説明

光線治療光キャップ

光線治療光キャップは、現在および将来の光療法の適切な照射要件を満たす光源を有す
る可撓性の大体半球状のキャップである。光線治療光キャップは、再充電可能電池源、光
源または光源のアレイ、光拡散器、およびドッキング・ステーションでもよい再充電源に
対するインタフェースを含むこともできる。あるいは、光線治療光キャップはいかなる市
販の頭部ドレッシングのための挿入物でもあってもよく、便利に再充電するのに適してい
ることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
後述する本発明は人間の頭皮における毛髪の成長および再生の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の毛髪の成長および再生を促進する光線治療を支援する相当な量の散発的な証拠が
ある。低レベル光線治療(LLLT)が1つ以上の狭いスペクトル窓の中で施される場合
は最も有益であるという更なる証拠が存在する。
【0003】
少なくとも3つの米国の製造業者、サネテックス(Sunetics)、ヘヤーマック
ス(HairMax)、およびレーザー・ヘヤー・セラピー(Laser Hair T
herapy)は、赤色光を頭皮に供給する製品を販売している。先行技術による照射の
方法は、通常診療室セッティングで、赤色光を頭部に供給する典型的なヘアサロン・ヘア
ドライヤー・フードと外観および寸法の点で類似である頭皮またはフルヘッド・フードを
横切ってゆっくり走査されなければならないLEDまたはレーザダイオードを使用してい
る「レーザー」櫛を含む。
【0004】
従来の光線治療法では、一般に、患者が、光櫛によって光自体を部位ごとに照射するこ
とによってか、あるいは医療またはサロン・セッティングにおいてフードの下に座ること
によって、治療を施す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光線治療の別の複雑化の要因は、週に3回、1回当り15分の治療要件の患者の
順守が、主として上記の問題点によって十分でないということである。薄くなっているが
相当な残りの頭髪を有するユーザーに対する別の深刻な欠点は、その危険な状態にある残
りの毛髪が治療の光がその頭皮に達することを妨げて、LLLTの有益な効果を排除する
かまたは実質的に減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は以下の各発明によって解決される。
【0007】
請求項1記載の発明は、電源と、電力コントローラと、前記電力コントローラの制御下
に前記電源により給電される複数の発光ダイオード(LED)であって、光線治療を患者
の頭皮に施す複数の発光ダイオードと、前記複数のLEDを固定して、支持するためのL
ED膜であって、該LED膜は凹内面を有する大体半球状の形状を形成するように形づく
られ、前記LEDは前記凹内面に取り付けられるLED膜と、前記LED膜を囲むための
キャップと、を備える携帯用の光線治療装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記LED膜と前記患者の頭皮の間に所定の距離を設けるため
に前記LED膜の前記凹内面に配置されている複数のブリスルをさらに備える請求項1に
記載の携帯用の光線治療装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、光線治療中に治療的な合成物を前記患者の頭皮に供給するため
に、前記複数のブリスルおよび前記LED膜の中に配置される複数の流体分配ルーメンを
さらに備える請求項2に記載の携帯用の光線治療装置である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記LED膜と前記患者の頭皮の間に配置される拡散器をさら
に備える請求項1に記載の携帯用の光線治療装置である。
【0011】
請求項5記載の発明は、電源と、電力コントローラと、前記電力コントローラの制御下
に前記電源により給電される複数の発光ダイオードであって、光線治療を患者の頭皮に施
す複数の発光ダイオードと、前記複数のLEDを固定して、支持するためのLED膜であ
って、該LED膜は凹内面を有する大体半球状の形状を形成するように形づくられ、前記
LEDは前記凹内面に取り付けられるLED膜と、前記LED膜を囲み、そして前記電源
および前記電力コントローラを支持するためのキャップと、備える携帯用の光線治療装置
である。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記LED膜と前記患者の頭皮の間に所定の分離をつくるため
