説明

光記録型表示媒体および記録装置

【課題】光記録型の表示媒体へ画像を記録する記録装置を小型化すること。
【解決手段】光記録型の表示媒体である電子ペーパ200は、記録装置100の筐体101の遮光領域外においては、電気調光層が遮光状態となり、筐体101の遮光領域内において透過状態となることにより、筐体101の遮光領域内においては、記録光141aが表示層に照射されて画像が記録され、筐体101の遮光領域外においては、電気調光層によって表示層への外光の照射が妨げられ、画像が記録されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録型表示媒体および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパなどの表示媒体には、例えば、特許文献1に開示されているように、照射された記録光に応じた画像を記録し、記録された画像を表示する光記録型の表示媒体がある。記録光が照射される面全体は、他の光が照射されないように、記録光を照射する記録装置の筐体により外光が遮光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−298818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光記録型の表示媒体へ画像を記録する記録装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る光記録型表示媒体は、照射される光に応じた画像を記録し、前記画像を表示する表示層と、前記表示層に画像を記録する光が照射される面側に設けられる調光層であって、前記光を減衰させ前記表示層への画像の記録を妨げる透過率を有し、前記調光層の一部領域に対する予め決められた処理によって、前記一部領域を透過して前記表示層に照射される光により画像が記録されるように、前記一部領域の透過率が変化する調光層とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る光記録型表示媒体は、請求項1の構成において、前記調光層は、印加電圧に応じて透過率が変化する複数の領域に分割され、前記一部領域に対する予め決められた処理は、前記領域の各々に対する電圧の印加処理であることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る光記録型表示媒体は、請求項1の構成において、前記一部領域に対する予め決められた処理は、温度を上昇させる処理であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る光記録型表示媒体は、請求項1の構成において、前記一部領域に対する予め決められた処理は、前記表示層に対して照射される光とは波長の異なる光を照射する処理であることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る光記録型表示媒体は、請求項1乃至請求項4のいずれかの構成において、前記表示層の画像が表示される面と画像を記録する光が照射される面とは対向していることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る記録装置は請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光記録型表示媒体における前記画像を記録する光が照射される記録面の一部が前記遮光部によって遮光され、前記遮光された遮光領域が前記記録面を移動するように、前記光記録型表示媒体と前記遮光部との相対位置関係を変化させる移動手段と、前記遮光領域内の前記調光層の一部領域に対して、前記予め決められた処理を施す透過率制御手段と、前記透過率制御手段によって透過率が変化された前記調光層の一部領域を透過して、前記表示層に対して、記録すべき画像に応じた光を照射する照射手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る記録装置は、照射される光に応じて記録される画像を表示する表示媒体に対して、前記光が照射される面側に重ねて用いられる調光媒体であって、前記光を減衰させ前記表示媒体への画像の記録を妨げる透過率の調光層を有し、前記調光層の一部領域に対する予め決められた処理によって、前記一部領域を透過して前記表示媒体に照射される光により画像が記録されるように、前記一部領域の透過率が変化する調光媒体と、外光を遮光する遮光部と、前記表示媒体が重ねられる面側と対向する前記調光媒体の面の一部の領域が前記遮光部によって遮光され、前記遮光された遮光領域が当該面を移動するように、前記表示媒体が重ねられた前記調光媒体と前記遮光部との相対位置関係を変化させる移動手段と、前記遮光領域内の前記調光層の一部領域に対して、前記予め決められた処理を施す透過率制御手段と、前記透過率制御手段によって透過率が変化された前記調光層の一部領域を透過して、前記表示媒体に対して、記録すべき画像に応じた光を照射する照射手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、光記録型の表示媒体の表示部全てを記録装置内に納める構成を用いる場合に比して、光記録型の表示媒体へ画像を記録する記録装置を小型化することができる。
