説明

光量安定化光源装置

【課題】各々の光出射部の光量が異なり、かつ微弱な光量を安定して得ることができる複数の光出射部を備えた光量安定化光源装置を提供すること。
【解決手段】LED26Gから出射された光束をピンホール28で絞り、光源部16で積分し、更に出射ポート32、及び拡散透過部材44を介して分岐光出射部18内で更に積分する。LED26Gの光量は受光センサ30でモニタされているので、安定した光量が得られる。分岐光出射部18に形成した複数の発光窓46B〜発光窓46Eの内側に透過率の異なる第1の光量減衰フィルター48〜第4の光量減衰フィルター54が貼り付けられており、発光窓46Aから出射される光の光量に対して、各発光窓46Bから出射される光の光量が略1/10づつ異なるように設定されている。これにより、各々発光窓において、各々の光量が異なり、かつ微弱な光量を安定して得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物発光や化学発光などの肉眼では不可視の微弱な光を測定するための光検出器、特にエリアセンサの感度やローカリティを点検し、校正する際に用いられる光量安定化光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物発光や化学発光等の、肉眼では不可視な微弱な光を測定するための光検出器、特にはエリアセンサの感度ローカリティを点検し、校正する際には、微弱な光を出射する光量安定化光源装置をエリアセンサの撮影領域内に配置し、光量安定化光源装置から出射した微弱な光を光検出器で検出する。
【0003】
この種の光量安定化光源装置としては、例えば、特許文献1、2に開示されている光源装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−287976号公報
【特許文献2】特開平3−262931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の装置では、光を出射する光出射部が一つであるため、光検出器のダイナミックレンジを測定するには、光源の発光量を変化させて複数回の撮影をしなければならず、作業が煩雑となる。また、電気的に発光量を変化させることはある程度可能であるが、発光量を大きく異ならせると、微弱な光量を安定して得ることが困難となる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、光量が異なる複数の光出射部を備え、微弱な光量を安定して得ることができる光量安定化光源装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、請求項1に記載の光量安定化光源装置は、光を出射する光源と、前記光源から出射された光束を絞るピンホールと、前記ピンホールからの光束を内部で多重反射させる積分素子と、光量をモニタするための受光センサと、前記受光センサでモニタした光量に基づいて前記光源を制御して光量を安定化させる制御手段と、前記積分素子に設けられ、前記積分素子の外部に光を出射させる開口と、前記開口の光出射側に配置される拡散透過部材と、前記拡散透過部材の光出射側に配置され、入射光を複数の光出射部に向けて分岐する分岐手段と、前記複数の光出射部に設けられ、光出射部毎に光量が異なるように透過光量が各々異なる光量減衰フィルターと、を備えている。
【0008】
次に、請求項1に記載の光量安定化光源装置の作用を説明する。
光源から出射された光束は、ピンホールで絞られ積分素子に出射される。
積分素子に入射した入射光は、内部で多重反射され空間的に積分され、これにより積分素子の中は、光の強度分布が均一となる。
【0009】
積分素子の内部で積分された光は積分素子に設けられた開口から出射され、光束はさらに開口によって絞られた後、拡散透過部材で均一に拡散されて分岐手段に入射される。
拡散透過部材で均一に拡散された光は、分岐手段にて複数の光出射部に向け分岐される。
光源から出射された光束は、ピンホール、及び開口によって多段階で絞られた後に光出射部に到達するので、光出射部から出射される光の光量は光源の光量に対して極めて小さなものとなる。
【0010】
さらに、光出射部毎に透過光量(光学濃度)が各々異なるように光量減衰フィルターが光出射部に設けられており、制御手段は、受光センサでモニタした光源からの光量に基づいて光源を制御し、光量を安定化させる。
このため、請求項1に記載の光量安定化光源装置は、複数の光出射部から各々異なる安定した光量の光を出射させることが出来る。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光量安定化光源装置において、前記分岐手段は入射した光束を内部で多重反射させる積分素子である。
【0012】
次に、請求項2に記載の光量安定化光源装置の作用を説明する。
