説明

光重合性インクジェットインク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置

【課題】皮膚感さ性について安全で高温での保存安定性の良い光重合性インクジェットインク、該インクを収容したインクカートリッジ、該インクカートリッジを装着したインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】(1)皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すSI値が3未満である光重合性モノマーと、分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物を含む光重合性インクジェットインク。
(2)前記フェノール系芳香族化合物が、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンから選ばれた少なくとも1種である(1)記載の光重合性インクジェットインク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光重合性インクジェットインク、該インクを収容したインクカートリッジ、該インクカートリッジを装着したインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性インクジェットインクに使用する光重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、アクリルアミド化合物の他に、カチオン重合性のオキセタン化合物、エポキシ化合物なども挙げられるが、流通量が多く安価で容易に入手でき、重合開始剤としても安価で汎用的なラジカル重合型光重合開始剤が使用できることから、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びアクリルアミド化合物が好ましい。
しかし、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びアクリルアミド化合物の多くは毒性をもつ。経口毒性や皮膚刺激性については比較的軽度のものも存在するが、インクジェットインクとして使用されている低粘度のものは、触れるとアレルギーを引き起こす皮膚感さ性について安全といえる材料ではない。
【0003】
そこで検討した結果、本発明者は、皮膚感さ性についても安全な材料を複数発見したが、更に検討を重ねた結果、皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満であって光重合性モノマーとして使用可能な(メタ)アクリル酸エステル化合物及びアクリルアミド化合物が幾つか存在することを見出した。しかし、それらの化合物を実用上問題のない範囲の硬化性が得られるように配合すると、一般的な光重合型インクジェットインクと比べて硬化性に乏しくなってしまうため、光ラジカル重合開始剤を通常よりも多く配合しなければならず、このように重合開始剤を多く配合すると、夏季の高温等に対する保存安定性が十分に得られないことが分かった。
【0004】
また、SI値が3未満であるモノマーはインクジェットインクとして使用するには高粘度であるものが多いことや、重合開始剤を配合することで更に粘度が増加することから、インクの低粘度化について適切な方策をとることも重要である。低粘度化は希釈溶剤を配合することにより容易に達成できるが、溶剤が揮発して大気に放出されることは環境影響を考慮すると望ましくなく、インクに対して溶剤を配合することは避けるべきである。また、水溶性モノマーを使用するなどした上で水を配合して低粘度化する方法も可能であるが、プラスチック材料などの非浸透性基材においては浸透乾燥の効果を望めないため、印刷塗工プロセスの高速化を図る場合には乾燥のために水を瞬時に揮発させる必要があり、通常は熱源などの設置が必要になるため、省エネルギーの観点で好ましくない。
【0005】
光重合性インクジェットインクの保存安定性の改善については、重合禁止剤と呼ばれる材料を添加することにより解決できることが広く知られており、重合禁止剤としてはメトキノンやベンゾキノンなどのフェノール系化合物やキノン系化合物、あるいはジフェニルアミンやフェノチアジンなどの芳香族系2級アミン化合物が有用な材料として知られている(例えば特許文献1、2など)。
しかし、前記新たに見出した化合物に対して、メトキノンなどの公知の重合禁止剤を添加しても、保存時の増粘や重合固化を防止できない。また、フェノチアジンなどの芳香族系2級アミン化合物は、より高い重合禁止効果を持つとされるが、着色が顕著であるため使用できないことが分かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、皮膚感さ性について安全で、高温での保存安定性の良い光重合性インクジェットインク、該インクを収容したインクカートリッジ、該インクカートリッジを装着したインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、次の1)〜7)の発明によって解決される。
1) 皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満である光重合性モノマーと、分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物を含む光重合性インクジェットインク。
2) 前記フェノール系芳香族化合物が、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンから選ばれた少なくとも1種である1)記載の光重合性インクジェットインク。
3) 更に、分子開裂型光重合開始剤と水素引抜き型光重合開始剤の少なくとも一方、及び重合促進剤であるアミン化合物を含む1)又は2)記載の光重合性インクジェットインク。
4) 前記水素引抜き型光重合開始剤が、チオキサントン系化合物である3)記載の光重合性インクジェットインク。
5) 前記アミン化合物が、N,N−ジメチルアミノ基を有する安息香酸エステル化合物である3)又は4)記載の光重合性インクジェットインク。
6) 1)〜5)のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを収容したインクカートリッジ。
7) 6)記載のインクカートリッジを装着したインクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、皮膚感さ性について安全で高温での保存安定性の良い光重合性インクジェットインク、該インクを収容したインクカートリッジ、該インクカートリッジを装着したインクジェット記録装置を提供できる。
また、硬化不良発生時には目視で容易に判別できるため、運転中の印刷機において指触するような危険な行為を必要とせず、印刷機に高価な検知器などを設置する必要がない。
更に、本発明のインクを用いて得られる印刷物は、仮に未硬化のモノマー成分が残存したとしても、皮膚感さ性において安全であり、手指等で触れたとしても皮膚感さを引き起こすものではないため、安全な印刷物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インクカートリッジのインク袋の一例を示す概略図。
【図2】インク袋を収容したインクカートリッジを示す概略図。
【図3】インクジェット記録装置(印刷装置)の一例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明者は、皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満であり皮膚感さ性について安全な光重合性モノマーを含む光重合性インクジェットインク(以下、インクということもある)に対して、分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物を配合することにより、高温下でも良好な保存安定性が得られることを見出した。
なお、上記「LLNA法」とは、OECDテストガイドライン429として定められる皮膚感さ性試験であり、文献(例えば「機能材料」2005年9月号、Vol.25、No.9、P55)に示されるように、皮膚感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満の場合に感さ性について問題なしと判断するものである。また、MSDS(化学物質安全性データシート)や文献[例えばContact Dermatitis 8 223−235(1982)]において、皮膚感さ性陰性又は皮膚感さ性なしと評価されたものは、当然上記SI値3未満を満たすので、本発明に包含される。SI値が低いほど皮膚感さ性が低いことになるから、本発明ではSI値がなるべく低いモノマーを用いることが好ましく、3未満、好ましくは2以下、更に好ましくは1.6以下のものを用いる。
【0011】
分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス〔6−(1−メチルシクロヘキシル−p−クレゾール)〕などが挙げられる。
用途等に応じてインクに求められる特性にもよるが、配合比が少なすぎれば十分な効果が得られないし、過剰に配合すると硬化性を阻害する可能性がある。したがって、これらの芳香族化合物のインクにおける配合割合は0.001〜1重量%程度とすることが望ましい。しかし、必ずしもこの範囲に限定されるものではなく、特に分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物が、インク中に発生したラジカルを捕捉して安定ラジカルを形成するという、一般的に知られる保存安定性発現メカニズムから考えると、分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物は保存安定性向上の観点では配合量が多いほど望ましい。しかし、十分な硬化性を得るという観点では望ましくないため、必要とされる硬化性を考慮して配合量を適宜決定すればよい。
【0012】
皮膚感さ性について問題がなく、安価で容易に調達可能な光重合性モノマーとしては、例えば、下記式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート(n≒2、9、14)、γ−ブチロラクトンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ステアリルアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、エチレンオキサイド変性フェノールアクリレート、イソステアリルアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【化1】

