させるように押し込むようにしたので、極めて簡単な作業で光発電パネル10の透明樹脂12(樹脂部)からの素子突出量を均一化することができて、この突出部分に形成するn電極13の大きさや高さ位置を均一化することができる。本発明は、可塑性シール材の粘度を調整することで、光発電素子の下部を可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込むようにしても良い。
【0054】
更に、本実施例1では、各光発電素子11の下端が受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子11の外周面が各貫通孔27の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように各貫通孔27の孔径を設定するようにしたので、素子押し込み工程で、各椀状凹部26の貫通孔27と光発電素子11との隙間を小さくすることができて、その隙間から可塑性シール材23の一部が椀状凹部26内に押し込まれることを防止できて、光発電素子11と透明樹脂12との境界を滑らかに形成することができる。これにより、光発電パネル10の裏面側に、光反射面を兼ねるn電極13を形成する工程で、光発電素子11と透明樹脂12との境界周辺のn電極13(光反射面)を滑らかに形成することができ、光発電素子11への反射光の受光量を増加させることができて、光発電効率を高めることができる利点がある。
【0055】
また、本実施例1では、光発電素子11のうちの透明樹脂12から露出する部分にp電極16を形成した後、レーザー光をp電極16に照射してシンタリングすることで、p電極16と光発電素子11との接合部分にオーミックな接触抵抗部を形成するようにしたので、光発電パネル10の製造に用いる光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、レーザー光によるシンタリングによって、p電極16と光発電素子11との接合部分にオーミックな接触抵抗部を容易に形成することができる。
【0056】
尚、本実施例1では、光発電素子11の外周側をn型半導体層、内周側をp型半導体層としたが、これとは反対に、外周側をp型半導体層、内周側をn型半導体層としても良い。この場合、n電極とp電極の位置も反対となり、レーザー光によるシンタリングによってn電極と光発電素子11との接合部分にオーミックな接触抵抗部を形成するようにすれば良い。
【0057】
また、レーザー光によるシンタリングによって電極と光発電素子11との接合部分にオーミックな接触抵抗部を形成する技術は、上記実施例1以外の製造方法で製造した光発電パネルについても適用して実施できる。
【実施例2】
【0058】
上記実施例1では、受け台22の逃げ凹部21に可塑性シール材23を充填するようにしたが、本発明の実施例2では、図16に示すように、可塑性シール材23が充填されていない受け台22上に成形型24をセットし、図17に示すように、この成形型24の各椀状凹部26に光発電素子11を1個ずつ収容して各光発電素子11の下部を各椀状凹部26の貫通孔27に嵌まり込ませて、各光発電素子11の下端を受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接させた状態にする。この場合も、各光発電素子11の下端が受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子11の外周面が各貫通孔27の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように各貫通孔27の孔径を設定するようにすると良い。
【0059】
この後、図18に示すように、成形型24の成形キャビティ25内に透明樹脂12の樹脂液を注入して硬化させて光発電パネル10を成形する。この際、透明樹脂12としては、各椀状凹部26の貫通孔27と光発電素子11との隙間から漏れない程度の粘度(非流動性)を有する紫外線硬化性樹脂を用いると良い。
【0060】
尚、成形した光発電パネル10を成形型24から取り出した後は、前記実施例1と同様に、前述した[8]n電極形成工程から[16]保護絶縁層形成工程までの各工程が順番に実行される。
【0061】
以上説明した本実施例2においても、光発電パネル10の製造に用いる光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、極めて簡単な作業で光発電パネル10の透明樹脂12からの素子突出量を均一化することができ、この突出部分に形成するn電極13の大きさや高さ位置を均一化することができる。しかも、光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子11の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現することができる。
【0062】
