説明

光選択プリズム及びこれを用いた投写型表示装置

【課題】光選択プリズムの特性を向上させる。
【解決手段】4つの柱状プリズム(直角プリズム)261ないし264の側面によって構成される接合面には、赤色反射膜266Rと青色反射膜266Bとが略X字状に形成されている。赤色反射膜266Rは、2つの反射膜の交差位置において分割されることなく連続して形成されている。一方、青色反射膜266Bは、赤色反射膜266Rと接着剤267で2つに分離されている。赤色反射膜266Rが連続して形成されている面は曲面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光選択プリズム及びこれを用いた投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を投写する投写型表示装置には、光選択プリズムとしてクロスダイクロイックプリズムが用いられていることが多い。クロスダイクロイックプリズムは、略X字状に交差する2種類のダイクロイック膜を有しており、赤、緑、青の3色の光を合成して同一の方向に射出する色光合成光学系としての機能を有する。
【0003】
図12は、投写型表示装置の要部を示す概念図である。この投写型表示装置は、3つの液晶ライトバルブ42,44,46と、クロスダイクロイックプリズム48と、投写レンズ50とを備えている。クロスダイクロイックプリズム48の中心には、赤色反射膜48Rと青色反射膜48Bが略X字状に形成されている。クロスダイクロイックプリズム48は、3つの液晶ライトバルブ42,44,46で変調された赤、緑、青の3色の光を合成して、投写レンズ50の方向に射出する。投写レンズ50は、合成された光を投写スクリーン52上に結像させる。
【0004】
通常のクロスダイクロイックプリズムは、同じ大きさの4つの柱状プリズムの側面同士を貼り合わせることによって作成される。赤色反射膜48Rは、4つの柱状プリズムを貼り合わせたときに同一平面を構成するように、2つの柱状プリズムの所定の側面に予め形成されている。また、青色反射膜48Bも、同様に、2つの柱状プリズムの所定の側面に予め形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
赤色反射膜48Rは、赤色光のみを分離して反射し、その他の色光を透過する。青色反射膜48Bは、青色光のみ分離して反射し、その他の色光を透過する。このような特性を有する反射膜には、通常、ダイクロイック膜と呼ばれる誘電体多層膜が用いられている。これらの反射膜は、液晶ライトバルブ42,46からの光を90°曲げて、投写レンズ50へ左右均等に向ける働きをする。したがって、クロスダイクロイックプリズムに略X字状に形成された反射膜は、平面上に形成されることが好ましい。
【0006】
しかし、同じ大きさの4つの柱状プリズムを貼り合わせてクロスダイクロイックプリズムを作成する場合には、赤色反射膜48Rや青色反射膜48Bの面がそれぞれ平坦な面になるように、精度良く貼り合わせを行うことがかなり困難である。したがって、クロスダイクロイックプリズムの中心の交差部付近では、赤色反射膜48Rおよび青色反射膜48Bのそれぞれにギャップや段差が発生する。このため、交差部付近を通過する光に関しては、赤色反射膜48Rおよび青色反射膜48Bの反射特性や透過特性が変化し、この結果、クロスダイクロイックプリズム48の特性が劣化し、その交差部において光が散乱してしまうという問題があった。このようなクロスダイクロイックプリズムを投写型表示装置に適用した場合には、投写画像のほぼ中央に、クロスダイクロイックプリズム内での光の散乱に起因する筋が見えるという問題がある。また、投写画面の中央の画像が一部重なり、各色で画面のサイズが異なるという問題がある。
【0007】
なお、クロスダイクロイックプリズムは、光を分離させるために利用することもでき、上述したクロスダイクロイックプリズムの特性劣化の問題はこのような場合にも共通する。また、光学素子としては、クロスダイクロイックプリズム以外にも、光を選択的に透過または反射するための光選択膜が略X字状に形成された他の種類の光選択プリズムが用いられる場合もある。上述した特性劣化の問題は、このような種々の光選択プリズムに共通する問題であった。
【0008】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、光選択プリズムの特性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題の少なくとも一部は、本発明の光選択プリズムによって解決することができる。この光選択プリズムは、略X字状に交差する2種類の光選択膜を有する光選択プリズムであって、
互いの側面で接合された4つの柱状プリズムと、
前記4つの柱状プリズムの側面に沿って略X字状に交差するように形成された2つの光選択膜と、を備え、
前記2つの光選択膜の一方は赤色反射膜であり、他方は青色反射膜であり、
前記赤色反射膜は、前記2つの光選択膜の交差位置において分割されること無く連続して形成されていることを特徴とする。
【0010】
青色光は赤色光に比べて比視感度が低いので、上記光選択プリズムのように、赤色反射膜が交差位置において分割されること無く連続して形成されるようにすれば、光選択プリズムの特性を向上させることができる。
【0011】
上記光選択プリズムにおいて、
前記赤色選択膜が連続して形成されている面は曲面であることが好ましい。
【0012】
上記構成の光選択プリズムによれば、曲面上に形成された赤色選択膜を反射した光によって形成される画像のサイズを調整することができる。これにより、光選択プリズムの特性を向上させることができる。
【0013】
