説明

光調節装置

【課題】動作性の優れた光調節装置を提供すること。
【解決手段】開口を通過する入射光を調整する光調節装置であって、前記開口を有する基板と、前記基板上で光軸方向に対して垂直で各々異なる平面内を変位する複数の入射光調節手段と、前記入射光調節手段を駆動する複数の駆動手段と、前記複数の入射光調節手段の各々が、それぞれの平面内を変位する移動空間同士を所定間隔だけ離間させる離間部材と、を有し、前記駆動手段により前記複数の入射光調節手段を各々前記開口位置と、前記開口位置から退避した退避位置に相互に変位させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を通過する入射光を調整する光調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から可変光学装置として多種多様な方式が実施されている。その一手法として、単数もしくは複数の光学素子を、電磁もしくはその他の駆動源により、光路内外に相互に変位させ、光路を通過する入射光の光学特性を変化させる差込式可変光学装置がある。この差込式可変光学装置は、光学素子を複数形成することでその機能を拡張させることが可能となる。
【0003】
更に、近年撮像機能を有した携帯機器やマイクロビデオスコープ等の小型撮像機器の高画質化に伴い、レンズや絞り、光学フィルター等の光学素子も、従来の固定焦点レンズ、固定絞り、固定特性フィルターから、フォーカスレンズ、可変絞り、可変特性フィルターを適用する要求が高まっている。この様な小型撮像機器に適用する光学装置として、先述の差込式可変光学装置は構成が簡単なことから、小型に適した光学装置として注目されている。この様な小型化に適した差込式可変光学装置の例である特許文献1は、光量を制御する複数の遮光部材と、磁気回路にて電磁的駆動力を得て複数の遮光部材をそれぞれ駆動する複数の駆動手段と、複数の遮光部材及び複数の駆動手段を取り付けるベース部材を備えており、複数の駆動手段の中間部に漏れ磁束の流入を阻止する阻止部材を設けることで装置の小型化と安定駆動を実現している。
昨今、装置の小型化が要求されており、この装置の小型化に伴い、装置の安定駆動を行う上で阻害要因となる摩擦力の影響が生じやすく、また、この摩擦力の影響が支配的な要因ともなってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−330314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、複数の遮光部材が互いに接触した状態で回転動作をしている為、一つの遮光部材の動作が他の遮光部材へ影響を与え、動作上の不具合が生じる恐れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動作性の優れた光調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、開口を通過する入射光を調整する光調節装置であって、前記開口を有する基板と、前記基板上で光軸方向に対して垂直で各々異なる平面内を変位する複数の入射光調節手段と、前記入射光調節手段を駆動する複数の駆動手段と、前記複数の入射光調節手段の各々が、それぞれの平面内を変位する移動空間同士を所定間隔だけ離間させる離間部材と、を有し、前記駆動手段により前記複数の入射光調節手段を各々前記開口位置と、前記開口位置から退避した退避位置に相互に変位させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記離間部材の光軸方向の厚みは、前記入射光調節手段の光軸方向の厚みよりも大きいことが望ましい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記離間部材は、一つの前記入射光調節手段に対し第1の離間部材と第2の離間部材とからなることが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第2の離間部材のうち、少なくとも一つが前記基板上に形成されたレール形状をしていることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記基板に対向して形成された第2の基板を有し、前記レール形状の第2の離間部材が、前記基板と前記第2の基板に各々設けられていることが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入射光調節手段が、光調整部と腕部からなり、前記腕部に回転軸を有し、前記回転軸を中心として回動することで、前記光調整部を前記開口位置と、前記開口位置から退避した退避位置に相互に変位させることが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記各々の入射光調節手段の光調整部に、異なる開口を持ち、前記開口を通過する入射光の光量を調整することが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、入射光調節手段の数をn、第1番面から第n番目の入射光調節手段の光調整部の径をL1、・・・、Ln、開口の径をl1、・・・、lnとした場合、
l1>l2>・・・>ln かつ、 L1>L2>・・・>Ln
