説明

光通信器

【課題】
外来雑音に対して、優れたシールド効果を得る。
【解決手段】
レセプタクル12内に発受光手段を収納した透明樹脂パッケージ9とその発受光手段の搭載面側にシールド板10を配置する。シールド板10に設けた通光口14において、レセプタクル12に嵌合された光プラグ4と発受光手段との対向状態を形成し、光プラグ4が保有するフェルール16とシールド板10とが接触するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信器に係り、特に発受光素子及びその駆動IC等の発受光手段を収容した透明樹脂パッケージを保持するレセプタクルに、光ファイバを保有する光プラグを嵌合して、発受光素子との結合状態を形成する光通信器における外来雑音の防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光通信器は、例えば、図6及び図7に示すように、内部に発受光素子1を収容した透明樹脂パッケージ2を保有するレセプタクル3に、光プラグ4を嵌合して透明樹脂パッケージ2から突出した電気端子5から電気信号を得るように構成されている。
従来、外来雑音による誤動作を防ぐ為に、例えば合成樹脂からなるレセプタクル3に炭素繊維や導電繊維等を混入し、導電材料から成る固定端子6をレセプタクル3に圧入してこの固定端子6を実装基板のGND(接地)に接続することで、シールド効果を得ている。
【0003】
また、特許文献1には、光電変換素子をシールドケースに収納し、そのシールドケースをレセプタクルに保有させ、シールドケースに設けた採光口を介してレセプタクルに結合した光プラグとの対向状態を形成することによりシールド効果を得る構成が開示されている。また、特許文献2には、プラスティックパッケージをシールドケースに収容することでシールド効果を得る構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−43343公報
【特許文献2】特開2000−357803公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに、上記従来技術の、合成樹脂製のレセプタクルに導電繊維等を混入する方法では、導電繊維の混入量のばらつきや、合成樹脂内における導電繊維の偏りによる抵抗値変動から、期待するシールド効果が得られないことがある。また、この種の導電繊維を混入したレセプタクルに直接サージ印加することで、そのレセプタクルと同一基板に実装されている他部品の誤動作によるシステム通信エラーを誘発し、最悪の場合には他部品を破壊する場合もある。
【0006】
また、特許文献1に記載の光電気変換器は、シールドケース上面がレセプタクルの一部を構成する蓋の役目を担い、更にはシールド端子の上部も露出する構造となる為、サージ印加による問題が懸念される。
また、特許文献2に記載の光伝送モジュールは、光ファイバと発受光素子との最大結合を得るには、シールドケースの板金曲げ加工精度、シールドケースとプラスティックパッケージの組立精度、それらとレセプタクルとの組立精度が大きく関与し、限界がある。
【0007】
本発明の目的は、外来雑音に対して、優れたシールド効果を得ることができる光通信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発受光手段を透明性のパッケージに収納し、パッケージを保持するレセプタクルにフェルール付き光ファイバを保有する光プラグを嵌合して、発受光手段との結合状態を形成する光通信器において、パッケージ内の発受光手段を搭載する面側に、通光口を有するシールド板を配置し、通光口においてレセプタクルに嵌合された光プラグと発受光手段との対向状態を形成すると共に、シールド板に固定端子を延設し、レセプタクルの下側より突出させるように構成した光通信器である。
【0009】
好ましい例では、フェルール付き光ファイバを保有する光プラグがレセプタクルに嵌合された結合状態において、フェルールとシールド板が接触する構造を有する。
また、好ましくは、シールド板とフェルールが接触する部位周辺を板金加工により薄く仕上げ、光ファイバとの結合状態を最大にする構造を有する。
【0010】
また、好ましくは、シールド板は板金の曲げ加工にて形成され、板金の一部を延設して固定端子を形成する。
また、好ましくは、透明樹脂製のパッケージ、シールド板、固定端子は、レセプタクルの下側より圧入され、レセプタクルの上面及び側面に露出しない構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定構造のシールド板をレセプタクルに実装することにより、外来雑音に対して優れたシールド効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1に示す光通信器において、8は半導体レーザやフォトダイオード等の発受光素子及び発光素子駆動IC、受信IC等の発受光手段、9は発受光手段8を収納する透明樹脂製のパッケージ、10はシールド板、11はシールド板から延設された固定端子、12は透明樹脂パッケージ9とシールド板10及び固定端子11を保持するレセプタクルである。
【0013】
発受光手段8はベアチップであり、透光性を有する合成樹脂等にて封止されて透明樹脂パッケージ9として構成される。透明樹脂パッケージ9は、全体が扁平で矩形の構造を成し、電気端子13が突出している。シールド板10は金属製のシート材から打ち抜いた板金で扁平を呈し、中央に2つの通光口14が形成されている。また、シールド板10の左右側縁から直角に曲げ加工し、固定端子11が延設される。この固定端子11は実装基板の搭載位置に応じて延設することが出来る。