請求項2に記載の光量安定化光源装置では、分岐手段が積分素子であるため、分岐手段に入射した光は、内部で多重反射され空間的に積分され、これにより積分素子の中は、光の強度分布が均一となる。したがって、各光出射部に向けて光が分岐されることになる。
また、積分素子によって光を分岐するので、光出射部を透過する光の光量分布を均一化できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光量安定化光源装置において、複数の前記光出射部の光量が略1/10倍づつ異なるように、減衰量の異なる前記光量減衰フィルターが設けられている。
【0014】
次に、請求項3に記載の光量安定化光源装置の作用を説明する。
請求項3に記載の光量安定化光源装置では、複数の光出射部の光量が略1/10倍づつ異なるように、減衰量の異なる光量減衰フィルターが設けられているため、各光出射部を光量が略1/10倍づつ異なるように発光させることができる。
なお、厳密に1/10倍づつ光量が異なるように各発光部を製作するには多種多数の光源減衰フィルターを用意して各発光部を調整する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の光量安定化光源装置において、前記光出射部の径が7mm以下に設定されている。
【0016】
次に、請求項4に記載の光量安定化光源装置の作用を説明する。
生化学分析装置において多用されているマイクロタイタープレートは、13cm×9cmのサイズで、96穴タイプの場合、直径7mmのウエルが横12個×縦8個で並んでおり、生化学分析装置では、このマイクロタイタープレートを撮像装置で1枚の画像に納めるようになっている。
【0017】
光量安定化光源装置を生化学分析装置の撮像装置の感度等を検査するために用いる場合、光量安定化光源装置はマイクロタイタープレートの代わりにマイクロタイタープレートを配置する部位に配置するため、そのサイズはマイクロタイタープレート同等あるいはそれ以下にすることが好ましい。
【0018】
複数の光出射部は、各々の光量が異なるが、光量が大の光出射部と光量が小さい光出射部とが接近し過ぎていると、光量が大の光出射部からの光によって、光量が小さい光出射部が影響を受けて光量が小さい光出射部が識別できなくなる虞があり、光出射部と光出射部の間隔はある程度必要となる。
また、光出射部は複数設ける必要があるため、限られたスペースで複数の光出射部を設け、かつ光出射部と光出射部との間隔を確保するには、光出射部の直径を7mm以下とすることが好ましい。
【0019】
分岐手段を積分素子とした場合に、積分素子に複数の開口を形成し、その開口を光出射部とするが、積分素子の性質上、開口面積を大きくとりすぎると、入射した光を内部で均一に拡散反射することが出来なくなり、均一な光の強度分布を得ることができなくなるため、分岐手段を積分素子とした場合の均一性の観点からも、光出射部の直径が大きすぎることは好ましくなく、7mm以下とすることが好ましい。
【0020】
なお、光出射部の直径の下限値は特に制限は無いが、マイクロタイタープレートを用いる生化学分析装置の検査に用いる光量安定化光源装置においては、光出射部の直径の下限値は実用上3mm程度である。光出射部の直径を3mm未満としてもかまわないが、小さくし過ぎると例えば画像のノイズ等に紛れて発光量の小さな光出射部を識別し難くなる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように請求項1に記載の光量安定化光源装置によれば、複数の光出射部から、光量が異なる微弱な光量を安定して得ることができる、という効果がある。
【0022】
請求項2に記載の光量安定化光源装置によれば、積分素子という簡単な構成でもって光を分岐でき、光出射部内を均一に発光させることができる。
【0023】
請求項3に記載の光量安定化光源装置によれば、発光量のダイナミックレンジを大きくとることが出来る。
【0024】
請求項4に記載の光量安定化光源装置によれば、生化学分析装置において多用されているマイクロタイタープレートを用いる生化学分析装置の撮像装置の感度等を検査するために好適となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態に係る光量安定化光源装置の分解斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る光量安定化光源装置の電気系のブロック図である。
【図3】図1に示す光量安定化光源装置の3−3線断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る光量安定化光源装置の分解斜視図である。
【図5】(A)は試料の発光プロファイル、(B)は光量安定化光源装置の発光窓の発光プロファイルである。
