説明

光記録媒体駆動装置、トラッキングエラー信号生成方法

【課題】解像度限界を超えたトラックピッチの設定下においてもトラッキングサーボ制御が可能な構成を、簡易且つ安価に実現する。
【解決手段】トラッキング方向及び線方向にずれた位置関係で配置される第1のサイドスポット、メインスポット、第2のサイドスポットが形成されるように光記録媒体にレーザ光照射を行う。第1のサイドスポットとメインスポットの受光信号を、第2のサイドスポットとの線方向間隔に応じた時間長だけ遅延させた上で、第1のサイドスポットとメインスポットの組、及び第2のサイドスポットとメインスポットの組とについて、それぞれの受光信号(読出信号)間の相関性に基づいてトラッキングエラー信号TEを生成する。一方の側へのデトラックに対してはメインスポットと第1のサイドスポットの組の相関が高くなり、逆に他方の側へのデトラックに対してはメインスポットと第2のサイドスポットとの組の相関が高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光記録媒体についての少なくとも再生を行う光記録媒体駆動装置とそのトラッキングエラー信号生成方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2000−207766号公報
【背景技術】
【0003】
例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-lay Disc:登録商標)などの光ディスク記録媒体(以下、光ディスクとも表記)が広く普及している。
【0004】
これら光ディスクについて記録や再生を行う光ディスク装置では、光ディスクの偏芯や外乱等に追従するために、トラッキングサーボ制御を行うようにされている。
従来、トラッキングエラーを検出するための方式としては、例えばPush-Pull法、3spot法、DPD(Differential Phase Detection)法などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトラッキングエラー検出手法によっては、トラックピッチがλ/NA/2以下の条件(λ=記録再生波長、NA=対物レンズ開口数)において、トラッキングエラーを適正に検出することが非常に困難となる。すなわち、解像度限界を超えたトラックピッチの設定下では、トラッキングサーボ制御を実現することが非常に困難となる。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑み為されたものであり、解像度限界を超えたトラックピッチが設定される下でもトラッキングサーボ制御が可能な構成を、簡易且つ安価に実現することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本技術では光記録媒体駆動装置として以下のように構成することとした。
つまり、本技術の光記録媒体駆動装置は、光記録媒体に対し、それぞれが当該光記録媒体のトラッキング方向及び線方向にずれた位置関係で配置される第1のサイドスポット、メインスポット、第2のサイドスポットを形成するように光照射を行うと共に、これら各スポットごとの上記光記録媒体からの反射光を個別に受光するように構成された光照射/受光部を備える。
また、上記光照射/受光部で得られる上記第1のサイドスポットについての受光信号を当該第1のサイドスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させる第1の遅延部を備える。
また、上記光照射/受光部で得られる上記メインスポットについての受光信号を当該メインスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させる第2の遅延部を備える。
また、上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性と、上記光照射/受光部で得られる上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性とに基づき、トラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部を備えるものである。
【0008】
上記のように本技術では、第1のサイドスポットとメインスポットの受光信号を、第2のサイドスポットとの線方向間隔に応じた時間長だけ遅延させた上で、第1のサイドスポットとメインスポットの組、及び第2のサイドスポットとメインスポットの組とについて、それぞれの受光信号(読出信号)間の相関性に基づいてトラッキングエラー信号を生成するものとしている。
ここで、例えば第1のサイドスポットが配置される側へのデトラックが生じたとすると、第1のサイドスポットはメインスポットによる読出対象トラック(すなわちサーボ対象トラック)からは離れることとなり、逆に第2のサイドスポットはサーボ対象トラックに対して近づくこととなる。従ってこの場合、第1のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性は低くなり、逆に第2のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性が高くなる。
一方、第2のサイドスポットが配置される側にデトラックが生じた場合、第1のサイドスポットはサーボ対象トラックに対して近づくこととなり、第2のサイドスポットはサーボ対象トラックから遠ざかることとなる。従ってこの場合は、第1のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性が高くなり、第2のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性は低くなる。
このことからも理解されるように、第1のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性と、第2のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性とに基づき、トラッキングエラー信号を得ることができる。