本発明による光選択プリズムとしてのクロスダイクロイックプリズムを、投写型表示装置に適用することもできる。この投写型表示装置は、画像を投写して表示する投写型表示装置であって、
照明光を射出する照明光学系と、
前記照明光を、3色の光に分離する色光分離光学系と、
前記3色の光を、与えられた画像信号に基づいてそれぞれ変調する3組の光変調手段と、
前記3組の光変調手段で変調された3色の光を合成するクロスダイクロイックプリズムと、
前記クロスダイクロイックプリズムで合成された光を投写する投写光学系と、を備え、
前記クロスダイクロイックプリズムは、
互いの側面で接合された4つの柱状プリズムと、
前記4つの柱状プリズムの側面に沿って略X字状に交差するように形成された2つのダイクロイック膜と、を備えており、
前記2つのダイクロイック膜の一方は赤色反射膜であり、他方は青色反射膜であり、
前記赤色反射膜は、前記2つのダイクロイック膜の交差位置において分割されること無く連続して形成されていることを特徴とする。
【0014】
この投写型表示装置は、本発明によるクロスダイクロイックプリズムを用いて光を合成しているので、投写された画像のほぼ中央に、クロスダイクロイックプリズム内での光の散乱に起因する筋が見えるという問題を緩和することができる。
【0015】
上記投写型表示装置において、
前記赤色選択膜が連続して形成されている面は曲面であることが好ましい。
【0016】
上記構成の投写型表示装置によれば、曲面上に形成された赤色選択膜を反射した光によって形成される画像のサイズを調整することができる。これにより、光選択プリズムとしてのクロスダイクロイックプリズムの特性を向上させることができ、投写型表示装置の光学系で発生する色収差を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.第1の光選択プリズム:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、この発明の光選択プリズムの第1の実施例であるクロスダイクロイックプリズムを示す説明図である。このクロスダイクロイックプリズム260は、4つの直角プリズム(柱状プリズム)261,262,263,264を備えている。4つの直角プリズム261ないし264は、互いに高さが等しい直角二等辺三角柱の形状を有している。クロスダイクロイックプリズム260は、直角プリズムの互いに直角をなす側面(以下、「直角面」あるいは「接合面」という)で互いに接着剤267で接合されて構成される四角柱(直方体または立方体)である。
【0018】
4つの直角プリズム261ないし264の直角面によって構成される接合面には、図1(B)に示すように、赤色反射膜266Rと青色反射膜266Bとが略X字状に形成されている。また、赤色反射膜266Rは、2つの直角プリズム261,263の間の接合面と、他の2つの直角プリズム262,264の間の接合面とで構成される赤色反射膜形成面の全体にわたって連続して形成されたダイクロイック膜(光選択膜)である。一方、青色反射膜266Bは、2つの直角プリズム261,262の間の接合面と、他の2つの直角プリズム263,264の間の接合面のそれぞれに形成されたダイクロイック膜であるが、これらの2つの接合面に形成された青色反射膜266Bは、赤色反射膜266Rと、接着剤267とで隔離されている。
【0019】
このクロスダイクロイックプリズム260は、上記のように、赤色反射膜266Rが略X字状に交差する2つの膜形成面の一方の全体(全面)にわたって連続して形成されている。これにより、クロスダイクロイックプリズム260の中心においても赤色反射膜266Rの特性(反射/透過特性)が低下することが無い。また、青色反射膜266Bは、赤色反射膜266Rと接着剤267で分離されているが、同一平面上に存在するように高精度に配置されているので、分離による損失はあるものの、反射特性や透過特性の良い青色反射面を得ることができる。これにより、クロスダイクロイックプリズム260の特性を向上させることができる。なお、青色反射膜266B側を分離するようにしたのは、青色光が赤色光に比べて比視感度が低く、人間の目の解像度がより低いためである。
【0020】
なお、4つの柱状プリズム261,262,263,264は、直角二等辺三角形ではなく、略直角な角を有する三角形の形状を有していても良い。
【0021】
B.第1の製造方法:
次に、図2〜図8を参照して、図1に示したクロスダイクロイックプリズムの第1の製造方法を説明する。図2は、プリズム柱からクロスダイクロイックプリズムを切り出す工程を示す説明図である。クロスダイクロイックプリズム260の製造工程では、まず、図2に示すような長手方向に長いプリズム柱320を作成し、このプリズム柱320から所望の長さのプリズムを切り出すことにより製造される。
【0022】
プリズム柱320は、第1のプリズム対321と第2のプリズム対322とが貼り合わされて構成されている。第1のプリズム対321は、比較的長い直角プリズム325(以下、単に「長い直角プリズム」という)と比較的短い直角プリズム326(以下、単に「短い直角プリズム」という)とが貼り合わされて構成されている。第2のプリズム対322も、同様に、長い直角プリズム327と短い直角プリズム328とが貼り合わされて構成されている。これらの直角プリズム325ないし328の長さは、長い直角プリズム325,327よりも短い直角プリズム326,328のほうが短くなるように設定されていれば良く、長い直角プリズム同士、短い直角プリズム同士の長さが等しい必要はない。なお、長い直角プリズム同士、短い直角プリズム同士の長さが等しい方が、用意する直角プリズムの種類を最低限に抑えることができ、また、製造も容易である。本実施例の各図では、長い直角プリズム同士、短い直角プリズム同士をそれぞれ等しいサイズで示している。
【0023】
