説明

光透過性多層カーペットタイル、並びに照明システム及びこのようなカーペットタイルの複数を有するカーペット敷設フロア

本発明は、カーペットタイル上面及びカーペットタイル下面を有する光透過性多層カーペットタイルを提供する。多層カーペットタイルは、タフテッド一次バッキング層、プリコート層及びタイルバッキングを有する。多層カーペットタイルは、タイルバッキングからカーペットタイル上面に向かう方向に伝播し、可視レンジの波長を有する光について0.5−15%のレンジのカーペットタイル光透過率を有する光透過性カーペットタイルセクションを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層カーペットタイル、及びこのようなカーペットタイルの複数を有するカーペットを敷設したフロアに関する。
【背景技術】
【0002】
フロア上又はフロア内の照明は、当技術分野において知られている。例えば欧州特許第0323682号明細書は、建物内の移動の経路に沿って建物の居住者を案内する装置を記述しており、装置は、構造体のフロアをカバーするように構成されるモジュラ形カーペットタイルを有し、タイルの幾つかは、その中の開口に位置する光透過性の成形プラスチックハウジングと、ハウジング内に位置する発光ダイオードと、を有するシグナルユニットである。発光ダイオードが、電気ケーブルを介して活性化され、それによりフロア上に視覚的に識別可能な経路を提供する。
【0003】
更に、光ファイバを含むテキスタイル(布地)もまた、当技術分野において知られている。例えば米国特許出願公開第20070037462号明細書は、機能的な光ファイバを有する分散型光ファイバスクリムを製造する方法、こうして製造される機能的な光ファイバスクリム、及び光ファイバスクリムが組み込まれた複合体、を記述している。この文書は、さまざまなテキスタイルスクリム、特に接着接合された不織スクリム材料、を記述しており、各々は、ファブリックの少なくとも長さ又は幅を横切る連続する経路を有する少なくとも1つの光ファイバを有する。このような光ファイバスクリムは、センサ素子として(例えば、破損、ひずみ、圧力又はトルクの検出器として)、(例えばさまざまな光供給アプリケーションにおける)照明コンポーネントとして、又はデータ分配コンポーネントとして、単独で又は例えばファブリック、フィルム、発泡体等の他の材料との組み合わせにおいて、有用でありうる。
【0004】
米国特許第4754372号明細書は、少なくとも1つの光源がテキスタイル材料の背部に接続された、ファイバ面を有するテキスタイル材料の照明可能なカバーを記述している。複数の光透過性ファイバが、光源に接続され、そこから光を発し、それらファイバの自由端部分は、光源が活性化されるとき光をファイバ面に送るために、テキスタイル材料のファイバ面に隣接して終端する。一実施形態において、テキスタイル材料は、例えばカーペット又は敷物のようなフロアカバー材料である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばカーペット内での電子コンポーネントの使用が、当技術分野において知られている。例えば国際公開第2007033980号明細書は、このようなカーペット及びカーペットに電子コンポーネントを装備する方法を記述している。電子コンポーネントが効率的且つ正確に配置されるようにカーペットに適用されることを確実にする方法を確立するために、支持体材料に固定されるように取り付けられる電子コンポーネントが、支持体の助けによりカーペットに接着される。
【0006】
米国特許第4794373号明細書は、構造体内のフロアに沿う移動の経路において構造体の占有者を視覚的に案内する装置を記述している。この装置は、フロア上に置かれるカーペットと、カーペットの下に位置付けられる照明ストリップと、を有する。照明ストリップは、細長いリボンを有し、横方向に間隔を隔てられた電気導体のグループが、リボン内に収容され、シート材料のリボンの長手方向に延在する。一連の透光性プラスチックハウジングは、プラスチックシート材料のリボンの共通の外側表面に接続され、プラスチックシート材料のリボンの共通の外側表面に沿って長手方向に配置される。発光手段は、ハウジングの各々の中に位置付けられ、シート材料のリボン内に収容された電気導体のグループの予め決められたものに電気的に接続される。カーペットは、照明ストリップ上の一連の透光性ハウジングに対応して一連の貫通開口を有する。ハウジングは、カーペットの開口内に位置し、従って、ハウジング内に位置する発光手段が活性化されると、視覚的に識別可能な経路が、カーペットの表面に沿って現れる。
【0007】
従来技術の多くにおける不利益は、例えば光源又はそれらのハウジングがカーペットを貫通することである。これは、美学的理論の理由でユーザによって望まれないことがある。その理由は、「真の広幅織りの」カーペットがなく、一定のカーペット感覚及び視覚がない可能性があるからである。加えて、照明システムがカーペットから独立してクリーニングされる必要がありうるので、システムのクリーニングが一層困難になりうる。従来技術の別の問題は、費用があまりに高く、この費用は、光源に必要なハウジングによって強く増大されることである。更に、それは、システムの複雑さを加えることがあり、これは、従来技術の光源の設置を困難にする。従来技術の別の不利益は、システムが設置されたあと、照明パターンが変更されることができないことである。
【0008】
照明機能を有するカーペットを提供することの要求があるが、カーペット及び照明をフロア上に配置する際に可撓性があることの要求もある。
【0009】
後者は、ここでカーペットタイルを使用することによって提供される。加えて、カーペットタイルの利点は、それらが必ずしもフロアに接着される必要がないことであり、これは、(複数の)カーペットタイルの下に設置される照明システムを取り替え又は修理することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
それゆえ、本発明の1つの見地は、(a)照明システムと、(b)このようなカーペットタイルの複数と、を有し、好適には更に上記の欠点の1又は複数を少なくとも部分的に取り除く、照明機能を与えうる代替のカーペットタイル、光源を有する代替カーペットタイル、及びカーペットを敷設したフロアのような代替のカーペットを敷設した構造体、を提供することである。
【0011】
第1の見地において、本発明は、カーペットタイル上面(「パイル」)及びカーペットタイル下面を有する光透過性多層カーペットタイル(「カーペットタイル」又は「タイル」とも示される)であって、
a.カーペットタイル上面及び一次バッキング層下面を有するタフテッド一次バッキング層と、
b.一次バッキング層下面に取り付けられたプリコート層と、
c.カーペットタイル下面を有する、プリコート層に取り付けられたタイルバッキングと、
を有し、多層カーペットタイルが、タイルバッキングからカーペットタイル上面に向かう方向に伝播し、可視レンジの波長を有する光について好適には0.5−15%のレンジのカーペットタイル光透過率を有する光透過性カーペットタイルセクションを有する、多層カーペットタイルを提供する。
【0012】
このようにして、ロバストなカーペットが、最先端技術のカーペット生産プロセスに基づいて提供されることができるが、個々の層及び/又は層材料を選択する際に透過性に特に注意が払われる。多層カーペット構造体は、通常のカーペットよりも一層、カーペットタイルに関する要求を満たすことが好ましい。
【0013】