を満たすことが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第n番目の入射光調節手段の、前記退避位置から前記開口位置への変位に応じて、前記第1番面から第n−1番目の入射光調節手段が連動して、前記退避位置から前記開口位置へ変位することが望ましい。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入射光調節手段に位置決め部が形成されており、前記第n番目の入射光調節手段を、前記開口位置へ変位させた際、前記第n−1番目の入射光調節手段に形成した位置決め部へ当接することにより、前記第n番目の入射光調節手段の位置決めをおこなうことが望ましい。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光軸と前記各々の入射光調節手段に形成された回転軸との距離が略等しいことが望ましい。
【0018】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光軸と前記各々の入射光調節手段に形成された回転軸の距離との距離がそれぞれ異なることが望ましい。
【0019】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1番面から第n番目の入射光調節手段の開口中心と回転軸との距離をR1、・・・、Rnとした場合、
R1>R2>・・・>Rnを満たすことが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる光調節装置は、複数の入射光調節手段の各々が、それぞれの平面内を変位する移動空間同士を所定間隔だけ離間させる離間部材を有しているので、優れた動作性を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態における多段可変絞りの分解斜視構成を示す図である。
【図2】上部基板を外した多段階可変絞りの斜視構成を示す図である。
【図3】図2のA−O−Bを通る面に沿った断面構成を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における多段可変絞りの下部基板、第1の絞り板、第1のスペーサー、第1のコイルの上面構成を示す図であり、第1の絞り板が開口位置にある状態を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における多段可変絞りの下部基板、第1の絞り板、第1のスペーサー、第1のコイルの上面構成を示す図であり、第1の絞り板が退避位置にある状態を示す図である。
【図6】絞り板の移動空間を説明するための図であり、第2及び第3の絞り板の斜視構成を示す図である。
【図7】第2の実施の形態における多段可変絞りの絞り板の上面構成を示す図であり、第1の絞り板を開口位置に、第2及び第3の絞り板を退避位置に配置した状態を示す図である。
【図8】第2の実施の形態における多段可変絞りの絞り板の上面構成を示す図であり、第1の絞り板、第2の絞り板を開口位置に、第3の絞り板を退避位置に配置した状態を示す図である。
【図9】第2の実施の形態における多段可変絞りの絞り板の上面構成を示す図であり、第1の絞り板、第2の絞り板、第3の絞り板を開口位置に配置した状態を示図である。
【図10】第3の実施の形態における多段可変絞りの絞り板の上面構成を示す図である。
【図11】第4の実施の形態における多段可変絞りの絞り板の上面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる光調節装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、異なる開口径を有する複数の絞り板から形成され、各々の絞り板を光路位置及び光路外に相互に変位させることで、開口を通過する光量を段階的に規定する多段可変絞りを、電磁アクチュエータを用いて駆動する構成の光調節装置を例に説明する。図1、図2、図3を用いて、本実施の形態における多段可変絞り1の構成について説明する。図1は本実施の形態における多段可変絞り1の分解斜視構成を示す図であり、図2は上部基板を外した多段階可変絞りの斜視構成を示す図であり、図3は図2のA−O−Bを通る面に沿った断面構成を示す図である。
【0024】
図1に示す様に、本実施の形態における多段可変絞り1は、主として、下部基板100と、第1の絞り板200aと、第1のスペーサー300aと、第2の絞り板200bと、第2のスペーサー300bと、第3の絞り板200cと、第3のスペーサー300cと、上部基板400と、第1のコイル600aと、第2のコイル600bと、第3のコイル600cと、を備える。
下部基板100には、第1の開口104、複数の軸受け穴101、102、103、高さの異なるレール500、501が形成されている。第1の絞り板200aは、遮光部203a、腕部204aからなり、前記遮光部203aに第2の開口201aが形成され、前記腕部204aに円柱形状からなる磁石202aが接合されている。第1のスペーサー300aには、軸受け穴302a、303a、位置決め部304aが成形されている。第2の絞り板200bは、遮光部203b、腕部204bからなり、前記遮光部203bに第3の開口201bが形成され、前記腕部204bに円柱形状からなる磁石202bが接合されている。第2のスペーサー300bには、軸受け穴301b、303b、位置決め部304bが成形されている。