図3は、プリズム対321,322の作製工程を示す説明図である。第1のプリズム対321は、以下のように作製される。まず図3(A)に示す長い直角プリズム325と、図3(B)に示す短い直角プリズム326とを用意する。長い直角プリズム325及び短い直角プリズム326のそれぞれ3つの側面は光の通過面であるので、平坦に研磨された研磨面となっている。短い直角プリズム326の直角面326aには、青色反射膜266B(図3(B)の斜めの破線で示す)を形成する。この青色反射膜266Bは無機物の薄膜が多層に形成された誘電体多層膜であり、真空蒸着やスパッタによって形成される。そして、長い直角プリズム325の直角面325aと短い直角プリズム326の直角面326aとを貼り合わせて図3(C)に示す第1のプリズム対321を作製する。このとき、長い直角プリズム325の直角面325aの上下に、露出部321d,321eが形成されるように貼り合わせる。この貼り合わせには、図4に示す第1の組み立て治具500が用いられる。第1の組み立て治具500は、左右両端に設けられた基準面部502a,502bと、略矩形状の溝部502cとを含む基盤502を備えている。基準面部502a,502bの上面は、略同一平面となるように加工されている。溝部502cは、接合面に塗布した接着剤が溢れ出す場合の逃げ部である。
【0024】
2つの直角プリズム325,326を貼り合わせる際には、まず、2つの直角プリズムの貼り合わせ面の少なくとも一方に接着剤を塗布して、貼り合わせる。その後、図4に示すように、2つのプリズム325,326を基盤502の上、すなわち、基準面部502a,502bの上に載置する。そして、2つのプリズムを基準面部502a,502bに押しつける。こうすることによって、プリズム同士を長手方向に平行に設定することができる。
【0025】
こうして、2つの直角プリズム325,326同士の相対的な位置関係を設定した後に、貼り合わせ面に塗布していた接着剤を固化させる。この結果、第1のプリズム対321を得ることができる。
【0026】
さらに、同様の方法で、直角プリズム327と、青色反射膜266Bが形成された直角プリズム328とを貼り合わせ、第2の直角プリズム対322を作製する。
【0027】
図5は、上記のようにして作製された2つのプリズム対のうち、第1のプリズム対321の接合面321cを拡大して示す説明図である。この接合面321cは、図3(C)に示すように、第1のプリズム対321の2つの直角面321a,321bに挟まれた面であり、この接合面321cに第2のプリズム対322が接合される。
【0028】
接合面321cは、2つの直角プリズム325、326の直角面325b,326bを含み、第1の組み立て治具500の基準面部502a,502bに押し付けられた面である。図5(A)に示すように、直角面326bには、直角面326aに形成した青色反射膜266Bが直角のコーナー部を回り込んでいるはみ出しがある場合がある。また、第1の組立治具500への直角プリズム325,326の押しつけ力の違いによって、直角面325bと直角面326bとで多少の段差を有している場合もある。この結果、第1の直角プリズム対321の接合面321cは平坦でない場合が多い。そこで、図5(B)に示すように、接合面321cを研磨することによって平坦となるように加工する。そして、図5(C)に示すように、平坦な接合面321cに、赤色反射膜266Rを形成する。この赤色反射膜266Rも、青色反射膜266Bと同様に、蒸着やスパッタによって形成される。このように、赤色反射膜266Rを平坦な面上に形成すれば、赤色反射膜266Rが連続した1つの膜で構成されるので、特に2つの直角プリズム325,326の接合部付近における光の散乱が無くなり、この結果、スクリーン上にこの光の散乱に起因する筋が生じなくなる。また、接合面321cを平面とした場合には、反射膜が高精度で同一平面上に形成されるので、光が90°反射してもスクリーン上における画像のサイズが左右で変わらないという利点がある。なお、本発明の「平坦な面」とは段差のない連続した面であることを意味しており、必ずしも幾何学的に厳密な平面である必要はない。
【0029】
第2のプリズム対322についても、第1のプリズム対321と同様に、その接合面322cを研磨する。なお、上記のように、第1のプリズム対321の接合面321cに赤色反射膜266Rを形成する場合には、第2のプリズム対322の接合面322cには赤色反射膜266Rを形成する必要はない。また、赤色反射膜266Rは、第1のプリズム対321の接合面321cに形成する代わりに、第2のプリズム対322の接合面322cに形成してもよい。
【0030】
ところで、反射面で反射される赤と青の2色の光を比較すると、赤色の光の方が比視感度が高い(すなわち、肉眼で目立ち易い)。従って、赤色反射膜は、なるべく段差のない平坦な面を構成することが好ましい。この実施例の作製方法においては、図5(C)に示す赤色反射膜266Rが正確に接合面321cの全体にわたって連続して形成されているので、この点からも優れたクロスダイクロイックプリズムを製造することができる。なお、比視感度は、緑>赤>青の順であるため、赤色反射膜、あるいは、青色反射膜の代わりに緑色反射膜を用いる場合には、図5に示す方法に従って、緑色反射膜を接合面321c上に形成するように作製することが好ましい。
【0031】
図6は、図3ないし図5の方法に従って作成された2組のプリズム対321,322を貼り合わせる工程を示す説明図である。まず、図6(A)に示す第2のプリズム対322と、図6(B)に示す第1のプリズム対321とを、短いプリズム同士、長いプリズム同士が隣接するように貼り合わせて、図6(C)に示すプリズム柱320を作製する。この貼り合わせでは、図7に示す第2の組立治具520が用いられる。第2の組立治具520は、枠状に設けられた基準面部522aと、基準面部522aの中央に形成された溝部522cとを含む基盤522を備えている。基準面部522aの上面は、高精度に加工されている。溝部522cの幅W3は短い直角プリズム326の長手方向の長さL1よりも若干大きく設定されており、深さH1は短い直角プリズム326,328の直角面の幅L3よりも大きく設定されている。また、基盤522の幅W4は長い直角プリズム325,327の長手方向の長さL2よりも大きく設定されている。