プリコート層は、特にタフト結合強度(パイル引き抜き強度、tuft bind strength)及び好適には難燃性の要求を満たす必要があり、タイルバッキングは、例えば単位面積あたりの全質量、端部の総直角度及び真直度、寸法安定性、切断端部のカーリング/ドーミング及び損傷(ほつれ)のような要求を満たすことが必要とされうる。特に高い程度の摩耗を伴うアプリケーション(例えばオフィス、学校、ホテル、図書館、病院、輸送車、家庭内の特定の部屋等)の場合、これは価値がありうる。
【0014】
更に、光源が取り替えられ、修理され又は除去される必要がありうる場合、(複数の)当該カーペットタイルのみが、(一時的に)取り外される必要がありうるので、タイルの使用は有利でありうる。
【0015】
示される透過レンジは、一方では、特に最先端技術のLED、好適にはソリッドステートLEDを考えて、例えば一般的なオフィス照明条件の下でも光効果が目に見えるようにするために、カーペットタイルを通過する十分な透過性を提供することができ、他方では、カーペットタイルの下の(例えば光源のような)構成要素(又はカーペットタイル下の他の構成要素)が目に見えることを実質的に防ぐことができる。光源(又は電気ワイヤ、反射薄膜、パディング等の他の構成要素)がもはや隠されることができないので、特に、カーペットタイルの下のフロア又は他の構成要素の可視性が、望ましくないことがある。
【0016】
(複数の)光源としてのソリッドステートLEDは、それらの小さい寸法のため、特に望ましい。最先端技術を有するこのような光源は、厚さ1mm未満でありえ、(PCB(プリント回路基板)のような0.5−1mmの厚さの支持構造体を除いて)約0.2mmのレンジでありえ、又はより薄くてもよい。このような(例えば支持構造体を含む1mmの総厚さを有する)光源をフロアの上に配置する場合、カーペットタイルは、光源(の存在)の、カーペットタイルの(局所的な)表面高さに対する実質的な影響なく、且つカーペットタイルの(局所的な)感触に対する実質的な影響なく、光源の上に配置されることができる。それにもかかわらず、カーペットタイルを生成する際、カーペットタイルの下の光源の存在を考慮することが好ましいことがある。従って、一実施形態において、タイルバッキングは、光源を少なくとも部分的に囲むことが可能であるように構成される凹部を有する。
【0017】
しかしながら、好適には、代わりに、タイルバッキング材料が、(複数の)光源(及び/又は照明システム、以下参照)の上でそれ自身を形作るように(可塑的に)変形することができるように、選択されることもできる。これは、このアプリケーションにおいて提案される材料の多くに当てはまりうる。
【0018】
好適には、光源の総高さ及びより好ましくは照明システムの総高さは、少なくとも1mmであり、好適にはそれより小さく、例えば約0.7mmに等しく又はそれより小さい。
【0019】
それゆえ、光源を適用する際、カーペットタイルは、凹部を有さなくてもよく、カーペットタイルが、光源上に(又は照明システム上にそれぞれ)配置される。代替として、カーペットタイルは、凹部を有することができ、カーペットタイルの凹部が、光源上に配置される。代替として、光源、より具体的には照明システムが、パディングによって含められることができ、カーペットタイルが、パディングの上に配置される。それゆえ、一実施形態において、光源(又は照明システム)は、1mmに等しい又はそれより小さい総高さを有し、好適には0.7mmに等しい又はそれより小さい総高さを有し、例えば約0.3mmの総高さを有し、カーペットを敷設したフロア(又はカーペットを敷設した壁又はカーペットを敷設した天井のようなカーペットを敷設した任意の別の構造体)は、パディングを含まない。他の実施形態において、光透過性多層カーペットタイルは、凹部を含まない。更に他の実施形態において、照明システムは、パディングに含まれる。
【0020】
光源は、カーペットと別個のものであってもよく、すなわち、カーペットタイルは、一実施形態において、光源を含まない。従って、実施形態及び請求項のいくつかは、カーペットタイル自体に関する。しかしながら、特定の実施形態において、光源が、カーペットに、特にタイルバッキングに、少なくとも部分的に組み込まれることもできる。従って、一実施形態において、カーペットタイルは、少なくとも1つの光源を有することができる。このような光源は、任意には複数の光源を有する照明システムの一部でありうる(以下参照)。従って、本発明は、特定の実施形態において、好適には(ソリッドステート)発光ダイオード(LED)のような光源を有する光透過性多層カーペットタイルを提供する。
【0021】
「光源」という語は、複数のLEDのような複数の光源をさすこともできる。それゆえ、光源は、複数の光源に関係しうる。特定の実施形態において、「LED」という語は、複数のLEDをさすこともできる。「複数のLED」という語は、2又はより多くのLEDをさすことができ、特に2−100,000の、例えば2−10,000、4−300、16−256のLEDをさすことができる。それゆえ、カーペットタイル又は照明システムは、複数のLEDを含みうる。一般に、カーペットタイル又は特に照明システムは、2−10,000LED/mを有することができ、特に25−2,500LED/mを有することができる。複数のLEDは、複数のカーペットタイルにわたって分布されることができることに注意されたい。例えば、オフィス内の10メートルの通路は、10の照明システムを備える10の発光カーペットタイルを有することができ、各々の照明システムは、矢印を描く約80のモノカラーLEDを有する。従って、「照明システム」という語もまた、複数の照明システムをさすことができる。更に、本発明は、複数の光源を有する照明システム上に配置された複数のカーペットタイルを有するカーペットを敷設したフロア(又はカーペットを敷設した別の構造体)において、各カーペットタイルが、1又は複数の光源上に配置されることを除外しない。
【0022】
光源は、例えば小さい白熱電球、又はファイバ先端若しくはファイバむら(fiber irregularity)(光をファイバから出させるように構成されるもの。この実施形態は、それが相対的に安価であるという利点をもつ)のような任意の光源を含むことができるが、特に、(光源として)LED(発光ダイオード)を含むことができる。LEDを使用する特定の利点は、それらが相対的に小さく、カーペットタイル(の凹部)内に又はその下により良くおさまりうることである。上述したように、照明システムの1mm以下の総厚さが好ましく、これは、LEDによってのみ達成されることができる。LEDという語は、OLEDをさすことができるが、特にソリッドステート照明をさす。特に明記しない限り、LEDという語は更に、ソリッドステートLEDをさす。特に、光源は、複数の光源を含む照明システムの一部である。このような照明システムは、パディングに組み込まれることができる。
【0023】
「青色光」又は「青色発光」という語は、特に、約410−490nmのレンジの波長をもつ光に関する。「緑色光」という語は、特に約500−570nmのレンジの波長をもつ光に関する。「赤色光」という語は、特に約590−650nmのレンジの波長をもつ光に関する。「黄色光」という語は、特に約560−590nmのレンジの波長をもつ光に関する。ここで「光」という語は、特に可視光、すなわち約380−780nmのレンジから選択される波長をもつ光、に関する。カーペットから、すなわちカーペットタイル上面から、カーペット上の空間に放出する光は、ここでは「カーペット光」とも示される。
【0024】
好適な実施形態において、一次バッキング層が、光反射材料を含むタフト(tufts)を有する。例えば、一次バッキングは、明るい茶色の糸(yarns)がタフト化されている不織材料であり、タフテッド一次バッキングは、例えば、適用されるプリコート層なしに、1−2%の光透過率を有する。(反射性)タフトの使用は更に、光がカーペットから出力結合することを可能にし、及び/又は光分布を改善し及び/又は光吸収を低減することができる。反射率は、例えば10−40%のレンジでありうる。
