説明

光輝性熱変色性積層体

【課題】 可逆熱変色層の色変化によって択一的に透明性光輝層の鮮やかな光干渉色が視認されると共に、加熱や冷却等の温度変化によって湾曲等の形状変化を生じ難く、実用性に富み、商品性に優れた光輝性熱変色性積層体を提供する。
【解決手段】 ポリメチルメタクリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂からなる薄膜を交互に積層してなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂が1重量部を超えてなる干渉色を呈する透明性光輝層2下に可逆熱変色層3を設けた光輝性熱変色性積層体1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性熱変色性積層体に関する。更に詳細には、光干渉色からなる光輝性と熱変色性を複合させた特異な色変化を発現できると共に、温度変化による形状変化を生じ難い光輝性熱変色性積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光輝性と熱変色性を複合させた積層体としては、可逆熱変色層上に虹彩フィルムを積層した虹彩性熱変色積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記積層体は、虹彩性に加えて温度変化により変色するため、特異な色変化を視認できるものの、虹彩性が十分ではないため可逆熱変色層の色変化を伴った特異な色変化が十分に発現され難い。また、可逆熱変色層を変色させる際の温度変化によって虹彩フィルムが湾曲し、商品性を損なうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−5442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記した光輝性と熱変色性を複合させた積層体の不具合を解消するものであって、即ち、光輝性に優れると共に、熱変色性と複合して特異な色変化が可能となり、且つ、加熱や冷却等の温度変化によっても湾曲等の形状変化が発生し難い光輝性熱変色性積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリメチルメタクリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂からなる薄膜を交互に積層してなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂が1重量部を超えてなる干渉色を呈する透明性光輝層下に可逆熱変色層を設けた光輝性熱変色性積層体を要件とする。
更には、前記透明性光輝層が、ポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなる層であること、前記透明性光輝層の薄膜が100層以上であり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂1.5重量部以上であること、前記可逆熱変色層は、目付量が15〜300g/mの布帛中に可逆熱変色性材料を含浸させた層であること等を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、可逆熱変色層の色変化によって択一的に透明性光輝層の鮮やかな光干渉色が視認されると共に、加熱や冷却等の温度変化によって湾曲等の形状変化を生じ難く、実用性に富み、商品性に優れた光輝性熱変色性積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の光輝性熱変色性積層体の一実施例の縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記可逆熱変色層中に含まれる可逆熱変色性組成物としては(イ)電子供与性化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の三成分を含む組成物が用いられ、例えば、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載のものが利用できる。
前記組成物は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、変色点以上の温度域で消色状態、変色点未満の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち、常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要する熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい熱変色挙動を示す加熱消色型の可逆熱変色性組成物である。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載された大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温側変色点以下の温度域での発色状態、或いは高温側変色点以上の温度域での消色状態が、前記変色に要した冷熱又は熱の適用を取り去った後にあっても互変的に記憶保持できる加熱消色型の可逆熱変色性組成物を用いることもできる。
【0009】
また、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型の可逆熱変色性組成物を適用することもできる
【0010】
前記可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包して使用することが好ましく、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができる。
前記マイクロカプセルの粒子径は、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmの範囲が実用性を満たす。
なお、マイクロカプセル化は、公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等が適用され、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0011】
前記可逆熱変色性組成物又はそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、膜形成材料であるバインダーを含む媒体中に分散されて、インキ、塗料などの色材として適用され、公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により可逆熱変色層を形成することができる。
