説明

光調節装置

【課題】高性能化、小型化、薄型化を実現しつつ、組み込んだ装置の部材と接触することによってコイルや磁石が破損したり、回転動作が妨げられることがない光調節装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一方に開口を有する二つの基板と、二つの基板の間隔を規定するスペーサと、回転中心となる軸部材を有し、基板間で光軸方向に対して鉛直な平面内を回動する少なくとも一つの入射光調節手段と、入射光調節手段に接合された磁石、及び芯材に巻き線されたコイルで構成され、入射光調節手段を駆動する少なくとも一つの駆動手段と、を有し、駆動手段により入射光調節手段を、開口から退避した第1の静止位置と、開口に重なる第2の静止位置と、に相互に回動させ、開口を通過する入射光を調整する光調節装置であって、光軸方向において駆動手段よりも突出した突出部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像機能を有した携帯機器やマイクロビデオスコープ等の小型光学装置の高性能化に伴い、レンズ、絞り、光学フィルタ等の光学素子も、従来の固定焦点レンズ、固定開口絞りから、フォーカスレンズ、可変絞り、可変光学フィルタを適用する要求が高まっている。さらに、高性能化された光学素子においても更なる小型化・薄型化が望まれている。
【0003】
図8は、従来の電磁駆動装置の構成を示す平面図である。図8に示す、特許文献1で提案された電磁駆動装置では、地板901に撮影レンズ902が保持されており、撮影レンズ902の周りにめぐらせたヨーク903と永久磁石905により閉磁気回路が形成されている。ヨーク903には、励磁用の巻線コイル904が巻かれている。この構成によれば、基板上にコイルを配置していることから径方向のサイズダウンが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−22042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光学素子等のデバイスをそのまま他の装置やシステムに組込んだ場合、組み込まれた装置の他の部材がデバイス上のコイル、磁石などに接触する可能性があり、これによってコイルや磁石の破損、回転動作の妨げになったりする恐れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高性能化、小型化、薄型化を実現しつつ、組み込んだ装置の部材と接触することによってコイルや磁石が破損したり、回転動作が妨げられることがない光調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光調節装置は、少なくとも一方に開口を有する二つの基板と、二つの基板の間隔を規定するスペーサと、回転中心となる軸部材を有し、基板間で光軸方向に対して鉛直な平面内を回動する少なくとも一つの入射光調節手段と、入射光調節手段に接合された磁石、及び芯材に巻き線されたコイルで構成され、入射光調節手段を駆動する少なくとも一つの駆動手段と、を有し、駆動手段により入射光調節手段を、開口から退避した第1の静止位置と、開口に重なる第2の静止位置と、に相互に回動させ、開口を通過する入射光を調整する光調節装置であって、光軸方向において駆動手段よりも突出した突出部を有することを特徴としている。
【0008】
本発明に係る光調節装置において、突出部は、光調節装置の装置本体の側面部に配置されることが好ましい。
【0009】
本発明に係る光調節装置において、突出部は、装置本体の全周を囲むように配置されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る光調節装置において、突出部は、装置本体の側面部の少なくとも2点より光軸方向に突出していることが好ましい。
【0011】
本発明に係る光調節装置において、装置本体は、光軸方向に突出した突出部を有する枠部材に覆われていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る光調節装置において、二つの基板及びスペーサのいずれかは、突出部を少なくとも2つ以上有し、突出部は光軸方向に突出していることが好ましい。
【0013】
