説明

光配向用液晶配向膜を形成するための液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子

【課題】
電圧保持率が高く、イオン量が小さく、残留電荷が少ない等の、液晶配向膜に共通して求められる電気特性を保持しつつ、光照射による化学変化の感度が良好で、液晶分子の配向性に優れ、光透過率が高い光配向膜を形成するための液晶配向剤を提供すること。さらに、この液晶配向剤を用いた光配向膜、並びにこの光配向膜を用いた液晶表示素子を提供すること。
【解決手段】
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物またはシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物の混合物と、分子中にアミノ基の窒素原子以外に少なくとも2つの窒素原子を有する特定のジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する液晶配向剤によって形成された光配向膜を、液晶表示素子に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配向法を用いる光配向用液晶配向剤、およびそれを用いた光配向膜、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンのモニター、液晶テレビ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型ディスプレイ等の様々な表示装置、さらには、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子等、今日製品化されて一般に流通している液晶表示素子は、ネマティック液晶を用いた表示素子が主流である。ネマティック液晶表示素子の表示方式は、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モードがよく知られている。近年、これらのモードの問題点の1つである視野角の狭さを改善するために、光学補償フィルムを用いたTN型液晶表示素子、垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、あるいは横電界方式のIPS(In-Plane Switching)モード等が提案され、実用化されている。
【0003】
これらの液晶表示素子に均一な表示特性を持たせるためには、液晶の分子配列を均一に制御することが必要である。具体的には、基板上の液晶分子を一方向に均一に配向させること、液晶分子に基板面から一定の傾斜角(プレチルト角)を持たせること等である。このような役割を担うのが液晶配向膜である。液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品位に係わる重要な要素の1つであり、表示素子の高品質化に伴って液晶配向膜の役割が年々重要になってきている。
【0004】
液晶配向膜は液晶配向剤を用いて形成される。現在主として用いられている液晶配向剤とは、ポリアミック酸もしくは可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)である。この溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜してポリイミド系液晶配向膜を形成する。この膜に液晶分子を配向させる性質を与える(配向処理)方法として、現在工業的に用いられているのがラビング法である。ラビング法は、ナイロン、レイヨン、ポリエステル等の繊維を植毛した布を用いて液晶配向膜の表面を一方向に擦る処理であり、これによって液晶分子の一様な配向を得ることが可能になる。しかし、ラビング法は工程中に発生する配向膜の削れや繊維ごみ等の付着による表示欠陥や、静電気の発生によってTFT(Thin-Film-Transistor)素子が破壊されて起こる表示不良等の問題を抱えている。
【0005】
この問題を解決するために、形成された膜に光を照射して配向処理を施す光配向法が提案され、今日までに光分解法、光異性化法、光二量化法、光架橋法等多くの配向機構が紹介されている(例えば、非特許文献1および特許文献1〜5を参照。)。光配向法はラビング法に比べて配向の均一性が高く、また非接触の配向法であるため膜に傷が付かず、発塵や静電気等の液晶表示素子の表示不良を発生させる原因を低減できる等の利点がある。
【0006】
光配向方式による液晶配向膜(以降、「光配向膜」と略記することがある。)に用いる材料の検討も数多くなされているが、テトラカルボン酸二無水物、特にシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を原料に用いたポリイミドを用いた光配向膜が、液晶分子を均一かつ安定に配向させることができると報告されている(例えば、特許文献1を参照。)。これは基板上に形成した膜に紫外線等を照射して、ポリイミドに化学変化を起こさせることによって液晶を一定方向に配向させる機能を与える方法である。しかしながら、このような方式による光配向膜はラビング法による配向膜に比べて、不純物イオンの量が増加して電圧保持率が低下する等、電気特性が劣るという問題があった。これを解決するためにポリイミドを構成する分子構造に様々な検討が加えられている(例えば、特許文献2および3を参照。)。
【0007】
一方、光配向法はラビング法に比べてアンカリングエネルギーが小さく、液晶分子の配向性が劣るため、液晶表示素子の応答速度の低下や焼き付きを引き起こすという問題が指摘されている。このような欠点を克服するために、我々は例えば特許文献4に記載された方法により、ポリアミック酸からなる液晶配向剤を基板に塗布した後、光照射し、その後焼成する方法を見出した。この方法によって大きなアンカリングエネルギーを有する光配向膜を得た。しかしながら、アゾ基を有するジアミンを原料として製造したポリアミック酸を用いた光配向膜は光の透過率が低く、液晶表示素子の輝度が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−297313公報
【特許文献2】特開2004−206091公報
【特許文献3】国際公開2005/83504号パンフレット
【特許文献4】特開2005−275364公報
【特許文献5】特開2006−171304公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】液晶、第3巻、第4号、262ページ、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、電圧保持率が高く、イオン量が小さく、残留電荷が少ない等の、液晶配向膜に共通して求められる電気特性を保持しつつ、光照射による化学変化の感度が良好で、液晶分子の配向性に優れ、光透過率が高い光配向膜を形成するための液晶配向剤を提供することである。本発明の課題はさらに、この液晶配向剤を用いた光配向膜を提供することであり、この光配向膜を用いた液晶表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物またはシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物の混合物と、分子中にアミノ基の窒素原子以外に少なくとも2つの窒素原子を有する特定のジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する液晶配向剤によって形成された光配向膜が、光照射による化学変化の感度が良好で、液晶分子の配向性に優れ、しかも光透過率が高いことを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は以下の構成からなる。
[1] テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、光配向用液晶配向膜を形成するための液晶配向剤において、
前記テトラカルボン酸二無水物は下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含み;
前記ジアミンは下記式(N−1)および式(N−2)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つを含む液晶配向剤。
【化1】

式(I)において、R〜Rは独立して水素または炭素数1〜4のアルキルである。
【化2】

式(N−1)において、Rは独立して1価の有機基であり;
は独立して水素、1価の有機基またはハロゲンであり;そして、
Zは炭素数1〜5のアルキレンを含む2価の基である。
【化3】

式(N−2)において、Rは独立して1価の有機基またはハロゲンであり;
は独立して1価の有機基であり;
mは独立して0〜3の整数であり;そして、
nは0〜4の整数である。
【0013】
[2] Rが独立して炭素数1〜3のアルキルであり、Rが独立して水素、炭素数1〜3のアルキル、フッ素、塩素、または臭素である式(N−1)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]項に記載の液晶配向剤。
【0014】
[3] 分子の両端のフェニルにおいてそれぞれのパラ位にアミノ基を有する式(N−1)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記項[1]項または[2]項に記載の液晶配向剤。
【0015】
[4] 下記式(N−1−1)〜(N−1−20)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
【化7】

【0019】
[5] Rが独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、カルバモイル、フッ素、塩素、または臭素であり、Rが独立して炭素数1〜3のアルキルである式(N−2)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【0020】
[6] 分子の両端のフェニルにおいてそれぞれのパラ位にアミノ基を有する式(N−2)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【0021】
[7] 下記式(N−2−1)〜(N−2−15)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化8】

【0022】
【化9】

【0023】
[8] 前記[7]項に記載の式(N−2−1)および(N−2−2)で表されるジアミンの少なくとも1つまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【0024】
[9] 下記式(III)〜(IX)および(XV)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つをさらに含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化10】

式(III)において、Aは−(CH−であり、mは1〜6の整数であり;
式(V)、(VII)および(IX)において、Xは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、または−S−(CH−S−であり、mは1〜6の整数であり;
式(VII)において、LおよびLは−Hであるが、Xが−NH−、−N(CH)−、−CH−、−C(CH−、または−C(CF−であるときには互いに結合して単結合を形成してもよく;
式(VIII)および(IX)において、Yは単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜3のアルキレンであり;
式(XV)において、R33およびR34は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり;Gは独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり;mは1〜10の整数であり;そして、
上記の各式において、シクロヘキサン環またはベンゼン環の−Hは、−F、−CH、−OH、−COOH、−SOH、−PO、ベンジル、またはヒドロキシベンジルで置き換えられていてもよい。
【0025】
[10] 側鎖構造を有するジアミンをさらに含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【0026】
[11] 側鎖構造を有するジアミンが下記式(X)〜(XIV)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つである、前記[10]項に記載の光配向用液晶配向剤。
【化11】

式(X)において、
は、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CH−であり、mは1〜6の整数であり、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
は、ステロイド骨格を有する基、炭素数3〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルキルもしくは炭素数1〜30のアルコキシを置換基として有するフェニル、または下記式(X−a)で表される基であり、この炭素数1〜30のアルキルにおける任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
【化12】

式(X−a)において、
およびAは独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−、または炭素数1〜12のアルキレンであり、aおよびbは独立して0〜4の整数であり;
環Bおよび環Cは独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
およびRは独立して、−FまたはCHであり、fおよびgは独立して0〜2の整数であり;
は−F、−OH、−CN、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、または炭素数2〜30のアルコキシアルキルであり、これらのアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく、任意の−CH−は−CF−または下記式(s)で表される2価の基で置き換えられていてもよく;
【化13】

式(s)において、R35およびR36は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、mは1〜6の整数であり;
c、dおよびeは独立して0〜3の整数であり、そして、c+d+e≧1である。
【化14】

式(XI)および(XII)において、
は独立して−Hまたは−CHであり;
は−H、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルであり;
は独立して単結合、−CO−または−CH−であり;
式(XII)において、
およびR10は独立して炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
【化15】

式(XIII)および(XIV)において、Aは独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;
式(XIII)において、R11は−Hまたは炭素数1〜30のアルキルであり、このアルキルの任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;
環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;
hは0または1であり;
式(XIV)において、R12は炭素数6〜22のアルキルであり;そして、
13は炭素数1〜22のアルキルである。
【0027】
[12] ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、下記式(An−1)〜(An−6)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、前記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化16】

式(An−1)、(An−4)および(An−5)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(An−2)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(An−2)〜(An−4)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり;
【化17】

式(An−3)〜(An−5)において、環Eは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜20の縮合多環式炭化水素の基を表し、この基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく;
環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(An−6)において、X11は炭素数2〜6のアルキレンであり;
Meはメチルを表し、そして、Phはフェニルを表す。
【0028】
[13] ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、下記の式(1)、(2)、(5)〜(7)および(17)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、前記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化18】