【0025】
複数の層の個々の層の材料の選択もまた、カーペットタイルを通る光源光の透過のために重要でありうる。一例において、一次バッキング層は、ポリプロピレン(PP)、ナイロン及びジュートを含むグループから選択される材料を含み、特にPPを含む。更に、好適には、プリコート層は、光透過性ラテックス、光透過性アクリル及び光透過性ポリオレフィン分散体ベースの材料(例えばDOWからのHypodTM)を含むグループから選択される材料を含む。プリコート層を光透過性にするために、プリコート層には、実質的に光散乱又は光吸収粒子がないことが好ましい。これが(例えばこれらの粒子の難燃特性により)可能でない場合、フィラーの量は、可能な限り低減されるべきであることが好ましい。代替として、フィラーは、好適には、光を散乱させない又はCaCOのような最先端技術のフィラーより少なく光を散乱させる別のフィラーと置き換えられるべきである。これは、例えば接着材料と比較して同様の光学屈折率を有するフィラーを選択することによって、達成されることができる。例えば、我々は、Al(OH)が、ラテックスとの組み合わせにおいて相対的に低い散乱を示すことを見出した。我々は更に、高い純度(例えば≧99%)をもつフィラーの使用が、光透過率を改善することを見出した(例えば、カーペットに一般に使用されるCaCOフィラーは、CaCOの不純物のため、色が褐色がかっていることが知られている)。
【0026】
今日生産されている大多数のカーペットタイルは、タイルバッキングとしてビチューメン又は不透明ポリ(塩化ビニル)層を使用している。これらのタイルバッキングは、光透過性をもたず、従って、別の材料が使用されるべきである。従って、他の実施形態において、タイルバッキングは、透過性ポリ(塩化ビニル)(PVC)又はポリ(ビニルブチラール)(PVB)、シリコンラバー、又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を含むグループから選択される材料を含むが、代替として、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)に基づくバッキングが、使用されることもできる。すべてのこれらの材料は、幾らかの可撓性及び光透過性を有する二次バッキングとして使用されることができる。従って、これらの光透過性材料PVC、PVB、シリコンラバー、PMMA等の任意のものが、適用されることができる。
【0027】
更に、タイルバッキングには、好適には、実質的に光散乱又は光吸収フィラーが含まれない。しかしながら、カーペットタイルの標準を満たすために、フィラーを使用することが必要でありうる。更にこれらの場合、光透過性は、同程度の屈折率を有するフィラーを使用して及び改善された純度を有するフィラーを使用して、改善されることができる。しかしながら、タイルバッキングは強い難燃特性を有さないので、適切なフィラーの数は、タイルバッキングの場合一層大きい。従って、ガラス、Al、TiO等の透過性材料が、フィラー材料として使用されることができる(例えば、過多な散乱を防ぐために屈折率に注意してフィラー材料を選択する)。
【0028】
カーペットタイルの特定の実施形態において、一次バッキング層は、ポリプロピレン(又はナイロン又はジュート)を含み、プリコート層は、光透過性ラテックス、光透過性アクリル及び光透過性ポリオレフィン分散体ベースの材料を含むグループから選択される材料を有し、タイルバッキングは、透過性ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)、シリコンラバー、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)を含むグループから選択される材料を含む。このようにして、1又は複数の光透過性カーペットタイルセクションを有するカーペットタイルが、提供されることができる。従って、本発明は、ここに規定される多層構造を有するカーペットタイルであって、タイルバッキングからカーペットタイル上面に向かう方向に伝播し、可視レンジの波長を有する光について、好適には0.5−15%、特に1−10%、のレンジのカーペットタイル光透過率を有する、カーペットタイルを提供する。こうして、「セクション」という語は、複数のセクションをさすこともある。
【0029】
特に明記しない限り、適用可能であり及び技術的に実現可能である場合、複数の構成要素を「含むグループから選択される」という語句は、列挙される構成要素の2又はそれ以上の組み合わせをさすこともある。
【0030】
粒子のフィラー材料が、プリコート層及び/又はタイルバッキングにおいて使用される場合、フィラー材料及びプリコート層又はタイルバッキングの屈折率の比率は、好適には、それぞれ約0.95−1.05のレンジにある。
【0031】
好適には、一次バッキング層は、光透過性一次バッキング層である。接着層又はプリコート層は、好適には光透過性プリコート層である。タイルバッキングは、好適には光透過性タイルバッキング(層)である。このようにして、光透過性であるカーペットタイルが提供されることができる。
【0032】
タイルバッキングは、例えば当技術分野において知られている「二次バッキング」でありうる。タイルバッキングは接着層でありうる。
【0033】
「接着層」という語は、別の層に接着する(取り付けられる)層をさし、ここでは特にプリコート層をさすことに注意されたい。製造の間、タイルは、当技術分野において知られているように、硬化及び/又は加熱及び/又は乾燥のようなプロセスを受け、これは、例えば一次バッキングに対するプリコート層の接着及びプリコート層に対するタイルバッキングの接着を除いて、強度を提供することができるとともに実質的に接着特性を有しない層の形成をもたらす。
【0034】
タイルバッキングは、スクリムを含むこともできる。スクリムは、例えばジュートのようなガーゼ(又はメッシュ)材料であるが、PP又はナイロン又はファイバガラスで作られることもできる。それゆえ、スクリムは、好適には、ガーゼ構造(又はメッシュ構造)をもつテキスタイルを含む。スクリムは、カーペットタイルに更なる強度を提供することができる。メッシュ(又はガーゼ)構造の利点は、光源からの光が、メッシュ(又はガーゼ)を通って相対的に容易に伝播されることができることである。別の利点は、メッシュによる強度の改善が、タイルバッキングにおけるフィラー材料の更なる低減を可能にすることができることである。
【0035】
材料のタイプ、材料の特定の組成、材料の(層)厚さ及びタフトの密度、高さ及び色は、所望のカーペットタイル光透過率を有するタイルを提供するように選ばれることができる。好適には、光透過性カーペットタイルセクションは、1−10%のレンジのカーペットタイル光透過性を有する。しかしながら、光透過率は、約0.5−5%のレンジ、例えば1−5%のレンジ、のようにより低くてもよい。好適には、透過率は、カーペットタイルのカーペット上面を見るビューワによって、例えばフロア(又は(スイッチオフの状態の)光源又は照明システムのような他の構成要素)のような対象が目に見えてしまうことを防ぐように、選択される。
【0036】
他の実施形態において、本発明は更に、ここに記述される複数の光透過性多層カーペットタイルを有する、カーペットを敷設した構造体、特にカーペットを敷設したフロア、に関する。
【0037】
このようなカーペットを敷設したフロアは、ガラスフロアのような透明なフロア上に配置されることができる。このようにして、光は、カーペットタイルの下から、カーペットを敷設したフロアが配置されている空間まで、供給されることができる。
【0038】