に前記LED膜の前記凹内面に配置されている複数のブリスルをさらに備える請求項5に
記載の携帯用の光線治療装置である。
【0013】
請求項7記載の発明は、光線治療中に治療的な合成物を前記患者の頭皮に供給するため
に、前記複数のブリスルおよび前記LED膜の中に配置される複数の流体分配ルーメンを
さらに備える請求項6に記載の携帯用の光線治療装置である。
【0014】
請求項8記載の発明は、前記LED膜と前記患者の頭皮の間に配置される拡散器をさら
に備える請求項5に記載の携帯用の光線治療装置である。
【0015】
請求項9記載の発明は、患者の脱毛を治療し、そして防止する方法であって、前記患者
の頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る処置と、前記治療される頭皮域を覆って光線治療
装置を配置する処置であって、前記光線治療装置は、電源と、電力コントローラと、前記
電力コントローラの制御下に前記電源により給電される複数の発光ダイオードであって、
光線治療を患者の頭皮に施す複数の発光ダイオードと、前記複数のLEDを固定して、支
持するためのLED膜であって、該LED膜は凹内面を有する大体半球状の形状を形成す
るように形づくられ、前記LEDは前記凹内面に取り付けられるLED膜と、前記LED
膜を囲み、そして前記電源および前記電力コントローラを支持するためのキャップと、を
含む処置と、を含む方法である。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であっ
て、前記患者の頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、患者の毛髪を分けて前
記頭皮を露出させる処置と、前記部分に沿って前記頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る
処置と、をさらに含む方法である。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であっ
て、前記患者の頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、毛髪のボリュームを改
善するために熱活性化物質を塗る処置をさらに含む方法である。
【0018】
請求項12記載の発明は、請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であっ
て、前記患者の頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、脱毛を偽装するために
熱活性化物質を塗る処置をさらに含む方法である。
【0019】
請求項13記載の発明は、請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であっ
て、前記患者の頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、毛髪のボリュームを改
善するために光活性化物質を塗る処置をさらに含む方法である。
【0020】
請求項14記載の発明は、請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であっ
て、前記患者の頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、脱毛を偽装するために
光活性化物質を塗る処置をさらに含む方法である。
【0021】
本発明における後述する光線治療光キャップは、光治療のために適切なエネルギー線量
を供給する光源を有する可撓性の大体半球状のキャップである。光線治療光キャップは、
再充電可能な電池源と、光源または光源のアレイ、光拡散器、およびドッキング・ステー
ションであってもよい再充電源とのインタフェースを含むこともできる。あるいは、光線
治療光キャップはいかなる市販の頭部を覆うものまたはヘッドギアのための挿入物でもあ
ってもよく、その結果、それは使用中偽装できる。
【0022】
代替の光線治療装置は、LEDまたはレーザーのような1つ以上の光源、電源、および
光源から生じて着用者の頭皮の近くで終わる一連の光ファイバー撚り線を含む。光線治療
ハットは、源からの光をさまざまな光ファイバーへ分配する光スイッチまたは任意の適切
なスイッチ装置、スイッチを制御するプログラム可能な集積回路、および頭皮に対してフ
ァイバーの端子端部を保持する可撓性ポリマー・マトリックスを含むこともできる。マト
リックスは、いかなる適切なハット、例えば標準的な野球キャップの下にも収まるように