このような、「第1のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性」と「第2のサイドスポットとメインスポットの組の受光信号の相関性」とに基づきトラッキングエラー信号を生成する本技術によれば、トラックピッチが解像度限界を超える場合にも、適正にトラッキングエラーを検出することができる。
そして上記のような本技術のトラッキングエラー信号生成手法によれば、トラッキングエラー信号を生成するためには、メインスポットと共に各サイドスポットを生成しそれらの受光信号を個別に受光するための構成と、各受光信号の相関性を計算するための構成(減算や乗算等の四則演算で良い)とを少なくとも備えればよい。すなわち、特殊な光学系や複雑な演算を要するものではなく、従って簡易かつ安価な構成で、解像度限界を超えるトラックピッチの設定下でのトラッキングサーボ制御を実現できる。
【発明の効果】
【0009】
本技術によれば、解像度限界を超えたトラックピッチが設定される下でもトラッキングサーボ制御が可能な構成を、簡易且つ安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態としての光記録媒体駆動装置の内部構成を示した図である。
【図2】第1の実施の形態の光記録媒体駆動装置が備える光学ピックアップと信号生成回路の内部構成についての説明図である。
【図3】実施の形態のトラッキングエラー信号について説明するための図である。
【図4】遅延による作用についての説明図である。
【図5】本実施の形態とDPD法のトラッキングエラー信号について、トラックピッチごとに得られる波形を対比して示した図である。
【図6】Push-Pull法によるトラッキングエラー信号の波形をトラックピッチごとに示した図である。
【図7】第2の実施の形態の光記録媒体駆動装置の構成についての説明図である。
【図8】第3の実施の形態の光記録媒体駆動装置の構成についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.光記録媒体駆動装置の構成例]
[1-2.実施の形態のトラッキングエラー信号生成手法]
[1-3.シミュレーション結果]
<2.第2の実施の形態>
<3.第3の実施の形態>
<4.変形例>
【0012】
<1.第1の実施の形態>
[1-1.光記録媒体駆動装置の構成例]

図1は、本技術に係る第1の実施の形態としての光記録媒体駆動装置(以下、光ディスク装置1とする)の内部構成を示している。
先ず、図中の光ディスクDは、円盤状の光記録媒体(光ディスク記録媒体)である。ここで、光記録媒体とは、光の照射により情報の記録又は再生が行われる記録媒体を指す。
本実施の形態において、光ディスクDには、ピット列又はマーク列によるトラックが、解像度限界を超えたピッチで形成されているとする。ここで、解像度限界は、λ/NA/2(λ=記録再生波長、NA=対物レンズ開口数)で定義されるものである。
【0013】
光ディスクDは、光ディスク装置1に装填されると、そのセンターホールがクランプされた状態で図中のスピンドルモータ(SPM)2により所定の回転制御方式に従って回転駆動される。第1の実施の形態の場合、光ディスクDの回転制御方式としてはCLV(Constant Linear Velocity:線速度一定)方式が採用されているとする。
【0014】
光ディスク装置1には、回転駆動される光ディスクDに対して情報の記録/再生を行うためのレーザ光の照射、及び光ディスクDに照射された当該レーザ光の反射光(戻り光)を受光するための光学ピックアップ3が設けられる。
【0015】
光学ピックアップ3内には、上記レーザ光の光源となるレーザダイオードが設けられる(後述するレーザダイオード11)。
また、光学ピックアップ3内には、上記レーザ光を光ディスクDに集光するための対物レンズ4、及び当該対物レンズ4を光ディスクDに接離する方向(フォーカス方向)及び半径方向(トラッキング方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ5が設けられる。
また、光学ピックアップ3内には、対物レンズ4を介して得られる光ディスクDからの反射光を受光するためのフォトディテクタを具備する受光部(後述する受光部14)が備えられる。
なお、後述もするように、本実施の形態の光ディスク装置1では、光ディスクDに対して少なくとも3つのビームスポットを形成するように上記レーザ光の照射を行う。具体的には、後述する第1サイドスポットSp1、メインスポットMp、第2サイドスポットSp2をそれぞれ形成するものである。
光学ピックアップ3において、上記受光部14は、これら各スポットごとの戻り光を個別に受光するように構成されている。図1では、光学ピックアップ3において受光される第1サイドスポットSp1の戻り光の受光信号を受光信号J1、メインスポットMpの戻り光についての受光信号を受光信号Jm、第2サイドスポットSp2の戻り光についての受光信号を受光信号J2と示している。
なお、これら各スポットを形成し且つ個別の受光信号を得るための構成については図2により改めて説明する。
【0016】
光学ピックアップ3に設けられたレーザダイオードは、図中の発光駆動部10が出力する駆動信号D-ldに基づき発光駆動される。
具体的に、記録時においては、発光駆動部10が記録データに従った駆動信号D-ldを生成し、当該駆動信号D-ldにより上記レーザダイオードを記録パワーにより発光駆動することで、光ディスクDに対する記録を実現する。
また再生時には、発光駆動部10が駆動信号D-ldにより上記レーザダイオードを再生パワーにより発光駆動することで、光ディスクDからの情報読み出しが行われるようにする。
【0017】
光学ピックアップ3において得られた各受光信号(J1、Jm、J2)は、信号生成回路6に供給される。