【図6】(A)は参考例に係る光量安定化光源装置の要部を示す断面図であり、(B)は参考例に係る光量安定化光源装置の発光窓の発光プロファイルである。
【図7】(A)はその他の実施形態に係る光量安定化光源装置の発光窓の断面図であり、(B)図7(A)に示す発光窓の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1乃至図4にしたがって、本発明の一実施形態に係る光量安定化光源装置10を説明する。
図1、及び図2に示すように、本実施形態の光量安定化光源装置10は、密閉された直方体である暗箱12を備えており、その内部は、長手方向に電源制御部14、光源部16、分岐光出射部18の3つの部分に区別される。
【0027】
暗箱12の内部は、第1の隔壁20、及び第2の隔壁22によって長手方向に区画されており、第1の隔壁20の矢印L方向側が電源制御部14、第1の隔壁20と第2の隔壁22との間が光源部16、第2の隔壁22の矢印R方向側が分岐光出射部18とされている。
【0028】
(光源部)
光源部16には、幅方向一方側(図面の矢印F方向側)にピンホール板24が設けられており、ピンホール板24の矢印F方向側には、光源として、固体の発光素子であるLED26が配置されている。本実施形態の光量安定化光源装置10では、LED26が緑色の光(例えば、波長530nm)を出射する砲弾型のものが用いられているが、表面実装型でももちろんよい。
本実施形態では、光源としてLED26を用いているが、光源としては安定して発光できれば良く、例えばレーザーダイオード(LD)等を用いても良い。
【0029】
ピンホール板24の中央には、減光用のピンホール28が形成されている。ピンホール28の中心軸とLED26の光軸とは一致しており、LED26の光の出射方向にピンホール28が位置している。
ピンホール28の径は、一例としてφ0.1〜0.7mmの範囲内が好ましいが、本発明においてピンホール28の径はこの範囲内に限定されるものではない。
【0030】
また、光源部16には、ピンホール板24のLED側とは反対側にフォトダイオード(PD)等の固体の受光素子である受光センサ30が、ピンホール28及びLED26と対向するように配置されており、LED26から出射された光束は、ピンホール28で絞られ(減光され)、受光センサ30に到達するようになっている。即ち、本実施形態では、LED26の光軸上に受光センサ30が配置されている。
【0031】
光源部16の内壁は、積分球儀と同様に、高い反射率で拡散性に優れた、例えば艶消しの白色のコーティングが施されており、ピンホール28を介して内部に入ったLED26の光は内壁で拡散反射を繰り返し空間的に積分され、内壁においては均一な光の強度分布となる。
【0032】
第2の隔壁22の中央には、絞りの役目をする出射ポート32が形成されている。本実施形態の出射ポート32は、φ3mmに設定されているが、本発明において出射ポート32の径はφ3mmに限定されるものではない。
【0033】
(電源制御部)
図3に示すように、電源制御部14は、電池34を入れる電池ボックス36、制御回路38、電源スイッチ40、光量切替スイッチ42、インジケータランプ43を備えている。
電池34は、LED26及び制御回路38に電力を供給する役目を有し、電源スイッチ40をオンすることで、電力がLED26、制御回路38、及びインジケータランプ43に供給される。インジケータランプ43は、電源スイッチ40が入ったのち、数秒間点灯した後、電池34の電圧が規定範囲内であれば自動的に消灯する。規定外の場合はそもそも点灯しないか、点灯しつづけて異常を知らせる。
【0034】
前述したLED26と受光センサ30は、制御回路38に接続されており、制御回路38は、受光センサ30でモニタした光量に基づいてLED26に流す電流を制御して光量を安定化(フィードバック制御)させる役目を有している。なお、受光センサ30はLED26から出射された光を直接受光する。
制御回路38には光量切替スイッチ42が接続されており、光量切替スイッチ42切り替えることでLED26の光量を例えば半分(50%)にすることが出来る。
【0035】
(分岐光出射部)
図1、及び図2に示すように、分岐光出射部18の光源部側の内壁には、例えば、乳白色で半透明の合成樹脂板、白色のオパールガラス等で形成された拡散透過部材44が貼り付けられている。
拡散透過部材44は、出射ポート32から出射された光を分岐光出射部内に向けて均一に拡散させる。
【0036】
分岐光出射部18の光源部側の内壁(拡散透過部材44の貼り付け部分は除く)は、積分球儀と同様に、高い反射率で拡散性に優れた、例えば艶消しの白色のコーティングが施されており、拡散透過部材44で拡散された光は内壁で拡散反射を繰り返し空間的に積分され、内壁においては均一な光の強度分布となる。
【0037】
分岐光出射部18の上壁12Aには、光出射部となる複数(本実施形態では5個)の発光窓46A,46B,46C,46D,46Eが形成されている。