本発明に係る光調節装置において、基板には、軸部材の受けとなる切り欠きが形成され、突出部の少なくとも一部は、入射光調節手段の脱落を防止する留め部を兼ねることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る光調節装置は、高性能化、小型化、薄型化を実現しつつ、組み込んだ装置の部材と接触することを防ぐことができ、これにより、コイルや磁石が破損したり、回転動作が妨げられることがなくなる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る光調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は、第1実施形態に係る光調節装置の装置本体に枠部材を装着する前の状態を示す斜視図であり、(b)は装置本体に枠部材が装着された状態の光調節装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図3】(a)は、入射光調節手段が第1の静止位置にある状態を示す平面図、(b)は、入射光調節手段が第2の静止位置にある状態を示す平面図である。
【図4】図2(b)において枠部材の一部を破断して示す斜視図である。
【図5】(a)は、第2実施形態に係る光調節装置の装置本体に枠部材を装着する前の状態を示す斜視図であり、(b)は装置本体に枠部材が装着された状態の光調節装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図6】(a)は、第3実施形態に係る光調節装置において突出部を光軸方向に折り曲げる前の状態を示す斜視図であり、(b)は突出部を折り曲げた状態の光調節装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図7】(a)は、第4実施形態に係る光調節装置の装置本体に枠部材を装着する前の状態を示す斜視図であり、(b)は装置本体に枠部材が装着された状態の光調節装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図8】従来の電磁駆動装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る光調節装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態は入射光調節手段としての光学素子を光学しぼりとして説明しているが、本発明はこれに限るものではない。
【0017】
(第1実施形態)
以下、図1から図4を参照しつつ、第1実施形態に係る光調節装置について説明する。図1は第1実施形態に係る光調節装置50の構成を示す分解斜視図である。図2(a)は、第1実施形態に係る光調節装置50の装置本体51に枠部材601を装着する前の状態を示す斜視図であり、(b)は装置本体51に枠部材601が装着された状態の光調節装置50を斜め上方から見た斜視図である。
【0018】
図1に示す光調節装置50は、光学開口102及び回転軸穴103が形成された基板101と、光学開口202及び回転軸穴203が形成された基板201と、光学開口301が形成された入射光調節手段300と、基板101と基板201との間に配置され、入射光調節手段300が回動可能となるスペースを作るためのスペーサ401と、入射光調節手段300を回動駆動する電磁駆動源500と、リング形状の枠部材601と、を備える。
【0019】
基板201と基板101は、基板201の中心に設けた光学開口202と基板101の中心に設けた光学開口102が光軸AX上に同心状に位置するように、光軸AXに沿って順に配置される。
入射光調節手段300には磁性を有する回転軸部材302が、接合により、直接設けられている。入射光調節手段300は基板101と基板201の間に配置されている。回転軸部材302は、光軸AXに沿って延びるように、下端部が基板201の回転軸穴203内に嵌め込まれ、上端部が基板101の回転軸穴103を貫通している。なお、回転軸部材302は磁石からなることが好ましい。
【0020】
電磁駆動源500は、芯材としての略コの字状のヨーク部材502に、巻線コイル部501を巻線したものである。ヨーク部材502の二つの先端部503、504は互いに対向している。電磁駆動源500は基板101上に配置され、ヨーク部材502の二つの先端部503、504の間に、回転軸穴103を貫通した回転軸部材302の上端部が配置される。ここで、電磁駆動源500の巻線コイル部501及びヨーク部材502、並びに回転軸部材302は駆動手段を構成する。
【0021】
このような配置により、巻線コイル部501に所定の電流を印加すると先端部503、504の間に配置された回転軸部材302がその軸の周りを回動する。この回動にしたがって入射光調節手段300は、回転軸部材302を回転軸として、光軸AXの方向に対して鉛直な平面内を回動し、これにより光学開口301の位置が移動する。
【0022】
次に、図3、図4を用いて、光調節装置50の動作について説明する。図3(a)は、入射光調節手段300が第1の静止位置にある状態を示す平面図、(b)は、入射光調節手段300が第2の静止位置にある状態を示す平面図である。図4は、図2(b)において枠部材601の一部を破断して示す斜視図である。図3(a)、(b)においては、説明がし易いように基板101、電磁駆動源500、枠部材601は省略する。