適合できる。光ファイバー撚り線の端子端部は、照明の分布を制御するために、任意の適
切な90度端子あるいは任意の適切な1つのレンズまたは複数のレンズを含むとよい。
【0023】
光線治療光キャップは、光線治療を多数の治療法、例えば、振動、マッサージ、閉塞(
頭皮熱および水分が逃げるのを防止することによって暖かい頭皮環境をつくる)、通風、
加熱、冷却、および様々な液体塗布の1つ以上と組み合わせてもよい。併用治療の方法は
、頭皮を露出させるために矢状中線に沿ってユーザーの毛髪を分ける処置と、矢状中線に
沿って頭皮に毛髪再生製剤(好ましくは充分な粘性のフォームまたはゲル)を塗る処置と
、熱及び閉塞を施すために治療する頭皮域の上に光線治療キャップを配置する処置とを含
む。これは、毛髪再生製剤を液化して、アルコールのような揮発性溶剤を閉じ込めて保つ
のに役立ち、そして毛髪再生剤として、そして毛髪再生製剤の経皮吸収を高めるために照
明を施す。
【0024】
代替の構成は、治療する頭皮域および関連ソフトウェアおよび赤外線照射装置のための
赤色トレーサ光の供給を制御することに適しているマイクロプロセッサに制御される光照
射回路を含むこともできる。代替の構成は、キャップ面からの治療的な光エネルギーをい
かなる毛髪も通って頭皮の表面まで伝えるために、1つ以上の光導体を含む。受動的な光
線治療光キャップは、非治療的であるか反治療的な周波数を有する不必要な光エネルギー
を除去するためにフィルターを提供できる。
【0025】
毛包成長を促進するエネルギー・スペクトルがあり、各吸収ピークは、スペクトルの可
視および赤外線の領域の4つのキー波長、特に、630nm、670nm、800nm、
および900nmを中央とする約20〜40nmの全スペクトル幅(最大値の半分で)を
有する。典型的照射レベルは1〜10J/cmからあり、10分以上の長さにわたって
供給され、より短い期間はより効果的でない。それで、個々の光源は適切な光源アレイを
構成し、各光源は頭皮の1平方センチメートルの領域をその平方cmにわたって集積され
る5〜10mWの総出力で照明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】光線治療光キャップの上面図
【図1B】図1Aの光線治療光キャップの側面図
【図1C】A−Aに沿って切った図1Aの光線治療光キャップの断面図
【図2A】LEDアレイの上面図
【図2B】アレイ回路の一部に接続しているLEDの接近図
【図2C】4つの直列LEDを有する光モジュールの略図
【図3】代替の光線治療光キャップの断面図
【図4】別の代替の光線治療光キャップの断面図
【図5】編まれた導体アレイの上面図
【図6】光導体を有する光線治療光キャップの断面図
【図7】高輝度源のための光導体構成の断面図
【図8A】高強度光源のためのビームスプリッター光分配系の上面図
【図8B】図8Aのビームスプリッター光分配系の側面図
【図9】多層光線治療格子の一部の平面図
【図9A】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図9B】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図9C】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図9D】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図10】多層光線治療と液体治療を組み合わせた格子の一部の平面図
【図10A】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図10B】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図10C】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図10D】図9の多層光線治療格子の一部の断面図
【図11】受動的な光線治療光キャップの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1A、1B、および1Cのキャップ10は、治療挿入物15として組み合わさるLE
Dアレイ12および拡散器14を保護して遮蔽するカバー11を含む。キャップ10は、
1つ以上の再充電可能電池、例えば電池16により給電され、1つのマイクロコントロー
ラまたは複数のマイクロプロセッサ20とともにつば19に固着できるスイッチ17を用
いて制御され得る。電池16は、ボタン・コネクタ/インタフェース、例えばコネクタ2
2を通して再充電されることができる。電源、電力コントローラ、およびスイッチは治療