【0029】
[14] ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、下記の式(23)、(25)、(36)〜(39)、(44)、(49)および(68)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物および脂肪族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、前記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化19】

【0030】
[15] ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、請求項13記載の芳香族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つと、請求項14記載の脂環式テトラカルボン酸二無水物および脂肪族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、前記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【0031】
[16] 前記[1]〜[15]のいずれか1項に記載の液晶配向剤の少なくとも2つを混合した液晶配向剤。
【0032】
[17] アルケニル置換ナジイミド化合物、エポキシ化合物、およびシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1つをさらに含む、前記[1]〜[16]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【0033】
[18] アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]メタン、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、前記[17]項に記載の液晶配向剤。
【0034】
[19] アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]メタンである、前記[17]項に記載の液晶配向剤。
【0035】
[20] アルケニル置換ナジイミド化合物が、前記ポリアミック酸またはその誘導体の総量に対して0.01〜50重量%含まれている、前記[17]〜[19]のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【0036】
[21] エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つである、前記[17]項に記載の液晶配向剤。
【0037】
[22] エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンまたは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである、前記[17]項に記載の液晶配向剤。
【0038】
[23] エポキシ化合物が前記ポリアミック酸またはその誘導体の総量に対して1〜40重量%含まれている、前記[17]、[21]または[22]項に記載の液晶配向剤。
【0039】
[24] シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、およびN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、前記[17]項に記載の液晶配向剤。
【0040】
[25] シランカップリング剤が、3−アミノプロピルトリエトキシシランである、前記[17]項に記載の液晶配向剤。
【0041】
[26] シランカップリング剤が前記ポリアミック酸またはその誘導体の総量に対して0.1〜10重量%含まれている、前記[17]、[24]または[25]項に記載の液晶配向剤。
【0042】
[27] 前記[1]〜[26]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗付した基板を加熱乾燥する工程と、膜に偏向紫外線を照射する工程とを経て形成される光配向用液晶配向膜。
【0043】
[28] 前記[1]〜[26]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗付した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜に偏向紫外線を照射する工程と、次いでその膜を加熱焼成する工程を経て形成される光配向用液晶配向膜。
【0044】
[29] 前記[1]〜[26]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗付した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜を加熱焼成する工程と、次いでその膜に偏向紫外線を照射する工程とを経て形成される光配向用液晶配向膜。
【0045】
[30] 前記[27]〜[29]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【発明の効果】
【0046】
本発明により、電圧保持率が高く、イオン量が小さく、残留電荷が少ない等の電気特性を有しつつ、光照射による化学変化の感度が良好で、液晶分子の配向性に優れ、光透過率が高い光配向膜を得ることができる。そしてこの光配向膜を有する表示特性に優れた液晶表示素子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応生成物であるポリアミック酸またはその誘導体を含有する。前記ポリアミック酸の誘導体とは、溶剤を含有する後述する液晶配向剤としたときに溶剤に溶解する成分であり、その液晶配向剤を後述する液晶配向膜としたときに、ポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成することができる成分である。このようなポリアミック酸の誘導体としては、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸エステル、およびポリアミック酸アミド等が挙げられ、より具体的には1)ポリアミック酸の全てのアミノとカルボキシルとが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシルがエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに5)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドが挙げられる。前記ポリアミック酸またはその誘導体は、1種の化合物であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0048】
前記のテトラカルボン酸二無水物は下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む。
【化20】

【0049】
本発明の液晶配向剤を基板に塗付し、予備加熱によって乾燥させた後、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射すると、偏光方向に概ね平行しているポリマー主鎖の、上記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位のシクロブタン環が光分解反応を起こす。偏光方向に概ね平行しているポリマーの主鎖が選択的に分解されることによって、膜を形成しているポリマーの主鎖は、照射した紫外線の偏光方向に対して概ね直角方向に向いた成分が支配的になる。そのため、基板を加熱してポリアミック酸を脱水・閉環させてポリイミド膜とした後、この基板を用いて組み立てたセルに注入された液晶組成物の液晶分子は、照射した紫外線の偏光方向に対して直角の方向に長軸を揃えて配向する。膜に紫外線の直線偏光を照射する工程は、ポリイミド化のための加熱工程の前でもよく、加熱してポリイミド化した後であってもよい。
【0050】
式(I)におけるR〜Rは、独立して水素または炭素数1〜4のアルキルである。炭素数1〜4のアルキルは、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルである。R〜Rは水素またはメチルが好ましく、水素がより好ましい。
【0051】
式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物は1つの化合物を単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物は他のテトラカルボン酸二無水物と混合して用いてもよい。この際のテトラカルボン酸二無水物の混合物中の式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物は10重量%以上の割合で用いられ、50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であるとより好ましい。
【0052】
前記のジアミンは下記式(N−1)および式(N−2)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【化21】

【0053】
【化22】

【0054】
式(N−1)において、Rは独立して1価の有機基である。1価の有機基のうちではアルキルが好ましく、炭素数1〜3のアルキルが好ましい。炭素数1〜3のアルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピルであり、メチルがより好ましい。Rは独立して水素、1価の有機基またはハロゲンである。1価の有機基のうちではアルキルが好ましく、炭素数1〜3のアルキルが好ましい。炭素数1〜3のアルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピルであり、メチルがより好ましい。ハロゲンはフッ素、塩素および臭素が好ましい。そして、これらの中では水素がより好ましい。Zは炭素数1〜5のアルキレンを含む2価の基であるが、炭素数1〜5のアルキレンであることが好ましい。分子の両端のフェニルにおけるアミノ基の結合位置は任意でよいが、パラ位およびメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0055】
式(N−2)において、Rは独立して1価の有機基またはハロゲンである。1価の有機基のうちではアルキル、アルコキシおよびカルバモイルが好ましい。炭素数1〜10のアルキルのうちでは炭素数1〜4のアルキルがより好ましい。炭素数1〜4のアルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、およびt−ブチルであり、メチルがさらに好ましい。炭素数1〜10のアルコキシのうちでは炭素数1〜4のアルコキシがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシは具体的にはメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、およびt−ブチルオキシであり、メトキシがさらに好ましい。ハロゲンはフッ素、塩素および臭素が好ましい。Rは独立して1価の有機基である。1価の有機基のうちではアルキルが好ましく、炭素数1〜3のアルキルが好ましい。炭素数1〜3のアルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピルであり、メチルがより好ましい。mは独立して0〜3の整数である。mが1〜3の整数から選択される場合は1〜2であることが好ましく、1であることがより好ましい。mは0または1であることが好ましい。mが2または3であるとき、Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。nは0〜4の整数である。nが1〜4の整数から選択される場合は1〜2であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。分子の両端のフェニルにおけるアミノ基の結合位置は任意でよいが、パラ位およびメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0056】
式(N−1)で表されるジアミンの具体例は、下記式(N−1−1)〜(N−1−20)で表される化合物である。
【化23】

【0057】
【化24】

【0058】
【化25】

【0059】
【化26】

【0060】
式(N−2)で表されるジアミンの具体例は、下記式(N−2−1)〜(N−2−15)で表される化合物である。
【化27】

【0061】
【化28】

【0062】
上記の具体例の中では式(N−1−2)、(N−2−1)および(N−2−2)で表されるジアミンが好ましい。
【0063】
式(N−1)で表されるジアミンおよび式(N−2)で表されるジアミンは1つの化合物を単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。式(N−1)で表されるジアミンおよび式(N−2)で表されるジアミンは、他のジアミンと混合して用いてもよい。この際のジアミンの混合物中の式(N−1)で表されるジアミンおよび式(N−2)で表されるジアミンは10重量%以上の割合で用いられ、50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であるとより好ましい。
【0064】
式(N−1)で表されるジアミンおよび式(N−2)で表されるジアミンと混合して用いることができる他のジアミンは、例えば側鎖構造を有さないジアミンおよび側鎖構造を有するジアミンが挙げられる。このような他のジアミンは、1つの化合物であってもよく、2つ以上の化合物であってもよい。
【0065】
本発明の液晶配向剤は例えばIPSモードのような、液晶分子を基板と平行に配向させて電界で動作させる方式の液晶表示素子に好ましく用いられる。このような場合は液晶分子が基板面に対してプレチルト角を持たせる必要がないので、その他ジアミンとしては側鎖構造を有さないジアミンが好ましく用いられる。
【0066】
側鎖構造を有さないジアミンは、下記の式(III)〜(IX)および(XV)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つである。
【化29】

【0067】
式(III)において、Aは−(CH−であり、mは1〜6の整数である。式(V)、(VII)および(IX)において、Xは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、または−S−(CH−S−であり、mは1〜6の整数である。式(VII)において、LおよびLは−Hであるが、Xが−NH−、−N(CH)−、−CH−、−C(CH−、または−C(CF−であるときには互いに結合して単結合を形成してもよい。式(VIII)および(IX)において、Yは単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜3のアルキレンである。式(XV)において、R33およびR34は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Gは独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、mは1〜10の整数である。そして、上記の各式において、シクロヘキサン環またはベンゼン環の−Hは、−F、−CH、−OH、−COOH、−SOH、−PO、ベンジル、またはヒドロキシベンジルで置き換えられていてもよい。
【0068】
式(III)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(III−1)〜(III−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【化30】

【0069】
式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IV−1)、(IV−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【化31】

【0070】
式(V)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(V−1)〜(V−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【化32】

【0071】
式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI−1)〜(VI−17)で表されるジアミンが挙げられる。
【化33】

【0072】
式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−1)〜(VII−36)で表されるジアミンが挙げられる。
【化34】

【0073】
【化35】

【0074】
式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII−1)〜(VIII−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【化36】

【0075】
式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IX−1)〜(IX−16)で表されるジアミンが挙げられる。
【化37】

【0076】
式(XV)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(XV−1)で表される化合物が挙げられる。
【化38】