【0025】
第3の絞り板200cは、遮光部203c、腕部204cからなり、前記遮光部203cに第4の開口201cが形成され、前記腕部204cに円柱形状からなる磁石202cが接合されている。第3のスペーサー300cには、軸受け穴301c、302c、位置決め部304cが成形されている。上部基板400には、第5の開口404、複数の軸受け穴401、402、403、高さの異なるレール502、503が形成されている。第1のコイル600aは、コア602aにコイル線601aを巻き線することで構成され、第2のコイル600bは、コア602bにコイル線601bを巻き線することで構成され、第3のコイル600cは、コア602cにコイル線601cを巻き線することで構成されている。
【0026】
以下各々の構成部材の詳細について説明する。
下部基板100及び上部基板400は、リン青銅、ベリリウム銅、樹脂材等の非磁性体からなる薄板からプレス等の加工法により成形され、開口104及び404、軸受け穴101、102、103及び401、402、403、高さ(光軸O方向の長さ)の異なるレール500、501及び502、503が形成されている。尚、レール500の高さは、図1、3中第1のスペーサー300aの上面307aと同一高さになる様に、レール501の高さは、図1、3中第2のスペーサー300bの上面307bと同一高さになる様に、レール502の高さは、図1、3中第2のスペーサー300bの下面309bと同一高さになる様に、レール503の高さは、図1、3中第3のスペーサー300cの下面309cと同一高さになる様に形成されている。また、開口104及び404はその開口中心を光軸Oとし、入射光が通過する光路となる。開口104及び404の開口径は同一もしくは異なる径に成形されており、この開口径(開口径が異なる場合は小さい方の開口径)が多段可変絞り1における最大開口径となる。
【0027】
スペーサー300a、300b、300cは、下部基板100、上部基板400及び各々のスペーサーの間隔を規定する部材で、下部基板100及び上部基板400と同様に非磁性体からなる薄板をプレス等の加工法により成形されている。
【0028】
第1の絞り板200aは、下部基板100及び上部基板400と同様に非磁性体からなり、厚さが第1のスペーサー300aよりも薄い薄板からプレス等の加工法により成形され、遮光部203aには下部基板100及び上部基板400に形成された開口104及び404よりも小さな開口201aが形成されている。
【0029】
また、腕部204aには円柱状の磁石からなる軸部材202aが圧入等の方法で接合されている。軸部材202aは、下部基板100及び上部基板400に形成された軸受け穴101及び401と、第2のスペーサー300b及び第3のスペーサー300cに形成された軸受け穴301b及び301cとに回転可能に嵌合され、第1の絞り板200aは、軸部材202aを回転軸Aとして回動可能に設置されている。第1の絞り板200aの動作可能空間は、光軸O方向については、下部基板100及び第2のスペーサー300b及び上部基板400に形成されたレール502により規制されており、回転方向については、第1のスペーサー300aの一端に形成された位置決め部304a及び第1のスペーサー300aの他端部305aにより規制される。また、第1の絞り板200aが、位置決め部304aに当接する位置において、開口201aの開口中心は光軸Oと一致する様に位置決め部304aが形成されている。
【0030】
第2の絞り板200bは、下部基板100及び上部基板400と同様に非磁性体からなり、厚さが第2のスペーサー300bよりも薄い薄板からプレス等の加工法により成形し、遮光部203bには第1の絞り板200aに形成された開口201aよりも小さな開口201bが形成されている。また、腕部204bには円柱状の磁石からなる軸部材202bが圧入等の方法で接合されている。
【0031】
軸部材202bは、下部基板100及び上部基板400に形成された軸受け穴102及び402、第1のスペーサー300a及び第3のスペーサー300cに形成された軸受け穴302a及び302cに回転可能に嵌合され、第2の絞り板200bは、軸部材202bを回転軸Bとして回動可能に設置されている。第2の絞り板200bの動作可能空間は、光軸O方向については、第1のスペーサー300aと、下部基板100に形成されたレール500と、第3のスペーサー300cと、上部基板400に形成されたレール503とにより規制されており、回転方向については、第2のスペーサー300bの一端に形成された位置決め部304b及び第2のスペーサー300bの他端部305bにより規制される。また、第2の絞り板200bが、位置決め部304bに当接する位置において、開口201bの開口中心は光軸Oと一致する様に位置決め部304bが形成されている。
【0032】
第3の絞り板200cは、下部基板100及び上部基板400と同様に非磁性体からなり、厚さが第3のスペーサー300cよりも薄い薄板からプレス等の加工法により成形され、遮光部203cには第2の絞り板200bに形成された開口201bよりも小さな開口201cが形成されている。また、腕部204cには円柱状の磁石からなる軸部材202cが圧入等の方法で接合されている。軸部材202cは、下部基板100及び上部基板400に形成された軸受け穴103及び403と、第1のスペーサー300a及び第2のスペーサー300bに形成された軸受け穴303a及び303bとに回転可能に嵌合され、第3の絞り板200cは、軸部材202cを回転軸として回動可能に設置されている。