更に、各光発電素子11の下端が受け台22の逃げ凹部21の底面に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子11の外周面が各貫通孔27の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように各貫通孔27の孔径を設定するようにしたので、成形型24の成形キャビティ25内に樹脂液を注入する際に、各椀状凹部26の貫通孔27と光発電素子11との隙間を小さくすることができて、その隙間から樹脂液が漏れることをより効果的に防止することができる。
【0063】
尚、本実施例2では、受け台22の上面に逃げ凹部21を形成することで、成形型24と受け台22との間に各光発電素子11の下端を逃がすための隙間をあけるようにしたが、図19に示すように、成形型24の下面に逃げ凹部24aを形成することで、成形型24と受け台22との間に各光発電素子11の下端を逃がすための隙間をあけるようにしても良い。或は、成形型24と受け台22との間に隙間形成用のスペーサを挟み込んで、各光発電素子11の下端を逃がすための隙間をあけるようにしても良い。この場合は、成形型24と受け台22のいずれにも逃げ凹部を形成する必要はない。
【実施例3】
【0064】
上記実施例1,2では、光発電パネル10の透明樹脂12(樹脂部)を成形するために成形型24を用いるようにしたが、図20乃至図27に示す本発明の実施例3では、受け台31の凹部32に充填した可塑性シール材33に成形キャビティ34を形成し、これを成形型として用いるようにしている。
【0065】
具体的には、図20に示すように、受け台31の上面側に形成された凹部32に可塑性シール材33を充填した後、図21に示すように、光発電パネル10の透明樹脂12を成形する成形キャビティ34の形状を転写するための転写型35を可塑性シール材33に押し付けることで、多数の光発電素子11が1個ずつ収容される多数の椀状凹部36を有する成形キャビティ34を可塑性シール材33に形成する(図22参照)。
【0066】
この後、図23に示すように、成形キャビティ34の各椀状凹部36に光発電素子11を1個ずつ収容した後、図24に示すように、各椀状凹部36内に収容された各光発電素子11を上方から押さえ付けて各光発電素子11の下部を可塑性シール材33の内部にほぼ一定量だけ押し込む。この際、各光発電素子11の下端を受け台31の凹部32の底面に当接又はほぼ当接させるように押し込むことで、各光発電素子11の下部を可塑性シール材33の内部にほぼ一定量だけ押し込むようにすると良い。
【0067】
この後、図25に示すように、成形キャビティ34内に透明樹脂12(紫外線硬化性樹脂)の樹脂液を注入して、全ての椀状凹部36を樹脂液中に完全に沈めた状態にする。この後、図26に示すように、成形キャビティ34内の透明樹脂12(紫外線硬化性樹脂)の樹脂液に紫外線を照射して該樹脂液を硬化させることで、多数の光発電素子11を透明樹脂12でパネル状に一体化した光発電パネル10を成形した後、図27に示すように、成形キャビティ34から光発電パネル10を取り出す。この後は、前記実施例1と同様に、前述した[8]n電極形成工程から[16]保護絶縁層形成工程までの各工程が順番に実行される。
【0068】
以上説明した本実施例3では、受け台31の凹部32に充填した可塑性シール材33に転写型35を押し付けて成形キャビティ34を形成し、この成形キャビティ34の各椀状凹部36に収容した各光発電素子11を上方から押さえ付けて各光発電素子11の下部を可塑性シール材33の内部にほぼ一定量だけ押し込んだ後、成形キャビティ34内に透明樹脂12(紫外線硬化性樹脂)の樹脂液を注入して光発電パネル10を成形するようにしたので、光発電パネル10の製造に用いる光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に多少のばらつきがあっても、光発電パネル10の透明樹脂12からの素子突出量を均一化することができて、この突出部分に形成するn電極13の大きさや高さ位置を均一化することができる。しかも、光発電素子11と透明樹脂12との境界を滑らかに形成することができるので、光発電パネル10の裏面側に、光反射面を兼ねるn電極13を形成する工程で、光発電素子11と透明樹脂12との境界周辺のn電極13(光反射面)を滑らかに形成することができ、光発電素子11への反射光の受光量を増加させることができて、光発電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例1の光発電パネルの製造方法における可塑性シール材充填工程を説明する図である。
【図2】実施例1の光発電パネルの製造方法における成形型セット工程を説明する図である。
【図3】実施例1の光発電パネルの製造方法における光発電素子収容工程を説明する図である。
【図4】実施例1の光発電パネルの製造方法における素子押し込み工程を説明する図である。
【図5】実施例1の光発電パネルの製造方法における樹脂液注入工程を説明する図である。
【図6】実施例1の光発電パネルの製造方法における樹脂硬化工程を説明する図である。
【図7】実施例1の光発電パネルの製造方法における離型工程を説明する図である。
【図8】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるn電極形成工程を説明する図である。