【0023】
入射光調節手段300においては、電磁駆動源500の巻線コイル部501に電流を印加することで、ヨーク部材502の二つの先端部503、504に磁力を発生させる。この磁力によって、二つの先端部503、504に挟まれた回転軸部材302を回転させる。巻線コイル部501に印加する電流を調整することにより、入射光調節手段300を第1の静止位置と、第2の静止位置と、に相互に移動させることができる。すなわち、電磁駆動源500の駆動により、入射光調節手段300を、第1の静止位置と、第2の静止位置と、に相互に回動させ、光学開口を通過する入射光を調整する。
【0024】
図3(a)に示す状態においては、入射光調節手段300が基板201の光学開口202及び基板101の光学開口102から退避した第1の静止位置にある。このとき、入射光調節手段300は、スペーサ401の内壁に当接することにより、その位置に静止している。また、この状態における光調節装置50の光学開口は基板101に形成した光学開口102となる。
【0025】
一方、図3(b)に示す状態においては、入射光調節手段300の光学開口301が基板201の光学開口202及び基板101の光学開口102に重なる第2の静止位置にある。このとき、入射光調節手段300は、スペーサ401の内壁に当接することにより、その位置に静止している。この状態においては、光調節装置50の光学開口は入射光調節手段300に形成された光学開口301となる。
【0026】
ここで、第1実施形態の光調節装置50ではスペーサ401を入射光調節手段300の二つの静止位置のストッパーとして機能を兼用させているが、静止位置ごとに別のストッパー部材を用いてもよい。また、入射光調節手段300が光学開口102、202から退避する第1の静止位置(図3(a)の位置)においては、枠部材601をストッパーとして用いてもよい。
【0027】
図2又は図4に示すように、枠部材601は、一定の幅を有するリング形状をなしており、装置本体51の側面部51aに配置され、かつ側面部51aの全周を囲んでいる。ここで、基板201の外径は枠部材601の厚み分だけ基板101よりも外径が大きくなっており、光調節装置50の装置本体51に嵌め込まれた枠部材601は、下面が基板201上に配置、接合されている。枠部材601の接合方法は特に限定されることはない。
ここで、側面部51aは、図2(a)に示すように、装置本体51を組み上げたときの電磁駆動源500、基板101、入射光調節手段300、回転軸部材302、スペーサ401、及び基板201の外周部を含む。
【0028】
装置本体51に嵌め込まれた枠部材601は、全周に渡り、光軸AXの方向において、巻線コイル部501、ヨーク部材502、及び回転軸部材302よりも上方に突出している。
【0029】
以上の構成により、第1実施形態に係る光調節装置50は以下の効果を奏する。
一般に、光調節装置は別の装置やシステムに組み込むことで効果を発揮するが、従来の光調節装置では、組み込み先の装置やシステムの部材が干渉してしまうことにより、コイル線の断線などの電磁駆動源の破損や各部材の位置ずれが生じやすかった。また、組み込み先の装置やシステムの部材が回転軸部材に接触することにより、入射光調節手段の回転動作に影響を及ぼす恐れがあった。
【0030】
これに対して、第1実施形態の光調節装置50においては、枠部材601は光軸AXの方向において一定の高さを有しており、かつ、電磁駆動源500及び回転軸部材302よりも上方に突出している。したがって、枠部材601が光調節装置50の装置本体51の側面部を覆っている。このため、枠部材601が電磁駆動源500や回転軸部材302を保護しており、組み込み先の装置やシステムの部材が枠部材601に干渉したとしても、電磁駆動源500や回転軸部材302に接触しづらくなっている。したがって、別のシステムに組み込んだ場合においても安定した動作が可能となるとともに、取り扱いが非常に容易になる。
【0031】
(第2実施形態)
次に図5を用いて、第2実施形態に係る光調節装置について説明する。図5(a)は、第2実施形態に係る光調節装置の装置本体61に枠部材701を装着する前の状態を示す斜視図であり、(b)は装置本体61に枠部材701が装着された状態の光調節装置を斜め上方から見た斜視図である。
第2実施形態に係る光調節装置においては、枠部材701の形状が第1実施形態における枠部材601の形状と異なる。第1実施形態に係る光調節装置と同じ部材については同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