更に、前記可逆熱変色層は塗膜として形成されたものに限らず、熱変色性組成物又はそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中にブレンドされて成形された可逆熱変色層であってもよい。
【0012】
前記透明性光輝層は、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる薄膜と、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる薄膜を交互に積層してなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂が1重量部を超えてなる光輝性を有する材料が用いられる。
前記光輝性を有する材料としては、韓国SKG社製、商品名:New Skyrol Fancylite Filmが挙げられる。
前記透明性光輝層は、薄膜を少なくとも100層以上積層してなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を1.5重量部以上含有することが好ましく、より好ましくはポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を2重量部以上含有する。
なお、前記透明性光輝層はポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなる層であることが好ましい。
前記透明性光輝層の厚みは15〜100μmのものが用いられる。
前記透明性光輝層は可逆熱変色層上に設けられ、下層の可逆熱変色層の色変化にあわせて視認される色調が変化すると同時に、輝度の高い金色や緑色等の反射光を発現することができる。
また、前記透明性光輝層はポリメチルメタクリレート樹脂よりも熱膨張率が小さいポリエチレンテレフタレート樹脂の重量比率が高いため、加熱や冷却等の温度変化による湾曲等の形状変化を抑制することができ、可逆熱変色層を変色させるために加熱や冷却を繰り返しても温度変化による形状変化は少なく、応用用途を拡充することができる。
なお、従来の透明性光輝層(虹彩フィルム)は、赤色の反射色を呈する場合は青色の透過色を呈し、緑色の反射色を呈する場合はピンク色の透過色を呈し、青色の反射色を呈する場合は黄色の透過色を呈するが、本発明の透明性光輝層は、透過光が青色であってもその反射光は角度によって異なり、可逆熱変色層が暗色の場合は輝度の高い金色や緑色が視認され、可逆熱変色層が白色や無色の場合は、輝度の高い青色や紫色が視認され、透明性光輝層表面で視認される反射光は従来の虹彩フォルムと比較して光輝性が向上する。
【0013】
前記可逆熱変色層下には、織物、編物、組物、不織布、レース生地等の布帛を貼着することにより断裁や縫製が容易になるため、衣料用途や人形用衣装等への応用性を満たす。
その際、布帛中に可逆熱変色性材料(可逆熱変色性組成物又はそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料)を含浸させて可逆熱変色層として用いることが好ましく、フィルムとは異なる風合いや外観を得ることができるため、素材としての応用性を拡げることができる。
更に、可逆熱変色層下に布帛を設けたり、布帛が透過性を有する場合は、透明性光輝層と可逆熱変色層の間に布帛を介在させることもできる。
前記布帛としては、目付量が15〜300g/m以下の布帛が用いられ、目付量が30〜100g/mの布帛がより好適に用いられる。
目付量が15g/m未満では、布帛としての風合いを十分に得ることができず、また、300g/mを超えると布帛自体の遮蔽効果により、前記布帛の下に可逆熱変色層を設ける場合は可逆熱変色層の色変化を透明性光輝層を透して視認することが困難となる。
前記布帛と透明性光輝層或いは可逆熱変色層を貼着する接着剤としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ジアクリルフタレート樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が用いられる。
なお、貼着方法としては、接着剤による接着の他、熱融着、超音波融着等の方法が挙げられる。
【0014】
前記可逆熱変色層は、透明性光沢層下の全面に積層された構成に限らず、部分的に積層してよい。
これを具体的に説明すると、透明性光輝層下に可逆熱変色層による像を形成することによって、装飾性の高い積層体を得ることができる。
前記像の形状は特に限定されるものではなく、文字、記号、数字、絵柄、図柄(多角形、星形、円形、線形、ハート形等)や幾何学紋様等が挙げられる。
【0015】
前記透明性光輝層上には、フィルムや透明性樹脂による保護層を設けたり、低屈折率顔料とバインダー樹脂を含み、水を吸液した状態と吸液しない状態で透明性を異にする多孔質層を設けることもできる。
前記多孔質層について説明する。
前記多孔質層は、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層であり、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0016】
更に、前記可逆熱変色層に光安定剤を含有したり、光安定剤を含む層を適宜設けることもできる。具体的には、前記光安定剤は紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消色剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる。
【実施例】
【0017】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、配合中の部とあるは重量部を示す。
実施例1(図1参照)
30℃以上で黒色、30℃未満で無色に変色する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料30部、固形分50%のアクリルエマルジョン68.9部、消泡剤0.1部、水性系増粘剤1.0部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷インキを用いて、透明性光輝層2としてポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を2重量部の割合で構成される光輝性フィルム(商品名:New Skyrol Fancylite Film、韓国SKG社製、厚さ22μm、薄膜は100層以上)の下面に全面ベタ状にスクリーン印刷を行い、可逆熱変色層3を形成して光輝性熱変色性積層体1を得た。