挿入物から切り離されて、任意の適切な線を通して電力を供給することもできる。
【0028】
図2Aに示すように、治療挿入物は、大体半球状のキャップを形成するためにそれらの
端に固定できる、いくつかの三角形、部分、またはゴア23A、23B、23C、23D
、23E、および23Fを含む。アレイ12のような各ゴアのLEDアレイは大体同じで
ある。各LEDアレイは、同時または別々に制御されることができて、別々に制御される
サブアレイからそれぞれ成ることができる。この種の部位制御は、臨床試験研究にとって
、または光線治療を頭皮のいろいろな部位に差別的に加えるために望ましい。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、各ゴア、例えばゴア23A、23B、23C、23D、23E
、または23FのLEDの構成を例示する。LEDアレイは、すべてのLED陽極25A
が共通して接続され、そしてすべてのLED陰極25Cが共通して接続されて図示するよ
うに直列に配線されることができる。あるいは、図2Cの光モジュール29のような光モ
ジュールは、LED陽極25AとLED陰極25Cの間に接続されることができる。各光
モジュール内に、電流制限抵抗29Rと直列の4つのLED29Dがある。この構成によ
って、各光モジュールに対する電圧はより高くなるが、全電流はより低くなるので、抵抗
加熱が低下し、従って消費電力が小さくなる。直列抵抗29Rは、単一のLED、例えば
LED29Dによって許容できる値に電流を制限することによって、ユニットの破局的故
障を防止する。
【0030】
ゴア23Aのような各ゴア、花弁状のもの、翼、またはセクターは別々に制御すること
ができる。このように、ゴア23A、23B、および23Cがキャップおよびゴア23D
の右側にある場合、23Eおよび23Fはキャップの左側にあり、そしてゴア23Aおよ
び23Fはキャップの前面にあり、そしてゴア23Cおよび23Dはキャップの後ろにあ
る。この構成では、典型的な男性パターンの禿頭は主にゴア23Cおよび23Dを使用し
て治療されることができ、そして典型的な女性の正面中心の禿頭は主にゴア23Aおよび
23Fを使用して治療されることができる。特定のセクター制御によって、各セクターは
時間または強度に関して独立して制御されることができる。
【0031】
光線治療光キャップは赤色光光線治療照射に関して説明されるが、それは他のいかなる
波長光学的治療法にも適用するために用いることができる。例えば、キャップ光ディスペ
ンサーは、一部のユーザーによって好まれる広域スペクトル白色光療法を提供するために
用いることができる。蛍光物質層を有する青色LEDから成る市販の白色光LEDは、典
型的な明るい日光輝度レベルまで、そしてそれを超える所望の強度を提供する。現在の治
療キャップまたはキャップ挿入物の概念は、熱または冷却挿入物あるいは電磁気治療まで
広げられることもできる。光線治療光キャップは、同時にこれらおよび他の治療法のいか
なる組合せも提供するように構成されることもできる。
【0032】
光線治療光キャップは、加えて、多数の治療法、例えば、振動、マッサージ、閉塞(頭
皮熱および水分が逃げるのを防止することによって暖かい頭皮環境をつくる)、換気、加
熱、冷却、および様々な液の塗布の一つ以上を組み合わせることができる。例えば、女性
の毛髪再生のための併用治療は次の処置を含む。
1. ユーザーの毛髪を矢状中線に沿って分けて、頭皮を露出させる。
2. 矢状中線に沿って頭皮に毛髪再生製剤、好ましくは充分な粘性のフォームまた
はゲルを塗る。
3. 光線治療キャップを治療する頭皮部位の上に置いて、熱および閉塞を施して、
毛髪再生製剤を液化し、そして毛髪再生因子として照明を施すと共に揮発性溶剤(例えば
、アルコール)を閉じ込めて、製剤の経皮吸収を改善する。
【0033】
男性の毛髪再生のための併用治療は次の処置を含む。
1. 毛髪再生製剤を全ての病気に冒された頭部(前部、上部、頂部、後頭部)に塗
る。
2. 毛髪に僅かに入り込む。
3. 光線治療キャップを治療する頭皮部位の上に置いて、熱および閉塞を施して、
毛髪再生製剤を液化し、そして毛髪再生因子として照明を施すと共に揮発性溶剤(例えば
、アルコール)を閉じ込めて、製剤の経皮吸収を改善する。
【0034】
両方の実施例において、毛髪再生製剤は、熱活性化および/または熱硬化物質、光活性
化および/または光硬化物質でありうるケラチン様粉または頭皮染料とともに、毛髪のボ
リュームを出す、および/またはカムフラージュのための要素を含むこともできる。そし
て光線治療キャップは、美容製剤を物理的および/または化学的に変化させて、適切な美