第2実施形態の枠部材701においては、中央に開口702が形成された長板状の部材の長手方向両端に、光軸AXの方向に沿って突出した2枚の突出部701a、701bを設けている。突出部701a、701bは光軸AXを挟んで互いに対向し、光軸AXに沿った長さは略同一である。
また、枠部材701の開口702は、基板101、201に形成された光学開口102、202よりも直径が大きく、光調節装置に入射する光量を調節する機能は有さない。
【0033】
また、第2実施形態の光調節装置においては、第1実施形態の二つの基板101、201に代えて、二つの基板121、221を用いている。
基板121は、第1実施形態の基板101の光学開口102と同様に平面視略円形の中心に光学開口122が形成されているほか、外周面において、突出部701a、701bをそれぞれ位置決めする規制平面124a、124bが形成されている。
基板221は、第1実施形態の基板201の光学開口202と同様に平面視略円形の中心に光学開口が形成されているほか、外周面において、基板121の規制平面124a、124bに対応する位置に、突出部701a、701bをそれぞれ位置決めする規制平面224a、224bが形成されている。
【0034】
また、二つの基板121、221の間には、入射光調節手段が回動可能となるスペースを作るためのスペーサ421が配置されている。このスペーサ421は、基板121、221と積層したときに外側に突出しないような外周形状を備える。
【0035】
図5(b)に示すように、枠部材701は、装置本体61の側面部61aの一部を覆うように装置本体61に嵌め込まれ、かつ、突出部701a、701bは光調節装置の電磁駆動源500、回転軸部材302よりも光軸AXの方向に突出している。
【0036】
なお、装置本体61の側面部61aにおいて、枠部材701の突出部701a、701bの位置及び数は特に限定しないが、少なくとも2つ以上の突出部があることが望ましい。
また、枠部材701に、入射光調節手段が回動したときに静止位置を定めるストッパーとしての機能を持たせてもよい。
【0037】
以上の構成により、第2実施形態の光調節装置は以下の効果を奏する。
第1実施形態の枠部材601が装置本体51の外周全部を覆っていたのに対し、第2実施形態の枠部材701では、光軸AXの方向において、2つの突出部701a、701bが装置本体61の側面部より上方に突出している。これにより光調節装置を他のシステムに組み込んだ際、組み込み先の部材に押し付けられるなどしても、枠部材701の突出部701a、701bがあるため、直接電磁駆動源500や回転軸部材302に接触する機会が減るため、確実に保護される。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0038】
(第3実施形態)
次に図6を用いて、第3実施形態に係る光調節装置について説明する。図6(a)は、第3実施形態に係る光調節装置において突出部を光軸方向に折り曲げる前の状態を示す斜視図であり、(b)は突出部を折り曲げた状態の光調節装置を斜め上方から見た斜視図である。
第3実施形態に係る光調節装置においては、第1実施形態の基板201に代えて、外周面に二つの突出部234a、234bを設けた基板231を用いた点が第1実施形態における光調節装置と異なる。第1実施形態に係る光調節装置と同じ部材については同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0039】
基板231は、第1実施形態の基板201と同様に、平面視略円形の中心に光学開口が形成されるとともに、回転軸部材302の下端部が嵌め込まれる回転軸穴が設けられている。さらに、基板231の外周には、外側へ延びる二つの突出部234a、234bが設けられている(図6(a))。突出部234a、234bは、光軸AXの方向に沿うように折り曲げることができる(図6(b))。このとき、装置本体の側面部、すなわち、電磁駆動源500、基板131、入射光調節手段300、回転軸部材302、及びスペーサ431の外周部の一部が、二つの突出部234a、234bによって覆われる。折り曲げられた突出部234a、234bは、光軸AXを挟んで互いに対向し、かつ、電磁駆動源500の巻線コイル部501及びヨーク部材502、並びに、回転軸部材302よりも光軸AXの方向へ突出している。
【0040】
また、基板131は、第1実施形態の基板101の光学開口102と同様に平面視略円形の中心に光学開口が形成されているほか、外周面において、突出部234a、234bをそれぞれ位置決めする規制平面134a、134bが形成されている。
また、二つの基板121、221の間には、入射光調節手段が回動可能となるスペースを作るためのスペーサ431が配置されている。このスペーサ431は、基板131、231と積層したときに外側に突出しないような外周形状を備える。
【0041】