【0032】
2組のプリズム対321,322を相互に貼り合わせる際には、その接合面に接着剤を塗布して、図7に示すように、短い直角プリズム326,328が溝部522cの中に収納されるように、第2の組立治具520の上に2組のプリズム対321,322を載置する。このとき、長い直角プリズム325,327を基準面部522a,522bの上面に押しつけるようにする。これによって、第1のプリズム対321の内部に形成した青色反射膜266Bと、第2のプリズム対322の内部に形成した青色反射膜266Bとが同一面を構成するように相互の位置関係を設定することができる。
【0033】
図8は、2組のプリズム対321,322を第2の組立治具520の上に載置した状態を拡大して示す側面図である。図8では、説明を容易にするため、基準面部522aを透視して示している。基準面部522aの上面522a(U)に接触するのは、2つの長い直角プリズム325,327の直角面325a,327a(短い直角プリズム326,328と貼り合わされる貼り合わせ面(接合される面))のうち、反射膜が形成されていない露出部(図6の321d,321e,322d,322e)だけである。これらの露出部321d,321e,322d,322eは研磨面であるので、これらの露出部を基盤522の基準面部522aの上面522a(U)に載置することによって、これらの研磨面に関して高い平坦度を得ることができる。ここで「平坦度」とは、面の連続性の高さ(段差のなさ)を示している。このとき、図6(A),(B)に示すように、露出部321d,321eと面一な研磨面(貼り合わせ面)には青色反射膜266Bが形成されており、また、露出部322d,322eと面一な研磨面(貼り合わせ面)にも青色反射膜266Bが形成されている。従って、図7のようにプリズム対を貼り合わせることによって、それぞれの青色反射膜266Bで形成される青色反射面に関しても、高い平坦度を得ることができる。
【0034】
こうして、2組のプリズム対同士の相対的な位置関係を高精度に設定した後に、貼り合わせ面に塗布していた接着剤を固化させる。この結果、高精度に組み合わされたプリズム柱320(図6(C))を得ることができる。なお、4つの直角プリズムを貼り合わせる接着剤として、紫外線硬化接着剤で粘度の低いものを用いれば、硬化時間が短くて済み、また硬化時の熱の発生も少なくて済む。
【0035】
このようにして作製されたプリズム柱320を、図2で示したように、長手方向にほぼ垂直で互いにほぼ平行な2つの切断面によって所望の長さのプリズムを切り出すことにより、クロスダイクロイックプリズム260を製造することができる。このようにすれば、比較的大きなプリズム柱320から所望の長さのプリズムを切り出すことにより、比較的小さなクロスダイクロイックプリズムを容易に製造することができる。これにより、このように製造されたクロスダイクロイックプリズムを投写型表示装置に適用することによって、投写型表示装置を小型化することが可能である。なお、プリズム柱320をクロスダイクロイックプリズムとして使用することもできる。
【0036】
上述したように製造されたクロスダイクロイックプリズム260は、赤色反射膜266Rが2組のプリズム対の接合面の全体にわたって連続して形成されているので、赤色反射膜266Rの反射特性や透過特性を向上させることができる。これにより、クロスダイクロイックプリズム260の特性を向上させることができる。また青色反射膜266Bは赤色反射膜266Rで分離されているが、同一の面上上に存在するように高精度に配置することができるので、分離による損失はあるものの、反射特性や透過特性の良い青色分離反射面を得ることができる。これによっても、クロスダイクロイックプリズム260の特性を向上させることができる。
【0037】
なお、上記製造方法では、4つの直角プリズム325,326,327,328のそれぞれ3つの側面が平坦に研磨されている直角プリズムを用いる場合を例に説明しているが、これに限定されるものではない。プリズム対を構成する2つの直角プリズムの互いに接合される側面が少なくとも研磨されている直角プリズムを用いるようにしてもよい。この場合において、他の研磨されていない側面のうち、2つのプリズム対321,322同士が互いに接合される接合面321c,322cに相当する側面は、図5に示した工程で研磨される。また、プリズム260の外側面に相当する側面は、プリズム柱320の作製後、あるいはプリズム柱320からクロスダイクロイックプリズム260を切り出した後に研磨するようにすればよい。このようにすれば、各製造工程で発生しやすいガラス面の傷を随時取り除くことができる。
【0038】
C.第2の光選択プリズム:
図9は、光選択プリズムの第2の実施例であるクロスダイクロイックプリズムを示す説明図である。このクロスダイクロイックプリズム260Aは、4つの柱状プリズム261A,262A,263A,264Aを備えている。4つの柱状プリズム261Aないし264Aは、互いに高さが等しい略三角柱の形状を有している。クロスダイクロイックプリズム260Aは、各柱状プリズムの1つの角をなす2つの側面で互いに接着剤267で接合されて構成される四角柱である。
【0039】