信号生成回路6は、受光信号J1,Jm,J2に基づき、所定の演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データを得るための高周波信号(再生データ信号:以下RF信号と表記)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、及びトラッキングエラー信号TEを生成する。ここで、フォーカスエラー信号FEは、光ディスクDに形成された記録面(反射面)に対するレーザ光の合焦位置の誤差を表す信号である。またトラッキングエラー信号TEは、上記記録面に形成されたトラック(ピット列又はマーク列)に対する上記レーザ光の照射スポットのトラッキング方向における位置誤差を表す信号となる。
なお、信号生成回路6について、特にトラッキングエラー信号TEの生成系の構成については図2により後述する。
【0018】
信号生成回路6が生成したRF信号は、再生処理部7に供給される。再生処理部7は、RF信号についての2値化処理やエラー訂正処理等の再生処理を行い、再生データを得る。
なお、前述のように光ディスクDには、解像度限界を超えたピッチでトラックが形成されているので、信号再生にあたっては隣接トラックからのクロストークが問題となる。そこで、この場合の信号再生にあたっては、例えば第1サイドスポットSp1により読み出される信号、第2サイドスポットSp2により読み出される信号を用いて、メインスポットMpについての受光信号Jmから生成したRF信号から、各隣接トラックのクロストーク成分を除去するという構成を採るものとすればよい。
なお、本技術はトラッキングエラー信号の生成に係るものであることから、説明の複雑化を避けるため、再生処理系の具体的な構成についての図示は省略するものとした。
【0019】
信号生成回路6が生成したフォーカスエラー信号FE、及びトラッキングエラー信号TEは、サーボ回路8へ供給される。
サーボ回路8は、これらフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに基づき、フォーカス、トラッキングの各サーボ制御を実現する。
具体的にサーボ回路8は、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに基づきフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号をそれぞれ生成し、これらを2軸ドライバ9に与える。
2軸ドライバ9は、これらフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号に基づき生成したフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号により、2軸アクチュエータ5のフォーカスコイル、トラッキングコイルをそれぞれ駆動する。これにより、2軸アクチュエータ5→信号生成回路6→サーボ回路8→2軸ドライバ9→2軸アクチュエータ5・・・によるフォーカスサーボループ及びトラッキングサーボループがそれぞれ形成される。
【0020】
[1-2.実施の形態のトラッキングエラー信号生成手法]

図2は、図1に示した光学ピックアップ3の内部構成及び信号生成回路6の内部構成を示している。
なお図2において、光学ピックアップ3の内部構成については、3スポットを形成するための構成及びそれらスポットごとの戻り光を個別に受光するための構成を主に示している。また、信号生成回路6の内部構成については、トラッキングエラー信号TEの生成系の構成を主に示している。
【0021】
光学ピックアップ3において、レーザダイオード11は、前述した発光駆動部10からの駆動信号D-ldに基づき発光駆動される。
レーザダイオード11より発光されたレーザ光は、グレーティング12を介した後、ビームスプリッタ13で反射され、対物レンズ4に対して導かれる。
このとき、グレーティング12を介することで、レーザダイオード11より発せられたレーザ光は、図のように対物レンズ4を介して光ディスクD上に3つのスポットを形成するように照射される。
【0022】
図3Bは、このときに光ディスクD(記録面)上に形成される3つのスポットの位置関係を示している。
図2に示したグレーティング12によっては、光ディスクDの記録面上に、図示するような第1サイドスポットSp1、メインスポットMp、第2サイドスポットSp2の3つのビームスポットが形成される。これら第1サイドスポットSp1、メインスポットMp、第2サイドスポットSp2は、それぞれが光ディスクDのトラッキング方向(紙面横方向)及び線方向(紙面縦方向)にずれた位置関係で配置される。具体的にこの場合、メインスポットMpが、3つのスポットのうちトラッキング方向及び線方向の中央に配置される位置関係となる。
第1サイドスポットSp1は、メインスポットMpに対して先行するスポットとなる。一方、第2サイドスポットSp2は、メインスポットMpに対して後行するスポットとなる。
ここで、図中に示すように、メインスポットMpに対する第1サイドスポットSp1、第2サイドスポットSp2のそれぞれの線方向におけるずれ量は、共に「ds」で同じである。
またこの場合、メインスポットMpに対する第1サイドスポットSp1、第2サイドスポットSp2のトラッキング方向におけるずれ量も、それぞれ同量であるとする。具体的にこの場合、メインスポットMpに対する第1サイドスポットSp1、第2サイドスポットSp2のトラッキング方向におけるずれ量は、1/2トラック分であるとする。
【0023】
ここで、図3Bは、メインスポットMpの中心と当該メインスポットMpが読出対象とするトラックの中心とが一致した状態(以下、オントラックの状態と称する)における各スポットの配置関係を表したものである。
【0024】
説明を図2に戻す。
第1サイドスポットSp1、メインスポットMp、第2サイドスポットSp2ごとのそれぞれの戻り光は、対物レンズ4を介した後、ビームスプリッタ13を透過して受光部14の受光面に集光する。