本発明の請求項2に記載の発明によれば、記録装置外の表示媒体の遮光を電気制御で行うことができる。
本発明の請求項3に記載の発明によれば、記録装置外の表示媒体の遮光を温度制御で行うことができる。
本発明の請求項4に記載の発明によれば、記録装置外の表示媒体の遮光を光の制御で行うことができる。
本発明の請求項5に記載の発明によれば、同構成を有しない場合に比して、表示媒体の画像の表示面の視認性を向上させることができる。
本発明の請求項6に記載の発明によれば、光記録型の表示媒体の表示部全てを記録装置内に納める構成を用いる場合に比して、光記録型の表示媒体へ画像を記録する記録装置を小型化することができる。
本発明の請求項7に記載の発明によれば、光記録型の表示媒体の表示部全てを記録装置内に納める構成を用いる場合に比して、光記録型の表示媒体へ画像を記録する記録装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る電子ペーパの外観図である。
【図2】第1実施形態に係る電子ペーパの表示領域における構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る記録装置の外観の説明図である。
【図5】第1実施形態に係る記録装置と電子ペーパの関係を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る電子ペーパの表示領域における構成を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る記録装置の外観の説明図である。
【図9】第3実施形態に係る電子ペーパの表示領域における構成を示す図である。
【図10】第3実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第3実施形態に係る記録装置の外観の説明図である。
【図12】変形例1に係る記録装置の外観の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電子ペーパ200の外観図である。照射される光に応じた画像を記録し、記録した画像を表示する光記録型の表示媒体である電子ペーパ200は、記録した画像を表示する領域である表示領域201を有し、この例においては、表示領域201は、5つの領域に分割され、それぞれ、第1表示領域201−1、第2表示領域201−2、第3表示領域201−3、第4表示領域201−4、第5表示領域201−5という。また、電子ペーパ200は、接地電極221、記録電極261、分割電極343を有している。分割電極343は、表示領域201の分割された各領域に対応して設けられた複数の電極であり、それぞれ第1分割電極343−1、第2分割電極343−2、第3分割電極343−3、第4分割電極343−4、第5分割電極343−5という。各電極は、この例においては、画像が表示される面(以下、表示面という)側に設けられているが、その一部または全部が表示面と対抗する面(以下、記録面という)側に設けられていてもよい。この電子ペーパ200は、後述するように記録装置100に搬送されるときは、図示の矢印の方向に搬送される。
【0016】
図2は、本発明の第1実施形態に係る光記録型の表示媒体である電子ペーパ200の表示領域201における構成を示す図である。電子ペーパ200は、表示層2000と調光層3000とを有する。表示層2000は、電子ペーパ200において、照射される光に応じた画像を記録し、記録した画像を表示する機能を有する部分である。
【0017】
表示層2000は、透明電極220、260、光導電層230、着色層240、および液晶層250を有し、フィルム基板210、270間に設けられている。表示層2000は、透明電極220、260間に予め設定された電圧(以下、記録電圧という)が印加されているときに照射された光に応じて画像が記録され、記録される画像を表示面側に表示されるようになっている。表示層2000においては、画像の記録が複数回行えるようになっている。