本実施形態の発光窓46A,46B,46C,46D,46Eは、何れも同じ直径の円形である。本実施形態の各発光窓の直径は7mmであるが、本発明において発光窓46A,46B,46C,46D,46Eの径は7mmに限定されるものではない。また、本実施形態では、各発光窓の形状が円形であるが、矩形等の他の形状であっても良い。
【0038】
なお、本実施形態の光量安定化光源装置10の各発光窓のサイズは、光量安定化光源装置10を生化学分析装置の撮影装置(光検出器)の検査に用いる場合を想定しており、生化学分野で多様されているものである。なお、生化学分析装置の光検出器の検査に用いる場合、各発光窓のサイズはφ3〜7mmが好ましいが、この径に限定されるものではない。
【0039】
上記マイクロタイタープレートを用いる生化学分析装置の撮影装置の撮影領域(13cm×9cm)に占める直径3〜7mmの開口面積の割合は、0.06〜0.33%となる。また、例えば、顕微鏡のスライドガラス(76mm×26mm)を基盤として、基盤の直径30μmのスポットを撮影する場合、撮影領域(76mm×26mm)に占めるスポットの面積の割合は、0.007%であり、スポットのサイズが10μmであれば、撮影領域(76mm×26mm)に占めるスポットの面積の割合は、0.003%となる。
なお、発光窓46の1個当りの面積、撮影領域に占める割合の好適範囲は、一概に何mm、何パーセントとは決められるものではなく、検査対象等によって適宜変更されるものである。
【0040】
本実施形態の分岐光出射部18では、図面矢印R方向側の発光窓46Aが素通しの孔であるが、発光窓46Aの矢印L方向側の発光窓46Bには第1の光量減衰フィルター48が設けられ、発光窓46Bの矢印L方向側の発光窓46Cには第2の光量減衰フィルター50が設けられ、発光窓46Cの矢印L方向側の発光窓46Dには第3の光量減衰フィルター52が設けられ、発光窓46Dの矢印L方向側の発光窓46Eには第4の光量減衰フィルター54が設けられている。
【0041】
これら第1の光量減衰フィルター48、第2の光量減衰フィルター50、第3の光量減衰フィルター52、及び第4の光量減衰フィルター54は、各々分岐光出射部18の上壁12Aの内面に固定されている。したがって、これら第1の光量減衰フィルター48、第2の光量減衰フィルター50、第3の光量減衰フィルター52、及び光量減衰フィルター54の上面は、上壁12Aの上面(表面)よりも、上壁12Aの板厚分下がった位置にある。
【0042】
これら第1の光量減衰フィルター48、第2の光量減衰フィルター50、第3の光量減衰フィルター52、及び第4の光量減衰フィルター54は、光の透過量(フィルターの透過量)が略1/10倍づつ異なるように設定されているものであり、第1の光量減衰フィルター48は、発光窓46Aの透過量に対して1/10の透過量となるように減衰量(透過率)が設定されており、第2の光量減衰フィルター50は、発光窓46Aの透過量に対して1/100の透過量となるように減衰量が設定されており、第3の光量減衰フィルター52は、発光窓46Aの透過量に対して1/1000の透過量となるように減衰量が設定されており、第4の光量減衰フィルター54は、発光窓46Aの透過量に対して1/10000の透過量となるように減衰量が設定されている(光学濃度(D)、透過率(T)としたときに、D=log(1/T)。)。
【0043】
本実施形態の第1の光量減衰フィルター48〜第4の光量減衰フィルター54には、例えば、NDフィルターを用いることができるが、光量を減衰できるものであれば他の種類のフィルターを用いることもできる。
【0044】
(作用)
次に、本実施形態の光量安定化光源装置10の作用を説明する。
光量安定化光源装置10を、例えば、生化学分析装置の撮影装置の検査、調整等に用いる場合に、撮影装置の撮影領域内に光量安定化光源装置10を配置し、撮影装置の正面(撮影レンズの光軸上)に、発光窓の形成されている上壁12Aを対向させる。
【0045】
光量安定化光源装置10の電源スイッチ40をオンにすると、LED26が発光し、LED26から出射された光束は、ピンホール28で絞られ(減光され)、直接光の一部が受光センサ30で受光される。制御回路38は、受光センサ30でモニタした光量に基づいてLED26に流す電流を制御して光量を安定化させる。したがって、各発光窓からは、光量変動の無い安定した光を出射することが出来る。
【0046】
ピンホール28から出射された光は、光源部16の内壁で拡散反射を繰り返し空間的に積分されるので、光源部16の内壁において均一な光の強度分布となる。
光源部16の内壁で拡散反射された一部の光は、第1の隔壁20の中央に形成された出射ポート32から出射された後、拡散透過部材44で分岐光出射部内に向けて均一に拡散され、分岐光出射部18の内壁で拡散反射を繰り返し空間的に積分され、分岐光出射部18の内壁において均一な光の強度分布となる。