ここで、受光部14には、第1フォトディテクタPD-1、メインフォトディテクタPD-m、第2フォトディテクタPD-2が形成されている。第1フォトディテクタPD-1は、第1サイドスポットSp1の戻り光を受光することのできる位置に形成され、メインフォトディテクタPD-mは、メインスポットMpの戻り光を受光できる位置に形成される。また第2フォトディテクタPD-2は、第2サイドスポットSp2の戻り光を受光できる位置に形成されている。
【0025】
図示するようにメインフォトディテクタPD-mは、4分割ディテクタとされる。これは、当該メインフォトディテクタPD-mの受光信号Jmに基づき、フォーカスエラー信号FE(例えば非点収差法)や必要に応じてPush-Pull信号等を生成可能とするためである。
なお、本実施の形態のトラッキングエラー信号TE(及びRF信号)の生成に限っては、メインフォトディテクタPD-mは4分割ディテクタである必要性はない。
ここで、図中では、メインフォトディテクタPD-mによる各受光信号を、図示の複雑化を避けるため受光信号Jmとして包括して示している。
【0026】
続いて、信号生成回路6について説明する。
図示するように信号生成回路6内には、HPF・AGC回路15-1(HPF:High Pass Filter、AGC:Auto Gain Control)、HPF・AGC回路15-m、HPF・AGC回路15-2、和信号生成回路16、遅延回路17、遅延回路18、遅延回路19、相関検出部20、相関検出部21、減算部22、及びLPF(Low Pass Filter)23が設けられる。
【0027】
HPF・AGC回路15-1には、受光部14における第1フォトディテクタPD-1からの受光信号J1が入力され、HPF・AGC回路15-mにはメインフォトディテクタPD-mからの受光信号Jmが入力され、HPF・AGC回路15-2には第2フォトディテクタPD-2からの受光信号J2が入力される。
これらHPF・AGC回路15は、入力される受光信号についてDCレベル変動の抑制のためのHPF処理を施すと共に、AGCに基づくゲイン調整を施す。
【0028】
HPF・AGC回路15-1を介した受光信号J1は、遅延回路17及び遅延回路18を介した後、相関検出部20に入力される。
また、HPF・AGC回路15-mを介した受光信号Jmは、和信号生成回路16に供給されて和信号(4種の受光信号の和信号)とされた後、遅延回路19を介して、相関検出部20、及び相関検出部21に入力される。
また、HPF・AGC回路15-2を介した受光信号J2は相関検出部21に入力される。
なお、HPF・AGC回路15-mと和信号生成回路16の配置を前後させて、和信号生成後にHPF・AGC処理が施されるように構成することもできる。
【0029】
ここで、遅延回路17、遅延回路18、遅延回路19には、図3Bに示したスポット間隔dsに応じた遅延時間(遅延量)が設定される。具体的には、当該スポット間隔dsだけスポットが進行するのに要する時間が遅延時間として設定される。
【0030】
図4は、このような遅延時間の設定により得られる作用についての説明図である。
なお図4において、図中の矢印Lは光ディスクDの回転に伴い各スポットが進行する方向を表したものである。
上記遅延時間の設定によれば、先行するメインスポットMp及び第1サイドスポットSp1の線方向における位置を、最も後行する第2サイドスポットSp2の位置に対して揃えることと同等の作用が得られる。すなわち、受光信号J2を基準としたときに、受光信号J1、受光信号Jm(和信号)にそれぞれ生じている時間差を補正したことと同等の作用が得られるものである。
【0031】
図2において、相関検出部20は、遅延回路17及び遅延回路18により時間差が補正された受光信号J1(以下、遅延後の受光信号J1と表記)と、遅延回路19により時間差が補正された受光信号Jmの和信号(以下、遅延後の受光信号Jmと表記)との相関性を表す第1の相関値を計算する。
また、相関検出部21は、遅延後の受光信号Jmと、HPF・AGC回路15-2を介した受光信号J2(以下、単に受光信号J2と表記)との相関性を表す第2の相関値を計算する。
具体的に本例の場合、相関値計算部20は、遅延後の受光信号J1と遅延後の受光信号Jmとの差分の二乗値を、上記第1の相関値として計算する。
同様に、相関値計算部21は、遅延後の受光信号Jmと受光信号J2との差分の二乗値を上記第2の相関値として計算する。
【0032】
減算部22は、これら第1の相関値と第2の相関値の差分を計算する。具体的にこの場合は、「第1の相関値−第2の相関値」を計算する。
減算部22により得られた差分値(差分信号)は、LPF23によって所定のカットオフ周波数以上の成分が除去される。
このようにLPF23を介した上記差分信号が、トラッキングエラー信号TEとして信号生成回路6外部に出力される。
【0033】
ここで、先の図3Bと、図3A及び図3Cとを参照し、上記により説明した信号生成回路6で生成されるトラッキングエラー信号TEについて説明する。
なお、図3Aは第2サイドスポットSp2が配置される側(+方向とする)へのデトラックが生じた状態、図3Cは第1サイドスポットSp1が配置される側(−方向とする)へのデトラックが生じた状態をそれぞれ示している。
【0034】
先ず、図3Bに示すオントラック状態では、メインスポットMpが読出対象とするトラック(トラッキングサーボの対象とされるトラック)に対して、第1サイドスポットSp1、第2サイドスポットSp2のトラッキング方向における離間距離はそれぞれ同じとなる。従って、遅延後の受光信号J1と遅延後の受光信号Jmとの相関性を表す第1の相関値と、遅延後の受光信号Jmと受光信号J2との相関性を表す第2の相関値は、同じ値を示すことになる。すなわち、これら相関値の差分であるトラッキングエラー信号TEの値は「0」である。
【0035】
これに対し、例えば図3Aのように+方向のデトラックが生じた場合には、第1サイドスポットSp1が、メインスポットMpが読出対象とするトラックに対して近づくので、遅延後の受光信号J1と遅延後の受光信号Jmとの相関性が高くなる(図中「X」の組)。一方で、第2サイドスポットSp2は、メインスポットが読出対象とするトラックからは遠ざかることになるので、受光信号J2と遅延後の受光信号Jmとの相関性は低くなる。