なお、第3実施形態では突出部234a、234bを基板231に形成しているが、これ以外の部材、特に基板131やスペーサ431に形成しても同様の効果を得ることが出来る。
また、突出部を形成する位置に関しては特に限定はないが、突出部の数は少なくとも2つ以上が望ましい。
さらに、突出部234a、234bに、入射光調節手段が回動したときに静止位置を定めるストッパーとしての機能を持たせてもよい。
【0042】
以上の構成により、第3実施形態の光調節装置は以下の効果を奏する。
第1実施形態及び第2実施形態では基板と別体の枠部材601、701を用いていたのに対し、第3実施形態では基板231に一体的に形成された突出部234a、234bを光軸AXの方向へ折り曲げることによって、電磁駆動源500、回転軸部材302を保護している。すなわち、光軸AXの方向において、2つの突出部234a、234bが巻線コイル部501、ヨーク部材502、及び回転軸部材302より上方に突出している。このため、光調節装置を他のシステムに組み込んだ際、組み込み先の部材に押し付けられるなどしても、基板231の突出部234a、234bがあるため、直接電磁駆動源500や回転軸部材302に接触する機会が少なくなることから、これらの部材が確実に保護される。
【0043】
また、第3実施形態の光調節装置では、第1実施形態の枠部材601や第2実施形態の枠部材701のように装置本体51から独立した枠部材が必要ないため、部品点数を減らすことが可能となる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態又は第2実施形態と同様である。
【0044】
(第4実施形態)
次に図7を参照して、第4実施形態に係る光調節装置について説明する。図7(a)は、第4実施形態に係る光調節装置の装置本体81に枠部材801を装着する前の状態を示す斜視図であり、(b)は装置本体81に枠部材801が装着された状態の光調節装置を斜め上方から見た斜視図である。
第4実施形態に係る光調節装置においては、枠部材801の形状が第1実施形態における枠部材601の形状と異なる。第1実施形態に係る光調節装置と同じ部材については同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
また、第4実施形態の光調節装置においては、第1実施形態の二つの基板101、201に代えて、二つの基板141、241を用いている。
基板141は、第1実施形態の基板101の光学開口102と同様に平面視略円形の中心に光学開口142が形成されているほか、外周の一部に切り欠き143が形成されている。
基板241は、第1実施形態の基板201の光学開口202と同様に平面視略円形の中心に光学開口が形成されているほか、外周の一部に切り欠き243が形成されている。基板141と基板241は、それぞれの光学開口が光軸AX上に同心状に位置するように、光軸AXに沿って順に配置される。
【0046】
また、入射光調節手段300は、基板141と基板241の間に配置され、回転軸部材302は光軸AXに沿って延びるように、基板141の切り欠き143と基板241の切り欠き243内に嵌め込まれる。すなわち、切り欠き143と切り欠き243は回転軸部材302の受けとなっている。
【0047】
枠部材801においては、中央に開口802が形成された板状の部材の三方の端部に、光軸AXの方向に沿って突出した3枚の突出部801a、801b、801cを設けている。突出部801a、801b、801cは光軸AXに沿って上方に延び、光軸AXに沿った長さは略同一である。
また、枠部材801の開口802は、基板141、241にそれぞれ形成された光学開口よりも直径が大きく、光調節装置に入射する光量を調節する機能は有さない。
【0048】
基板141の外周面には、突出部801a、801b、801cをそれぞれ位置決めする規制平面144a、144b、144cが形成されている。また、基板241の外周面には、規制平面144a、144b、144cにそれぞれ対応するように、突出部801a、801b、801cをそれぞれ位置決めする規制平面244a、244b、244cが形成されている。
【0049】
図7(b)に示すように、枠部材801は、装置本体81の側面部81aの三方を覆うように装置本体81に嵌め込まれ、かつ、突出部801a、801b、801cは光調節装置の電磁駆動源500、回転軸部材302よりも光軸AXの方向に突出している。このとき、突出部801a、801b、801cは、規制平面144a、144b、144c及び規制平面244a、244b、244cによって、それぞれ位置決めされている。さらに、突出部801bは、切り欠き143及び切り欠き243に対応する位置に配置される。これにより、突出部801bは、入射光調節手段300が脱落することを防止する留め部を兼ねる。