【0077】
本発明の液晶配向剤は液晶分子が基板面に対してプレチルト角を持たせる必要のある、例えばTNモード等の液晶表示素子にも使用することができる。その場合は式(N−1)で表されるジアミンおよび式(N−2)で表されるジアミンに側鎖構造を有するジアミンを混合して用いてもよい。また、プレチルト角を適宜調整したいときには、式(N−1)で表されるジアミンおよび式(N−2)で表されるジアミンに前記の側鎖構造を有さないジアミンと側鎖構造を有するジアミンの両方を混合して用いることもできる。
【0078】
側鎖構造を有するジアミンは、下記式(X)〜(XIV)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つである。
【化39】

式(X)において、
は、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CH−であり、mは1〜6の整数であり、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
は、ステロイド骨格を有する基、炭素数3〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルキルもしくは炭素数1〜30のアルコキシを置換基として有するフェニル、または下記式(X−a)で表される基であり、この炭素数1〜30のアルキルにおける任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
【化40】

式(X−a)において、
およびAは独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−、または炭素数1〜12のアルキレンであり、aおよびbは独立して0〜4の整数であり;
環Bおよび環Cは独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
およびRは独立して、−FまたはCHであり、fおよびgは独立して0〜2の整数であり;
は−F、−OH、−CN、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、または炭素数2〜30のアルコキシアルキルであり、これらのアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく、任意の−CH−は−CF−または下記式(s)で表される2価の基で置き換えられていてもよく;
【化41】

式(s)において、R35およびR36は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、mは1〜6の整数であり;
c、dおよびeは独立して0〜3の整数であり、そして、c+d+e≧1である。
【化42】

式(XI)および(XII)において、
は独立して−Hまたは−CHであり;
は−H、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルであり;
は独立して単結合、−CO−または−CH−であり;
式(XII)において、
およびR10は独立して炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
【化43】

式(XIII)および(XIV)において、Aは独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;
式(XIII)において、R11は−Hまたは炭素数1〜30のアルキルであり、このアルキルの任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;
環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;
hは0または1であり;
式(XIV)において、R12は炭素数6〜22のアルキルであり;そして、
13は炭素数1〜22のアルキルである。
【0079】
式(X)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(X−1)〜(X−37)および式(X−38)〜(X−43)で表されるジアミンが挙げられる。
【化44】

【0080】
式(X−1)〜(X−11)において、R23は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであることが好ましく、炭素数5〜25のアルキルまたは炭素数5〜25のアルコキシであることがより好ましい。また、R24は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜25のアルキルまたは炭素数3〜25のアルコキシであることがより好ましい。
【0081】
【化45】

【0082】
式(X−12)〜(X−17)において、R25は炭素数4〜30のアルキルであることが好ましく、炭素数6〜25のアルキルであることがより好ましい。式(X−16)および(X−17)中、R26は炭素数6〜30のアルキルであることが好ましく、炭素数8〜25のアルキルであることがより好ましい。
【0083】
【化46】

【0084】
【化47】

【0085】
式(X−18)〜(X−37)において、R27は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜25のアルキルまたは炭素数3〜25のアルコキシであることがより好ましい。また、R28は−H、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであることが好ましく、炭素数3〜25のアルキルまたは炭素数3〜25のアルコキシであることがより好ましい。
【0086】
【化48】

【0087】
式(X)で表されるジアミンは式(X−1)〜(X−11)で表されるジアミンが好ましく、式(X−2)および(X−4)〜(X−6)で表されるジアミンがより好ましい。
【0088】
式(XI)で表されるジアミンでは、式(XI)において、2つの「NH−Ph−A−O−」の一方はステロイド骨格の3位に結合し、もう一方は6位に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニルに結合しており、Aの結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0089】
式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(XI−1)〜(XI−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【化49】

【0090】
式(XII)で表されるジアミンでは、式(XII)において、2つの「NH−(R10−)Ph−A−O−」は、それぞれフェニルに結合しているが、好ましくはステロイド骨格が結合している炭素に対してメタ位またはパラ位の炭素に結合している。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニルに結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0091】
式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(XII−1)〜(XII−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【化50】

【0092】
【化51】

【0093】
【化52】

【0094】
式(XIII)で表されるジアミンでは、式(XIII)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニルに結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0095】
式(XIII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(XIII−1)〜(XIII−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【化53】

【0096】
【化54】

【0097】
式(XIII−1)〜(XIII−3)において、R29は−H、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜30のアルキルまたは炭素数3〜30のアルコキシであることがより好ましい。また式(XII−4)〜(XII−8)において、R30は−H、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜30のアルキルまたは炭素数3〜30のアルコキシであることがより好ましい。
【0098】
式(XIV)で表されるジアミンでは、式(XIV)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニルに結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0099】
式(XIV)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(XIV−1)〜(XIV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【化55】

【0100】
式(XIV−1)〜(XIV−3)において、R31は炭素数6〜22のアルキルであることが好ましく、炭素数6〜20のアルキルであることがより好ましい。R32は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルであることが好ましく、炭素数1〜10のアルキルであることがより好ましい。
【0101】
側鎖構造を有するジアミンは、式(X−2)、(X−4)〜(X−6)、(XIII−2)、(XIII−4)および(XIII−6)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0102】
本発明における他のジアミンとしては、前述した式(III)〜(IX)、(XV)および(X)〜(XIV)で表されるジアミン以外のジアミンも用いることができる。このようなその他のジアミンとしては、例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、および式(VIII)〜(XII)以外の側鎖構造を有するジアミンが挙げられる。
【0103】
その他のジアミンとしては、例えば下記式(1')〜(8')で表される化合物が挙げられる。
【0104】
【化56】

式(1')〜(8')中、R35およびR36はそれぞれ独立して炭素数3〜30のアルキル基を表す。
【0105】
前記その他のジアミンは、本発明の液晶配向剤におけるポリアミック酸を構成するジアミンにおいて、本発明の効果が損なわれない程度の範囲で用いることができる。
【0106】
前記その他のジアミンは、各ジアミンにおいて、ジアミンに対するモノアミンの比率が40モル%以下の範囲で、ジアミンの一部がモノアミンに置き換えられていてもよい。このような置き換えは、ポリアミック酸を生成する際の重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の重合反応の進行を抑えることができる。このため、このような置き換えによって、得られる重合体(ポリアミック酸またはその誘導体)の分子量を容易に制御することができ、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノアミンに置き換えられるジアミンは、本発明の効果が損なわれなければ、一種でも二種以上でもよい。前記モノアミンとしては、例えばアニリン、4−ヒドロキシアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、およびn−エイコシルアミンが挙げられる。
【0107】
本発明において式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物と混合して用いられるその他のテトラカルボン酸二無水物は、下記の式(An−1)〜(An−6)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである。
【化57】

式(An−1)、(An−4)および(An−5)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(An−2)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(An−2)〜(An−4)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり;
【化58】

式(An−3)〜(An−5)において、環Eは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜20の縮合多環式炭化水素の基を表し、この基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく;
環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(An−6)において、X11は炭素数2〜6のアルキレンであり;
Meはメチルを表し、そして、Phはフェニルを表す。
【0108】
その他のテトラカルボン酸二無水物は1つの化合物であってもよいし、2つ以上の化合物であってもよい。前記テトラカルボン酸としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、およびシルセスキオキサン系テトラカルボン酸二無水物に大別される。
【0109】
芳香族テトラカルボン酸二無水物は、2つの酸無水物の少なくとも1つが芳香族化合物に結合する2つのカルボキシによる酸無水物である化合物である。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(1)〜(18)で表される化合物が挙げられる。
【化59】

【0110】
【化60】

【0111】
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、式(1)、(2)、(5)〜(7)および(17)で表される化合物であることが好ましく、式(1)で表される化合物であることがより好ましい。
【0112】
脂環式テトラカルボン酸二無水物は、2つの酸無水物の少なくとも1つが脂環式化合物に結合する2つのカルボキシによる酸無水物である化合物である。前記脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(24)〜(34)、(36)〜(40)、(42)〜(44)および(49)〜(58)、および(62)〜(64)で表される化合物が挙げられる。
【化61】

【0113】
【化62】

【0114】
脂環式テトラカルボン酸二無水物は、式(25)、(36)〜(39)、(44)、(49)、および(68)で表される化合物であることが好ましく、前記式(37)および(49)で表される化合物であることがより好ましい。
【0115】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、脂肪族化合物に結合する2つのカルボキシによる酸無水物を2つ有する化合物である。前記脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(23)、(45)〜(48)、(66)、(67)、および(68)で表される化合物が挙げられる。
【化63】

【0116】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、式(23)および(68)で表される化合物であることが好ましい。
【0117】
テトラカルボン酸二無水物は、その一部をジカルボン酸一無水物に置き換えてもよい。このような置き換えは、ポリアミック酸を生成する際の重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の重合反応の進行を抑えることができる。このため、このような置き換えによって、得られる重合体(ポリアミック酸またはその誘導体)の分子量を容易に制御することができ、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。テトラカルボン酸二無水物に対するジカルボン酸一無水物の比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安として全テトラカルボン酸二無水物量の10モル%以下にすることが好ましい。ジカルボン酸一無水物に置き換えられるテトラカルボン酸二無水物は、本発明の効果が損なわれなければ、1種でも2種以上でもよい。前記ジカルボン酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物、およびシクロヘキサン酸無水物が挙げられる。
【0118】
テトラカルボン酸二無水物は、テトラカルボン酸二無水物に対するジカルボン酸の比率が10モル%以下の範囲で、テトラカルボン酸二無水物の一部がジカルボン酸に置き換えられていてもよい。ジカルボン酸に置き換えられるテトラカルボン酸二無水物は、本発明の効果が損なわれなければ、1種でも2種以上でもよい。
【0119】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、そのモノマーにモノイソシアネート化合物をさらに含んでいてもよい。モノイソシアネート化合物をモノマーに含むことによって、得られるポリアミック酸またはその誘導体の末端が修飾され、分子量が調節される。この末端修飾型のポリアミック酸またはその誘導体を用いることにより、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノマー中のモノイソシアネート化合物の含有量は、モノマー中のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の総量に対して1〜10モル%であることが、前記の観点から好ましい。前記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、およびナフチルイソシアネートが挙げられる。
【0120】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、ポリイミドの膜の形成に用いられる公知のポリアミック酸またはその誘導体と同様に製造することができる。テトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの総モル数とほぼ等モル(モル比0.9〜1.1程度)とすることが好ましい。
【0121】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、10,000〜500,000であることが好ましく、20,000〜200,000であることがより好ましい。前記ポリアミック酸またはその誘導体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定から求めることができる。
【0122】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、多量の貧溶剤で沈殿させて得られる固形分をIR、NMRで分析することによりその存在を確認することができる。またKOHやNaOH等の強アルカリの水溶液による前記ポリアミック酸またはその誘導体の分解物の有機溶剤による抽出物をGC、HPLCもしくはGC−MSで分析することにより、使用されているモノマーを確認することができる。
【0123】
本発明の液晶配向剤は、前記ポリアミック酸またはその誘導体以外の他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分は、1種であっても2種以上であってもよい。
【0124】
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる観点から、アルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含有していてもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物の含有量は、上記の観点から、液晶配向剤中のポリアミック酸またはその誘導体に対する重量比で0.01〜1.00であることが好ましく、0.01〜0.70であることがより好ましく、0.01〜0.50であることがさらに好ましい。
【0125】
アルケニル置換ナジイミド化合物は、本発明で用いられるポリアミック酸またはその誘導体を溶解する溶剤に溶解させることができる化合物であることが好ましい。このようなアルケニル置換ナジイミド化合物の例は、下記式(Ina)で表される化合物が挙げられる。
【化64】