ここで、本発明は、カーペットを敷設した構造体の例として、カーペットを敷設したフロアに関して更に説明される。しかしながら、カーペットを敷設した構造体は、天井カーペット又は壁カーペットとしても適用されることができる。ここで「カーペットを敷設したフロア」という語は、カーペットで少なくとも部分的におおわれたフロアに関係し、カーペットは、複数のカーペットタイルを有する。従って、「カーペットを敷設したフロア」という語は、カーペットタイルで少なくとも部分的におおわれたフロアをさす。「おおわれた(covered)」という語は、フロアと(複数の)カーペットタイルとの間の光源、照明システム又はパディングの存在を除外しない。
【0039】
特に、(a)(フロア上に配置される)複数の光源を有する照明システムと、(b)照明システム上に配置される複数の光透過性多層カーペットタイルと、を有するカーペットを敷設したフロアが提供される。こうして、このようなカーペットを敷設したフロアは、(照明システムの1又は複数の光源がオンにされるときに)カーペット光、すなわちカーペットタイルから発する光、を供給するために使用されることができる。
【0040】
特に、カーペットを敷設したフロアは、一実施形態において、カーペット光によって情報を提供するために使用され、すなわち、特にフロア上に照明パターンを生成するために使用される。
【0041】
カーペットを敷設したフロアは更に、照明システムを制御するように構成されるコントローラ、及び特に照明システムの個別の光源を有することができる。コントローラは、カーペットを敷設したフロアの外部に配置されることができるが、カーペットを敷設したフロアに組み込まれることもできる。このようにして、特定の方向を示す矢印、コマーシャル情報のような情報が提供されることもできる。カーペット光の色、オン/オフ状態、強度、パターン形状及び情報内容の1又は複数は可変でありえ、コントローラによって制御されることができる。更に、カーペット光の色、オン/オフ状態、強度、パターン形状及び情報内容の1又は複数が、センサ(例えばタッチ又は接近センサ)のセンサ信号に依存しうる。センサは、カーペットを敷設したフロア上又はその近傍の対象を検知するように構成され、コントローラは、センサ信号に依存して、カーペット光の色、オン/オフ状態、強度、パターン形状及び情報内容の1又は複数を制御するように構成される。従って、更に別の実施形態において、カーペットを敷設したフロアは、例えばタッチ又は接近センサのようなセンサを有する。センサは、カーペットを敷設したフロアの外部に配置されることができるが、カーペットを敷設したフロアに組み込まれることもできる。
【0042】
更に別の実施形態において、本発明は、センサ及びコントローラと組み合わられた、カーペットを敷設したフロアを提供する。この場合、センサは、センサが接近され又は触れられると、センサ信号を提供するように構成され、コントローラは、カーペット光の照明パラメータ(例えば色、色分布、光強度、光強度分布、明滅周波数等の1又は複数)、カーペット光のパターン形状及びカーペット光によって提供される情報内容を含むグループから選択される1又は複数のパラメータを制御するように構成される。パターン又は情報は、概して、複数の光源によって提供される。
【0043】
更に別の見地によれば、本発明は、カーペットを敷設したフロアを提供する方法であって、任意にはパディングに組み込まれる照明システムをフロア上に配置するステップと、照明システム上に複数のカーペットタイルを配置するステップと、を含む方法を提供する。
【0044】
例示もまた、壁又は屋根カバーとして使用されるタフテッドカーペットタイルである。ここで「タフテッドカーペットタイル」は、「カーペットタイル」とも示される。
【0045】
「下に」、「上に」、「上」及び「下」のような語は、カーペット又はカーペットタイルが、実質的に水平な表面上にカーペットタイル下面がくるように、このような表面上に実質的に平らに配置される際又は実質的に水平な表面に実質的に平行な表面上に配置される際に得られるアイテムの位置又は配置に関する。しかしながら、これは、例えば壁に対向するように、又は他の(垂直な)配置のような、他の配置におけるカーペットタイルの使用を除外しない。
【0046】
本発明の実施形態は、添付の概略的な図面を参照して例示によってここに記述される。図面において、対応する参照符号は、対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1a】本発明によるカーペットタイルの実施形態及びその変形例を概略的に示す図。
【図1b】本発明によるカーペットタイルの実施形態及びその変形例を概略的に示す図。
【図1c】本発明によるカーペットタイルの実施形態及びその変形例を概略的に示す図。
【図2a】光源又は複数の光源と組み合わされる本発明によるカーペットタイルの実施形態及び変形例を概略的に示す図。
【図2b】光源又は複数の光源と組み合わされる本発明によるカーペットタイルの実施形態及び変形例を概略的に示す図。
【図2c】光源又は複数の光源と組み合わされる本発明によるカーペットタイルの実施形態及び変形例を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1aは、カーペットタイル上面101及びカーペットタイル下面102を有する光透過性多層カーペットタイル100の一実施形態を概略的に示す。多層カーペットタイルは、カーペットタイル上面101及び一次バッキング層下面112を含むタフテッド(タフト化された)一次バッキング層110を有する。カーペットタイル上面は、参照12によって示されるタフトによって形成されるカーペットの表面又は上部である。タフト12は、糸11で作られる。一次バッキング110の上面は、参照111によって示されている。糸12は、一次バッキング層110のこの上面111を通って突き出る。糸11は、人々がその上を歩く等することができるパイル表面(すなわちカーペットタイル上面101)から突き出るタフト12を形成するために、一次バッキング層110を通り抜ける。
【0049】
糸11は、通常結び付けられておらず、(接着層又はプリコート層からの)接着剤により接着される。一次バッキングの裏側に存在しうる接着層は、タフトを一次バッキング層に接着し、適当な位置にタフト12を保持する。(従って)カーペットタイル100は、一次バッキング層下面112に取り付けられるプリコート層120を更に有する。プリコート層120は、一次バッキング層下面112にコーティングされる。このようにして、一次バッキング層下面112と、こうして形成されるプリコート層120の参照121によって示される上面とは、隣接し、又はからみ合わせられる(互いに結び付けられる)。
【0050】
カーペットタイル100は、プリコート層120に取り付けられるタイルバッキング130を更に有する。タイルバッキング130は、タイルバッキング上面131及びタイルバッキング下面132を有する。タイルバッキング130は、プリコート層下面122に供給される接着剤を実質的に含むので、タイルバッキング上面131は、プリコート層下面122と隣接する。タイルバッキング130は、カーペットタイル下面102を有する。この実施形態において、タイルバッキング下面132は、カーペットタイル下面102である。
【0051】
カーペットタイル100は、総高さhを有する。カーペットタイル100の(複数の)端部は、参照103によって示されている。
【0052】
図1bは、図1aと実質的に同じであるが、例示としてカットループタフト12が、概略的に示されている。他方、図1aではループタフト12が示されている。
【0053】
図1cは、タイルバッキング130が例えばジュートマットのようなスクリム135を更に含む実施形態を概略的に示している。概して、スクリムは、タイルバッキング130の接着材料に埋め込まれている。
【0054】
カーペットタイル100は、