容効果を提供するために、熱及び照明を施すことができる。
【0035】
毛髪が頭皮に対して有意な光シールドを呈しない非常に薄い毛髪に適している第1構成
を示す図1Cを参照すると、拡散器14のような高前方散乱拡散器が発光体アレイ12に
近接近して用いることができて、一様な照明を達成して、頭皮と光源の間に非常に短い距
離だけしか必要としない。拡散器は、本質的に散乱する、通常乳白色のプラスチック、誘
電散乱体を含浸させたプラスチックおよび標準の撮影者が使用する白い拡散器布などを用
いることができる。
【0036】
薄膜拡散器構成における拡散器は写真用プラスチック前方散乱膜でもよくて、例えば、
適切な拡散器を作製するために必要に応じて折りたためる。完全な電力レール、LED、
拡散器の組合せは5mm未満の厚さを有することができる。さまざまな高前方散乱物質お
よび設計材料は、最適に薄くて有効な拡散器を作製するために用いることができる。拡散
器出力が頭皮を一様な照射で明るくするように、拡散器は、好ましくは広角LED出力ビ
ームを角度で更に外へ広げると共に、光の最小限の減衰を有しなければならない。目的は
、拡散器を一様に輝く前方発光体として見えるようにすることである。
【0037】
ここで図3を参照すると、毛髪がLLLT照明を非現実的に通さないほどに十分細いと
きに、一様な頭皮照明は、好ましくは、個々のLEDビームが適切に発散して一様な照明
を達成するための十分な分離を維持するために適切なパターンのLEDアレイの下にある
ブリスル(Bristle)から成る発光体・頭皮分離層を用いて結合される広角放出面
発光LEDのアレイの空間分離により達成されることができる。LED基板24は1つ以
上のLED、例えばLED25を支持する。スペーサー26は、LEDの光エネルギー放
射を最適化して、頭皮1を一様に照らすために、LEDに対して向けられた複数の開口部
27を含む。スペーサー26は、LED25と頭皮1との所定の隙間を維持するために、
1つ以上のブリスル、例えばブリスル28を含む。
【0038】
広角LEDは、個々のビームが一様な強度の面照明を達成するように十分に発散できる
ために、LEDアレイと頭皮面の間に短い距離を保つことによって、拡散器なしで用いる
ことができる。実験は、LEDアレイより上のさまざまな高所の位置に関して吸収される
エネルギーを測定するために、トランスインピーダンス構成において線形化されるフォト
ダイオードを使用して実行された。6mmの分離の場合だけビームは照らされた平坦面全
体の20%を変化させた。9mmの間隔の場合は、変化は3%未満であった。5mm〜1
0mmのスペーサー・ブリスルを有する簡単なLEDアレイは十分な一様性を頭皮に提供
する。
【0039】
一様な照明を達成するための別の代替の技術は、導波管によって源から不透明な毛髪の
ボリュームの大部分の下の位置へ治療的な光エネルギーを再方向付けすることによる。こ
こで図4を参照すると、導波管30のような1つ以上の導波管は、放出面30Eから広角
放出物を発するより小さい導波管部に、断熱テーパー30Tの後に結合される整列許容限
度を緩和するために広い直径LED側面30Aを有する設計を使用できる。追加スペーサ
ー・ブリスルはまた一様性を達成するために「毛髪バイパス」光導体を提供できる。
【0040】
図5に示したように、光源アレイは、図5の導体アレイ31のような編んだ導体アレイ
の、または可撓性プリント基板の格子位置に配置されることができる。この単一層ボード
は2つの薄いポリイミド層にはさまれた銅の相互接続層から成る。
【0041】
ここで図6を参照すると、LEDアレイ32は、毛髪を突き通って頭皮1で終わり頭皮
と接触する光導体35Lを通して光を内向きに頭皮に向ける、共同位置合わせされたレン
ズおよび導波管アレイ35を照らす。頭皮レベルで、光導体からの光エネルギーは全下方
へ再放出するように散乱されて、ほぼ一様な照明を頭皮に浴びせ、それより上の毛髪を回
避する。
【0042】
頭皮と接触する散乱バルブ36は、例えば、それが大体一様に頭皮を照らすように、ほ
とんど損失無しに光を屈折および/または反射するが、バルブ周辺でそれを再方向付けす
る、好ましくは球形の単一または複数の反射および/または屈折要素でもよい。
【0043】
ここで図7を参照すると、光導体38のような別の光案内構成は、毛髪、例えば毛髪3
4を越えて頭皮へ治療光を伝導するために屈折および反射を利用する。光源39はLED
または他の適切な光源、例えばレーザーでもよい。光40は、一体化した、好ましくはプ
ラスチックの導波管チャネル38によって取り込まれ、このチャネルは源からの光40を
集めて、焦束して、そしてそれを含まれた散乱器44に向けて下方へ再方向付けする。そ