【0014】
レセプタクル12は導電繊維等の混入がない合成樹脂成形品であり、図2に示すように、レセプタクル12の下側には透明樹脂パッケージを収納するパッケージ室17と、シールド板10及び固定端子11を収容するシールド室18が形成される。
【0015】
図3に示すように、透明樹脂パッケージ9とシールド板10及び固定端子11は、レセプタクル12の下側からパッケージ室17及びシールド室18に圧入により、レセプタクル12に収容され対向状態を形成する。なお、サージ印加による問題が起こり得ない使用様態である場合はレセプタクル12に導電繊維等の混入を妨げるものではない。また、レセプタクル12に収納する透明樹脂パッケージ9とシールド板10及び固定端子11を確実に固定するために接着剤を用いてもよい。
【0016】
また、透明樹脂パッケージ9と透明樹脂パッケージ9の上面より突出するインナーリード19とシールド板10及び固定端子11は、レセプタクル12の上面及び側面から露出しない構造である。即ち、レセプタクル12に直接サージを印加しても上述の問題を誘発しない構造を成している。更には、シールド板10の材料は外来雑音の雑音周波数、雑音強度等で最適な材料を選定できる。
【0017】
図4は光プラグとシールド板の関係を示す。光プラグ15が保有するフェルール付き光ファイバのフェルール16とシールド板10及び透明樹脂パッケージ9が収納する発受光手段8の嵌合状態を成し、シールド板10とフェルール16が接触するように配置されている。これはフェルール16にスプリングバック機能を採用することで容易に可能となる。特にフェルール16の材料が金属の場合には外来雑音による誤動作を誘発する頻度が多いことが判っており、その改善効果は大きい。
また、シールド板10の板金肉厚分、フェルール16端面と発受光手段8との間隙が大きくなり、最大結合が得られなくなる場合には、図5に示すように、シールド板10をフェルール16端面が接触する部位周辺を板金加工により、薄くすることで結合状態の改善を図ることができる。
【0018】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態における、レセプタクル、シールド板及び固定端子、更には光プラグの形状、構造、材料等に限定されない。なお、外来雑音による誤動作は主に受信機にて発生が見られるもので、送信機に関してはフェルール16の直径より、大きな通光口14を加工することを妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施例における光通信器の構成を示す正面図である。
【図2】一実施例におけるレセプタクルの下視図である。
【図3】一実施例における光通信器の構造を示す側断面図である。
【図4】一実施例における光プラグとシールド板の関係を示す側断面図である。
【図5】一実施例におけるシールド板を示す、(A)側断面図、(B)正面図である。
【図6】従来の光通信器を示す正面図である。
【図7】従来の光通信器を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0020】
8:発受光手段、9:透明樹脂パッケージ、10:シールド板、11:固定端子、12:レセプタクル、13:電気端子、14:通光口、15:光プラグ、16:フェルール、17:パッケージ室、18:シールド室、19:インナーリード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発受光手段を透明性のパッケージに収納し、該パッケージを保持するレセプタクルにフェルール付き光ファイバを保有する光プラグを嵌合して、該発受光手段との結合状態を形成する光通信器において、該パッケージ内の該発受光手段を搭載する面側に、通光口を有するシールド板を配置し、該通光口において該レセプタクルに嵌合された該光プラグと該発受光手段との対向状態を形成すると共に、該シールド板に固定端子を延設して該レセプタクルの下側より突出させるように構成したことを特徴とする光通信器。
【請求項2】
該フェルール付き光ファイバを保有する該光プラグが該レセプタクルに嵌合された結合状態において、該フェルールと該シールド板が接触する構造を有することを特徴とする請求項1記載の光通信器。
【請求項3】
該シールド板と該フェルールが接触する部位周辺を板金加工により薄く仕上げ、該光ファイバとの結合状態を最大にする構造を有することを特徴とする請求項1又は2の光通信器。
【請求項4】
該シールド板は板金の曲げ加工にて形成され、該板金の一部を延設して該固定端子を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの光通信器。
【請求項5】
透明樹脂製の該パッケージ、該シールド板、該固定端子は、該レセプタクルの下側より圧入され、該レセプタクルの上面及び側面に露出しない構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの光通信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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