−(パイルを形成するために)光透過性一次バッキングを通して繊維をタフト化するステップと、
−一次バッキング110の一次バッキング層下面112に(ゆえにパイルと反対側に)、光透過性プリコート接着性コーティングを適用して、向かい合う繊維を一次バッキング110に固定することにより、プリコート層120を提供するステップと、
−プリコート層120の裏側に、すなわちプリコート層下面122に、光透過性バッキング接着剤及び任意にはスクリム135を適用することにより、タイルバッキング130を提供するステップと、
−カーペットをカーペットタイルに切断するステップと、
を含む方法によって生成されることができる。
【0055】
タフテッドカーペットは、一般に、一次バッキング層を有し、タフトは、一般にナイロン、ウール又はポリプロピレン糸を使用して、その層に作られる。続いて、ラテックスのような接着剤のコーティングが、適当な位置にタフトを動かなくするために、カーペットの下部に拡散される。これは、プリコート(ラテックス)層と呼ばれる。プリコート層120は、タフトに強度(いわゆるタフト結合強度)を提供する。更に、プリコート層120は、接着層(以下参照)からの接着剤がタフト(の間の開き)を通ってカーペットタイル上面101の方向に浸透することを実質的に防ぐために使用される。
【0056】
プリコート層には、好適には、例えば炭酸カルシウムのような光散乱又は光吸収性のフィラー材料が(可能な限り)入っていない。しかしながら、フィラーは、必要な難燃特性を得るために必要とされうる。これらの目的のために、フィラーが、添加されることができ、好適には、これらのフィラーは、少ない量が選択され、それらは、接着材料にできるだけ近い屈折率をもつように選択される。難燃材料の例として、プリコート層120は、(接着剤に加えて、)アルミニウム三水和物(Al(OH)(ATH))、酸化マグネシウム(MgO(MDH))及びホウ酸亜鉛(Zn(BO(ZB))、三酸化アンチモン(Sb(AO))を含むグループから選択される1又は複数の材料を含みうる。実験において、我々は、特に、光学屈折率の許容できる整合により、アルミニウム三水和物がラテックスと組み合わせて使用されるときに、このアルミニウム三水和物が良好な光透過率を有することを見出した。
【0057】
プリコート層が乾燥した後、(例えばPVCバッキングを適用するための)当技術分野において知られている方法を使用して、上述した材料のようなタイルバッキング接着剤のような付加の層が、(いわゆるタイルバッキング又はタイルバッキング層を提供するために)適用される。任意には、(ガーゼ構造を有する)スクリム135が適用されることができる。一般に、スクリム135は、スクリム135がタイルバッキング接着剤に沈み込むように、硬化されていないタイルバッキング層に適用される。スクリム135の目的は、カーペット構造に追加の強度を与えることである。タイルバッキング接着剤が続いて硬化される(方法は、使用されるタイルバッキング材料のタイプに依存する)。その後、カーペットは、カーペットタイル100に切断されることができる。このようにして、多層カーペットタイル100が提供される。
【0058】
タイルバッキング130は、こうして、タイルバッキング接着層120及びスクリム135の上述した組み合わせでありうるが、タイルバッキング接着剤自体であってもよい。このようなスクリム135は、概して、タイルバッキング130を提供するために、接着層を硬化し/乾燥する前に接着層に埋め込まれる。
【0059】
カーペットとカーペットタイル100との間の違いは、カーペットタイル100のほうがより固く又は剛性であることである。これは重要であり、そうでければ、カーペットタイルが設置されるとき、その所定の位置にとどまらないからである。一般的なタイル要求は、単位面積あたりの全質量(例えば、留めずに横たえられるタイルの場合、>3.5kg/m)、寸法(例えば、公称寸法の±0.3%、同じバッチの±0.2%)、端部の直角度及び真直度(例えば両方の方向において±0.15%)、寸法安定性(例えば、両方の方向の収縮及び伸張が±0.2%)、カーリング/ドーミング(例えば、サンプルの任意の部分のその平面からの最大偏りが≦2mm)、及び例えば切断端部における損傷(ほつれ)がないこと、である。更に、カーペットタイル100の寸法はカーペットとは異なる。概して、カーペットタイル100は、1m又はそれ以下の面積を有するが、一般に、面積は0.5mx0.5m=0.25mである。カーペットタイル100は更に、NEN-EN 1307(ICS 59.080.60、2008年6月)の特にAnnex Aを満たすように規定されることができる。更に、一般的なタフト結合強度テストは、ASTM D1335である。UM44dからの標準は、平均して、ループパイルの場合は6.25ポンドであり、切断パイルの場合は3.0ポンドである。
【0060】
カーペットタイル100に関して、糸のパッキング密度、糸の色及び長さ、タイルバッキング130のタイプ、及び例えば一次バッキング層110とタイルバッキング130との間の接着層120のタイプは、カーペットタイル100の下に配置される光源200の光の透過を可能にするカーペットタイル100を提供するように、選択されることができる。
【0061】
カーペットタイル100は、特に、少なくとも部分的に透過性であるように構成される。ここで、「少なくとも部分的に透過性である」という語は、カーペットタイル100の少なくとも1又は複数の部分が、透過性であり(すなわち特にカーペットタイル100の下面(下記参照)のようなカーペットタイル100の片側からの光が、カーペットタイル100を通り抜け、カーペットタイル100の上面のようなカーペットタイル100(以下参照)の反対側に達することができる)ことを示す。このような部分は、「透過性カーペットタイルセクション」としてここに示され、例えば図2aを参照されたい。「セクション」という語は、透過率がカーペットタイル100にわたって異なりうることを示すために使用される。しかしながら、一次バッキング層110、プリコート層120及びタイルバッキング130に実質的な不均質性がない場合、タイル100全体が、ここに示される透過率を有することができる。
【0062】
従って、本発明は特に、カーペットタイル上面101及びカーペットタイル下面102を有する光透過性多層カーペットタイル100であって、多層カーペットタイルが、(a)カーペットタイル上面101及び一次バッキング層下面112を含むタフテッド一次バッキング層110と、(b)一次バッキング層下面112に取り付けられたプリコート層120と、(c)プリコート層120に取り付けられたタイルバッキング130と、を有し、タイルバッキングは、カーペットタイル下面102を有し、多層カーペットタイル100は、タイルバッキング130からカーペットタイル上面101に向かう方向に伝播し、可視レンジの波長を有する光201について、0.5−15%、例えば1−10%、のレンジのカーペットタイル光透過率を有する、多層カーペットタイルを提供する。
【0063】
図2aは、図1a−図1cに示されるようなカーペットタイル100の一実施形態を概略的に示しているが、光透過特性に対する特定の言及を含む。カーペットタイル100は、参照104によって示される少なくとも1つの透過性カーペットセクションを有する。光源200は、カーペットタイル100の下に配置される。光源200は、光201を供給するように構成され、光の少なくとも一部は、カーペットタイル100を通り抜けることができる。カーペットタイル100より下流の光201が(更に)、参照270によって示されており、これは、「カーペット光」という。
【0064】
従って、多層カーペットタイル100は、タイルバッキング130からカーペットタイル上面101に向かう方向に伝播し、可視レンジの波長を有する光201について、好適には0.5−15%のレンジのカーペットタイル光透過率を有する光透過性カーペットタイルセクション104を含む。