【0126】
式(Ina)中、LおよびLは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、アリールまたはベンジルであり、nは1または2である。
【0127】
n=1のとき、Wは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−Z−(O)q−(ZO)r−Z−H(Z、ZおよびZは独立して炭素数2〜6のアルキレンであり、qは0または1であり、そしてrは1〜30の整数である。)で表される基、−(Z−B−Z−H(ZおよびZは独立して炭素数1〜4のアルキレンまたは炭素数5〜8のシクロアルキレンであり、Bはフェニレンであり、そしてsは0または1である。)で表される基、−B−T−B−H(Bはフェニレンであり、そしてTは−CH−、−C(CH−、−O−、−CO−、−S−またはSO−である。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の水素が水酸基で置換された基を表す。
【0128】
このとき、好ましいWは、炭素数1〜8のアルキル、炭素数3〜4のアルケニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、炭素数4〜10のポリ(エチレンオキシ)エチル、フェニルオキシフェニル、フェニルメチルフェニル、フェニルイソプロピリデンフェニル、およびこれらの基の1個または2個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
【0129】
式(Ina)においてn=2のとき、Wは炭素数2〜20のアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−Z−O−(ZO)r−Z−(Z〜Z、およびrの意味は前記の通りである。)で表される基、−Z−B−Z−(Z、ZおよびBの意味は前記の通りである。)で表される基、−B−(O−B)−T−(B−O)−B−(Bはフェニレンを表し、Tは炭素数1〜3のアルキレン、−O−またはSO−であり、sは0または1である。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
【0130】
このとき、好ましいWは炭素数2〜12のアルキレン、シクロヘキシレン、フェニレン、トリレン、キシリレン、−C−O−(Z−O)−O−C−(Zは炭素数2〜6のアルキレンであり、rは1または2である。)で表される基、−B−T−B−(Bはフェニレンを表し、そしてTは−CH−、−O−またはSO−を表す。)で表される基、−B−O−B−C−B−O−B−(Bはフェニレンである。)で表される基、およびこれらの基の1個または2個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
【0131】
このようなアルケニル置換ナジイミド化合物は、例えば特許第2729565号公報に記載されているように、アルケニル置換ナジック酸無水物誘導体とジアミンとを80〜220℃の温度で0.5〜20時間保持することにより合成して得られる化合物や市販されている化合物を用いることができる。アルケニル置換ナジイミド化合物の具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。
【0132】
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0133】
N−(2−エチルヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0134】
N−フェニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0135】
N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシ−1−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0136】
N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0137】
N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマー、
【0138】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0139】
1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
【0140】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0141】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
【0142】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
【0143】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、
【0144】
1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0145】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、1,1,1−トリ{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、N,N’,N”−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、およびこれらのオリゴマー等。
【0146】
さらに、本発明に用いられるアルケニル置換ナジイミド化合物は、非対称なアルキレン・フェニレン基を含む下記式で表される化合物でもよい。
【化65】

【0147】
アルケニル置換ナジイミド化合物のうち、好ましい化合物を次に示す。
【0148】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0149】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
【0150】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン。
【0151】
更に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物を次に示す。
【0152】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0153】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0154】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0155】
そして、特に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物として、次に示す式(Ina−1)で示されるビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、式(Ina−2)で示されるN,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、および式(Ina−3)で示されるN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)が挙げられる。
【化66】

【0156】
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる観点から、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物をさらに含有していてもよい。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。なお、前記ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物には前記アルケニル置換ナジイミド化合物は含まれない。前記ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量は、上記の観点から、ポリアミック酸またはその誘導体に対する重量比で0.01〜1.00であることが好ましく、0.01〜0.70であることがより好ましく、0.01〜0.50であることがさらに好ましい。
【0157】
なお、アルケニル置換ナジイミド化合物に対するラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の比率は、液晶表示素子のイオン密度を低減し、イオン密度の経時的な増加を抑制し、さらに残像を抑制する観点から、重量比で0.1〜10であること好ましく、0.5〜5であることがより好ましい。
【0158】
ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸誘導体、およびビスマレイミドが挙げられる。前記ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は、ラジカル重合性不飽和二重結合を2つ以上有する(メタ)アクリル酸誘導体であることがより好ましい。
【0159】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル。(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0160】
2官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えばエチレンビスアクリレート、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−210、アロニックスM−240およびアロニックスM−6200、日本化薬(株)の製品であるKAYARAD HDDA、KAYARAD HX−220、KAYARAD R−604およびKAYARAD
R−684、大阪有機化学工業(株)の製品であるV260、V312およびV335HP、並びに共栄社油脂化学工業(株)の製品であるライトアクリレートBA−4EA、ライトアクリレートBP−4PAおよびライトアクリレートBP−2PAが挙げられる。
【0161】
3官能以上の多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば4,4’−メチレンビス(N,N―ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−400、アロニックスM−405、アロニックスM−450、アロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060、日本化薬(株)の製品であるKAYARAD TMPTA、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、および大阪有機化学工業(株)の製品であるVGPTが挙げられる。
【0162】
(メタ)アクリル酸アミド誘導体の具体例としては、例えばN−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリディン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)―2−メタクリルアミド、N−ベンジル−2−メタクリルアミド、およびN,N’−メチレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
【0163】
上記の(メタ)アクリル酸誘導体のうち、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレン−ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N―ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)が特に好ましい。
【0164】
ビスマレイミドとしては、例えばケイ・アイ化成(株)製のBMI−70およびBMI−80、並びに大和化成工業(株)製のBMI−1000、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5000およびBMI−7000が挙げられる。
【0165】
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性の長期安定性の観点から、オキサジン化合物をさらに含有していてもよい。前記オキサジン化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。前記オキサジン化合物の含有量は、上記の観点から、前記ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0166】
オキサジン化合物は、ポリアミック酸またはその誘導体を溶解させる溶媒に可溶であり、加えて、開環重合性を有するオキサジン化合物が好ましい。
【0167】
またオキサジン化合物におけるオキサジン構造の数は、特に限定されない。
【0168】
オキサジンの構造には種々の構造が知られている。本発明では、オキサジンの構造は特に限定されないが、前記オキサジン化合物におけるオキサジン構造には、ベンゾオキサジンやナフトオキサジン等の、縮合多環芳香族基を含む芳香族基を有するオキサジンの構造が挙げられる。
【0169】
オキサジン化合物としては、例えば下記式(a)〜(f)に示す化合物が挙げられる。なお下記式において、環の中心に向けて表示されている結合は、環を構成しかつ置換基の結合が可能ないずれかの炭素に結合していることを示す。
【化67】

【0170】
式(a)〜(c)において、RおよびRは炭素数1〜30の有機基である。また式(a)〜(f)において、RからRは水素または炭素数1〜6の炭化水素基を表す。また式(c)、(d)および(f)中、Xは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、−S−(CH−S−である。ここでmは1〜6の整数である。また前記式(e)および(f)中、Yは独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜3のアルキレンである。そして、式(a)〜(f)におけるベンゼン環、ナフタレン環に結合している水素は、独立して−F、−CH、−OH、−COOH、−SOH、−POと置き換えられていてもよい。
【0171】
また、オキサジン化合物には、オキサジン構造を側鎖に有するオリゴマーやポリマー、オキサジン構造を主鎖中に有するオリゴマーやポリマーが含まれる。
【0172】
式(a)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化68】

式中、Rは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0173】
式(b)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化69】

式中、Rは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0174】
式(c)で表されるオキサジン化合物としては、下記式(c’)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【化70】

式(c’)中、RおよびRは炭素数1〜30の有機基、RからRは水素または炭素数1〜6の炭化水素基、Xは単結合、−CH−、−C(CH−、−CO−、−O−、−SO−またはC(CF−を表す。
【0175】
前記式(c’)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化71】

【0176】
【化72】

上記式中、Rは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0177】
式(d)で表されるオキサジン化合物しては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化73】