このとき、相関値は差分の二乗値を計算するので、相関性が高いときには、算出される相関値は小となる。従って、上記のような+方向デトラック時における第1の相関値は小、第2の相関値は大と表すことができ、結果、+方向デトラック時のトラッキングエラー信号TEの値(=第1の相関値−第2の相関値)は、負の値(=−nとする)となる。
【0036】
一方、図3Cに示す−方向のデトラック時には、第2サイドスポットSp2の方が、メインスポットMpが読出対象とするトラックに近づくので、受光信号J2と遅延後の受光信号Jmとの相関性の方が高くなり(図中「Y」の組)、逆に遅延後の受光信号J1と遅延後の受光信号Jmとの相関性は低くなる。
従って、−方向デトラック時には、第1の相関値が大、第2の相関値が小となり、結果、トラッキングエラー信号TEの値は正の値(=nとする)となる。
【0037】
上記説明から理解されるように、本実施の形態のトラッキングエラー信号TEは、トラックピッチが解像度限界を超える光ディスクDに対応して、デトラックの発生量とその方向とを適正に表すものとなる。すなわち、解像度限界を超えるトラックピッチの設定下においても、適正にトラッキングサーボ制御を行うことができるものである。
【0038】
ここで、図2を参照して分かるように、本実施の形態のトラッキングエラー信号TEの生成にあたっては、3スポットを形成しそれらの戻り光を個別に受光するための構成と、受光信号について遅延や乗算・減算といった簡易な処理を施す回路部とを少なくとも設ければよい。すなわち、トラッキングエラー信号TEの生成にあたり特殊の光学系や複雑な演算を行う回路部は不要である。
このことからも理解されるように、本実施の形態によれば、解像度限界を超えるトラックピッチの設定下でも適正にトラッキングサーボ制御を行うことができる構成を、簡易且つ安価に実現することができる。
【0039】
[1-3.シミュレーション結果]

図5及び図6に、本実施の形態のトラッキングエラー信号生成手法の有効性を実証するためのシミュレーション結果を示す。
図5は、本実施の形態のトラッキングエラー信号TE(図5A)とDPD(Differential Phase Detection)法によるトラッキングエラー信号(図5B)とについて、トラックピッチごとに得られる波形を対比して示している。
また図6は、Push-Pull法によるトラッキングエラー信号の波形をトラックピッチごとに示している。
なおこれら図5,図6において、トラックピッチ(Tp)についてはそれぞれTp=0.32μm、Tp=0.28μm、Tp=0.24μm、Tp=0.22μm、Tp=0.20μmを設定した。
シミュレーションにおいて、波長λ=405nm、対物レンズ4の開口数NA=0.85であり、従って解像度限界(図中「cut-off」と表記)はおよそ0.24μmとなる。
また各図において、上段はLPF処理前、下段はLPF処理後の波形を表す。
【0040】
図5Bを参照すると、DPD法によるトラッキングエラー信号の場合は、Tp=0.28μmまでは適正な波形が維持されるが、解像度限界であるTp=0.24μm以下のTpでは、波形に比較的大きな乱れが生じていることが確認できる。
また図6によれば、Push-Pull法によるトラッキングエラー信号の場合は、Tp=0.28μm程度が適正なトラッキングエラー検出の限界であることが確認できる。
このようにDPD法、Push-Pull法の何れも、解像度限界を超えてのトラッキングエラー検出を行うことは非常に困難である。
【0041】
これに対し、図5Aに示す本実施の形態のトラッキングエラー信号TEによれば、Tp=0.22μmの条件下でも適正な波形が得られていることが確認できる。このことから明らかなように、本実施の形態によれば、解像度限界を超えたトラックピッチの設定下でも適正にトラッキングエラー検出を行うことができる。
【0042】
<2.第2の実施の形態>

図7は、第2の実施の形態の光記録媒体駆動装置(光ディスク装置30とする)の構成についての説明図である。
この図7においては、光学ピックアップ3以外の構成に関して、第1の実施の形態の光ディスク装置1と異なる部分を主に示しており、他の構成(例えばサーボ回路8等)については図示を省略している。
なお図7において、既にこれまでで説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
また第2の実施の形態においても、信号生成回路6はRF信号やフォーカスエラー信号FEを生成するが、この場合も先の図2と同様に、そのための構成についての図示は省略している。
【0043】
第2の実施の形態は、光ディスクDの回転制御方式としてCAV(Constant Angular Velocity:角速度一定)方式が採用される場合に対応して、遅延量を可変設定するものである。
具体的に、この場合の光ディスク装置30には、回転周波数検出部25、位置情報検出部26、遅延量計算部27が設けられる。
また信号生成回路6においては、遅延回路17に代えて遅延回路17'が、また遅延回路18に代えて遅延回路18'が、さらに遅延回路19に代えて遅延回路19'がそれぞれ設けられる。これら遅延回路17'〜19'は、遅延量の切り替え設定が可能に構成される点が遅延回路17〜19とは異なる。
【0044】
回転周波数検出部25は、スピンドルモータ2が備えるFG(Frequency Generator)モータからのFGパルスに基づき、光ディスクDの回転周波数Cを検出する。
また、位置情報検出部26は、光ディスクDについての再生半径位置Rを検出する。この位置情報検出部26は、例えば光学ピックアップ3のスライド位置(半径方向位置)を検出するセンサを備え、当該センサの検出結果に基づき再生半径位置Rを検出する。
或いは、光ディスクDからの戻り光の受光信号に基づき光ディスクDに記録された半径位置情報を検出できる場合には、その検出情報を再生半径位置Rの情報とすればよい。
