説明

光触媒からなるスプレー式除菌分解剤

【課題】一般の人が手軽に使用できるスプレー式の光触媒からなる除菌分解剤の提供を目的とする。
【解決手段】水系で製造された光触媒とジメチルエーテル(DME)を充填したスプレー缶にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を用いたスプレー式の除菌及び分解剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の酸化チタンには光が照射されることにより酸化分解能が出現し、細菌の除菌、殺菌作用や有機物の分解作用があることは公知である。
また、酸化チタンの結晶形によっても出現する光触媒作用に大きな相違が認められることも知られていて、例えば特許文献1,2には、鑓型形状の酸化チタン結晶粒子と球型形状の酸化チタン結晶粒子とを組み合せたウィルス力価低下含有体を開示する。
しかし、これら従来の光触媒は建築物内装材、家電機器等にコーティング使用されているものの、高いコーティング技術と専用設備が必要であり、一般家庭には普及されていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4240505号公報
【特許文献2】特許第4240508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一般の人が手軽に使用できるスプレー式の光触媒からなる除菌分解剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る除菌分解剤は、水系で製造された光触媒とジメチルエーテル(DME)を充填したスプレー缶にしたことを特徴とする。
ここで水系で製造された光触媒とは光触媒の製造に用いる分散液、溶解液、沈殿物生成液等に水溶液を用いたことを意味する。
このように水系で製造された光触媒は親水性が高く、ジメチルエーテルとの親和性が高いので、このジメチルエーテルを噴射剤に用いたスプレー缶にすることが可能になったものである。
本発明にて除菌分解剤は、除菌、殺菌作用及び有機物の分解作用を有するものをいう。
【0006】
また、本発明において、水系で製造された光触媒はOH基を有する酸化チタンであってよく、このような酸化チタンの例としてはペルオキソ基で修飾された酸化チタン分散水溶液にOH基を有する球型酸化チタンを混合したものが挙げられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、水系で製造された光触媒を用いたことにより、ジメチルエーテルとの混合が可能になり、スプレー缶に充填することができる。
これにより、一般の人が家庭や職場等にて手軽に使用することが可能になる。
また、使用方法も広がり、例えば家庭では、玄関、下駄箱、客間、リビング、キッチン、寝室、子供室等において、手軽に壁、天井、照明器具、カーテン、ブラインド、家具等のあらゆる所にスプレーすることで除菌、抗菌、及び脱臭が可能となる。
また、車両のシートや車内にスプレーすることで車内の除菌や脱臭ができる。
さらには、病院の待合室、病室又は学校、保育園、交通機関内等においてもスプレーすることでウィルス等の感染予防に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る光触媒からなる除菌分解剤をスプレー缶に充填した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に本発明に係るスプレー缶式除菌分解剤の例を示す。
スプレー缶を構成する耐圧容器1に水系で製造された光触媒と噴射液としてのジメチルエーテル(DME)との混合液を内容物6として充填してある。
耐圧容器内にはチューブ5を配設し、チューブ5の先がノズル4につながり、途中に弁3aを有する。
噴霧ボタン3を押すとこの弁3aが開き、ノズル4から内容物がスプレーされる。
また、使用しないときはキャップ2を装着する。
【0010】
光触媒を含有する水系原液とDMEとの混合割合は、スプレー圧、スプレー量等を考慮して設定される。
例えば、本実施例では、上記原液とDMEとを質量にて60:40の割合で混合した。
混合割合は概ね原液:DME=70:30〜50:50の範囲である。
【0011】
水系で製造された光触媒としては特許文献1,2に開示する酸化チタンの結晶粒子を用いることができる。
例えば、鑓型形状の結晶粒子からなる酸化チタン原液は、水系で水酸化チタンの沈殿物を生成させ、これを水に懸濁させた状態で過酸化水素水を加えることでペルオキソ基で修飾されたOH基含有酸化チタンを得ることができる。
また、これにイルメナイト鉱石の硫酸反応液から硫酸塩を回収し、これを加水分解し、得られた水酸化チタンを焼成したOH基含有球型酸化チタンの微粒子を混合してもよい。
これらの水系で製造された酸化チタンはOH基を有しているのでDMEとの親和性が高く、スプレー缶にすることが可能になる。
【符号の説明】
【0012】
1 耐圧容器
2 キャップ
3 噴霧ボタン
3a 弁
4 ノズル
5 チューブ
6 内容物(光触媒DME)
10 スプレー缶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系で製造された光触媒とジメチルエーテル(DME)を充填したスプレー缶にしたことを特徴とする除菌分解剤。
【請求項2】
水系で製造された光触媒は、OH基を有する酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載の除菌分解剤。
【請求項3】
OH基を有する酸化チタンはペルオキソ基修飾酸化チタン分散水溶液にOH基を有する球型酸化チタンを混合したものであることを特徴とする請求項2記載の除菌分解剤。

【図1】
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【公開番号】特開2011−67751(P2011−67751A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220700(P2009−220700)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(509250593)吉本土地建物株式会社 (1)
【Fターム(参考)】