【0178】
式(e)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化74】

【0179】
式(f)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化75】

【0180】
【化76】

【0181】
これらのうち、より好ましくは、式(b−1)、式(c−1)、式(c−3)、式(c−5)、式(c−7)、式(c−9)、式(d−1)〜式(d−6)、式(e−3)、式(e−4)、式(f−2)〜式(f−4)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【0182】
前記のオキサジン化合物は、国際公開2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報に記載の方法と同様の方法で製造することができる。
【0183】
例えば式(a)で表されるオキサジン化合物は、フェノール化合物と1級アミンとアルデヒドとを反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照)。
【0184】
また、式(b)で表されるオキサジン化合物は、1級アミンをホルムアルデヒドへ徐々に加える方法により反応させたのち、ナフトール系水酸基を有する化合物を加えて反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照)。
【0185】
また、式(c)で表されるオキサジン化合物は、有機溶媒中でフェノール化合物1モル、そのフェノール性水酸基1個に対し少なくとも2モル以上のアルデヒド、および1モルの一級アミンを、2級脂肪族アミン、3級脂肪族アミンまたは塩基性含窒素複素環化合物の存在下で反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレットおよび特開平11−12258号公報参照)。
【0186】
また、式(d)〜(f)で表されるオキサジン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の、複数のベンゼン環とそれらを結合する有機基とを有するジアミン、ホルマリン等のアルデヒド、およびフェノールを、n−ブタノール中、90℃以上の温度で脱水縮合反応させることにより得られる(特開2004−352670号公報参照)。
【0187】
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性の長期安定性の観点から、オキサゾリン化合物をさらに含有していてもよい。前記オキサゾリン化合物はオキサゾリン構造を有する化合物である。前記オキサゾリン化合物は一種の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であってもよい。前記オキサゾリン化合物の含有量は、上記の観点から、前記ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることが好ましい。または、前記オキサゾリン化合物の含有量は、オキサゾリン化合物中のオキサゾリン構造をオキサゾリンに換算したときに、前記ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが、上記の観点から好ましい。
【0188】
オキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1種だけ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。また前記オキサゾリン化合物は、1つの化合物中に前記オキサゾリン構造を1個有していればよいが、2個以上有することが好ましい。またオキサゾリン化合物は、オキサゾリン環構造を側鎖に有する重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する共重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
【0189】
オキサゾリン構造は、オキサゾリン構造中の酸素および窒素の一方または両方とポリアミック酸のカルボニル基とが反応し得るようにオキサゾリン化合物中に存在する構造であることが好ましい。
【0190】
オキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、(株)日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げられる。
【0191】
より好ましいオキサゾリン化合物としては、例えば2,2’―ビス(2−オキサゾリン)および1,3−ビス(4,5―ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンが挙げられる。
【0192】
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性の長期安定性の観点から、エポキシ化合物をさらに含有していてもよい。前記エポキシ化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。前記エポキシ化合物の含有量は、上記の観点から、前記ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0193】
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を1つまたは2つ以上有する種々の化合物が挙げられる。分子内にエポキシ環を1つ有する化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、および3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパンが挙げられる。
【0194】
分子内にエポキシ環を2つ有する化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートおよび3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0195】
分子内にエポキシ環を3つ有する化合物としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(商品名「テクモアVG3101L」、(三井化学(株)製)が挙げられる。
【0196】
分子内にエポキシ環を4つ有する化合物としては、例えば1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、および3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0197】
上記の他、分子内にエポキシ環を有する化合物の例として、エポキシ環を有するオリゴマーや重合体も挙げられる。エポキシ環を有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0198】
エポキシ環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0199】
エポキシ環を有するモノマーの重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート等が挙げられる。また、エポキシ環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0200】
これら例の中でも、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0201】
より体系的には、前記エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。なお、エポキシ化合物はエポキシ基を有する化合物を意味し、エポキシ樹脂はエポキシ基を有する樹脂を意味する。
【0202】
グリシジルエーテルとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−S型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、脂環式ジグリシジルエーテル化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物、およびビフェノール型エポキシ化合物が挙げられる。
【0203】
グリシジルエステルとしては、例えばジグリシジルエステル化合物およびグリシジルエステルエポキシ化合物が挙げられる。
【0204】
グリシジルアミンとしては、例えばポリグリシジルアミン化合物が挙げられる。
【0205】
エポキシ基含有アクリル系化合物としては、例えばオキシラニルを有するモノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。
【0206】
グリシジルアミドとしては、例えばグリシジルアミド型エポキシ化合物が挙げられる。
【0207】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0208】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばシクロアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0209】
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば828、1001、1002、1003、1004、1007、1010(いずれもジャパンエポキシレジン製(現在は三菱化学(株)のjERシリーズの製品として入手できる/以下同じ))、エポトートYD−128(東都化成(株)製)、DER−331、DER−332、DER−324(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050(いずれもDIC(株)製)、エポミックR−140、エポミックR−301、およびエポミックR−304(いずれも三井化学(株)製)が挙げられる。
【0210】
ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、例えば806、807、4004P(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001(いずれも東都化成(株)製)、DER−354(The Dow Chemical Company製)、エピクロン830、およびエピクロン835(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0211】
ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0212】
水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えばサントートST−3000(東都化成社製)、リカレジンHBE−100(新日本理化製)、およびデナコールEX−252(ナガセケムテックス社製)が挙げられる。
【0213】
水素化ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば水素化2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0214】
臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えば5050、5051(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトートYDB−360、エポトートYDB−400(いずれも東都化成(株)製)、DER−530、DER−538(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロン152、およびエピクロン153(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0215】
フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば152、154(いずれもジャパンエポキシレジン製)、YDPN−638(東都化成(株)製)、DEN431、DEN438(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロンN−770(DIC(株)製)、EPPN−201、およびEPPN−202(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0216】
クレゾールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製)、YDCN−701、YDCN−702(いずれも東都化成(株)製)、エピクロンN−665、エピクロンN−695(いずれもDIC(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、およびEOCN−1027(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0217】
ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物としては、例えば157S70(ジャパンエポキシレジン(株)製)、およびエピクロンN−880(DIC(株)製)が挙げられる。
【0218】
ナフタレン骨格含有エポキシ化合物としては、例えばエピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4770(いずれもDIC(株)製)、およびNC−7000(日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0219】
芳香族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばハイドロキノンジグリシジルエーテル(下記式E101)、カテコールジグリシジルエーテル(下記式E102)レゾルシノールジグリシジルエーテル(下記式E103)、トリス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(下記式E105)、1031S、1032H60(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、TACTIX−742(The Dow Chemical Company製)、デナコールEX−201(ナガセケムテックス(株)製)、DPPN−503、DPPN−502H、DPPN−501H、NC6000(いずれも日本化薬(株)製)、テクモアVG3101L(三井化学(株)製)、下記式E106で表される化合物、および下記式E107で表される化合物が挙げられる。
【化77】

【0220】
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物としては、例えばTACTIX−556(The Dow Chemical Company製)、およびエピクロンHP−7200(DIC(株)製)が挙げられる。
【0221】
脂環式ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル化合物、およびリカレジンDME−100(新日本理化(株)製)が挙げられる。
【0222】
脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E108)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E109)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E110)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E111)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式E112)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(下記式E113)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(下記式E114)、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式E115)、デナコールEX−810、デナコールEX−851、デナコールEX−8301、デナコールEX−911、デナコールEX−920、デナコールEX−931、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313(いずれもナガセケムテックス(株)製)、DD−503((株)ADEKA製)、リカレジンW−100(新日本理化(株)製)、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール(下記式E116)、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、デナコールEX−313、デナコールEX−611、デナコールEX−321、およびデナコールEX−411(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0223】
【化78】

【0224】
ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばFLDP−50、およびFLDP−60(いずれも東レチオコール(株)製)が挙げられる。
【0225】
ビフェノール型エポキシ化合物としては、例えばYX−4000、YL−6121H(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、NC−3000P、およびNC−3000S(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0226】
ジグリシジルエステル化合物としては、例えばジグリシジルテレフタレート(下記式117)、ジグリシジルフタレート(下記式E118)、ビス(2−メチルオキシラニルメチル)フタレート(下記式E119)、下記式E121で表される化合物、下記式E122で表される化合物、および下記式E123で表される化合物が挙げられる。
【化79】

【0227】
グリシジルエステルエポキシ化合物としては、例えば871、872(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、エピクロン200、エピクロン400(いずれもDIC(株)製)、デナコールEX−711、およびデナコールEX−721(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0228】
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えばN,N−ジグリシジルアニリン(下記式E124)、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン(下記式E125)、N,N−ジグリシジル−m−トルイジン(下記式E126)、N,N−ジグリシジル−2,4,6−トリブロモアニリン(下記式E127)、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン(下記式E128)、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール(下記式E129)、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール(下記式E130)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)、下記式E132)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製)、下記式E133)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(下記式E134)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式E135)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式E136)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式E137)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式E138)、2,6−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(下記式E139)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(下記式E140)、2,2’−ジメチル−(N,N,N’,N’−テトラグリシジル)−4,4’−ジアミノビフェニル(下記式E141)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(下記式E142)、1,3,5−トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェノキシ)ベンゼン(下記式E143)、2,4,4’−トリス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式E144)、トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェニル)メタン(下記式E145)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ビフェニル(下記式E146)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式E147)、下記式E148で表される化合物、および下記式E149で表される化合物が挙げられる。
【0229】
【化80】

【0230】
【化81】

【0231】
【化82】

【0232】
オキシラニルを有するモノマーの単独重合体としては、例えばポリグリシジルメタクリレートが挙げられる。前記オキシラニルを有するモノマーの共重合体としては、例えばN−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0233】
オキシラニルを有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0234】
オキシラニルを有するモノマーの共重合体における前記オキシラニルを有するモノマー以外の他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0235】
グリシジルイソシアヌレートとしては、例えば1,3,5−トリグリシジル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式E150)、1,3−ジグリシジル−5−アリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式E151)、およびグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化83】

【0236】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばエポキシ化ポリブタジエン、およびエポリードPB3600(ダイセル化学工業(株)製)が挙げられる。
【0237】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えば2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−2’−メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(下記式E153)、2,3−エポキシシクロペンタン−2’,3’−エポキシシクロペンタンエーテル(下記式E154)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン(セロキサイド3000(ダイセル化学工業(株)製)、3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021P(ダイセル化学工業(株)製)、下記式E155)、下記式E156で表される化合物、CY−175、CY−177、CY−179(いずれもThe Ciba-Geigy Chemical Corp.製(ハンツマン・ジャパン(株)から入手できる。))、EHPD−3150(ダイセル化学工業(株)製)、および環状脂肪族型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化84】