【図9】実施例1の光発電パネルの製造方法における保護層形成工程を説明する図である。
【図10】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるサンドブラスト工程を説明する図である。
【図11】実施例1の光発電パネルの製造方法における絶縁層(上層の絶縁性樹脂層)形成工程を説明する図である。
【図12】実施例1の光発電パネルの製造方法における研磨工程を説明する図である。
【図13】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるp電極形成工程を説明する図である。
【図14】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるレーザーシンタ工程を説明する図である。
【図15】実施例1の光発電パネルの製造方法における保護絶縁層形成工程を説明する図である。
【図16】実施例2の光発電パネルの製造方法における成形型セット工程を説明する図である。
【図17】実施例2の光発電パネルの製造方法における光発電素子収容工程を説明する図である。
【図18】実施例2の光発電パネルの製造方法における樹脂液注入工程を説明する図である。
【図19】実施例2の光発電パネルの製造方法における成形型と受け台の他の構成例を説明する図である。
【図20】実施例3の光発電パネルの製造方法における可塑性シール材充填工程を説明する図である。
【図21】実施例3の光発電パネルの製造方法におけるキャビティ形状転写工程を説明する図である(その1)。
【図22】実施例3の光発電パネルの製造方法におけるキャビティ形状転写工程を説明する図である(その2)。
【図23】実施例3の光発電パネルの製造方法における光発電素子収容工程を説明する図である。
【図24】実施例3の光発電パネルの製造方法における素子押し込み工程を説明する図である。
【図25】実施例3の光発電パネルの製造方法における樹脂液注入工程を説明する図である。
【図26】実施例3の光発電パネルの製造方法における樹脂硬化工程を説明する図である。
【図27】実施例3の光発電パネルの製造方法における離型工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
10…光発電パネル、11…光発電素子、12…透明樹脂(樹脂部)、13…n電極、14…保護層(下層の絶縁性樹脂層)15…絶縁層(上層の絶縁性樹脂層)、16…p電極、17…保護絶縁層、21…逃げ凹部、22…受け台、23…可塑性シール材、24…成形型、24a…逃げ凹部、25…成形キャビティ、26…椀状凹部、27…貫通孔、31…受け台、32…凹部、33…可塑性シール材、34…成形キャビティ、35…転写型、36…椀状凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の粒状の光発電素子を配列して透明樹脂でパネル状に成形し、且つ各光発電素子の一部を樹脂部から突出させた光発電パネルを製造する方法において、
成形キャビティに前記多数の光発電素子が1個ずつ収容される多数の椀状凹部が形成され、且つ各椀状凹部の底部に前記各光発電素子の一部が下向きに突出する円形の貫通孔が形成された成形型と、
少なくとも前記貫通孔に対向する部分に逃げ凹部が形成された受け台とを用い、
前記受け台の逃げ凹部に可塑性シール材を充填する工程と、
前記受け台上に前記成形型をセットする工程と、
前記成形型の各椀状凹部に前記光発電素子を1個ずつ収容する工程と、
前記成形型の各椀状凹部内に収容された前記各光発電素子を上方から押さえ付けて前記各光発電素子の下部を各椀状凹部の貫通孔に嵌まり込ませて前記可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込む素子押し込み工程と、
前記成形型の成形キャビティ内に前記透明樹脂の樹脂液を注入する工程と、
前記成形型の成形キャビティ内の前記樹脂液を硬化させて前記多数の光発電素子を透明樹脂でパネル状に一体化した光発電パネルを成形する工程と、
前記成形型の成形キャビティから前記光発電パネルを取り出す工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法。
【請求項2】
前記素子押し込み工程において、前記各光発電素子の下端を前記受け台の逃げ凹部の底面に当接又はほぼ当接させるように押し込むことで、前記各光発電素子の下部を前記可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込むことを特徴とする請求項1に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項3】
前記各光発電素子の下端が前記受け台の逃げ凹部の底面に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子の外周面が前記各貫通孔の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように前記各貫通孔の孔径が設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項4】