【0018】
フィルム基板210、270は、電子ペーパ200の表示層2000を保護するために設けられた層である。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)である。フィルム基板210は画像を記録するときに光が照射される記録面側に設けられている。フィルム基板270は、表示面側に設けられている。透明電極220、260は、例えば、ITO(酸化インジウム錫)を有する層である。透明電極220、260は、それぞれ図1に示す接地電極221、記録電極261と接続され、それらの電極に電圧が印加されると、透明電極220、260間に電位差が生じる。
【0019】
光導電層230は、照射される光の強度に応じて光電荷が発生することにより、その導電率を異ならせる導電体を有する層である。光導電層230としては、例えば、有機光導電体を用いる。着色層240は、液晶層250が光を透過する場合に観察される層であり、あらかじめ決められた色(例えば、黒)になっている。液晶層250は、印加される電圧に応じて光の反射状態を異ならせる表示素子を含む層であって、バインダー樹脂中にマイクロカプセル状のコレステリック液晶表示素子を分散させたものである。コレステリック液晶表示素子は、配向状態として、プレーナ配向状態とフォーカルコニック配向状態とになりうる。コレステリック液晶表示素子は、プレーナ配向状態の場合は光を反射(ブラッグ反射)して、あらかじめ決められた色を呈し、フォーカルコニック配向状態にある場合は光を透過して着色層240の色を呈する。以上が、電子ペーパ200の表示層2000における構成の説明である。
【0020】
電子ペーパ200の調光層3000の構成を説明する。調光層3000は、電子ペーパ200の表示領域201の一部の領域に対して、画像を記録する記録光に対する透過率を変化させる機能を有する部分である。調光層3000は、透明電極320、分割透明電極340、電気調光層330を有し、フィルム基板210、310間に設けられている。分割透明電極340は、表示領域201の分割された各領域に対応して設けられた複数の電極であり、それぞれ第1分割透明電極340−1、第2分割透明電極340−2、第3分割透明電極340−3、第4分割透明電極340−4、第5分割透明電極340−5という。
【0021】
フィルム基板310は、電子ペーパ200の調光層3000を保護するために設けられた層である。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)である。フィルム基板310は、記録面側に設けられている。
【0022】
透明電極320、分割透明電極340は、例えば、ITO(酸化インジウム錫)を有する層である。透明電極320は、上述の透明電極220とともに、接地電極221と接続され、分割透明電極340の第1分割透明電極340−1、第2分割透明電極340−2、第3分割透明電極340−3、第4分割透明電極340−4、第5分割透明電極340−5は、それぞれ第1分割電極343−1、第2分割電極343−2、第3分割電極343−3、第4分割電極343−4、第5分割電極343−5と接続されている。これにより、例えば、接地電極221と第1分割透明電極340−1に電圧が印加されると、透明電極320、第1分割透明電極340−1間に電位差が生じる。
【0023】
電気調光層330は、例えば、エレクトロクロミック材料から形成されている。電気調光層330は、電位差のない通常の状態において、光の透過率が低い状態(以下、遮光状態という)であり、予め設定された電圧(以下、調光電圧という)の電位差が生じると光の透過率が高い状態(以下、透過状態という)に変化するものである。ここで、遮光状態に対応する光の透過率が低いとは、電気調光層330を通過した光の強度が、表示層2000への画像の記録を妨げる強度にまで減衰する透過率を示すものである。すなわち、表示層2000の透明電極220、260間に記録電圧が印加されているときであっても、透過率が低い状態の電気調光層330を通過した光では、画像を記録するために必要な強度に達しない。
【0024】
一方、透過状態に対応する光の透過率が高いとは、電気調光層330を通過した光の強度が、表示層2000への画像の記録を行う強度を保つ透過率を示すものである。すなわち、表示層2000の透明電極220、260間に予め設定された電圧が印加されているときに、透過率が高い状態の電気調光層330を通過した光により画像が記録される。
【0025】