【0033】
第3の絞り板200cの動作可能空間は、光軸O方向については、上部基板400と、第2のスペーサー300bと、下部基板100に形成されたレール501とにより規制されており、回転方向については、第3のスペーサー300cの一端に形成された位置決め部304c及び第3のスペーサー300cの他端部305cにより規制される。また、第3の絞り板200cが、位置決め部304cに当接する位置において、開口201cの開口中心は光軸Oと一致する様に第3の絞り板200cが形成されている。
【0034】
第1のコイル600aは、ケイ素鋼、パーマロイ等の強磁性体からなるコア602aにコイル線601aが巻き線されることで構成されている。また、第2のコイル600b及び第3のコイル600cについても、第1のコイル600aと同様の構成となっている。
【0035】
次に、図4、5、6を用いて、本実施の形態における多段可変絞り1の動作について説明する。図4、5は本実施の形態における多段可変絞り1の下部基板100、第1の絞り板200a、第1のスペーサー300a、第1のコイル600aの上面構成を示す図であり、図4は、第1の絞り板200aが下部基板100に形成された第1の開口104の位置に挿入された(変位した)状態(以下、この位置を開口位置という。)を示し、図5は、第1の絞り板200aが下部基板100に形成された第1の開口104から退避した状態(以下、この位置を退避位置という)を示す。図6は、絞り板の移動空間を説明するための図であり、第2の絞り板200b、第3の絞り板200cの斜視構成を示す。
【0036】
図4、5に示す様に、軸部材202aは円柱状の磁石からなり、径方向に対してS極及びN極が対向する様に着磁されている。一方、図4、5に示す用に、第1のコイル600aは、コア602aにコイル線601aが巻き線されることで構成されており、コイル線601aに流す電流により、第1のコイル600aの腕部602a、602bが相互にS極及びN極に磁化される。
第1のコイル600aの腕部602a、602bは、第1の絞り板200aに接合されている軸部材202aがその間に配置される様に形成されており、第1のコイル600aにより発生する磁場と、軸部材202aの磁場との磁気的吸引力及び反発力により、軸部材202aに回転力が生じ、絞り板200aは軸部材202aを回転中心として回動する。また、回転の方向はコイル線601aに流す電流の方向で制御することが出来る。
【0037】
ここで、図4に示す様に、第1のコイル600aに磁場を発生させた場合、第1の絞り板200aには図中反時計回り(矢印r方向)の回転力が働き、第1のスペーサー300aの位置決め部304a(図1参照)に当接する。この状態において、第1の絞り板200aの遮光部203aは、下部基板100に形成された第1の開口104を塞ぎ、第1の絞り板200aの遮光部203aに形成された第2の開口201aの開口中心が光軸Oと一致することで、入射光が通過する光路の径は第2の開口201aと一致する。
【0038】
また、図5に示す様に、第1のコイル600aに磁場を発生させた場合、第1の絞り板200aには図中時計回り(矢印R方向)の回転力が働き、第1のスペーサー300aの他端部305a(図1参照)に当接する。この状態において、第1の絞り板200aの遮光部203aは、下部基板100に形成された第1の開口104から退避した位置となり、入射光が通過する光路の径は第1の開口104と一致する。
【0039】
同様に、第2の絞り板200b及び第3の絞り板200cを下部基板100に形成された第1の開口104の位置に挿入(変位)し、入射光が通過する光路の径を、第2の絞り板200b及び第3の絞り板200cに形成された開口201b及び201c(図1参照)と一致させることで、最終的に開口径を4段階に制御することが可能となる。
【0040】
次に本実施の形態における多段可変絞り1の効果について説明する。
上述の様に、本実施の形態における多段可変絞り1は、下部基板100、上部基板400、第1のスペーサー300a、第2のスペーサー300b、第3のスペーサー300c、レール500、501、502、503を備える。従って、各絞り板は、光軸O方向に対して垂直で各々異なる平面(例えば、第1の絞り板200a、第2の絞り板200b、第3の絞り板200cが変位する平面は、それぞれP1、P2、P3で示す。(図3参照))内を変位する構成となる。結果として、第1の絞り板200a、第2の絞り板200b、第3の絞り板200cの移動空間(第2の絞り板200bの移動空間はsp2、第3の絞り板200cの移動空間はsp3で示す。)が各々接することが無い(所定間隔だけ離間する)様に形成することが出来、各々の絞り板の接触が回避される為、一つの絞り板の回転動作が他の絞り板に影響を与えることが無くなり、絞り板を安定して駆動することが可能となる。また、絞り板を駆動する時に発生する摩擦を低減できる為、絞り板を駆動する際の高速化、低消費電力化、デバイスの小型化を実現できる。
【0041】
また、本実施形態における絞り板を複数の光学レンズに置き換えることによって、光学レンズ脱着装置として用いることも可能である。また、本実施形態における絞り板を複数の光学フィルターに置き換えることによって、透過光量もしくは透過波長域を変える光学フィルター脱着装置として用いることも可能である。