なお、前記光輝性フィルムは、透過光が青色であってもその反射光は角度によって異なり、可逆熱変色層が暗色の場合は輝度の高い金色や緑色が視認され、可逆熱変色層が無色や白色の場合は、輝度の高い青色や紫色が視認される。
前記光輝性熱変色性積層体は、30℃以上の温度では可逆熱変色層が無色になり、透明性光輝層表面では輝度の高い青色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い紫色が視認される。
また、30℃未満の温度では可逆熱変色層が黒色を呈し、透明性光輝層表面では輝度の高い金色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い緑色が視認される。
前記様相変化は温度変化により繰り返し行うことができ、また、加熱や冷却等を行なってもカール等の形状変化は発生しなかった。
【0018】
実施例2
感温変色性色彩記憶性組成物〔消色温度30℃、着色温度15℃:着色時に黒色を呈する〕を内包したマイクロカプセル顔料20部、固形分40%のポリウレタンエマルジョン78.9部、消泡剤0.1部、水性系増粘剤1.0部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷インキを用いて、透明性光輝層としてポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を2重量部の割合で構成される光輝性フィルム(商品名:New Skyrol Fancylite Film、韓国SKG社製、厚さ19μm、薄膜は100層以上)の下面に全面ベタ状にスクリーン印刷を行い、可逆熱変色層を形成して光輝性熱変色性積層体を得た。
なお、前記光輝性フィルムは、透過光が黄色であってもその反射光は角度によって異なり、可逆熱変色層が暗色の場合は輝度の高い緑色や紫色が視認され、可逆熱変色層が無色や白色の場合は、輝度の高い黄色や赤紫色が視認される。
前記光輝性熱変色性積層体は、30℃以上に加温すると可逆熱変色層が無色になり、透明性光輝層表面では輝度の高い黄色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い赤紫色が視認される。
次いで、前記積層体を15℃以下に冷却すると可逆熱変色層が黒色を呈し、透明性光輝層表面では輝度の高い緑色が視認される。この状態で視認する角度を変えると高輝度の紫色が視認される。
前記様相変化は温度変化により繰り返し行うことができ、また、加熱や冷却等を行なってもカール等の形状変化は発生しなかった。
【0019】
実施例3
透明性光輝層としてポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を2重量部の割合で構成される光輝性フィルム(商品名:New Skyrol Fancylite Film、韓国SKG社製、厚さ22μm、薄膜は100層以上)の下面に15デニールのポリエステル繊維からなる目付量30g/mのトリコット編み生地(布帛)を接着剤としてアクリル樹脂を用いて貼り合わせた。
更に、前記布帛に感温変色性色彩記憶性組成物〔消色温度30℃、着色温度15℃:着色時に黒色を呈する〕を内包したマイクロカプセル顔料20部、固形分40%のポリウレタンエマルジョン78.9部、消泡剤0.1部、水性系増粘剤1.0部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷インキを用いて全面ベタ状にスクリーン印刷を行い、布帛に可逆熱変色性材料を含浸させて可逆熱変色層を形成して光輝性熱変色性積層体を得た。
なお、前記光輝性フィルムは、透過光が青色であってもその反射光は角度によって異なり、可逆熱変色層が暗色の場合は輝度の高い金色や緑色が視認され、可逆熱変色層が無色や白色の場合は、輝度の高い青色や赤紫色が視認される。
前記光輝性熱変色性積層体は、30℃以上に加温すると可逆熱変色層が無色になって白色を呈し、透明性光輝層表面では輝度の高い青色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い赤紫色が視認される。
次いで、前記光輝性熱変色性積層体を15℃以下に冷却すると可逆熱変色層が黒色を呈し、透明性光輝層表面では輝度の高い金色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い緑色が視認される。
前記様相変化は温度変化により繰り返し行うことができ、また、加熱や冷却等を行なってもカール等の形状変化は発生しなかった。
【0020】
前記光輝性熱変色性積層体を裁断、縫製して人形用衣装(ドレス)を作製した。
前記人形用衣装は、ミシンの縫製で破損することなく、布帛の風合いを有した仕上がりであり、光輝効果を有していると同時に温度によって視認される色が異なる見栄えの良い人形用衣装であった。
【0021】
実施例4
透明性光輝層としてポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を2重量部の割合で構成される光輝性フィルム(商品名:New Skyrol Fancylite Film、韓国SKG社製、厚さ22μm、薄膜は100層以上)の下面に15デニールのポリエステル繊維からなる目付量30g/mのトリコット編み生地(布帛)を接着剤としてアクリル樹脂を用いて貼り合わせた。
更に、前記布帛の下面から感温変色性色彩記憶性組成物〔消色温度30℃、着色温度15℃:着色時に黒色を呈する〕を内包したマイクロカプセル顔料20部、固形分40%のポリウレタンエマルジョン78.9部、消泡剤0.1部、水性系増粘剤1.0部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷インキを用いて花柄のスクリーン印刷を行い、布帛に可逆熱変色性材料を含浸させて可逆熱変色層(可逆熱変色像)を形成して光輝性熱変色性積層体を得た。
なお、前記光輝性フィルムは、透過光が青色であってもその反射光は角度によって異なり、可逆熱変色層が暗色の場合は輝度の高い金色や緑色が視認され、可逆熱変色層が無色や白色の場合は、輝度の高い青色や赤紫色が視認される。