図3、図4を用いて、記録装置100の構成を説明する。図3は本発明の第1実施形態に係る記録装置100の構成を示すブロック図である。図4は第1実施形態に係る記録装置の外観の説明図である。図4(a)は、電子ペーパ200を搬送する記録装置100を側面方向から見たときの構成を説明する図であり、図4(b)は、図4(a)の上側(電子ペーパ200の表示面側)方向から見たときの構成を説明する図である。
【0026】
記録装置100は、制御部110、操作部120、搬送部130、光照射部140、表示層電圧印加部150、調光層電圧印加部160および情報取得部190を備える。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置やメモリなどの記憶手段を備え、記録装置100の各部の動作を制御する。操作部120は、操作を受け付けて、その操作に応じた信号を制御部110に供給する。搬送部130は、回転体131を有し、制御部110の制御により、回転体131を回転させ、その回転により記録装置100に配置された電子ペーパ200を搬送して、矢印方向に移動させる。
【0027】
光照射部140は、複数のLED(Light Emitting Diode)が線状に配置され画像を記録する解像度に応じた範囲に各LEDの光を収束するレンズを備えたLEDアレイなどの線状の光源141を有し、制御部110の制御により、電子ペーパ200に対して画像を記録するときに記録光141aを照射する。なお、レーザ光などによりスポット状の光を走査して照射してもよい。
【0028】
表示層電圧印加部150は、接地印加電極151、記録印加電極152を有し、制御部110の制御により、接地印加電極151、記録印加電極152間に記録電圧を発生させる。図4(b)に示すように、接地印加電極151、記録印加電極152は、電子ペーパ200の搬送中に、接地印加電極151と電子ペーパ200の接地電極221とが電気的に接触し、また記録印加電極152と記録電極261とが電気的に接触するように設けられている。したがって、電子ペーパ200が記録装置100に対して搬送されている状態において、表示層電圧印加部150が記録電圧を発生させると、その記録電圧は、透明電極220、260間に印加される。
【0029】
調光層電圧印加部160は、分割印加電極161を有し、制御部110の制御により、接地印加電極151、分割印加電極161間に調光電圧を発生させる。図4(b)に示すように、接地印加電極151、分割印加電極161は、電子ペーパ200の搬送中に、接地印加電極151と接地電極221とが電気的に接触し、また、分割印加電極161と分割電極343とが電気的に接触するように設けられている。
【0030】
したがって、電子ペーパ200が記録装置100に対して搬送されている状態において、調光層電圧印加部160において調光電圧を発生させると、その調光電圧は、透明電極320、分割透明電極340間に印加され、調光電圧が印加された部分の電気調光層330が遮光状態から透過状態に変化し、記録面側から照射される記録光141aが表示層2000に到達するようになる。
【0031】
このとき、図4(b)に示すように、分割印加電極161は、分割電極343のいずれか(同図においては、第4分割電極343−4)と電気的に接触し、後述する図5(a)に示すように、分割印加電極161が分割電極343の電極境界部分に位置するときにおいては、境界部分両側の分割電極343(同図においては第4分割電極343−4および第5分割電極343−5)の双方に電気的に接触する。このように、分割印加電極161が2つの分割電極343と接触しているときに、光源141からの記録光141aが、2つの分割電極343に対応する表示領域201の境界を通過する位置関係となるように、それぞれの構成が配置されている。
【0032】
情報取得部190は、記録する画像を示す画像情報、記録装置100の各部を制御する制御プログラムなどを、ハードディスクなどの記憶手段から取得または通信手段によって取得する。制御部110は、情報取得部190から供給された情報に応じて、搬送部130、光照射部140、表示層電圧印加部150、調光層電圧印加部160を制御する。
【0033】
上述した記録装置100の各構成の一部または全部は、筐体101に設けられている。筐体101は、搬送されている電子ペーパ200のうち、筐体101内部に存在する一部の領域を外光からの光が照射されないように遮光する。例えば、図4に示す場合においては、第4表示領域201−4の全面が筐体101によって遮光され、その両側の第3表示領域201−3、第5表示領域201−5については、その一部の領域が遮光されている。このように筐体101によって遮光される領域を、以下、遮光領域という。そして、電子ペーパ200が搬送されると、筐体101と電子ペーパ200との相対位置関係が変化することにより、遮光領域が表示領域201を移動するようになっている。後述するようにして電気調光層330において透過状態となる一部の領域は、この遮光領域内に含まれるようになっている。なお、この例においては、電子ペーパ200の表示面側、記録面側の双方が遮光されるように筐体101が構成されているが、記録面側が遮光されていれば、表示面側は遮光されていなくてもよい。