れから下方への光は頭皮の方へ一様に向けられる。
【0044】
ここで図8Aおよび8Bを参照すると、高輝度光源37はLEDまたは他の適切な光源
、例えばレーザーでもよい。光40は、一体化した、好ましくはプラスチックの導波管チ
ャネル41によって取り込まれ、このチャネルはスプリッター42A、42B、および4
2Cを用いて光40を集めて、繰り返して分割し、そして複数の再エミッター位置、例え
ば拡散器43で下方へそれを毛髪に再方向付けする。下方への光は、頭皮、拡散器、また
は次の追加導波管要素に向けられることが可能である。
【0045】
LEDアレイの毛髪・バイパス構成のための導波管は、可撓性の1mm直径のアクリル
・ロッドから造られることが可能である。ロッド・アレイ端から9mmの間隔の放出は一
様である。整列許容度は1mm直径のロッドに対して厳しく、そして出力発散角度は元の
LED源よりいくらか小さい。これらの限界の両方とも、より大きいエミッター側直径、
例えば2mm、およびより小さい出力直径、通常0.5mmを有するテーパー付きロッド
を用いて都合よく越えることができる。
【0046】
例えば、蛍光、白熱、レーザダイオード、LED、およびフォトルミネセンス源によっ
て、所望の総出力レベルで所望の波長バンドの光を発生させる多くの方法があるけれども
、光を分配する適切な方法は発光ダイオードのアレイを用いることであり、何故ならば、
発光ダイオードは、作動電圧が低くて、電気的に効率的であり、低コストであると共に光
出力要件を満たし、広い放出角度を有し、従って比較的細い介在拡散器で広域を大体一様
に照らすことが可能であるので好ましい。より少ないダイオードまたは単一のダイオード
源は、それらの出力が幅広い表面から全く一様に放射するように向けられることが可能で
あるが、源は濃縮熱負荷および光源を表し、そして光分配要件によって負担をかけられる

【0047】
面発光の発光ダイオードが現在好ましく、何故ならそれらは高さが低く、そしてごくわ
ずかな面積または厚みの光実装場所で発光できるからである。全体の治療装置ができるだ
け着用しやすくて邪魔でないように、薄い拡散光源挿入物が好ましい。理想的な装置は電
池式である(治療挿入物に組み込まれるかまたは結びつけられる再充電可能電池による)
。適切な再充電可能なマトリックスは、1kgにつき100ワット・時間を超えるエネル
ギー密度を有するリチウム・イオン・ポリマーを含む。例えば、300cmにわたって
10J/cmを用いて成人頭部全体を覆うために、3キロジュールのエネルギーを必要
とする。20%の電気・光変換効率の場合は、照射当たり15キロジュールの蓄積エネル
ギーが必要であり、それは5Wh未満の電池蓄積容量または50グラムの重量の蓄積媒体
に等しい。典型的な野球キャップは約80グラムの重さであり、その結果、電池、接続マ
トリックス、光源、および光拡散器を含む挿入物自体は典型的キャップの倍以下の重量を
必要とする。
【0048】
LEDアレイが頭皮に不快な熱レベルを生成しそうでないけれども、さまざまな電気的
または受動的な熱伝導手段によって、熱負荷をキャップの他の場所またはキャップの外面
に移動することが可能である。冷却は、必要に応じて、ペルティエ・セルによって達成す
ることが可能であり、熱はキャップのつばまたは外面において放散される。対流冷却のた
めの通気口のアレイを作製することは、頭皮に向けられる光度を大きく減らさずに達成す
ることもできる。
【0049】
図9は、基板層46、オプトエレクトロニクス層48、およびキャッピング層50から
形成される多層光線治療格子45の一部を例示する。頭皮側の層である基板層46はブリ
スル51のようなブリスルのアレイを含むこともできる。オプトエレクトロニクス層48
は、陽極アレイ48Aのような可撓性導体アレイおよび陰極アレイ48CならびにLED
52のようなLEDを含み、LED52は陽極アレイ48Aと陰極アレイ48Cの間には
んだ付けされるかまたは電気的に接続している。キャッピング層50はオプトエレクトロ
ニクス層48のための気密シールを生成する。複数の層および/またはブリスルは、シリ
コーンのような何か適切な可撓性材料から形成することができて、何か適切な色または透
明で形成できる。格子45も、重量を減らして、格子による良好な換気を提供するために
、通気開口53のような通気開口を含む。
【0050】
図10は、多層治療格子の他の態様を示す。マルチモード多層治療格子54は、基板層
55、オプトエレクトロニクス層57、流体分配層59、およびキャッピング層61を含
む。頭皮側の層である基板層55はブリスル62のようなブリスルのアレイを含むことも