【0013】
また、単体では皮膚感さ性に多少問題があっても、インクとして問題が生じない範囲であれば、以下のような(メタ)アクリレート(メタ)アクリルアミドを併用することもできる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、イソボルニルアクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒4)〕、同(n≒9)、同(n≒14)、同(n≒23)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクレート〔CH=C(CH)−CO−(OC)n−OCOC(CH)=CH(n≒7)〕、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、メタアクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルメタアクリルアミド、エチレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジエチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなど。
【0014】
インク中でのこれらの光重合性モノマーの含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記の分子開裂型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤、及び重合促進剤であるアミン化合物、分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物を除いたインク中の成分として、50〜100重量%とすることが望ましく、80〜100重量%とすることが更に望ましい。
色材やその他の添加剤を配合することによりインクに様々な機能を付与できるが、それらの配合によってモノマーの重合反応が阻害される場合があるため、必要以上に色材やその他の添加剤を過剰配合することは好ましくない。
【0015】
光重合開始剤としては、必要に応じて分子開裂型光重合開始剤と水素引抜き型光重合開始剤を併用してもよい。前述のモノマーと同様に皮膚感さ性に問題のないものを用いることが望ましく、また、単体では皮膚感さ性に多少問題があったり皮膚感さ性が不明の場合でも、インクとして問題が生じない範囲で、以下のようなものが使用できる。
【0016】
分子開裂型光重合開始剤の例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン−〔4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)〕、{エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)}、〔4−(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても複数を併用してもよい。中でも、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オンは硬化性が良好であることから、また、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モリホリノプロパン−1−オンは安価であることから望ましい。
【0017】
水素引抜き型光重合開始剤の例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、あるいはベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエイト、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物が挙げられる。
なお、昨今の環境配慮への要求の高まりから、光重合性インクの硬化用光源として、従来の水銀ランプやメタルハライドランプよりもエネルギー効率が高く省エネルギーを実現できるLED光源が注目されているが、実用上問題のない性能を持つLED光源の波長は365nm以上である。そのため、現在のLED光源を用いた場合、材料固有の吸収スペクトルからすると、ベンゾフェノン系化合物では十分な開始剤としての効果を望むことは難しく、チオキサントン系化合物の方が適している。中でも環境配慮の面から非塩素系の2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンが望ましい。
【0018】
重合促進剤にはアミン化合物を用いる。アミン化合物は水素引抜き型光重合開始剤に対する水素供給源とされるが、中でもN,N−ジメチルアミノ基を有する安息香酸エステル化合物を使用すると、より効率的に硬化反応を促進することができる。
好ましいアミン化合物としては、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸−2−ジメチルアミノエチル、p−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルなどのN,N−ジメチルアミノ基を有する安息香酸エステルが挙げられる。中でも安価で容易に調達でき、低粘度化効果が最も大きいことからp−ジメチルアミノ安息香酸エチルが望ましい。
【0019】