【0034】
記録装置100における電子ペーパ200への画像の記録動作について、図4、図5を用いて説明する。まず、図4に示すように、電子ペーパ200を記録装置100に配置し、回転体131によって電子ペーパ200が筐体101内に搬送されるようにする。操作部120を操作すると、制御部110は、情報取得部190に記録すべき画像を示す画像情報を取得させる。また、図4(a)に示すように、制御部110は、回転体131を回転させ、回転体に挟まれた電子ペーパ200を図示矢印方向に搬送して移動させる。そして、制御部110は、電子ペーパ200を搬送しながら、取得した画像情報に応じて、光照射部140の光源141から記録光141aを照射させるとともに、表示層電圧印加部150に記録電圧を発生させ、調光層電圧印加部160に調光電圧を発生させる。以下、電子ペーパ200への画像記録中における動作について、図4(b)、図5(a)、図5(b)を用いて、具体的に説明する。
【0035】
図5は、記録装置100が電子ペーパ200に画像記録を行うときの記録装置100と電子ペーパ200との関係を説明する図である。まず、電子ペーパ200が記録装置100に搬送され、図4(b)に示す位置に存在するときにおける状況について説明する。この時点においては、接地印加電極151は接地電極221と、記録印加電極152は記録電極261と接触し、また、分割印加電極161は第4分割電極343−4と接触している。
【0036】
これにより、調光層電圧印加部160からの調光電圧は、透明電極320と第4分割透明電極340−4とを介して、筐体101に係る遮光領域内における電気調光層330の一部の領域、すなわち第4表示領域201−4に対応する領域に印加される。したがって、第4表示領域201−4に対応する領域における電気調光層330は透過状態となり、記録光141aが表示層2000に到達するようになる。このとき、他の第1、第2、第3、第5表示領域201−1、201−2、201−3、201−5に対応する領域の電気調光層330は、遮光状態となる。これにより、筐体101の外側、すなわち遮光領域外に対応する電気調光層330は、遮光状態であり、記録電圧の印加中に表示層2000へ外光が到達することを妨げる。なお、仮に、遮光領域外の電気調光層330が遮光状態でなく、透過状態であるとすると、記録電圧が印加されていることにより、外光に応じた画像が電子ペーパ200に記録されることになる。
【0037】
回転体131が回転することにより、電子ペーパ200が矢印方向に搬送されると、電子ペーパ200に対して記録光141aが照射される位置が移動し、第4表示領域201−4全面に画像が記録されていく。そして、図5(a)に示す位置に電子ペーパ200が到達すると、分割印加電極161は、第4分割電極343−4および第5分割電極343−5と接触する。これにより、第4、第5表示領域201−4、201−5に対応する領域における電気調光層330は透過状態となる。この例においては、このように隣り合う表示領域201に対応する領域における電気調光層330が透過状態となっているときに、図示のように記録光141aが第4表示領域201−4と第5表示領域201−5との境界部分に照射される構成とする。
【0038】
さらに回転体131が回転することにより、電子ペーパ200が矢印方向に搬送されると、第5表示領域201−5に対応する電気調光層330は透過状態のままとなり、第4表示領域201−4に対応する電気調光層330は、筐体101に係る遮光領域外に移動する前に遮光状態に変化する(図5(b)参照)。そして、電子ペーパ200が搬送されて移動することにより、電子ペーパ200に対して記録光141aが照射される位置が移動し、第5表示領域201−5全面に画像が記録されていく。そして、第1表示領域201−1から第5表示領域201−5までの記録光141aの照射が終了すると、制御部110は、搬送部130を制御して、電子ペーパ200を排出し、画像の記録を終了する。
【0039】
このように、第1実施形態に係る電子ペーパ200は、筐体101の遮光領域外においては、電気調光層330が遮光状態となり、筐体101の遮光領域内において透過状態となることにより、筐体101の遮光領域内においては、記録光141aが表示層2000に照射されて画像が記録され、筐体101の遮光領域外においては、電気調光層330によって表示層2000への外光の照射が妨げられ、画像が記録されない。