【0045】
遅延量計算部27は、回転周波数C、再生半径位置R、及び先の図3Bに示したスポット間隔dsの情報に基づき、対応する遅延量dtを計算する。
具体的に遅延量計算部27は、

dt=ds/2πRC

により、遅延量dtを計算する。
【0046】
遅延量計算部27により計算された遅延量dtは、遅延回路17'、遅延回路18'、遅延回路19'に供給され、これら遅延回路17'〜19’は、供給された遅延量dtの値に応じて入力信号を遅延させる。
【0047】
このような構成により、CAV方式が採用され光ディスクDの内周から外周にかけて線速度が変化する場合にも、受光信号J2に対する時間差を補正することのできる適正な遅延量dtにより受光信号J1,Jmを遅延させることができる。すなわち、CAV方式が採用される場合にも、適正なトラッキングエラー信号TEが生成されるようにできるものである。
【0048】
なお確認のため述べておくと、上記構成は、CLV方式が採用される場合に適用しても問題は無い。
また上記構成によれば、再生速度について2倍速/4倍速/6倍速等といった速度変更が行われる場合にも、受光信号の時間差を適正に補正することが可能となる。
【0049】
なお、CLV方式が採用される場合において、上記のような再生速度の変更に対応するとしたときには、遅延量計算部27(及び回転周波数検出部25、位置情報検出部26)を設けるものとはせず、再生速度の切り替えに応じて遅延回路17'〜19’に設定する遅延量dtを対応する値に切り替えるための構成を設ければよい。
具体的には、例えば設定され得る再生速度ごとに、対応する遅延量dtの値を予め設定しておき、速度切替時に対応して、切り替え後の再生速度に対応する遅延量dtを遅延回路17'〜19’に設定するという構成である。
或いは、遅延量dtとしては基準となる再生速度(例えば1倍速)に対応するもののみを設定しておくものとし、設定された再生速度に応じた係数を乗じた遅延量dtを、遅延回路17'〜19’に設定するという構成を採ることもできる。
【0050】
<3.第3の実施の形態>

ここで、これまでの説明では、第1のサイドスポットについての受光信号とメインスポットについての受光信号との相関性と、第2のサイドスポットについての受光信号とメインスポットについての受光信号との相関性とに基づくトラッキングエラー信号の生成手法の例として、第1のサイドスポット/メインスポット間の相関値(第1の相関値)と第2のサイドスポット/メインスポット間の相関値(第2の相関値)とを計算した上で、これら第1の相関値と第2の相関値との差分を計算してトラッキングエラー信号TEを得る手法を例示した。
しかしながら、本技術におけるトラッキングエラー信号生成手法は上記手法に限定されず、例えば以下で説明するような手法とすることもできる。
【0051】
図8は、第3の実施の形態の光記録媒体駆動装置(光ディスク装置40とする)の構成についての説明図である。
なおこの図8においても、光学ピックアップ3以外の構成に関して、第1の実施の形態の光ディスク装置1と異なる部分を主に示しており、他の構成(例えばサーボ回路8等)については図示を省略している。またこの場合も、既にこれまでで説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
また第3の実施の形態においても、信号生成回路6はRF信号やフォーカスエラー信号FEを生成するが、この場合も先の図2と同様に、そのための構成についての図示は省略している。
【0052】
先の図2と比較して分かるように、第3の実施の形態の光ディスク装置40は、信号生成回路6内において、相関検出部20,21、及び減算部22が省略された上で、コンパレータ(減算部)41と乗算部42とが設けられた点が第1の実施の形態の光ディスク装置1と異なる。
【0053】
ここで、遅延回路17及び18で遅延された第1サイドスポットSp1の受光信号J1を信号S1とする。また、遅延回路19で遅延されたメインスポットMpの受光信号Jm(和信号)を信号Smとし、HPF・AGC15-2を介した第2サイドスポットSp2の受光信号J2を信号S2とおく。
コンパレータ41は、信号S1と信号S2とを入力しそれらの差分信号を出力する。具体的に本例では、「S2−S1」による差分信号を出力するようにされる。
乗算部42は、コンパレータ41が出力する差分信号に対して、信号Smを乗じる。つまり本例の場合は、「(S2−S1)×Sm」が計算される。
図示するように乗算部42による出力信号(乗算結果)はLPF23を介して、トラッキングエラー信号TEとして出力される。
【0054】
ここで、上記構成では、「S1×Sm」と「S2×Sm」との差分を計算していることと等価である。換言すれば、第1のサイドスポットについての受光信号とメインスポットについての受光信号との相関性を表す値と、第2のサイドスポットについての受光信号とメインスポットについての受光信号との相関性を表す値との差分を計算していることと等価である。
従って第3の実施の形態によっても、第1のサイドスポットについての受光信号とメインスポットについての受光信号との相関性と第2のサイドスポットについての受光信号とメインスポットについての受光信号との相関性とに基づくトラッキングエラー信号を生成していることに変わりはない。
このことからも理解されるように、第3の実施の形態によっても、第1の実施の形態の場合と同様、解像度限界を超えたトラックピッチが設定される下でもトラッキングサーボ制御ができ、さらにその実現のための構成を簡易且つ安価に提供できるものとなる。
【0055】
なお、第3の実施の形態についてもDPD法やPush-Pull法との比較を行ったところ、先の図5,図6と同様のシミュレーション結果が得られた。
【0056】
また、先の図2の構成と比較して分かるように、第3の実施の形態によれば、トラッキングエラー信号生成のための構成は第1の実施の形態よりもさらに簡易(且つ安価)なものにできる。
【0057】
<4.変形例>