【0065】
「光透過性カーペットタイルセクション」及び「カーペットタイル光透過性」という語は、特に、光が、タイルバッキング130からカーペット上面101まで複数の層を通って透過されることを示すために使用される。「可視レンジの波長を有する」という語句は、少なくとも1つの波長が可視波長レンジ内にあり、カーペットタイル100の透過性カーペットセクション104が、この波長について透過性であることを示す。しかしながら、透過性カーペットセクション104は、一般に、複数の波長について、例えば或る波長帯域について、透過性である。
【0066】
透過性又は光透過性は、材料に対して第1の強度を有する特定の波長の光を供給し、材料を透過した後に測定される当該波長の光の強度を、特定の波長で材料に供給される第1の強度の光に関連づけることによって、決定されることができる (E-208 and E-406 of the CRC Handbook of Chemistry and Physics, 69th edition, 1088-1989を参照)。「光について透過性である」又は「光透過性である」という語は、光の少なくとも約0.5%がカーペットを通って透過され、より好ましくは光の少なくとも約1%が透過されることを示しうる。好適には、透過は、約15%より高くなく、例えば最大約10%である。
【0067】
タイルバッキング130を通り、凹部が存在する場合(以下参照)タイルバッキング130の少なくとも一部を通り、プリコート層120を通り、タフテッド一次バッキング層110を通って進む光の透過率が、測定される。カーペットタイル上面101の下流の光の強度は、タイルバッキング130の上流の光の強度に関連する。透過率を決定するためにタイルバッキング130上に放たれる光は、好適には垂直入射によりタイルバッキング130(又はその中の凹部)上に向けられ、カーペットの反対側の全体の積分発光が測定される。
【0068】
本発明の他の実施形態によれば、接着層(又はプリコート層)120がラテックスを含む。ラテックスは、特に光透過性ラテックスである。接着層が実質的にラテックスからなりうることに注意されたい。ラテックスは、スチレン、ブタジエン及び酸性ビニルモノマのターポリマーに基づくものでありうる。接着層(又はプリコート層)120が実質的に光透過性ラテックスを含み、光散乱又は吸収粒子を実質的に含まない場合、(複数の)光源から光は、接着層を通って効率的に進むことができる。従って、好適には、光散乱又は吸収性のフィラーは、接着層(又はプリコート層)120において使用されず、接着層(又はプリコート層)120は、光透過性である。従って、一実施形態において、接着層(又はプリコート層)には、光散乱又は吸収性粒子がない。「…がない」及び同様の語句又は語は、或るものが「…実質的にない」ことを示す。プリコート層120が、フィラーを含まないことができない場合(例えばこれらの粒子の難燃特性のため)、フィラーの量は、好適には、可能な限り低減されるべきである。代替として、フィラーは、光を実質的に散乱させない別のフィラーと置き換えられることができる。これは、接着材料と比較して同様の光学屈折率を有するフィラーを選択することによって、達成されることができる。
【0069】
本発明の他の実施形態によれば、接着層(又はプリコート層)120はアクリルを含む。アクリルは、光透過性アクリルでありうる。接着層(又はプリコート層)120が実質的にアクリルからなりうることに注意されたい。アクリルの例は、ポリアクリラートエステルである。アクリルの利点は硬さである。アクリルは更に、熱に対して高度な耐性をもち、これは、接着層を、相対的に大きい量の熱を生成するLEDと組み合わせられて用いられるのに特に適した材料にする。ラテックス及びアクリルは、組み合わせにおいて使用されることもできる。
【0070】
好適な実施形態において、ポリオレフィン分散体が、プリコート層120として使用される。適切なポリオレフィン分散体は、例えばDow ChemicalのHYPODTMでありうる。これらは、高固体水性分散体のアプリケーションの利点をもつ、高分子量の熱可塑性物質及びエラストマの性能を組み合わせたプロピレン及びエチレンベースの分散体である。ポリオレフィン分散体は、カーペット製造業者に、彼らが通常のコーティング機器を使用して熱可塑性バッキングを適用することを可能にすることによって、利点を提供することができる。例は、例えばPVB(ポリビニルブチラール)又はポリプロピレンである。別の適切なポリオレフィン分散体は、PVBベースの分散体でありうる。従って、実施形態において、接着層(又はプリコート層)は、好適にはアクリル接着剤及びポリオレフィン分散体接着剤の1又は複数を含む。
【0071】
タイルバッキング130は更に、プリコート層120にコーティングされる接着剤を含む。この接着層は、上述のスクリム135を任意に含むことができる。好適には、タイルバッキング130のために使用される接着層は、透過性PVC(ポリ塩化ビニル)、PVB(ポリビニルブチラール)、シリコンラバー、PMMA、PE及びPPを含むグループから選択される材料を含む。更に好適には、タイルバッキング130は、透過性PVC層、PVB層、シリコンラバー層、PMMA層、PE層及びPP層のグループから選択される。最近、持続可能(sustainable)なカーペットバッキングの増大する要求のため、カーペットタイル用の新しいタイプのバッキングに対する関心が高まっている。これは、バッキングが、リサイクルするのが容易であるべきであり、環境を害するべきでないことを意味する。例えばPEを使用して(一例はShawによるEcoWorx)、ポリオレフィンバッキングシステムを作ることが可能であることが分かった。ポリオレフィンバッキングは、本発明に非常に適切でありうる。ポリオレフィンバッキングとの組み合わせにおいて、本発明は、LEDがカーペットタイルに埋め込まれるシステムをこえる付加の利点を提供する。この理由は、照明システムが、カーペットタイルから容易に分離されることができ、リサイクルすることをより容易にするからである。
【0072】
カーペットタイル100の特定の実施形態において、一次バッキング層110は、ポリプロピレン、ナイロン及びジュートを含むグループから選択される材料、特にPP、を含み、プリコート層120は、ラテックス層、アクリル層及び透過性ポリオレフィン分散体ベースの層を含むグループから選択される材料を含み、タイルバッキング130は、透過性PVC(ポリ塩化ビニル)、PVB(ポリビニルブチラール)、シリコンラバー、PMMA、PE及びPPを含むグループから選択される材料を含む。
【0073】
図2bは、フロア1上に配置される複数のカーペットタイル100を概略的に示す。この実施形態において、カーペットタイル100のほとんどは、(例示として)カーペット下面102に凹部140を有し、凹部140は、本実施形態において(及び概して)、タイルバッキング130における空洞である。好適には、これらの空洞又は凹部140は、任意のスクリム135より向こうのカーペットタイル100にまでは延在せず、好適には、カーペットタイル100の寸法安定性を維持するために、タイルバッキング層130の厚さの少なくとも50%を超えない。より好適には、図示されるように、凹部140は、タイルバッキング130内の凹部である。それゆえ、(複数の)光源200の光201は、タイルバッキング130の少なくとも一部を通って進む。スクリム135が、タイルバッキング130によって含められる場合、好適には、(複数の)凹部140が、スクリム135の上流にあり、すなわち、光源200の光201は、カーペットタイル上面101の方向にスクリム135を通って進まなければならない。例示として、左のカーペットタイル100は、凹部140を有さない。しかしながら、特に、カーペットタイル100の下の光源200のような構成要素が、約1mmに等しく又はそれより小さい総高さ、例えば0.5mmに等しく又はそれより小さい総高さを有する場合、タイルバッキング130は、光源200の存在を収容するために、(可塑的に)歪み、その形状を適応させることが可能である(同様に、それは、照明システムの存在を収容することができる;以下参照)。