【0050】
以上の構成により、第4実施形態の光調節装置は以下の効果を奏する。
光軸AXの方向において、突出部801a、801b、801cが装置本体81の側面部81aより上方に突出している。これにより光調節装置を他のシステムに組み込んだ際、組み込み先の部材に押し付けられるなどしても、枠部材801の突出部801a、801b、801cがあるため、直接電磁駆動源500や回転軸部材302に接触することが少なくなり、確実に保護される。
【0051】
また、回転軸部材302を切り欠き143、243に嵌め込む構造としたため、組み上げが容易であり、さらに、突出部801bが入射光調節手段300の脱落防止のための留め部を兼ねるため、部品点数を減らすことが可能となる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明に係る光調節装置は、装置やシステムに組み込んだときのコイルや磁石の破損防止に有用である。
【符号の説明】
【0053】
50 光調節装置
51 装置本体
51a 側面部
61 装置本体
61a 側面部
81 装置本体
81a 側面部
101 基板
102 光学開口
103 回転軸穴
121 基板
122 光学開口
124a、124b 規制平面
131 基板
134a、134b 規制平面
141 基板
142 光学開口
143 切り欠き
144a、144b、144c 規制平面
201 基板
202 光学開口
203 回転軸穴
221 基板
224a、224b 規制平面
231 基板
234a、234b 突出部
241 基板
243 切り欠き
244a、244b、244c 規制平面
300 入射光調節手段
301 光学開口
302 回転軸部材
401 スペーサ
421 スペーサ
431 スペーサ
500 電磁駆動源
501 巻線コイル部
502 ヨーク部材
503、504 先端部
601 枠部材
701 枠部材
701a、701b 突出部
702 開口
801 枠部材
801a、801b、801c 突出部
802 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に開口を有する二つの基板と、
前記二つの基板の間隔を規定するスペーサと、
回転中心となる軸部材を有し、前記基板間で光軸方向に対して鉛直な平面内を回動する少なくとも一つの入射光調節手段と、
前記入射光調節手段に接合された磁石、及び芯材に巻き線されたコイルで構成され、前記入射光調節手段を駆動する少なくとも一つの駆動手段と、を有し、
前記駆動手段により前記入射光調節手段を、前記開口から退避した第1の静止位置と、前記開口に重なる第2の静止位置と、に相互に回動させ、前記開口を通過する入射光を調整する光調節装置であって、
光軸方向において前記駆動手段よりも突出した突出部を有することを特徴とする光調節装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記光調節装置の装置本体の側面部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の光調節装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記装置本体の全周を囲むように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光調節装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記装置本体の側面部の少なくとも2点より光軸方向に突出していることを特徴とする請求項2に記載の光調節装置。
【請求項5】
前記装置本体は、前記光軸方向に突出した前記突出部を有する枠部材に覆われていることを特徴とする請求項4に記載の光調調節装置。
【請求項6】
前記二つの基板及び前記スペーサのいずれかは、前記突出部を少なくとも2つ以上有し、前記突出部は前記光軸方向に突出していることを特徴とする請求項4に記載の光調節装置。
【請求項7】
前記基板には、前記軸部材の受けとなる切り欠きが形成され、
前記突出部の少なくとも一部は、前記入射光調節手段の脱落を防止する留め部を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の光調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11720(P2013−11720A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143976(P2011−143976)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】