【0040】
<第2実施形態>
第1実施形態に係る調光層3000は、電気調光層330を用いているが、第2実施形態においては、記録光141aとは異なる波長の光の照射で透過率が変化するフォトクロミック材料などにより形成された光調光層332を用いた構成について説明する。
【0041】
図6は、本発明の第2実施形態に係る光記録型の表示媒体である電子ペーパ200Aの表示領域201における構成を示す図である。第1実施形態における説明と符号が同じものについては、第1実施形態と同じ構成であるから説明を省略する。
【0042】
光調光層332は、フォトクロミック材料などにより形成され、記録光141aとは異なる波長の光、この例においては予め設定された強度の紫外光が照射されると、遮光状態から透過状態へ変化する。紫外吸収層350は、紫外光を吸収する層であって、光調光層332より光導電層230側に設けられる。なお、光導電層230において、光調光層332を透過する紫外光の感度が低いなど、画像の記録への影響を与えない場合には、紫外吸収層350は無くてもよい。
【0043】
図7は、第2実施形態に係る記録装置100Aの構成を示すブロック図である。第1実施形態における説明と符号が同じものについては、第1実施形態と同じ構成であるから説明を省略する。紫外発光部170は、紫外光源171を有し、図8に示すように電子ペーパ200Aの光調光層332に対して、紫外光源171から紫外光171aを照射する。この例においては、図8(a)に示すように複数の紫外光源171を設けることにより、光調光層332に照射される紫外光171aの強度を高める。
【0044】
図8は、第2実施形態に係る記録装置100Aの外観の説明図であって、第1実施形態における図4に対応する。紫外光171aは、筐体101の遮光領域内であって、記録光141aが照射される領域より広い範囲(図8(b)における紫外光照射領域172)の光調光層332を透過状態にするように制御部110の制御により照射される。そのため、紫外光照射領域172においては、記録光141aが光調光層332を透過するが、それ以外の領域においては、光調光層332は遮光状態であり、筐体101の遮光領域外であっても外光が光導電層230に照射されることを妨げることになる。そして、電子ペーパ200Aが搬送され、移動していくと、表示領域201A全面に記録光141aにより画像の記録が行われることになる。
【0045】
<第3実施形態>
第1実施形態に係る調光層3000は、電気調光層330を用いているが、第3実施形態においては、熱により透過率が変化するサーモクロミック材料などにより形成された熱調光層334を用いた構成について説明する。
【0046】
図9は、本発明の第3実施形態に係る光記録型の表示媒体である電子ペーパ200Bの表示領域201における構成を示す図である。第1実施形態における説明と符号が同じものについては、第1実施形態と同じ構成であるから説明を省略する。
【0047】
熱調光層334は、サーモクロミック材料などにより形成され、予め設定された温度に過熱されると、遮光状態から透過状態へ変化する。
【0048】
図10は、第2実施形態に係る記録装置100Bの構成を示すブロック図である。第1実施形態における説明と符号が同じものについては、第1実施形態と同じ構成であるから説明を省略する。加熱部180は、冷却体181、加熱体182を有し、制御部110の制御により、電子ペーパ200Bの熱調光層334に対して、それぞれ加熱、冷却を行う。これは、ペルチェ素子などを用いて、冷却体181の熱を加熱体182へ移動させるようにしてもよい。なお、加熱体182によって加熱されて透過状態となった熱調光層334の一部領域が、電子ペーパ200Bが搬送されて遮光領域外に移動するまえに、遮光状態となるまで自然冷却される場合には、冷却体181は用いなくてもよい。
【0049】
図11は、第3実施形態に係る記録装置100Bの外観の説明図であって、第1実施形態における図4に対応する。制御部110は、加熱部180を制御し、搬送される電子ペーパ200Bの加熱体182により電子ペーパ200Bの熱調光層334を加熱し、加熱された熱調光層334が、記録光141aの照射される領域を通過するまで、透過状態となるようにする。一方、冷却体181は、熱調光層334を冷却し、筐体101の遮光領域外の熱調光層334が遮光状態になるようにし、外光が光導電層230に照射されることを妨げることになる。そして、電子ペーパ200Bが搬送され、移動していくと、表示領域201B全面に記録光141aにより画像の記録が行われることになる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな形態で実施可能である。