前記光発電パネルの各光発電素子のうちの前記樹脂部から突出する部分に電極を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項5】
多数の粒状の光発電素子を配列して透明樹脂でパネル状に成形し、且つ各光発電素子の一部を樹脂部から突出させた光発電パネルを製造する方法において、
成形キャビティに前記多数の光発電素子が1個ずつ収容される多数の椀状凹部が形成され、且つ各椀状凹部の底部に前記各光発電素子の一部が下向きに突出する円形の貫通孔が形成された成形型と、
前記成形型を載せるための受け台とを用い、
前記受け台上に前記成形型を両者間の少なくとも前記貫通孔に対向する部分に隙間をあけた状態にセットする工程と、
前記成形型の各椀状凹部に前記光発電素子を1個ずつ収容して各光発電素子の下部を各椀状凹部の貫通孔に嵌まり込ませて、各光発電素子の下端を前記受け台に当接又はほぼ当接させた状態にする工程と、
前記成形型の成形キャビティ内に前記透明樹脂の樹脂液を注入する工程と、
前記成形型の成形キャビティ内の前記樹脂液を硬化させて前記多数の光発電素子を透明樹脂でパネル状に一体化した光発電パネルを成形する工程と、
前記成形型の成形キャビティから前記光発電パネルを取り出す工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法。
【請求項6】
前記各光発電素子の下端が前記受け台に当接又はほぼ当接した状態において各光発電素子の外周面が前記各貫通孔の内周縁に当接又はほぼ当接した状態になるように前記各貫通孔の孔径が設定されていることを特徴とする請求項5に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項7】
前記光発電パネルの各光発電素子のうちの前記樹脂部から突出する部分に電極を形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項8】
多数の粒状の光発電素子を配列して透明樹脂でパネル状に成形し、且つ各光発電素子の一部を樹脂部から突出させた光発電パネルを製造する方法において、
受け台の上面側に形成された凹部に可塑性シール材を充填する工程と、
前記光発電パネルの樹脂部を成形する成形キャビティの形状を転写するための転写型を前記可塑性シール材に押し付けることで、前記多数の光発電素子が1個ずつ収容される多数の椀状凹部を有する成形キャビティを前記可塑性シール材に形成する工程と、
前記成形キャビティの各椀状凹部に前記光発電素子を1個ずつ収容する工程と、
前記成形キャビティの各椀状凹部内に収容された前記各光発電素子を上方から押さえ付けて前記各光発電素子の下部を前記可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込む素子押し込み工程と、
前記成形キャビティ内に前記透明樹脂の樹脂液を注入する工程と、
前記成形キャビティ内の前記樹脂液を硬化させて前記多数の光発電素子を透明樹脂でパネル状に一体化した光発電パネルを成形する工程と、
前記成形キャビティから前記光発電パネルを取り出す工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法。
【請求項9】
前記素子押し込み工程において、前記各光発電素子の下端を前記受け台の凹部の底面に当接又はほぼ当接させるように押し込むことで、前記各光発電素子の下部を前記可塑性シール材の内部にほぼ一定量だけ押し込むことを特徴とする請求項8に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項10】
前記光発電パネルの各光発電素子のうちの前記樹脂部から突出する部分に電極を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項11】
多数の粒状の光発電素子を配列して透明樹脂でパネル状に成形し、且つ各光発電素子の一部を樹脂部から露出させてその部分に電極を形成した光発電パネルを製造する方法において、
前記光発電素子のうちの前記樹脂部から露出する部分に前記電極を形成した後、レーザー光を前記電極に照射してシンタリングすることで、前記電極と前記光発電素子との接合部分にオーミックな接触抵抗部を形成することを特徴とする光発電パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−49831(P2006−49831A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159991(P2005−159991)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15−16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電技術研究開発革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発粒状シリコン太陽電池セル製造技術の研究開発」に係る委託業務、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】