【0047】
分岐光出射部18の上壁12Aに形成される発光窓46B、発光窓46C、発光窓46D、発光窓46Eの内側には、第1の光量減衰フィルター48、第2の光量減衰フィルター50、第3の光量減衰フィルター52、及び第4の光量減衰フィルター54が貼り付けられているので、発光窓46Aから出射される光の光量に対して、発光窓46Bから出射される光の光量は1/10、発光窓46Cから出射される光の光量は1/100、発光窓46Dから出射される光の光量は1/1000、発光窓46Eから出射される光の光量は1/10000となる。
したがって、各発行窓からは、減光された安定した光を出射させることができる。
【0048】
本実施形態の光量安定化光源装置10では、各発光窓から光量の異なる光が出射されるので、各発光窓から出射される光を検出することで、撮影装置のダイナミックレンジを検査することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態の光量安定化光源装置10では、光量切替スイッチ42を切り替えることで、各発光窓における光量を半分にすることができ、ダイナミックレンジをさらに広くとることができる。
【0050】
なお、分岐光出射部18では、入射した光を内壁で拡散反射を繰り返し空間的に積分するので、各発光窓においては、例えば、図4(B)に示すような発光プロファイルとなり、発光窓の中央部分と外周部分共に略同等な強度分布となる(図4(B)において、符号46は発光窓、縦軸は光の強度を示している。)。
【0051】
因みに、マイクロタイタープレートのウエルに配置された化学発光を発する、または蛍光を発する試料の発光プロファイルは、図4(A)に示すような形状であり(なお、図4(A)において、符号47は試料、縦軸は光の強度を示している。)光量安定化光源装置10の発光窓における発光プロファイルと略同一となる。
【0052】
参考までに、図5(A)に示すように、LED100、ピンホール102の形成されたピンホール板104、拡散透過部材106、発光窓108の形成された壁部材110を順に配置した光量安定化光源装置では、発光窓108において、図5(B)に示すような強度分布を有しており、試料の発光とは強度分布が大幅に異なる。
【0053】
また、本実施形態の光量安定化光源装置10の発光窓46A,46B,46C,46D,46Eは直径7mmの円形であり、生化学分析装置に用いるマイクロタイタープレートの直径7mmのウエルと同径に設定されている。
したがって、試料の発光の強度分布と略同一の強度分布を得られる本実施形態の光量安定化光源装置10が生化学分析装置の検査、調整等に適している。
【0054】
本実施形態では、第1の光量減衰フィルター48、第2の光量減衰フィルター50、第3の光量減衰フィルター52、及び光量減衰フィルター54の上面は、上壁12Aの上面(表面)よりも、上壁12Aの板厚分下がった位置にあるため、光量の大きな発光窓、例えば、発光窓46Aからの光が隣接する発光窓46B側等に漏れ、発光窓46Bから光が出射しているか否かを判別できなくなる事は無い。
【0055】
本実施形態の光量安定化光源装置10では、第1の光量減衰フィルター48〜第4の光量減衰フィルター54が、各々分岐光出射部18の上壁12Aの内面に固定され、第1の光量減衰フィルター48〜光量減衰フィルター54の上面が、上壁12Aの上面(表面)よりも、上壁12Aの板厚分下がった位置にあったが、例えば、図6に示すように、第1の光量減衰フィルター48が発光窓内に配置され、第1の光量減衰フィルター48の上面が、上壁12Aの上面(表面)と同位置にあっても良い。この場合には、発光量の小さな発光窓に対して影響が及ばないように、上壁12Aの上面に発光窓の周囲を囲む環状の突起56を形成することが好ましい。何れにしても、第1の光量減衰フィルター48〜第4の光量減衰フィルター54の周囲を、第1の光量減衰フィルター48〜第4の光量減衰フィルター54の上面よりも高くすることが好ましい。
【0056】
[第2の実施形態]
次に、本発明の光量安定化光源装置の第2の実施形態を図7にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態の光量安定化光源装置10は、第1の実施形態の第1の光量安定化光源装置10で説明をした暗箱12を2個並列として一体化させた構成であり、矢印B方向側の暗箱12に設けられたLED26Bは、青色の光(例えば、波長470nm)を発光し、矢印F方向側の暗箱12に設けられたLED26Gは、緑色の光(例えば、波長530nm)を発光するものが用いられている。
これにより、本実施形態の光量安定化光源装置10を用いることで、緑色の発光と青色の発光をどちらか一方、あるいは同時に得ることが出来る。
【0057】
[その他の実施形態]