これらの重合開始剤や重合促進剤は、配合比が過少では光重合反応が進みにくく十分な硬化性が発現しないし、過多では重合反応は起こるものの重合度が上昇せず硬化物が脆弱になったり、あるいは開始剤配合に伴いインク粘度が高くなりすぎてインクジェット吐出に支障を来たしたりする。そのため配合量はモノマー100重量部に対して1〜50重量部が望ましく、10〜35重量部が特に望ましい。ただし、α線、β線、γ線、X線、電子線などの高エネルギーな光源を使用できる場合には、重合開始剤や重合促進剤を使用しなくても重合反応を進めることができるが、これは広く知られている事項であり、また、これらの高エネルギーな光源は安全性や設備の維持管理に多大な費用がかかるため、まだ汎用されているものではないので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0020】
インクの着色剤としては公知の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
ブラック顔料としては、ファーネス法又はチャネル法で製造されたカーボンブラック等が使用できる。
イエロー顔料としては、Pig.Yellow系の顔料、例えばピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180等が使用できる。
【0021】
マゼンタ顔料としては、Pig.Red系の顔料、例えばピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19等が使用できる。
シアン顔料としては、Pig.Blue系の顔料、例えばピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60等が使用できる。
白色顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が使用できる。
また、物理特性などを考慮して必要に応じて種々の無機顔料や有機顔料が使用できる。
【0022】
更に、必要に応じて、ポリエーテル、アミノ基、カルボキシル基、水酸基を有する高級脂肪酸エステル、側鎖あるいは末端にポリエーテル、アミノ基、カルボキシル基、水酸基を有するポリジメチルシロキサン化合物、ポリエーテル、アミノ基、カルボキシル基、水酸基を有するフルオロアルキル化合物などの界面活性剤、極性基含有高分子顔料分散剤などを用いることができる。
【0023】
本発明のインクは容器に収容してインクカートリッジとして用いることができる。これにより、インク交換などの作業において、インクに直接触れる必要がなく、手指や着衣の汚れなどの心配がなく、またインクへのごみ等の異物混入を防止できる。
容器としては特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを有するものなどが好適である。
上記インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。図1はインクカートリッジのインク袋241の一例を示す概略図であり、図2は図1のインク袋241をカートリッジケース244内に収容したインクカートリッジ200を示す概略図である。
図1に示すように、インク注入口242からインクをインク袋241内に充填し、該インク袋中に残った空気を排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、インクカートリッジ200として各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いる。
本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録装置に着脱可能とすることが好ましい。これにより、インクの補充や交換を簡素化でき作業性を向上させることができる。
【0024】
図3に、上記のようなインクジェット記録装置(印刷装置)の一例の概略図を示す。
図3は、印刷ユニット3[各色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の印刷ユニット3a、3b、3c、3dからなる]のそれぞれにより、被印刷基材供給ロール1から供給された被印刷基材2(図の左から右へ搬送)に吐出された各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の印刷毎に、紫外線光源(硬化用光源)4a、4b、4c、4dから光照射(UV光)して硬化し、カラー画像を形成する例を示している。印刷ユニット3a、3b、3c、3dは、インク吐出部分においてはインクが液状化するように加温する機構を設けたものであり、基材保持部分(図中基材の上側又は下側の部分)においては、必要に応じて接触又は非接触で基材を室温程度に冷却する機構を設けたものである。先に印刷する色の印刷面積が小さく搬送速度も遅い場合には、後から印刷する色に対しても自然放冷により基材は室温程度に保たれるが、先に印刷する色の印刷面積が大きかったり搬送速度が速い場合には、基材温度が上昇してしまうため、必要に応じて、基材を室温程度に保持するための冷却機構を設けることが望ましい。
被印刷基材2としては、紙、フィルム、金属、あるいはこれらの複合材料等が用いられる。また、図3ではロール状の被印刷基材2を示しているが、シート状であってもよい。更に、片面印刷だけでなく両面印刷してもよい。
印刷の高速化に際し、各色を印刷する毎に紫外線を照射するとより高い硬化性が得られるが、例えば紫外線光源4a、4b、4cを微弱なものとしたり省略したりして、複数色を印刷した後にまとめて4dにより十分量の紫外線を照射して硬化することにより、省エネ、低コスト化を図ることも可能である。
なお、図中の5は加工ユニット、6は印刷物巻き取りロールである。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜480、比較例1〜240