【0238】
また例えば、本発明の液晶配向剤は各種添加剤をさらに含有していてもよい。各種添加剤としては、例えばポリアミック酸およびその誘導体以外の高分子化合物、および低分子化合物が挙げられ、それぞれの目的に応じて選択して使用することができる。
【0239】
例えば、前記高分子化合物としては、有機溶媒に可溶性の高分子化合物が挙げられる。このような高分子化合物を本発明の液晶配向剤に添加することは、形成される液晶配向膜の電気特性や配向性を制御する観点から好ましい。該高分子化合物としては、例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコーン変性ポリウレタン、およびシリコーン変性ポリエステルが挙げられる。
【0240】
また、前記低分子化合物としては、例えば1)塗布性の向上を望むときにはかかる目的に沿った界面活性剤、2)帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤、3)基板との密着性の向上を望むときにはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤、また、4)低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒、が挙げられる。
【0241】
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、およびN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンが挙げられる。好ましいシランカップリング剤は3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0242】
イミド化触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、メチル置換アニリン、ヒドロキシ置換アニリン等の芳香族アミン類;ピリジン、メチル置換ピリジン、ヒドロキシ置換ピリジン、キノリン、メチル置換キノリン、ヒドロキシ置換キノリン、イソキノリン、メチル置換イソキノリン、ヒドロキシ置換イソキノリン、イミダゾール、メチル置換イミダゾール、ヒドロキシ置換イミダゾール等の環式アミン類が挙げられる。前記イミド化触媒は、N,N−ジメチルアニリン、o−, m−, p−ヒドロキシアニリン、o−, m−, p−ヒドロキシピリジン、およびイソキノリンから選ばれる一種または二種以上であることが好ましい。
【0243】
シランカップリング剤の添加量は、通常、ポリアミック酸またはその誘導体の総重量の0〜20重量%であり、0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0244】
イミド化触媒の添加量は、通常、ポリアミック酸またはその誘導体のカルボニル基に対して0.01〜5等量であり、0.05〜3等量であることが好ましい。
【0245】
その他の添加剤の添加量は、その用途に応じて異なるが、通常、ポリアミック酸またはその誘導体の総重量の0〜100重量%であり、0.1〜50重量%であることが好ましい。
【0246】
また例えば、本発明の液晶配向剤は、本発明の効果が損なわれない範囲(好ましくは前記ポリアミック酸またはその誘導体の20重量%以内の量)で、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、および、テトラカルボン酸二無水物、ジカルボン酸またはその誘導体とジアミンとの反応生成物であるポリアミドイミド等の他のポリマー成分をさらに含有していてもよい。
【0247】
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶配向剤の塗布性や前記ポリアミック酸またはその誘導体の濃度の調整の観点から、溶剤をさらに含有していてもよい。前記溶剤は、高分子成分を溶解する能力を持った溶剤であれば格別制限なく適用可能である。前記溶剤は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド等の高分子成分の製造工程や用途面で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて、適宜選択できる。前記溶剤は1種でも2種以上の混合溶剤であってもよい。
【0248】
溶剤としては、前記ポリアミック酸またはその誘導体の親溶剤や、塗布性改善を目的とした他の溶剤が挙げられる。
【0249】
ポリアミック酸またはその誘導体に対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン等のラクトンが挙げられる。
【0250】
塗布性改善等を目的とした他の溶剤の例としては、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルまたはフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。
【0251】
これらの中で、前記溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0252】
本発明において液晶配向剤中の前記ポリアミック酸またはその誘導体を含む高分子成分の濃度は、特に限定されないが、0.1〜40重量%が好ましい。該液晶配向剤を基板に塗布するときには、膜厚調整のため含有されている高分子成分を予め溶剤により希釈する操作が必要とされることがある。このとき液晶配向剤に対して溶剤を容易に混合するのに適した粘度に液晶配向剤の粘度を調整する観点から、前記高分子成分の濃度は40重量%以下であることが好ましい。
【0253】
また液晶配向剤中における前記高分子成分の濃度は、液晶配向剤の塗布方法に応じて調整される場合もある。液晶配向剤の塗布方法がスピンナー法や印刷法のときには、膜厚を良好に保つために、前記高分子成分の濃度を通常10重量%以下とすることが多い。その他の塗布方法、例えばディッピング法やインクジェット法では更に濃度を低くすることもあり得る。一方、前記高分子成分の濃度が0.1重量%以上であると、得られる液晶配向膜の膜厚が最適となり易い。したがって前記高分子成分の濃度は、通常のスピンナー法や印刷法等では0.1重量%以上、好ましくは0.5〜10重量%である。しかしながら、液晶配向剤の塗布方法によっては、更に低い濃度で使用してもよい。
【0254】
なお、液晶配向膜の作製に用いる場合において、本発明の液晶配向剤の粘度は、この液晶配向剤の膜を形成する手段や方法に応じて決めることができる。例えば、印刷機を用いて液晶配向剤の膜を形成する場合は、十分な膜厚を得る観点から5mPa・s以上であることが好ましく、また印刷ムラを抑制する観点から100mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは10〜80mPa・sである。スピンコートによって液晶配向剤を塗布して液晶配向剤の膜を形成する場合は、同様の観点から、5〜200mPa・sであることが好ましく、より好ましくは10〜100mPa・sである。液晶配向剤の粘度は、溶剤による希釈や攪拌を伴う養生によって小さくすることができる。
【0255】
本発明の液晶配向剤は、1種類のポリアミック酸またはその誘導体を含有している形態でもよいし、2種以上のポリアミック酸またはその誘導体が混合されている、いわゆるポリマーブレンドの形態であってもよい。
【0256】
本発明の液晶配向膜は、本発明の液晶配向剤の塗膜が加熱されて形成される膜であるが、先に述べた通り、塗膜を加熱する前または後に紫外線の直線偏光が照射される。
【0257】
前記塗膜は、通常の液晶配向膜の作製と同様に、液晶表示素子における基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって形成することができる。前記基板には、ITO(Indium TinOxide)電極等の電極やカラーフィルタ等が設けられていてもよいガラス製の基板が挙げられる。
【0258】
液晶配向剤を基板に塗布する方法としてはスピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法は本発明においても同様に適用可能である。
【0259】
塗膜の焼成は、前記ポリアミック酸またはその誘導体が脱水・閉環反応を呈するのに必要な条件で行うことができる。前記塗膜の焼成は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。一般に150〜300℃程度の温度で1分間〜3時間行うことが好ましい。
【0260】
本発明の液晶配向膜は、前述した工程以外の他の工程をさらに含む方法によって好適に得られる。このような他の工程としては、前記塗膜を乾燥させる工程等が挙げられる。なお、本発明の液晶配向膜は焼成または紫外線照射後の膜を洗浄液で洗浄する工程は必要としないが、他の工程の都合で洗浄工程を設けることを妨げることはない。
【0261】
乾燥工程は、前記焼成工程と同様に、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も前記乾燥工程に同様に適用可能である。乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の温度で実施することが好ましく、前記焼成工程における温度に対して比較的低い温度で実施することがより好ましい。
【0262】
洗浄液による洗浄方法としては、ブラッシング、ジェットスプレー、蒸気洗浄または超音波洗浄等が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいし、併用してもよい。洗浄液としては純水または、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、これらの洗浄液は十分に精製された不純物の少ないものが用いられる。このような洗浄方法は、本発明の液晶配向膜の形成における前記洗浄工程にも適用することができる。
【0263】
本発明の液晶配向膜の膜厚は、特に限定されないが、10〜300nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。本発明の液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。
【0264】
本発明の液晶表示素子は、一対の基板と、液晶分子を含有し、前記一対の基板の間に形成される液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極と、前記液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜とを有する。前記液晶配向膜には前述の本発明の液晶配向膜が用いられる。
【0265】
基板には、本発明の液晶配向膜で前述したガラス製の基板を用いることができ、前記電極には、本発明の液晶配向膜で前述したようにガラス製の基板に形成されるITO電極を用いることができる。
【0266】
液晶層は、前記一対の基板の一方の基板における液晶配向膜が形成されている面が他方の基板に向かうように対向する一対の基板間の隙間に密封される液晶組成物によって形成される。
【0267】
液晶組成物には、特に制限はなく、誘電率異方性が正または負の各種の液晶組成物を用いることができる。誘電率異方性が正の好ましい液晶組成物には、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157826号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1明細書)、特開平9−302346号公報(EP806466A1明細書)、特開平8−199168号公報(EP722998A1明細書)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1明細書)、特開平10−204016号公報(EP844229A1明細書)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0268】
誘電率異方性が負の好ましい液晶組成物には、特開昭57−114532号公報、特開平2−4725号公報、特開平4−224885号公報、特開平8−40953号公報、特開平8−104869号公報、特開平10−168076号公報、特開平10−168453号公報、特開平10−236989号公報、特開平10−236990号公報、特開平10−236992号公報、特開平10−236993号公報、特開平10−236994号公報、特開平10−237000号公報、特開平10−237004号公報、特開平10−237024号公報、特開平10−237035号公報、特開平10−237075号公報、特開平10−237076号公報、特開平10−237448号公報(EP967261A1明細書)、特開平10−287874号公報、特開平10−287875号公報、特開平10−291945号公報、特開平11−029581号公報、特開平11−080049号公報、特開2000−256307公報、特開2001−019965公報、特開2001−072626公報、特開2001−192657公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0269】
誘電率異方性が正または負の液晶組成物に1種以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0270】
本発明の液晶表示素子は、一対の基板の少なくとも一方に本発明の液晶配向膜を形成し、得られた一対の基板を、液晶配向膜を内向きにスペーサーを介して対向させ、基板間に形成された隙間に液晶組成物を封入して液晶層を形成することによって得られる。本発明の液晶表示素子における製造には、必要に応じて基板に偏光フィルムを貼り付ける等のさらなる工程が含まれていてもよい。
【0271】
本発明の液晶表示素子は、種々の電界方式用の液晶表示素子を形成することができる。このような電界方式用の液晶表示素子には、前記基板の表面に対して水平方向に前記電極が前記液晶層に電圧を印加する横電界方式用の液晶表示素子や、前記基板の表面に対して垂直方向に前記電極が前記液晶層に電圧を印加する縦電界方式用の液晶表示素子が挙げられる。
【0272】
本発明の液晶配向剤を原料として作製される液晶配向膜は、その原料であるポリマーを適宜選択することにより、種々の表示駆動方式の液晶表示素子に適用させることができる。
【0273】
本発明の液晶表示素子は、前述した構成要素以外の要素をさらに有していてもよい。このような他の構成要素として、本発明の液晶表示素子には、偏光板(偏光フィルム)、波長板、光散乱フィルム、駆動回路等の、液晶表示素子に通常使用される構成要素が実装されてもよい。
【実施例】
【0274】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、実施例において用いる化合物は次の通りである。
【0275】
<テトラカルボン酸二無水物>
酸二無水物(A1):1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
酸二無水物(A2):ピロメリット酸二無水物
酸二無水物(A3):1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
【0276】
<ジアミン>
ジアミン(D1):N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン
ジアミン(D2):N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン
ジアミン(D3):4,4’−ジアミノジフェニルメタン
ジアミン(D4):3,3’−ジアミノジフェニルメタン
ジアミン(D5):1,4−フェニレンジアミン
ジアミン(D6):4,4’−ジアミノアゾベンゼン
ジアミン(D7):4,4’−ジアミノジフェニルアミン
【0277】
<溶剤>
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):BC
【0278】
<添加剤>
添加剤(Ad1):ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]メタン
添加剤(Ad2):N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
添加剤(Ad3):2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
添加剤(Ad4):3−アミノプロピルトリエトキシシラン
【0279】
<1.ポリアミック酸の合成>
[合成例1]
温度計、攪拌機、原料投入口および窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコにジアミン(D1)3.397gおよび脱水NMP40.0gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで酸二無水物(A1)1.232g、酸二無水物(A2)1.370gおよび脱水NMP40.0gを入れ、室温で24時間攪拌を続けた。この反応溶液にBC14.0gを加えて、ポリマー固形分濃度が6重量%のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液をPA1とする。PA1に含まれるポリアミック酸の重量平均分子量は104,500であった。
【0280】
ポリアミック酸の重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリアミック酸をリン酸−DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリアミック酸濃度が約2重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB−M(Waters製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
【0281】
[合成例2〜19]
表1に示したようにテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを変更した以外は、合成例1に準拠してポリマー固形分濃度が6重量%のポリアミック酸溶液(PA2)〜(PA19)を調製した。合成例1の結果を含めて、得られたポリアミック酸の重量平均分子量の測定結果を表1にまとめた。
【0282】
【表1】