上記第2の実施形態の光量安定化光源装置10では、緑色の光を出射するLED26G、及び青色の光を出射するLED26Bを用いた例を説明したが、本発明において各光出射部から出射させる光の色は緑色、青色に限らず、赤、白、紫等の他の色を出射させるLEDを用いても良い。
【0058】
上記実施形態では、光源としてLEDを用いたが、本発明はこれに限らず、安定して光を出射できるものであれば、レーザーダイオード(LD)等の他の固体発光素子を用いても良く、光量が安定していれば光源にフィラメントランプを用いても良い。
【0059】
上記実施形態の分岐光出射部18では、出射ポート32、及び拡散透過部材44を介して入射させた光を内部で積分し、各発光窓に向けて光を分岐したが、本発明はこれに限らず、例えば、出射ポート32と各発光窓部とを連結するように光ファイバーを配置し、光ファイバーを用いて各発光窓部に光を分岐することも出来る。
【0060】
上記実施形態の光量安定化光源装置10では、受光センサ30、ピンホール28及びLED26Gが一直線状に配置され、受光センサ30がLED26Gと対向するように配置されて、受光センサ30がLED26Gから出射された光の一部を直接的に受光する構成となっていたが、ピンホール板24とLED26Gとの間に、ピンホール板24に対して傾斜するハーフミラー(またはプリズム等)を配置し、ハーフミラー(またはプリズム等)で反射したLED26Gからの光を受光センサ30で受光する構成としても良い。これにより、受光センサ30をLED26Gの近傍に配置することができる。
【0061】
上記実施形態では、各光量減衰フィルターの透過率の値が略1/10づつ異なるように設定されていたが、用途によっては厳密に1/10倍づつ異なっている必要はなくその各発光部が時間的に安定して発光することが優先される。本発明において、各光量減衰フィルターの透過率は本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更されるものである。例えば、各光量減衰フィルターの透過率の値を1/2づつ異なるように設定しても良く、1/3づつ異なるように設定しても良い。
また、上記実施形態の光量安定化光源装置10では、発光窓46Aに光量減衰フィルターを設けていないが、本発明はこれに限らず、発光窓46Aに光量減衰フィルターを設けても良い。あるいは平常は、発光窓46Aを遮光性の蓋で覆い、光が出ないようにして、微弱光の発光窓からの発光に干渉しないようにしても良い。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10 光量安定化光源装置
16 光源部(積分素子)
18 分岐光出射部(分岐手段、積分素子)
26B LED(光源)
26G LED(光源)
28 ピンホール
30 受光センサ
32 出射ポート(開口)
38 制御回路(制御手段)
44 拡散透過部材
46A 発光窓(光出射部)
46B 発光窓(光出射部)
46C 発光窓(光出射部)
46D 発光窓(光出射部)
46E 発光窓(光出射部)
48 光量減衰フィルター
50 光量減衰フィルター
52 光量減衰フィルター
54 光量減衰フィルター



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源から出射された光束を絞るピンホールと、
前記ピンホールからの光束を内部で多重反射させる積分素子と、
光量をモニタするための受光センサと、
前記受光センサでモニタした光量に基づいて前記光源を制御して光量を安定化させる制御手段と、
前記積分素子に設けられ、前記積分素子の外部に光を出射させる開口と、
前記開口の光出射側に配置される拡散透過部材と、
前記拡散透過部材の光出射側に配置され、入射光を複数の光出射部に向けて分岐する分岐手段と、
前記複数の光出射部に設けられ、光出射部毎に光量が異なるように透過光量が各々異なる光量減衰フィルターと、
を備えた光量安定化光源装置。
【請求項2】
前記分岐手段は入射した光束を内部で多重反射させる積分素子である、請求項1に記載の光量安定化光源装置。
【請求項3】
複数の前記光出射部の光量が略1/10倍づつ異なるように、減衰量の異なる前記光量減衰フィルターが設けられている、請求項1または請求項2に記載の光量安定化光源装置。
【請求項4】
前記光出射部の径が7mm以下に設定されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の光量安定化光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−211783(P2012−211783A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76618(P2011−76618)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】