4つの柱状プリズム261Aないし264Aが互いに接合される側面(以下、「接合面」という)には、図9(B)に示すように、赤色反射膜266Rと青色反射膜266Bとが略X字状に形成されている。また、赤色反射膜266Rは、2つの柱状プリズム261A,263Aの間の接合面と、他の2つの柱状プリズム262A,264Aの間の接合面とで構成される赤色反射膜形成面の全体にわたって連続して形成されたダイクロイック膜(光選択膜)である。一方、青色反射膜266Bは、2つの柱状プリズム261A,262Aの間の接合面と、他の2つの柱状プリズム263A,264Aの間の接合面のそれぞれに形成されたダイクロイック膜であるが、これらの2つの接合面に形成された青色反射膜266Bは、赤色反射膜266Rと、接着剤267とで隔離されている。
【0040】
このクロスダイクロイックプリズム260Aも、図1のクロスダイクロイックプリズム260と同様に、赤色反射膜266Rが略X字状に交差する2つの膜形成面の一方の全体(全面)にわたって連続して形成されている。これにより、クロスダイクロイックプリズム260Aの中心においても赤色反射膜266Rの特性(反射/透過特性)が低下することが無い。また、青色反射膜266Bは、クロスダイクロイックプリズム260と同様に、赤色反射膜266Rと接着剤267で分離されているが、この分離を除けば連続した同一面上(図9では、同一平面上)にほぼ存在するように高精度に配置されている。このため、分離による損失はあるものの、反射特性や透過特性の良い青色反射面を得ることができる。以上のことから、クロスダイクロイックプリズム260Aにおいても、クロスダイクロイックプリズム260と同様に、その特性を向上させることができる。
【0041】
ここで、赤色反射膜266Rが形成されている膜形成面は、図9(B)に示すように、曲面を有している。この曲面は、球面上やあるいは楕円面状の面のようないわゆる曲面だけでなく、折れ曲がった複数の平面を有する形状であってもよい。このように、赤色反射膜266Rが曲面の膜形成面に形成されている場合には、赤色光反射膜266Rにおける赤色光の反射方向を赤色反射膜266Rの位置に応じて制御することができるので、赤色光による画面のサイズを変化させることができ。したがって、このクロスダイクロイックプリズム260Aを投写型表示装置に適用した場合には、投写光学系で発生する色収差による画質の低下を抑制することができる。
【0042】
なお、クロスダイクロイックプリズム260Aも、上記第1の製造方法にしたがって製造することができる。この場合に、図5(B)において説明した接合面321cを平坦に研磨する際に、接合面321cを曲面状に研磨することにより膜形成面を曲面とすることができる。
【0043】
D.第2の製造方法:
図10は、クロスダイクロイックプリズムの第2の製造方法のうち、4つの柱状プリズムを準備する工程を示す説明図である。図10(A)に示すように、白板ガラス等の光学用の板ガラス400を準備する。この板ガラス400は、板ガラス内での屈折率が一様となるように管理されているものが利用される。板ガラス400の上、下面402,404を研磨して平坦化し、図10(B)に示すように、上面402に青色反射膜266B(斜線部)を形成する。そして、図10(B)の一点鎖線に沿って板ガラス400を4分割することにより、図10(C)に示すように、4つの柱状プリズム425,426O,427,428Oを切り出す。これらの4つの柱状プリズム425,426O,427,428Oのうち、柱状プリズム425,427が直角プリズムの場合には、図2に示した長い直角プリズム325,327に相当する。柱状プリズム426O,428Oを、図10(C)の一点鎖線に沿って切断することにより、図10(D)に示すように柱状プリズム426,428が作製される。これらの柱状プリズム426,428が直角プリズムの場合には、図2に示した短い直角プリズム326,328に相当する。ここで、4つの柱状プリズム425,426,427,428によって2組のプリズム対を構成する際に互いに接合される側面325a,326a,327a,328aは、板ガラス400の研磨された上面402あるいは下面404である。
【0044】
上記のようにして準備された4つの柱状プリズム425,426,427,428を、図3〜図7に示した製造工程と同様にして組み立てることにより、図2に示したプリズム柱320に相当するプリズム柱420を作製することができる。作製されたプリズム柱420を長手方向(高さ方向)に適当な長さで切断することにより、小さなプリズム柱を切り出す。そして、切り出された小さなプリズム柱の外面を研磨して平坦化することにより、図1のクロスダイクロイックプリズム260や図9のクロスダイクロイックプリズム260Aを作製することができる。なお、クロスダイクロイックプリズム260Aの外面は、平面だけでなく曲面に研磨するようにしてもよい。
【0045】
第2の製造方法によれば、1枚の板ガラスから、クロスダイクロイックプリズムを作製することができるので、クロスダイクロイックプリズム内の屈折率を一様にすることができる。これにより、クロスダイクロイックプリズム内における光の屈折によって発生する光の光路の差が生じない。また、各製造工程において必要となる面をその工程ごとに作製するため、製造工程中に発生するガラス面の傷を低減することができ、また、反射面の平坦度を高めることができる。
【0046】
なお、上記第2の製造方法の説明では、プリズム柱420から小さなプリズム柱を切り出した後に、その外面を研磨する場合を説明したが、これに限定されるものではない。プリズム柱420の外面を研磨するようにしてもよい。
【0047】
また、上記第2の製造方法の説明では、板ガラス400に青色反射膜266Bを形成した後に、板ガラス400を4分割するようにする場合を説明しているが、板ガラス400を4分割した後に、柱状プリズム426,428の側面に青色反射膜266Bを形成するようにしてもよい。