【0051】
<変形例1>
上述した第1実施形態においては、電子ペーパ200は、表示層2000と調光層3000とを有していたが、それぞれの機能を分離して、独立した媒体としてもよい。図12に示すように、例えば、表示層2000の機能を有する電子ペーパ2001と、調光層3000の機能を有する調光媒体3001とに分離すればよい。
【0052】
図12は、変形例1に係る記録装置の外観の説明図である。図示のように電子ペーパ2001を記録装置100に搬送させるときには、電子ペーパ2001に調光媒体3001が重ねて用いられる。このとき、第1実施形態における分割電極343は、調光媒体3001の電子ペーパ2001と重なる面とは対抗する面(記録面側)に設けられるようにして、図示のように、分割印加電極161を、接地印加電極151が接触する電子ペーパ2001の面とは反対の面側に設けるようにすればよい。
【0053】
なお、第2、第3実施形態についても、本変形例を適用してもよく、その場合には、調光媒体3001については、それぞれ、光調光層332、熱調光層334の機能を有するものとすればよい。
【0054】
<変形例2>
上述した第1実施形態において、電子ペーパ200を移動させることにより、記録光141aが照射される位置を移動させていたが、各表示領域201が遮光領域内において停止するようにし、光源141を移動させて記録光141aを照射してもよい。例えば、第1表示領域201−1が遮光領域内に位置し、それに対応する電気調光層330が透過状態にあるときには、電子ペーパ200の移動を停止させたまま、第1表示領域201−1に対応する領域を、記録光141aを走査して照射するようにすればよい。そして各表示領域201について、この処理を繰り返せばよい。なお、走査して照射するのではなく、面状の光源を用いて、第1表示領域201−1全体に記録光141aが照射されるようにしてもよい。
【0055】
<変形例3>
上述した各実施形態において、回転体131を導電体で形成し、接地印加電極151、記録印加電極152、分割印加電極161の各電極として用いて、電子ペーパ200、220A、200Bを搬送する機能と記録電圧、調光電圧を印加する機能を共通化した構成としてもよい。
【0056】
<変形例4>
上述した実施形態において、電子ペーパ200、200A、200Bは、フィルム基板210を用いない構成であってもよい。この場合、第1実施形態においては、表示層2000の透明電極220と、調光層3000の透明電極320とはともに接地電極221に接続されているから、透明電極220、320を共通化して一の透明電極とする構成としてもよい。
【0057】
<変形例5>
上述した実施形態において、透明電極320と分割透明電極340との位置関係は逆であってもよい。フィルム基板210、分割透明電極340、電気調光層330、透明電極320、フィルム基板310の順に層が形成されてもよい。
【0058】
<変形例6>
上述した実施形態においては、固定されている記録装置100が電子ペーパ200を搬送して移動することにより、筐体101と電子ペーパ200との相対位置関係が変化して、遮光領域が表示領域201を移動するようになっているが、固定されている電子ペーパ200に対して、記録装置100が移動することにより、筐体101と電子ペーパ200との相対位置関係が変化するようにしてもよい。
【0059】
<変形例7>
上述した第1実施形態において、電子ペーパ200は、表示面と記録面が共通の面であってもよい。この場合は、表示面側に調光層3000が位置することになる。したがって、表示層2000は、可視光以外の波長の記録光141aにより画像が記録されるものとし、電気調光層330の遮光状態とは、記録光141aに対しての遮光であり、可視光を透過する構成とし、表示面に表示される画像を視認するようにする。
【符号の説明】
【0060】
100,100A,100B…記録装置、101…筐体、110…制御部、120…操作部、130…搬送部、131…回転体、140…光照射部、141…光源、141a…記録光、150…表示層電圧印加部、151…接地印加電極、152…記録印加電極、160…調光層電圧印加部、161…分割印加電極、170…紫外発光部、171…紫外光源、171a…紫外光、172…紫外光照射領域、180…加熱部、181…冷却体、182…加熱体、200,200A,200B,2001…電子ペーパ、201,201A,201B…表示領域、201−1…第1表示領域、201−2…第2表示領域、201−3…第3表示領域、201−4…第4表示領域、201−5…第5表示領域、