【0042】
(第2の実施の形態)
図7、8、9を用いて第2の実施の形態における多段可変絞り1について説明する。図7、8は第2の実施の形態における多段可変絞り1の絞り板の上面構成を示す図であり、図7は、第1の絞り板200aを開口位置に、第2の絞り板200b及び第3の絞り板200cを退避位置に配置した状態を示し、図8は、第1の絞り板200a、第2の絞り板200bを開口位置に、第3の絞り板200cを退避位置に配置した状態を示し、図9は、第1の絞り板200b、第2の絞り板200b、第3の絞り板200cを開口位置に配置した状態を示す。
【0043】
図7を用いて絞り板の寸法関係について説明する。図7に示す各々の絞り板において、第1の絞り板200aの遮光部203aの直径をL1、開口201aの直径をl1、第2の絞り板200bの遮光部203bの直径をL2、開口201bの直径をl2、第3の絞り板200cの遮光部203cの直径をL3、開口201cの直径をl3とした場合、各々の直径が、次式の関係が成り立つ様に各絞り板が形成されている。
l1>l2>l3 かつ L1>L2>L3
【0044】
次に、図7、8、9を用いて、本実施の形態における多段可変絞り1の動作について説明する。図7に示した状態において、入射光が通過する光路の径は第2の開口201aと一致する。図8に示した状態において、入射光が通過する光路の径は第3の開口201bと一致する。図9に示した状態において、入射光が通過する光路の径は第4の開口201cと一致する。
この様に、本実施の形態における多段可変絞り1では、二つ、もしくは三つの絞り板を連動して開口位置へ配置すること(すなわち、複数の絞り板を協働させること)で一つの開口を形成する。
【0045】
次に、本実施の形態における多段可変絞り1の効果について説明する。上述の様に、本実施の形態における多段可変絞りの絞り板200a、200b、200cは、順次その遮光部203a、203b、203cの径を小さくすることが出来る為、開口104から絞り板を退避させるのに要する移動空間を削減することが出来、デバイスを小型化することが可能となる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図10を用いて第3の実施の形態における多段可変絞り1について説明する。
図10は第3の実施の形態における多段可変絞り1の絞り板の上面構成を示す図である。図10に示す各々の絞り板において、第1の絞り板200aの開口201aの中心oaと軸部材202aの回転中心raとの距離をR1、第2の絞り板200bの開口201bの中心obと軸部材202bの回転中心rbとの距離をR2、第3の絞り板200cの開口201cの中心ocと軸部材202cの回転中心rcとの距離をR3とした場合、各々の距離が、次式の関係が成り立つ様に形成されている。
R1>R2>R3
【0047】
尚、各々の絞り板200a、200b、200cの動作は、第2の実施の形態と同一である。
【0048】
次に、本実施の形態における多段可変絞り1の効果について説明する。
上述の様に、本実施の形態における多段可変絞り1の絞り板200a、200b、200cは、順次その長手方向の長さを小さくすることが出来る為、絞り板の動作空間を削減することが出来、デバイスを小型化することが可能となる。
【0049】
(第4の実施の形態)
図11を用いて第4の実施の形態における多段可変絞り1について説明する。図6は第4の実施の形態における多段可変絞り1の絞り板200a、200b、200cの上面構成を示す図である。
【0050】
図11に示す様に、第1の絞り板200aの遮光部203a及び第2の絞り板200bの遮光部203bに各々、位置決め用突起205a及び205bがそれぞれ設けられている。従って、図示していないが、本実施の形態における多段可変絞り1の第2のスペーサー及び第3のスペーサーには、第1乃至第3の実施の形態における第2のスペーサー300bに設けられた位置決め部304b及び第3のスペーサー300cに設けられた位置決め部304c(図1参照)を必要としない。
【0051】
次に、図11を用いて、本実施の形態における多段可変絞り1の動作について説明する。図11に示す様に、第2の絞り板200bを開口位置へ変位した際、第2の絞り板200bは、第1の絞り板200aに設けられた位置決め用突起205aに当接することで位置が決められる。同様に、第3の絞り板200cを開口位置へ変位した際、第3の絞り板200cは、第2の絞り板200bに設けられた位置決め用突起205bに当接することで位置が決められる。
【0052】
次に、本実施の形態における多段可変絞り1の効果について説明する。
【0053】
第4の実施の形態における多段可変絞り1では、少なくとも第1の絞り板200a以外の絞り板200b、200cについては、位置決めをおこなう場所(開口位置)において直接突き当てが行われるので、位置ズレは各々の部材の成形誤差の加算分となり、最終的な開口位置における位置ズレを先述の第1乃至第3の実施形態の構成に比べ低減させることが出来る。