【0048】
また、上記第2の製造方法の説明では、柱状プリズム425,426の組み合わせと柱状プリズム427,428の組み合わせで2つのプリズム対を構成する場合を説明しているが、柱状プリズム425,428の組み合わせと柱状プリズム426,427の組み合わせ、あるいは、柱状プリズム425,427の組み合わせと柱状プリズム426,428の組み合わせとするようにしてもよい。好ましくは、隣り合う柱状プリズムの屈折率が近くなるような組み合わせである。このようにすれば、プリズム内での光の屈折による画像の劣化等を防止することができる。
【0049】
なお、第1の製造方法においても、1枚の板ガラスから作製された4つの柱状プリズムを用いるようにすれば、第2の製造方法と同様に、プリズム内での光の屈折による画像の劣化等を防止することができる。
【0050】
また、第1の製造方法においても、プリズム柱320の外側面やプリズム柱320から切り出された小さなプリズム柱の外側面を平面でなく、曲面に研磨することもできる。この場合に作製されたクロスダイクロイックプリズムを構成する4つのプリズムは、直角プリズムではなく柱状プリズムである。
【0051】
E.投写型表示装置の構成:
図11は、この発明の実施例のクロスダイクロイックプリズム260を用いた投写型表示装置の要部を示す概略平面図である。この投写型表示装置は、照明光学系100と、ダイクロイックミラー210,212と、反射ミラー220,222,224と、入射側レンズ230と、リレーレンズ232と、3枚のフィールドレンズ240,242,244と、3枚の液晶ライトバルブ(液晶パネル)250,252,254と、クロスダイクロイックプリズム260と、投写レンズ系270とを備えている。
【0052】
照明光学系100は、ほぼ平行な光線束を射出する光源110と、第1のレンズアレイ120と、第2のレンズアレイ130と、偏光変換素子140と、反射ミラー150と、重畳レンズ160とを備えている。照明光学系100は、照明領域である3枚の液晶ライトバルブ250,252,254をほぼ均一に照明するためのインテグレータ光学系である。
【0053】
光源110は、放射状の光線を射出する放射光源としての光源ランプ112と、光源ランプ112から射出された放射光をほぼ平行な光線束として射出する凹面鏡114とを有している。光源ランプ112としては、通常、メタルハライドランプや高圧水銀灯などの高圧放電灯が用いられる。凹面鏡114としては、放物面鏡を用いることが好ましい。なお放物面鏡に代えて、楕円面鏡や球面鏡なども用いることができる。
【0054】
第1のレンズアレイ120は複数の第1の小レンズ122で構成されている。第2のレンズアレイ130は、複数の第1の小レンズのそれぞれに対応する複数の第2の小レンズ132で構成されている。光源110から射出された略平行な光線束は、第1と第2のレンズアレイ120,130によって、複数の部分光束に分割されて偏光変換素子140に入射する。偏光変換素子140は、非偏光な光を所定の直線偏光光、例えば、s偏光光あるいはp偏光光に変換して射出する機能を有している。従って、偏光変換素子140に入射した複数の部分光線束は、それぞれ所定の直線偏光光に変換されて射出される。偏光変換素子140から射出された部分光線束は、反射ミラー150で反射されて重畳レンズ160に入射する。重畳レンズ160に入射した複数の部分光線束は、重畳レンズ160の重畳作用によって、照明領域である液晶ライトバルブ250,252,254上で重畳される。この結果、各液晶ライトバルブ250,252,254は、ほぼ均一に照明される。
【0055】
2枚のダイクロイックミラー210,212は、照明光学系100から射出された光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する色光分離光学系としての機能を有する。第1のダイクロイックミラー210は、照明光学系100から射出された光の赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。
【0056】
第1のダイクロイックミラー210を透過した赤色光は、反射ミラー220で反射され、フィールドレンズ240を通って赤光用の液晶ライトバルブ250に達する。このフィールドレンズ240は、このフィールドレンズ240を通った各部分光束が、その主光線(中心軸)に平行な光線束となるように集光する機能を有している。他の液晶ライトバルブの前に設けられたフィールドレンズ242,244も同様である。
【0057】
第1のダイクロイックミラー210で反射された青色光と緑色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー212によって反射され、フィールドレンズ242を通って緑光用の液晶ライトバルブ252に達する。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー212を透過し、入射側レンズ230と、リレーレンズ232および反射ミラー222,224を備えたリレーレンズ系を通過する。リレーレンズ系を通過した青色光は、さらにフィールドレンズ244を通って青色光用の液晶ライトバルブ254に達する。
【0058】
なお、青色光にリレーレンズ系が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いために発生する光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ230に入射した青色光をそのまま、射出側レンズ(フィールドレンズ)244に伝えるためである。
【0059】