表1〜表12の調製例1〜120の欄に示す「光重合性モノマー〔皮膚感さ性陰性又はSI値3未満の(メタ)アクリル酸エステル化合物及びアクリルアミド化合物〕」A1〜A23と、光重合開始剤B1−1〜B3の混合物(各欄の数値は重量部)に対し、「分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物」C1〜C4を0.1重量部添加して、実施例1〜480のインクを作製した。また、調製例1〜120の欄に示す混合物に対し、「分子内に水酸基を1個有するフェノール系芳香族化合物」C5〜C6を0.1重量部添加して、比較例1〜240のインクを作製した。それらを表13〜表24に示すが、表中の「実」は実施例を示し、「比」は比較例を示す。
【0027】
表中のA1〜A23、B1−1〜B3、C1〜C6の詳細は次のとおりである。A1〜A23の末尾の( )内の数値は「SI値」であり、「陰性」又は「なし」は、MSDS(化学物質安全性データシート)もしくは文献[例えば、Contact Dermatitis 8 223−235(1982)]において「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価されたことを意味するものであって、当然SI値3未満と等価である。
【0028】
A1:ネオペンチルグリコールジメタクリレート(2.0)
(新中村化学社製「NPG」)
A2:式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート(n≒9)
(共栄社化学社製「ライトエステル9EG」)(1.3)
A3:式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート(n≒14)
(共栄社化学社製「ライトエステル14EG」)(1.6)
A4:γ−ブチロラクトンメタクリレート(2.1)
(大阪有機化学社製「GBLMA」)
A5:トリメチロールプロパントリメタクリレート(1.9)
(サートマー社製「SR350」)
A6:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(1.3)
(新中村化学社製「DCP」)
A7:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製「DPCA60」)(陰性:MSDS)
A8:カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト(日本化薬社製「HX620」)(0.9)
A9:ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート(1.7)
(新中村化学社製「ATM35E」)
A10:エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(1.2)
(第一工業製薬社製「BPE10」)
A11:ヒドロキシエチルアクリルアミド(なし:MSDS)
(興人社製「HEAA」)
A12:ステアリルアクリレート(大阪有機化学社製「STA」)(2.7)
A13:1,4−ブタンジオールジメタクリレート(2.6)
(サートマー社製「SR214」)
A14:ポリプロピレングリコールジアクリレート
〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕
(東亜合成化学社製「M270」)(1.5)
A15:t−ブチルメタクリレート(陰性:文献)
(共栄社化学社製「ライトエステルTB」)
A16:n−ペンチルメタクリレート(陰性:文献)
(東洋サイエンス社製「n−アミルメタクリレート」)
A17:n−ヘキシルメタクリレート(陰性:文献)
(東京化成社製「メタクリル酸n−へキシル」)
A18:エチレンオキサイド変性フェノールアクリレート(0.7)
(東亜合成化学社製「M102」)
A19:イソステアリルアクリレート(新中村化学社製「S1800A」)(1.4)
A20:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート
(新中村化学社製「TMPT3EO」)(1.0)
A21:ステアリルメタクリレート(新中村化学社製「S」)(1.2)
A22:グリセリンジメタクリレート(新中村化学社製「701」)(1.2)
A23:式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート(n≒2)
(新中村化学社製「2G」)(1.1)
【0029】
B1−1:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパ
ン−1−オン(BASF社製「Irgacure907」)(陰性:MSDS)
B1−2:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォ
リン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(陰性:MSDS)
(BASF社製「Irgacure379」)
B2−1:ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「DETX−S」)(1.4)
B2−2:イソプロピルチオキサントン(データなし)
(Lamberti社製「Esacure ITX」)
B3:p−ジメチルアミノ安息香酸エチル(陰性:MSDS)
(チバ社製「Darocur EDB」)
【0030】
C1:ハイドロキノン(精工化学社製「ハイドロキノン」)
C2:メチルハイドロキノン(精工化学社製「MH」)