【0283】
<2.透過率評価用基板の作製>
[実施例1]
合成例1で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り透過率評価用基板を作製した。
【0284】
<透過率評価用基板の作製方法1>
液晶配向剤をガラス基板にスピンナーにて塗布した。なお、以降の実施例、比較例をも含めて、液晶配向剤の粘度に応じてスピンナーの回転速度を調整し、配向膜が下記の膜厚になるようにした。塗膜後70℃にて1分間加熱乾燥した後、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射した。この時の露光エネルギーは、ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT−150(受光器UVD-S365)を用いて光量を測定し、波長365nmで3.0±0.1J/cmになるよう、露光時間を調整した。紫外線の照射は、装置全体を紫外線防止フィルムで覆い、室温、空気中で行った。次いで230℃にて15分間加熱処理して、膜厚100±10nmの配向膜を形成した。
【0285】
[実施例2〜17]
合成例2〜17で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA2〜PA17)それぞれに、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例1に準じた方法で透過率評価用基板を作製した。
【0286】
[実施例18]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad1)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。なお、下記の実施例を含めて、添加剤を用いた際のポリマー固形分濃度の算出には添加剤の重量は含まれない。得られた液晶配向剤を用いて、実施例1に準じた方法で透過率評価用基板を作製した。
【0287】
[実施例19]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad2)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例1に準じた方法で透過率評価用基板を作製した。
【0288】
[実施例20]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad3)をポリマー重量当たり10重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例1に準じた方法で透過率評価用基板を作製した。
【0289】
[実施例21]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad4)をポリマー重量当たり0.5重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例1に準じた方法で透過率評価用基板を作製した。
【0290】
[実施例22]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り透過率評価基板を作製した。
【0291】
<透過率評価用基板の作製方法2>
液晶配向剤をガラス基板にスピンナーにて塗布した。塗膜後70℃にて1分間加熱乾燥した後、230℃にて15分間加熱処理した。このガラス基板に、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射して(露光エネルギー:365nmで3.0±0.1J/cm)、膜厚100±10nmの配向膜を形成した。紫外線照射の条件、露光エネルギーの調整は実施例1の方法に準じた。
【0292】
[比較例1および2]
合成例18および19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA18および19)それぞれに、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例1に準じた方法で透過率評価基板を作製した。
【0293】
[比較例3]
合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA19)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例22に準じた方法で透過率評価基板を作製した。
【0294】
<3.透過率の評価>
配向膜の透過率をUV−Visスペクトル測定装置(日本分光(株)製V−660)を用いて測定した。配向膜を形成していないガラス基板をリファレンスとした。測定は波長380〜780nmの範囲を、400nm/minの走査速度で1nm毎に行った。前記波長領域での透過率の平均値を配向膜の透過率とした。この値が大きいほど透過率は良好であると言える。測定結果を表2に示す。
【0295】
【表2】

表中の「−」は添加剤を加えていないことを表す。
【0296】
比較例1はアゾベンゼン構造を有するジアミンを原料にして合成したポリアミック酸を用いているために、透過率は著しく劣る。実施例1〜22の本発明の配向膜の透過率は良好で、着色が少ないことが分かる。
【0297】
<4.液晶表示素子の作製>
[実施例23]
合成例1で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り液晶セルを作製した。
【0298】
<液晶表示素子の作製方法1>
液晶配向剤を2枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布した。塗膜後70℃にて約1分間加熱乾燥した後、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射した(露光エネルギー:365nmで3.0±0.1J/cm)。紫外線照射の条件、露光エネルギーの調整方法は実施例1に準じた。次いで230℃にて15分間加熱処理して、膜厚100±10nmの配向膜を形成した。
【0299】
ITO電極上に配向膜が形成された基板2枚の配向膜が形成されている面を対向させ、それぞれの配向膜に照射された紫外線の偏光方向が平行になるように、さらに対向する配向膜の間に液晶組成物を注入させるための空隙を形成して貼り合わせ、セル厚4μmの空セルを組み立てた。また、この空セルに液晶を注入するための注入口は、注入時に液晶の流動する方向が、配向膜に照射された紫外線の偏光方向とほぼ平行するような位置に設けた。
【0300】
上記のように作製した空セルに下記に示す液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
<液晶組成物A>
【化85】

【0301】
[実施例24〜39]
合成例2〜17で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA2〜PA17)それぞれに、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例23に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、これらの空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0302】
[実施例40]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad1)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例23に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0303】
[実施例41]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad2)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例23に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0304】
[実施例42]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad3)をポリマー重量当たり10重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例23に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0305】
[実施例43]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad4)をポリマー重量当たり0.5重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例23に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0306】
[実施例44]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り液晶セルを作製した。
【0307】
<液晶表示素子の作製方法2>
液晶配向剤を2枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布した。塗膜後70℃にて1分間加熱乾燥した後、230℃にて15分間加熱処理した。配向膜を形成したガラス基板に、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射して(露光エネルギー:365nmでエネルギー3.0±0.1J/cm)、膜厚100±10nmの配向膜を形成した。紫外線照射の条件、露光エネルギーの調整方法は実施例1に準じた。
【0308】
ITO電極上に配向膜が形成された基板2枚の配向膜が形成されている面を対向させ、それぞれの配向膜に照射された紫外線の偏光方向が平行になるように、さらに対向する配向膜の間に液晶組成物を注入させるための空隙を形成して貼り合わせ、セル厚4μmの空セルを組み立てた。また、この空セルに液晶を注入するための注入口は、注入時に液晶の流動する方向が、配向膜に照射された紫外線の偏光方向とほぼ平行するような位置に設けた。この空セルに前記の液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0309】
[比較例4]
合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA12)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例23に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0310】
[比較例5]
合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA12)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例44に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0311】
<5.流動配向の観察>
上述のように作製した液晶セルを、クロスニコルに配置した2枚の偏光板に挟んで目視により観察した。これらの液晶セルでは、液晶配向膜に照射された紫外線のために、紫外線の偏光方向に概ね沿ったポリマー主鎖のシクロブタン骨格が切断されるため、液晶組成物は紫外線の偏光方向に対してほぼ直角の方向に配向する。配向性のよい配向膜を用いた液晶セルでは、液晶が注入口から流動した方向に沿って液晶が並ぶいわゆる流動配向は全く観察されなかった。一方、配向性の悪い配向膜を用いた液晶セルでは、流動配向が観察された。流動配向の観察結果を表3に示した。
【0312】
<6.配向欠陥の観察>
流動配向を観察した液晶セルを110℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで冷却した。この液晶セルを、偏光顕微鏡をクロスニコル状態にして再度観察したところ、配向性の良い配向膜を用いた液晶セルでは、液晶の配向欠陥は観察されなかった。一方、配向性の悪い配向膜を用いた液晶セルでは、液晶の配向欠陥が観察された。配向欠陥の観察結果を表3に示した。
【表3】

表中の「−」は添加剤を加えていないことを表す。
【0313】
紫外線の露光エネルギーが3.0±0.1J/cmでは、実施例23〜44の中にも欠陥が観察されるものがあり、比較例4、5はどちらも流動欠陥、配向欠陥共に認められた。
【0314】
[実施例45〜61]
合成例1〜17で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1〜PA17)それぞれに、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、紫外線の照射エネルギーを365nmで5.0±0.1J/cmに変えた以外は実施例23に準じた方法でセル厚4μmの空セルを組み立てた。そして、これらの空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0315】
[実施例62]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad1)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例45に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0316】
[実施例63]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad2)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例45に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0317】
[実施例64]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad3)をポリマー重量当たり10重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例45に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0318】
[実施例65]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad4)をポリマー重量当たり0.5重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例45に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0319】
[実施例66]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、紫外線の照射エネルギーを365nmで5.0±0.1J/cmに変えた以外は実施例44に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、これらの空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0320】
[比較例6]
合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA19)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例45に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0321】
[比較例7]
合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA19)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例66に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0322】
<流動配向の観察>
前記と同様に、液晶セルをクロスニコルに配置した2枚の偏光板に挟んで、流動配向を目視により観察した。流動配向の観察結果を表4に示した。
【0323】
<配向欠陥の観察>
流動配向を観察した液晶セルを110℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで冷却した。そしてこの液晶セルを、偏光顕微鏡をクロスニコル状態にして再度観察した。配向欠陥の観察結果を表4に示した。
【表4】