210,270,310…フィルム基板、220,260,320…透明電極、230…光導電層、240…着色層、250…液晶層、221…接地電極、261…記録電極、330…電気調光層、332…光調光層、334…熱調光層、340…分割透明電極、340−1…第1分割透明電極、340−2…第2分割透明電極、340−3…第3分割透明電極、340−4…第4分割透明電極、340−5…第5分割透明電極、343…分割電極、343−1…第1分割電極、343−2…第2分割電極、343−2…第2分割電極、343−3…第3分割電極、343−4…第4分割電極、343−5…第5分割電極、2000…表示層、3000…調光層、3001…調光媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射される光に応じた画像を記録し、前記画像を表示する表示層と、
前記表示層に画像を記録する光が照射される面側に設けられる調光層であって、前記光を減衰させ前記表示層への画像の記録を妨げる透過率を有し、前記調光層の一部領域に対する予め決められた処理によって、前記一部領域を透過して前記表示層に照射される光により画像が記録されるように、前記一部領域の透過率が変化する調光層と
を具備することを特徴とする光記録型表示媒体。
【請求項2】
前記調光層は、印加電圧に応じて透過率が変化する複数の領域に分割され、
前記一部領域に対する予め決められた処理は、前記領域の各々に対する電圧の印加処理である
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録型表示媒体。
【請求項3】
前記一部領域に対する予め決められた処理は、温度を上昇させる処理である
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録型表示媒体。
【請求項4】
前記一部領域に対する予め決められた処理は、前記表示層に対して照射される光とは波長の異なる光を照射する処理である
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録型表示媒体。
【請求項5】
前記表示層の画像が表示される面と画像を記録する光が照射される面とは対向している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光記録型表示媒体。
【請求項6】
外光を遮光する遮光部と、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光記録型表示媒体における前記画像を記録する光が照射される記録面の一部が前記遮光部によって遮光され、前記遮光された遮光領域が前記記録面を移動するように、前記光記録型表示媒体と前記遮光部との相対位置関係を変化させる移動手段と、
前記遮光領域内の前記調光層の一部領域に対して、前記予め決められた処理を施す透過率制御手段と、
前記透過率制御手段によって透過率が変化された前記調光層の一部領域を透過して、前記表示層に対して、記録すべき画像に応じた光を照射する照射手段と
を具備することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
照射される光に応じて記録される画像を表示する表示媒体に対して、前記光が照射される面側に重ねて用いられる調光媒体であって、前記光を減衰させ前記表示媒体への画像の記録を妨げる透過率の調光層を有し、前記調光層の一部領域に対する予め決められた処理によって、前記一部領域を透過して前記表示媒体に照射される光により画像が記録されるように、前記一部領域の透過率が変化する調光媒体と、
外光を遮光する遮光部と、
前記表示媒体が重ねられる面側と対向する前記調光媒体の面の一部の領域が前記遮光部によって遮光され、前記遮光された遮光領域が当該面を移動するように、前記表示媒体が重ねられた前記調光媒体と前記遮光部との相対位置関係を変化させる移動手段と、
前記遮光領域内の前記調光層の一部領域に対して、前記予め決められた処理を施す透過率制御手段と、
前記透過率制御手段によって透過率が変化された前記調光層の一部領域を透過して、前記表示媒体に対して、記録すべき画像に応じた光を照射する照射手段と
を具備することを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−181576(P2010−181576A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24150(P2009−24150)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】