3枚の液晶ライトバルブ250,252,254は、それぞれに入射する各色の光を、与えられた画像情報(画像信号)に応じて変調して、画像を表す光を射出する光変調手段としての機能を有する。液晶ライトバルブ250,252,254の光の入射面には、通常、偏光板が設けられているので、照明光学系100から射出される直線偏光光の偏光方向は、これらの偏光板の透過軸にほぼ等しい偏光方向に設定される。このようにすれば、照明光学系100から射出された照明光を効率よく利用することができる。クロスダイクロイックプリズム260は、3枚の液晶ライトバルブ250,252,254から射出された3色の色光を合成する色光合成光学系(光選択プリズム)としての機能を有する。クロスダイクロイックプリズム260には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜とが、4つの柱状プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。クロスダイクロイックプリズム260で生成された合成光は、投写レンズ系270の方向に射出される。投写レンズ系270は、この合成光を投写スクリーン300上に投写して、カラー画像を表示する投写光学系としての機能を有する。
【0060】
この投写型表示装置は、上述した実施例のクロスダイクロイックプリズム260を利用している。従って、投写画像の中央に筋が発生する問題を緩和することができ、また、スクリーンの左右で画像サイズが変わってしまうという問題も緩和することができる。また、クロスダイクロイックプリズム260は、プリズム柱320あるいはプリズム柱420から切り出された小さなプリズムであるので、投写型表示装置を小型化することも可能である。
【0061】
なお、クロスダイクロイックプリズム260の代わりに図9のクロスダイクロイックプリズム260Aを用いることもできる。この場合には、さらに、投写レンズ系270で発生する色収差による画質の低下を抑制することができる。
【0062】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0063】
(1)クロスダイクロイックプリズム内のダイクロイック膜の配置や構成は、上記実施例以外の種々のものが考えられる。たとえば、赤色反射膜と青色反射膜の形成位置を入れ替えるようにしてもよい。また、青色反射膜の代わりに、緑色反射膜を設けるようにしてもよい。さらに、反射する色光は、赤、緑、青に限られず、膜の特性を考慮しつつ種々の色光を反射する膜を組合せて使用することが可能である。
【0064】
(2)上記実施例において、1つのプリズム対を構成する2つの直角プリズムの接合される面に形成されるダイクロイック膜(上記実施例では、青色反射膜)を、短い直角プリズムの直角面に形成する例を示しているが、長い直角プリズムの直角面に形成するようにしてもよい。また、プリズムとしては、直角プリズム以外の柱状プリズムを使用することも可能である。但し、4つの柱状プリズムを貼り合わせて光選択プリズムを形成する場合には、各柱状プリズムの断面は、一般に、互いの側面同士が密着した状態で貼り合わせることができるような3角形の形状を有していることが好ましい。
【0065】
(3)上記実施例において、プリズム柱を構成する4つの直角プリズムは、長い直角プリズム同士及び短い直角プリズム同士の長手方向の長さがそれぞれ等しい直角プリズムを用いているが、少なくとも、短い直角プリズムが長い直角プリズムよりも短ければよい。すなわち、2つの短い直角プリズム同士が貼り合わされて第2の組立治具520(図7)の溝部522cに収納された際に、貼り合わされた2つの短い直角プリズム同士の長手方向の長さが第2の組立治具520の溝部522cの幅W3よりも小さければ良く、2つの長い直角プリズムが基準面部522a,522bの上面に押しつけられるような長さであればよい。このようにすれば、2組のプリズム対のそれぞれに形成された第1のダイクロイック膜(実施例では、青色反射膜)を精度良く同一平面上に配置することができる。
【0066】
(4)上記実施例では、透過型の投写型表示装置に本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型の投写型表示装置にも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶ライトバルブ等の光変調手段が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、光変調手段が光を反射するタイプであることを意味している。反射型の投写型表示装置では、クロスダイクロイックプリズムは、光を赤、緑、青の3色の光に分離する色光分離手段として利用されると共に、変調された3色の光を再度合成して同一の方向に射出する色光合成手段としても利用される。反射型の投写型表示装置にこの発明を適用した場合にも、透過型の投写型表示装置とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0067】
(5)上記実施例では、光選択プリズムとしてクロスダイクロイックプリズムの例を説明したが、本発明は、クロスダイクロイックプリズム以外の光選択プリズムにも適用可能である。例えば、2つの光選択膜として偏光に関する選択性を有する膜(偏光分離膜)を使用した光選択プリズムにも本発明を適用可能である。また、色光と偏光とに関してそれぞれ異なる光選択性を有する2種類の光選択膜を用いた光選択プリズムにも適用可能である。
【0068】
(6)上記実施例においては、投写型表示装置の光変調手段として液晶ライトバルブ(液晶パネル)を用いているが、これに限られない。例えば、ディジタル・マイクロミラー・デバイス(TI社の商標)を用いることも可能である。すなわち、光変調手段としては、入射する光を画像信号に応じて画像を表す光に変調する種々の装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】光選択プリズムの第1の実施例であるクロスダイクロイックプリズムを示す説明図である。