以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、第1の相関値と第2の相関値との差分信号、或いは「(S2−S1)×Sm」による信号をLPF処理した信号をトラッキングエラー信号TEとしてサーボ回路8に供給するものとしたが、通常、RF信号(読出信号)の帯域に対して2軸アクチュエータ5の帯域は十分に低いので、上記差分信号或いは「(S2−S1)×Sm」による信号をそのまま出力したとしても、結果としてLPF23を挿入した場合と同等の結果が得られる。つまりこの意味で、LPF23は本技術において必須構成ではない。
【0058】
また、第1の実施の形態では、第1,第2の相関値については、各受光信号の差分の二乗値を計算するものとしたが、このような差分の二乗値に代えて、差分の絶対値を計算しても良い。或いは、各受光信号のかけ算とすることもできる。
本技術において、第1の相関値、第2の相関値については、各受光信号間の相関性を表すように計算されるものであればよく、これら例示したものに限定されるべきものではない。
【0059】
またこれまでの説明では、第1サイドスポットSp1とメインスポットMpとの間、メインスポットMpと第2サイドスポットSp2との間のトラッキング方向における配置間隔をそれぞれ1/2トラックとする場合を例示したが、各スポットのトラッキング方向の間隔は、上記により説明した計算手法によって生成されるトラッキングエラー信号TEが、デトラックの方向及び発生量を表すことができる範囲内で設定すればよいものであり、従って1/2トラック分の間隔に限定されるべきものではない。
【0060】
また、本技術は、以下に示す構成とすることも可能である。
(1)
光記録媒体に対し、それぞれが当該光記録媒体のトラッキング方向及び線方向にずれた位置関係で配置される第1のサイドスポット、メインスポット、第2のサイドスポットを形成するように光照射を行うと共に、これら各スポットごとの上記光記録媒体からの反射光を個別に受光するように構成された光照射/受光部と、
上記光照射/受光部で得られる上記第1のサイドスポットについての受光信号を当該第1のサイドスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させる第1の遅延部と、
上記光照射/受光部で得られる上記メインスポットについての受光信号を当該メインスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させる第2の遅延部と、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性と、上記光照射/受光部で得られる上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性とに基づき、トラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と
を備える光記録媒体駆動装置。
(2)
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す値と、上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す値との差分を計算して、上記トラッキングエラー信号を得る
上記(1)に記載の光記録媒体駆動装置。
(3)
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す第1の相関値を計算し、上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す第2の相関値を計算すると共に、これら第1の相関値と第2の相関値との差分を計算して、上記トラッキングエラー信号を得る
上記(2)に記載の光記録媒体駆動装置。
(4)
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との差分に基づく上記第1の相関値を計算すると共に、
上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号と上記第2のサイドスポットについての受光信号との差分に基づく上記第2の相関値を計算する
上記(3)に記載の光記録媒体駆動装置。
(5)
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2のサイドスポットについての受光信号との差分に対し、上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号を乗じることで上記トラッキングエラー信号を得る
上記(2)に記載の光記録媒体駆動装置。
(6)
上記光記録媒体についての再生速度の切り替えに応じて上記第1の遅延部及び第2の遅延部による遅延量の切り替え制御を行う遅延量切替制御部をさらに備える
上記(1)乃至(5)何れかに記載の光記録媒体駆動装置。
(7)
上記光記録媒体の回転周波数を検出する回転周波数検出部と、
上記光記録媒体についての再生半径位置を検出する半径位置検出部と、
上記回転周波数検出部により検出された回転周波数と、上記半径位置検出部により検出された再生半径位置と、上記各スポットの上記線方向における配置間隔の情報とに基づき、上記第1の遅延部、上記第2の遅延部に設定すべき遅延量を計算する遅延量計算部とをさらに備える
上記(1)乃至(6)何れかに記載の光記録媒体駆動装置。
【符号の説明】
【0061】