できる。オプトエレクトロニクス層57は、陽極アレイ57Aのような可撓性導体アレイ
および陰極アレイ57CならびにLED63のようなLEDを含み、LED63は陽極ア
レイ57Aと陰極アレイ57Cの間にはんだ付けされるかまたは電気的に接続している。
流体分配層59は、低レベルの光治療において、または同時治療として援助するために、
治療流体、フォーム、合成物、および/または製剤の同時供給のための複数の相互接続し
た流体分配ルーメンまたはチャネル64を含む。キャッピング層61は流体分配層59お
よびオプトエレクトロニクス層57のための気密シールを生成する。複数の層および/ま
たはブリスルは、シリコーンのような何か適切な可撓性材料から形成することができて、
何か適切な色または透明で形成できる。格子54も、重量を減らして、格子による良好な
換気を提供するために、通気開口65のような通気開口を含む。
【0051】
ここで図11を参照すると、受動的な光治療キャップ66は、治療波長だけを患者の頭
皮に供給するように外部の光源(部屋照明または日光)を除去するために用いることがで
きる。受動的な光線治療は通常、日光のような強度の「白色光」源を含み、可視スペクト
ルの緑および青色域が高輝度で有害であるので、それは毛髪の成長治療に効果的でない。
従って、日光療法は頭皮に治療波長だけを通すことによって達成できる。制限された波長
光線治療のこの種の構成は、それが受動的であり、そして選択の光源、日光、は無料で遍
在するので使用できる。この種の受動的なキャップは紫外線被爆を防止するようにも構成
できる。
【0052】
波長に特有の減衰を達成することはさまざまな方法で可能である。例えば、さまざまな
染料を有するポリマー・マトリックスから成る膜に塗られるフィルター要素67は、赤の
みの透明性を達成できる。より高度の多層誘電体膜は、相対的な冷却を供給するために、
スペクトルの青および緑の部分の反射率を提供できる。この種の膜(それは不必要な波長
を反射するよりはむしろ、吸収するために含まれることもある)は、よりきつい波長に特
有の治療または新規のための複雑なスペクトル形状を有するように変えることができる。
【0053】
太陽スペクトルの赤い波長領域は、10〜30分間にわたって十分な照射(10J/c
)を供給するのに十分強い。異なる雲量、季節、地理的な位置などが光パワーレベル
を変えるので、この技術は選択的に、ユーザーにそれらがいつ被爆の選択された程度を達
成したかについて知らせる再設定可能な線量計要素68を提供する。
【0054】
装置および方法の好ましい実施形態がそれらが開発された環境に関して説明されたが、
それらは単に本発明の原則を例示するだけである。他の実施形態および構成が、本発明の
精神および添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱しないで考案されることができる。
【符号の説明】
【0055】
10 キャップ
11 カバー
12 LEDアレイ
14 拡散器
15 挿入物
16 電池
17 スイッチ
19 つば
20 マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ
22 コネクタ
23A〜23F ゴア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
電力コントローラと、
前記電力コントローラの制御下に前記電源により給電される複数の発光ダイオード(L
ED)であって、光線治療を患者の頭皮に施す複数の発光ダイオードと、
前記複数のLEDを固定して、支持するためのLED膜であって、該LED膜は凹内面
を有する大体半球状の形状を形成するように形づくられ、前記LEDは前記凹内面に取り
付けられるLED膜と、
前記LED膜を囲むためのキャップと、
を備える携帯用の光線治療装置。
【請求項2】
前記LED膜と前記患者の頭皮の間に所定の距離を設けるために前記LED膜の前記凹
内面に配置されている複数のブリスルをさらに備える請求項1に記載の携帯用の光線治療
装置。
【請求項3】
光線治療中に治療的な合成物を前記患者の頭皮に供給するために、前記複数のブリスル
および前記LED膜の中に配置される複数の流体分配ルーメンをさらに備える請求項2に
記載の携帯用の光線治療装置。
【請求項4】
前記LED膜と前記患者の頭皮の間に配置される拡散器をさらに備える請求項1に記載
の携帯用の光線治療装置。
【請求項5】
電源と、
電力コントローラと、
前記電力コントローラの制御下に前記電源により給電される複数の発光ダイオードであ
って、光線治療を患者の頭皮に施す複数の発光ダイオードと、
前記複数のLEDを固定して、支持するためのLED膜であって、該LED膜は凹内面