【図2】プリズム柱からクロスダイクロイックプリズムを切り出す工程を示す説明図である。
【図3】プリズム対の作製工程を示す説明図である。
【図4】第1の組み立て治具500を示す斜視図である。
【図5】第1のプリズム対321の接合面321cを拡大して示す説明図である。
【図6】2組のプリズム対321,322を貼り合わせる工程を示す説明図である。
【図7】第2の組立治具520の斜視図である。
【図8】2組のプリズム対321,322を第2の組立治具520の上に載置した状態を拡大して示す側面図である。
【図9】光選択プリズムの第2の実施例であるクロスダイクロイックプリズムを示す説明図である。
【図10】クロスダイクロイックプリズムの第2の製造方法のうち、4つの柱状プリズムを準備する工程を示す説明図である。
【図11】この発明の実施例のクロスダイクロイックプリズム260を用いた投写型表示装置の要部を示す概略平面図である。
【図12】投写型表示装置の要部を示す概念図である。
【符号の説明】
【0070】
42,44,46...液晶ライトバルブ
48...クロスダイクロイックプリズム
48B...青色反射膜
48R...赤色反射膜
50...投写レンズ
52...投写スクリーン
100...照明光学系
110...光源
112...光源ランプ
114...凹面鏡
120...第1のレンズアレイ
122...小レンズ
130...第2のレンズアレイ
132...小レンズ
140...偏光変換素子
150...反射ミラー
160...重畳レンズ
210...第1のダイクロイックミラー
212...第2のダイクロイックミラー
220,222,224...反射ミラー
230...入射側レンズ
232...リレーレンズ
240,242,244...フィールドレンズ
250,252,254...液晶ライトバルブ
260...クロスダイクロイックプリズム
261,262,263,264...直角プリズム(柱状プリズム)
266B...青色反射膜
266R...赤色反射膜
260A...クロスダイクロイックプリズム
261A,262A,263A,264A...柱状プリズム
270...投写レンズ
300...投写スクリーン
320...プリズム柱
321...第1のプリズム対
321a,321b...直角面
321c...接合面
321d,321e...露出部
322...第2のプリズム対
322d,322e...露出部
325,327...長い直角プリズム
326,328...短い直角プリズム
325a...直角面
325b...直角面
326a...直角面
326b...直角面
400...板ガラス
402...上面
404...下面
425,426,427,428...柱状プリズム
426O,428O...柱状プリズム
500...第1の組立治具
502...基盤
502a,502b...基準面部
502c...溝部
504...段差設定部材
520...第2の組立治具
522...基盤
522a...基準面部
522a(U)...基準面部522aの上面
522c...穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略X字状に交差する2種類の光選択膜を有する光選択プリズムであって、
互いの側面で接合された4つの柱状プリズムと、
前記4つの柱状プリズムの側面に沿って略X字状に交差するように形成された2つの光選択膜と、を備え、
前記2つの光選択膜の一方は赤色反射膜であり、他方は青色反射膜であり、
前記赤色反射膜は、前記2つの光選択膜の交差位置において分割されること無く連続して形成されていることを特徴とする光選択プリズム。
【請求項2】
請求項1記載の光選択プリズムであって、
前記赤色選択膜が連続して形成されている面は曲面である、光選択プリズム。
【請求項3】
画像を投写して表示する投写型表示装置であって、
照明光を射出する照明光学系と、
前記照明光を、3色の光に分離する色光分離光学系と、
前記3色の光を、与えられた画像信号に基づいてそれぞれ変調する3組の光変調手段と、
前記3組の光変調手段で変調された3色の光を合成するクロスダイクロイックプリズムと、
前記クロスダイクロイックプリズムで合成された光を投写する投写光学系と、を備え、
前記クロスダイクロイックプリズムは、
互いの側面で接合された4つの柱状プリズムと、
前記4つの柱状プリズムの側面に沿って略X字状に交差するように形成された2つのダイクロイック膜と、を備えており、
前記2つのダイクロイック膜の一方は赤色反射膜であり、他方は青色反射膜であり、
前記赤色反射膜は、前記2つのダイクロイック膜の交差位置において分割されること無く連続して形成されていることを特徴とする投写型表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の投写型表示装置であって、
前記赤色選択膜が連続して形成されている面は曲面である、投写型表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−133424(P2007−133424A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8066(P2007−8066)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【分割の表示】特願2006−110386(P2006−110386)の分割
【原出願日】平成11年1月6日(1999.1.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】