【0074】
図2bに概略的に示される実施形態において、光源200は、カーペットタイル100に組み込まれる(すなわち取り付けられる)ことができるが、変形例においては、カーペットタイル100とは別個のものであってもよい。前者の実施形態においては、(複数の)光源200(の1つ)が故障すると、カーペットタイル100全体を取り替える必要がありえ、後者の実施形態においては、カーペットタイル100が取り除かれ、(複数の)光源200が取り替えられ、カーペットタイル100が、実質的にその元の位置に置かれることができる。従って、本発明は更に、カーペットタイル100の下の光源200を取り替える方法であって、
−光源200(又は照明システム、照明システムに関する下記参照)の上部に位置付けられた光透過性カーペットタイル100を取り除くステップと、
−カーペットタイル100の下に位置する光源100(又は照明システム)を取り替え又は修理するステップと、
−光源200(又は照明システム)の上に光透過性カーペットタイル100を(再び)設置するステップと、
を含む方法を提供する。
【0075】
図2cは、複数のカーペットタイル100を含む、例えば部屋、ショッピングエリア又はオフィスエリア等の空間2を概略的に示している。このようにして、カーペットを敷設した構造体300、ここではカーペットを敷設したフロア、が提供される。配置された複数の光タイル100の下に、複数の光源200が配置されている。この複数の光源200は、照明システムの一実施形態である。照明システムは、参照250によって示されている。好適には、光源200及び/又は照明システム250は、それがタイルの直下に配置されることができるように、最大1mmの総高さを有する。この場合、照明システムの位置に目に見える高さの違いはない。カーペットを敷設した構造体300が、更に説明され、カーペットを敷設したフロア300として記述される。
【0076】
他の実施形態において、照明システム250は、より大きい高さを有することができる。このような照明システム250は、例えばパディングに組み込まれることができる。それゆえ、このような実施形態(図2bに示されない)において、カーペットを敷設したフロア300は、複数の光透過性多層カーペットタイル100及び((フロア1上に配置される)複数の光源200を有する)照明システム250を備え、照明システム250は、任意にはパディングに組み込まれる。複数の光透過性多層カーペットタイル100が、照明システム250上に配置される。
【0077】
カーペットを敷設したフロア300は、空間2において装飾模様を表わすために使用されることができるが、例えば矢印、コマーシャル情報等の情報を含む光パターンを提供することにより情報を提供するために使用されることもできる。
【0078】
カーペットタイル100上で立っている又は歩いている人は、上からタイル100を通してフロア1又は(オフ状態にあるときの)照明システム250を見ることが可能でないことが好ましい。これは、特に、約15%以下の、好適には約10%以下の、例えば5%又はそれ以下の、相対的に低い透過率によって達成されることができる。
【0079】
他の実施形態において、カーペットタイル100は、緊急時に活性化されることができる緊急避難経路の照明システムを作るために使用される。この実施形態は、フロア1上に位置する照明システム250を有する。照明システム250は、複数の光源200を有し、それは、互いに接続されることができる。光透過性カーペットタイル100は、照明システム250をカバーするために使用される。照明システム250は、例えば光スポットの形状でありうるが、避難のための正しい方向を指すために矢印の形状であってもよい。この矢印は更に、矢印の方向が、緊急事態のロケーションに依存して変えられることができるように、可変でありうる。例えば、矢印は、火災の危険から離れる方を指すことができる。矢印の代わりに、更に、明滅光が、或る方向を指すように使用されることができる。
【0080】
カーペットを敷設したフロア300は更に、コントローラ50を有することができる。コントローラ50は、(図2cに示されるように)カーペットを敷設したフロア300の外部に配置されることができるが、カーペットを敷設したフロア300に組み込まれることもできる。コントローラ50は、特に照明システム250を、とりわけ照明システム250の個別の光源200を、制御するように構成される。このようにして、特定の方向にあるコマーシャル情報を指す矢印のような情報もまた、提供されることができる。カーペット光270の色、パターン形状、オン/オフ状態、出力強度及び情報内容の1又は複数が、可変でありえ、コントローラによって制御されることができる。
【0081】
更に、カーペット光270の色、パターン形状及び情報内容の1又は複数が、センサ(例えばタッチ又は接近センサ、火災センサ、煙センサ、熱センサ等)(図示せず)のセンサ信号に依存することができる。センサは、カーペットを敷設したフロア上の又はその近傍の対象を検知するように構成され、又は煙及び熱を含むグループから選択されるフィーチャを検知するように構成される。コントローラ50は、センサ信号に依存して、カーペット光270の色、オン/オフ状態、強度、パターン形状及び情報内容の1又は複数を制御するように構成される。従って、更に別の実施形態において、カーペットを敷設したフロア300は、例えばタッチ又は接近センサ、煙センサ、熱センサ等のセンサを更に有し、かかるセンサは、カーペットを敷設したフロア300の外部に配置されることができるが、カーペットを敷設したフロア300に組み込まれることもできる。センサという語は、複数のセンサをさすこともできる。このような複数のセンサは、例えば、異なるロケーションにおいて(ユーザの接触のような)同じパラメータを検知し又は(ユーザの接触及び煙等のようなそれぞれ)異なるパラメータを検知するように、構成されることができる。
【0082】
更に別の実施形態において、本発明は、センサ(図示せず)及びコントローラ50との組み合わせにおいて、カーペットを敷設したフロア300を提供する。センサは、センサが接近され又は接触されると又はセンサが煙又は熱を検知すると、センサ信号を供給するように構成される。コントローラ50は、カーペット光270の照明パラメータ(例えば色、色分布、光強度、光強度分布、明滅周波数等)、カーペット光270のパターン形状、及びカーペット光270によって提供される情報内容を含むグループから選択される1又は複数のパラメータを制御するように構成される。パターン又は情報は、概して、複数の光源200によって提供される。
【0083】
更に別の実施形態(図示せず)において、カーペットを敷設したフロア300は、カーペット上面101の方向に光源光201を反射するように配置されるリフレクタを有する。このようにして、カーペットタイル100を通って出力結合する光が、増大されることができる。
【0084】
カーペットを敷設したフロア300のようなカーペットを敷設した構造300は、電気ケーブルを介して個々の光源200に接続されることができる複数のタイル100を有する。更に、それらは、データケーブル等と接続されることができる。カーペットを敷設したフロア300(又は他のカーペットを敷設した構造体)は、一実施形態において、複数のタイル100と複数の光源200を含む照明システム250とを有する(カーペットを敷設した)照明ユニットとして示されている。