を有する大体半球状の形状を形成するように形づくられ、前記LEDは前記凹内面に取り
付けられるLED膜と、
前記LED膜を囲み、そして前記電源および前記電力コントローラを支持するためのキ
ャップと、
備える携帯用の光線治療装置。
【請求項6】
前記LED膜と前記患者の頭皮の間に所定の分離をつくるために前記LED膜の前記凹
内面に配置されている複数のブリスルをさらに備える請求項5に記載の携帯用の光線治療
装置。
【請求項7】
光線治療中に治療的な合成物を前記患者の頭皮に供給するために、前記複数のブリスル
および前記LED膜の中に配置される複数の流体分配ルーメンをさらに備える請求項6に
記載の携帯用の光線治療装置。
【請求項8】
前記LED膜と前記患者の頭皮の間に配置される拡散器をさらに備える請求項5に記載
の携帯用の光線治療装置。
【請求項9】
患者の脱毛を治療し、そして防止する方法であって、
前記患者の頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る処置と、
前記治療される頭皮域を覆って光線治療装置を配置する処置であって、前記光線治療装
置は、
電源と、
電力コントローラと、
前記電力コントローラの制御下に前記電源により給電される複数の発光ダイオードで
あって、光線治療を患者の頭皮に施す複数の発光ダイオードと、
前記複数のLEDを固定して、支持するためのLED膜であって、該LED膜は凹内
面を有する大体半球状の形状を形成するように形づくられ、前記LEDは前記凹内面に取
り付けられるLED膜と、
前記LED膜を囲み、そして前記電源および前記電力コントローラを支持するための
キャップと、
を含む処置と、
を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であって、前記患者の頭皮に治療
的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、
患者の毛髪を分けて前記頭皮を露出させる処置と、
前記部分に沿って前記頭皮に治療的な毛髪再生合成物を塗る処置と、
をさらに含む方法。
【請求項11】
請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であって、前記患者の頭皮に治療
的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、毛髪のボリュームを改善するために熱活性化物質
を塗る処置をさらに含む方法。
【請求項12】
請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であって、前記患者の頭皮に治療
的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、脱毛を偽装するために熱活性化物質を塗る処置を
さらに含む方法。
【請求項13】
請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であって、前記患者の頭皮に治療
的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、毛髪のボリュームを改善するために光活性化物質
を塗る処置をさらに含む方法。
【請求項14】
請求項9に記載の脱毛を治療し、そして防止する方法であって、前記患者の頭皮に治療
的な毛髪再生合成物を塗る前記処置が、脱毛を偽装するために光活性化物質を塗る処置を
さらに含む方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図10】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−524648(P2010−524648A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506482(P2010−506482)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/061350
【国際公開番号】WO2008/144157
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509294313)トランスダーマル キャップ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Transdermal Cap,Inc.
【住所又は居所原語表記】938 Chestnut Run,Gates Mills,OH 44040,United States of America
【Fターム(参考)】