1,30,40 光ディスク装置、2 スピンドルモータ(SPM)、3 光学ピックアップ、4 対物レンズ、5 2軸アクチュエータ、6 信号生成回路、7 再生処理部、8 サーボ回路、9 2軸ドライバ、10 発光駆動部、11 レーザダイオード、12 グレーティング、13 ビームスプリッタ、14 受光部、PD-1 第1フォトディテクタ、PD-m メインフォトディテクタ、PD-2 第2フォトディテクタ、15-1,15-m,15-2 HPF・AGC回路、16 和信号生成回路、17,18,19,17',18',19' 遅延回路、20,21 相関検出部、22 減算部、23 LPF、25 回転周波数検出部、26 位置情報検出部、27 遅延量計算部、41 コンパレータ、42 乗算部、D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録媒体に対し、それぞれが当該光記録媒体のトラッキング方向及び線方向にずれた位置関係で配置される第1のサイドスポット、メインスポット、第2のサイドスポットを形成するように光照射を行うと共に、これら各スポットごとの上記光記録媒体からの反射光を個別に受光するように構成された光照射/受光部と、
上記光照射/受光部で得られる上記第1のサイドスポットについての受光信号を当該第1のサイドスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させる第1の遅延部と、
上記光照射/受光部で得られる上記メインスポットについての受光信号を当該メインスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させる第2の遅延部と、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性と、上記光照射/受光部で得られる上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性とに基づき、トラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と
を備える光記録媒体駆動装置。
【請求項2】
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す値と、上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す値との差分を計算して、上記トラッキングエラー信号を得る
請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項3】
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す第1の相関値を計算し、上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との相関性を表す第2の相関値を計算すると共に、これら第1の相関値と第2の相関値との差分を計算して、上記トラッキングエラー信号を得る
請求項2に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項4】
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号との差分に基づく上記第1の相関値を計算すると共に、
上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号と上記第2のサイドスポットについての受光信号との差分に基づく上記第2の相関値を計算する
請求項3に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項5】
上記トラッキングエラー信号生成部は、
上記第1の遅延部により遅延された上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記第2のサイドスポットについての受光信号との差分に対し、上記第2の遅延部により遅延された上記メインスポットについての受光信号を乗じることで上記トラッキングエラー信号を得る
請求項2に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項6】
上記光記録媒体についての再生速度の切り替えに応じて上記第1の遅延部及び第2の遅延部による遅延量の切り替え制御を行う遅延量切替制御部をさらに備える
請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項7】
上記光記録媒体の回転周波数を検出する回転周波数検出部と、
上記光記録媒体についての再生半径位置を検出する半径位置検出部と、
上記回転周波数検出部により検出された回転周波数と、上記半径位置検出部により検出された再生半径位置と、上記各スポットの上記線方向における配置間隔の情報とに基づき、上記第1の遅延部、上記第2の遅延部に設定すべき遅延量を計算する遅延量計算部とをさらに備える
請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項8】
それぞれが光記録媒体のトラッキング方向及び線方向にずれた位置関係で配置される第1のサイドスポット、メインスポット、第2のサイドスポットのうち、上記第1のサイドスポットについての受光信号を当該第1のサイドスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させると共に、上記メインスポットについての受光信号を当該メインスポットと上記第2のサイドスポットとの上記線方向における配置間隔に応じた時間だけ遅延させる遅延手順と、
上記遅延手順により遅延した上記第1のサイドスポットについての受光信号と上記遅延手順により遅延した上記メインスポットについての受光信号との相関性と、上記第2のサイドスポットについての受光信号と上記遅延手順により遅延した上記メインスポットについての受光信号との相関性とに基づき、トラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成手順と
を有するトラッキングエラー信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−20689(P2013−20689A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63363(P2012−63363)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】