前記熱変色性積層体は、30℃以上に加温すると可逆熱変色層が無色になって白色を呈し、透明性光輝層表面で全面に輝度の高い青色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い赤紫色が視認される。
次いで、前記光輝性熱変色性積層体を15℃以下に冷却すると可逆熱変色層が黒色になり、透明性光輝層表面では、視認する角度によって輝度の高い青色地及び赤紫色地に輝度の高い金色及び緑色の花柄を視認することができる。
前記様相変化は温度変化により繰り返し行うことができ、また、加熱や冷却等を行なってもカール等の形状変化は発生しなかった。
【0022】
前記光輝性熱変色性積層体を裁断、縫製して人形用衣装(水着)を作製した。
前記人形用衣装は、ミシンの縫製で破損することなく、布帛の風合いを有した仕上がりであり、光輝効果を有していると同時に温度によって視認される色が異なる見栄えの良い人形用衣装であった。
【0023】
実施例5
感温変色性色彩記憶性組成物〔消色温度30℃、着色温度15℃:着色時にピンク色を呈する〕を内包したマイクロカプセル顔料25部、固形分50%のアクリル樹脂エマルジョン73.9部、消泡剤0.1部、水性系増粘剤1.0部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷インキを用いて、透明性光輝層としてポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を2重量部の割合で構成される光輝性フィルム(商品名:New Skyrol Fancylite Film、韓国SKG社製、厚さ19μm、薄膜は100層以上)の下面に全面ベタ状にスクリーン印刷を行い、70℃で10分間乾燥硬化させて可逆熱変色層を形成して光輝性熱変色性積層体を得た。
なお、前記光輝性フィルムは、透過光が黄色であってもその反射光は角度によって異なり、可逆熱変色層が暗色の場合は輝度の高い緑色や紫色が視認され、可逆熱変色層が無色や白色の場合は、輝度の高い黄色や赤紫色が視認される。
前記熱変色性積層体は、30℃以上に加温すると可逆熱変色層が無色になり、透明性光輝層表面では輝度の高い黄色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い赤紫色が視認される。
次いで、前記積層体を15℃以下に冷却すると可逆熱変色層がピンク色を呈し、透明性光輝層表面では輝度の高い赤色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い金色も視認される。
前記様相変化は温度変化により繰り返し行うことができ、また、加熱や冷却等を行なってもカール等の形状変化は発生しなかった。
【0024】
実施例6
透明性光輝層としてポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂を2重量部の割合で構成される光輝性フィルム(商品名:New Skyrol Fancylite Film、韓国SKG社製、厚さ19μm、薄膜は100層以上)の下面に50デニールのポリエステル繊維からなる目付量100g/mの綿ブロード生地(布帛)を接着剤としてアクリル樹脂を用いて貼り合わせた。
次いで、感温変色性色彩記憶性組成物〔消色温度30℃、着色温度15℃:着色時に紫色を呈する〕を内包したマイクロカプセル顔料25部、固形分50%のアクリル樹脂エマルジョン73.9部、消泡剤0.1部、水性系増粘剤1.0部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷インキを用いて全面ベタ状にスクリーン印刷を行い、布帛に可逆熱変色性材料を含浸させて可逆熱変色層を形成して光輝性熱変色性積層体を得た。
なお、前記光輝性フィルムは、透過光が黄色であってもその反射光は角度によって異なり、可逆熱変色層が暗色の場合は輝度の高い緑色や紫色が視認され、可逆熱変色層が無色や白色の場合は、輝度の高い黄色や赤紫色が視認される。
前記光輝性熱変色性積層体は、30℃以上に加温すると可逆熱変色層が無色になって白色を呈し、透明性光輝層表面では輝度の高い黄色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い赤紫色が視認される。
次いで、前記積層体を15℃以下に冷却すると可逆熱変色層が紫色を呈し、透明性光輝層表面では輝度の高い紫色が視認される。この状態で視認する角度を変えると輝度の高い金色も視認される。
前記様相変化は温度変化により繰り返し行うことができ、また、加熱や冷却等を行なってもカール等の形状変化は発生しなかった。
【0025】
前記光輝性熱変色性積層体を裁断、縫製して人形用衣装(スカート)を作製した。
前記人形用衣装は、ミシンの縫製で破損することなく、布帛の風合いを有した仕上がりであり、光輝効果を有していると同時に温度によって視認される色が異なる見栄えの良い人形用衣装であった。
【符号の説明】
【0026】
1 光輝性熱変色性積層体
2 可逆熱変色層
3 透明性光輝層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメチルメタクリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂からなる薄膜を交互に積層してなり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂が1重量部を超えてなる干渉色を呈する透明性光輝層下に可逆熱変色層を設けた光輝性熱変色性積層体。
【請求項2】
前記透明性光輝層が、ポリメチルメタクリレート樹脂の薄膜とポリエチレンテレフタレート樹脂との薄膜のみからなる層である請求項1記載の光輝性熱変色性積層体。
【請求項3】
前記透明性光輝層の薄膜が100層以上であり、ポリメチルメタクリレート樹脂1重量部に対してポリエチレンテレフタレート樹脂1.5重量部以上である請求項1記載の光輝性熱変色性積層体。
【請求項4】
前記可逆熱変色層は、目付量が15〜300g/mの布帛中に可逆熱変色性材料を含浸させた層である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光輝性熱変色性積層体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−126143(P2011−126143A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287049(P2009−287049)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】