C3:tert−ブチルハイドロキノン(精工化学社製「TBH」)
C4:2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン(精工化学社製「ノンフレックス
アルバ」)
C5:メトキノン(精工化学社製「メトキノン」)
C6:4−メトキシ−1−ナフトール(川崎化成社製「MNT」)
【0031】
実施例及び比較例の各インクを、遮光下で密栓して70℃で1週間放置し、放置前後の60℃粘度(mPa・s)を測定して変化の割合(%)を算出した。保存安定性を常温で評価するには非常に長期に亘る経過観察が必要で評価が煩雑であることから、70℃という条件で加促試験することとした。また、60℃粘度は、東機産業社製コーンプレート型回転粘度計TV−22により、恒温循環水の温度を60℃に設定して測定した。60℃という温度は、例えばリコープリンティングシステムズ社製GEN4など、加温可能な市販のインクジェット吐出ヘッドの仕様を想定したものである。
結果を表13〜表24にまとめて示すが、「0.6〜2.2」という数値は、加促試験後に試験前よりも粘度が0.6〜2.2%増加したことを示し、「ゲル化」は、加促試験後にインクの一部又は全部が固体状となってしまい粘度測定ができなかったこと、すなわち保存安定性が非常に悪かったことを示す。
【0032】
表の結果から、比較例では放置により全てゲル化してしまったが、実施例では、変化の割合が2.2%(実施例89)以下に収まり、高温での保存安定性が高いことが分かる。
また、実施例に示した全てのインクと、表には示さなかったが後述する全てのインクについては、図1に示す形状のアルミ製パウチ袋に気泡が入らないようにインクを密封し、図2に示すようなプラスチック製カートリッジに前記パウチ袋を収納し、このカートリッジが収納できるようにした筐体に、カートリッジからリコープリンティングシステムズ社製GEN4ヘッドに達するまでインク流路を設置し、これを用いてインクジェット吐出して評価したところ、いずれも高温保存前後のどちらでも特に問題なく吐出可能であり、市販の透明ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ約10μmになるように形成したベタ塗膜は、高温保存後のインクでも、初期の2倍以下の光量で、指触でべたつきのない程度に問題なく硬化した。なお、光照射は、フュージョンUVシステムズ社製LH6により、UVA領域(320〜390nm)の波長域における積算光量が、5、10、20、30、50、100、200、300、500、1000mJ/cmのいずれかとなるように行い、指触でべたつきのない程度となった場合に硬化したものと判断して、これを硬化光量とした。
【0033】
表1〜表12に示した調製例1〜120のインクにおいて、指触でタック感が消失するのに必要な硬化光量、硬化塗膜と未硬化塗膜の外観は、いずれもC1〜C6を添加しても変化なかった。塗膜の外観は、基材に塗膜を形成したそのままの状態で適当な光源に対して透かしてみることにより、塗膜が透明であるか白濁しているかを目視で確認した。
表には示さなかったが、調製例20のインクにおいて、C3を0.01重量部添加したものについても同様に評価したところ、粘度変化の割合は2.2%と良好な保存安定性を示した。
また、同じく分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物である2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス〔6−(1−メチルシクロヘキシル−p−クレゾール)〕を、それぞれ調製例20に0.1重量部添加したものは、同様の評価において、粘度増加が、3.0%、3.2%、2.9%、3.3%と良好な保存安定性を示した。
また、実施例20において、使用しているA20の50重量部のうち10重量部を、エチレングリコールジアクリレート、又はトリメチロールプロパントリアクリレートに置き換えたものについても同様に評価したところ、粘度増加が+1.9%、+2.1%と良好な保存安定性を示した。
【0034】
表13〜表16に示すように、インクに配合する開始剤が分子開裂型光重合開始剤のみの場合、分子内に水酸基を2個有する化合物を添加した場合には良好な保存安定性が得られることが確認できたが、分子内に水酸基を1個しか持たない化合物では何れもインクがゲル化してしまい、十分な保存安定性が得られなかった。
また、表17〜表24に示すように、特願2011−109748において、皮膚感さ性において問題なく、塗膜の硬化性を向上させ、更に塗膜に硬化不良が生じている場合にはそれが目視確認でき、工程での品質確認を容易にできる効果が得られる方法として、SI値が3未満である1種又は2種以上の光重合性モノマー、分子開裂型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤、及び重合促進剤であるアミン化合物を含む光重合性インクジェットインクを見出しているが、この場合のように、インクに配合する開始剤として、分子開裂型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤、及び重合促進剤であるアミン化合物を含む場合においても、分子開裂型光重合開始剤のみを配合した場合と同様に、分子内に水酸基を2個有する化合物を添加した場合には良好な保存安定性が得られることが確認できた。しかし、分子内に水酸基を1個しか持たない化合物では何れもインクがゲル化してしまい、十分な保存安定性が得られなかった。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
【表6】