【0085】
図面において、電気ケーブル等の重要さの低い特徴は、明確さのため、描かれていない。
【0086】
「実質的に平坦な」又は「実質的に含む」のようなここで使用される「実質的に」という語は、当業者によって理解されるであろう。実施形態において、形容詞は、実質的に除去されることができる。適用可能な場合、「実質的に」という語は、「まったく」、「完全に」、「全て」等に関する実施形態を含むこともできる。適用可能な場合、「実質的に」という語は、90%又はそれ以上に関連し、例えば95%又はそれ以上、特に99%又はそれ以上、更に特に99.5%又はそれ以上、あるいは100%に関連しうる。「含む、有する(comprise)」という語は、「含む(comprises)」が「からなる(consists of)」を意味する実施形態をも含む。同様に、「約(about)」という語は、適用可能な場合、10%又はそれ以下、5%又はそれ以下、1%又はそれ以下、0.5%又はそれ以下、0.1%又はそれ以下の偏差を示すことができ、一実施形態においては、(測定可能な)偏差がない。当業者に明らかであるように、数値からの小さい偏差が、適用可能な場合、全体として許容されることができる。それゆえ、上述したaboutの規定における値を除いて、数値は、適用可能な場合、10%又はそれ以下、5%又はそれ以下、1%又はそれ以下、0.5%又はそれ以下、あるいは0.1%又はそれ以下、偏っていてもよい。これを強調するために、この明細書において、「約(about)」という語が、数値の前におかれて使用されている。
【0087】
更に、説明及び請求項における第1、第2、第3等の語は、同様の構成要素を区別するために使用されており、必ずしも順次の又は経時的な順序を記述するために使用されていない。そのように使用される語は、適当な状況下で交換可能であり、ここに記述される本発明の実施形態は、ここに記述され又は図示されるものと異なる順序で動作することも可能であることが理解されるべきである。
【0088】
ここでは装置がとりわけ動作時に関して記述されている。当業者に明らかであるように、本発明は、動作方法又は動作時の装置に制限されない。
【0089】
上述の実施形態は、本発明を制限するものではなく、説明するものであり、当業者であれば、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、多くの代替の実施形態を設計することが可能であることに注意すべきである。請求項において、括弧内に置かれた任意の参照符号は、請求項を制限するものとして解釈されるべきでない。「含む、有する」という動詞及びその活用形の使用は、請求項に示されるもの以外の構成要素又はステップの存在を除外しない。構成要素に先行する冠詞「a」又は「an」は、そのような構成要素の複数の存在を除外しない。本発明は、幾つかの個々の構成要素を含むハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって、実現されることが可能である。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、同じ一つのハードウェアのアイテムによって具体化されることができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーペットタイル上面及びカーペットタイル下面を有する光透過性多層カーペットタイルであって、
a.前記カーペットタイル上面及び一次バッキング層下面を有するタフテッド一次バッキング層と、
b.前記一次バッキング層下面に取り付けられたプリコート層と、
c.前記カーペットタイル下面を含む、前記プリコート層に取り付けられたタイルバッキングと、
を有し、
前記光透過性多層カーペットタイルは、前記タイルバッキングから前記カーペットタイル上面に向かう方向に伝播し、可視レンジの波長を有する光について、0.5−15%のレンジのカーペットタイル光透過率を有する光透過性カーペットタイルセクションを有する、光透過性多層カーペットタイル。
【請求項2】
前記タイルバッキングが、光源を少なくとも部分的に囲むことができるように構成される凹部を有する、請求項1に記載の光透過性多層カーペットタイル。
【請求項3】
好適には発光ダイオードである光源を更に有する、請求項1又は2に記載の光透過性多層カーペットタイル。
【請求項4】
前記プリコート層は、ラテックス、アクリル及び透過性ポリオレフィン分散体ベースの層を含むグループから選択される材料を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光透過性多層カーペットタイル。
【請求項5】
前記タイルバッキングは、透過性ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)、シリコンラバー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むグループから選択される材料を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光透過性多層カーペットタイル。
【請求項6】
前記タイルバッキングがオレフィンを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光透過性多層カーペットタイル。
【請求項7】
前記タイルバッキングがスクリムを更に含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光透過性多層カーペットタイル。
【請求項8】
前記光透過性カーペットタイルセクションが、1−10%のレンジのカーペットタイル光透過率を有する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光透過性多層カーペットタイル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光透過性多層カーペットタイルの複数を有するカーペット構造体。
【請求項10】
複数の光源を具える照明システムを有し、
前記複数の光透過性多層カーペットタイルが、前記照明システム上に配されている、請求項9に記載のカーペット構造体。
【請求項11】
前記光透過性多層カーペットタイルが前記凹部をもたない、請求項2を引用する請求項9又は10に記載のカーペット構造体。
【請求項12】
前記光源が、1mm又はそれ以下の総高さを有し、前記カーペット構造体がパディングを含まない、請求項10に記載のカーペット構造体。
【請求項13】
前記照明システムがパディングに含まれている、請求項10に記載のカーペット構造体。
【請求項14】
複数の光源を有する照明システムと、
前記照明システム上に配される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光透過性多層カーペットタイルの複数と、
を有するカーペット構造体の、カーペット光を供給するための使用。
【請求項15】
前記カーペット光により情報を提供するための、請求項14に記載の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【公表番号】特表2012−517263(P2012−517263A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548823(P2011−548823)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050462
【国際公開番号】WO2010/092506
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】