第1乃至第4の実施形態では、4つの絞り板を有する多段可変絞りを備える光調節装置としたが、本発明の光調節装置はこの構成に限定されることはなく、絞り板の数を適宜変更できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、光調節装置、特に動作性に優れた光調節装置に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 多段可変絞り
100 下部基板
101、102、103、301c、302c、
302a、303a、401、402、403 軸受け穴
104 第1の開口
200a 第1の絞り板
200b 第2の絞り板
200c 第3の絞り板
201a 第2の開口
201b 第3の開口
201c 第4の開口
202a、202b、202c 磁石
203a、203b、203c 遮光部
204a、204b、204c 腕部
300a 第1のスペーサー
300b 第2のスペーサー
300c 第3のスペーサー
304a、304b、304c 位置決め部
400 上部基板
404 第5の開口
500、501、502、503 レール
600a 第1のコイル
600b 第2のコイル
600c 第3のコイル
601a、601b、601c コイル線
602a、602b、602c コア
sp1、sp2 移動空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を通過する入射光を調整する光調節装置であって、
前記開口を有する基板と、
前記基板上で光軸方向に対して垂直で各々異なる平面内を変位する複数の入射光調節手段と、
前記入射光調節手段を駆動する複数の駆動手段と、
前記複数の入射光調節手段の各々が、それぞれの平面内を変位する移動空間同士を所定間隔だけ離間させる離間部材と、を有し、
前記駆動手段により前記複数の入射光調節手段を各々開口位置と、前記開口位置から退避した退避位置に相互に変位させることを特徴とする光調節装置。
【請求項2】
前記離間部材の光軸方向の厚みは、前記入射光調節手段の光軸方向の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光調節装置。
【請求項3】
前記離間部材は、一つの前記入射光調節手段に対し第1の離間部材と第2の離間部材とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の光調節装置。
【請求項4】
前記第2の離間部材のうち、少なくとも一つが前記基板上に形成されたレール形状をしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項5】
前記基板に対向して形成された第2の基板を有し、
前記レール形状の第2の離間部材が、前記基板と前記第2の基板に各々設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光調節装置。
【請求項6】
前記入射光調節手段が、光調整部と腕部からなり、
前記腕部に回転軸を有し、
前記回転軸を中心として回動することで、前記光調整部を前記開口位置と、前記開口位置から退避した退避位置に相互に変位させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項7】
前記各々の入射光調節手段の光調整部に、異なる開口を持ち、前記開口を通過する入射光の光量を調整することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項8】
入射光調節手段の数をn、第1番面から第n番目の入射光調節手段の光調整部の径をL1、・・・、Ln、開口の径をl1、・・・、lnとした場合、
l1>l2>・・・>ln かつ、 L1>L2>・・・>Ln
を満たすことを特徴とする請求項7に記載の光調節装置。
【請求項9】
前記第n番目の入射光調節手段の、前記退避位置から前記開口位置への変位に応じて、前記第1番面から第n−1番目の入射光調節手段が連動して、前記退避位置から前記開口位置へ変位することを特徴とする請求項8に記載の光調節装置。
【請求項10】
前記入射光調節手段に位置決め部が形成されており、前記第n番目の入射光調節手段を、前記開口位置へ変位させた際、前記第n−1番目の入射光調節手段に形成した位置決め部へ当接することにより、前記第n番目の入射光調節手段の位置決めをおこなうことを特徴とする請求項9に記載の光調節装置。
【請求項11】
前記光軸と前記各々の入射光調節手段に形成された回転軸との距離が略等しいことを特徴とする、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項12】
前記光軸と前記各々の入射光調節手段に形成された回転軸の距離との距離がそれぞれ異なることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項13】
前記第1番面から第n番目の入射光調節手段の開口中心と回転軸との距離をR1、・・・、Rnとした場合、
R1>R2>・・・>Rnを満たすことを特徴とする請求項12に記載の光調節装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−164803(P2010−164803A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7349(P2009−7349)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】