【0041】
【表7】

【0042】
【表8】

【0043】
【表9】

【0044】
【表10】

【0045】
【表11】

【0046】
【表12】

【0047】
【表13】

【0048】
【表14】

【0049】
【表15】

【0050】
【表16】

【0051】
【表17】

【0052】
【表18】

【0053】
【表19】

【0054】
【表20】

【0055】
【表21】

【0056】
【表22】

【0057】
【表23】

【0058】
【表24】

【符号の説明】
【0059】
1 被印刷基材供給ロール
2 被印刷基材
3 印刷ユニット
3a 各色の印刷ユニット
3b 各色の印刷ユニット
3c 各色の印刷ユニット
3d 各色の印刷ユニット
4a 紫外線光源
4b 紫外線光源
4c 紫外線光源
4d 紫外線光源
5 加工ユニット
6 印刷物巻き取りロール
200 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開平04−164975号公報
【特許文献2】特開2005−290035号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚感さ性試験(LLNA法)における感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満である光重合性モノマーと、分子内に水酸基を2個有するフェノール系芳香族化合物を含む光重合性インクジェットインク。
【請求項2】
前記フェノール系芳香族化合物が、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンから選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の光重合性インクジェットインク。
【請求項3】
更に、分子開裂型光重合開始剤と水素引抜き型光重合開始剤の少なくとも一方、及び重合促進剤であるアミン化合物を含む請求項1又2記載の光重合性インクジェットインク。
【請求項4】
前記水素引抜き型光重合開始剤が、チオキサントン系化合物である請求項3記載の光重合性インクジェットインク。
【請求項5】
前記アミン化合物が、N,N−ジメチルアミノ基を有する安息香酸エステル化合物である請求項3又は4記載の光重合性インクジェットインク。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを収容したインクカートリッジ。
【請求項7】
請求項6記載のインクカートリッジを装着したインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−255137(P2012−255137A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99637(P2012−99637)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】