表中の「−」は添加剤を加えていないことを表す。
【0324】
紫外線の露光エネルギーを5.0±0.1J/cmにすると、比較例6、7はどちらも流動欠陥、配向欠陥共に認められたが、実施例45〜66で欠陥が観察されたのは実施例63のみであった。
【0325】
[実施例67〜83]
合成例1〜17で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1〜PA17)それぞれに、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、紫外線の照射エネルギーを365nmで10.0±0.1J/cmに変えた以外は実施例23に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、これらの空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0326】
[実施例84]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad1)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例67に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0327】
[実施例85]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad2)をポリマー重量当たり20重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例67に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0328】
[実施例86]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad3)をポリマー重量当たり10重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例67に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0329】
[実施例87]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、添加剤(Ad4)をポリマー重量当たり0.5重量%の割合で添加した。その後、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例67に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0330】
[実施例88]
合成例10で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、紫外線の照射エネルギーを365nmで10.0±0.1J/cmに変えた以外は実施例44に準じた方法でセル厚4μmの空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物A真空注入して、液晶セルを作成した。
【0331】
[比較例8]
合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA19)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例67に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物A真空注入して、液晶セルを作成した。
【0332】
[比較例9]
合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA19)に、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、実施例88に準じた方法で空セルを組み立てた。そして、この空セルに液晶組成物Aを真空注入して、液晶セルを作成した。
【0333】
<流動配向の観察>
前記と同様に、液晶セルをクロスニコルに配置した2枚の偏光板に挟んで、流動配向を目視により観察した。流動配向の観察結果を表5に示す。
【0334】
<配向欠陥の観察>
流動配向を観察した液晶セルを110℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで冷却した。そしてこの液晶セルを、偏光顕微鏡をクロスニコル状態にして再度観察した。配向欠陥の観察結果を表5に示した。
【表5】

表中の「−」は添加剤を加えていないことを表す。
【0335】
紫外線の露光エネルギーをさらに強くして、10.0±0.1J/cmにすると、実施例67〜88では欠陥が全く観察されなかったのに対して、比較例8はまだ配向欠陥が認められた。実施例23〜88と比較例4〜9の結果から、本発明の配向膜は低いエネルギーの紫外線照射でも配向性が良好であり、光照射による化学変化の感度が良好であることがわかる。
【0336】
このように、本発明の配向膜を液晶表示素子用の配向膜に応用した場合、透過率、配向性とも実用に耐えうる十分な特性を有していることが分かる。また、本発明の配向膜は汎用される波長の紫外線で十分に光配向処理することができ、従来知られていた光配向膜よりも低いエネルギーの紫外線照射でも光配向処理することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、光配向用液晶配向膜を形成するための液晶配向剤において、
前記テトラカルボン酸二無水物は下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含み;
前記ジアミンは下記式(N−1)および式(N−2)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つを含む液晶配向剤。
【化1】

式(I)において、R〜Rは独立して水素または炭素数1〜4のアルキルである。
【化2】

式(N−1)において、Rは独立して1価の有機基であり;
は独立して水素、1価の有機基またはハロゲンであり;そして、
Zは炭素数1〜5のアルキレンを含む2価の基である。
【化3】

式(N−2)において、Rは独立して1価の有機基またはハロゲンであり;
は独立して1価の有機基であり;
mは独立して0〜3の整数であり;そして、
nは0〜4の整数である。
【請求項2】
が独立して炭素数1〜3のアルキルであり、Rが独立して水素、炭素数1〜3のアルキル、フッ素、塩素、または臭素である式(N−1)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
分子の両端のフェニルにおいてそれぞれのパラ位にアミノ基を有する式(N−1)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
下記式(N−1−1)〜(N−1−20)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化4】


【化5】


【化6】


【化7】

【請求項5】
が独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、カルバモイル、フッ素、塩素、または臭素であり、Rが独立して炭素数1〜3のアルキルである式(N−2)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
分子の両端のフェニルにおいてそれぞれのパラ位にアミノ基を有する式(N−2)で表されるジアミンまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
下記式(N−2−1)〜(N−2−15)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化8】


【化9】

【請求項8】
請求項7に記載の式(N−2−1)および(N−2−2)で表されるジアミンの少なくとも1つまたはこのジアミンを含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項9】
下記式(III)〜(IX)および(XV)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つをさらに含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化10】

式(III)において、Aは−(CH−であり、mは1〜6の整数であり;
式(V)、(VII)および(IX)において、Xは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、または−S−(CH−S−であり、mは1〜6の整数であり;
式(VII)において、LおよびLは−Hであるが、Xが−NH−、−N(CH)−、−CH−、−C(CH−、または−C(CF−であるときには互いに結合して単結合を形成してもよく;
式(VIII)および(IX)において、Yは単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜3のアルキレンであり;
式(XV)において、R33およびR34は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり;Gは独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり;mは1〜10の整数であり;そして、
上記の各式において、シクロヘキサン環またはベンゼン環の−Hは、−F、−CH、−OH、−COOH、−SOH、−PO、ベンジル、またはヒドロキシベンジルで置き換えられていてもよい。
【請求項10】
側鎖構造を有するジアミンをさらに含むジアミン混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項11】
側鎖構造を有するジアミンが下記式(X)〜(XIV)で表されるジアミンの群から選ばれる少なくとも1つである、請求項10に記載の液晶配向剤。
【化11】

式(X)において、
は、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CH−であり、mは1〜6の整数であり、このアルキレンにおける任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
は、ステロイド骨格を有する基、炭素数3〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルキルもしくは炭素数1〜30のアルコキシを置換基として有するフェニル、または下記式(X−a)で表される基であり、この炭素数1〜30のアルキルにおける任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
【化12】

式(X−a)において、
およびAは独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−、または炭素数1〜12のアルキレンであり、aおよびbは独立して0〜4の整数であり;
環Bおよび環Cは独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
およびRは独立して、−FまたはCHであり、fおよびgは独立して0〜2の整数であり;
は−F、−OH、−CN、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、または炭素数2〜30のアルコキシアルキルであり、これらのアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく、任意の−CH−は−CF−または下記式(s)で表される2価の基で置き換えられていてもよく;
【化13】

式(s)において、R35およびR36は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、mは1〜6の整数であり;
c、dおよびeは独立して0〜3の整数であり、そして、c+d+e≧1である。
【化14】

式(XI)および(XII)において、
は独立して−Hまたは−CHであり;
は−H、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルであり;
は独立して単結合、−CO−または−CH−であり;
式(XII)において、
およびR10は独立して炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
【化15】

式(XIII)および(XIV)において、Aは独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;
式(XIII)において、R11は−Hまたは炭素数1〜30のアルキルであり、このアルキルの任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;
環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;
hは0または1であり;
式(XIV)において、R12は炭素数6〜22のアルキルであり;そして、
13は炭素数1〜22のアルキルである。
【請求項12】
ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、下記式(An−1)〜(An−6)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化16】

式(An−1)、(An−4)および(An−5)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(An−2)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(An−2)〜(An−4)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり;
【化17】

式(An−3)〜(An−5)において、環Eは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜20の縮合多環式炭化水素の基を表し、この基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく;
環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(An−6)において、X11は炭素数2〜6のアルキレンであり;
Meはメチルを表し、そして、Phはフェニルを表す。
【請求項13】
ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、下記の式(1)、(2)、(5)〜(7)および(17)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化18】

【請求項14】
ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、下記の式(23)、(25)、(36)〜(39)、(44)、(49)および(68)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物および脂肪族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化19】

【請求項15】
ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、請求項13記載の芳香族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つと、請求項14記載の脂環式テトラカルボン酸二無水物および脂肪族テトラカルボン酸二無水物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに用いる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項16】
請求項1〜15項のいずれかに記載の液晶配向剤の少なくとも2つを混合した液晶配向剤。
【請求項17】
アルケニル置換ナジイミド化合物、エポキシ化合物、およびシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1つをさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項18】
アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]メタン、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項17に記載の液晶配向剤。
【請求項19】
アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]メタンである、請求項17に記載の液晶配向剤。
【請求項20】
アルケニル置換ナジイミド化合物が、前記ポリアミック酸またはその誘導体の総量に対して0.01〜50重量%含まれている、請求項17〜19のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項21】
エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項17に記載の液晶配向剤。
【請求項22】
エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンまたは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである、請求項17に記載の液晶配向剤。
【請求項23】
エポキシ化合物が前記ポリアミック酸又はその誘導体の総量に対して1〜40重量%含まれている、請求項17、21または22に記載の液晶配向剤。
【請求項24】
シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、およびN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項17に記載の液晶配向剤。
【請求項25】
シランカップリング剤が、3−アミノプロピルトリエトキシシランである、請求項17に記載の液晶配向剤。
【請求項26】
シランカップリング剤が前記ポリアミック酸又はその誘導体の総量に対して0.1〜10重量%含まれている、請求項17、24または25に記載の液晶配向剤。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗付した基板を加熱乾燥する工程と、膜に偏向紫外線を照射する工程とを経て形成される光配向用液晶配向膜。
【請求項28】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗付した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜に偏向紫外線を照射する工程と、次いでその膜を加熱焼成する工程を経て形成される光配向用液晶配向膜。
【請求項29】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗付した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜を加熱焼成する工程と、次いでその膜に偏向紫外線を照射する工程とを経て形成される光配向用液晶配向膜。
【請求項30】
請求項27〜29のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向膜を有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2012−155311(P2012−155311A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200622(P2011−200622)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)JNC石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】